説明

薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法及び有機電界発光表示装置

【課題】チャネル領域における結晶粒のサイズを大きくし、エッチング工程時に半導体層のチャネル領域を効率的に保護することができ、工程コストを節減することのできる薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】本発明の薄膜トランジスタは、基板100と、基板上に位置するゲート電極120と、ゲート電極上に位置するゲート絶縁膜130と、ゲート絶縁膜上に位置し、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を含む半導体層パターン165と、半導体層パターンのチャネル領域上に位置し、20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターン150と、半導体層パターンのソース/ドレイン領域上に位置するソース/ドレイン電極181、182とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法及び有機電界発光表示装置に関し、特に、エッチング阻止層パターンを形成して非晶質シリコン層をレーザで結晶化することにより、チャネル領域の結晶粒のサイズを大きくすることができるとともに、エッチング工程時に半導体層のチャネル領域を効率的に保護することができ、さらに工程コストを節減することのできる薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多結晶シリコン層は高い電界効果移動度と高速動作回路に適用することができ、CMOS回路構成が可能となる長所を有し、薄膜トランジスタにおける半導体層の用途として広く用いられている。このような多結晶シリコン層を用いた薄膜トランジスタは、主に能動行列液晶ディスプレイ装置(AMLCD)の能動素子、能動行列有機電界発光素子(AMOLED)のスイッチング素子及び駆動素子として用いられている。
【0003】
前記ディスプレイ装置に用いられている薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタとボトムゲート型薄膜トランジスタとに分類される。前記ボトムゲート型薄膜トランジスタでは、半導体層上にドーピングされた非晶質シリコン層やソース/ドレイン電極などが直接形成されているが、ドーピングされた非晶質シリコン層やソース/ドレイン電極パターン時にエッチングマージン(etch margin)によって下部の半導体層が損傷することもあるので、半導体層を厚く形成しなければならない。ところが、半導体層の厚さが厚くなると、生産コストが増加するとともに、厚くなったことによってゲート漏洩電流(gate leakage)が発生するという短所がある。
【0004】
このような短所を解決するために、半導体層においてチャネル領域が形成されている領域上にエッチング阻止層パターン(etch stop layer pattern)を形成することができる。このエッチング阻止層パターンを導入する場合には一般的に半導体層パターンを形成した後にエッチング阻止層をパターンするが、この場合にはエッチング阻止層パターンによって従来工程よりもマスク工程数が1工程増加するという問題点がある。
【0005】
また、ボトムゲート型薄膜トランジスタの半導体層に用いられている多結晶シリコン層は、非晶質シリコン層にエキシマレーザ(Excimer laser)を照射して非晶質シリコン層を結晶化することによって形成されている。この場合に、エッチング阻止層パターンの形成前に非晶質シリコン層にエキシマレーザを照射して結晶化を先に進行させることになるが、非晶質シリコン層が結晶化する間に大きな結晶粒を形成するための高い温度を維持することが困難になる。そして、エキシマレーザはガスソースを使用するので、工程ごとに均一性を確保することが困難であるとされており、装備管理及び使用ソースなどに多くの費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−019527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、エッチング阻止層パターンを形成して非晶質シリコン層を連続波の固体レーザによって結晶化することにより、チャネル領域の結晶粒のサイズを大きくすることができ、エッチング工程時に半導体層のチャネル領域を効率的に保護することができ、工程コストを節減することができる薄膜トランジスタ、その製造方法及び有機電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板と、前記基板上に位置するゲート電極と、前記ゲート電極上に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置し、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を含む半導体層パターンと、前記半導体層パターンのチャネル領域上に位置し、20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンと、前記半導体層パターンのソース/ドレイン領域上に位置するソース/ドレイン電極とを含むことを特徴とする薄膜トランジスタを提供する。
【0009】
また、本発明は、基板を提供する段階と、前記基板上にゲート電極を形成する段階と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、前記非晶質シリコン層の所定領域上に20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンを形成する段階と、前記基板全面にレーザを照射して前記非晶質シリコン層を結晶化することによって多結晶シリコン層としてチャネル領域とソース/ドレイン領域とを形成する段階と、前記エッチング阻止層パターンが形成された前記基板全面にソース/ドレイン電極用金属層を形成する段階と、前記多結晶シリコン層及び前記ソース/ドレイン電極用金属層をパターニングする段階とを含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、基板と、前記基板上に位置するゲート電極と、前記ゲート電極上に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置し、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を含む半導体層パターンと、前記半導体層パターンのチャネル領域上に位置し、20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンと、前記半導体層パターンのソース/ドレイン領域上に位置するソース/ドレイン電極と、前記ソース/ドレイン電極に電気的に接続される第1電極と、前記第1電極上に位置する有機膜層と、前記有機膜層上に位置する第2電極とを含むことを特徴とする有機電界発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、エッチング阻止層パターンを形成して非晶質シリコン層を連続波の固体レーザによって結晶化することにより、チャネル領域の結晶粒のサイズを大きくすることができるとともに、エッチング工程時に半導体層のチャネル領域を効率的に保護することができ、さらに工程コストを節減することができる薄膜トランジスタ、その製造方法及び有機電界発光表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図1C】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図1D】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【図2】エッチング阻止層パターンを形成しない場合とエッチング阻止層パターンを50、70、200及び350nmの厚さで形成した場合におけるレーザ波長(nm)に対するエッチング阻止層パターンの反射率(%)を示すグラフである。
【図3】非晶質シリコン層にレーザを照射した場合に、エッチング阻止層パターンが形成されない領域とエッチング阻止層パターンが形成された領域とにおける非晶質シリコン層内の温度分布を示すグラフである。
【図4A】本発明の実施形態により形成された多結晶シリコン層を示すSEMイメージである。
【図4B】本発明の実施形態により形成された多結晶シリコン層を示すSEMイメージである。
【図5】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるわけではなく、他の形態で具体化することも可能である。
【0014】
図1Aないし図1Dは、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【0015】
まず、図1Aに示すように、ガラスまたはプラスチックのような基板100上にバッファ層110を形成する。このバッファ層110は化学的気相蒸着(Chemical Vapor Deposition)法または物理的気相蒸着(Physical Vapor Deposition)法を用いてシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような絶縁膜を用いて単層またはこれらの複層で形成される。このとき、バッファ層110は基板100から発生する水分または不純物の拡散を防止したり、結晶化時の熱伝達速度を調節したりすることにより、非晶質シリコン層の結晶化が良好に形成されるようにする。
【0016】
次に、バッファ層110上にアルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金の単一層や、クロム(Cr)またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が積層された多重層のゲート電極用金属層(図示せず)を形成してフォトエッチング工程でゲート電極用金属層をエッチングし、引き続いて形成される半導体層のチャネル領域と対応する部分にゲート電極120を形成する。
【0017】
次に、ゲート電極120上にゲート絶縁膜130を形成する。ここで、ゲート絶縁膜130はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはこれらの二重層として形成することができる。
【0018】
次いで、図1Bに示すように、ゲート絶縁膜130上に非晶質シリコン層140を形成する。このとき、非晶質シリコン層140は化学的気相蒸着法または物理的気相蒸着法を用いることができる。
【0019】
続いて、非晶質シリコン層140上に、エッチング阻止層パターン150を形成する。このエッチング阻止層パターン150は20ないし60nmの厚さで形成する。エッチング阻止層パターン150はシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で形成することができ、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を蒸着してから、フォトエッチング工程でシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜をエッチングして形成することができる。ここで、エッチング阻止層パターン150は半導体層のチャネル領域に対応するように形成する。
【0020】
続いて、図1Cに示すように、図1Bの非晶質シリコン層140上にレーザを照射して非晶質シリコン層140を多結晶シリコン層(図1Cの160)として結晶化する。レーザとしては連続波(continuous wave)固体レーザを用いることが好ましい。エキシマレーザはガスソースを用いるので、工程ごとに均一性を確保することが難しく、装備管理及び使用ソースなどに多くのコストがかかる。その反面、連続波固体レーザの場合には、使用ソースが固体なので半永久的に使用することができ、装備管理及び維持コストの面からエキシマレーザに比べてさらに安価である。また、連続波固体レーザはエキシマレーザに比べてエネルギーが高いので、結晶化された多結晶シリコン層の結晶粒サイズがより大きくなる。そして、連続波固体レーザを用いる場合にはレーザ照射方向によってグレーンを成長させることができるというメリットがある。したがって、連続波固体レーザを照射する場合は、半導体層のチャネルが形成される方向、すなわち半導体層のソース領域とドレイン領域とを連結する線と平行な方向にレーザを照射することが好ましい。
【0021】
連続波固体レーザは、固体ソースとしてND:YVOを用いることができ、500ないし550nmの波長を有する緑色のレーザを用いることができる。連続波固体レーザを7ないし10Wの出力で100ないし300mm/sの照射速度で照射することができる。
【0022】
図2はエッチング阻止層パターン150を形成しない場合及びエッチング阻止層パターン150を50、70、200及び350nmの厚さで形成した場合に、レーザの波長nmによるエッチング阻止層パターン150の反射率%を示したグラフである。このグラフは、シリコン窒化膜に形成されたエッチング阻止層パターンに対するグラフや、シリコン酸化膜の場合にも類似した傾向がある。
【0023】
図2に示すように、レーザの波長500ないし550nmの範囲では、エッチング阻止層パターン150の厚さが70nmの場合に反射率%が最も低いことが分かる。すなわち反射率が最小となる最小厚さは70nmであることが分かる。
【0024】
この結果に基づいて、エッチング阻止層パターン150を形成しない場合及びエッチング阻止層パターン150を50、70、200及び350nmの厚さで形成し、非晶質シリコン層140に連続波固体レーザを照射して結晶化を行った場合を比較すると、結晶化された多結晶シリコン層では結晶粒サイズが反射率に反比例する傾向がある。すなわち、反射率が低くなると、エッチング阻止層パターン150がレーザから照射された熱を多く保有するので、下部に位置する多結晶シリコン層の結晶粒サイズは大きくなる。一方で反射率が高くなると、エッチング阻止層パターン150はレーザから照射された熱を少ししか保有しないので、下部に位置する多結晶シリコン層の結晶粒サイズは小さくなる傾向がある。
【0025】
しかし、70nmの厚さの場合に反射率が最小となるが、それによって非晶質シリコン層140が多くのレーザを吸収し、非晶質シリコン層140がむしろ損傷を受けることになる。したがって、好ましいエッチング阻止層パターン150の厚さは、非晶質シリコン層140が損傷を受けない程度の適切な反射率を有することができる厚さであり、例えば5ないし20%程度の反射率を有する厚さである。さらに、この反射率の範囲における厚さの最小範囲は20ないし60nmである。
【0026】
本発明では、エッチング阻止層パターン150を形成した後に、非晶質シリコン層140上にレーザを照射して非晶質シリコン層140を結晶化する。
【0027】
図3は、非晶質シリコン層140にレーザが照射される場合に、エッチング阻止層パターン150が形成されない領域aと、エッチング阻止層パターン150が形成される領域bとにおける非晶質シリコン層140内の温度分布を示すグラフである。
【0028】
図3に示すように、エッチング阻止層パターン150が形成されない領域a、すなわち半導体層パターンのソース/ドレイン領域に相当する領域では、非晶質シリコン層140は部分的な溶融が起きる温度に到逹する。この温度で結晶化された多結晶シリコン層は0.5ないし2μmの大きさの結晶粒を有する。
【0029】
一方、エッチング阻止層パターン150が形成された領域b、すなわち半導体層パターンのチャネル領域に相当する領域では、エッチング阻止層パターン150がレーザで照射される熱を保有する役割をすることにより、非晶質シリコン層140は完全な溶融が起きる温度以上の高い温度に到逹することができる。この温度で結晶化された多結晶シリコン層の結晶粒サイズはa領域の結晶粒サイズの2倍以上の大きさとなる1ないし10μmの大きさを有する。このとき、結晶粒サイズはエッチング阻止層パターン150の厚さに従って変更することができるが、エッチング阻止層パターン150が20ないし40nm未満の厚さの場合には1ないし5μm未満の結晶粒の大きさにすることができ、40nmないし60nmの厚さの場合には5ないし10μmの結晶粒のサイズにすることができる。
【0030】
結晶粒サイズが5ないし10μmである場合には、一つの結晶粒内にチャネル領域を形成するのに十分な大きさである。すなわち、チャネル領域に結晶粒境界が含まれないようにチャネル領域を形成することができる。したがって、エッチング阻止層パターン150を40ないし60nmの厚さで形成することが薄膜トランジスタの特性を向上させるのに最も好ましい。
【0031】
図4A及び図4Bは本発明の実施形態によって形成された多結晶シリコン層を示すSEMイメージである。レーザとしては532nmの波長を有し、ND:YVOの固体ソースを用いる緑色連続波固体レーザを用い、出力は7.5W、照射速度は100mm/sであって、照射方向は右から左に照射した。
【0032】
図4Aはエッチング阻止層パターン150を30nmの厚さで形成した場合であるが、非晶質シリコン層140上部にエッチング阻止層パターン150が形成されない領域(1)での結晶粒サイズは0.5μm程度であるのに対して、上部にエッチング阻止層パターン150が形成された領域(2)での結晶粒サイズは2μmであることを確認することができる。
【0033】
また、図4Bはエッチング阻止層パターン150を50nmの厚さで形成した場合であるが、非晶質シリコン層140上部にエッチング阻止層パターン150が形成されない領域(1)での結晶粒サイズは0.5μm程度であるのに対して、上部にエッチング阻止層パターン150が形成された領域(2)での結晶粒のサイズは8μmであることを確認することができる。
【0034】
また、図4A及び図4Bに示すように、エッチング阻止層パターン150が形成された領域(2)において結晶粒がレーザの照射方向と同様に、右から左方向に成長していることを確認することができる。
【0035】
また、本発明では、エッチング阻止層パターン150を形成した後に、非晶質シリコン層140上にレーザを照射して非晶質シリコン層140を結晶化することにより、エッチング阻止層パターン150にもレーザが照射される。エッチング阻止層パターン150にレーザが照射されると、エッチング阻止層パターン150のすべての部分が硬化して、後続するエッチング工程時にプラズマを用いた乾式エッチングやエッチング液を用いた湿式エッチングによってエッチングしても、ほとんどエッチングされないような性質に変更される(例えば、レーザが照射される前のエッチング阻止層パターンは、NHF:HFが6:1に混合されたエッチング溶液に対してエッチング比が200nm/分程度であるが、レーザが照射された後のエッチング阻止層パターンのエッチング溶液に対するエッチング比は0ないし10nm/分以下の非常に少ないエッチング比を有することになる。)。したがって、エッチング阻止層パターン150を形成した後にレーザを照射する場合には、エッチング阻止層パターン150がエッチング工程においてほとんどエッチングされない性質を有するように変更されて、後続するエッチング工程時に効率的に半導体層を保護することができる。
【0036】
続いて、図1Cに示すように、エッチング阻止層パターン150が形成された基板100全面に、n型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層170を形成する。このとき、n型不純物としてはリン(P)が好ましく、p型不純物としてはホウ素(B)が好ましい。
【0037】
続いて、図1Dに示すように、多結晶シリコン層160及びドーピングされた非晶質シリコン層170をパターニングして多結晶シリコン層160を半導体層パターン165に形成し、ドーピングされた非晶質シリコン層170をn型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層パターン175として形成する。本発明では、多結晶シリコン層160とドーピングされた非晶質シリコン層170を、一つのマスクを用いてパターン形成することにより、多結晶シリコン層160とドーピングされた非晶質シリコン層170を別にパターニングする従来の場合と比べてマスク工程を一つ減らすことができ、これによってエッチング阻止層パターン150を形成してもエッチング阻止層パターン150を形成しない場合と比べてマスク工程の数は増えないようにしている。
【0038】
図3及び図4と、これに係る説明で示したように、半導体層パターン165内において、エッチング阻止層パターン150が形成されていない領域に対応する領域、すなわちソース及びドレイン領域165b、165cの結晶粒サイズは0.5ないし2μmであり、エッチング阻止層パターン150が形成された領域に対応する領域、すなわちチャネル領域165aの結晶粒サイズは1ないし10μmである。エッチング阻止層パターン150が40ないし60nmの厚さの場合には、チャネル領域165aの結晶粒サイズは5ないし10μmとすることができ、このとき、チャネル領域165a内には結晶粒境界が存在しないようにすることができる。また、チャネル領域165aにおいて、ソース領域165bとドレイン領域165cとを連結する線と平行な方向に結晶粒が成長するようにレーザを照射することが好ましい。
【0039】
続いて、ドーピングされた非晶質シリコン層パターン175上に、ソース/ドレイン領域165b、165cと接続されるソース/ドレイン電極用金属層を形成し、フォトエッチング工程によってこれをパターニングし、半導体層パターン165のソース/ドレイン領域165b、165cと電気的に接続されるソース/ドレイン電極181、182を形成する。このソース/ドレイン電極181、182はモリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−ネオジム(Al−Nd)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)、モリブデン合金(Mo alloy)、アルミニウム合金(Al alloy)及び銅合金(Cu alloy)から選択されたいずれか一つで形成することができる。
【0040】
本実施形態では、多結晶シリコン層160とドーピングされた非晶質シリコン層170を一つのマスクを用いてパターニングすることを説明したが、ドーピングされた非晶質シリコン層170を形成しない場合には、ソース/ドレイン電極用金属層を形成してから多結晶シリコン層160とソース/ドレイン電極用金属層を一つのマスクを用いてパターニングすることができる。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置の断面図である。
【0042】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタを含む基板100全面に絶縁膜500を形成する。この絶縁膜500は無機膜であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはシリゲートオンガラスから選択されたいずれか一つまたは有機膜であるポリイミドpolyimide、ベンゾサイクロブテン樹脂(benzocyclobutene series resin)またはアクリレイト(acrylate)から選択されたいずれか一つで形成することができる。また、無機膜と有機膜との積層構造で形成することもできる。
【0043】
次に、絶縁膜500をエッチングしてソースまたはドレイン電極181、182を露出させるビアホールを形成する。そして、このビアホールを介してソースまたはドレイン電極181、182のうちのいずれか一つと接続する第1電極510を形成する。この第1電極510はアノードまたはカソードで形成することができる。第1電極510がアノードの場合にはITO、IZOまたはITZOのうちのいずれか一つからなる透明導電膜で形成することができ、カソードの場合にはMg、Ca、Al、Ag、Baまたはこれらの合金を用いて形成することができる。
【0044】
続いて、第1電極510上に、第1電極510の表面一部を露出させる開口部を有する画素定義膜520を形成し、露出した第1電極510上に発光層を含む有機膜層530を形成する。この有機膜層530には正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子抑制層、電子注入層及び電子輸送層からなる群から選択される一つまたは複数の層をさらに含むことができる。続いて、有機膜層530上に第2電極540を形成する。この第2電極540は、第1電極510がアノードの場合にはカソードで形成され、第1電極510がカソードの場合にはアノードで形成される。
【符号の説明】
【0045】
100 基板
110 バッファ層
120 ゲート電極
130 ゲート絶縁膜
140 非晶質シリコン層
150 エッチング阻止層パターン
160 多結晶シリコン層
165 半導体層パターン
175 不純物がドーピングされた非晶質シリコン層
181、182 ソース/ドレイン電極
500 絶縁膜
510 第1電極
520 画素定義膜
530 有機膜層
540 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を含む半導体層パターンと、
前記半導体層パターンのチャネル領域上に位置し、20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンと、
前記半導体層パターンのソース/ドレイン領域上に位置するソース/ドレイン電極と
を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記エッチング阻止層パターンの厚さは、40ないし60nmであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体層パターンのチャネル領域における結晶粒サイズは1ないし10μmであって、前記ソース領域及びドレイン領域における結晶粒サイズは0.5ないし2μmであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記半導体層パターンのチャネル領域における結晶粒サイズは5ないし10μmであって、前記ソース領域及びドレイン領域における結晶粒サイズは0.5ないし2μmであることを特徴とする請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記チャネル領域には結晶粒の境界が存在しないことを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記半導体層パターンのチャネル領域における結晶粒は、前記ソース領域と前記ドレイン領域とを連結する線と平行な方向に成長していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記エッチング阻止層パターンは、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記エッチング阻止層パターンはNHF:HFが6:1で混合された溶液に対してエッチング比が0ないし1nm/分であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記半導体層パターンのソース及びドレイン領域と前記ソース/ドレイン電極との間に位置するn型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層パターンをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
基板を提供する段階と、
前記基板上にゲート電極を形成する段階と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、
前記非晶質シリコン層の所定領域上に20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンを形成する段階と、
前記基板全面にレーザを照射して前記非晶質シリコン層を結晶化することによって多結晶シリコン層としてチャネル領域とソース/ドレイン領域とを形成する段階と、
前記エッチング阻止層パターンが形成された前記基板全面にソース/ドレイン電極用金属層を形成する段階と、
前記多結晶シリコン層及び前記ソース/ドレイン電極用金属層をパターニングする段階と
を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記レーザは、連続波固体レーザであることを特徴とする請求項10に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記連続波固体レーザは、固体ソースとしてND:YVOを用い、500ないし550nmの波長を有する緑色連続波固体レーザであることを特徴とする請求項11に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記連続波固体レーザは、前記多結晶シリコン層のソース領域とドレイン領域とを連結する線と平行な方向に照射することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記多結晶シリコン層及び前記ソース/ドレイン電極用金属層をパターニングする際に、一つのマスクを用いてパターニングすることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記基板全面にレーザを照射して前記非晶質シリコン層を結晶化する際に、前記エッチング阻止層パターンが形成された領域の前記非晶質シリコン層の温度が、前記エッチング阻止層パターンが形成されていない領域の前記非晶質シリコン層の温度よりも高いことを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記レーザが照射された前記エッチング阻止層パターンは、NHF:HFが6:1で混合されたエッチング溶液に対してエッチング比が0ないし1nm/分であることを特徴とする請求項10乃至請求項15のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記多結晶シリコン層を形成した後に、前記エッチング阻止層パターンが形成された前記基板全面に、n型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層を形成し、前記多結晶シリコン層及び前記n型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層をパターニングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記多結晶シリコン層及び前記n型またはp型不純物がドーピングされた非晶質シリコン層をパターニングする段階では、一つのマスクを用いてパターニングすることを特徴とする請求項17に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項19】
基板と、
前記基板上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を含む半導体層パターンと、
前記半導体層パターンのチャネル領域上に位置し、20ないし60nmの厚さを有するエッチング阻止層パターンと、
前記半導体層パターンのソース/ドレイン領域上に位置するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極に電気的に接続される第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する第2電極と
を含むことを特徴とする有機電界発光表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2009−290192(P2009−290192A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12750(P2009−12750)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】