説明

薄膜トランジスタ表示板、これを含む表示装置及び液晶表示装置の製造方法

【課題】光硬化性結合部材を用いた共通電極表示板との結合が容易である薄膜トランジスタ表示板を提供する。
【解決手段】ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが設けられている基板、及び前記基板上に設けられ、外部からの信号を受信する配線部と前記配線部からの信号に応答してゲート信号を前記ゲート線に出力する回路部とを備えるゲート駆動部、を含み、前記配線部は、前記配線部に重畳する光硬化性の結合部材に光を透過させるための開口部が設けられている信号線を含み、前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜トランジスタ表示板、これを含む表示装置及び液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表示装置は、ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが具備された薄膜トランジスタ表示板と、共通電極表示板を備える表示パネルと、ゲート線にゲート信号を出力するゲート駆動部、及びデータ線にデータ信号を出力するデータ駆動部で構成される。
【0003】
ゲート駆動部及びデータ駆動部は、チップ形態で表示パネルに実装されている。ところが近来、表示装置の小型化及び生産性の増大を実現するために、ゲート駆動部を表示パネルに内蔵する構造が開発されつつある。
【0004】
表示パネルを代表する液晶表示パネルの場合、ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが具備された薄膜トランジスタ表示板と、薄膜トランジスタ表示板と対向する共通電極表示板と、薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板との間に介在された液晶層、及び薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板を結合する密封材からなる。
【0005】
ゲート駆動部が表示パネルの薄膜トランジスタ表示板に内蔵される構造では、ゲート駆動部と共通電極表示板に設けられた共通電極との間で寄生容量が発生し、この寄生容量はゲート駆動部の誤動作を誘発する。このため最近では、寄生容量を減少させるために密封材をゲート駆動部と共通電極との間に配置する構造が提示されている。
【0006】
一方、液晶表示パネルの大型化に伴い、薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板との間に液晶層を注入する方法として、液晶滴下方式の他に、薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板との間の整列の誤差を減らすため光硬化性密封材が一般に用いられている。光硬化性密封材は、光によって硬化し薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板を結合させる。この時、共通電極表示板には、ゲート駆動部が設けられた領域に対応し遮光層が形成されており、一般に光は、薄膜トランジスタ表示板の背面から入射される背面露光方式で照射される。
【0007】
しかし、下記特許文献1に示すように、密封材がゲート駆動部と共通電極との間に備わる構造において、密封材に光を提供し硬化させるとき、ゲート駆動部のため密封材に入射された光量が減少する。特に、高電流が流れる電源電圧配線のように、その線幅が100μmより大きくて照射された光の回折が弱い場合、該部分の密封材に照射される光量が減少して密封材の硬化が不完全状態となる。その結果、薄膜トランジスタ表示板と共通電極表示板の結合力が低下する。また、不完全な結合状態の密封材を通じて外部から湿気が流入し易くゲート駆動部の腐蝕が発生し、ゲート駆動部の誤動作が生じる。
【0008】
また、前記構造において、外部から流入する静電気によって信号線と連結線が短絡する現象が発生する場合、ゲート駆動部は深刻なダメージを受けることになる。更に、ゲート駆動部が集積されている構造では、ダメージの修理が不可能であるため、製品全体に対し致命的な不良を起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−52394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、光硬化性結合部材を用いた共通電極表示板との結合が容易である薄膜トランジスタ表示板及びこれを含む表示装置を提供することである。また、容易に修理を行うこともできる薄膜トランジスタ表示板及びこれを含む表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一特徴による薄膜トランジスタ表示板は、ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが設けられている基板、及び前記基板上に設けられ、外部からの信号を受信する配線部と前記配線部からの信号に応答してゲート信号を前記ゲート線に出力する回路部とを備えるゲート駆動部、を含み、前記配線部は、前記配線部に重畳する光硬化性の結合部材に光を透過させるための開口部が設けられている信号線を含み、前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む。
【0012】
本発明の一特徴による表示装置は、複数のゲート線と複数のデータ線が設けられた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板、及び前記第1基板と前記第2基板との間に介在し前記第1及び第2基板を結合する光硬化性の結合部材からなり、データ信号及びゲート信号に応答して映像を表示する表示パネル、前記複数のデータ線に前記データ信号を出力するデータ駆動部、及び前記第1基板上に設けられ、外部から複数の信号を受信する配線部、及び前記外部信号に応答して前記ゲート信号を前記複数のゲート線に出力する回路部からなるゲート駆動部、を含み、前記配線部は、前記結合部材と重畳し前記結合部材に光を透過させるための開口部が設けられている信号線を含み、前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む。
【0013】
本発明の一特徴による液晶表示装置の製造方法は、第1基板上に、重畳する光硬化性の結合部材に光を透過させるための開口部を備える信号線を含む配線部と、前記配線部からの信号によってゲート信号を生成する回路部を含むゲート駆動回路を形成する段階、第2基板上に遮光膜を形成する段階、前記第1または第2基板上に液晶を滴下する段階、前記第1または第2基板上に密封材を塗布する段階、前記第1基板と前記第2基板を整列する段階、及び前記第1基板の開口部を通じて前記密封材に光を照射する段階、を含み、前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む。
【0014】
本発明の一特徴による薄膜トランジスタ表示板は、ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが設けられている基板、及び前記基板上に設けられ、外部からの信号を受信する配線部と前記配線部からの信号に応答してゲート信号を前記ゲート線に出力する回路部とを備えるゲート駆動部、を含み、前記配線部は、開口部が設けられている信号線を含んでおり、前記開口部は一対の横辺と一対の縦辺で形成された四角形であり、前記横辺の長さと前記縦辺の長さが互いに異なり、前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光硬化性物質を含む密封材がゲート駆動部の一部分をカバーするよう第1基板と第2基板との間に介在する構造において、ゲート駆動部の信号配線には密封材を硬化するため、第1基板の背面を通じて入射された光を透過する開口部が設けられ、密封材によって第1及び第2基板間の結合力が向上される。その結果、外部から流入する湿気による腐蝕不良などを改善することができる。更に、容易に修理を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置の平面図である。
【図2】図1に示した表示装置のII-II´線による断面図である。
【図3】図1に示したゲート駆動部として用いられるシフトレジスタブロック図の一例である。
【図4】図3に示したシフトレジスタの一ステージの回路図の一例である。
【図5】本発明の一実施形態によるゲート駆動部の概略的な配置図である。
【図6】図5に示したゲート駆動部の配線部の配置図の一例である。
【図7】図6に示した配線部のVII-VII´線による断面図である。
【図8】図5に示したゲート駆動部の回路部の一部の配置図の一例である。
【図9】図8に示した配線部のIX-IX´線による断面図である。
【図10】表示領域DAの画素の配置図である。
【図11】図10に示した画素のXI-XI´線による断面図である。
【図12】図6に示した配置図において修理された状態の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に対して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。
【0018】
図面は、各種層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示している。明細書全体を通じて類似した部分については同一な図面符号を付けている。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合に限らず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“すぐ上に”あるとする時、これは中間に他の部分がない場合を意味する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による表示装置の平面図であり、図2は、図1に示した表示装置のII-II´線による断面図である。
【0020】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による表示装置600は、データ信号及びゲート信号に応答して映像を表示する表示パネル300、表示パネル300に具備され表示パネル300にデータ信号及びゲート信号をそれぞれ出力するデータ駆動部500及びゲート駆動部400を含む。
【0021】
表示パネル300は、薄膜トランジスタ表示板100、薄膜トランジスタ表示板100と対向する共通電極表示板200、薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200との間に介在する液晶層330及び密封材350を含む。
【0022】
表示パネル300は、映像を表示する表示領域DA、表示領域DAを囲むシールライン(seal line)領域SA、シールライン領域SAの外側に位置する第1周辺領域PA1、及び表示領域DAとシールライン領域SAの一部との間に設けられた第2周辺領域PA2に区画することができる。共通電極表示板200は、シールライン領域SA及びその内側に位置しており、薄膜トランジスタ表示板100は、シールライン領域SAの外側に第1周辺領域PA1まで延長されている。
【0023】
表示パネル300は、等価回路によれば、複数のゲート線GL〜GLと複数のデータ線DL〜DL、及びこれと接続されている複数の画素を含む。
【0024】
ゲート線GL〜GL及びデータ線DL〜DLは、薄膜トランジスタ表示板100の基板110上に形成されている。ゲート線GL〜GL及びデータ線DL〜DLは、表示領域DAで互いに絶縁されて交差し、各々第2及び第1周辺領域PA2、PA1まで延長されてゲート駆動部400及びデータ駆動部500に接続される。
【0025】
各画素は、表示領域DAに位置し、ゲート線GL〜GL及びデータ線DL〜DLに接続されている薄膜トランジスタTrと、これに接続されている液晶キャパシタClcとを含む。
【0026】
薄膜トランジスタTrは、薄膜トランジスタ表示板100に形成され、ゲート線GL〜GLに接続されている制御端子、データ線DL〜DLに接続されている入力端子、及び液晶キャパシタClcに接続されている出力端子を備える。薄膜トランジスタTrは、非晶質シリコンを含むのが好ましいが、多結晶シリコンを含むこともできる。
【0027】
液晶キャパシタClcは、薄膜トランジスタ表示板100に形成されている画素電極(図示せず)と、共通電極表示板200の基板210上に形成されている共通電極270、及びこれらの間の液晶層330を備えてなる。画素電極は薄膜トランジスタTrに接続されており、共通電極270は共通電極表示板200の全面に形成され共通電圧の印加を受ける。
【0028】
第1周辺領域PA1の薄膜トランジスタ表示板100上には、チップ形態のデータ駆動部500が装着されている。データ駆動部500は、データ線DL〜DLと電気的に接続されデータ信号を印加する。
【0029】
一方、第2周辺領域PA2に隣接するシールライン領域SA及び第2周辺領域PA2上の薄膜トランジスタ表示板100には、ゲート駆動部400が設けられている。ゲート駆動部400は、ゲート線GL〜GLと電気的に接続されゲート信号を印加する。
【0030】
密封材350は、シールライン領域SAに位置しており、薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200を結合し、液晶層330の液晶を封じ込める役割を果たす。密封材350は光硬化性物質を含む。
【0031】
密封材350は、シールライン領域SAに位置したゲート駆動部400の一部分と重畳している。液晶層330の誘電定数が約10以上であるのに対し、密封材350の誘電定数は約4.0以下であるため、このようにすれば、共通電極表示板200の共通電極270とゲート駆動部400との間で発生する寄生容量を低減させることができる。
【0032】
図2のように、共通電極表示板200にはまた、シールライン領域SA及び第2周辺領域PA2に位置する遮光層220が設けられている。共通電極表示板200の第2基板210と共通電極270との間にカラーフィルタ層(図示せず)が具備できるが、カラーフィルタ層は三原色、例えば赤色、緑色及び青色を表示する。ところが、カラーフィルタ層は、薄膜トランジスタ表示板100に備えられるか、場合によっては省略することもできる。
【0033】
前記液晶表示装置において液晶層330は、滴下方式によって二つの表示板100、200の間に密封材350で密封されており、滴下方式に関しては、液晶層330は、二つの表示板100、200を密封材350で結合する前に共通電極表示板200または薄膜トランジスタ表示板100の上に液晶を滴下した後、二つの表示板100、200を整列し密封材350に光を照射して硬化させる。ところが、共通電極表示板200には遮光層220が存在し光を遮断するため、密封材350を硬化させる際には、薄膜トランジスタ表示板100の背面から光を入射する。
【0034】
図3は、図1に示したゲート駆動部のブロック図の例であり、図4は、図3に示したゲート駆動部の一ステージの回路図の例である。
【0035】
図3及び図4を参照すれば、ゲート駆動部400は、互いに従属的に接続され、順にゲート信号を出力する複数のステージST〜STn+1を含み、ゲートオフ電圧Voff、第1及び第2クロック信号CKV、CKVB及び初期化信号INTが入力される。最後のステージSTn+1を除く全てのステージST〜STn+1は、ゲート線GL〜GLnと1対1に接続されている。
【0036】
各ステージST〜STn+1は、第1クロック端子CK1、第2クロック端子CK2、セット端子S、リセット端子R、電源電圧端子GV、フレームリセット端子FR、及びゲート出力端子OUT1及びキャリー出力端子OUT2を備えている。
【0037】
各ステージ、例えばj番目ステージSTのセット端子Sには、前段ステージSTj-1のキャリー出力、つまり前段キャリー出力Cout(j-1)が、リセット端子Rには後段ステージSTj+1のゲート出力、つまり後段ゲート出力Gout(j+1)が入力され、第1及び第2クロック端子CK1、CK2にはクロック信号CKV、CKVBが入力され、ゲート電圧端子GVにはゲートオフ電圧Voffが入力され、フレームリセット端子FRには初期化信号INTが入力される。ゲート出力端子OUT1はゲート出力Gout(j)を出力し、キャリー出力端子OUT2はキャリー出力Cout(j)を出力する。最後のステージSTn+1のキャリー出力Cout(n+1)は、初期化信号INTとして各ステージST〜STに提供される。
【0038】
但し、シフトレジスタ400の第1ステージSTには、前段キャリー出力の代わりに走査開始信号STVが入力され、最後のステージSTn+1には後段ゲート出力の代わりに走査開始信号STVが入力される。また、j番目ステージSTの第1クロック端子CK1に第1クロック信号CKVが、第2クロック端子CK2に第2クロック信号CKVBが入力される場合、これに隣接した(j-1)番目及び(j+1)番目ステージSTj-1、STj+1の第1クロック端子CK1には第2クロック信号CKVBが、第2クロック端子CK2には第1クロック信号CKVが入力される。
【0039】
第1及び第2クロック信号CKV、CKVBは、画素のトランジスタTrを駆動できるように、電圧レベルがハイの場合はゲートオン電圧Vonと同一で、ローの場合はゲートオフ電圧Voffと同一であるのが好ましい。第1及び第2クロック信号CKV、CKVBは、デューティ比が50%であり、その位相差は180°であることができる。
【0040】
図4を参照すれば、本発明の一実施形態によるゲート駆動部400の各ステージ、例えばj番目ステージは、入力部420、プルアップ駆動部430、プルダウン駆動部440及び出力部450を含む。これらは少なくとも一つのNMOSトランジスタT1-T14を含み、プルアップ駆動部430及び出力部450は、キャパシタC1-C3をさらに含む。ところが、NMOSトランジスタの代わりにPMOSトランジスタを用いることもできる。実際にキャパシタC1-C3は、工程時に設けられるゲートとドレイン/ソース間の寄生容量(parasitic capacitance)であり得る。
【0041】
入力部420は、セット端子S及びゲート電圧端子GVに順に直列に連結されている三つのトランジスタT11、T10、T5を備える。トランジスタT11、T5のゲートは、第2クロック端子CK2に接続され、トランジスタT5のゲートは、第1クロック端子CK1に接続されている。トランジスタT11とトランジスタT10間の接続点は接続点J1に接続され、トランジスタT10とトランジスタT11間の接続点は接続点J2に接続されている。
【0042】
プルアップ駆動部430は、セット端子Sと接続点J1との間に接続されているトランジスタT4と、第1クロック端子CK1と接続点J3との間に接続されているトランジスタT12、及び第1クロック端子CK1と接続点J4との間に接続されているトランジスタT7を含む。トランジスタT4のゲート及びドレインは、セット端子Sに共通に接続され、ソースは接続点J1に接続されており、トランジスタT12のゲート及びドレインは、第1クロック端子CK1に共通に接続され、ソースは接続点J3に接続されている。トランジスタT7のゲートは、接続点J3に接続されると同時に、キャパシタC1を通じて第1クロック端子CK1に接続され、ドレインは第1クロック端子CK1に、ソースは接続点J4に接続され、接続点J3と接続点J4との間にキャパシタC2が接続されている。
【0043】
プルダウン駆動部440は、ソースを通じてゲートオフ電圧Voffを受信して、ドレインを通じて接続点J1、J2、J3、J4に出力する複数のトランジスタT9、T13、T8、T3、T2、T6を備える。トランジスタT9のゲートはリセット端子Rに、ドレインは接続点J1に接続され、トランジスタT13、T8のゲートは接続点J2に共通に接続され、ドレインはそれぞれ接続点J3、J4に接続されている。トランジスタT3のゲートは接続点J4に、トランジスタT2のゲートはリセット端子Rに接続され、二つのトランジスタT3、T2のドレインは接続点J2に接続されている。トランジスタT6のゲートはフレームリセット端子FRに接続され、ドレインは接続点J1に、ソースはゲートオフ電圧端子GVに接続されている。
【0044】
出力部450は、ドレイン及びソースが各々第1クロック端子CK1と出力端子OUT1、OUT2との間に接続され、ゲートが接続点J1に接続されている一対のトランジスタT1、T15と、トランジスタT1のゲートとドレインとの間、つまり接続点J1と接続点J2との間に接続されているキャパシタC3とを備える。トランジスタT1のソースは接続点J2に接続されている。
【0045】
以下、前記ステージの動作について説明する。
【0046】
説明の便宜のため、第1及び第2クロック信号CKV、CKVBのハイレベルに当たる電圧を高電圧とし、第1及び第2クロック信号CKV、CKVBのローレベルに当たる電圧の大きさはゲートオフ電圧Voffと同一であり、これを低電圧とする。
【0047】
まず、第2クロック信号CKVB及び前段キャリー出力Cout(j-1)がハイになるとき、トランジスタT11、T5及びトランジスタT4が導通する。すると、二つのトランジスタT11、T4は、高電圧を接続点J1に伝達し、トランジスタT5は、低電圧を接続点J2に伝達する。これにより、トランジスタT1、T15が導通し第1クロック信号CKVが出力端OUT1、OUT2に出力されるが、この時、接続点J2の電圧と第1クロック信号CKVがいずれも低電圧であるため、出力電圧Gout(j)、Cout(j)は低電圧になる。これと同時に、キャパシタC3は、高電圧と低電圧の差に相当する大きさの電圧を充電する。
【0048】
この時、第1クロック信号CKV及び後段ゲート出力Gout(j+1)はローであり、接続点J2もローであるため、これにゲートが接続されているトランジスタT10、T9、T12、T13、T8、T2はいずれもオフ状態である。
【0049】
次に、第2クロック信号CKVBがローになるとき、トランジスタT11、T5が遮断され、これと同時に、第1クロック信号CKVがハイになるとき、トランジスタT1の出力電圧及び接続点J2の電圧が高電圧になる。この時、トランジスタT10のゲートには高電圧が印加されるが、接続点J2に接続されているソースの電位がまた同じ高電圧であるため、ゲートソース間の電位差が0となり、トランジスタT10はターンオフ状態を維持する。この結果、接続点J1は浮遊状態になり、このため、キャパシタC3によって高電圧の分だけ電位が上昇する。
【0050】
一方、第1クロック信号CKV及び接続点J2の電位が高電圧であるため、トランジスタT12、T13、T8が導通する。この状態でトランジスタT12及びトランジスタT13が高電圧と低電圧の間で直列に接続され、これにより、接続点J3の電位は、二つのトランジスタT12、T13の導通時の抵抗状態の抵抗値によって分圧された電圧値を有する。しかし、二つのトランジスタT13の導通時の抵抗状態の抵抗値がトランジスタT12の導通時の抵抗状態の抵抗値に比べて極めて大きく、例えば約10,000倍に設定されている場合は、接続点J3の電圧は高電圧と略同一である。従って、トランジスタT7が導通しトランジスタT8と直列に接続され、これによって接続点J4の電位は、二つのトランジスタT7、T8の導通時の抵抗状態の抵抗値によって分圧された電圧値を有する。また、二つのトランジスタT7、T8の抵抗状態の抵抗値が略同一に設定されている場合には、接続点J4の電位は高電圧と低電圧の中間値を有し、これによってトランジスタT3は、遮断状態を維持する。この時、後段ゲート出力Gout(j+1)が依然としてローであるため、トランジスタT9、T2も遮断状態を維持する。よって、出力端OUT1、OUT2は第1クロック信号CKVにのみ接続され、低電圧と遮断されて高電圧を出力する。
【0051】
一方、キャパシタC1及びキャパシタC2は、両端の電位差に相当する電圧をそれぞれ充電し、接続点J3の電圧が接続点J5の電圧より低い。
【0052】
次に、後段ゲート出力Gout(j+1)及び第2クロック信号CKVBがハイになり、第1クロック信号CKVがローになるとき、トランジスタT9、T2が導通し接続点J1、J2に低電圧を伝達する。この時、接続点J1の電圧は、キャパシタC3が放電によって低電圧に変わるが、キャパシタC3の放電時間によって完全に低電圧に変わるためにはある程度の時間が必要である。従って、二つのトランジスタT1、T15は、後段ゲート出力Gout(j+1)がハイになってからも当分の間導通状態を維持することになり、これによって出力端OUT1、OUT2が第1クロック信号CKVと接続されて低電圧を出力する。次に、キャパシタC3が完全に放電して接続点J1の電位が低電圧に到達したとき、トランジスタT15が遮断されて出力端OUT2が第1クロック信号CKVと遮断され、キャリー出力Cout(j)は浮遊状態になって低電圧を維持する。これと同時に、出力端OUT1は、トランジスタT1が遮断されても、トランジスタT2を通じて低電圧と接続され継続して低電圧を出力する。
【0053】
一方、トランジスタT12、T13が遮断されるため接続点J3が浮遊状態になる。また、接続点J5の電圧が接続点J4の電圧より低くなるが、キャパシタC1によって接続点J3の電圧が接続点J5の電圧より低い状態を維持し、トランジスタT7は遮断される。同時に、トランジスタT8も遮断状態になって接続点J4の電圧もその分低くなり、トランジスタT3も遮断状態を維持する。また、トランジスタT10は、ゲートが第1クロック信号CKVの低電圧に接続され、接続点J2の電圧もローであるため、遮断状態を維持する。
【0054】
次に、第1クロック信号CKVがハイになるとき、トランジスタT12、T7が導通し、接続点J4の電圧が上昇してトランジスタT3を導通させて低電圧を接続点J2に伝達するため、出力端OUT1は継続して低電圧を出力する。即ち、後段ゲート出力Gout(j+1)の出力がローであるときにも、接続点J2の電圧が低電圧になるようにする。
【0055】
一方、トランジスタT10のゲートが第1クロック信号CKVの高電圧に接続され、接続点J2の電圧が低電圧であるため導通されて接続点J2の低電圧を接続点J1に伝達する。一方、二つのトランジスタT1、T15のドレインには、第1クロック端子CK1が接続されていて第1クロック信号CKVが継続して印加される。特に、トランジスタT1は、その他のトランジスタに比べて相対的に大きく作製されるが、このためゲートドレイン間の寄生容量が大きくドレインの電圧変化がゲート電圧に影響を及ぼす可能性がある。この結果、第1クロック信号CKVがハイになるとき、ゲートドレイン間の寄生容量によってゲート電圧が上昇し、トランジスタT1が導通することもある。従って、接続点J2の低電圧を接続点J1に伝達してトランジスタT1のゲート電圧を低電圧に維持し、トランジスタT1が導通するのを防止する。
【0056】
その後は、前段キャリー出力Cout(j-1)がハイになるまで接続点J1の電圧は低電圧を維持し、接続点J2の電圧は、第1クロック信号CKVがハイで、第2クロック信号CKVBがローであるときは、トランジスタT3を通じて低電圧になり、その逆のときは、トランジスタT5を通じて低電圧を維持する。
【0057】
一方、トランジスタT6は、最後のダミーステージSTn+1のキャリー出力Cout(n+1)である初期化信号INTを受信して、ゲートオフ電圧Voffを接続点J1に伝達し、接続点J1の電圧をもう1度低電圧に設定する。
【0058】
このような方法で、ステージSTは、前段キャリー信号Cout(j-1)及び後段ゲート信号Gout(j+1)に基づき、第1及び第2クロック信号CKV、CKVBに同期してキャリー信号Cout(j)及びゲート信号Gout(j)を生成する。
【0059】
以下、図4に示したゲート駆動部400の薄膜トランジスタ表示板100上の配置について、図5、図6及び図8を参照して詳細に説明する。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態によるゲート駆動部の概略的な配置図であり、図6は、図5に示したゲート駆動部の配線部の配置図であり、図8は、図5に示したゲート駆動部の回路部を一部示した配置図である。
【0061】
図5を参照すれば、本実施形態によるゲート駆動部400は、既に説明したステージST〜STn+1からなる回路部CSと、これらステージST〜STn+1に入力される各種信号Voff、CKV、CKVB、INTを伝達する配線部LSを備える。
【0062】
配線部LSは、ゲートオフ電圧Voffを伝達するゲートオフ電圧線SL1、第1及び第2クロック信号CKV、CKVBをそれぞれ伝達する第1及び第2クロック信号線SL2、SL3、及び初期化信号INTを伝達する初期化信号線SL4を含む。各信号線SL1〜SL4は、主に縦方向に延びており、ゲートオフ電圧線SL1、クロック信号線SL2、SL3及び初期化信号線SL4の順に左側から配置されシフトレジスタ400に近づく。また、前記信号線SL1〜SL4は、ステージST〜STn+1に向けて横に延びた連結線を有し、ゲートオフ電圧線SL1及び初期化信号線SL4は、一つのステージST〜STn+1に一つずつ連結線を出しているが、第1及び第2クロック信号線SL2、SL3は、ステージST〜STn+1の境界付近に位置して交互に一つずつ連結線を出している。
【0063】
回路部CSにおける各ステージST〜STn+1、例えば(j-1)番目ステージ内のトランジスタT1〜T13、T15の配置によれば、前段ステージに近い左側上に前段キャリー信号Cout(j-1)が入力されるトランジスタT4が配置され、上側に横方向に延びた第1クロック信号線SL2の連結線に沿って第1クロック信号CKVを受信するトランジスタT1、T15が配置され、トランジスタT15の下側にも第1クロック信号CKVを受信するトランジスタT7、T10、T12が配置されている。また、下側から延びている第2クロック信号線SL3の連結線に接続され第2クロック信号CKVBを受信するトランジスタT11、T5が左側下に配置され、左側から延びている初期化信号線SL4の連結線に接続され初期化信号INTを受信するトランジスタT6は最も左側に配置されている。これと共に、下側に横方向に延びているゲートオフ電圧線SL1の連結線に沿ってゲートオフ電圧Voffを受信するトランジスタT2、T3、T8、T9、T13が配置されている。
【0064】
これと隣接したj番目ステージSTの場合、第1クロック信号線SL2及び第1クロック信号CKVが第2クロック信号線SL3及び第2クロック信号CKVBに変わり、これと逆に、第2クロック信号線SL3及び第2クロック信号CKVBが第1クロック信号線SL2及び第1クロック信号CKVに変わることを除いて、各トランジスタの配置は、J-1番目ステージSTj-1と同一である。
【0065】
この時、配線部SLはシールライン領域SAに位置し、回路部CSの一部もシールライン領域SAに位置し、回路部CSの他の一部はシールライン領域SAの工程マージン領域SA´に位置している。工程マージン領域SA´の幅は0.3mm程度であって、これは密封材350をシールライン領域SAに塗布する際に生じ得る最大の誤差範囲である。
【0066】
既に説明したように、密封材350を硬化する際に、薄膜トランジスタ表示板100の背面から光を照射するため、シールライン領域SAとシールライン工程マージン領域SA´に位置する信号線及びトランジスタは、光をうまく通過させるための平面構造を有する。
【0067】
図6を参照すれば、幅の広い信号線SL1〜SL3は梯形または網形態であり、光を通過させる開口部を複数備えている。よって、信号線SL1〜SL3それぞれは、縦に長く延びている一対若しくはそれ以上の縦部と、これらを連結する複数の横部とからなり、これらで囲まれた開口部を備える。縦部の幅及び間隔は、光が回折して透過できる程度とする。約20乃至30μm、好ましくは25μm程度であるのが好ましい。各信号線122a〜122c全体の線幅は、開口部を備えることで発生する抵抗の増加を考慮して適切に定める。開口部を設けない場合の線幅が約100μm以上であって光を回折できない場合には、このような構造を有するのが好ましい。
【0068】
図8によれば、シールライン領域SA及びシールライン工程マージン領域SA´に位置するサイズの大きい薄膜トランジスタ、例えば図5に示すトランジスタT4、T15は、複数の小さいトランジスタT41〜T45に分けられており、これらの間に充分な間隔があって小さいトランジスタT41〜T45の間から光が通過することができる。小さい薄膜トランジスタT41〜T45の幅及び間隔に対しても光が回折して透過できる程度とする。約100μm以下が好ましい。
【0069】
以下、前記のようなゲート駆動部400を備える薄膜トランジスタ表示板の構造について、図7及び図9乃至図11、図6及び図8を参照して詳細に説明する。
【0070】
図7は、図6に示した配線部のVII-VII´線による断面図であり、図9は、図8に示した配線部のIX-IX´線による断面図であり、図10は、表示領域DAにおける画素の配置図であり、図11は、図10に示した画素のXI-XI´線による断面図である。
【0071】
絶縁基板110上に複数のゲート線121及び複数の駆動信号線122、122a〜122dが形成されている。
【0072】
図10を参照すれば、ゲート線121は、ゲート信号を伝達し、主に横方向に延びて延長されゲート駆動部400と連結される。各ゲート線121の一部は複数のゲート電極124をなし、他の一部は下方向に突出して複数の突出部127をなしている。
【0073】
図6を参照すれば、駆動信号線122a〜122dは、それぞれゲートオフ電圧Voff、第1及び第2クロック信号CKV、CKVB及び初期化信号INTを伝達し、主に縦方向に延びている。最も幅の狭い初期化信号線122cを除くその他の駆動信号線122a〜122cは梯形であって、縦に長く延びた一対若しくはそれ以上の縦部とこれらを連結する複数の横部とからなり、これらで囲まれた開口部を備える。縦部の幅及び間隔は、光が回折して透過できる程度とし、約20乃至30μm、好ましくは25μm程度が好ましい。各信号線122a〜122cの全体の線幅は、開口部を備えることで発生する抵抗の増加を考慮して適切に定める。開口部を設けない場合の線幅が約100μm以上であって光を回折できない場合には、このような構造を有するのが好ましい。一方、初期化信号線122dは、各ステージに向けて横方向に延びた複数の分枝を有する。
【0074】
図8を参照すれば、駆動信号線122は、ゲート駆動部内で信号を伝達し、拡張されてゲート駆動部の薄膜トランジスタの制御電極の役割を果たす。
【0075】
ゲート線121及び駆動信号線122、122a〜122dは、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金等のアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金等の銀系金属、銅(Cu)や銅合金等の銅系金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金等のモリブデン系金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)及びチタニウム(Ti)などからなる。ところが、ゲート線121は、物理的な性質の異なる二つの膜、つまり下部膜(図示せず)及びその上の上部膜(図示せず)を含むこともできる。上部膜は、ゲート線121の信号遅延や電圧降下を減らせるように低い比抵抗の金属、例えばアルミニウム(Al)やアルミニウム合金等のアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金等の銀系金属、銅(Cu)や銅合金等の銅系金属からなることができる。これとは異なって、下部膜は他の物質、特にITO(indium tin oxide)及びIZO(indium zinc oxide)との接触特性が優れた物質、例えばクロム、モリブデン(Mo)、モリブデン合金、タンタル(Ta)、またはチタニウム(Ti)などからなることができる。クロム下部膜とアルミニウム-ネオジム(Nd)合金上部膜、モリブデン上部膜とアルミニウム-ネオジム(Nd)合金下部膜は、その好適な例である。
【0076】
ゲート線121及び駆動信号線122、122a〜122dの側面は、基板110の表面に対して傾斜されており、傾斜角は約30〜80°の範囲である。
【0077】
ゲート線121及び駆動信号線122、122a〜122dの上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
【0078】
ゲート絶縁膜140上部には、水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa-Siと略称する。)などからなる複数の線状半導体151及び島状半導体152が形成されている。線状半導体151は、主に縦方向に延びており、ここから複数の突出部154がゲート電極124に向けて延び、ゲート線121と出会う地点付近で幅が大きくなってゲート線121の広い面積を覆っている。島状半導体152は、図8に示したように、ゲート駆動部の制御電極上に位置したり、図6及び図8に示したように、駆動信号線122、122a〜122dの一部の上に位置したりし、駆動信号線122、122a〜122dの外側に突出した部分を有する。
【0079】
半導体151、152の上部には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で形成された複数の線状及び島状抵抗性接触部材(ohmic contact)161、162、165が設けられている。線状接触部材161は、複数の突出部163を備えており、該突出部163と島状接触部材165が対をなして半導体151の突出部154上に位置している。島状抵抗性接触部材162は、島状半導体152上に位置している。
【0080】
半導体151、152及び抵抗性接触部材161、162、165の側面も傾斜されており、その傾斜角は30〜80°である。
【0081】
抵抗性接触部材161、162、165及びゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線171、複数の出力電極175、複数のストレージキャパシタ用導電体(storage capacitor conductor)177、及び複数の連結信号線172、172a〜172cが設けられている。
【0082】
図10を参照すれば、データ線171は、主に縦方向に延びてゲート線121と交差し、データ電圧を伝達する。各データ線171から出力電極175に向けて延びた複数の分枝が入力電極173をなす。一対の入力電極173と出力電極175は互いに分離されており、制御電極124に対して互いに反対側に位置している。
【0083】
ストレージキャパシタ用導電体177は、ゲート線121の拡張部127と重畳している。
【0084】
図6で、連結信号線172aは、ゲートオフ電圧線122aと第1クロック信号線122bとの間に位置し、主に縦方向に延びた幹と、幹から各ステージに向けて横方向に延びた複数の分枝を有する。連結信号線172b、172cそれぞれは、第1クロック信号線122bと第2クロック信号線122cとの間に位置し、主に縦方向に延びた縦部とその端に連結され各ステージに向けて横方向に延びた複数の横部とを備える。
【0085】
図8で、連結信号線172は、ゲート駆動部内で信号を伝達し、島状半導体152及び島状抵抗性接触部材162の上に位置した部分は、薄膜トランジスタの入力電極及び出力電極の役割を果たす。薄膜トランジスタ上に位置した部分は、トランジスタの駆動電流を増加させるために交錯形態となっている。
【0086】
データ線171、ドレイン電極175及びストレージキャパシタ用導電体177は、モリブデン系金属、クロム、タンタル、チタニウムなどの耐火性金属からなるのが好ましく、低い抵抗の上部膜と優れた接触特性の下部膜とを備える多層膜構造であることができる。各データ線171の端部179は、他の層または外部装置との連結のために幅が拡張されている。
【0087】
データ線171、出力電極175、連結信号線172、172a〜172c、及びストレージキャパシタ用導電体177の側面も、基板110表面に対して傾斜されており、その傾斜角は約30〜80°の範囲である。
【0088】
抵抗性接触部材161、162、165は、その下部の半導体151、152とその上部のデータ線171、連結信号線172及び出力電極175の間にのみ存在し、接触抵抗を低くする役割を果たす。線状半導体151は、ソース電極173とドレイン電極175との間を始めとして、データ線171及びドレイン電極175で覆われずに露出された部分を有し、殆どの所で線状半導体151の幅がデータ線171の幅より小さいが、既に説明したように、ゲート線121と出会う部分では幅が大きくなってデータ線171の断線を防止する。島状半導体152も駆動信号線122、122a〜122dと連結信号線172、172a〜172cとが交差する部分に位置し、連結信号線172、172a〜172cの断線を防止する。
【0089】
データ線171と出力電極175、連結信号線172、172a〜172c、及びストレージキャパシタ用導電体177と露出された半導体151部分の上には、平坦化特性が優れて感光性を有する有機物質、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)で形成されるa-Si:C:O、a-Si:O:F等、誘電率4.0以下の低誘電率絶縁物質、または無機物質である窒化ケイ素などからなる保護膜180が設けられている。なお、保護膜180は、有機物及び窒化ケイ素の二重層からなることができる。
【0090】
保護膜180には、データ線171の端部179と、出力電極175、ストレージキャパシタ用導電体177及び連結信号線172、172a〜172cの端部をそれぞれ露出する複数の接触孔(contact hole)182、185、187、188が設けられ、ゲート絶縁膜140と共に駆動信号線122、122a〜122dを露出する複数の接触孔189が設けられている。
【0091】
保護膜180上には、ITOまたはIZOからなる複数の画素電極190と複数の接触補助部材82及び連結補助部材88が設けられている。
【0092】
画素電極190は、接触孔185、187を通じて出力電極175及びストレージキャパシタ用導電体177と各々物理的・電気的に接続されて出力電極175からデータ電圧の印加を受け、導電体177にデータ電圧を伝達する。
【0093】
データ電圧が印加された画素電極190は、共通電圧の印加を受ける他の表示板200の共通電極270と共に電場を生成することによって、二つの電極190、270間の液晶層3の液晶分子を再配列する。
【0094】
また、前述したように、画素電極190及び共通電極270は液晶キャパシタを構成して、薄膜トランジスタが遮断された後にも印加された電圧を維持しており、電圧維持能力を強化するため液晶キャパシタと並列に接続された別のキャパシタを設ける。これを“ストレージキャパシタ”と言う。ストレージキャパシタは、画素電極190及びこれと隣接するゲート線121(これを“前段ゲート線”と言う。)の重畳などで形成され、ストレージキャパシタの静電容量、つまり保持容量を増加させるためゲート線121を拡張した拡張部127を設けて重畳面積を拡大する一方、画素電極190と接続され拡張部127と重畳しているストレージキャパシタ用導電体177を保護膜180下に設けて両者間の距離を短くする。更に、ストレージキャパシタは、別に具備された維持電極と画素電極190の重畳で形成されることができる。
【0095】
画素電極190はまた、隣接するゲート線121及びデータ線171と重なって開口率を向上させているが、重ならない場合もある。
【0096】
接触補助部材82は、接触孔182を通じてデータ線の端部179と連結される。接触補助部材82は、データ線171の端部179と外部装置との接着性を補完し、これらを保護する役割をするものであって必須ではなく、これらの適用は選択的である。
【0097】
連結補助部材88は、接触孔188、189を通じて駆動信号線122a〜122c及び連結信号線172a〜172cと連結され、駆動信号線122a〜122cから各種信号の印加を受けて連結信号線172a〜172cに伝達する。連結補助部材88は、面積が大きく、複数の接触孔を通じて一つの信号線と連結される。連結補助部材88を小さく分けない理由は、連結補助部材88が透明で光を通過させるため、敢えて小さくする必要がなく、大きいほど抵抗が小さくなるためである。なお、接触孔を複数作って連結させる場合、連結補助部材88の断線可能性がその分少なくなる。
【0098】
本発明の他の実施形態によれば、画素電極190の材料に透明な導電性ポリマーなどを用いており、反射型(reflective)液晶表示装置の場合には、不透明な反射性金属を用いても構わない。この時、接触補助部材82は、画素電極190と異なる物質、特にITOまたはIZOで形成することができる。
【0099】
前記例と異なって、駆動信号線122、122a〜122dをデータ線171と同一層で、連結信号線172、172a〜172cをゲート線121と同一層で形成することもでき、この他にも種々の方法を用いることができる。
【0100】
このように、駆動信号線SL1〜SL3に開口部が設けられており、薄膜トランジスタ表示板100の背面から提供された光が開口部を透過し、光硬化性密封材350に容易に到達して密封材350が安定的に硬化される。その結果、薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200との結合力が増加し、外部から流入する湿気による腐蝕を防止し、ゲート駆動部400の誤動作による駆動不良が減少する。
【0101】
一方、前記のような構造の表示装置において、外部から静電気が流入して信号線と連結線のうちの一つが短絡した場合、図12のように、容易に修理することができる。これについて図12を参照して説明する。
【0102】
図12によれば、例えば第1クロック線122bの縦線のうちの一つとゲートオフ電圧線122aの横線が短絡した場合、三角形で表示した短絡地点の上側及び下側のX字表示の地点をそれぞれ切断する。すると、ゲートオフ電圧線122aの横線は、ステージSTにのみ接続されてゲートオフ電圧Voffを伝達できるようになる。
【0103】
このような表示装置によれば、光硬化性物質を含む密封材がゲート駆動部の一部分をカバーするよう第1基板と第2基板との間に介在される構造において、ゲート駆動部の信号配線には密封材を硬化するために第1基板の背面を通じて入射された光を透過する開口部が設けられ、密封材によって第1及び第2基板間の結合力が向上される。その結果、外部から流入する湿気による腐蝕不良などを改善することができる。更に、容易に修理を行うこともできる。
【0104】
以上、実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域の範囲内で様々な修正及び変形が可能であることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0105】
100 薄膜トランジスタ表示板、
110 第1基板、
500 データ駆動部、
400 ゲート駆動部、
200 共通電極表示板、
210 第2基板、
270 共通電極、
300 表示パネル、
330 液晶層、
350 密封材、
600 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが設けられている基板、及び前記基板上に設けられ、外部からの信号を受信する配線部と前記配線部からの信号に応答してゲート信号を前記ゲート線に出力する回路部とを備えるゲート駆動部、を含み、
前記配線部は、前記配線部に重畳する光硬化性の結合部材に光を透過させるための開口部が設けられている信号線を含み、
前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む、薄膜トランジスタ表示板。
【請求項2】
前記開口部が設けられている信号線の線幅は100μm以上である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項3】
前記信号線は、アルミニウムやアルミニウム合金、または銀や銀合金からなる第1導電膜と、クロムまたはモリブデンまたはチタニウムまたはタンタルからなる第2導電膜とを含む、請求項2に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項4】
前記信号線は、前記ゲート線または前記データ線と同一層で形成された、請求項3に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項5】
前記回路部は、従属連結され順に出力信号を生成する複数のステージからなるシフトレジスタを備え、
前記開口部が設けられている信号線は、前記シフトレジスタに電源電圧と互いに異なる位相の第1クロック信号及び第2クロック信号を伝達する第1信号線乃至第3信号線を備えている、請求項4に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項6】
前記開口部が設けられていない信号線は前記シフトレジスタに初期化信号を伝達する第4信号線を含む、請求項5に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項7】
前記第1乃至第4信号線は、前記シフトレジスタから遠い方から近い方へ順に配置されている、請求項6に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項8】
前記配線部は、前記第1乃至第4信号線のうちの少なくとも一つ及び前記シフトレジスタを連結する複数の連結線をさらに含む、請求項7に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項9】
前記連結線は、前記信号線と異なる層で形成される、請求項8に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項10】
前記連結線及び前記信号線は、連結補助部材を通じて連結されている、請求項9に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項11】
前記連結補助部材は、透明で、前記連結線及び前記信号線と複数の接触孔を通じて連結されている、請求項10に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項12】
前記回路部は、複数のトランジスタを備え、前記トランジスタのうちの少なくとも一つは互いに間隔を置いて設けられた複数の副トランジスタからなる、請求項1に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項13】
前記副トランジスタ間の間隔は100μm以下である、請求項12に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項14】
複数のゲート線と複数のデータ線が設けられた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板、及び前記第1基板と前記第2基板との間に介在し前記第1及び第2基板を結合する光硬化性の結合部材からなり、データ信号及びゲート信号に応答して映像を表示する表示パネル、
前記複数のデータ線に前記データ信号を出力するデータ駆動部、及び前記第1基板上に設けられ、外部から複数の信号を受信する配線部、及び前記外部信号に応答して前記ゲート信号を前記複数のゲート線に出力する回路部からなるゲート駆動部、を含み、
前記配線部は、前記結合部材と重畳し前記結合部材に光を透過させるための開口部が設けられている信号線を含み、
前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む、表示装置。
【請求項15】
第1基板上に、重畳する光硬化性の結合部材に光を透過させるための開口部を備える信号線を含む配線部と、前記配線部からの信号によってゲート信号を生成する回路部を含むゲート駆動回路を形成する段階、
第2基板上に遮光膜を形成する段階、
前記第1または第2基板上に液晶を滴下する段階、
前記第1または第2基板上に密封材を塗布する段階、
前記第1基板と前記第2基板を整列する段階、及び
前記第1基板の開口部を通じて前記密封材に光を照射する段階、を含み、
前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む、液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
ゲート線、データ線、画素電極及び薄膜トランジスタが設けられている基板、及び前記基板上に設けられ、外部からの信号を受信する配線部と前記配線部からの信号に応答してゲート信号を前記ゲート線に出力する回路部とを備えるゲート駆動部、を含み、
前記配線部は、開口部が設けられている信号線を含んでおり、前記開口部は一対の横辺と一対の縦辺で形成された四角形であり、前記横辺の長さと前記縦辺の長さが互いに異なり、
前記配線部は開口部が設けられていない信号線をさらに含む、薄膜トランジスタ表示板。
【請求項17】
前記開口部の前記縦辺は前記信号線の長さ方向に延びており、
前記開口部の前記縦辺の長さは前記開口部の前記横辺の長さより長い、請求項16に記載の薄膜トランジスタ表示板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−113321(P2012−113321A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45457(P2012−45457)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2005−179932(P2005−179932)の分割
【原出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】