説明

蓄電装置

【課題】高効率に蓄電部を昇温することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】蓄電部11に接続された第1DC/DCコンバータ13と、それに並列接続された第2DC/DCコンバータ35と、これらを制御する制御回路55とからなり、制御回路55は、蓄電部11の温度(T)が既定温度(Tr)より低ければ、第1DC/DCコンバータ13が蓄電部11に電力を充電するように、第2DC/DCコンバータ35が蓄電部11から電力を放電するように、それぞれ制御するとともに、第1DC/DCコンバータ13の動作波形の位相と、第2DC/DCコンバータ35の動作波形の位相が180度ずれるように動作させることにより、温度(T)が既定温度(Tr)に至るまで蓄電部11を昇温するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電部に電力を蓄え、必要な時に放電する蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮や燃費向上のために、制動時に発電を行うことで制動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生システムを搭載した自動車(以下、車両という)が開発されている。この回生システムは車両減速時に発電機で発生する電力(以下、回生電力という)を蓄電部に充電し、減速時以外に放電することで、発電機の発電量を減らすことができるので、その分、エンジン負担が軽減され省燃費が可能となる。
【0003】
このような回生電力は車両減速時に急峻に発生するため、回生電力を十分に充電するためには、蓄電部に用いる蓄電素子として、例えば急速充放電特性に優れた電気二重層キャパシタを適用した蓄電装置とすることが望ましい。しかし、電気二重層キャパシタは温度が低くなるほど容量値が下がる特性を有するため、蓄電装置が低温状態であれば回生電力の充電が十分にできなくなる可能性がある。
【0004】
そこで、蓄電素子としてキャパシタではなくバッテリを用いた例ではあるが、強制的にバッテリへの充放電を行うことで電流を流し、バッテリの内部抵抗により発熱させて温度を上げる構成が下記特許文献1に提案されている。図5はこのようなバッテリ制御装置のブロック構成図である。なお、ここではバッテリ制御装置をハイブリッド車両に適用した場合を示す。
【0005】
ハイブリッド車両101は基本的にはエンジン102と、複数のモータ103、104、105と、それらに接続したインバータ106、107、108と、電力を供給するバッテリ109と、システム全体を制御するコントローラ110から構成される。
【0006】
もし、ハイブリッド車両101を起動する時に周囲温度が低温(例えば氷点下数十度)であったとすると、バッテリ109は本来の性能を発揮できない。そこで、コントローラ110は低温環境であれば、バッテリ109を強制的に充放電し温度を上げる動作を行う。具体的には、放電する場合はモータ103を駆動してエンジン102の始動やアシストを行ったり、油圧装置111に接続されたモータ105を高速駆動するなどの動作を行う。また、充電する場合はモータ103を発電機として用い、エンジン102の駆動力を電力に変換してバッテリ109を充電する。このようにバッテリ109を強制的に充放電することで電流が流れ、バッテリ109の内部抵抗によって温度が上昇する。その結果、バッテリ109はハイブリッド車両101の要求性能を満たすことができるようになる。
【特許文献1】特許第3449226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のバッテリ制御装置によると、確かに蓄電素子としてのバッテリ109の温度を上げることができるのであるが、バッテリ109を強制放電させると、不要不急の電力がバッテリ109から持ち出される可能性があり、その分の損失が大きくなる。また、バッテリ109を強制充電させると、そのためにエンジン102の駆動力を上げて電力変換する必要があるため、その分、燃料を消費してしまう。さらに、1回の強制充放電でバッテリ109の温度が十分に上がらなかった場合は、上記充放電動作を繰り返すことになるが、その場合は、都度電力や燃料を消費するので、車両全体の効率が低下してしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高効率に蓄電部を昇温することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蓄電装置は、蓄電部と、前記蓄電部に一端が接続された第1DC/DCコンバータと、前記第1DC/DCコンバータの他端に接続された入出力端子と、前記蓄電部と前記入出力端子の間に、前記第1DC/DCコンバータと並列接続された第2DC/DCコンバータと、前記蓄電部に配された温度センサと、前記入出力端子に接続された入出力端子電圧検出回路と、前記蓄電部に接続された蓄電部電圧検出回路と、前記第1DC/DCコンバータ、第2DC/DCコンバータ、温度センサ、入出力端子電圧検出回路、および蓄電部電圧検出回路に接続された制御回路とからなり、前記制御回路は、前記温度センサから得られる温度(T)が既定温度(Tr)より低ければ、前記蓄電部電圧検出回路から得られる前記蓄電部の電圧(Vc)が前記入出力端子電圧検出回路から得られる前記入出力電圧(Vb)以下の場合は、前記第1DC/DCコンバータ、または前記第2DC/DCコンバータにより、前記蓄電部を前記入出力電圧より高い電圧まで初期充電した状態とし、前記蓄電部の電圧(Vc)が前記入出力電圧(Vb)より高い場合は、前記初期充電を行わない状態として、前記第1DC/DCコンバータが前記蓄電部に電力を充電するように、前記第2DC/DCコンバータが前記蓄電部から電力を放電するように、それぞれ制御するとともに、前記第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と、前記第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が180度ずれるように動作させることにより、前記温度(T)が前記既定温度(Tr)に至るまで前記蓄電部を昇温するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蓄電装置によれば、蓄電部に第1DC/DCコンバータと第2DC/DCコンバータを接続し、蓄電部に充電された電力を第2DC/DCコンバータで放電し、その電力を第1DC/DCコンバータで蓄電部に充電する動作を繰り返すように両者の動作波形の位相を設定しているので、蓄電部の電力により自らが充放電され、その時の電流と蓄電部の内部抵抗により蓄電部が昇温される。従って、従来のバッテリや発電機による電力を充放電することがほとんどないので、高効率に蓄電部を昇温することができる蓄電装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。なお、ここでは回生システム用の蓄電装置を例に説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における蓄電装置のブロック回路図である。図2は本発明の実施の形態における蓄電装置の第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が180度ずれるように動作させた場合の各部電流の経時特性図であり、(a)は蓄電部の電流経時特性図を、(b)は第1出力端子の電流経時特性図を、(c)は第2入力端子の電流経時特性図を、(d)は第1入力端子の電流経時特性図を、(e)は第2出力端子の電流経時特性図を、(f)は入出力端子の電流経時特性図を、それぞれ示す。図3は本発明の実施の形態における蓄電装置の第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が一致するように動作させた場合の各部電流の経時特性図であり、(a)は蓄電部の電流経時特性図を、(b)は第1出力端子の電流経時特性図を、(c)は第2入力端子の電流経時特性図を、(d)は第1入力端子の電流経時特性図を、(e)は第2出力端子の電流経時特性図を、(f)は入出力端子の電流経時特性図を、それぞれ示す。図4は本発明の実施の形態における蓄電装置の昇温時の温度経時特性図である。なお、図1において、太線は電力系配線を、細線は信号系配線を、それぞれ示す。
【0013】
図1において、回生電力を蓄える蓄電部11は、電気二重層キャパシタを複数個直列に接続した構成を有する。なお、電気二重層キャパシタの必要個数は制動時に発生する回生電力量等に応じて適宜決定すればよい。また、直列接続に限定されるものではなく、回生電力量が多い場合等は直並列接続としてもよい。
【0014】
蓄電部11は、第1DC/DCコンバータ13の一端が接続されている。ここで、本実施の形態では第1DC/DCコンバータ13を蓄電部11の充電に用いるものとするので、蓄電部11は第1DC/DCコンバータ13の第1出力端子15に接続される構成となる。
【0015】
第1DC/DCコンバータ13の他端、すなわち第1入力端子17は、蓄電装置19の入出力端子21に接続されている。ここで、第1DC/DCコンバータ13の詳細構成について説明する。
【0016】
第1DC/DCコンバータ13の第1入力端子17と第1出力端子15の間には、第1入力端子17側から第1チョークコイル23、および第1スイッチ25の直列回路が接続されている。また、第1チョークコイル23と第1スイッチ25の接続点にはグランドとの間に第2スイッチ27が接続されている。さらに、第1入力端子17と第1出力端子15には、それぞれ平滑コンデンサ29、31が接続されている。なお、平滑コンデンサ31には第3スイッチ33が直列接続されている。従って、第3スイッチ33をオフにすることで平滑コンデンサ31の機能を停止することができる。
【0017】
蓄電部11と入出力端子21の間には、第1DC/DCコンバータ13と並列に第2DC/DCコンバータ35が接続されている。なお、本実施の形態では第2DC/DCコンバータ35を蓄電部11の放電に用いるものとするので、第2DC/DCコンバータ35の第2入力端子37に蓄電部11が、第2出力端子39に入出力端子21が、それぞれ接続される構成となる。
【0018】
第2DC/DCコンバータ35の構成は、第1DC/DCコンバータ13の構成と同じである。すなわち、第2DC/DCコンバータ35の第2出力端子39と第2入力端子37の間には、第2出力端子39側から第2チョークコイル41、および第4スイッチ43の直列回路が接続されている。また、第2チョークコイル41と第4スイッチ43の接続点にはグランドとの間に第5スイッチ45が接続されている。さらに、第2入力端子37と第2出力端子39には、それぞれ平滑コンデンサ47、49が接続されている。なお、平滑コンデンサ47には第6スイッチ51が直列接続されている。従って、第6スイッチ51をオフにすることで平滑コンデンサ47の機能を停止することができる。
【0019】
なお、第1スイッチ25、第2スイッチ27、第3スイッチ33、第4スイッチ43、第5スイッチ45、および第6スイッチ51は、全て外部からオンオフ制御が可能なスイッチング素子からなり、本実施の形態ではいずれもFETを用いた。
【0020】
また、蓄電部11には、その温度Tを測定するための温度センサ52が配されている。温度センサ52は温度Tに対する抵抗値変化が大きいサーミスタを用いた。
【0021】
また、入出力端子21には、その入出力電圧Vbを検出して出力する入出力端子電圧検出回路53が接続されている。さらに、蓄電部11には、その電圧Vcを検出して出力する蓄電部電圧検出回路54が接続されている。
【0022】
第1DC/DCコンバータ13、第2DC/DCコンバータ35、温度センサ52、入出力端子電圧検出回路53、および蓄電部電圧検出回路54は、いずれも制御回路55に接続されている。なお、第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35に対する接続は、具体的には第1スイッチ25、第2スイッチ27、第3スイッチ33、第4スイッチ43、第5スイッチ45、および第6スイッチ51の信号系配線となる。制御回路55はマイクロコンピュータと周辺回路で構成され、温度センサ52の出力から得られる温度T、入出力端子電圧検出回路53の出力から得られる入出力電圧Vb、および蓄電部電圧検出回路54の出力から得られる蓄電部11の電圧Vcを読み込むとともに、第1スイッチ25から第6スイッチ51までのオンオフ制御を、オンオフ信号SW1〜SW6により、それぞれ行う。制御回路55は、このような動作を含め、蓄電装置19の全体の制御を司る。また、制御回路55は車両側制御回路(図示せず)との間でデータ信号dataにより情報の送受信を行っている。
【0023】
なお、蓄電装置19の全体におけるグランドは、全てグランド端子57を介して車両側のグランドと接続されている。また、第1入力端子17の近傍には、その電流IDを検出するための第1入力端子電流検出回路59が設けられている。同様に、第2出力端子39の近傍には、その電流IEを検出するための第2出力端子電流検出回路61が設けられている。検出された電流ID、IEは、いずれも制御回路55に入力される。
【0024】
以上のようにして構成された蓄電装置19の入出力端子21は、車両の主電源58、負荷60、および発電機63等に接続されている。ここで、主電源58は車両のバッテリであり、負荷60は車両に搭載された各種電装品である。また、発電機63は車両の制動時には回生電力を発生する。従って、発電機63により発生した回生電力は、負荷60に供給されるとともに、蓄電装置19に内蔵した蓄電部11に充電される。この際、蓄電部11は電気二重層キャパシタからなるため、制動時に発生する急峻な回生電力を十分に回収することができる。なお、主電源58の状態によっては、回生電力の一部が主電源58にも充電される。
【0025】
また、制動が終了すれば、蓄電装置19は蓄電部11に蓄えた回生電力を主電源58や負荷60に供給する。従って、車両の制動エネルギーを電気エネルギーとして有効に利用できるとともに、蓄電装置19から主電源58や負荷60への電力供給中は、発電機63の発電を停止することができるので、その分のエンジン負担が軽減され、燃費を向上することができる。
【0026】
次に、本実施の形態の特徴である蓄電部11の昇温動作について、図2から図4を用いて説明する。
【0027】
まず、制御回路55は温度センサ52の出力から温度Tを読み込み、既定温度Trより低いか否かを判断する。なお、既定温度Trの詳細な決定方法は後述するが、この値は、あらかじめ制御回路55に内蔵したメモリに記憶してある。もし、温度Tが既定温度Tr以上であれば、蓄電部11を昇温する必要がないので、以下に説明する昇温動作は行われない。
【0028】
温度Tが既定温度Trより低ければ、次に制御回路55は、蓄電部電圧検出回路54から蓄電部11の電圧Vcを読み込むとともに、入出力端子電圧検出回路53から入出力端子21における入出力電圧Vbを読み込み、両者を比較する。
【0029】
もし、蓄電部11の電圧Vcが入出力電圧Vb以下であれば、制御回路55は第1DC/DCコンバータ13、または第2DC/DCコンバータ35を制御して、蓄電部11を入出力電圧Vbより高い電圧(例えば50%高い電圧)まで初期充電を行う。具体的には、第1DC/DCコンバータ13を制御する場合は、第3スイッチ33をオンにするとともに、第1スイッチ25と第2スイッチ27を相互にオンオフが反転するように制御する。第2DC/DCコンバータ35を制御する場合は、第6スイッチ51をオンにするとともに、第4スイッチ43と第5スイッチ45を相互にオンオフが反転するように制御する。なお、ここでは第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35のいずれを用いて蓄電部11を充電しても構わない。このような動作により、蓄電部11を昇温するための電力が蓄電部11に蓄えられたことになる。なお、蓄電部11を入出力電圧Vbより高い電圧まで初期充電することにより、後述する蓄電部11の昇温動作を行う時に、主電源58からの電力の持ち出しを最小限に抑えることができる。
【0030】
一方、既に蓄電部11の電圧Vcが入出力電圧Vbより高くなっている場合、制御回路55は初期充電を行わない。
【0031】
以上の動作により、蓄電部11の昇温を行うための準備が完了したことになる。
【0032】
次に、制御回路55は、第3スイッチ33と第6スイッチ51をオフにする。これにより、後述する蓄電部11の充放電電流波形のなまりが低減され、昇温効率が上がる。
【0033】
次に、制御回路55は、第1DC/DCコンバータ13が蓄電部11に電力を充電するように、第2DC/DCコンバータ35が蓄電部11から電力を放電するように、それぞれ制御する。この時、制御回路55は、第1入力端子電流検出回路59により検出される第1入力端子17の電流IDの絶対値と、第2出力端子電流検出回路61により検出される第2出力端子39の電流IEの絶対値が等しくなるように、第1スイッチ25、第2スイッチ27、第4スイッチ43、および第5スイッチ45を制御する。また、この際に、第1DC/DCコンバータ13の動作波形の位相と、第2DC/DCコンバータ35の動作波形の位相が180度ずれるように動作させる。具体的には、第1スイッチ25と第4スイッチ43のオン信号の立ち上がりを180度ずれるようにする。この時の第1出力端子15と第2入力端子37の電流波形の経時変化を図2(b)、(c)にそれぞれ示す。なお、これらの図において、横軸は時間を示し、図2(b)の縦軸は第1出力端子15の電流IBを、図2(c)の縦軸は第2入力端子37の電流ICを、それぞれ示す。また、蓄電部11に向かって流れる電流、すなわち充電電流を正とし、放電電流を負と定義する。
【0034】
なお、本実施の形態においては、第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35の時比率(オン期間とオフ期間の比率)を1:3とした場合について以下説明するが、時比率は上記の値に限定されるものではなく、入出力電圧Vb、および蓄電部11の電圧Vcによって決定される。また、第1スイッチ25のオンオフ信号SW1と第2スイッチ27のオンオフ信号SW2は互いに反転している。すなわち、オンオフ信号SW1がオンの時はオンオフ信号SW2がオフになる。同様に、第4スイッチ43のオンオフ信号SW4と第5スイッチ45のオンオフ信号SW5も互いに反転している。
【0035】
まず、時間t0において、制御回路55は第4スイッチ43をオンに、第5スイッチ45をオフにする。この時、前記したように第1DC/DCコンバータ13の動作波形の位相と、第2DC/DCコンバータ35の動作波形の位相が180度ずれるように動作させるので、第1スイッチ25がオフ、第2スイッチ27がオンとなる。これにより、図2(c)に示すように第2入力端子37に流れる電流ICは負方向に急峻に大きくなり、その後、時間t1に至るまで経時的に電流ICの絶対値が大きくなる。また、時間t0から時間t1の間は、図2(e)と図2(c)にそれぞれ示すように、第2出力端子39に流れる電流IEは、第2入力端子37に流れる電流ICと等しくなる。また、第1チョークコイル23は第2スイッチ27を介してグランドに接続されているので、図2(d)に示すように、第1入力端子17に流れる電流IDは正方向(充電方向)に経時的に大きくなる。なお、この時点では第1スイッチ25がオフなので、図2(b)に示すように第1出力端子15には電流IBが流れず、0となる。
【0036】
次に、時間t1で制御回路55は第4スイッチ43をオフに、第5スイッチ45をオンにする。これにより、図2(c)に示すように、第2入力端子37に流れる電流ICは0になる。なお、図2(b)に示すように、第1出力端子15に流れる電流IBは、第1スイッチ25がオフのままなので、引き続き0を維持する。
【0037】
また、図2(e)に示すように、第2出力端子39の電流IEは負方向(放電方向)に流れ、その絶対値は時間t1から時間t2で経時的に小さくなる。一方、図2(d)に示すように、第1入力端子17の電流IDは正方向(充電方向)に流れ、その絶対値は引き続き経時的に大きくなる。
【0038】
次に、時間t2で、制御回路55は、第1スイッチ25をオンに、第2スイッチ27をオフにする。その結果、図2(b)に示すように第1出力端子15に流れる電流IBは正方向に急峻に大きくなり、その後、時間t3に至るまで蓄電部11への充電とともに経時的に電流IBが小さくなる。従って、図2(d)に示すように、第1入力端子17に流れる電流IDも正方向で、経時的に小さくなる。また、図2(e)に示すように、第2出力端子39に流れる電流IEは負方向で、その絶対値も経時的に小さくなる。なお、この時点では第4スイッチ43がオフなので、図2(c)に示すように第2入力端子37には電流ICが流れず、0のままとなる。
【0039】
次に、時間t3で制御回路55は第1スイッチ25をオフに、第2スイッチ27をオンにする。この状態は前記した時間t1から時間t2と同じであるので、図2(b)、(c)に示すように、第1出力端子15に流れる電流IBと第2入出力端子37に流れる電流ICがそれぞれ0になる。また、時間t3から時間t4では、図2(d)に示すように、第1入力端子17の電流IDは正方向に流れ、その絶対値は経時的に大きくなり、図2(e)に示すように、第2出力端子39の電流IEは負方向に流れ、その絶対値は経時的に小さくなる。
【0040】
以上に述べた時間t4までで1周期分の動作が終了する。従って、時間t4以降は、時間t0以降と同じ動作になるので、以後の説明を省略する。
【0041】
このように動作した時の、蓄電部11に流れる電流IA(図1のA点における電流)を図2(a)に示す。蓄電部11に流れる電流IAは、図2(b)の第1出力端子15に流れる電流IBと、図2(c)の第2入出力端子37に流れる電流ICを合成した波形となる。ここで、電流IBと電流ICの波形(動作波形)の位相が180度ずれるように動作させているので、両者の合成波形は電流IBと電流ICが交互に流れる波形となる。従って、蓄電部11は、第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35におけるオンオフのスイッチング周波数の2倍の周波数で充放電が繰り返し行われることになり、蓄電部11の内部抵抗と充放電電流に応じて昇温が行われる。
【0042】
一方、この時の主電源58と蓄電装置19の間の電流、すなわち入出力端子21の電流IFを図2(f)に示す。電流IFは、図2(d)の第1入力端子17の電流IDと図2(e)の第2出力端子39の電流IEの合成波形となる。ゆえに、電流IDと電流IEは、それぞれ正の値、および負の値を持つため相殺され、図2(f)に示すように、0を中心に僅かに正負に電流IFが流れるだけとなる。従って、第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35で蓄電部11の充放電を繰り返す動作を行っても、主電源58との電流IFはほとんど流れないことになる。ゆえに、蓄電部11の昇温のために、主電源58から不要不急の電力を持ち出したり発電機63を駆動する必要がほとんどなくなり、高効率に蓄電部11を昇温することが可能となる。
【0043】
その後、制御回路55は蓄電部11の温度Tが既定温度Trに至るまで、上記した蓄電部11の昇温動作を繰り返す。温度Tが既定温度Trに至れば、制御回路55は昇温動作を停止するとともに、第3スイッチ33と第6スイッチ51をオンにして平滑コンデンサ31、47が機能するように制御した後、前記した回生電力の回収等の通常動作を行う。
【0044】
なお、前記したように、蓄電部11には昇温のために主電源58の電圧Vbよりも高い電圧まで初期充電されているが、これは蓄電装置19の通常動作を行う際に不要であれば、温度Tが既定温度Trに至った時に、制御回路55が第1DC/DCコンバータ13、または第2DC/DCコンバータ35により、蓄電部11の電力を放電するようにすればよい。この際、この放電電流を主電源58や負荷60に供給することで、電力の無駄を低減できる。ここで、初期充電電力が蓄電装置19の通常動作の際に不要となる場合として、本実施の形態で述べた蓄電装置19による回生システムが挙げられる。すなわち、電力の回生をできるだけ効率よく行うためには、制動時に蓄電部11に蓄えられている電力を最低限度としておく方がよい。これにより、できるだけ多くの回生電力を充電することができる。
【0045】
また、上記した蓄電部11の昇温は、第1DC/DCコンバータ13の動作波形の位相と、第2DC/DCコンバータ35の動作波形の位相が180度ずれるように動作させることにより行っているが、180度よりも小さくなると昇温に要する時間が長くなり、0度(位相が一致)になると、ほとんど昇温できなくなる。この詳細について、位相が一致した場合を例に説明する。
【0046】
図3(a)〜(f)は位相が一致している時の各部の電流における経時変化を示したもので、縦軸、および横軸の意味はそれぞれ図2(a)〜(f)と同じである。
【0047】
まず、図2で説明した動作と同様に、第1DC/DCコンバータ13は充電方向に、第2DC/DCコンバータ35は放電方向に制御される。具体的には、図3の時間t10において、第1スイッチ25と第4スイッチ43をオンに、第2スイッチ27と第5スイッチ45をオフにする。その結果、第1DC/DCコンバータ13の動作波形の位相と、第2DC/DCコンバータ35の動作波形の位相が一致する。これにより、図3(c)に示すように第2入力端子37に流れる電流ICは負方向に急峻に大きくなり、その後、時間t10から時間t11に至るまで経時的に電流ICの絶対値が大きくなる。この動作は図2(c)と同じである。一方、図3(b)に示すように第1出力端子15に流れる電流IBは、時間t10から時間t11に至るまで経時的に電流ICの絶対値が小さくなる。従って、両者を合成した電流波形、すなわち、蓄電部11における電流IAの波形は、図3(a)の時間t10から時間t11に示すように、電流IBと電流ICが相殺するので、0を中心に僅かに上下するのみとなる。なお、この時、第2出力端子39の電流IEは、図3(e)に示すように負方向に流れ、第1入力端子17の電流IDは、図3(d)に示すように正方向に流れる。ゆえに、両者を合成した電流波形、すなわち、入出力端子21における電流IFの波形は、図3(f)の時間t10から時間t11に示すように、電流IDと電流IEが相殺するので、0を中心に僅かに上下する特性となる。
【0048】
次に、時間t11で制御回路55は第1スイッチ25と第4スイッチ43をオフに、第2スイッチ27と第5スイッチ45をオンにする。これにより、図3(b)、(c)に示すように、第1出力端子15に流れる電流IBと第2入力端子37に流れる電流ICは、それぞれ0になる。従って、両者を合成した蓄電部11の電流IAは、図3(a)に示すように0となる。この時、第1チョークコイル23と第2チョークコイル41は、時間t11で第2スイッチ27と第5スイッチ45がオンになったことにより、一端がグランドに、他端が主電源58に接続された状態となる。その結果、図3(e)に示すように、第2出力端子39の電流IEは負方向(放電方向)に流れ、その絶対値は時間t11から時間t14で経時的に小さくなる。一方、図3(d)に示すように、第1入力端子17の電流IDは正方向(充電方向)に流れ、その絶対値は経時的に大きくなる。これらのことから、入出力端子21における電流IFの波形は、電流IDと電流IEが相殺するので、図3(f)の時間t11から時間t14に示すように、0を中心に僅かに上下する特性となる。
【0049】
次に、時間t14は時間t10と同じ状態であるので、以後、時間t10から時間t14の動作を繰り返すことになる。従って、図3(f)に示すように、主電源58との電流IFがほとんど流れないと同時に、図3(a)に示すように、蓄電部11の電流IAもほとんど流れない。よって、位相が一致している時は、第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35の間で電流が巡回するだけとなり、蓄電部11をほとんど昇温できない。これらのことから、位相は180度ずれている場合が、最も効率よく蓄電部11を昇温できることになる。ゆえに、位相のずれは動作誤差範囲内で180度とすればよい。
【0050】
また、制御回路55は、蓄電部11の昇温時に劣化判断を行うとともに、蓄電装置19の通常動作時において、もし温度Tが既定温度Trより低くなれば、蓄電部11を昇温する動作を再び行っている。これらの動作の詳細について、図4を参照しながら説明する。
【0051】
図4は蓄電部11の温度Tにおける経時特性を示したもので、横軸は時間を、縦軸は温度Tをそれぞれ示す。まず、時間t20で蓄電装置19の使用を開始したとする。これにより、制御回路55は蓄電部11の初期温度T0を検出する。初期温度T0は図4に示すように、既定温度Trに比べて低いので、制御回路55は第1DC/DCコンバータ13と第2DC/DCコンバータ35に対し、前記した図2に示す制御を行うことで、蓄電部11を昇温する。その結果、蓄電部11の温度Tは経時的に上昇していく。
【0052】
ここで、蓄電部11の状態により、昇温特性が異なる。すなわち、図4の太点線に示すように、蓄電部11が新品時であれば昇温速度が遅く、太実線に示すように、蓄電部11が劣化限界時(これ以上劣化すれば蓄電装置19として使用できない限界状態)であれば昇温速度が速くなる。これは、蓄電部11の劣化が進行するとともに内部抵抗値が大きくなり、蓄電部11に図2(a)の電流IAを流した時、その分、発熱量が大きくなるためである。ゆえに、昇温速度は蓄電部11の劣化とともに大きくなるので、昇温速度を求めることにより蓄電部11の劣化を判断することができる。その具体的な動作を以下に説明する。
【0053】
まず、制御回路55は初期温度T0を内蔵メモリに記憶した後、蓄電部11の昇温動作を行う。その後、制御回路55は蓄電部11の温度Tが既定温度Trに至った時間を求める。これは、図4において、蓄電部11が劣化限界時には時間t21、新品時は時間t22であったとする。この時点で制御回路55は蓄電部11の昇温動作を停止し通常動作を行うとともに、初期温度T0から既定温度Trに至るまでの時間tから昇温速度として温度変化率ΔTを求める。すなわち、蓄電部11が新品時は時間tがt=t22−t20となるので、温度変化率ΔTは、ΔT=(Tr−T0)/(t22−t20)より求められる。また、蓄電部11が劣化限界時は時間tがt=t21−t20となるので、温度変化率ΔTは、ΔT=(Tr−T0)/(t21−t20)より求められる。
【0054】
なお、昇温速度は時間t20における温度上昇特性の微分値から求められるのであるが、計算が煩雑になるため、本実施の形態では昇温速度を反映した温度変化率ΔTを求めている。
【0055】
次に、制御回路55は、求めた温度変化率ΔTが既定温度変化率ΔTrより大きければ、蓄電部11が劣化していると判断する。この場合は、制御回路55は車両側制御回路(図示せず)に対して蓄電部11が劣化していることをデータ信号dataにより送信する。これを受け、車両側制御回路は蓄電部11の劣化を運転者に警告し修理を促す。この際、これ以上蓄電部11が劣化しないように、車両側制御回路が蓄電装置19の動作を停止し、制動時の電力の回生を行わないようにしてもよい。
【0056】
ここで、既定温度変化率ΔTrの決定方法について説明する。既定温度Trは後述するように、あらかじめ決定されているので、図4より明らかなように、温度変化率ΔTは蓄電部11の劣化程度だけでなく、初期温度T0によっても変化する。そこで、劣化限界に至った蓄電部11を用いて、様々な初期温度T0における既定温度Trまでの昇温時間から、初期温度T0に応じて温度変化率ΔTを求め、これらを既定温度変化率ΔTrとしてあらかじめメモリに記憶しておく。これにより、初期温度T0が異なっても、それに応じて決定された既定温度変化率ΔTrと、実測した温度変化率ΔTとを比較することで、より正確な劣化判断が可能となる。
【0057】
次に、既定温度Trの決定方法について説明する。図4に示したように、蓄電部11の温度Tが既定温度Trに至ると同時に、制御回路55が昇温を停止したとしても、蓄電部11の熱容量により、温度Tの上昇はすぐに止まらず、ある程度のオーバーシュートが発生する。そのオーバーシュート幅は温度変化率ΔTが大きいほど、すなわち劣化が進行するほど大きくなる。ゆえに、オーバーシュート幅は劣化限界時に最大となる。このことから、既定温度Trは、図4に示すように、蓄電部11が劣化していると判断される際(劣化限界時)にオーバーシュートにより到達する最大温度Tmが、蓄電部11の使用可能最大温度Tmuを超えないように、あらかじめ決定されている。この決定方法は、具体的には次のように行う。
【0058】
図4において、もし既定温度Trが最大温度Tmに近い値として決定すれば、蓄電部11が劣化限界時の場合に、最大温度Tmが使用可能最大温度Tmuを超えてしまう可能性がある。そこで、劣化限界に至った蓄電部11を用いて、オーバーシュート幅が最大となる状態、すなわち初期温度T0が最も低い状態から昇温を行った時に、昇温を停止する温度(既定温度Tr)を様々に変えた際の最大温度Tmを求める。一方、使用可能最大温度Tmuは蓄電部11に使用する電気二重層キャパシタの特性によって決まっている。従って、最大温度Tmが使用可能最大温度Tmuを超えないようにするための既定温度Trを実験的に求めることができる。こうして決定した既定温度Trは、制御回路55の内蔵メモリに記憶されている。なお、実際には温度計測の誤差等を考慮して、図4に示すように最大温度Tmが使用可能最大温度Tmuよりある程度のマージン分、低くなるように既定温度Trを決定している。これにより、蓄電部11の温度Tが使用可能最大温度Tmuを超えることによる急速な劣化進行を避けることが可能となる。
【0059】
蓄電部11が既定温度Trに至り昇温動作を停止した後は、蓄電装置19が通常動作を行っているので、オーバーシュートによる昇温があるものの、回生電力の充放電により蓄電部11の温度Tは昇降温を繰り返す。しかし、例えば高速道路を巡航している場合のように、制動操作がほとんどないため充放電が行われない時は、図4の時間t21以降や時間t22以降に示すように、蓄電部11の温度Tは経時的に低下していく。そこで、制御回路55は、蓄電部11が充放電動作を行っていない場合に、既定時間(例えば10分)毎に蓄電部11の温度Tを温度センサ52により検出し、もし温度Tが既定温度Trより低ければ、蓄電部11の昇温動作を行うようにしている。
【0060】
具体的には、例えば蓄電部11が新品状態の時は、図4の太点線に示すように、蓄電部11の温度Tが既定温度Trに至った時間t22から既定時間が経過した時間t24において、蓄電部11が充放電動作を行っていなければ、蓄電部11の温度Tを検出する。これは既定温度Trより低いので、蓄電部11の昇温動作を行う。これにより、蓄電部11の温度Tは時間t24以降で上昇し、既定温度Trに至れば昇温動作を停止する。その結果、オーバーシュートを経て再び降温するので、制御回路55は時間t24から既定時間が経過した時間t26で再び時間t24と同じ動作を行う。これにより、時間t24、t26、t28・・・で周期的に昇温動作が行われるので、蓄電部11が充電できる回生電力量を高く保つことが可能となる。
【0061】
同様に、劣化限界時においても、図4の太実線に示すように、時間t21から既定時間(新品時と同じ10分)が経過した時間t23において、蓄電部11が充放電動作を行っていなければ、蓄電部11の温度Tを検出する。この時は、温度Tが既定温度Tr以上であるので、昇温動作は行われない。その後、さらに既定時間が経過した時間t25において、再び蓄電部11の温度Tを検出する。この時は、温度Tが既定温度Trより低いので、制御回路55は昇温動作を行う。これにより、蓄電部11の温度Tは時間t25以降で上昇し、既定温度Trに至れば昇温動作を停止する。その結果、オーバーシュートを経て再び降温するので、制御回路55は時間t25から既定時間が経過した時間t27で再び時間t25と同じ動作を行う。これにより、時間t25、t27・・・で周期的に昇温動作が行われるので、蓄電部11が劣化限界時であっても、充電できる回生電力量を高く保つことが可能となる。
【0062】
このように、主電源58からの電力の持ち出しや発電機63の駆動を抑制した状態で、効率的に、かつ周期的に昇温動作を行うことができるので、回生電力量が高く保たれることも相まって、車両全体としての効率向上を図ることが可能となる。
【0063】
以上の構成、動作により、蓄電部11に充電された電力を第2DC/DCコンバータ35で放電し、その電力を第1DC/DCコンバータ13で蓄電部11に充電する動作を繰り返すように両者の動作波形の位相を180度ずらして設定しているので、蓄電部11の電力により自らが充放電され、その時の電流と蓄電部11の内部抵抗により蓄電部11が昇温される結果、高効率に蓄電部11を昇温することができる蓄電装置19が実現できる。
【0064】
なお、本実施の形態では、蓄電部11に電気二重層キャパシタを用いたが、これは電気化学キャパシタ等の他のキャパシタでもよい。但し、蓄電部11に例えば二次電池を用いた場合は、充放電に時間がかかるため、本実施の形態のように充放電を高速に繰り返す場合は十分に昇温することができなくなる可能性がある。従って、本実施の形態における蓄電部11としては、高速充放電が可能なキャパシタが適する。
【0065】
また、本実施の形態において蓄電装置19を車両の回生システムに適用した場合について述べたが、それらに限らず、ハイブリッド車や、アイドリングストップ、電動パワーステアリング、車両制動システム、電動過給器等の各システムにおける車両用補助電源等にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明にかかる車両用電源装置は、高効率に蓄電部を昇温することができるので、特に蓄電部に電力を蓄え、必要な時に放電する車両用の蓄電装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態における蓄電装置のブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態における蓄電装置の第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が180度ずれるように動作させた場合の各部電流の経時特性図であり、(a)は蓄電部の電流経時特性図、(b)は第1出力端子の電流経時特性図、(c)は第2入力端子の電流経時特性図、(d)は第1入力端子の電流経時特性図、(e)は第2出力端子の電流経時特性図、(f)は入出力端子の電流経時特性図
【図3】本発明の実施の形態における蓄電装置の第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が一致するように動作させた場合の各部電流の経時特性図であり、(a)は蓄電部の電流経時特性図、(b)は第1出力端子の電流経時特性図、(c)は第2入力端子の電流経時特性図、(d)は第1入力端子の電流経時特性図、(e)は第2出力端子の電流経時特性図、(f)は入出力端子の電流経時特性図
【図4】本発明の実施の形態における蓄電装置の昇温時の温度経時特性図
【図5】従来のバッテリ制御装置のブロック構成図
【符号の説明】
【0068】
11 蓄電部
13 第1DC/DCコンバータ
19 蓄電装置
21 入出力端子
35 第2DC/DCコンバータ
52 温度センサ
53 入出力端子電圧検出回路
54 蓄電部電圧検出回路
55 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部と、
前記蓄電部に一端が接続された第1DC/DCコンバータと、
前記第1DC/DCコンバータの他端に接続された入出力端子と、
前記蓄電部と前記入出力端子の間に、前記第1DC/DCコンバータと並列接続された第2DC/DCコンバータと、
前記蓄電部に配された温度センサと、
前記入出力端子に接続された入出力端子電圧検出回路と、
前記蓄電部に接続された蓄電部電圧検出回路と、
前記第1DC/DCコンバータ、第2DC/DCコンバータ、温度センサ、入出力端子電圧検出回路、および蓄電部電圧検出回路に接続された制御回路とからなり、
前記制御回路は、前記温度センサから得られる温度(T)が既定温度(Tr)より低ければ、
前記蓄電部電圧検出回路から得られる前記蓄電部の電圧(Vc)が前記入出力端子電圧検出回路から得られる前記入出力端子における入出力電圧(Vb)以下の場合は、前記第1DC/DCコンバータ、または前記第2DC/DCコンバータにより、前記蓄電部を前記入出力電圧(Vb)より高い電圧まで初期充電した状態とし、
前記蓄電部の電圧(Vc)が前記入出力電圧(Vb)より高い場合は、前記初期充電を行わない状態として、
前記第1DC/DCコンバータが前記蓄電部に電力を充電するように、前記第2DC/DCコンバータが前記蓄電部から電力を放電するように、それぞれ制御するとともに、
前記第1DC/DCコンバータの動作波形の位相と、前記第2DC/DCコンバータの動作波形の位相が180度ずれるように動作させることにより、前記温度(T)が前記既定温度(Tr)に至るまで前記蓄電部を昇温するようにした蓄電装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記温度(T)が前記既定温度(Tr)に至れば、前記第1DC/DCコンバータ、または前記第2DC/DCコンバータにより、前記蓄電部を放電するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記温度(T)が前記既定温度(Tr)より低い場合に、前記温度(T)が初期温度(T0)から前記既定温度(Tr)に至るまでの時間(t)から温度変化率(ΔT)を求め、
前記温度変化率(ΔT)が、前記初期温度(T0)に応じてあらかじめ決定した既定温度変化率(ΔTr)より大きければ、前記蓄電部が劣化していると判断するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記既定温度(Tr)は、前記蓄電部が劣化していると判断される際に到達する最大温度(Tm)が、前記蓄電部の使用可能最大温度(Tmu)を超えないように、あらかじめ決定された請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記蓄電部が充放電動作を行っていない場合に、既定時間毎に前記蓄電部の温度(T)を前記温度センサにより検出し、
前記温度(T)が前記既定温度(Tr)より低ければ、前記蓄電部を昇温するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電部はキャパシタで構成された請求項1に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−219180(P2009−219180A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57446(P2008−57446)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】