説明

蛍光エックス線検出装置

【課題】極微量の元素検出を可能とし、被射体内部の特定元素分布をCTで得られるのと同様に断層像として、高空間分解能を有する機能画像の作成を行う蛍光エックス線分析装置を提供すること。
【解決手段】単色エックス線をシートビーム状に照射する光源部と、分析試料を支持する試料支持部と、分析試料に含まれる被検元素から発生する蛍光エックス線を検出する検出部と、データ処理用コンピューターを備え、検出部がエックス線照射方向と直交するシートビーム面に配設され、検出素子からエックス線照射方向へおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線を検出し、且つ、試料支持部がシートビーム面を垂直に貫通する線を中心軸としてシートビーム面を光源部及びエックス線検出部に対して相対的に回転し、分析試料を単色エックス線で回転走査して分析試料内部の画像を得ることができる蛍光エックス線検出装置として構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光エックス線検出装置、詳しくは、単色化されたエックス線をシートビーム状に照射する光源部と、単色エックス線の照射方向と直交するシートビーム面に配設されたエックス線検出部と、かかる光源部及び検出部に対して分析試料を相対的に回転させることができる試料支持部とを備えた蛍光エックス線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子工学の進歩により、ヒトの疾病をモデル化した種々の疾患モデル動物が作製されている。疾病の克服にむけて、これらの疾患モデル動物を用い、疾患の進展過程の究明や診断や治療法の開発が活発に行われている。疾病の機序を解明するためには、CTやMRIなどによる形態画像診断を行うとともに、機能画像診断を行うことが不可欠であるが、CTやMRIなどの形態画像診断では、0.1mm以下の高空間分解能を実現することが可能となっているのに対し、PETやSPECTのように被検体の内部から放射されたものを外部で捕えて画像化、定量化する機能画像診断においては、その空間分解能は、PETで4.5mm、SPECTでは8mmといわれており、例えば1mm以下の空間分解能を達成することは現状では非常に難しく、しかも生体内部に放射性トレーサーを投与して生体の機能を観察することが必要であるので、安全性の点で問題となる場合がある。
【0003】
一方、蛍光エックス線分析は、元素固有の蛍光エックス線に着目した物理的に最も高感度な微量元素の検出法として最近注目されている。蛍光エックス線とは、エックス線の照射により励起された元素が、脱励起の際に放出する元素に固有のエネルギーを有するエックス線を意味する。
【0004】
例えば、フランスに建設された大型放射光施設ESRFでは、入射エックス線エネルギーを12〜20keVとし、空間分解能0.0015〜0.006mmの蛍光エックス線CTを用いファントム内でSr、Ba、Zr、Cu、As分布の画像化に成功し、マホガニー茎内のCl、K、Ca、Rb分布の画像化に成功している(例えば、非特許文献1参照)。このシステムでは空間分解能数μmの画像を得ることができたが、単位面積あたりのエックス線量を増加させなければならず、被検体が非常に限定されるおそれがある。
【0005】
また、エックス線を発生するエックス線管球と、前記エックス線を受ける試料を支持するための試料支持部と、前記エックス線を受けて試料から発生するエックス線を受ける偏光フィルタと、前記偏光フィルタからのエックス線を検出する検出器とからなり、前記エックス線管球から試料、試料から偏光フィルタ、偏光フィルタから検出器に向かう3光路が互いに90度となるようにエックス線管球、試料支持部、偏光フィルタ、及び検出器が配置されている蛍光エックス線分析装置(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、エックス線管球からエックス線を照射する場合は、十分な分解能を得ることは困難である。
【0006】
また、電子源からの電子線を食品に当てて、該食品から発生する蛍光エックス線を検出する、毛髪等の食品異物検査装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。この装置は、エックススペクトルの分布を制御することにより、低原子番号の元素から高原子番号の元素までを含む試料からの蛍光エックス線の信号を判別する定性分析を行うものであるが、ラインセンサを用いて得られたパラレルデータは、各検出器の検出面の垂線上にある特定物質からの蛍光エックス線の総和であり、検出面の垂線上の特定物質の分布状況を得ることはできない。
【0007】
さらに、エックス線源と、特性エックス線の照射にて試料の表面の元素が励起して発する蛍光エックス線を検出するエックス線検出器とを具備していることを特徴とする蛍光エックス線分析装置(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、試料の表面の元素を分析するものであり、試料の組織切片を作製し試料中の微量元素分布画像を得なければならず、組織切片作製の手技によるアーチファクトが生じたり、組織切片を必要とするため生きた状態での微量元素分析が不可能である。
【0008】
その他、赤外画像装置における多素子検出器からデータ取得方法(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、干渉信号を取得する計測方法であり、赤外線を用いて対象物内部の情報を抽出できる精度は、エックス線に比べると格段に低くなると考えられる。
【0009】
【特許文献1】特開2007−327756号公報
【特許文献2】特開2005−121468号公報
【特許文献3】特開2007−207548号公報
【特許文献4】特開2003−227754号公報
【非特許文献1】SPIE3772:304−310,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の機能画像診断に用いられてきたPETやSPECTにおいては、放射性同位元素の投与が必要で、充分な空間分解能を得ることが困難であり、エックス線管球を利用した蛍光エックス線分析装置では、微量元素の検出における感度という点に問題があり、また試料の表面をスキャンしてデータを得る場合は、生体試料の顕微鏡観察のように組織切片を作らなければならず、非破壊的に分析を行って画像を得るということはできなかった。本発明の課題は、放射線標識トレーサーを用いずに、極微量の元素検出を可能とすることで、被射体内部の特定元素分布をCTで得られるのと同様に断層像として、高空間分解能を有し、生体試料では機能画像、それ以外の試料では元素分布画像の作成を行うことができる蛍光エックス線分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、高空間分解能を有し、かつ高感度な機能断層イメージングシステムを開発するため、蛍光エックス線を用いた、回転走査(スキャン)によるCTシステム(Fluorescent X-ray CT:FXCT)の開発に着手し、非放射性ヨウ素(127I)で標識した化合物を投与したマウスやラットなどの小動物の機能情報を非破壊的にin vivoで、かつ高い空間分解能で得られる蛍光エックス線CT装置を開発し、ホルマリン固定した摘出心臓の脂肪酸代謝や、生きたマウスの脳血流などの画像化に成功してきたが、これらの撮像系では、ペンシル状に細く絞ったビームを被射体に照射し、被射体を並進・回転走査することで様々な方向からのデータを収集し、ビーム上に存在するヨウ素から発生する蛍光エックス線を一つの大口径ゲルマニウム(Ge)半導体検出器を用いて検出し、投影データを取得するという方式を採用しているため、膨大な撮像時間を要し、とくに生体の撮像を行う場合には、体動により画像が不鮮明になるおそれがあり、麻酔をした場合でも、麻酔が有効な時間内に撮像を終了するために投影数が著しく限定されなくてはならない等の問題があり、短い時間で画像を得るための方法の開発が不可欠とされてきた。
【0012】
この問題を解決するため、被射体に照射する蛍光エックス線の入射ビームをシート状にして被射体に照射することにより、従来のペンシルビームによるデータの取得においては不可欠であった被射体の並進走査が不要となり、計測時間を著しく短縮することが可能となる撮像方法を想定し、KEK(大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構)において、多素子検出器アレイでのパラレルデータ取得をシミュレートする検出器を用いて、物理ファントムによる基礎的な実験を行った後、生体サンプルとしてホルマリン固定したマウス脳を用いてシートビーム状蛍光エックス線CT装置による機能画像として空間分解能500μmを達成した画像を世界ではじめて取得し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、(1)分析試料に含まれる被検元素から蛍光エックス線を発生させることができるエネルギーを有する単色エックス線をシートビーム状に照射する光源部と、前記単色エックス線がシートビーム状に照射される分析試料を支持するための試料支持部と、分析試料に含まれる被検元素から発生する蛍光エックス線を検出するエックス線検出部と、データ処理用コンピューターを備えた蛍光エックス線分析装置において、前記エックス線検出部が単色エックス線の照射方向と直交するシートビーム面に配設され、検出部の検出素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線を検出することができ、且つ、前記試料支持部がシートビーム面を垂直に貫通する線を中心軸としてシートビーム面を光源部及びエックス線検出部に対して相対的に回転し、分析試料を単色エックス線で回転走査して分析試料内部の画像を得ることができることを特徴とする蛍光エックス線検出装置や、(2)シートビーム状に照射される単色エックス線が、二次元シートビーム状に照射される単色エックス線であって、分析試料内部の画像が二次元の被検元素の分布断層画像であることを特徴とする前記(1)記載の蛍光エックス線検出装置や、(3)シートビーム状に照射される単色エックス線が、三次元ブロックシートビーム状に照射される単色エックス線であって、分析試料内部の画像が三次元の被検元素の分布断層画像であることを特徴とする前記(1)記載の蛍光エックス線検出装置や、(4)エックス線検出部が、検出面の前に設置されているコリメータを含むことを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載の蛍光エックス線検出装置に関する。
【0014】
また本発明は、前記(1)〜(4)いずれか記載の蛍光エックス線検出装置を用いて、必要に応じて対象に造影剤を投与し、分析試料内部の被検元素の分布断層画像を定量的に得ることを特徴とする蛍光エックス線検出方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、放射線標識トレーサーを用いずに、極微量の元素検出を可能とすることで、被射体内部の特定元素分布をCTで得られるのと同様に断層像として、高空間分解能を有する生体試料の機能画像の作成を行うことができる。さらに、生体以外の試料内部に含まれる微量元素イメージングも可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の蛍光エックス線検出装置としては、分析試料に含まれる被検元素から蛍光エックス線を発生させることができる特定のエネルギーを有する単色エックス線をシートビーム状に照射する光源部と、前記単色エックス線がシートビーム状に照射される分析試料を支持するための試料支持部と、分析試料に含まれる被検元素から発生する蛍光エックス線を検出するエックス線検出部と、データ処理用コンピューターを備えた蛍光エックス線分析装置において、前記エックス線検出部が単色エックス線の照射方向と直交するシートビーム面に配設され、検出部の検出素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線を検出することができ、且つ、前記試料支持部がシートビーム面を垂直に貫通する線を中心軸としてシートビーム面を光源部及びエックス線検出部に対して相対的に回転し、分析試料を単色エックス線で回転走査して分析試料内部の画像を得ることができるものであれば特に制限されず、本発明の蛍光エックス線検出装置における蛍光エックス線とは、各元素に固有な一定以上のエネルギーを有するエックス線の照射により、該元素の原子が励起されることにより内殻電子が弾き出されて、内殻の軌道に空席軌道が作られることにより、より外側の軌道からこの空席軌道に電子が落ちてくることにより放射される、両軌道のエネルギー差ΔEに等しいエネルギーを有する各元素固有のエックス線をいう。
【0017】
本発明の蛍光エックス線検出装置における光源部としては、被検元素から蛍光エックス線を発生させることができる特定のエネルギーを有する単色エックス線、好ましくは直線偏向特性を有する単色エックス線をシートビーム状に分析試料に照射することができる光源部であれば特に制限されず、単色エックス線を二次元シートビーム状に照射する場合など必要に応じて上下(高さ)方向の並進走査機構を有するものであってもよい。上記単色エックス線としては、分析試料に含まれる被検元素から蛍光エックス線を発生させることができる特定のエネルギーを有するエックス線であって、エックス線放射光源から放射されたエックス線放射光をモノクロメータで単色化された直線偏向特性を有するエックス線であることが微量な元素検出が可能となることから好ましい。上記モノクロメータとしては、公知のモノクロメータであれば特に制限されず、例えば、チャンネルカットモノクロメータや、2結晶型モノクロメータを挙げることができ、具体的には、Si(111)、Si(220)、Si(311)モノクロメーター(シャランインスツルメンツ株式会社製)等を例示することができる。上記エックス線放射光源とは、エックス線から赤外線にわたる非常に広い範囲のエネルギー・スペクトルを有する白色性及び直線偏向性を有する高輝度な光を放射する光源であり、具体的には、大型放射光から発生する放射光源を利用することもでき、白色性及び直線偏向性を有する高輝度なエックス線放射光を発生させる加速器を用いた放射光源を利用することもでき、実験室レベルの画像化が可能となるように直線偏向性を発揮できる小型エックス線発生光源を利用することもでき、より具体的には、高エネルギー物理学研究所のトリスタン蓄積リング(6.5GeV)内の偏向磁石ビームラインARNE−5Aを例示することができる。
【0018】
また、分析試料に照射される上記単色エックス線の態様としては、シートビーム状であれば特に制限されないが、平面状に拡がっている二次元シートビーム状単色エックス線や、該二次元シートビームが積層された上下の幅があるブロックシートビーム状単色エックス線を挙げることができる。上記単色エックス線のサイズとしては、基本的には分析試料の大きさに依拠するものであるが、上記二次元シートビーム状の単色エックス線である場合の幅としては、最大幅100mm程度以下であれば、試料の直径に対応させて、スリットで幅を最適化することができる。さらに、上記三次元シートビーム状の単色エックス線である場合の、単色エックス線の高さとしては、ライン検出器のときは、スライス厚に対応するが0.1mm〜1.0mmが好ましく、ブロックシートビーム状にして、2次元以上のアレイ検出器を用いる場合は、0.2mm〜3.0mmが好ましい。
【0019】
上記分析試料に含まれる被検元素から、蛍光エックス線を発生させることができる特定のエネルギーとしては、上記被検元素の原子の内殻の軌道に空席軌道を作るエネルギーとして公知のものであれば特に制限されないが、例えば、上記被検元素の原子の1s軌道の電子の一つが、軌道外に飛び出すことができるエネルギーを挙げることができ、具体的には、上記被検元素のK吸収端直上のエネルギーを挙げることができるが、かかるK吸収端直上のエネルギーを設定した場合には、蛍光エックス線とコンプトン散乱の低エネルギー側の裾が重なり合い、蛍光エックス線光子数の良好な弁別が妨げられるので、上記K吸収端直上のエネルギーよりも高いエネルギーを設定することが、高S/Nで蛍光エックス線のカウント数を取得できる点で好ましく、例えば、上記分析試料に含まれる被検元素が非放射性ヨウ素(127I)である場合には、ヨウ素のK吸収端直上のエネルギーである33.2keVよりも高い、34.5〜40keVが好ましく、36〜38keVがより好ましく、37keVに設定することが最も好ましかった。また、上記分析試料に含まれる被検元素がガドリニウムである場合には、ガドリニウムのK吸収端直上のエネルギーである51keVよりも高い、55〜75keVが好ましい。さらに、モノクロメータの下流側に単一エックス線の照射強度をモニタするための公知のPINダイオード検出器や、イオンチャンバーを設置し、この測定値を用いて、変動しうる単一エックス線の照射強度を理論上一定になるように調整することが好ましい。
【0020】
本発明の蛍光エックス線分析装置において用いられる分析試料に含まれる被検元素としては、分析試料にもともと含有されている元素でもよいが、本発明の蛍光エックス線分析装置を使用する前に生体に投与される造影剤の成分として添加された元素でもよく、かかる添加元素としては、生体への安全性等を考慮して、具体的には、ヨウ素、ガドリニウム、イットリビューム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、亜鉛、銅、金、白金、カルシウム、ルビジウム、キセノン等を挙げることができ、キセノンは組織分布の点で好ましく、ヨウ素、ガドリニウム、金、白金が化合物合成の点で好ましく、分析試料が生体である場合に、被検元素を添加した造影剤を投与することは、局所的血流や、組織の代謝やレセプター機能といった生体内の活動機能を薬理効果が生じないほど微量で定量的評価することができる点で好ましい。このように、本発明においては、造影剤は、微量で効果を有する。また、これらの造影剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。さらに、かかる元素は、放射性元素でも非放射線元素でもよいが、本発明の蛍光エックス線検出装置を用いると、放射性元素を用いなくても上記分析試料内部の画像を取得することができる点で、安全性の点で非放射線元素を用いることが好ましい。
【0021】
上記造影剤の成分として添加される被検元素としては、被検元素そのもののほか、被検元素に標識した標識化合物を挙げることができ、標識化合物を造影剤の成分として投与した場合は、特定の因子、組織・細胞等に対して結合することでレセプター、遺伝子、治療薬剤分布等を画像化することができ、該組織・細胞等における正確な被検元素の分布を定量的に把握することができる。例えば、ヨウ素に標識した化合物として、臨床の場では放射性のヨウ素123Iを標識した123I−IMP(I-123 labeled N-isopropyl-p-iodoamphetamine)を用いて脳血流画像を得ることができる。他方、非放射性ヨウ素127Iを標識した127I−IMPを用いて生体内に含まれた微量なヨウ素元素を蛍光として捉え、脳の血流の断層画像を取得することができ、また、127I−BMIPP(I-127 labeled 15−p−(iodophenyl)−3−methylpentadecanoic acid)をヨウ素元素プローブとして用いることで心筋脂肪酸の代謝についての画像を取得することができる。例えば、マウスの脳の血流の画像を取得する場合のヨウ素に標識した化合物の投与量としては、脳内にヨウ素量として1〜50μg/mL、好ましくは1〜5μg/mLで明確な画像を得ることができることが期待される。なお、より高エネルギーのエックス線で撮影すると、被写体内の入射及び蛍光吸収が少ないので、ガドリニウムに標識した化合物も有効である。また、金封入及び結合化合物を用いることは、被写体内の吸収をさらに減らすので好ましい。
【0022】
上記単色エックス線にシートビーム状に照射される分析試料としては、マウス、ラット、ウサギ、猫等のほ乳動物や、昆虫、鳥類、ヒトを含むほ乳動物の病理標本や、植物などの生体に由来する試料、及び、美術品、工業材料、隕石等の非生体試料を挙げることができる。
【0023】
上記単色エックス線がシートビーム状に照射される分析試料を支持するための試料支持部としては、前記試料支持部がシートビーム面を垂直に貫通する線を中心軸としてシートビーム面を光源部及びエックス線検出部に対して相対的に回転し、分析試料を単色エックス線で回転走査して分析試料内部の画像を得ることができるものであれば特に制限されず、回転走査は、分析試料を複数方向から単色エックス線によって照射し、分析試料に含まれる被検元素から発生する蛍光エックス線を複数方向で検出するために必要であり、試料支持部自体が分析試料をシートビーム面で回転させる操作機構を有していてもよく、光源部とエックス線検出部を固定された試料支持部に対してシートビーム面で回転させる操作機構を有していてもよく、あるいは、試料支持部と、光源部と、エックス線検出部とが、分析試料をシートビーム面で相対的に回転させる操作機構を分担して有していてもよく、具体的には、中心に分析試料がおかれた試料支持部がシートビーム面で回転してもよいし、あるいは分析試料を挟んで上記光源部とエックス線検出部との位置関係を固定して、分析試料のシートビーム面周りで回転させてもよい。また、上記試料支持部は、単色エックス線を二次元シートビーム状に照射する場合など必要に応じて上下(高さ)方向の並進走査機構を有するものであってもよい。
【0024】
上記試料支持部に支持された単色エックス線がシートビーム状に照射される分析試料を単色エックス線で回転走査する場合、分析試料をシートビーム面で相対的に回転させることで、複数方向からの投影データを収集することが可能となり、断層面内の特定物質の空間分布を再構成することがコンピューテッド・トモグラフィの手法を適用することで可能になるので、従来のペンシルビームによるデータの取得では、不可欠であった被射体の並進走査が必ずしも要求されず、検出時間を著しく短縮することが可能となる。上記検出態様における1点あたりの検出時間としては、必要とされる空間分解能の精度、入射エックス線量にもよるが、0.2〜16秒から選択でき、例えば、脳血流製剤I−127IMP投与後に摘出して、ホルマリン固定したマウスの脳を撮像する場合には、1点あたりの計測時間は6秒として、180°にわたり2°の角度ステップで90プロジェクションを取得する方法を挙げることができ、例えば、入射エックス線量が、10photon程度の場合、質量20〜30gのマウスの脳であれば、9分程度で検出を終了させることが可能となる。しかし、より係数効率の高い計測ができる検出器を用いて、被写体の距離を例えば80mmから20mmに接近させると、発生する蛍光量が(80/20)で約16倍となるので、計算上34秒で撮影可能となる。
【0025】
上記被検元素から発生する蛍光エックス線としては、原子の内殻の軌道に空席を作り、より外側の軌道からこの空席軌道に電子が落ちてきた場合に、両軌道のエネルギー差ΔEに等しいエネルギーを有する蛍光エックス線を挙げることができ、例えば、上記被検元素がヨウ素の場合では、1s軌道電子がエネルギーを得て、軌道外に飛び出した場合に、空いた軌道に外側の軌道電子が遷移する際、そのエネルギー差に相当する28.3keVのエネルギーを有する蛍光エックス線を挙げることができ、上記被検元素がガドリニウムの場合では、42keVのエネルギーを有する蛍光エックス線を挙げることができる。
【0026】
本発明の蛍光エックス線分析装置におけるエックス線検出部としては、単色エックス線の照射方向と直交するシートビーム面に配設され、検出部の検出素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線を検出することができる検出部であれば特に制限されず、高S/Nで蛍光エックス線の光子数のカウントデータを取得できる検出部が好ましく、具体的には、二次元の多素子検出器アレイを用いた面検出器や、1素子検出器を複数並列させた並列検出部や、1素子検出部を挙げることができるが、並進走査を排除することができる点で、多素子検出部アレイや、並列検出部を用いることが好ましい。1素子検出部を複数並列させた並列検出部として、より具体的には、半導体検出器、ガス検出器、NaI(CsI)等のシンチレーション検出器を挙げることができ、二次元の多素子検出器アレイを用いた面検出部として、より具体的には、高純度ゲルマニウム(HPGe)半導体検出器、Si半導体検出器、CdTe半導体検出器を挙げることができるが、エネルギー分解能と検出効率の点で、HPGe半導体検出器が好ましい。さらに、上記エックス線検出部としては、コンプトン散乱エックス線を検出する第2の二次元検出装置を備えている検出部や、透過エックス線検出装置を備えている検出部でもよい。
【0027】
上記蛍光エックス線分析装置におけるエックス線検出部が、検出素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に被検元素が存在することで、単色エックス線の直線偏向性により、直角方向でコンプトン散乱が理論的には0になることから高S/Nで蛍光エックス線のカウント数で取得できる点で好ましいが、蛍光エックス線は4π方向に放射されるので、上記エックス線検出部における検出面と被射体との距離としては、効率的に蛍光エックス線光子を捉えるためには互いに近づけた方がよいが、被射体と検出器の距離を大きくとることで散乱線の含有量を減らすことができることを勘案すると5〜90mm、特に5〜50mmが好ましいが、短時間での撮影を考慮すると、検出器の係数効率を上げ、5〜20mmがより好ましい。
【0028】
また、上記蛍光エックス線分析装置におけるエックス線検出部に、検出面の前にフィルタやコリメータを配置することが、分析試料以外の方向から検出面に到達する散乱エックス線量を抑制・低減しうることから好ましいが、フィルタを用いる場合は、フィルタ元素自身から蛍光エックス線が混入するおそれがあるため、コリメータを用いることがより好ましい。
【0029】
上記検出器前に設置するコリメータとしては、検出面に到達するコンプトン散乱エックス線等の散乱エックス線量を抑制するために、検出器の素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に存在する、被検元素から発生する蛍光エックス線を検出器内に通過させることができるものであれば特に制限されないが、例えば、鉛、タンタル、タングステン製のコリメータを挙げることができ、加工のし易さや安価な点で鉛製のコリメータが好ましく、タンタル、タングステン製のコリメータはセプタ(隔壁)を薄くすることができる点で好ましい。また、コリメータの角度を適切な角度に微調節することができ、上下移動できるようにモーターが伴うコリメータを用いることが、S/N比が良好となるように調整できる点や、空間分解能を最適化する点で好ましく、コリメータの幅としては、より細いほうが、コンプトン散乱エックス線の入射を防ぐという点で好ましく、空間分解能は、コリメータの横幅と同程度となるため、0.1mm〜1.0mm、好ましくは、0.2mm〜0.5mmである。さらに、検出器が多列や多素子である場合には、多列や多素子の検出器に対応したコリメータを用いることが好ましい。本発明の蛍光エックス線検出装置の概略平面図を図1に示す。
【0030】
また、エネルギー弁別用のシリコン単結晶からエックス線に対する鏡を作り、ブラッグ反射又はラウエ回折を利用して、目的とする標的物質を最も検出しやすい特定の波長のエックス線を選択して捕捉してもよい。
【0031】
前記データ処理用コンピューターとしては、公知の画像作成用データ処理に用いるコンピューターであれば特に制限されず、データ処理用コンピューターにより得ることができる分析試料内部の画像としては、生体の機能情報画像として利用できる二次元の被検元素の分布断層画像及び三次元の被検元素の分布断層画像を挙げることができ、かかる画像を取得する際には、分析試料に照射される単色エックス線と、分析試料と、エックス線検出部の位置関係を明確にしたうえで、検出部の各検出素子で得られる光子数のカウントデータについて、蛍光エックス線測定情報と走査位置情報とを取り込み、計測データの収集を行い、上記分析試料の蛍光エックス線の画像を作成できるプログラムを備えたコンピューターを用いることが好ましく、また、得られたカウントデータから多重散乱を除去するプログラムが組み込まれているコンピューターを用いることがより好ましく、上記カウントデータは、素子からビームへおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線の線積分に相当する量を取得できることが必要である。また、分析試料を複数方向から投影したデータを収集し、コンピューテッド・トモグラフィの手法を適用することで、シートビーム状に照射される単色エックス線が、二次元シートビーム状に照射される場合は、二次元の被検元素の分布断層画像を、シートビーム状に照射される単色エックス線が、三次元シートビーム状に照射される場合は、三次元の被検元素の分布断層画像を定量的に得ることができるが、被検元素の分布断層画像作成に必要な光子数は、二次元の被検元素の分布断層画像の場合は、検出部1素子当たり、4〜1000photonであり、光子数が多い方がS/Nの良い画像が得られる点で好ましい。三次元の被検元素の分布断層画像の場合も同様である。
【0032】
例えば、図2に示されるように、分析試料に照射されたシートビーム状単色エックス線は、点Pから点Qに至るまでに減衰を受け、点Qに存在する被検元素は空間的に4π方向に蛍光エックス線を放出し、検出器の前に設置されているコリメータにより、検出器に到来するエックス線の位置を限定することができ、点Qで発生した蛍光エックス線は経路QSを通過し、図のi番目の検出器だけに到達する。かかる経路PQSと同様に、線分RS上に存在する被検元素からの蛍光エックス線をi番目の検出器は収集することができ、検出器から単色エックス線の照射方向に直交する分析試料からの投影データを取得することが可能になる。さらに、この過程は、1番目からN番目までのすべての検出器においても同様であり、一回の照射でひとつの投影を同時に取得することが可能になるので、撮像対象である分析試料を回転させることで,複数方向からの投影を収集することが可能となり、これらのデータからコンピューテッド・トモグラフィの手法を適用することで、断層面内の特定物質の空間分布を再構成することが可能になり二次元断層像としての画像を得ることができる。入射ビームが紙面垂直方向に積層されたブロックシートビームとした場合には、検出器が紙面垂直方向に積層され二次元的に配列されている状況となり、三次元断層像を上と同じ撮像時間で投影を取得できることになり、計算機により三次元空間分布を再構成して三次元画像を得ることができる。
【0033】
また、上記コンピューテッド・トモグラフィにおける画像再構成においては、上記分析試料に照射されたエックス線は、経路PQ及び経路QSにおいて減衰を受けるので、正確な断層像を得るためには,これらの減衰を補償するアルゴリズムが必要であり、かかる問題を解決する手法としては、解析的な再構成方法、代数的な再構成方法、及び統計的再構成方法を挙げることができるが、統計的再構成方法が信号のS/Nが良好でないときでも効果を発揮する点で好ましい。
【0034】
本発明の蛍光エックス線検出装置により得ることができる上記分析試料内部の画像としては、上記被検元素の分布断層画像のほか、分析試料の形態情報画像であるコンプトン散乱エックス線画像や、分析試料の後方で取得することができる透過エックス線像を挙げることができ、透過エックス線像を取得する方法としては、試料を透過したエックス線がそのまま直進する直接光をエックス線CCDカメラで計測する等の公知の方法を挙げることができ、また、該透過エックス線像に関するデータは、被検元素の分析試料内部での吸収係数を加味し、吸収補正用のデータとすることにより、絶対量を定量的に計測することが可能となる。また、上記コンプトン散乱エックス線画像は、透過エックス線検出器を用いず半導体検出器で同時に得られ、スペクトル解析によって取得できる。3Dイメージソフトウエアの使用等の公知の方法を用いて、上記3種類の画像のうち、2又は3種類の画像の融合画像を作成してもよい。かかる融合画像の作成は、画像の幾何学的位置が確定しており、さらにコンプトン散乱エックス線画像が蛍光を検出する半導体検出器で同時に計測できる。すなわち、上記3種類の画像が同一の計測システム上で検出されるため、画像再構成過程が等価であり、画像の重ね併せに特別な技術を必要としない点で容易であり、機能情報を十分に理解するためには形態情報を加味した読影が好ましく、有用性が高い。
【0035】
本発明の蛍光エックス線検出装置により得ることができる画像の空間分解能は、0.1〜1.0mm、好ましくは、0.2〜0.25mmである。
【0036】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
[予備的撮像システム]
予備的撮像システムの実験を、大学共同利用機関法人高エネルギー物理学研究所(KEK)のトリスタン蓄積リング(6.5GeV)内の偏向磁石ビームラインARNE−5Aで行った。べンディングマグネットから発生する放射光をSi(220)製のダブルモノクロメータで、単色化するため、撮影エックス線エネルギーを37keVに設定し、入射ビームの幅を20mm、高さを1mmとした。入射光子数は、10photons/mm/secである。ここでは、1素子検出器で多素子検出器アレイをシミュレートする。検出面を制限するための鉛製コリメータ(縦10mm、横0.5mm、奥行き50mm)を設置した。試料とコリメータの距離は、25mmに設定した(図3参照)。この検出器をビーム方向に対して90度方向に設置する。被射体をビーム方向に0.5mmずつ並進走査することで、多素子検出器アレイでのパラレルデータ取得をシミュレートした。180°にわたり2°の角度ステップで90プロジェクション取得した。1点あたりの計測時間は6秒とした。
【0038】
[物理ファントムの撮像実験]
被射体として、直径10mmアクリル製物理ファントムを用いた。この物理ファントムには、直径3mmの穴が三つあり、その中のそれぞれに50、100、200μg/mLヨウ素溶液を満たした(図4参照)。実験で計測された、ファントムのある点でのエネルギースペクトル解析の例を図5に示す。ヨウ素Kα蛍光エックス線(28.3keV)、コンプトン散乱(34.5keV)、トムソン散乱(37.0keV)のピークが観測されている。得られたファントムの再構成画像を図6に示した。ヨウ素領域が明瞭に撮像されていることがわかる。
【0039】
[空間分解能の評価]
空間分解能を評価するために、ファントム上の直径3mmの穴の中心を通る直線上の微分プロファイルから空間分解能を推定した。微分プロファイルのピーク半幅値は約500μmとなった。したがって、本実験の実空間分解能は500μmと推定ができ、コリメータの開口の横幅と同程度であった。
【0040】
[定量性の評価]
定量性を確認するため、ヨウ素造影剤濃度を変えながら、上と同じ条件で断層画像化した。ヨウ素濃度は50、100、200μg/mL、及び15、25、50μg/mLと変えた。得られた画像のヨウ素の分布領域にROIを設定し,平均画素値を算出した。ヨウ素濃度に対しROIの平均画素値をプロットし、ヨウ素濃度と再構成画像平均画素値の関係を求め、検量線を得た(図7参照)。良好な直線性を示していることが図7よりわかる。
【実施例2】
【0041】
[ラット摘出脳のインビトロ撮像実験]
脳血流製剤I−127IMP投与後、摘出して、ホルマリン固定した正常マウスの脳を撮像した。蛍光エックス線CTで得られたマウス脳内のヨウ素濃度分布を図8に示す。大脳皮質(cortex)、視床(thalamus)が明瞭に描出されている。図7の検量線により定量評価したところ、図8における明るい領域で約33μg/mLであった。蛍光エックス線CTにおける測定時間を軽減するための、シートビームによるデータ取得方式を提案し、その実現可能性をKEKでの放射光を用いた予備実験により検証した。従来のペンシルビームによる方式では約3時間かかっていたが、本発明の蛍光エックス線検出器による計測では約540秒(9分)であり、実験の計測時間の短縮が約20倍改善された。シートビームによる多素子検出器を用いた場合の撮像可能性を実験的に実証した。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の蛍光エックス線検出装置の概略平面図である。
【図2】本発明の蛍光エックス線捕捉の概略説明図である。
【図3】予備的撮像システムの概念図の例を示す。
【図4】アクリルファントムの概念図の例を示す。
【図5】ファントムのある点でのエネルギースペクトルの例を示す図である。
【図6】3穴ファントムのイメージを示す図である。
【図7】物理ファントムの撮像実験におけるヨウ素濃度に対しROIの平均画素値の検量線のプロットを示す図である。
【図8】脳血流製剤I−127IMP投与後、摘出して、ホルマリン固定した正常マウスの脳の撮像により得られたマウス脳内のヨウ素濃度分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析試料に含まれる被検元素から蛍光エックス線を発生させることができるエネルギーを有する単色エックス線をシートビーム状に照射する光源部と、前記単色エックス線がシートビーム状に照射される分析試料を支持するための試料支持部と、分析試料に含まれる被検元素から発生する蛍光エックス線を検出するエックス線検出部と、データ処理用コンピューターを備えた蛍光エックス線分析装置において、前記エックス線検出部が単色エックス線の照射方向と直交するシートビーム面に配設され、検出部の検出素子からシートビーム状の単色エックス線の照射方向へおろした垂線上に存在する被検元素から発生する蛍光エックス線を検出することができ、且つ、前記試料支持部がシートビーム面を垂直に貫通する線を中心軸としてシートビーム面を光源部及びエックス線検出部に対して相対的に回転し、分析試料を単色エックス線で回転走査して分析試料内部の画像を得ることができることを特徴とする蛍光エックス線検出装置。
【請求項2】
シートビーム状に照射される単色エックス線が、二次元シートビーム状に照射される単色エックス線であって、分析試料内部の画像が二次元の被検元素の分布断層画像であることを特徴とする請求項1記載の蛍光エックス線検出装置。
【請求項3】
シートビーム状に照射される単色エックス線が、三次元ブロックシートビーム状に照射される単色エックス線であって、分析試料内部の画像が三次元の被検元素の分布断層画像であることを特徴とする請求項1記載の蛍光エックス線検出装置。
【請求項4】
エックス線検出部が、検出面の前に設置されているコリメータを含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の蛍光エックス線検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の蛍光エックス線検出装置を用いて、必要に応じて対象に造影剤を投与し、分析試料内部の被検元素の分布断層画像を定量的に得ることを特徴とする蛍光エックス線検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−25711(P2010−25711A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186551(P2008−186551)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(304036754)国立大学法人山形大学 (59)
【Fターム(参考)】