説明

表示システム、表示方法およびプログラム

【課題】 見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができ、また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示でき、かつ、見守り対象者のプライバシーを保護することのできる表示システムを提供する。
【解決手段】 表示システム1は、見守り対象者が保持するタグ装置2と、見守りエリア内に設置されたタグ検出装置3と、見守り保護者が使用する保護者用端末4とを備え、見守りシステムなどで用いられる。この表示システム1では、タグ検出装置3によるタグ装置2の検出結果に基づいて、保護者用端末4に見守り対象者の位置が表示される。このとき、見守り対象者の位置を表示する画像として、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の位置を含む所定の大きさを有する検出エリアが地図上で区別して表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上した表示システムに関し、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護する機能を備えた表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、学校や塾などに通う児童や生徒(学童ともいう)の様子を、自宅や職場などにいる保護者が見守ることができるシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。このようなシステムでは、学童の通学路に監視カメラ付きの装置を設置しておき、その装置と無線通信可能な電子タグを学童に持たせておく。学童が登下校の際に装置の付近を通過すると、学童の所持する電子タグからタグIDを受信し、その学童の位置情報や映像情報が保護者に提供される。
【特許文献1】特開2007−42009号公報(第5−13頁、第1図)
【0003】
このような従来のシステムでは、保護者用端末に学童の位置を表示する場合、例えば、その学童の電子タグを検出した装置の位置が地図上の点で表される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、保護者用端末に表示される地図上の点は、学童の電子タグを検出した装置の位置表示としては正確であるが、その学童の位置表示として正確であるとはいえない。例えば、電子タグがアクティブタグの場合には、電子タグの検出可能な範囲は数10m〜100m程度であり、この広い範囲のどこかを学童が通過すれば、その学童の電子タグが装置によって検出されることになる。このような場合に、学童の電子タグを検出した装置の位置を単に地図上の点で表示するだけでは、保護者はその装置の位置を学童の位置として誤解するおそれがあり、学童の位置を正確に知らせることが困難であるという問題があった。
【0005】
また、学童が様々な経路を通って種々の場所へ移動した場合、多数の装置によってその学童の電子タグが検出されることになる。しかし、従来のシステムでは、その学童の電子タグを検出した装置の位置が地図上で散らばった多数の点として表示されるにすぎないので、学童の行動の傾向が分かり難いという問題がある。
【0006】
一方、学童の現在位置や通過履歴などをあまりに正確に表示すると、これらの情報を第三者が不正に入手して使用するおそれがあり、学童のプライバシー保護の観点からも問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができ、また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示でき、かつ、見守り対象者のプライバシーを保護することのできる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示システムは、見守り対象者が保持するタグ装置と、見守りエリア内の複数箇所に設置され前記タグ装置を検出可能なタグ検出装置と、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末とを備え、前記タグ装置を前記タグ検出装置で検出した検出結果に基づいて、前記保護者用端末に前記見守り対象者の位置を表示する表示システムにおいて、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を含む所定の大きさを有する検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像を、前記見守り対象者の位置を表示する画像として生成する表示画像生成手段を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、見守り対象者が保持するタグ装置をタグ検出装置が検出すると、そのタグ検出装置の位置を示す検出エリアが地図上で区別して表示される。検出エリアはタグ検出装置の位置を含む所定の大きさを有しており、見守り対象者はこの検出エリア内のどこかを通過した可能性が高い。これにより、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができる。また、この検出エリアが所定の大きさを有しているので、多数の検出エリアが表示された場合には、検出エリアに重なりが生じることになる。検出エリアの重なりとして表示される場所は、見守り対象者がよく行く場所である可能性が高い。これにより、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示することができる。また、この検出エリアが所定の大きさを有しているので、見守り対象者の過度に正確な位置が表示されることが防がれる。これにより、見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0010】
また、本発明の表示システムでは、前記表示画像生成手段は、前記検出エリアを地図上で強調表示する強調表示手段を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、検出エリアが地図上で強調表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。
【0012】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に基づいて設定される構成を有している。
【0013】
この構成により、受信電波強度に基づいて検出エリアを適度な大きさに設定することができる。例えば、受信電波強度が大きいときには、検出エリアを大きく設定し、受信電波強度が小さいときには、検出エリアを小さく設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、検出エリアを適度な大きさに設定することができる。
【0014】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出した検出履歴に基づいて設定される構成を有している。
【0015】
この構成により、検出履歴に基づいて検出エリアを適度な大きさに設定することができる。例えば、検出頻度が高いときには、検出エリアを大きく設定し、検出頻度が低いときには、検出エリアを小さく設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、検出エリアを適度な大きさに設定することができる。
【0016】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を地図上で結んだライン状の軌跡エリアであり、前記軌跡エリアのライン幅は、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定される構成を有している。
【0017】
この構成により、地図上に軌跡エリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。この軌跡エリアのライン幅は、受信電波強度に応じて適度な太さに設定される。例えば、受信電波強度が大きいときには、ライン幅を大きく設定し、受信電波強度が小さいときには、ライン幅を小さく設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、ライン幅を適度な太さに設定することができる。
【0018】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を含むあらかじめ地図を区切ったブロック状のブロックエリアであり、前記ブロックエリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定される構成を有している。
【0019】
この構成により、地図上にブロックエリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。このブロックエリアの大きさは、受信電波強度に応じて適度な大きさに設定される。例えば、受信電波強度が大きいときには、ブロックエリアを大きく設定し、受信電波強度が小さいときには、ブロックエリアを小さく設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、ブロックエリアを適度な大きさに設定することができる。
【0020】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を中心とする円形状エリアであり、前記円形状エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定される構成を有している。
【0021】
この構成により、地図上に円形状エリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。この円形状エリアの径は、受信電波強度に応じて適度な長さに設定される。例えば、受信電波強度が大きいときには、円形状エリアの径を長く設定し、受信電波強度が小さいときには、円形状エリアの径を短く設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、円形状エリアの径を適度な長さに設定することができる。
【0022】
また、本発明の表示システムでは、前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置のアンテナ感度パターン形状のパターンエリアであり、前記パターンエリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定される構成を有している。
【0023】
この構成により、地図上にパターンエリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。このパターンエリアの大きさは、受信電波強度に応じて適度な大きさに設定される。例えば、受信電波強度が大きいときには、パターンエリアを大きく設定し、受信電波強度が小さいときには、パターンエリアを小さく設定する。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、パターンエリアを適度な大きさに設定することができる。
【0024】
また、本発明の表示システムでは、前記強調表示手段は、前記タグ装置が検出された時間に応じて、前記検出エリアの強調表示を変化させる構成を有している。
【0025】
この構成により、見守り対象者の位置の情報と時間の流れの情報をあわせて表示することができる。これにより、見守り対象者の行動を分かりやすく表示することができる。
【0026】
また、本発明の表示システムでは、前記表示画像生成手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像を非強調表示する非強調表示手段を備えた構成を有している。
【0027】
この構成により、検出エリア以外の地図画像が非強調表示される。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0028】
また、本発明の表示システムでは、前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像をぼかして表示する構成を有している。
【0029】
この構成により、検出エリア以外の地図画像がぼかして表示される。これにより、見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0030】
また、本発明の表示システムでは、前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像の彩度を低く表示する構成を有している。
【0031】
この構成により、検出エリア以外の地図画像が低い彩度で表示される。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0032】
また、本発明の表示システムでは、前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像のコントラストを低く表示する構成を有している。
【0033】
この構成により、検出エリア以外の地図画像が低いコントラストで表示される。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0034】
また、本発明の表示システムでは、前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像の輝度を低く表示する構成を有している。
【0035】
この構成により、検出エリア以外の地図画像が低い輝度で表示される。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0036】
本発明の表示方法は、上記の表示システムで用いられる表示方法であって、見守り対象者が保持するタグ装置を検出し、前記タグ装置を検出したタグ検出装置の位置を特定し、前記タグ検出位置を含む検出エリアを特定し、特定した前記検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像データを生成し、前記位置表示画像データを、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末に表示する。
【0037】
この方法によっても、上記のシステムと同様に、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができる。また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示することができる。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0038】
本発明のプログラムは、上記の表示システム用のプログラムであって、コンピュータに、見守り対象者が保持するタグ装置を検出した情報を受ける処理と、前記タグ装置を検出したタグ検出装置の位置からタグ検出位置を特定する処理と、前記タグ検出位置を含む検出エリアを特定する処理と、特定した前記検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像データを生成する処理と、前記位置表示画像データを、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末に表示する処理と、を実行させる。
【0039】
このプログラムによっても、上記のシステムと同様に、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができる。また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示することができる。これにより、見守り対象者の位置表示画像の見やすさを向上でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、使用者の目的に応じて位置表示を変化させる表示画像生成手段を設けることにより、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができ、また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示できるために見やすい表示ができ、かつ、見守り対象者のプライバシーを保護することができるという効果を有する表示システムを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態の表示システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、学校や塾などに通う学童(見守り対象者)の様子を、自宅や職場などにいる保護者(見守り保護者)が見守ることができる学童の見守りシステム等で用いられる表示システムの場合を例示する。
【0042】
本実施の形態の表示システムを、図1〜図4を用いて説明する。ここでは、まず、表示システムの全体の構成について説明する。図1は、本実施の形態の表示システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、表示システム1は、タグ装置2とタグ検出装置3と保護者用端末4とセンター装置5で構成されている。なお、図1の例では、説明の便宜のために、タグ装置2とタグ検出装置3と保護者用端末4が1つだけ図示されているが、タグ装置2とタグ検出装置3と保護者用端末4の数はこれに限定されるものではない。
【0043】
つぎに、表示システム1の各構成について説明する。タグ装置2は、例えば電子Cタグを備えた生徒証や塾生証などのICカードや、携帯電話機やPDAなどの携帯端末などの装置であり、見守り対象者である学童が所持している。
【0044】
図1に示すように、このタグ装置2は、無線通信を行うためのアンテナ6と、タグ検出装置3との無線送受信を行うための無線送受信部7を備えている。また、タグ装置2は、動作制御のためのマイコン8と、タグIDなどの情報が記録されたメモリ9を備えている。また、図1に示した例では、タグ装置2はアクティブタグであるが、電源が不要なパッシブタグでもよい。
【0045】
タグ検出装置3は、無線通信によってタグ装置2の検出が可能な装置である。このタグ検出装置3は、見守りエリア内の複数個所に設置され、見守りノードとも呼ばれる。本実施の形態では、例えば、街の交差点や道路の脇、学校の校門や出入り口、図書館や公園などに、複数のタグ検出装置3が設置される。このタグ検出装置3は、タグ読取り機能を備えており、タグリーダ装置とも呼ばれる。
【0046】
図1に示すように、このタグ検出装置3は、無線通信を行うためのアンテナ11と、タグ読取り処理を行うタグ読取り部12を備えている。タグ読取り部12は、タグ装置2と無線送受信を行うための無線送受信部13と、タグ読取り処理の動作を制御するマイコン14と、検出装置IDなどの情報が記録されたメモリ15を備えている。また、タグ検出装置3は、各種の動作制御のための制御部16と、現在時刻を測定する計時部17を備えている。また、図1に示した例では、タグ装置2は、カメラ18と画像記録部19を備えており、見守り対象者(学童)の画像を撮影する機能を有している。
【0047】
保護者用端末4は、ネットワーク(例えばインターネット20)を介して、タグ検出装置3およびセンター装置5と通信可能な端末装置である。保護者用端末4は、液晶ディスプレイなどの表示部21を備えており、この表示部21に、見守り対象者(学童)の位置を示す位置表示画像が表示される。この保護者用端末4は、例えば、保護者の携帯端末(携帯電話やPDAなど)やパーソナルコンピュータなどである。
【0048】
センター装置5は、例えばインターネット20などのネットワークを介して、タグ検出装置3と通信可能なサーバ機能を備えた装置である。図1に示すように、センター装置5は、タグ検出装置3から送られた検出履歴データ(後述する)を収集する検出履歴データ収集部22と、収集した検出履歴データをタグIDごと(見守り対象者ごと)に記録する検出履歴データベース部23を備えている。また、センター装置5は、地図データが記録された地図データベース部24と、検出履歴データおよび地図データに基づいて見守り対象者の行動の傾向を解析する行動傾向解析部25を備えている。
【0049】
また、センター装置5は、行動傾向解析部25の解析結果に基づいて見守り保護者へ通知する通知画面(位置表示画面)を作成する通知画面作成部26と、作成した位置表示画面を保護者用端末4へ送信するためのインターネットサーバ部27を備えている。このインターネットサーバ部27は、Webサーバやメールサーバなどの機能を備えている。また、センター装置5は、保護者用端末4からの各種の要求(位置表示画面の表示要求など)を受け付ける保護者要求受付部28を備えている。通知画面作成部26は、保護者要求受付部28を介して保護者用端末4から表示要求を受け付けると、保護者用端末4へ通知する位置表示画面を作成する。また、センター装置5は、保護者用端末4の認証に関するデータとしてユーザ情報を格納するユーザ情報データベース部29を備えている。
【0050】
この位置表示画面では、見守り対象者の持つタグ装置2を検出したタグ検出装置3の位置が含まれる検出エリアが地図上で区別して表示されている。なお、本実施の形態の表示システム1には、様々な表示モード(後述する)が用意されており、検出エリアの表示態様(形状、大きさ、強調の仕方など)は表示モードに応じてそれぞれ異なっている。
【0051】
ここで、図2および図3を用いて、行動傾向解析部25についてより詳細に説明する。図2は、タグ検出装置3の位置および学童の移動経路の一例を示す図である。図2に示すように、例えば、ある見守りエリア内に、A地点からN地点までの14箇所にタグ検出装置3(検出装置ID:A〜N)が設置されており、あるタグ装置2(タグID:X)を持った学童が図中に実線で示した経路を移動した場合について説明する。
【0052】
この場合、学童の持つタグ装置2は、まずA地点のタグ検出装置3で検出され、その後、E地点、F地点、I地点、K地点、M地点、K地点、L地点、K地点、J地点、H地点、A地点の順でタグ検出装置3に検出されることになる。各タグ検出装置3は、タグ装置2を検出する度に、検出履歴データ(タグID、検出装置ID、RSSI、検出時刻など)をセンター装置5へ送信する。なお、RSSI(Received Signal Strength Indicator)は、タグ検出装置3がタグ装置2を検出したときの受信電波強度である。
【0053】
図3は、図2の経路で見守り対象者が移動したときに検出履歴データベース部23に記録される検出履歴データの説明図である。図3の例では、あるタグ装置2(タグID:X)の検出履歴データとして、検出装置IDと検出時刻とRSSIのデータが記録されている。図3の検出履歴データでは、例えば、タグID「X」のタグ装置2が、検出装置ID「A」のタグ検出装置3によって、検出時刻「15:00」にRSSI「大」で検出されたことが示されている。
【0054】
行動履歴解析部25では、上記のような検出履歴データに基づいて、各タグ装置2について、そのタグ装置2を検出したタグ検出装置3ごとに、そのタグ装置2を検出したときのRSSI(受信電波強度)や検出回数(通過頻度)を求める。例えば、図3の例では、検出装置ID「A」のタグ検出装置3がタグID「X」のタグ装置2を検出した検出回数は「2回」であり、タグ装置2を検出したときのRSSIはいずれも「大」である。
【0055】
つぎに、図4を用いて、通知画面作成部26についてより詳細に説明する。図4は、通知画面作成部26の構成を示すブロック図である。図4に示すように、通知画面作成部26は、検出エリアの強調度を算出する強調度算出部29と、表示する検出エリアの地図上の位置を設定する検出エリア設定部30と、検出エリアの表示態様を示す表示モードを設定する表示モード設定部31と、検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像を生成する表示画像生成部32を備えている。つまり、センター装置5は、位置表示画像を生成する機能を備えているともいえる。この機能は、センター装置5のHDDやメモリ等(図示せず)に格納されたプログラムによって実行される。ここでは、この表示画像生成部32が、本発明の表示画像生成手段に相当する。
【0056】
強調度算出部29は、行動傾向解析部25から受け取ったRSSIや検出回数(通過頻度)に基づいて、検出エリアの強調度を算出する。この強調度に基づいて検出エリアの大きさが設定される。また、検出エリア設定部30は、行動傾向解析部25から受け取った検出装置IDや地図データベース部24から受け取った地図データに基づいて、表示する検出エリアを設定する。また、表示モード設定部31は、保護者要求受付部28を介して保護者用端末4から受け取った表示モード要求に基づいて表示モードを設定する。なお、保護者用端末4から表示モード要求がなかった場合には、既定の表示モードを使用するように設定されてもよい。
【0057】
表示画像生成部32は、検出エリアを地図上で強調表示する強調表示部33と、検出エリア以外の地図画像を非強調表示する非強調表示部34を備えている。強調表示や非強調表示として、表示モードに応じた種々の画像処理(後述する)が用いられる。この強調表示部33が、本発明の強調表示手段に相当し、非強調表示部34が、本発明の非強調表示手段に相当する。
【0058】
以上のように構成された表示システム1について、まず、システム全体の動作の流れを説明する。ここでは、図5を用いて保護者用端末4に位置表示画像が表示されるときの動作の流れを説明する。
【0059】
図5は、本システムの処理における情報の流れを示す図である。図5に示すように、見守り対象者(学童)が所定の経路(例えば、図2に示した経路)を移動すると、その経路の近くに配置されたタグ検出装置3(検出装置ID:A〜N)によって、学童が所持しているタグ装置2が検出される。この場合、例えば、RSSI(RSSIの時間平均値であってもよい)が所定の閾値以上のタグ装置2が検出される。または、タグ装置2がハイパワーモードとローパワーモードの切替えが可能である場合には、ハイパワーモードのときのRSSIが所定の閾値以上のタグ装置2が検出される。このパワー切り替えはアクティブタグからパッシブタグへの切り替えであってもよい。また、アクティブタグの代わりに、セミアクティブタグが用いられてもよい。所定の期間内に受信できた回数(または時間)が所定の閾回数(または閾時間)以上のタグ装置2が検出される。
【0060】
タグ装置2が検出されると、タグ検出装置3からセンター装置5へ、検出履歴データ(タグID、検出装置ID、RSSI、検出時刻など)が送信される。センター装置5では、検出履歴データ収集部22によって検出履歴データが収集され、検出履歴データベース部23に検出履歴データがタグ装置2(タグID)ごとに記録される。
【0061】
見守り保護者が保護者用端末4に位置表示画像を表示させるときには、保護者用端末4からセンター装置5へ位置表示画面の表示要求を送信する。このとき、表示要求とともに、表示モードを指定する表示モード要求が保護者用端末4からセンター装置5へ送信されてもよい。センター装置5の通知画面作成部26は、保護者要求受付部28を介して保護者用端末4から表示要求を受け付けると位置表示画面を作成し、インターネットサーバ部27を介して保護者用端末4へ位置表示画面を送信する。保護者用端末4の表示部21には、センター装置5から受信した位置表示画面が表示される。表示位置は目的に応じ、時間、RSSI、検出時刻を用いて加工してもよい。また、通知画面の作成は、センター装置ではなく対象タグの履歴の情報を受け取った保護者用端末で行ってもよい。
【0062】
つぎに、本実施の形態の表示システム1の各種の表示モードについて、図6〜図16を用いて説明する。
【0063】
(軌跡エリア強調表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、検出エリアを強調する表示モードの一つとして、軌跡エリア強調表示モードが設けられている。
【0064】
図6は、軌跡エリア強調表示モードの一例を示した説明図である。図6に示すように、軌跡エリア強調表示モードでは、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の位置を地図上で結んだライン状の軌跡エリア(図6の斜線部分)が地図上に強調して表示される。この軌跡エリアのライン幅は、RSSIに応じて設定されている。例えば、RSSIが大きいときにはライン幅が太く設定され、RSSIが小さいときにはライン幅が細く設定される。この軌跡エリアは、目立つ色(例えば赤色など)で着色されて地図上で強調表示されている。つまり、この場合、背景画像としての地図画像の上に、強調表示された軌跡エリアが重ね書きされているともいえる。
【0065】
(ブロックエリア強調表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、検出エリアを強調する表示モードの一つとして、ブロックエリア強調表示モードが設けられている。
【0066】
図7は、ブロックエリア強調表示モードの一例を示した説明図である。図7に示すように、ブロックエリア強調表示モードでは、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の位置を含むブロックエリア、または、タグ装置2を検出した順にタグ検出装置3を地図上で結んだ軌跡が含まれるブロックエリア(図7の斜線部分)が地図上に強調して表示される。なお、図では、説明の便宜のため、ブロックエリアを画定するためのラインが破線で示されているが、この破線は保護者用端末4の表示部21に表示されなくてもよい。また、簡易的にタグ装置2を検出したタグ検出装置3が含まれるブロックのみを強調してもよい。
【0067】
このブロックエリアは、あらかじめタグ検出装置3の位置に基づいて地図上で区切られたブロック状のエリアである。また、このブロックエリアは、目立つ色(例えば赤色など)で着色されて地図上で強調表示されている。つまり、この場合、背景画像としての地図画像の上に、強調表示されたブロックエリアが重ね書きされているともいえる。
【0068】
図8は、ブロックエリア強調表示モードの他の例を示した説明図である。図8に示した例では、タグ装置2の検出回数(通過頻度)が多いブロックエリア(K地点の周辺のブロックエリア)が、通常のブロックエリアよりも更に強調して表示されている。例えば、タグ装置2の検出回数が多いブロックエリアが、通常のブロックエリアより更に目立つ色(例えば濃い赤色など)で着色されている。
【0069】
また、ここでは特に図示していないが、例えば、軌跡が少しだけかかるブロックエリアを、通常のブロックエリアよりも弱く強調してもよい。例えば、軌跡が少しだけかかるブロックエリアを、通常のブロックエリアより少し目立たない色(例えば薄い赤色など)で着色してもよい。
【0070】
(円形状エリア強調表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、検出エリアを強調する表示モードの一つとして、円形状エリア強調表示モードが設けられている。
【0071】
図9は、軌跡エリア強調表示モードの一例を示した説明図である。図9に示すように、円形状エリア強調表示モードでは、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の位置を中心とする円形状エリア(図9の斜線部分)が地図上に強調して表示される。この円形状エリアは、目立つ色(例えば赤色など)で着色されて地図上で強調表示されている。つまり、この場合、背景画像としての地図画像の上に、強調表示された円形状エリアが重ね書きされているともいえる。なお、この円形には、楕円形、角を丸めた多角形等種々の形状が含まれる。
【0072】
この場合、特に図示していないが、円形状エリア同士が重なる部分を、通常の円形状エリアより更に強調して表示してもよい。例えば、円形状エリア同士が重なる部分が、通常の円形状エリアより更に目立つ色(例えば濃い赤色など)で着色してもよい。
【0073】
図10は、円形状エリア強調表示モードの他の例を示した説明図である。図10に示した例では、円形状エリアの半径が、RSSIに応じて設定されている。例えば、RSSIが大きいときには半径が大きく設定され、RSSIが小さいときには半径が小さく設定される。あるいは、円形状エリアは、RSSIが大きいときは半径が小さく、濃い色で設定される。前者の場合はタグ装置保有者の行動の概略を容易に把握でき、後者の場合は行動を精度よく把握することができる。
【0074】
図11は、円形状エリア強調表示モードの更に他の例を示した説明図である。図11に示した例では、タグ装置2の検出回数(通過頻度)が多い円形状エリア(K地点の円形状エリア)が、通常の円形状エリアよりも更に強調して表示されている。例えば、タグ装置2の検出回数が多いブロックエリアが、通常の円形状エリアより更に目立つ色(例えば濃い赤色など)で着色されている。
【0075】
(パターンエリア強調表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、検出エリアを強調する表示モードの一つとして、パターンエリア強調表示モードが設けられている。
【0076】
図12は、パターンエリア強調表示モードの一例を示した説明図である。図12に示すように、パターンエリア強調表示モードでは、タグ装置2を検出したタグ検出装置3のアンテナ感度パターンの形状のパターンエリア(図12の斜線部分)が地図上に強調して表示される。例えば、タグ検出装置3のアンテナ11が無指向性アンテナである場合には、そのパターンエリアの形状は円形状になる(例えばA地点のパターンエリアなど)。一方、タグ検出装置3のアンテナ11が指向性アンテナである場合には、そのパターンエリアの形状はアンテナビーム利得パターンの形状になる(例えばE地点のパターンエリアなど)。
【0077】
このパターンエリアの大きさは、RSSIに応じて設定されている。例えば、RSSIが大きいときにはパターンエリアが大きく設定され、RSSIが小さいときにはパターンエリアが小さく設定される。このパターンエリアは、目立つ色(例えば赤色など)で着色されて地図上で強調表示されている。つまり、この場合、背景画像としての地図画像の上に、強調表示された軌跡エリアが重ね書きされているともいえる。
【0078】
(時間変化表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、タグ装置2が検出された時刻に応じて検出エリアの表示を変化させる時間変化表示モードが設けられている。
【0079】
図13は、時間変化表示モードの一例を示した説明図である。なお、図13の例は、図9の円形状エリア強調表示モードに、時間変化表示モードをあわせて適用したものである。図13に示すように、時間変化表示モードでは、タグ装置2が検出された時刻に応じて円形状エリアの着色にグラデーション変化がつけられる。例えば、タグ装置2を検出した時刻が最近のタグ検出装置3の円形状エリアを濃い色(例えば濃い赤色)で表示し、タグ装置2を検出した時刻が古くなるのに従って、円形状エリアの色を徐々に薄くなるようにグラデーション変化をつける。このように、時間変化表示モードでは、一つの位置表示画像で時間軸が表されているともいえる。
【0080】
あるいは、タグ装置2を検出した時刻が最近のタグ検出装置3の円形状エリアの色(例えば赤色)から、タグ装置2を検出した時刻が古くなるのに従って円形状エリアの色を(赤、橙、黄、緑、青、紫の順に)変えてもよい。また、この色の変化、色相を徐々に変えるようにグラデーション変化をつけてもよい。
【0081】
図14は、時間変化表示モードの他の例を示した説明図である。図14に示した例では、タグ装置2を検出した時刻が最近のタグ検出装置3の円形状エリアのみ、円形状エリアを囲む太枠が設けられている。なお、ここでは特に図示しないが、タグ装置2を検出した時刻が最近のタグ検出装置3の円形状エリアを最も太い太枠で囲み、タグ装置2を検出した時刻が古くなるのに従って、円形状エリアを囲む太枠を徐々に細くなるようにグラデーション変化をつけてもよい。
【0082】
(非強調表示モード)
本実施の形態の表示システム1には、検出エリアの地図画像に比べて検出エリア以外の地図画像を非強調表示する表示モードの一つとして、非強調表示モードが設けられている。
【0083】
図15は、非強調表示モードの一例を示した説明図である。図15に示すように、非強調表示モードでは、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の検出エリアが含まれるブロックの地図画像(図15の実線部分)が通常どおり表示され、検出エリアが含まれるブロック以外の地図画像(図15の破線部分)が非強調表示される。なお、図15では、検出エリアとして図12のパターンエリアが用いられ、ブロックとして図7と同様のブロック(図示せず)が用いられた例が示されている。また、図15では、説明の便宜のため、検出エリア(パターンエリア)が実線で示されているが、この検出エリアを示す実線は保護者用端末4の表示部21に表示されなくてもよい。
【0084】
上記のブロックの大きさは、あらかじめ定められた変化しない大きさに設定されている。あるいは、上記のブロックの大きさは、RSSIに応じて設定されている。例えば、RSSIが大きいときにはブロックが大きく設定され、RSSIが小さいときにはブロックが小さく設定される。
【0085】
また、上記のブロックの大きさは、所定の期間内に受信できた回数(または時間)に応じて設定されてもよい。例えば、所定の期間内に受信できた回数(または時間)が多いほどブロックが大きく設定され、所定の期間内に受信できた回数(または時間)が少ないほどブロックが小さく設定される。
【0086】
また、上記のブロックの大きさは、タグ装置2を連続して検出した回数に応じて設定されてもよい。例えば、タグ装置2を複数回(所定の閾回数以上)連続して受信したときにはブロックが大きく設定され、タグ装置2をまばらに受信したときにはブロックが小さく設定される。
【0087】
非強調表示のための画像処理には、ぼかし画像処理が含まれる(図15及び図16参照)。ぼかし画像処理とは、画像の輪郭をぼかす画像処理であり、見かけ角丸めの効果を有する。ぼかし画像処理が施されたブロックでは、地図画像中の建物や道路などがぼけて見えるようになる。それに対して、ぼかし画像処理が施されていないブロックでは、地図画像中の建物や道路などがはっきり見える。
【0088】
また、非強調表示のための画像処理には、彩度を低くする画像処理が含まれる。彩度を低くする画像処理が施されたブロックでは、地図画像中の建物や道路などの色が淡く見えるようになる。それに対して、彩度を低くする画像処理が施されていないブロックでは、地図画像中の建物や道路などの色が鮮やかに見える。
【0089】
また、非強調表示のための画像処理には、コントラストを低くする画像処理が含まれる。コントラストを低くする画像処理が施されたブロックでは、地図画像中の建物や道路などがかすんで見えるようになる。それに対して、コントラストを低くする画像処理が施されていないブロックでは、地図画像中の建物や道路などがくっきり見える。
【0090】
また、非強調表示のための画像処理には、輝度を低くする画像処理が含まれる。輝度を低くする画像処理が施されたブロックでは、地図画像中の建物や道路などが暗く見えるようになる。それに対して、輝度を低くする画像処理が施されていないブロックでは、地図画像中の建物や道路などが明るく見える。
【0091】
非強調表示の度合い(例えば、ぼかし量)は、強調度算出部29で算出された強調度に基づいて設定される。この強調度には、例えば、RSSIと検出回数(または時間)の加重平均値や、RSSIと検出回数(または時間)の乗算値が含まれる。
【0092】
なお、この強調度として、RSSIのみを用いてもよい。例えば、RSSIが大きいブロックは鮮明に表示し、RSSIが小さいブロックはぼかし量を多く設定してもよい。
【0093】
図16は、非強調表示モードの他の例を示した説明図である。図16に示した例では、二段階の非強調表示が行われる。すなわち、タグ装置2を検出したタグ検出装置3の検出エリアが含まれるブロックの地図画像(図16の実線部分)が通常どおり表示され、検出エリアが含まれるブロックの周辺の地図画像(図16の長破線部分)が少しだけ非強調表示され、それ以外の地図画像(図16の短破線部分)が非強調表示される。
【0094】
この場合、非強調表示の度合いが二段階で設定される。図16の例では、RSSIと検出回数(または時間)の組み合わせに応じて、非強調表示の度合い(例えば、ぼかし量)が二段階で設定されてもよい。例えば、RSSIが大きくかつ検出回数が多いブロックは鮮明に表示し、RSSIが大きくかつ検出回数が少ないブロックはぼかし量を少なく設定し、RSSIが小さくかつ検出回数が少ないブロックはぼかし量を多く設定する。
【0095】
このような本発明の実施の形態の表示システム1によれば、位置表示画像を生成する表示画像生成部32を設けることにより、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができ、また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示でき、あわせて見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0096】
すなわち、本実施の形態では、見守り対象者(学童)が保持するタグ装置2をタグ検出装置3が検出すると、そのタグ検出装置3の位置を示す検出エリアが地図上で区別して表示される。検出エリアはタグ検出装置3の位置を含む所定の大きさを有しており、見守り対象者はこの検出エリア内のどこかを通過した可能性が高い。これにより、見守り対象者の適度に正確な位置を見守り保護者に知らせることができる(図9、図10など参照)。
【0097】
この検出エリアが所定の大きさを有しているので、保護者用端末4の表示部21に多数の検出エリアが表示された場合には、検出エリアに重なりが生じる。この検出エリアの重なりとして表示された場所は、見守り対象者がよく行く場所である可能性が高い。このようにして、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示することができる。
【0098】
また、この検出エリアが所定の大きさを有しているので、見守り対象者の過度に正確な位置が表示されることがない。これにより、見守り対象者のプライバシーを保護することができる。逆に犯罪捜査などに用いる場合には、検出エリアをRSSIの値の応じて小さくかつ濃い色で表現して、タグ位置表示の精度を高めるのも有効である。
【0099】
また、本実施の形態の強調表示モードでは、検出エリアが地図上で強調表示(例えば、赤色などで着色して表示)されるので、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすい(図11参照)。
【0100】
本実施の形態では、RSSIに基づいて検出エリアを適度な大きさに設定することができる。例えば、RSSIが大きいときには検出エリアが大きく設定され、RSSIが小さいときには検出エリアを小さく設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、検出エリアを適度な大きさに設定することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、検出履歴に基づいて検出エリアを適度な大きさに設定することができる。例えば、検出頻度が高いときには検出エリアを大きく設定され、検出頻度が低いときには検出エリアが小さく設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、検出エリアを適度な大きさに設定することができる。
【0102】
軌跡エリア強調表示モードでは、地図上に軌跡エリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。この軌跡エリアのライン幅は、RSSIに応じて適度な太さに設定される。例えば、RSSIが大きいときにはライン幅が大きく設定され、RSSIが小さいときにはライン幅が小さく設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、ライン幅を適度な太さに設定することができる。
【0103】
ブロックエリア強調表示モードでは、地図上にブロックエリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。このブロックエリアの大きさは、RSSIに応じて適度な大きさに設定される。例えば、RSSIが大きいときにはブロックエリアが大きく設定され、RSSIが小さいときにはブロックエリアが小さく設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、ブロックエリアを適度な大きさに設定することができる。
【0104】
円形状エリア強調表示モードでは、地図上に円形状エリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。この円形状エリアの径は、RSSIに応じて適度な長さに設定される。例えば、RSSIが大きいときには円形状エリアの径が長く設定され、RSSIが小さいときには円形状エリアの径が短く設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、円形状エリアの径を適度な長さに設定することができる(図10参照)。
【0105】
パターンエリア強調表示モードでは、地図上にパターンエリアが表示され、見守り対象者の行動の傾向が分かりやすくなる。このパターンエリアの大きさは、RSSIに応じて適度な大きさに設定される。例えば、RSSIが大きいときにはパターンエリアが大きく設定され、RSSIが小さいときにはパターンエリアが小さく設定される。このように、見守り対象者の行動の傾向に応じて、パターンエリアを適度な大きさに設定することができる。
【0106】
時間変化表示モードでは、見守り対象者の位置の情報と時間の流れの情報をあわせて表示することができる。これにより、見守り対象者の行動を分かりやすく表示することができる(図13、図14参照)。
【0107】
非強調表示モードでは、検出エリア以外の地図画像が非強調表示される。これにより、見守り対象者のプライバシーを保護することができる。
【0108】
例えば、検出エリア以外の地図画像がぼかして表示される。また、検出エリア以外の地図画像が低い彩度で表示される。また、検出エリア以外の地図画像が低いコントラストで表示される。また、検出エリア以外の地図画像が低い輝度で表示される。これにより、見守り対象者のプライバシーを保護することができる(図15、図16参照)。
【0109】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0110】
例えば、以上の説明では、位置表示画像を生成する機能がセンター装置5に備えられた例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、この表示画像生成機能は保護者用端末4に備えられてもよい。
【0111】
また、以上の説明では、説明の便宜のため、各表示モードについて個別に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、各表示モードを2つ以上組み合わせて適用することも可能である。例えば、軌跡エリア強調表示モードと非強調表示モードを組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明にかかる表示システムは、見守り対象者の位置を適度に正確に知らせることができ、また、見守り対象者の行動の傾向を分かりやすく表示でき、かつ、見守り対象者のプライバシーを保護することができるという効果を有し、見守りシステム等で用いられ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態における表示システムの構成を示すブロック図
【図2】タグ検出装置の位置および学童の移動経路の一例を示す図
【図3】見守りデータベースに記録された検出履歴データの説明図
【図4】通知画面作成部の構成を示すブロック図
【図5】表示システムのタグ検出から画面表示までの情報の流れを示す図
【図6】軌跡エリア強調表示モードの一例を示す説明図
【図7】ブロックエリア強調表示モードの一例を示す説明図
【図8】ブロックエリア強調表示モードの他の例を示す説明図
【図9】円形状エリア強調表示モードの一例を示す説明図
【図10】円形状エリア強調表示モードの他の例を示す説明図
【図11】円形状エリア強調表示モードの更に他の例を示す説明図
【図12】パターンエリア強調表示モードの一例を示す説明図
【図13】時間変化表示モードの一例を示す説明図
【図14】時間変化表示モードの他の例を示す説明図
【図15】非強調表示モードの一例を示す説明図
【図16】非強調表示モードの他の例を示す説明図
【符号の説明】
【0114】
1 表示システム
2 タグ装置
3 タグ検出装置
4 保護者用端末
5 センター装置
21 表示部
25 行動傾向解析部
26 通知画面作成部
32 表示画像生成部
33 強調表示部
34 非強調表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守り対象者が保持するタグ装置と、見守りエリア内の複数箇所に設置され前記タグ装置を検出可能なタグ検出装置と、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末とを備え、前記タグ装置を前記タグ検出装置で検出した検出結果に基づいて、前記保護者用端末に前記見守り対象者の位置を表示する表示システムにおいて、
前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を含む所定の大きさを有する検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像を、前記見守り対象者の位置を表示する画像として生成する表示画像生成手段を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記表示画像生成手段は、前記検出エリアを地図上で強調表示する強調表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記検出エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記検出エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出した検出履歴に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示システム。
【請求項5】
前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を地図上で結んだライン状の軌跡エリアであり、前記軌跡エリアのライン幅は、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を含むあらかじめ地図を区切ったブロック状のブロックエリアであり、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて前記タグ検出装置の位置を含む前記ブロックエリアの表示を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項7】
前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置の位置を中心とする円形状エリアであり、前記円形状エリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
前記検出エリアは、前記タグ装置を検出した前記タグ検出装置のアンテナ感度パターン形状のパターンエリアであり、前記パターンエリアの大きさは、前記タグ検出装置が前記タグ装置を検出したときの受信電波強度に応じて設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項9】
前記強調表示手段は、前記タグ装置が検出された時間に応じて、前記検出エリアの強調表示を変化させることを特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれかに記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示画像生成手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像を非強調表示する非強調表示手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の表示システム。
【請求項11】
前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像をぼかして表示することを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項12】
前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像の彩度を低く表示することを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項13】
前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像のコントラストを低く表示することを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項14】
前記非強調表示手段は、前記検出エリアの地図画像に比べて前記検出エリア以外の地図画像の輝度を低く表示することを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項15】
請求項1に記載の表示システムで用いられる表示方法であって、
見守り対象者が保持するタグ装置を検出し、
前記タグ装置を検出したタグ検出装置の位置を特定し、
前記タグ検出位置を含む検出エリアを特定し、
特定した前記検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像データを生成し、
前記位置表示画像データを、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末に表示することを特徴とする表示方法。
【請求項16】
請求項1に記載の表示システム用のプログラムであって、
コンピュータに、
見守り対象者が保持するタグ装置を検出した情報を受ける処理と、
前記タグ装置を検出したタグ検出装置の位置からタグ検出位置を特定する処理と、
前記タグ検出位置を含む検出エリアを特定する処理と、
特定した前記検出エリアが地図上で区別して表示された位置表示画像データを生成する処理と、
前記位置表示画像データを、前記見守り対象者の見守りを行う見守り保護者が使用する保護者用端末に表示する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−53171(P2009−53171A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222990(P2007−222990)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】