説明

薄膜太陽電池セルを製造するための装置および方法

基板ウェブ上に半導体材料吸収層の薄膜層を形成するための改善された方法および装置を提供する。本発明の教示に従って、半導体層をマルチゾーンプロセスで形成することができ、これにより、さまざまな層が移動する基板ウェブ上に順次蒸着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条ならびに適用外国法および国際法に基づき、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている、2008年4月15日に出願した特許文献1および2008年4月15日に出願した特許文献2の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9もそれらの全体を組み込む。
【0003】
光起電力の分野は、一般的に、太陽光を直接DC電力に変換する多層材料に関する。この変換の基本的な機構は、1839年にアントワーヌ・セザール・ベクレルによって初めて観察され、アインシュタインの独創的な1905年の科学論文において初めて正しく説明された、光起電力効果であり、アインシュタインはこれによりノーベル物理学賞を受賞した。米国では、光起電力(PV)デバイスは、太陽電池セルまたはPVセルとして広く知られている。太陽電池セルは、典型的には、p型半導体とn型半導体の協同するサンドイッチとして構成され、n型半導体材料(サンドイッチの一方の側)は、過剰な電子を呈示し、p型半導体材料(サンドイッチの他方の側)は、過剰な正孔を呈示し、それぞれの正孔は電子の不足を表す。これら2つの材料の間のpn接合の近くで、n型層からの価電子は、p型層内の隣接する正孔に移動して、太陽電池セル内に小さな電気的不均衡を引き起こす。この結果、電子pn接合を形成する冶金学的接合に近接して電界が生じる。
【背景技術】
【0004】
入射光子がセル内の電子を励起して伝導帯に入れると、励起された電子は半導体の原子から非束縛状態となり、自由電子/正孔対を形成する。上述のように、pn接合は、接合に近接して電界を発生させるので、このようにして接合の近くに形成された電子/正孔対は、分離して、接合から離れてゆく傾向を有し、電子は接合のn型側の電極に向かって移動し、正孔は接合のp型側の電極に向かって移動する。これにより、セル内に全体的電荷不均衡が生じ、そのため、セルの2つの側の間に外部導電経路が形成された場合、電子は外部経路にそってn型の側からp型の側に移動し、電流を生じる。実際、電子は、表面の一部を覆う導電グリッドによってn型側の表面に、または表面近くから捕集されうるが、それでも、入射光子によるセル内への十分なアクセスは確保されうる。
【0005】
このような光起電力構造は、適切に配置された電気的接点が含まれ、セル(または一連のセル)が閉電気回路内に組み込まれた場合、実用的なPVデバイスを形成する。スタンドアロンデバイスとして、単一の従来型の太陽電池セルは、大半の用途に十分な電力を供給できない。そこで、太陽電池セルは、一方のセルの前を他方のセルの後ろに接続することによってPVモジュール、つまり「ストリング」の形に一般的に構成され、したがって個別のセルが電気的直列状態となり電圧が足し合わされる。使い物になる電圧を得るためには、典型的には、かなりの数のセルを直列に接続する。そこで、その結果得られるDC電流をインバータに通して、従来の配電網によって供給されるAC電流の周波数と一致するように選択された適切な周波数のAC電流に変換することができる。米国では、この周波数は60ヘルツ(Hz)であり、他のほとんどの国々は、50Hzまたは60HzのいずれかのAC電力を供給している。
【0006】
商業用途向けに開発された特定の種類の太陽電池セルの1つに、「薄膜」PVセルがある。結晶シリコンPVセルなどの他の種類のPVセルと比べて、薄膜PVセルは、実用的なセルを形成するのに、必要とする光吸収半導体材料が少なくてすみ、したがって加工コストを低減することができる。薄膜系PVセルでは、類似の材料が保護コーティング、装飾コーティング、および機能性コーティングの薄膜業界で広く使用されている、電極層に対しすでに開発されている蒸着技術を使用することにより、コスト削減も望める。低コストの商用薄膜製品のよくある例として、ポリマー系食品パッケージングに施される不浸透性コーティング、建築用ガラスに施される装飾コーティング、住宅および商業用ガラスに施される低放射率温度制御コーティング、および眼鏡に施されるひっかき傷および反射を防止するコーティングが挙げられる。これらの他の分野において開発されている技術を採用もしくは修正することで、PVセル薄膜蒸着技術の開発コストの低減が可能になった。
【0007】
さらに、薄膜セルは、20%に近い効率を呈示し、最も効率のよい結晶性セルの効率に匹敵するか、もしくは超えるほどである。特に、半導体材料である、二セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)は、安定しており、毒性が低く、真に薄い膜をなし、実用的なPVセルにおいて必要な厚さが2ミクロン未満である。そのため、現在まで、CIGSは、高性能低コストの薄膜PV製品となる、したがって、大規模発電市場に進出する最も高い可能性を示しているように見える。薄膜PV技術向けの他の半導体材料としては、二セレン化銅インジウム、二硫化銅インジウム、二セレン化銅インジウムアルミニウム、およびテルル化カドミウムが挙げられる。
【0008】
いくつかの薄膜PV材料は、硬質ガラス基板、またはフレキシブル基板のいずれかに蒸着することができる。ガラス基板は、比較的安価であり、一般的に、熱膨張率がCIGSまたは他の吸収体層と比較的よくマッチし、真空蒸着システムでの使用に対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/124,467号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/124,468号
【特許文献3】米国特許第6,310,281号
【特許文献4】米国特許第6,372,538号
【特許文献5】米国特許第7,194,197号
【特許文献6】米国特許出願第11/727,975号
【特許文献7】米国特許出願第12/154,548号
【特許文献8】米国特許出願第12/154,549号
【特許文献9】米国特許出願第12/154,550号
【特許文献10】米国仮特許出願第61/063,257号
【特許文献11】米国再発行特許第Re 31,968号
【特許文献12】米国特許第5,441,897号
【特許文献13】米国特許第5,356,839号
【特許文献14】米国特許第5,436,204号
【特許文献15】米国特許第5,031,229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、蒸着プロセスの実行時に適用可能な技術の選択肢と比較したときに、硬質基板には、加工機器および資材保管のためのかなりの床面積が必要であること、ガラスをガラスアニーリング温度に等しいまたはその近くの高い温度まで均一に加熱するための高価な専用機器が必要であること、基板が破砕する可能性が高く、その結果収率損失が生じること、熱容量が比較的高く、その結果ガラスを加熱するために電力に要する費用が増大することなどの、加工時のさまざまな欠点がある。さらに、硬質基板に要する輸送費は、ガラスの重量と脆い性質とにより増大する。その結果、薄膜蒸着のためのガラス基板の使用は、光起電力などの多層機能性薄膜材料の低コスト大量高収量商用製造には最適な選択肢とはいえない。したがって、非硬質連続基板上に薄膜層を蒸着するための改善された方法および装置が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の態様による、薄膜光起電力セルの上面図である。
【図2】チャンバー内のp型半導体層の形成を示す略側面図である。
【図3】マルチゾーンプロセスでp型半導体層を形成するための装置の内部を示す略側面図である。
【図4】図3の複数のゾーンのうちの1つを詳細に示す斜視図である。
【図5】移動しているウェブ上に蒸着された層の1つまたは複数の特性を検出するための監視ステーションの略斜視図である。
【図6】薄膜半導体層を生成するための方法を例示する流れ図である。
【図7】ウェブ移送デバイスの略側面図である。
【図8】移動しているウェブ上に材料を蒸着するために使用される供給源の切欠斜視図である。
【図9】図8に例示されている供給源で使用される加熱デバイスの分離している上面図である。
【図10】図9に示されている加熱デバイスの斜視図である。
【図11】薄膜半導体材料を移動しているウェブ上に蒸着するためのさまざまな供給源および加熱器構成を示す略上面図である。
【図12】薄膜半導体材料を移動しているウェブ上に蒸着するためのさまざまな供給源および加熱器構成を示す略上面図である。
【図13】薄膜半導体材料を移動しているウェブ上に蒸着するためのさまざまな供給源および加熱器構成を示す略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(I.はじめに)
フレキシブルな薄膜PVセルの製造は、ロールツーロール法によって行うことができる。硬質基板と比較すると、薄いフレキシブル基板のロールツーロール加工では、比較的コンパクトで安価な真空システムを使用することができ、また他の薄膜業界向けにすでに開発されている専用でないいくつかの機器を利用できる。フレキシブル基板材料は、本質的に、ガラスに比べて熱容量が低いため、温度を上げるのに必要なエネルギー量が少なくてすむ。これらは、急速な加熱および冷却に、また大きな温度勾配に対して比較的高い耐性も呈示し、その結果、加工中の破砕もしくは故障が発生する可能性は低い。それに加えて、活性のあるPV材料がフレキシブル基板材料上に蒸着された後、その結果得られる未積層のセルまたはセルのストリングを別の設備へと輸送し、そこで、積層および/または組み立てを行ってフレキシブルな、または硬質の太陽電池モジュールを形成することができる。この戦略的オプションは、輸送コストを低減するだけでなく(ガラスに対して軽量フレキシブルな基板)、世界中でPVモジュールの仕上げおよび販売を行うためにパートナービジネスを確立することができる。本明細書で開示されている方法および装置とともに使用するのに適しているタイプの薄膜PVセルの構成および製造に関係する追加の詳細は、例えば、Wendtらの特許文献3、特許文献4、および特許文献5、ならびに2008年1月31日に出願した特許文献10に見ることができる。これらの参考文献は全体が、すべての目的に関して参照により本開示に組み込まれる。
【0013】
図1は、本開示の態様による、薄膜光起電力セル10の上面図である。セル10は、実質的に平面状であり、典型的には、図1に示されているような矩形であるが、矩形以外の形状は、特殊な形状の屋根もしくは他の表面など、特定の用途に適したものであってもよい。セルは、上面12、上面に対向する底面14を有し、寸法は長さL、幅W、および厚さを含む。長さおよび幅は、セルの使いやすい用途に合わせて、および/または加工中に便利なように選択することができ、典型的には、数センチメートル(cm)から数十cmまでの範囲内である。例えば、長さは、約100ミリメートル(mm)とし、幅は、約210mmとすることができるが、他の好適な寸法も選択できる。セルの幅にわたるエッジは、リーディングエッジ16およびトレーリングエッジ18としてそれぞれ特徴付けることができる。セル10の全厚さは、そのセルについて選択された特定の層に依存し、典型的には、セルの下位基板の厚さによって決まる。例えば、ステンレス製基板は、0.025mm(25ミクロン)のオーダーの厚さを有することができるが、セルの他の層はすべて、0.002mm(2ミクロン)以下のオーダーの複合した厚さを有することができる。
【0014】
セル10は、フレキシブル基板からはじめ、次いで、異なる材料の複数の薄層を基板上に順次蒸着することによって形成される。この組み立ては、ロールツーロール法により実行することができ、基板は、繰り出しロールから巻き取りロールへと進行し、これらの2つのロールの間の一連の蒸着領域を通過する。次いで、PV材料を所望のサイズのセルに切り分けることができる。ロールツーロール法における基板材料は、一般的には薄くフレキシブルであり、比較的高温な環境にも耐えられる。好適な材料としては、とりわけ、例えば、ポリイミドなどの高温ポリマー、またはステンレス鋼もしくはチタンなどの薄い金属が挙げられる。順次的な層は、典型的には、スパッタリング、蒸発、真空蒸着、化学蒸着、および/または印刷などのさまざまなプロセスによって個別の加工チャンバー内の基板上に堆積される。これらの層は、モリブデン(Mo)またはクロム/モリブデン(Cr/Mo)バック接点層、二セレン化銅インジウム、二硫化銅インジウム、二セレン化銅インジウムアルミニウム、または二セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)などの材料の吸収体層、硫化カドミウム(CdS)の層などの1つまたは複数の緩衝層、およびPVセルの上部電極として働く透明導電酸化物(TCO)層が挙げられる。それに加えて、伝導性電流収集グリッドは、通常、銀(Ag)または他の何らかの導電性金属から主に作られ、典型的には、TCO層上に施される。
【0015】
薄膜PVセルのそれぞれの層の正確な厚さは、材料の正確な選択およびそれぞれの層を形成するために選ばれた特定の用途のプロセスに依存するけれども、上述のそれぞれの層の用途の例示的な材料、厚さ、および方法は、以下のように、基板上にそれぞれの層を施す典型的な順序をとる。
【0016】
【表1】

【0017】
本開示の残り部分は、下地基板ウェブ上に半導体吸収層を形成するためのさまざまな方法および装置を重点的に取り上げる。
【0018】
(II.吸収層)
この節では、基板ウェブ上に薄膜吸収層を形成することに関するさまざまな一般的な考慮事項について説明する。吸収層は、典型的には、二セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)の形態のp型半導体であるか、または容易に受け入れ可能なその対をなす片割れである二セレン化銅インジウム(CIS)である。二硫化銅インジウムまたは二セレン化銅インジウムアルミニウムなどの他の材料も使用することができる。これらの異なる組成物は、とりわけ、最終製品における望ましい特定の特性にもよるが、本発明の教示のさまざまな実施形態の吸収層として本質的に交換して使用することができる。便宜上、また特に、本開示の残り部分では、ときどき、吸収層をCIGS層と称することもある。しかし、本発明の教示の一部または全部も、他のさまざまな好適な吸収層組成物に適用することができることは理解されるであろう。
【0019】
図2は、本発明の教示の一実施形態によるチャンバー24の内側の構成の概略を示している。図2に略図として示されているように、吸収層は、チャンバー内に施され、特に、多段階プロセスでは、このチャンバーの蒸着領域R内に施される。蒸着領域、および典型的にはチャンバー全体は、真空に近い状態に、典型的には約700〜2000マイクロトール(μTorr)の圧力まで減圧される。このバックグラウンド圧力は、典型的には、もっぱら、セレン配送システムによって蒸着領域内に放出されるセレンガスによって供給され、その結果、セレンがウェブ上に蒸着される。ガリウム、インジウム、および銅などの追加の材料の蒸着は、一般的に、ロールツーロール溶融液/蒸気同時蒸着プロセスとして説明することができる。
【0020】
ストリップ材料、つまり基板ウェブは、矢印25の方向に、チャンバー24内の繰り出しロール60から下流の巻き取りロール68へ送られる。ストリップ材料がチャンバー24を通過するときに、p型吸収層が基板ウェブの底面上に形成される(図2に示されているように)。チャンバー24内のロール60、68の間で、ストリップを支持し、誘導するための移送誘導構造(図示せず)が使用される。図2のチャンバー24のブロック表現の左側に見える短い開いた矢印は、適切な構成物質をチャンバー24の内部に送り込むために備えられているハードウェアを記号化したものである。
【0021】
チャンバー24内、特に蒸着領域R内では、p型半導体層を確定するための溶融液/蒸気同時蒸着プロセスが実行される。チャンバー24は、例えばCIS層とは反対に、CIGS層の形成用に特に設計されている。したがって、構造70、72、74、76、78、79、および81は、移動する基板ウェブ上に蒸着するために銅(70)、ガリウム(72)、インジウム(74)、およびセレン(76、78、79、81)の蒸気を発生するように機能する。構造70〜81は、本発明の実施形態の、一般的に83として示されている、気相蒸着形成システムのバルクを形成する。蒸着領域R内に形成される気相蒸着環境は、蒸発物流束の連続体を構成することができる。領域R内では、噴散束は、ほぼ一定に保たれ、また基板ウェブを供給源上に平行移動することによって、基板はCIGS層内で最適な性能を発揮するように専用に設計された材料の可変流束に遭遇する可能性がある。
【0022】
銅、ガリウム、およびインジウムの蒸気送達に関係するブロック70、72、および74は、それぞれ、これら3つの材料に由来する蒸気噴出を発生するための加熱噴散源を表す。これらの噴散源のそれぞれは、(1)外側温度制御シールド、(2)関連する溶融銅、ガリウム、またはインジウムを含むボート、貯留槽、またはるつぼ、(3)関連するケースおよび貯留槽を覆い、蒸気噴流の発生を補助するためにるつぼ毎に1つまたは複数の蒸気排出ノズル(または噴散口)を備える蓋、および(4)噴散口の近くに配置されるか、またはいくつかの実施形態では口と一体形成される、専用設計専用設置加熱器とを備えることができる。
【0023】
構造76、78、79、および81は、蒸着領域の一部または全部の中にバックグラウンドセレンガス圧力を発生するセレン送達システムの一部分を表す。セレン送達システムは、局所的Se供給源内の1つまたは複数のオリフィスを通じてセレンを直接送達することができる。あるいは、図2の実施形態では、円76、78、79、81は、複数の、横方向に相隔てて並ぶ、チャンバー24内の蒸着環境に、比較的均一に容積内に分散されているセレン蒸気を供給するマニホールドの一部をなす一般的に平行な細長いスパージャーチューブ(またはフィンガー)の端面を示している。それぞれのチューブは、1つまたは複数の直線上に相隔てて並ぶ排出口オリフィスを有し、それぞれのオリフィスは約1ミリメートル(1.0mm)の直径を有する。送達されるセレン蒸気は、セレンの単一のプール、場所、または貯留槽から導き出すことができ、これは、典型的には、昇華を通じて貯留槽内で蒸発する。セレン送達システムは、蒸着領域内に任意の好適なセレン圧力を発生するように構成することができ、大半の実施形態ではこの圧力は0.7〜2.0ミリトールの範囲内にある。
【0024】
ロールツーロール蒸着法を使用する場合の加工速度は、蒸着領域を通るウェブ平行移動速度とウェブ幅のみによって制限される。ウェブ平行移動速度は、蒸着領域の内側で生じる反応の詳細によって決定される、十分な皮膜蒸着に要する最短時間によって設定される。最大ウェブ幅は、幅方向に十分に均一な構成および厚さであるという要件によって制限され、実際には、25μmの厚さのステンレス鋼などの好適な基板材料の十分な幅広のロールを利用可能かどうかによっても制限されうる。CIGS蒸着に使用され、本発明の開示において説明されている蒸発技術を含む、いくつかの真空コーティング技術は、十分に均一な蒸着を行うように構成されている、オリフィス、つまり噴散口の配列を使用する蒸発源に依存する。ウェブの幅方向の蒸着の均一さ(十分な材料の蒸着と同時に)は、ウェブ幅方向に噴散口が相隔てて並ぶ場合、またそれぞれの噴散口の質量流が適切に制御されている場合に、達成されうる。
【0025】
蒸発源からの質量流量は、典型的には、噴散口の近くの噴散源の内側の温度に敏感に応じて変化する。したがって、噴散口の所定の幾何学的形状および構成に対して、流量は、一般的に、それぞれの口および/または噴散源における温度を注意深く制御することによって制御される。温度および他の因子に対する流量の依存性は、オリフィスを通る低圧ガス流の十分に確立されている理論から理解することができ、また一般的に、この理論に基づいて5または10%の範囲内にあると予測することができる。特に、真空内には、低圧ガス流が生じる3つの領域、つまり、(1)遊離分子領域、(2)遷移流領域、および(3)層流もしく完全粘性領域がある。定性的には、遊離分子領域は、気相衝突が十分に希であり、分子の壁への衝突のみが有意であるガス流を記述するものである。遷移流は、分子間衝突が、流れの挙動に影響を与える十分な頻度で生じるが、大気圧で、または大気圧に近い圧力で使用される完全粘性流体モデルによって正確に記述できるほどの頻度では生じない状況を記述する。
【0026】
適用すべき流れ領域の決定は、クヌーセン数
【0027】
【数1】

【0028】
を計算することによって行われるが、ただし、λは平均自由行程であり、Γはオリフィス半径である。Kn>1であれば、システムは、遊離分子領域内にあり、質量流量は、式
【0029】
【数2】

【0030】
によって記述されるが、ただし、Fはオリフィスを通る質量流量であり、Mは気体分子の分子量であり、Rは理想気体定数であり、Tは温度であり、p1およびp2はオリフィスのいずれかの側の圧力である。Kは、オリフィスのアスペクト比(L/Γ、Lはオリフィス長である)の関数で表される経験的に決定される定数である。L/Γが1.5未満の場合には、Kは
【0031】
【数3】

【0032】
で与えられる。L/Γ>1.5の場合には、
【0033】
【数4】

【0034】
で与えられる。
【0035】
0.01 < Kn < 1の場合、Fとp’の両方について解かなければならない2つの方程式
【0036】
【数5】

【数6】

【0037】
があるが、ただし、μは粘度であり、fdは壁から拡散的に反射される分子の割合であり(0.85 < f < 1)、Cは定数である(C = 20)。
【0038】
オリフィスを通る質量流量Feffを決定した後、噴散ビームの流束強度プロファイルを記述する、つまり、f=f(r,θ)を決定する必要があるが、ただし、fは流束であり、rは噴散オリフィスからの距離であり、θは方位角である。流束をθと噴散速度の関数として記述する方程式は、噴散速度を半球領域上の流束の積分に等しいと設定することによって得られる。流束がf=cosnθによって近似できると仮定すると、
【0039】
【数7】

【0040】
が得られる。式7においてaについて解くと、
【0041】
【数8】

【0042】
となる。nに対する値のアプリオリな予測は、完全には明確に定義されていないけれども、L/D=1に対する遷移流領域と遊離分子領域の両方に対する安全な近似は、n=2である。あるいは、流束分布関数の指数(n)は、3以上としてよい。
【0043】
与えられたノズルからの噴散速度は、関連するるつぼの内部の蒸気圧力の関数であり、この圧力は、そのるつぼ内の貯留槽の内側にある溶融材料の温度の関数である。したがって、特定の選択されたノズルサイズについて、予想される噴散速度は、本質的に、るつぼ内の温度の関数である。銅、ガリウム、およびインジウム源の噴散速度を予測することは、上記の方程式を直接的に解くことである。3つの要素の温度/蒸気圧力データは、文献中に容易に見つけ出すことができ、また圧力の単位をトール、温度の単位を℃として
【0044】
【数9】

【数10】

【数11】

【0045】
で近似することができる。
【0046】
上記の原理を適応すると、チャンバー24などのチャンバー内に提示される蒸着面に入射する蒸気流束は、本質的に、選択されたるつぼ内の(またより具体的にはそれぞれの噴散口における)温度、噴散口と意図された蒸着面との間の距離、および基板上の一点とそれぞれの噴散口とがなす角度の関数である。したがって、口と一定速度で蒸着領域を通過する基板ウェブの与えられた構成に対して、移動する基板材料の蒸着面に(まとめて)入射する金属蒸気の量は、本質的に、るつぼ内の溶融材料の温度の関数である。したがって、それぞれの噴散口における溶融材料の温度を注意深く制御し、蒸着領域を通過する基板材料の移送速度を実質的に一定に維持することによって、それぞれのるつぼから出る金属蒸気が移動する基板の適切な蒸着面に施される速度を容易に制御することができ、これにより、そのような材料の長さ方向にそって均一な厚さの薄層蒸着を形成することができる。
【0047】
絶縁または加熱素子の熱的な特性の変動、および蒸発材料の「溶融物」中の対流は、噴散口の近くの温度が異なること、したがって流量に影響を及ぼすことの原因となりうる。さらに、それぞれの噴散口の近くの噴散源内の温度は、噴散源の長さが大きくなるほど制御が次第に難しくなり、また最も遠い噴散口の間の物理的分離距離は、噴散源の他の寸法と比較して大きくなる。しかし、幅広のウェブは、典型的には、ウェブ幅全体にわたってコーティングするためにより長い噴散源を必要とし、流量制御の問題が生じる。以下の第III節でさらに詳しく説明されているように、本発明の教示は、複数の長さの短い噴散源を使用することにより、また所望の全体的な噴散速度を維持するためにそれぞれの噴散源の流量速度調節を独立して行えるようにすることによって、これらの問題の難しさを軽減しようとするものである。
【0048】
(III.マルチゾーン蒸着)
この節は、特定の例示的なマルチゾーン蒸着プロセスにおいて薄膜p型半導体層を基板上に蒸着するためのシステムおよび方法に関係する。すでに説明され、図2に概略が示されているように、半導体層は、一般的に、層のさまざまな成分を個別に、および/または重なり合う組み合わせで施すことによって順次蒸着することができる。図3は、そのような順次蒸着プロセスを実行するための装置のより詳しい概略側面図である。図3が示しているように、蒸着は7ゾーン手順で実行することができ、これら7つのゾーンのうちの6つのゾーンが、半導体層の一部分を蒸着するために使用され、7番目の中間ゾーンは、すでに蒸着されている層の1つまたは複数の特性を監視するために使用される。図3に示され、本明細書において説明されている7ゾーン手順は、例示的なものであり、有効なp型半導体層は7つよりも多いか、または少ないゾーンを有する類似の手順で蒸着することもできることは理解されるであろう。
【0049】
図3の例示的な手順では、図2に示されているより一般的な手順と同様に、ほぼ真空まで減圧された、典型的にはセレンガスによってもたらされる約0.7〜2.0ミリトール(700〜2000μTorr)までの範囲の圧力に減圧されたチャンバー100の蒸着領域R内に半導体層の蒸着が行われる。また図2の一般的な実施形態の場合と同様に、図3実施形態における蒸着は、ロールツーロール溶融液/蒸気同時蒸着プロセスを介して進行し、そこでは、基板ウェブ102は、繰り出しロール104から蒸着領域を通り巻き取りロール106へ移送され、繰り出しロールおよび巻き取りロールは両方ともチャンバー100内に配置されている。あるいは、繰り出しロールおよび巻き取りロールを、チャンバーの外側に、ただしチャンバーに近接して、蒸着することができる。基板加熱器103は、基板ウェブ102を加熱するために加工行程の1つまたは複数の場所に位置決めすることができる。
【0050】
この節で説明されている6つの蒸着ゾーンのそれぞれは、類似の基礎構造を有することができるが、材料源の数、材料源の蒸着材料、および材料源のゾーン内の配置に応じて変わりうる。それぞれのゾーンは、少なくとも2つの材料源、例えば、図4に示されている材料源を備えることができ、材料源から一定の距離を保ってそれぞれ材料源の上を通る、移動する基板ウェブ102上に堆積すべき分子の噴流を放出するように構成される。少なくとも2つの材料源のうちの2つを、ウェブの横断方向寸法または幅にわたって実質的に対称的に蒸着することができ、また移動する基板ウェブ102上に均一に蒸着される同じ蒸着材料を含むことができる。
【0051】
図4に示され、以下でさらに詳しく説明されているゾーンのような、いくつかのゾーンでは、2つの別々の蒸着材料をウェブ上に蒸着することができる。このような場合、4つの材料源を備え、2つの材料源からなる第1の一組の材料源は第1の蒸着材料を含むウェブの横断方向寸法または幅にわたって実質的に対称的に蒸着され、2つの材料源からなる第2の一組の材料源は第2の蒸着材料を含むウェブの横断方向寸法または幅にわたって実質的に対称的に蒸着される。2つの材料源からなる一組の材料源はそれぞれ、ウェブの幅全体にわたって異なる材料を蒸着するように構成されうる。単一の材料のみがウェブ上に蒸着される、他のゾーン内では、2つの材料源からなる単一の一組の材料源を用意し、ウェブ上に1つの材料を蒸着するよう構成することができる。
【0052】
それぞれの蒸着ゾーンは、個別の中身の詰まったエンクロージャ101内に封入することができる。一般的に、それぞれのエンクロージャ101は、移動する基板ウェブが通り過ぎるエンクロージャの上部にある開口を除き、関連する蒸着ゾーンを実質的に完全に取り囲むことができる。これにより、蒸着ゾーン同士を分離し、それぞれのゾーン内の温度およびセレン圧力などのパラメータを可能な限りうまく制御することができる。
【0053】
図3の例示的なチャンバー100は、蒸着領域R内の、少なくとも1つまたは複数の蒸着ゾーンを含む、7つの個別ゾーンに基板ウェブを通すことによってCIGS層を特に形成できるように設計されており、その結果、CIGS層の混合厚さは数百ナノメートルから数千ナノメートルまでの範囲内となる。以下では、図3に示されている7つのゾーン(110、112、126、128、132、134、および136) のそれぞれについて順次説明する。
【0054】
特に、第1のゾーン110は、フッ化ナトリウム(NaFI)の層をウェブ上に蒸着するように構成することができる。ナトリウムが存在すると、その後蒸着されるCIGS層の1つまたは複数における欠陥を補う形でp型キャリア濃度を改善し、PVセルの全体的効率を改善すると考えられる。NaFIの初期層は、最適であることがわかっている。あるいは、カリウム(K)またはリチウム(Li)が、ナトリウムと同様の目的に使用してもよい。さらに、セレン化ナトリウム(Na2Se2)、亜セレン酸ナトリウム(Na2SeO3)、セレン酸ナトリウム(Na2O4Se)、またはカリウムおよび/リチウムを組み込んだ他の類似の化合物などの、NaFIとは別の他の化合物もまた、p型キャリア濃度を改善するのに適していると思われる。
【0055】
図4に別に示されている第2のゾーン112は、ガリウムインジウム(GI)の1つの層をウェブ上に(またはより正確には、NaFlのすでに蒸着されている層上に)蒸着するように構成することができる。第2のゾーン112は、ウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に蒸着される2つのガリウム源114およびウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に同様に蒸着される2つのインジウム源116を備えることができる。また図4の第2のゾーン112には、一般的に118で示される、セレン(Se)源も示されている。セレン源118は、セレンガスを第2のゾーン112に供給するように構成される。バックグラウンドにセレンガスを用意することで、その結果、GI層とともにセレンが基板ウェブ上に蒸着される。
【0056】
GI(より具体的にはGIセレン化合物)は、ガリウムおよびインジウムをほぼ同時であるが別々に蒸着することで移動するウェブの同じ部分に蒸着することができる。しかし、図4に示されているように、ガリウム源114は、第2のゾーン112内のインジウム源116の少し前に配置され、これにより、少量のガリウムをインジウムの蒸着の前にウェブ上に蒸着させることができる。ガリウムは下にあるウェブに、またすでに蒸着されているNaFl分子によく接着するので、この配置構成をとることで、第2のゾーン内に蒸着されるGI層の接着力が全体として改善される。
【0057】
セレン源118は、セレンガスを第2のゾーン112に供給するように構成され、類似のセレン源も、チャンバー100内の第3、第5、第6、および/または第7のゾーン内に配置され、これにより、セレンガスをチャンバー100内の第3、第5、第6、および/または第7のゾーンに、約700〜2000μTorrの範囲内の圧力に達するまで供給することもできる。ゾーン内のそれぞれのセレン源は、独立監視および制御を行うことができる。バックグラウンドとしてセレンガスを供給すると、結果として、GIなどの他の源材料とともにセレンが蒸着し、これにより、蒸着した層は、セレン化インジウムガリウム、セレン化ガリウム、またはガリウムを多く含むセレン化インジウムガリウムを含むことができる。
【0058】
図4に詳しく示されているように、第2のゾーン112内の2つのガリウム源114のそれぞれおよび2つのインジウム源116のそれぞれ、およびより一般的にチャンバー100のゾーンのどれかの中のそれぞれの材料源は、一般に、るつぼまたは本体部120、および1つまたは複数の噴散口124を含む蓋122を備えることができる。
【0059】
それぞれの蒸着ゾーンはそれ自体、個別の中身の詰まったエンクロージャ101内に封入することができる。一般的に、それぞれのエンクロージャ101は、移動する基板ウェブが通り過ぎる、エンクロージャ101の上部にある開口101aを除き、関連する蒸着ゾーン、例えば第2のゾーン112を実質的に完全に取り囲むことができる。これにより、蒸着ゾーン同士を分離し、それぞれのゾーン内の温度およびセレン圧力などのパラメータを可能な限りうまく制御することができる。エンクロージャ101の上部の開口101aは、基板ウェブ102の幅と実質的に同じである幅を持つことができる。
【0060】
蒸着材料は、与えられた材料源の本体部120内で液化されるか、または他の何らかの形で蒸着され、噴散口124を通して蒸発材料の噴流で温度を制御しつつ放出される。すでに説明されているように、特定の幾何学的形状を持つ噴散口124から放出される材料の角度束はもっぱら噴散口および/または蒸着材料の温度の関数となっているため、これにより、蒸気噴流によって形成される蒸着層の厚さと均一さを制御することができる。
【0061】
図3に示されているように、第3の蒸着ゾーン126は、銅(Cu)の層を移動するウェブ上に蒸着するように構成することができる。第3の蒸着ゾーン126は、図4を参照しつつ説明されているガリウム源114およびインジウム源116と構造上類似しているか、または同一の構造である2つの材料源を備えることができる。特に、第3の蒸着ゾーン126は、ウェブの横断方向寸法または幅Wにわたって実質的に対称的に蒸着されている、蒸着材料銅を含む、2つの材料源を備えることができる。2つの材料源は、一般に、少なくとも1つの本体部と、1つまたは複数の噴散口を含む蓋を備えることができる。第3の蒸着ゾーン126は、セレン源も含みうる。
【0062】
銅の材料源は、基板ウェブ102が第3のゾーン126内に入る側に比較的近い第3のゾーン126内に蒸着されうるが、あるいは、類似の効果を求めて第3のゾーン126の出口側よりに蒸着されうる。しかし、第3のゾーン126の進入側に比較的近い銅源を備えることによって、銅原子は、その後の層の蒸着の前に下地層を通して拡散するためにわずかに長い時間を要し、ひいては最後のCIGS層の好ましい電子性質が得られる。
【0063】
第4のゾーン128は、一般に130で示されている、1つまたは複数のセンサーが、すでに蒸着されている材料層の一部または全部の厚さ、均一さ、または他の特性を監視する感知ゾーンとして構成されうる。典型的には、このようなセンサーは、検出された厚さの変化に応じて、下流ゾーンおよび/または上流ゾーン内の適切な蒸着源の温度を調節することによって、ウェブ上のすでに蒸着されている銅、インジウム、およびガリウムの有効厚さを監視し、制御するために使用できる。その幅全体にわたってウェブの特性を監視するために、ウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に蒸着されているウェブの幅方向に広がるそれぞれの施される材料の2つまたはそれ以上の材料源に対応して2つまたはそれ以上のセンサーを使用することができる。第4のゾーン128は、図6を参照しつつ以下でさらに詳しく説明する。
【0064】
第5のゾーン132は、ウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に蒸着されている一対の材料源から、第3のゾーン126内に蒸着されている銅の層に比べて幾分厚さが薄い、銅の第2の層を蒸着するように構成することができる。第3のゾーン126で説明されている銅源と同様に、第5のゾーン132内の2つの銅源は、基板ウェブの幅方向にわたる複数の噴散口から銅噴流を放出するように構成することができる。さらに、銅源は、銅蒸着からその後の層蒸着までに比較的時間的余裕があるように第5のゾーン132の進入側に蒸着することができる。第5の蒸着ゾーン132も、セレン源を含みうる。
【0065】
第6のゾーン134は、ガリウムインジウムの第2の層をウェブ上に蒸着するように構成することができる。作製時に、第6のゾーン134は、第2のゾーン112と類似していてもよい。第6のゾーン134内に蒸着されたガリウムインジウム層の厚さは、第2のゾーン112内に蒸着されたGI層の厚さに比べて小さくてもよい。第6のゾーン134では、ガリウムおよびインジウムは、第2のゾーン112内に放出されるガリウムおよびインジウムの噴散温度に関して幾分低い噴散温度で放出されうる。このように比較的低い温度であるため、噴散速度が低くなり、したがって、蒸着材料の層が比較的薄くなる。このような比較的低い噴散速度では、pn接合の近くで銅/ガリウム+インジウム比(Cu:Ga+In)およびガリウム/ガリウム+インジウム比(Ga:Ga+In)などの比を細かく制御することができ、それぞれ結果として得られるPVセルの電子性質に影響を及ぼしうる。第2のゾーン112の場合のように、ガリウムは、ウェブ行程にそってインジウムに比べてわずかに早く放出され、これにより、分子の下地層への良好な接着を助長することができる。
【0066】
第7のゾーン136は、第2のゾーン112および第6のゾーン134の一方または両方と構造上類似していてもよく、ガリウムインジウム(GI)の第3のゆっくりと成長する高品質層を基板ウェブ上に蒸着するように構成できる。いくつかの実施形態では、この最終蒸着ゾーンおよび/またはGI層は、蒸着プロセスから省いてもよく、またはインジウム単独の層を第7のゾーン136内に蒸着してもよい。第6のゾーン134の場合のように、ガリウムおよび/またはインジウムの比較的薄い、注意深く制御された層を施すことによりで、pn接合の付近で(Cu:Ga+In)および(Ga:Ga+In)などの比を制御することができる。これは、例えばCIGS層の厚さ全体を通して電子バンドギャップの微調整を行えるようにすることで、有益な影響をセルの効率に及ぼしうる。さらに、GIの最終層は、p型CIGS半導体の形成を完成させるために施される最後の層であり、CIGS層の上のn型半導体層をさらに施すとその後形成されるpn接合に隣接する位置で比較的低い欠陥密度を有するGIの薄層を形成するうえで有利であることがわかった。
【0067】
図4に示されているように、第2のゾーン112は、ウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に蒸着される2つのガリウム源114およびウェブの横断方向寸法にわたって実質的に対称的に蒸着される2つのインジウム源116を備えることができる。言い換えると、同一の蒸着材料を含む2つの材料源は、基板ウェブ102の幅にわたって延在し、均一な厚さを有するウェブの幅全体にわたって材料の1つの層を形成することができる。ゾーン内のそれぞれの材料源の噴散速度および/または温度を含む、操作は、同じ蒸着材料を有するゾーン内の第2の材料源と無関係に制御され、および/または監視されうる。例えば、それぞれのガリウム源114aは、第2のガリウム源114bに備えられる加熱素子と無関係に調節可能である加熱素子を備えることができる。
【0068】
少なくとも2つの独立して動作可能な加熱源はウェブ幅にわたって同じ蒸着材料を含む、この基本構造は、材料がウェブ上に蒸着されるチャンバー100のゾーン(蒸着ゾーン110、112、126、132、134、および136)のそれぞれに共通であるものとしてよい。ウェブの幅にわたって実質的に対称的に蒸着されている材料の2つの独立した材料源を備えることによって、それぞれの蒸着される材料の厚さは、ウェブのそれぞれの側で独立して監視することができ、それぞれの材料源の温度は、それに応じて独立して調節することができる。これにより、使用するウェブの幅を広げることができ、ひいては、それに対応して、材料の厚さの均一さを損なうことなく、単位面積当たりの加工速度を高めることができる。
【0069】
次に図5を参照すると、感知ゾーン128は、ゾーン110、112、および126のうちの1つまたは複数に蒸着される材料の層を監視するように構成されたセンサーを備えることができることがわかる。いくつかのタイプのセンサーの例として、X線蛍光、原子吸光分光法(AAS)、平行回折分光偏光解析法(PDSE)、IR反射率測定法、電子衝撃発光分光法(EIES)、視射角のあるものと従来のものの両方のその場 X 線回折(XRD)、その場時間分解フォトルミネッセンス(TRPL)、その場分光反射率測定法、表面電位用のその場ケルビンプローブ、およびプロセス終点検出のための放射率のその場監視のうちの1つまたは複数が挙げられる。感知ゾーン128は、角度付きポリイミドセンサーシールドなどの感知シールドをさらに備えることができる。感知ゾーン128は、水冷式エンクロージャを使用することができる。図6に示されているように、感知ゾーン128は、ウェブ102上に蒸着される材料の、例えば層均一さに関係する、特性を示すデータを収集するように構成された監視ステーション130を有する。好ましい一実施形態では、監視ステーション130は、それぞれの蒸着ゾーン内の基板ウェブの幅にわたって実質的に対称的に蒸着される材料の2つの独立して制御可能な材料源からなる一組の材料源に対応する、ウェブの幅にわたって複数のセンサー130aおよび130bを備え、これにより、ウェブの幅にわたって層の均一さを監視し、制御することができる。
【0070】
特に、感知ゾーン128内の監視ステーション130は、センサー130aおよび130bを備えることができる。1つまたは複数のコンピュータ131が、蒸着層のうちの1つまたは複数の層の、厚さなどの特性を監視する監視ステーションからのデータを分析し、その後、蒸着ゾーン110、112および/または126内の対応する材料源の噴散速度および/または温度を調節するように構成されうる。それに加えて、下流蒸着ゾーン132、134、および/または136内の対応する材料源の噴散速度および/または温度は、感知ゾーン128内のセンサーによって監視される特性を考慮して調節することができる。
【0071】
それに加えて、および/またはその代わりに、巻き取りロール106の直前にある第2の類似の監視ステーションを使用することができる。ゾーン128内の監視ステーション130と同様に、監視ステーション140も、それぞれの蒸着ゾーン内のウェブの幅にわたって実質的に対称的に蒸着されるそれぞれの材料の2つの独立して制御可能な材料源に対応する、ウェブの幅にわたって設けられた2つのセンサーを備えることができる。監視ステーション140は、ゾーン132、134、および136、および/またはゾーン110、112、および126のうちの1つまたは複数のゾーン内に蒸着される材料の層の1つまたは複数の特性を監視する。監視ステーション130は、ゾーン112および126内に蒸着されるガリウムインジウムおよび銅材料層の特性を監視することができるが、監視ステーション140は、ゾーン132および134内に蒸着される銅およびガリウムインジウム材料層の1つまたは複数の特性を連携して監視する。
【0072】
図6の流れ図は、基板上に薄膜半導体層を蒸着する例示的な方法を示しており、これは本発明の開示によるフィードバックシステムを備える。前の方で説明されているように、蒸着層の厚さなどの特性は、蒸着材料を含む材料源の噴散速度に少なくとも一部は依存する。材料源の噴散速度は、材料源の温度を変更することによって変更することができる。1つまたは複数のフィードバックシステムを備えるシステムは、例えば材料源の温度を調節することによって、材料の蒸着層の監視特性に対応して材料源の噴散速度を調節するように構成することができる。図6に示されている方法を使用すると、材料層の蒸着をより一貫して均一な蒸着にすることができる。
【0073】
図6は、薄膜半導体材料を蒸着するための好ましい方法および手順150を示している。ウェブ材料は、すでに説明され、例示されているように、一連の蒸着ゾーンおよび感知ゾーンを通して供給される。このプロセスにおける第1のステップ152は、例えばウェブ上に塩化ナトリウムの形のアルカリ金属を蒸着することを伴う。第2のステップ154において、セレンガスの存在下でガリウムおよびインジウムの層を蒸着する。第3のステップ156において、セレンガスの存在下で、ガリウムインジウム層の上に銅層を蒸着する。次の監視ステップ158で、第1の2つのステップで形成される層の品質を監視し、制御する。監視ステップ158で生成されるデータは、コントローラ160によって使用され、および/または処理され、これによりプロセスが続くときにステップ154および156のフィードバック制御および/または補正/調節を行うことができる。
【0074】
監視ステップ158の後に、ステップ162は、セレンガスの存在下で第2の銅層の蒸着を実行する。ステップ162の後に、セレンガスの存在下でのガリウムおよびインジウムの一連の2つのステップ164および166が続く。図6に示されているように、最終の監視ステップ168が実行され、特にステップ162、164、および166で作製される層に関して、コントローラ160を介して、監視および制御機能をさらに実行する。
【0075】
図7は、フレキシブル基板に対する処理行程を画定する移送誘導構造を含む薄膜半導体層を蒸着するためのシステムを示している。移送誘導構造200は、基板ウェブ204上で所望の張力を維持するよう構成されうる。所望の張力は、基板ウェブの幅に依存する可能性があり、例えば、幅30cmの基板ウェブは、約30〜35lbsの所望の張力を有することができる。ウェブ上の張力の維持は、ウェブの反りの低減を可能にし、および/または蒸着ゾーン内の蒸発材料の蒸着のために実質的に平坦な表面を維持するのに役立つ。
【0076】
移送誘導加工行程は、一般に湾曲している非平面状の全体的構成で多数のローラーの周りに巻き付くものとしてよい。基板ウェブは、それぞれのゾーンの間で基板ウェブの平坦さと適切なウェブ誘導を維持するためにゾーン遷移領域内で移送ローラーの周りに少なくとも部分的に巻き付くようにできる。巻き付き角度は、基板ウェブ移動速度と同じ速度で自由ローラーが回転するように限界的に十分な摩擦を発生することができる。移送ローラーは、非駆動であってもよく、基板ウェブ移動と同じ速度で自由に回転することができる。ローラーが、移動する基板ウェブと同じ速度で移動しない場合、基板ウェブは、1つまたは複数のローラー間でスライドすることができ、ウェブの背面をひっかく。これらは、ひっかいて前側へ「プリントスルー」をもたらし、そのため、CIGSコーティングに欠陥が生じて太陽電池セルの効率を低下させる。
【0077】
本発明の開示によれば、移送誘導構造200は、フレキシブル基板ウェブ204を蒸着領域R内に供給するように構成された繰り出しロール202を備え、巻き取りロール206は、このプロセスの終わりに基板ウェブ204を受け取るように構成される。繰り出しロール202および巻き取りロール206は、独立したいくつかのモーターによって駆動されうる。移送ローラー208は、基板ウェブ204の加工行程にそって相隔てて並ぶ間隔で配置されうる。この相隔てて並ぶ間隔は、一般的に長さ方向に均一であり、および/または1つまたは複数の蒸着もしくは感知ゾーンを備えることができる。
【0078】
移送ローラーのチャンバー200内への配置は、一対の隣接移送ローラーが相隔てて並ぶ間隔またはゾーン内で水平方向に関して基板ウェブを特定の角度で向き付けるように構成されうる配置である。水平方向に関する基板材料の角度は、移送ローラーの配置に応じてそれぞれのゾーンの間で変化しうる。図3と同様の、図示されている実施形態では、チャンバー200は7つのゾーンを含む。水平方向に関する基板材料の角度は、それらのゾーンの間の度数だけ徐々に変化しうる。漸進的変化αは、同じであってもよく、例えば、α1〜α6はローラー毎に(回転毎に)約7度に等しいものとしてよい。あるいは、それぞれのゾーンα1〜α6の間の度数の変化も生じうる。しかし、水平方向に関する基板材料の角度は、それほど大きくない場合があり、その結果、蒸発材料を基板上で均一に蒸着することができないことがある。
【0079】
移送ローラー材料は、SUS304ステンレスなどのステンレス鋼を含むことができる。移送ローラーそれ自体の形状は、基板上の中央の平坦な表面領域が蒸発材料を確実に蒸着するように構成されうる。わずかなテーパーを付けたローラーは、ウェブを中心線からローラーエッジ方向へ「引っ張り」、ウェブを平坦に保持することがしやすくなるようにウェブ上の張力を分配することによってウェブ張力と中央の平坦な表面領域を維持することができる。例えば、テーパーは、直径3”のローラーのエッジのところで約0.003”の曲率によって形成することができる。
【0080】
(IV.材料源)
この節では、p型半導体蒸着プロセスにおいて基板ウェブ上に蒸着される蒸気噴流を放出する噴散口の温度を制御するための方法および装置について説明する。
【0081】
すでに説明され、図2に概略が示されているように、半導体層は、一般的に、層のさまざまな成分を個別に、および/または重なり合う組み合わせで施すことによって順次基板ウェブ上に蒸着することができる。図2は、単一のチャンバー24内で行われる蒸着を示しているが、その代わりに、1つまたは複数の材料がそれぞれのゾーン内に蒸着される、一連の分離された(つまり、個別の)蒸着ゾーン内で蒸着を行うことができる。図4は、1つまたは複数の半導体材料を基板ウェブ102上に蒸着するための例示的な個別蒸着ゾーン112を示す斜視図である。図4は、その周囲エンクロージャを持つゾーン112を破線で示している。
【0082】
図4のゾーン112は、基板ウェブ102上にセレン化ガリウムインジウム(GI)の層を蒸着するように構成されている(材料のすでに蒸着されている層を含む)。GIは、ガリウムおよびインジウムをほぼ同時であるが別々に蒸着することで移動するウェブの同じ部分に蒸着される。しかし、図4に示されているように、ガリウム源114は、蒸着ゾーン内のインジウム源116の少し前に配置され、これにより、少量のガリウムをインジウムの蒸着の前にウェブ上に蒸着させることができる。セレン源118は、ガリウム源114の前に配置することができ、セレンガスを第2のゾーン112に供給し、最大で約700〜2000μTorrの範囲内の圧力になるように構成することができる。バックグラウンドにセレンガスを用意することで、その結果、GI層とともにセレン化物が蒸着される。ガリウムまたはセレン化ガリウムは下にあるウェブによく接着するので、この配置構成をとることで、第2のゾーン内に蒸着されるGI層の接着力が全体として改善される。
【0083】
ゾーン内のそれぞれのガリウムおよびインジウム源は、るつぼまたは本体部と、1つまたは複数の噴散口を含む蓋を備える。蒸着材料は、与えられた材料源の本体部内で液化されるか、または他の何らかの形で蒸着され、噴散口を通して噴流で温度を制御しつつ放出される。それぞれのゾーンはそれ自体、個別の中身の詰まったエンクロージャ内に封入することができる。一般的に、それぞれのエンクロージャは、移動する基板ウェブが通り過ぎるエンクロージャの上部にある開口を除き、関連する蒸着ゾーンを実質的に完全に取り囲む。これにより、蒸着ゾーン同士を分離し、それぞれのゾーン内の温度およびセレン圧力などのパラメータを可能な限りうまく制御することができる。蒸着材料は、与えられた材料源の本体部内で液化されるか、または他の何らかの形で蒸着され、噴散口を通して噴流で温度を制御しつつ放出される。すでに説明されているように、特定の幾何学的形状を持つ口から放出される材料の角度束はもっぱら温度の関数となっているため、これにより、蒸気噴流によって形成される蒸着層の厚さと均一さを制御することができる。
【0084】
図8〜13は、加熱噴散源300の一部分を拡大して示しており、例は基板ウェブ上に蒸着される材料の蒸気噴流を発生するために噴散源114または116いずれか1つを含む。これらの材料源は、ガリウムまたはインジウムの噴流を発生するために適しているものとしてすでに説明されているけれども、噴流はより一般的には例えばフッ化ナトリウム、ガリウム、インジウム、銅、またはこれらの材料の2つまたはそれ以上のものの組み合わせで構成することができる。
【0085】
材料源114および116の場合のように、源300は、本体部302および噴散口306が一体になっている蓋304を有する。それぞれの噴散口306は、蓋304と一体になっている加熱素子308の2つの補完的なループ状部によって形成されうる。このような構成では、蓋304は、「ヒータープレート」とも呼ばれうる。加熱素子308は、本体部302内の源材料へ直接輻射することができるか、または加熱素子308は、熱を蓋304に輻射し、さらにこれが源材料に再輻射するようにできる。加熱素子308は、蓋304内に完全に収納されうるか、あるいは、加熱素子308の一部または全部を露出させ、および/または源材料および/または蒸着領域Rの方へ延在することができる。
【0086】
図10から最もよくわかるように、加熱素子308は、基部高さ部分308aと基部高さ部分308aより上に延在するノズルまたは口高さ部分308bを有するものとしてよい。基部高さ部分308aおよび口高さ部分308bは、いっしょになって、噴散口306の壁を形成しうる。口高さ部分308bは、基部高さ部分308aより約6mm(2〜25mm)上に延在することができる。加熱素子308の底面の表面積は、約23.87cm2としてよい。蓋304は、112.69cm2の面積(上面において)を有し、また下面に対する水平面の法線方向では112.69cm2の面積を有するものとしてよい。
【0087】
蓋304の材料として、例えば、イリノイ州エルジン所在のIbiden Corporation社によって製造されているET10グラファイトなどのグラファイトが挙げられる。この下地グラファイトは、加熱噴散に随伴する極端な条件に耐えるように設計されている、熱分解窒化ホウ素などの材料でコーティングすることができる。蓋の材料は、導電性であり、したがって、蓋304は、自立型の加熱器としてだけではなく一体化された噴散口を持つ蓋としても機能しうる。蓋304に含まれる絶縁材は、グラファイトまたは炭素フェルトを含むことができる、絶縁層303の形態の加熱素子308の基部高さ部分より上にある噴散口126の少なくとも外側を囲むものとしてよい。
【0088】
絶縁層303は、グラファイト薄箔の上層303aも含みうる。噴散口306は、噴散口の一番上の部分より下に蓋および/または絶縁材の一番上の部分を保持するように構成されうる。絶縁材の一部または蓋が噴散口開口部より上に延在する場合には、噴散する金属が蓄積し、突起部の周りに急速に凝結する。噴散する材料の凝結を避けるために、噴散する金属蒸気流に暴露されうる最終的な固体要素は、加熱された噴散口でなければならない。特に、噴散口306の少なくとも1つの壁の外側は、噴散口306の最上位レベルのすぐ下にグラファイト薄箔層303aを保持するように構成されたリップ部314を備えることができる。薄箔層303aは、次に、口の最上位レベルより下の加熱された口の周りに対して必要な絶縁を保持する(グラファイトフェルトなど)。
【0089】
蓋/加熱器に電力を供給するために、一対の電気接点210が蓋の中央部分の方へ延在するものとしてよい。これらの接点は、一般に、蓋に電圧を印加して蓋を抵抗加熱する電流を発生するように構成される。したがって、印加電圧および/または電流を制御することによって、噴散口を備える蓋を所望の温度まで加熱することができる。電気接点を蓋の対称中心点(片側にではなく)に設けることによって、抵抗損失効果も対照的でなければならず、その結果、両方の噴散口に対して実質的に等しい温度を生じる。
【0090】
それぞれの噴散口306は、加熱素子308の2つの補完的なループ状部によって形成されうる。それぞれの口は、両方の口に対して実質的に等しい温度となるように一対の電気接点210から等しい距離だけ相隔てることができる。ループ状部の湾曲は、加熱素子のもろさまたはひび割れを避けるように構成することができ、例えば、湾曲は段階的であるか、またはC字型とすることができる。加熱素子のループ状部は、誘電体材料を含む電気的に絶縁されたギャップ212によって互いに電気的に絶縁することができる。加熱素子308によって形成される噴散口306の高さおよび形状は、移動する基板上に蒸発材料を均一に蒸着するように構成されうる。
【0091】
図8〜13に示されている構造は、多数の望ましい特徴を有することができる。加熱器を蓋の中に組み込むことによって、噴散口306の温度に対する直接的な制御が行える。したがって、別個の加熱器(例えば、噴散口の周り、または他の何らかの形で噴散口に近接近している)を使用するシステムと比較して、本発明の構成では、応答時間を高速化し、温度制御の精度を高めることができる。それに加えて、例示されている構造は、上に載る基板ウェブを左右に均一にコーティングする材料噴流を発生するように注意深く設計されている噴散口306を備える。これは、噴散口の寸法を注意深く選択するだけでなく、口と口との間隔を材料源エッジからの、また互いからの適切に選択された距離だけあけることによって達成される。3つまたはそれ以上の噴散口ではなく、ちょうど2つの噴散口を選択した場合も、それぞれの材料源中のエッジ効果が等しいため口の温度が実質的に等しくなりうる。さらに、口/加熱器の一体となる組み合わせでは、噴散流束に曝される口表面において高い温度を維持し、これにより、システムの品質にマイナスの影響を及ぼす、蒸発物の凝結とその後の「スピッティング」を防止する。
【0092】
図11〜13は、基板ウェブの幅にわたって実質的に対称的に蒸着される少なくとも2つの加熱源を備えるシステムの異なる実施形態を例示している。図11〜13に示されているように、基板ウェブのエッジは、一番外側の噴散口のほぼ外側のエッジまで延在しうる。他の実施形態では、基板ウェブのエッジは、一番外側の噴散口の外側のエッジを超えて延在しうる。このような実施形態では、基板ウェブのエッジは、その後の加工時に切り落とされうる。
【0093】
また図11〜13には、方向矢印で示されている、加工行程の幅にわたる噴散口の配列の例示的な分布が示されている。噴散口配列の均一な分布により、外側または側部よりも加工行程の最も中央の領域内で材料の濃度が高くなりうる。したがって、加工行程の幅にわたる噴散口配列の分布は、材料源ウェブ間距離について基板ウェブ上のコーティングの厚さが均一になるように構成されうる。いくつかの場合において、加工行程の中心の配列の最も中央にある噴散口の間の間隔は、加工行程の横領域内の配列の外側にある噴散口の間の間隔よりも大きくなければならない。この構成により、より均一にコーティングされた基板ウェブが作製される。最適な層均一さが得られるように、単一ノズルオリフィスからの蒸気密度関係を使用し、次いで、複数の口から複数の噴流の重ね合わせを想定して与えられた蒸着領域上の全体的な予想金属厚さを求めることによって、ノズル間隔距離を計算することができる。
【0094】
本出願は、参照により、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、および特許文献15もそれらの全体を組み込む。
【0095】
上で述べた開示は、他に依存しない有用性を有する複数の異なる発明を包含することができる。これらの発明のそれぞれは、好ましい形態で開示されているけれども、本明細書で開示され、例示されているようなその特定の実施形態は、多くの変更形態が可能であるため、限定的に考えるべきではない。発明の主題は、本明細書で開示されているさまざまな要素、特徴、機能、および/または特性のすべての新規性のある、また非自明である、組み合わせおよび部分的な組み合わせを含む。以下の請求項では、新規性があり、非自明であるものとみなされるいくつかの組み合わせおよび部分的な組み合わせを特に指摘する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組み合わせおよび部分的な組み合わせで具現化される発明は、本出願、または関連出願からの優先権を主張する出願において請求されうる。このような請求項も、異なる発明を対象としようと、同じ発明を対象としようと、また続くオリジナルの番号が振られた段落への範囲が広かろうと、狭かろうと、等しかろうと、異なろうと、本開示の発明の主題の範囲内に含まれるものとみなされる。さまざまな薄層蒸着用途に関して、上で説明され、また以下の請求項で説明されている特定の蒸着ゾーン構成に加えて、蒸着ステップおよびゾーンの異なる組み合わせを使用することができる。説明され、図示されている例に含まれる特定のステップのどれもが、すべての用途にとって不可欠であるというわけではない。ステップ/ゾーンの順序、ステップ/ゾーンの組み合わせ、およびステップ/ゾーンの数は、目的が異なれば変わりうる。ときには、蒸着ゾーンの数を増やしつつ、それぞれのゾーンに蒸着される材料の量を減らすことが有益な場合もある。また、ウェブの幅にわたって材料を蒸着するために使用される材料源の数を増やすことが有益な場合もあり、その際に加熱器温度のオンザフライ調節を実行するために複数の対応する監視デバイスを使用する場合も使用しない場合もあるが、結果としてウェブ上の薄層の均一さを改善することができる。説明されている監視ステーションを介して、他の変数、例えば、ウェブ移送速度、圧力、セレンガス排出量、ウェブ温度なども制御することができる。
【符号の説明】
【0096】
R 蒸着領域
10 セル
12 上面
14 底面
16 リーディングエッジ
18 トレーリングエッジ
24 チャンバー
25 矢印
60 繰り出しロール
68 下流の巻き取りロール
70、72、74、76、78、79、81 構造
100 チャンバー
101 個別の中身の詰まったエンクロージャ
101a 開口
102 基板ウェブ
103 基板加熱器
104 繰り出しロール
106 巻き取りロール
110 第1のゾーン
110、112、126、128、132、134、136 ゾーン
112 第2のゾーン
114 ガリウム源
114a、114b ガリウム源
116 インジウム源
118 セレン源
120 本体部
122 蓋
124 噴散口
126 第3のゾーン
128 第4のゾーン
132 第5のゾーン
134 第6のゾーン
136 第7のゾーン
130 監視ステーション
130a、130b センサー
131 コンピュータ
140 監視ステーション
150 手順
152 第1のステップ
154 第2のステップ
156 第3のステップ
158 監視ステップ
160 コントローラ
162、164、166 ステップ
200 移送誘導構造
202 繰り出しロール
204 基板ウェブ
206 巻き取りロール
208 移送ローラー
210 一対の電気接点
212 ギャップ
300 加熱噴散源
302 本体部
303 絶縁層
304 蓋
306 噴散口
303a グラファイト薄箔層
308 加熱素子
308a 基部高さ部分
308b 口高さ部分
314 リップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記容器を覆うように構成され、少なくとも1つの噴散ノズルを形成する加熱素子を有する蓋とを備える物理的気相成長のための容器。
【請求項2】
前記加熱素子は、2つのノズルを形成し、それぞれのノズルは前記加熱素子の個別のループ部分によって形成される請求項1に記載の容器。
【請求項3】
それぞれのノズルは、誘電体材料によって隔てられた加熱素子部分によって形成される請求項2に記載の容器。
【請求項4】
それぞれの加熱素子は、基部を有し、それぞれのノズルは前記基部から上方へ2mmから15mmの範囲の距離だけ突き出る請求項2に記載の容器。
【請求項5】
それぞれの加熱素子は、基部を有し、それぞれのノズルは前記基部から上方へ突き出ており、前記蓋に被さる箔カバーを保持するための外部リップ部を有する請求項2に記載の容器。
【請求項6】
前記容器内に収容される材料を蒸発させるために前記容器に供給される熱の実質的にすべてが、前記蓋内の加熱素子によって供給される請求項1に記載の容器。
【請求項7】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記収容器を覆うように構成され、一対の電気接点の間に回路を形成する加熱素子を有し、前記2つの電気接点から等距離にある1つの点が前記2つの電気接点の間に画定され、前記加熱素子は前記点から等距離のところに相隔てて並ぶ2つの噴散口を形成する蓋とを備える物理的気相成長のための噴散装置。
【請求項8】
それぞれの噴散口は、前記加熱素子の2つの補完的なC字型部分によって形成され、前記C字型部分は互いから電気的に絶縁される請求項7に記載の噴散装置。
【請求項9】
前記収容器は、2つの長い側壁と2つの短い側壁によって画定される矩形を有し、前記電気接点は前記長い側壁のうちの一方にそって中央にある前記蓋に隣接する位置に配置される請求項7に記載の噴散装置。
【請求項10】
前記収容器および蓋は、第1の容器を形成し、
前記第1の容器と同じように構成された第2の容器をさらに備え、前記第1の容器および前記第2の容器は4つの噴散口からなる組み合わされた直線的配列を形成するように互いに相隔てて並ぶ請求項7に記載の噴散装置。
【請求項11】
4つの噴散口の前記配列は、第1のノズル、第2のノズル、第3のノズル、および第4のノズルを備え、前記第1のノズルと前記第2のノズルとの間の第1の距離は前記第3のノズルと前記第4のノズルとの間の第2の距離に等しく、前記第2のノズルと前記第3のノズルとの間の第3の距離は前記第1の距離よりも大きい請求項10に記載の噴散装置。
【請求項12】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記収容器を覆うように構成され、一対の噴散ノズルを形成する加熱器構成を有し、それぞれのノズルが各対の電気接点と同じ空間的関係を有する、蓋とを備える物理的気相成長のための噴散装置。
【請求項13】
それぞれのノズルは、個別の加熱素子によって加熱される請求項12に記載の噴散装置。
【請求項14】
前記ノズルは、同じ加熱素子によって加熱される請求項12に記載の噴散装置。
【請求項15】
それぞれの噴散ノズルは、加熱素子の2つの補完的なC字型部分によって形成され、前記C字型部分は互いから電気的に絶縁される請求項12に記載の噴散装置。
【請求項16】
それぞれの噴散ノズルは、加熱素子の専用ループ状部分によって形成される請求項12に記載の噴散装置。
【請求項17】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記収容器を覆うように構成され、一対の噴散ノズルを形成する加熱器構成を有し、それぞれのノズルが前記加熱器構成における加熱素子の個別のループ状部分によって形成される、蓋とを備える物理的気相成長のための噴散装置。
【請求項18】
それぞれのノズルに対する前記ループ状部分は、同じ加熱素子内に形成される請求項17に記載の噴散装置。
【請求項19】
前記加熱器構成は、単一の加熱素子を有する請求項17に記載の噴散装置。
【請求項20】
それぞれのノズルは、個別の加熱素子から形成される請求項17に記載の噴散装置。
【請求項21】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記収容器を覆うように構成される蓋であって、前記蓋は前記蓋の主平面から上に延在する1つまたは複数のノズルを形成する加熱素子を有し、前記ノズルは前記収容器から蒸発金属を前記収容器の上の基板上に噴散するように構成されている、蓋とを備える物理的気相成長のための噴散装置。
【請求項22】
前記加熱素子は、2つのノズルを形成する請求項21に記載の噴散装置。
【請求項23】
それぞれのノズルは、前記加熱素子のループ状部分によって形成される請求項21に記載の噴散装置。
【請求項24】
それぞれのノズルは、誘電体材料によって隔てられた湾曲した加熱素子部分によって形成される請求項21に記載の噴散装置。
【請求項25】
基板上に蒸着される物質を収容するための収容器を形成する、それぞれが前記収容器からの熱損失を制限するための絶縁材料を有する底壁および側壁と、
前記容器を覆うように構成され、基部から上に延在する複数の噴散ノズルを形成する加熱素子を有する蓋と、
前記蓋を実質的に覆い、前記ノズルのそれぞれが側壁、およびオリフィスを囲む上部表面を有し、前記上部表面および開口を遮ることなくそれぞれのノズルの前記側壁から上へ延在する絶縁材料とを備える物理的気相成長のための容器。
【請求項26】
それぞれのノズルは、前記側壁の上部に蓋部分を有し、前記絶縁材料は前記蓋部分の上へ延在し、
前記絶縁材料を覆う箔層をさらに備え、前記箔層のエッジ部分はそれぞれのノズルの上部表面の下で前記リップ部分によって保持される請求項25に記載の容器。
【請求項27】
フレキシブル基板をロールアウトデバイスとロールアップデバイスとの間の加工行程に通して平行移動するための装置と、
前記加工行程にそって平行移動するときに前記基板上に蒸着する材料を収容するために加工行程の下に配置される第1の絶縁容器と、
前記容器上の蓋であって、第1の平面が前記蓋に垂直に、前記加工行程に平行になるように画定される蓋と、
移動する基板上に材料を蒸着するために噴散口の配列を形成する前記蓋の中の加熱素子構成とを備え、前記加熱素子構成および噴散口の前記配列は前記第1の平面に関して対称的である移動するウェブ上への物理的気相成長のためのアセンブリ。
【請求項28】
前記噴散口は、前記基板の実質的幅部分にわたって材料の均一な蒸着を行うように分布する請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記第1の平面は、前記蓋を等分する請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記配列は、前記第1の平面に関して対向する等距離の位置に配置される2つの噴散口を備える請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記加熱素子構成は、一対の電気接点の間に引き回される1つの加熱回路を備える請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記第1の容器と同じように蓋および加熱素子とともに構成される第2の容器をさらに備え、両方の蓋の中の前記噴散口は前記加工行程に対し垂直な直線上に構成される請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記噴散口は、前記基板の実質的幅部分にわたって材料の均一な蒸着を行うように分布する請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項34】
フレキシブル基板をロールアウトデバイスとロールアップデバイスとの間の加工行程に通して平行移動するための、直線が基板の移動方向に平行な加工行程の中心を通る、装置と、
前記直線に関して対称的に配置され、前記基板の実質的な幅部分にわたって材料の均一な蒸着をもたらすように分布し、それぞれのノズルが加熱素子の専用ループ状部分によって形成される壁を有する噴散ノズルの配列とを備える移動するウェブ上への物理的気相成長のためのアセンブリ。
【請求項35】
一対の噴散ノズルは、単一の加熱素子によって形成される請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項36】
それぞれの噴散ノズルは、個別の加熱素子によって形成される請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項37】
噴散ノズルの前記配列は、単一の材料源から生じる請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項38】
噴散ノズルの配列は、前記加工行程にわたって隣り合わせで並ぶ2つの材料源から生じる請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項39】
前記配列内の前記ノズルは、前記基板の実質的幅部分にわたって材料の実質的に均一な蒸着を行うように前記ウェブにわたって相隔てて並ぶ請求項38に記載のアセンブリ。
【請求項40】
前記加工行程は、横領域の間に中央領域を有し、前記配列内のノズルは前記加工行程にわたって相隔てて並び、前記加工行程の中央領域内のノズルの間の間隔は前記加工行程の前記横領域内の近くのノズルの間の間隔より大きい請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項41】
フレキシブル基板をロールアウトデバイスとロールアップデバイスとの間の加工行程に通して平行移動するための、直線が基板の移動方向に平行な加工行程の中心を通る、装置と、
前記直線に関して対称的に配置され、前記基板の実質的な幅部分にわたって材料の均一な蒸着をもたらすように分布し、それぞれのノズルが各一対の電気接点と同じ空間関係を有する噴散ノズルの配列とを備える移動するウェブ上への物理的気相成長のためのアセンブリ。
【請求項42】
前記加工行程は、横領域の間に中央領域を有し、前記配列内のノズルは前記加工行程にわたって相隔てて並び、前記加工行程の中央領域内のノズルの間の間隔は前記加工行程の前記横領域内の近くのノズルの間の間隔より大きい請求項41に記載のアセンブリ。
【請求項43】
基板ウェブをマルチゾーン蒸着領域に通して移送するステップと、
前記ウェブ上へ、第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着するステップの後に、第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第1の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップとを含み、前記蒸着ステップのそれぞれは、前記ウェブの前記幅にわたって対称的に配置されている少なくとも2つの独立制御可能な容器を備える材料源の配列から実行されるフレキシブル基板上に薄膜半導体層を蒸着する方法。
【請求項44】
それぞれの材料源は、複数のノズルを備える請求項43に記載の方法。
【請求項45】
それぞれの材料源からの複数のノズルは、加熱素子によって形成される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ウェブは、加工行程に通して移送され、材料源のそれぞれの配列内のノズルは前記加工行程上に垂直に分布する請求項44に記載の方法。
【請求項47】
それぞれのノズルは、個別の加熱素子によって形成される請求項44に記載の方法。
【請求項48】
それぞれの材料源内の前記ノズルは、単一の加熱素子から形成される請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記材料源内のそれぞれのノズルは、個別の加熱素子のループ状部分によって形成される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記加工行程は、2つの横領域の間に中央領域を有し、それぞれの配列内のノズルは前記横領域と前記中央領域とを通る形で相隔てて並び、前記中央領域内のノズル間隔は横領域内のノズル間隔よりも大きい請求項46に記載の方法。
【請求項51】
基板ウェブをマルチゾーン蒸着領域に通して移送するステップと、
前記ウェブ上へ、第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着するステップの後に、第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第1の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第2の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第2の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップとを含むフレキシブル基板上に薄膜半導体層を蒸着する方法。
【請求項52】
前記ウェブ上に、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着する前に、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、セレン化ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、およびセレン酸ナトリウムからなる群から選択される前駆体材料の層を蒸着するステップをさらに含む請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ウェブ上へ、銅の前記第2の層を蒸着するステップの後に、第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第3の層を蒸着するステップをさらに含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
銅の前記第1の層を蒸着するステップと銅の前記第2の層を蒸着するステップとの間で前記ウェブ上に蒸着される層の特性を監視するステップをさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記監視ステップで作成されたデータに基づいてガリウムインジウムの前記第1の層または銅の前記第1の層内に蒸着される材料の量を調節するステップをさらに含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記監視ステップは、X線蛍光を使用して実行される請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記調節ステップは、前記第1の2つの蒸着ステップのうちの一方において加熱温度を変更するステップを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
それぞれの蒸着ステップは、隣り合う材料源から材料を噴散するステップをさらに含み、前記監視および調節ステップは前記ウェブにわたる層の不均一を補正するように構成されている請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記監視および調節ステップは、前記ウェブが前記マルチゾーン蒸着領域内を連続的に通過している間に実行される請求項55に記載の方法。
【請求項60】
ガリウムインジウムの前記第3の層を蒸着するステップの後に前記ウェブ上に蒸着される層の特性を監視するステップをさらに含む請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記監視ステップで作成されたデータに基づいて銅の前記第2の層、ガリウムインジウムの前記第2の層、およびガリウムインジウムの前記第3の層の1つまたは複数内に蒸着される材料の量を調節するステップをさらに含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
銅の前記第1の層を蒸着するステップの後および銅の前記第2の層蒸着するステップの前に前記薄膜半導体層の特性を監視するステップと、前記監視された特性に基づいてガリウムインジウムの前記第1の層および銅の前記第1の層のうちの少なくとも一方の蒸着速度を調節するステップとをさらに含む請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの後に、第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第3の層を蒸着するステップをさらに含む請求項51に記載の方法。
【請求項64】
フレキシブル基板をマルチゾーン蒸着領域に通して移送するように構成されているロールアセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を第1のゾーン内の前記基板上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下において銅の第1の層を第2のゾーン内のガリウムおよびインジウムの前記第1の層上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されている銅蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムおよびインジウムの第2の層を第3のゾーン内の銅の前記第1の層上に蒸着するように構成されている第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第3の層を第4のゾーン内に蒸着するように構成されている第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリであって、前記第3のゾーンおよび前記第4のゾーン内でまとめて蒸着されるガリウムおよびインジウムの量は前記第1のゾーン内で蒸着されるガリウムおよびインジウムの量の約50%未満である、第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリとを備える物理的気相成長噴散システム。
【請求項65】
前記第3のゾーンおよび前記第4のゾーン内にまとめて蒸着されたガリウムおよびインジウムの量は、前記第1のゾーン内に蒸着されたガリウムおよびインジウムの量の約10%未満である請求項64に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項66】
前記第3のゾーンおよび前記第4のゾーン内にまとめて蒸着されたガリウムおよびインジウムの量は、前記第1のゾーン内に蒸着されたガリウムおよびインジウムの量の約5%未満である請求項64に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項67】
前記第3のゾーンおよび前記第4のゾーン内にまとめて蒸着されたガリウムおよびインジウムの量は、前記第1のゾーン内に蒸着されたガリウムおよびインジウムの量の約2%未満である請求項64に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項68】
前記第3のゾーンおよび前記第4のゾーン内にまとめて蒸着されたガリウムおよびインジウムの量は、前記第1のゾーン内に蒸着されたガリウムおよびインジウムの量の約1%未満である請求項64に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項69】
フレキシブル基板をマルチゾーン蒸着領域に通して移送するように構成されているロールアセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムおよびインジウムの第1の層を第1のゾーン内の前記基板上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下において銅の第1の層を第2のゾーン内のガリウムおよびインジウムの前記第1の層上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されている銅蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下において銅の第2の層を第3のゾーン内の銅の前記第1の層上に蒸着するように構成されている第2の実質的に封入されている銅蒸着アセンブリとを備える物理的気相成長噴散システム。
【請求項70】
前記第1のゾーンおよび前記第2のゾーン内に蒸着される材料の特性を監視するように構成される前記第2のゾーンと前記第3のゾーンとの間の監視ステーションをさらに備える請求項69に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項71】
フレキシブル基板をマルチゾーン蒸着領域に通して移送するように構成されているロールアセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムおよびインジウムの第1の層を第1のゾーン内の前記基板上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下において銅の第1の層を第2のゾーン内のガリウムおよびインジウムの前記第1の層上に蒸着するように構成されている第1の実質的に封入されている銅蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムおよびインジウムの第2の層を第3のゾーン内の銅の前記第1の層上に蒸着するように構成されている第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリと、
セレンガスの存在下においてガリウムおよびインジウムの第3の層を第4のゾーン内の銅の前記第2の層上に蒸着するように構成されている第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着アセンブリとを備える物理的気相成長噴散システム。
【請求項72】
ガリウムおよびインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの前に、セレンガスの存在下において銅の第2の層を銅の前記第1の層上に蒸着するように構成されている第2の実質的に封入されている銅蒸着アセンブリをさらに備える請求項71に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項73】
ガリウムおよびインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの前に、前記第1第2のゾーン内に蒸着される材料の特性を監視するように構成されるX線蛍光監視ステーションをさらに備える請求項71に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項74】
前記監視ステーションによって収集されたデータに応じてゾーン1内の蒸着速度を調節するようにプログラムされるコントローラをさらに備える請求項73に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項75】
前記監視ステーションによって収集されたデータに応じてゾーン2内の蒸着速度を調節するようにプログラムされるコントローラをさらに備える請求項73に記載の物理的気相成長噴散システム。
【請求項76】
第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーンと、
第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
前記蒸着ゾーン内を直列に通る加工行程にそって連続フレキシブル基板を平行移動するように構成されているロールアセンブリと、
前記基板を誘導するために蒸着ゾーンの間に加工行程にそって配列されているローラーであって、前記基板はそれぞれのローラーの周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、ローラーとを備える物理的気相成長システム。
【請求項77】
前記ローラーは、約3から10度の基板回転を行うように相隔てて並ぶ請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項78】
前記ローラーは、回転毎に約7度の基板回転を行うように相隔てて並ぶ請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項79】
前記ローラーは、ローラー毎に所望の回転を設定するために次第に増える異なる高さに位置決めされる請求項77に記載の物理的気相成長システム。
【請求項80】
前記ローラーは、前記蒸着ゾーンの間でローラー毎に実質的に同じ度数の回転を行うように向き付けられる請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項81】
前記基板は、前記ローラーと前記基板との間で有意な牽引を十分に行えるようにそれぞれのローラーの周りに部分的に巻き付けられる請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項82】
それぞれの蒸着ゾーンは、材料を前記基板上に前記ゾーン内を通過するときに蒸着するように構成されている実質的に封入されている噴散アセンブリを有する請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項83】
それぞれの実質的に封入されている噴散アセンブリは、前記各蒸着ゾーン内の前記基板の角度を実質的に補完する角度を付けられている上部、および前記上部の下に収容されている1つまたは複数の噴散源を備え、前記噴散源は実質的に水平方向に向き付けられている請求項82に記載の物理的気相成長システム。
【請求項84】
前記加工行程の中間ゾーンは、実質的に水平である請求項76に記載の物理的気相成長システム。
【請求項85】
前記中央ゾーン内で、前記基板上に蒸着される薄層の特性を監視するように構成される監視ステーションをさらに備える請求項84に記載の物理的気相成長システム。
【請求項86】
第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーンと、
第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
前記蒸着ゾーン内を直列に通る一般的に湾曲している加工行程にそって連続フレキシブル基板を平行移動するように構成されているロールアセンブリと、
前記基板を誘導し、それぞれの蒸着ゾーン内で前記基板を実施的に平面上の向きを維持するために蒸着ゾーンの間に前記加工行程にそって配列されているローラーであって、前記基板は前記ローラーと前記基板との間で有意な牽引を十分に行えるようにそれぞれのローラーの周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、ローラーとを備える物理的気相成長システム。
【請求項87】
第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーンと、
第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンと、
前記蒸着ゾーン内を直列に通る一般的に湾曲している加工行程にそって連続フレキシブル基板を平行移動するように構成されているロールアセンブリと、
前記基板を誘導し、それぞれの蒸着ゾーン内で前記基板を実施的に平面上の向きを維持するために蒸着ゾーンの間に前記加工行程にそって配列されているローラーであって、それぞれのローラーは前記ローラーと前記基板との間で有意な牽引を生じさせるのに十分な、前記基板と接触する表面積を有する、ローラーとを備える物理的気相成長システム。
【請求項88】
前記ローラーは、モーターによって駆動される請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項89】
前記ローラーは、前記加工行程を通過するときに前記基板によって受動的に駆動される請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項90】
前記ローラーは、約3から10度の基板回転を行うように相隔てて並ぶ請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項91】
前記ローラーは、約5から9度の基板回転を行うように相隔てて並ぶ請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項92】
前記ローラーは、回転毎に約7度の基板回転を行うように相隔てて並ぶ請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項93】
前記ローラーは、ローラー毎に所望の回転を設定するために次第に増える異なる高さに位置決めされる請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項94】
前記ローラーは、前記蒸着ゾーンの間でローラー毎に実質的に同じ度数の回転を行うように向き付けられる請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項95】
それぞれの蒸着ゾーンは、材料を前記基板上に前記ゾーン内を通過するときに蒸着するように構成されている実質的に封入されている噴散アセンブリを有する請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項96】
それぞれの実質的に封入されている噴散アセンブリは、前記各蒸着ゾーン内の前記基板の角度を実質的に補完する角度を付けられている上部、および前記上部の下に収容されている1つまたは複数の噴散源を備え、前記噴散源は実質的に水平方向に向き付けられている請求項95に記載の物理的気相成長システム。
【請求項97】
前記加工行程の中間ゾーンは、実質的に水平である請求項87に記載の物理的気相成長システム。
【請求項98】
前記中央ゾーン内で、前記基板上に蒸着される薄層の特性を監視するように構成される監視ステーションをさらに備える請求項97に記載の物理的気相成長システム。
【請求項99】
基板ウェブをマルチゾーン蒸着領域に通して移送するステップと、
前記ウェブ上へ、第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着するステップの後に、第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第1の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップと、
X線蛍光によって前記ウェブ上に蒸着されている1つまたは複数の層の特性を監視するステップと、
前記監視ステップから生成されたデータに基づいて前記ゾーンのうちの1つにおける蒸着速度を調節するステップであって、前記監視ステップはガリウムインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの前に実行される、ステップとを含む薄膜半導体層をフレキシブル基板上に蒸着する方法。
【請求項100】
前記蒸着ステップは、加熱源から材料を噴散することによって実行され、前記調節ステップは前記ゾーンのうちの1つにおける加熱器温度を変更するステップを含む請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記変更ステップは、前記ウェブが前記マルチゾーン蒸着領域内を平行移動して通過している間に実行される請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記変更ステップは、前記第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で実行される請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記変更ステップは、前記第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で実行される請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記変更ステップは、前記第1の封入されている銅蒸着ゾーン内で実行される請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されるガリウムインジウムの量は、前記第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されたガリウムインジウムの量の約50%未満である請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されるガリウムインジウムの量は、前記第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されたガリウムインジウムの量の約10%未満である請求項99に記載の方法。
【請求項107】
X線蛍光によって、ガリウムインジウムを蒸着する最後のステップの後に前記ウェブ上に蒸着される1つまたは複数の層の特性を監視するステップをさらに含む請求項99に記載の方法。
【請求項108】
前記ウェブ上へ、銅の前記第2の層を蒸着するステップの後に、第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップをさらに含む請求項99に記載の方法。
【請求項109】
前記第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンおよび前記第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されるガリウムインジウムの組み合わされた量は、前記第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されたガリウムインジウムの量の約50%未満である請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーンおよび前記第3の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されるガリウムインジウムの組み合わされた量は、前記第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内に蒸着されたガリウムインジウムの量の約10%未満である請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記マルチゾーン蒸着領域は、ウェブ移動方向に平行に走る複数の隣接する加工ゾーンを有し、前記監視ステップは隣接する加工ゾーンの間の蒸着層の不均一さを検出するステップ、および隣接する加工ゾーンの間の層の厚さをより均一にするために適切な加熱変化を開始するステップを含む請求項99に記載の方法。
【請求項112】
基板ウェブをマルチゾーン蒸着領域に通して移送するステップと、
前記ウェブ上へ、第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着するステップの後に、第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第1の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第2の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第2の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップと、
X線蛍光によって、銅の前記第1の層を蒸着する前記ステップと銅の前記第2の層を蒸着する前記ステップとの間に、前記ウェブ上に蒸着されている1つまたは複数の層の特性を監視するステップと、
前記監視ステップから生成されたデータに基づいて前記ゾーンのうちの1つにおける蒸着速度を調節するステップであって、前記監視ステップはガリウムインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの前に実行される、ステップとを含む薄膜半導体層をフレキシブル基板上に蒸着する方法。
【請求項113】
基板ウェブをマルチゾーン蒸着領域に通して移送するステップと、
前記ウェブ上へ、第1の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、ガリウムインジウムの前記第1の層を蒸着するステップの後に、第1の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第1の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第1の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されている銅蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下において銅の第2の層を蒸着するステップと、
前記ウェブ上へ、銅の前記第2の層を蒸着するステップの後に、第2の実質的に封入されているガリウムインジウム蒸着ゾーン内で、セレンガスの存在下においてガリウムインジウムの第2の層を蒸着するステップと、
前記加工行程にそって置かれている複数の監視ステーションにおいて前記ウェブ上に蒸着されている1つまたは複数の層の特性を監視するステップとを含む薄膜半導体層をフレキシブル基板上に蒸着する方法。
【請求項114】
前記監視ステップは、X線蛍光を使用するステップを含む請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記監視ステップは、銅の前記第1の層を蒸着するステップと銅の前記第2の層を蒸着するステップとの間に、またガリウムインジウムの前記第2の層を蒸着するステップの後に、実行される請求項113に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−521099(P2011−521099A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505185(P2011−505185)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/040723
【国際公開番号】WO2009/146187
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510235866)グローバル ソーラー エナジー インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】