説明

表示パネル用基板の検査方法、検査装置および検査用基板

【課題】プローブ数を減らし、かつ、検査時間の短縮に適した表示パネル用基板の検査方法、を提供する。
【解決手段】表示パネル用基板の検査方法であって、前記表示パネル用基板200上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極111を備えた検査用基板101を対向させて配置するステップと、前記アクティブ素子T1を駆動することにより、前記画素電極202と前記検査用電極111とで形成される容量に電荷を保持させるステップと、前記検査用電極111に電気的に接続された測定回路102により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板101を介して測定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査方法、検査装置および検査用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子を用いた画像表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す。)を用いた有機ELディスプレイが知られている。この有機ELディスプレイは、視野角特性が良好で、消費電力が少ないという利点を有するため、次世代のFPD(Flat Panel Display)候補として注目されている。
【0003】
有機EL表示装置の製造工程において、欠陥画素を検出する方法が特許文献1に開示されている。
【0004】
図15は、特許文献1に開示された有機ELパネルを組み立てる前の有機ELアレイ基板の1画素及びこれを検査するための検査装置の構成を示す回路図である。この有機ELアレイ基板は、ドライブトランジスタ2と、保持キャパシタ3と、スイッチングトランジスタ4と、ゲート線5と、データ線6とを備える。
【0005】
ドライブトランジスタ2は例えばPチャネル薄膜トランジスタ(TFT)からなり、そのソースは共通線7に接続される。保持キャパシタ3は、ドライブトランジスタ2のゲートと共通線7との間に接続される。スイッチングトランジスタ4もまた例えばPチャネル薄膜トランジスタ(TFT)からなり、そのソースはドライブトランジスタ2のゲートに接続され、そのゲートはゲート線5に接続され、そのドレインはデータ線6に接続される。
【0006】
寄生キャパシタ8は、例えばアモルファスシリコンをチャネル層として用いたボトムゲートかつトップコンタクト構造における、ゲート・ドレイン電極の重なりによる容量であり、また例えば、トップエミッション構造の有機ELにおいては、図15に示した有機ELアレイ基板上に、アノードとなるITO(indium tin oxide)膜が形成され、ITO膜はドライブトランジスタ2のゲートと構造上重なっているため、これらの間に形成される容量である。
【0007】
この有機ELアレイ基板を検査するため、検査装置9が接続される。検査装置9は、積分器10と、スイッチング素子16と、制御回路17と、書込回路18と、検出部19とを備える。
【0008】
積分器10は、差動増幅器12と、積分容量14とを備える。有機ELアレイ基板のデータ線6は、スイッチング素子16を介して差動増幅器12の反転入力端子に接続される。制御回路17は、後述の方法でゲート線5の電位GATEを制御する。書込回路18は、後述の方法でデータ線6に所定の電位を与える。検出部19は、積分器10の出力に基づいてELアレイ基板上の不良を検出する。
【0009】
実際の検査では、各データ線6に積分器10が接続され、全ゲート線5に制御回路17が接続され、全データ線6に書込回路18が接続される。
【0010】
この検査方法は、保持キャパシタ3および寄生キャパシタ8に電荷を書き込むモードと、書き込んだ電荷を読み出すモードと、読み出した電荷に基づいて不良を検出するモードとからなる。
【0011】
また、特許文献2は、TFT/LCDセル・コンデンサに電荷を与え、短時間経過後にそのコンデンサに保持された電荷を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−295790号公報(図1)
【特許文献2】特開平3−200121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された従来技術の検査方法によれば、被検査基板を接続するための微細な針であるプローブを多数必要とするという課題と、検査を迅速にすることができないという課題とがある。
【0014】
すなわち、従来技術では、被検査基板のデータ線を介して各画素にデータを書き込み、被かつ、被検査基板のデータ線を介してデータを読み出すので、被検査基板に多数の微細なプローブを接続する必要があり、検査装置のコストを増加させ、被検査基板にプローブを接続する工数を増加させる。
【0015】
また、データの書き込みとデータの読出しは、被検査基板の同じデータ線を介して行うので、データ書き込みとデータ読出しとを同時にまたは並列に行うことができず、検査時間を短縮することが困難である。
【0016】
特に、高解像度・大画面になるにつれ、微細かつ大量のプローブが必要になり、従来の手法を適用することが困難である。
【0017】
上記課題に鑑み本発明は、被検査基板に接続するプローブ数を減らし、かつ、検査時間の短縮に適した表示パネル用基板の検査方法、検査装置および検査用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本発明の一形態における表示パネル用基板の検査方法は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査方法であって、前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置するステップと、前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷を保持させるステップと、前記検査用電極に電気的に接続された測定回路により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定するステップとを含む。
【0019】
この構成によれば、電荷の測定(読出し)は表示パネル用基板からではなく検査用基板から行うので、表示パネル用基板には電荷を読み出すためのプローブを接続する必要がなくなり、その分のプローブ数を減らすことができる。また、被検査基板から読み出すので検査用基板に接続する針を少なくできる。電極同士は非接触なので針が少ない。電荷を保持させるステップは主として表示パネル用基板から行われ、測定するステップは検査用基板から行われるので、保持させるステップと測定するステップとを2つの基板に分離して行うことができ、検査時間を短縮し、検査を迅速にすることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一形態における表示パネル用基板の検査方法によれば、表示用パネル用基板に接続されるプローブ数を減らすことができる。また、検査時間を短縮し、検査を迅速にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】検査装置の構成と被検査基板とを示す図である。
【図2A】被検査基板の構成例を示すブロック図である。
【図2B】画素回路(表示画素)の構成例を示すブロック図である。
【図3A】検査用基板の構成を示す概観図である。
【図3B】検査用基板の構成を示すブロック図である。
【図3C】画素回路(検査用画素)の構成を示すブロック図である。
【図4】表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【図5】検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図6】リペア工程の詳細を示すフローチャートである。
【図7】画素電極と検査用電極とにより形成される容量の説明図である。
【図8】検査工程のタイムチャートである。
【図9A】検査工程(t1〜t21)における動作説明図である。
【図9B】検査工程(t21〜t22)における動作説明図である。
【図9C】検査工程(t22〜t3)における動作説明図である。
【図9D】検査工程(t3〜t4)における動作説明図である。
【図9E】検査工程(t4〜t51)における動作説明図である。
【図9F】検査工程(t51〜t71)における動作説明図である。
【図9G】検査工程(t71〜t72)における動作説明図である。
【図10】実施の形態2における被検査基板の画素回路(表示画素)および検査基板の画素回路(検査用画素)の構成を示す図である。
【図11A】画素電極と検査用電極とにより形成される容量の説明図である。
【図11B】検査工程のタイムチャートである。
【図12A】被検査基板の画素回路の具体例を示す。
【図12B】被検査基板の画素回路の具体例を示す。
【図13A】実施の形態3における1つの画素電極に複数の検査用電極が対向する図である。
【図13B】1つの画素電極に複数の検査用電極が対向するときに形成される容量の説明図である。
【図14】検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図15】従来技術における検査回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一形態における表示パネル用基板の検査方法は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査方法であって、前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置するステップと、前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷を保持させるステップと、前記検査用電極に電気的に接続された測定回路により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定するステップとを含む。
【0023】
この構成によれば、電荷の測定(読出し)は表示パネル用基板からではなく検査用基板から行うので、表示パネル用基板には電荷を読み出すためのプローブを接続する必要がなくなり、その分のプローブ数を減らすことができる。また、被検査基板から読み出すので検査用基板に接続する針を少なくできる。電荷を保持させるステップは主として表示パネル用基板から行われ、測定するステップは検査用基板から行われるので、保持させるステップと測定するステップとを2つの基板に分離して行うことができ、検査時間を短縮し、検査を迅速にすることが可能である。
【0024】
ここで、前記検査用電極の面積は、前記画素電極の面積よりも小さく、前記配置ステップにおいて、一つの前記画素電極に対して複数の検査用電極が対向するように配置することができる。
【0025】
この構成によれば、異なる大きさの画素電極を持つ複数種類の表示用パネルを対象に検査することができる。つまり、画素電極の大きさに依存することなく、検査用基板に汎用性を持たせることができる。
【0026】
ここで、前記表示パネル用基板の検査方法は、さらに、1つの画素電極に対向する複数の検査用電極の電荷を重み付け加算することによって、画素電極の容量に対応する電荷量に換算するステップを含むことができる。
【0027】
この構成によれば、1つの画素電極と複数の検査用電極とが重なっている場合に、各検査用電極の重なり面積などを重み付け係数として、画素電極に対応する電荷量を算出することができる。
【0028】
ここで、前記検査用基板は、前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、前記容量に保持された電荷を測定するステップにおいては、前記スイッチング用薄膜トランジスタに、前記走査線を介して走査信号を供給し、前記検査用電極を前記検出線を介して前記測定回路と接続させることにより、前記容量に保持された電荷を測定することができる。
【0029】
ここで、前記表示パネル用基板は、さらに、マトリクス状に配置された前記複数の画素電極の行および列の一方に対応する走査線と、マトリクス状に配置された前記複数の画素電極の行および列の他方に対応するデータ線と、前記複数のアクティブ素子に電源を供給する複数の電源線とを含み、前記アクティブ素子は、第1の薄膜トランジスタと第2の薄膜トランジスタとを含み、前記容量に電荷を保持させるステップにおいては、前記第1の薄膜トランジスタに、前記走査線を介して走査信号を供給し、前記第2の薄膜トランジスタのゲート電極には、前記データ線から所定の電圧を印加し、前記画素電極には、前記電源線から前記第2の薄膜トランジスタを介して電流が供給されることにより電荷が保持される構成とすることができる。
【0030】
ここで、前記表示パネル用基板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用の基板とすることができる。
【0031】
また、本発明の一形態における表示パネル用基板の検査装置は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査に用いる検査装置であって、前記検査装置は、検査基板と制御部とを備え、前記検査基板は、前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、前記制御部は、前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置された状態で、前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷を保持させ、前記検査用電極に電気的に接続された測定回路に、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定させる。
【0032】
さらに、本発明の一形態における表示パネル用基板の検査用基板は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査に用いる検査用基板であって、前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置され、前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷が保持され、前記検査用電極に電気的に接続された測定回路により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定される。
【0033】
ここで、前記検査用電極の面積は、前記画素電極の面積よりも小さく、1つの前記画素電極に対して複数の検査用電極が対向するように配置される構成とすることができる。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における検査装置の構成と被検査基板とを示す図である。
【0035】
検査装置100は、検査用基板101、測定回路102、制御部103、モニタ104、操作部105、駆動回路106を備える。この検査装置100は、被検査基板(表示パネル用基板)200と検査用基板101とを互いに電極同士が向き合うように重ねた状態で、被検査基板(表示パネル用基板)200の検査を行う。
【0036】
被検査基板(表示パネル用基板)200は、完成前の表示パネル装置の一部であり、完成後は、有機EL表示装置、無機EL表示装置、液晶表示装置等の一部となる。
【0037】
図2Aは、被検査基板200の構成例を示すブロック図である。
【0038】
被検査基板200は、m行n列のマトリクス状に配置された複数の画素回路201と、画素回路(表示画素)201の行に対応する走査線SCAN(i)と、画素回路(表示画素)201の列に対応するデータ線DATA(j)とを備える。
【0039】
図2Bは、画素回路(表示画素)201の構成例を示すブロック図である。同図のように、画素回路(表示画素)201は、アクティブ素子T1と、画素電極202と、保持回路203とを備える。
【0040】
アクティブ素子T1は、薄膜トランジスタ(TFT)であり、そのゲートには走査線SCAN(i)が接続され、ソースおよびドレインの一方にはデータ線DATA(i)が接続され、ソースおよびドレインの他方には保持回路203に接続される。
【0041】
画素電極202は、有機EL材料または液晶を封止する2つの電極の一方であり、検査段階では、画素電極202が剥き出しの状態になっている。アクティブ素子T1および画素電極202は、この状態で、マトリクス状のアクティブ素子および保持回路の欠陥を検出することが可能である。
【0042】
図3Aは、検査用基板101の構成を示す概観図である。検査用基板101は、制御部103によって測定回路102を介して駆動および測定のための制御がなされる。
【0043】
図3Bは、検査用基板101の構成例を示すブロック図である。図3Cは、画素回路(検査用画素)の構成を示すブロック図である。
【0044】
図3B、図3Cのように、検査用基板101は、複数の検査用電極111に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタT2と、M行N列のマトリクス状に配置された複数の検査用電極111の行および列の一方に対応する走査線SCAN_RW(I)と、マトリクス状に配置された複数の検査用電極111の行および列の他方に対応する検出線DATA_RW(J)とを含む。
【0045】
ここで、表示パネル装置の製造工程の全体について概略を説明する。
【0046】
図4は、表示パネル装置の製造工程を示すフローチャートである。同図のように、まず、表示パネル装置としては完成前の状態である被検査基板200が製造され(S100)、検査装置100による検査工程により欠陥箇所の検出をし(S200)、リペア工程により修復可能欠陥をリペアし(S300)、残りの製造工程を行い表示パネル装置を完成させる(S400)。このように検査工程は、表示パネル装置としては完成前の状態である被検査基板(表示パネル用基板)200が対象となる。
【0047】
次に、検査工程S200つまり被検査基板200の検査方法の概略について説明する。
【0048】
検査工程S200は、マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子T1と、該アクティブ素子T1の各々に接続された画素電極202と画素電極の電圧を制御する保持回路203を含む表示パネル用基板200の検査方法である。
【0049】
検査工程S200では、表示パネル用基板200上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極111を備えた検査用基板101を対向させて配置するステップと、アクティブ素子(T1)を駆動することにより、画素電極202と検査用電極111とで形成される容量に電荷を保持させるステップ(S206〜S209)と、検査用電極111に電気的に接続された測定回路102により、容量に保持された電荷を検査用基板101を介して測定するステップ(S210)とを含む。
【0050】
これによれば、電荷の測定(読出し)は検査用基板から行うので、表示パネル用基板には電荷を読み出すためのプローブを接続する必要がなくなり、その分のプローブ数を減らすことができる。また、被検査側基板から読み出すので針が少ない。電極同士は非接触なので被検査基板の電極に物理的損傷を与えることがない。電荷を保持させるステップは主として表示パネル用基板から行われ、測定するステップは検査用基板から行われるので、保持させるステップと測定するステップとを2つの基板に分離して行うことができ、検査時間を短縮し、検査を迅速にすることが可能である。
【0051】
さらに、図5、図7、図8、図9A〜図9Gを用いて検査工程について詳細に説明する。
【0052】
図5は、検査工程つまり被検査基板200の検査方法の詳細を示すフローチャートである。
【0053】
まず、被検査基板(表示パネル用基板)200を固定し(S201)、検査用基板101を被検査基板200の上部に移動させ(S202)、被検査基板200に対する検査用基板101の位置を調節し(S203)、検査用基板101と被検査基板200とのギャップを調節する(S204)。このとき、ギャップは検査装置100で調整しても良いし、スペーサーで調整しても良い。スペーサーは検査基板側に持たせても良いし、被検査基板に持たせても良い。ギャップは、ミクロンオーダーにすることが望ましい。
【0054】
ギャップ調整後、図7に示すように画素電極202と検査用電極111とによる容量Cが形成される。
【0055】
次に、被検査基板200を動作させる動作信号を伝える針を接触させて(S205)、被検査基板200と駆動回路106とを接続する。検査用基板101は、図3Aのように予め測定回路102と接続しておくことが望ましい。
【0056】
さらに、図9Aに示すように、検査用基板101の全検査用電極の電位を単一電位Voに固定する(S206、図8のt1〜t21)。
【0057】
さらに、図9Bに示すように、被検査基板200の全画素に検査電位V1を書き込む(S207、t21〜t22)。このときの検査電位V1の書き込み方は全画素一括でも良いし、行方向に偶奇で分けても良いし、列方向に偶奇で分けても良いし、その組み合わせでも良い。
【0058】
さらに、図9Cに示すように被検査基板200の全画素への書き込みが完了した(t22〜t3)後、図9Dに示すように検査用基板101の全検査用電極111をフローティング状態とする(S208、t3〜t4)。このフローティング状態の期間は、欠陥による電荷の変化を増幅する期間である。この期間経過後の画素電極202の電位を(V1−ΔV)とすると、欠陥がない場合はΔVが許容範囲内に収まり、欠陥がある場合には許容範囲を超えることになる。
【0059】
さらに、図9Eに示すように、被検査基板200の全画素電極の電位を単一電位に固定する(S209、t4〜t51)。
【0060】
以下のステップS210、S211(図9F、図9G)は一走査行単位の処理である。
【0061】
さらに、図9Fに示すように、検査基板の検査用電極に蓄えられている電荷を読み出す(S210、t51〜t71)。
【0062】
さらに、図9Gに示すように、読み出した電荷が許容範囲外(絶対範囲でも良いし、周辺との差が大きい値でも良い)である場合、その位置情報が基板情報と共にメモリに保持される(S211、t71〜t72)。例えば、10V(=V1)を書いて、9.5V(=V1−ΔV)以上が測定された場合は許容範囲とし、そのより小さければ許容範囲外とする。このとき、許容範囲外の電荷だけでなく、正常範囲の電荷の情報も位置情報と共にメモリに格納しても良い。なお、上記のメモリは、測定回路102内のメモリでもよいし、制御部103内のメモリでもよい。
【0063】
さらに、未測定の走査行が残っていればS210に進み、なければ検査工程を終了する。
【0064】
次にリペア工程について説明する。
【0065】
図6は、リペア工程の詳細を示すフローチャートである。
【0066】
まず、メモリから位置情報を読み出し(S301)、当該位置情報から欠陥の種類を判別または予測し、リペア可能な欠陥であるかリペア不能な欠陥であるかを判定する(S302)。リペア可能な欠陥と判定されれば、リペアし(S303)、リペア後の被検査基板200再度検査工程に流す。一方、リペア不能と判定されれば、当該被検査基板200を廃棄するか、再利用する(S304)。
【0067】
以上説明してきたように本実施の形態における表示パネル用基板200の検査方法によれば、電荷の測定(読出し)は表示パネル用基板からではなく検査用基板から行うので、表示パネル用基板には電荷を読み出すためのプローブを接続する必要がなくなり、また、被検査側基板から読み出すので、その分のプローブ数を減らすことができる。電極同士は非接触なので針が少ない。電荷を保持させるステップは主として表示パネル用基板から行われ、測定するステップは検査用基板から行われるので、保持させるステップと測定するステップとを2つの基板に分離して行うことができ、検査時間を短縮し、検査を迅速にすることが可能である。
【0068】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2における検査用基板の画素回路(検査用画素)110の構成を示す図である。
【0069】
同図では、実施の形態1の図3Cと比べて、薄膜トランジスタT3が追加されて画素回路あたり2個の薄膜トランジスタを有する点と、行毎に走査線が1本から2本に増加した点と、列毎にデータ線が1本から2本に増加した点とが異なっている。これ以外は、実施の形態1と同じなので、同じ点は説明を省略し、以下異なる点を中心に説明する。
【0070】
図3Cでは検査用電極111への電圧の書き込み(保持させる)機能と、検査用電極111から電圧を読み出す(測定する)機能とが、択一的にしか機能できないが、図10では、薄膜トランジスタ、走査線、データ線が画素ごとに2つ存在するので、検査用電極111への電圧の書き込み(保持させる)機能と、検査用電極111から電圧を読み出す(測定する)機能とが独立に制御可能になっている。
【0071】
図11Aは、画素電極と検査用電極とにより形成される容量の説明図である。同図は図7と比べて、検査用電極111への書き込み(電圧を保持させる)動作は、薄膜トランジスタT2、走査線SCAN_W、データ線DATA_Wによって制御され、検査用電極111から読み出す(電圧を測定する)動作は、薄膜トランジスタT3、走査線SCAN_R、データ線DATA_Rによって制御されるように構成されている。つまり、書き込みと読出しを独立して制御可能になっている。
【0072】
図11Bは、検査工程のタイムチャートである。同図は、図8とほぼ同じタイミングを示しているが、図11Aの構成からわかるように、読み出し(電圧の測定)のデータ線DATA_Rが、書き込みのデータ線DATA_Wの影響を受けにくいので、電圧の測定の精度を向上させることができる。
【0073】
なお、各実施の形態において、図2Bに示した画素回路(表示画素)201は、図12Aや図12Bの構成であってもよい。
【0074】
図12Aは、被検査基板がLCD表示装置に用いられる場合の画素回路の具体例を示す。同図の保持回路203は容量素子Csにより構成される。
【0075】
図12Bは、被検査基板が有機EL表示装置に用いられる場合の画素回路の具体例を示す。同図の保持回路203は容量素子Csと薄膜トランジスタTDにより構成される。
【0076】
(実施の形態3)
実施の形態1では、画素電極202と検査用電極111とが1対1で対向する例を説明したが、本実施の形態では、画素電極202と検査用電極111とが1対多で対向する例を説明する。つまり、検査用電極111の面積が画素電極202の面積よりも小さい場合の例について説明する。
【0077】
図13Aは、実施の形態3における1つの画素電極に複数の検査用電極が対向する例を示す説明図である。同図では、1つの画素電極202に対して4つの検査用電極111a〜111dが部分的に重なって対向している。
【0078】
図13Bは、1つの画素電極に複数の検査用電極が対向するときに形成される容量の説明図である。1つの画素電極202に対する4つの検査用電極111a〜111dのそれぞれの容量をCa〜Cdとする。4つの容量は並列接続されている。
【0079】
図14は、検査工程の詳細を示すフローチャートである。同図は、図5と比べて、ステップS210とステップS211の間に、ステップS221が追加されている点が異なっている。同じ点は説明を省略して異なる点を中心に説明する。
【0080】
ステップS221では、1つの画素電極に対向する複数の検査用電極の電荷を重み付け加算することによって、画素電極の容量に対応する電荷量に換算する。
【0081】
この換算は、例えば式(1)でよい。
【0082】
Qp= k*(Qa + Qb + Qc + Qd)+(lx*xo+ly*yo-lx*ly)/k ・・・(1)
k = d/ε ・・・(2)
【0083】
ここで、Qpは、画素電極202と同じ面積の検査用電極が重なっていたときに得られる電荷量とする。Qaは、検査用電極111aからの測定結果(電荷量)とする。Qb〜Qdは、検査用電極が異なる以外は同様である。
【0084】
kは画素電極と検査用電極との間のギャップdを画素電極と検査用電極との間の空間の誘電率で割ったものである。
【0085】
lxおよびlyは検査用電極間のスペースであり、xoおよびyoは画素電極のサイズである。
【0086】
本実施の形態によれば、画素電極の大きさが異なる複数種類の表示用パネルを対象に1つの検査用基板により検査することができる。つまり、画素電極の大きさに依存することなく、検査用基板に汎用性を持たせることができる。
【0087】
なお、式(1)では、1つの画素電極202に4つの検査用電極が部分的に重なる例を説明したが、1つの画素電極に2以上の検査用電極が部分的に重なる場合であっても同様に、項数を対応させて換算することができる。
【0088】
以上、実施の形態に基づいて本発明に係る表示パネルの検査方法、検査装置および検査用基板について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、大画面および高解像度が要望される薄型テレビおよびパーソナルコンピュータのディスプレイなどの技術分野に有用である。
【符号の説明】
【0090】
100 検査装置
101 検査用基板
102 測定回路
103 制御部
104 モニタ
105 操作部
106 駆動回路
110 画素回路(検査用画素)
111 検査用電極
200 被検査基板(表示パネル用基板)
201 画素回路(表示画素)
202 画素電極
203 保持回路
T1〜T3、TD 薄膜トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査方法であって、
前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置するステップと、
前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷を保持させるステップと、
前記検査用電極に電気的に接続された測定回路により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定するステップとを含む
表示パネル用基板の検査方法。
【請求項2】
前記検査用電極の面積は、前記画素電極の面積よりも小さく、
前記配置ステップにおいて、一つの前記画素電極に対して複数の検査用電極が対向するように配置される
請求項1に記載の表示パネル用基板の検査方法。
【請求項3】
前記表示パネル用基板の検査方法は、さらに、
1つの画素電極に対向する複数の検査用電極の電荷を重み付け加算することによって、画素電極の容量に対応する電荷量に換算するステップを含む
請求項1に記載の表示パネル用基板の検査方法。
【請求項4】
前記検査用基板は、
前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、
前記容量に保持された電荷を測定するステップにおいては、前記スイッチング用薄膜トランジスタに、前記走査線を介して走査信号を供給し、前記検査用電極を前記検出線を介して前記測定回路と接続させることにより、前記容量に保持された電荷を測定する
請求項1に記載の表示パネル用基板の検査方法。
【請求項5】
前記表示パネル用基板は、さらに、マトリクス状に配置された前記複数の画素電極の行および列の一方に対応する走査線と、
マトリクス状に配置された前記複数の画素電極の行および列の他方に対応するデータ線と、
前記複数のアクティブ素子に電源を供給する複数の電源線とを含み、
前記アクティブ素子は、第1の薄膜トランジスタと第2の薄膜トランジスタとを含み、
前記容量に電荷を保持させるステップにおいては、前記第1の薄膜トランジスタに、前記走査線を介して走査信号を供給し、前記第2の薄膜トランジスタのゲート電極には、前記データ線から所定の電圧を印加し、前記画素電極には、前記電源線から前記第2の薄膜トランジスタを介して電流が供給されることにより電荷が保持される、
請求項1に記載された表示パネル用基板の検査方法。
【請求項6】
前記表示パネル用基板が、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用の基板である、
請求項5に記載された表示パネル用基板の検査方法。
【請求項7】
マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査に用いる検査装置であって、
前記検査装置は、検査基板と制御部とを備え、
前記検査基板は、
前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、
前記制御部は、
前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置された状態で、前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷を保持させ、
前記検査用電極に電気的に接続された測定回路に、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定させる
検査装置。
【請求項8】
マトリクス状に配置された複数のアクティブ素子と、該アクティブ素子の各々に接続された画素電極とを含む表示パネル用基板の検査に用いる検査用基板であって、
前記複数の検査用電極に対応する複数のスイッチング用薄膜トランジスタと、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の一方に対応する走査線と、
マトリクス状に配置された前記複数の検査用電極の行および列の他方に対応する検出線とを含み、
前記表示パネル用基板上に、マトリクス状に配置された複数の検査用電極を備えた検査用基板を対向させて配置され、
前記アクティブ素子を駆動することにより、前記画素電極と前記検査用電極とで形成される容量に電荷が保持され、
前記検査用電極に電気的に接続された測定回路により、前記容量に保持された電荷を前記検査用基板を介して測定される
検査用基板。
【請求項9】
前記検査用電極の面積は、前記画素電極の面積よりも小さく、
1つの前記画素電極に対して複数の検査用電極が対向するように配置される
請求項8に記載された検査用基板。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−122779(P2012−122779A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272062(P2010−272062)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】