説明

表示装置

【課題】 必要なときのみ運転者が表示装置を視認すればよい表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 第一表示器31には第一表示器LED33が、第二表示器33には第二表示器LED37が設けられ、それぞれの表示器に情報が表示されると、それぞれの表示器LEDが発光するように構成されている。このため、運転者は表示器LEDの発光を確認するだけで、対応する表示器に情報が表示されたことを認識することができ、不必要な確認処理をなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の近傍に配置され、ナビゲーション装置等によって出力される視覚情報を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置によって出力される視覚情報(例えば、地図情報や、経路情報や、施設情報等)は、車両のセンターコンソール部に配置された表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)に表示されて運手者に伝達されるようになっている。しかし、そのようなセンターコンソール部に配置された表示装置では運転者の視線移動が多く、表示装置に表示された情報を運転者が見落とすと場合があった。
【0003】
そこで、運転者の視線移動が少なくても運転者が読み取ることができる表示装置の一例として、以下の特許文献1に示されたような補助表示器が知られている。この補助表示器は、センターコンソール部に配置された主表示器とは別体で構成されており、車両の計器盤内に設けられたものである。そして、この補助表示器には主表示器の表示に対応する道路情報の細部を表示するように構成されている。このため、運転者は主表示器の縮尺切替操作等を行うことなく、補助表示器に表示された情報を見るだけで道路情報の細部(例えば次の交差点の右折指示等)の情報を知ることができる。
【特許文献1】特開平5−94134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、補助表示器に道路の細部の情報を表示させるようにすると、運転者は補助表示器に表示されている情報の推移や変更を意識する必要があるため、運転者は運転中に意識的に補助表示器の表示内容を確認する必要があった。したがって、補助表示器の表示に変更がない場合もその変更がないことを確認するために補助表示器に視線を移す必要があった。
【0005】
本発明はこのような問題にかんがみなされたものであり、必要なときのみ運転者が表示装置を視認すればよい表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の表示装置は、車両の運行に伴う情報を表示するための主表示器と、主表示器に対して補助的な情報を表示するための補助表示器と、主表示器と補助表示器とを制御する制御手段とを備える。このうち補助表示器は、運転者の運転時における周辺視野内(例えば、車両の計器盤内、計器盤上部のダッシュボード、フロントウィンドウ内等)に配置されており、制御手段は、運転者の確認すべき情報を主表示器に表示させると、主表示器に情報が表示されたことを補助表示器に表示させるようになっている。なお、主表示器は、センターコンソール部や、車両の計器盤内等、運転者が視認可能な場所であればどのような場所に配置されていてもよい。
【0007】
このように補助表示器が運転者の運転時における周辺視野内に配置されているため、運転者は運転中に補助表示器を意識していなくても補助表示器に表示がなされると必然的に補助表示器を意識することとなる。そして補助表示器を意識したときは、主表示器に情報が表示されたときでもあるため、運転者は主表示器の表示内容を確認するという動作を行うことができる。
【0008】
したがって、運転者は運転時に主表示器および補助表示器を常時意識的に確認する必要がなくなり、主表示器や補助表示器を確認したけれども何も表示に変化がなかったといった無意味な確認動作が不要となる。そのため、より運転に集中することができる。そして、主表示器を視認する必要が生じた際には、運転者はその状況を受動的に認識して、主表示器を視認する動作をとることができる。
【0009】
ところで、制御手段は、主表示器に表示させる情報の重要度の推移にしたがい、補助表示器に表示させる情報を変更するようになっているとよい(請求項2)。
このようになっていれば、運転者は、補助表示器に表示された情報を確認するだけで、主表示器に表示されている情報の重要度を把握することができるため、重要度の低いものが主表示器に表示されている場合には自らの意志によってその確認を行わないことや確認動作の延期を選択することができる。
【0010】
なお、ここで言う「重要度」の具体例としては、主表示器の表示する車両の運行に伴う情報が経路案内情報である場合、車両の現在位置から経路案内情報における次の案内ポイントまでの距離に反比例した指標であるとよい(請求項3)。つまり、次の案内ポイントまでの距離が短くなるにしたがい、重要度が上がることを意味する。
【0011】
このようになっていれば、運転者は次の案内ポイントに関する情報を見逃すことなく好みのタイミングで情報を確認することができる。
また、「重要度」の他の具体例としては、主表示器の表示する車両の運行に伴う情報が経路案内情報である場合、車両の現在位置から経路案内情報における次の案内ポイントまで到達するのに必要な時間に反比例した指標であるとよい(請求項4)。つまり、次の案内ポイントに到達するまでの時間が短くなるにしたがい、重要度が上がることを意味する。
【0012】
このようになっていても、運転者は次の案内ポイントに関する情報を見逃すことなく好みのタイミングで情報を確認することができる。
一方、上述した「補助表示器に表示させる情報を変更する」における「変更」の具体例としては、補助表示器が発光体から構成されている場合、その発光体の、点滅速度、明度、または彩度の少なくとも何れか一つの状態を変更するようになっているとよい(請求項5)。このような発光体は、例えばLED等から構成されているとよい。
【0013】
このようになっていれば、運転者は主表示器に表示される情報の重要度を補助表示器を確認するだけで容易に把握することができる。
ところで、運転者が補助表示器の表示を確認して主表示器の表示内容を確認した場合は、補助表示器は表示を停止するようになっているとよい。つまり、さらに、運転者の運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段を備えるように表示装置を構成し、制御手段は、主表示器に表示させた運転者の確認すべき情報を運転者が認識したか否かについて、運転操作情報取得手段が取得した運転操作情報に基づいて判断し、情報を運転者が認識したと判断した場合には、補助表示器に表示を停止させるようになっているとよい(請求項6)。ここで言う「運転操作情報」としては、例えば、ウインカー操作に関する情報、ハンドル操作に関する情報、ブレーキ操作に関する情報、アクセル操作に関する情報、シフトチェンジに関する情報、視線移動に関する情報等が考えられる。
【0014】
このようになっていれば、運転者が主表示器の内容を確認したにもかかわらず補助表示器の表示が継続するという状況がなくなり、運転者はより運転に集中することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0016】
[構成の説明]
図1は、本発明の表示装置の機能が組み込まれたナビゲーションシステム11の概略構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム11は、以下に説明する部品から構成され、車両に搭載されて用いられるものである。
【0017】
<アンテナ13>
アンテナ13は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するためのアンテナであり、受信した信号を後述するGPSモジュール15へ出力するように構成されている。
【0018】
<GPSモジュール15>
GPSモジュール15は、上述したアンテナ13から入力された信号を処理するための電子回路等から構成され、入力された信号を処理することにより、現在位置を算出するために必要なデータを抽出する。そして、その抽出したデータを後述するナビ制御回路25へ出力する。
【0019】
<Gセンサ17>
Gセンサ17は、車両の前後左右方向の加速度を検出するためのセンサ類から構成され、それらのセンサ類が出力した信号を後述するナビ制御回路25に出力するようになっている。
【0020】
<ジャイロスコープ19>
ジャイロスコープ19は、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するためのジャイロスコープであり、その検出した信号を後述するナビ制御回路25に出力するようになっている。
【0021】
<地図データ入力器21>
地図データ入力器21は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための部品である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0022】
<操作スイッチ群23>
操作スイッチ群23は、センターコンソール部等に設けられたメカニカルなキースイッチから構成される。なお、操作スイッチ群23は、リモートコントローラとして構成されていてもよい。
【0023】
<ナビ制御回路25>
ナビ制御回路25は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいてナビゲーションに関連する各種処理を実行する。その際にはGPSモジュール15,Gセンサ17,ジャイロスコープ19,地図データ入力器21,操作スイッチ群23,後述するメータ制御回路43,後述する共有メモリ45,後述する車両LAN47から信号を入力し、メータ制御回路43,共有メモリ45,車両LAN47へ信号を出力する。
【0024】
<スピーカ27>
スピーカ27は、後述するオーディオI/F29からの信号に基づいて各種の案内音声を出力する。
【0025】
<オーディオI/F29>
オーディオI/F29は、信号切替器や信号増幅器等から構成され、後述するメータ制御回路43から音声信号を入力し、入力した信号を増幅してスピーカ27へ出力する。
【0026】
<第一表示器31>
第一表示器31は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成され、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて様々な情報を表示可能となっている。なお、第一表示器31は、後述する第二表示器35と比べて大型であるため、第二表示器35よりも詳しい情報を表示することが可能になっている。
【0027】
<第一表示器LED33>
第一表示器LED33は、第一表示器31の周囲に配置された複数個のLEDから構成され、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて発光するようになっている。
【0028】
<第二表示器35>
第二表示器35は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成され、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて様々な情報を表示可能となっている。なお、第二表示器35は、上述した第一表示器31と比べて小型であるため、第一表示器31よりも少ない情報しか表示することができない。
【0029】
<第二表示器LED37>
第二表示器LED37は、第二表示器35の周囲に配置された複数個のLEDから構成され、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて発光するようになっている。
【0030】
<速度メータ39>
速度メータ39は、車両の速度を表示するためのメータであり、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて動作するように構成されている。なお、メータ制御回路43は、後述する車両LAN47を介して図示しない速度センサから車両の速度情報を取得してその速度情報に対応した信号を速度メータ39へ出力するようになっている。
【0031】
<タコメータ41>
タコメータ41は、エンジンの回転数を表示するためのメータであり、後述するメータ制御回路43からの信号に基づいて動作するように構成されている。なお、メータ制御回路43は、後述する車両LAN47を介して図示しないエンジンECUからエンジンの回転数情報を取得してその回転数情報に対応した信号をタコメータ41へ出力するようになっている。なお、メータ制御回路43には、図示しない、燃料メータや、積算距離メータや、水温メータ等も接続されている。
【0032】
<メータ制御回路43>
メータ制御回路43は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいてメータ類の制御に関連する各種処理を実行する。その際にはナビ制御回路25,後述する共有メモリ45,後述する車両LAN47から信号を入力し、オーディオI/F29,第一表示器31,第一表示器LED33,第二表示器35,第二表示器LED37,速度メータ39,タコメータ41,共有メモリ45,車両LAN47へ信号を出力する。
【0033】
<共有メモリ45>
共有メモリ45は、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43の両方がアクセス可能なメモリであり、データの受け渡しに用いられる。
【0034】
<車両LAN47>
車両LAN47は、車両内に張り巡らされたLANであり、図示しない各種ECUやセンサ等が接続されており、車両LAN47を介してそれらが通信を行うことができるようになっている。
【0035】
次に、図2の説明図を用いて、第一表示器31および第二表示器35の設置状態等について説明する。
図2(a)は、車両内におけるハンドル49付近を表した模式図である。第一表示器31は、運転席前方のダッシュボード上に配置され、ハンドル49の輪の中を通して運転者が視認するようになっている。また、第二表示器35は、第一表示器31の上方のダッシュボード上に配置されている。したがって、第一表示器31、第二表示器35共に、運転者の運転時の周辺視野内に配置されているため、センターコンソール等に配置されている場合と比較して視認の際の視線移動が少ない。
【0036】
図2(b)は、第一表示器31の正面図である。第一表示器31は円形の表示面を有しており、その周囲にはリング状の枠部31aが設けられ、その枠部31aには第一表示器LED33が配置されている。なお、枠部31aには第一表示器LED33を覆うように半透明の拡散板が配置され、第一表示器LED33の光を拡散させるようになっている。
【0037】
また、第二表示器35についても、第一表示器31と同様に円形の表示面を有し、その周囲にはリング状の枠部が設けられ、その枠部には第二表示器LED37が配置されている。拡散板も同様に配置されている
[動作の説明]
次に、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43にて実行されるLED発光制御処理および、そのLED発光制御処理内で呼び出されて実行されるウォーニング処理について説明する。なお、通常のナビゲーションシステムが実行する経路案内処理等については説明を省略する。また、以下の説明においては、ナビ制御回路25とメータ制御回路43とを区別せず、両回路を合わせた処理として説明する。
【0038】
(1)LED発光制御処理
まず、LED発光制御処理について図3のフローチャートを用いて説明する。このLED発光制御処理は、運転者によってイグニッションキーが操作されてアクセサリー給電(ACC)の状態になったとき、またはエンジン動作位置(ON位置)になったときに、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43にて実行される処理である。
【0039】
ナビ制御回路25およびメータ制御回路43がLED発光制御処理の実行を開始すると、まず、経路案内処理の実行中であるか否かを判定する(S105)。ここで言う「経路案内処理」というのは、通常のナビゲーションシステムが実行する経路案内処理と同様の処理を意味し、指定された目的地までの経路を運転者に案内する処理のことである。
【0040】
このS105において、経路案内処理の実行中でないと判定した場合には(S105:No)、後述するウォーニング処理を実行し(S110)、そのウォーニング処理の実行を終えると再びS105にて経路案内処理の実行中であるか否かを判定する。
【0041】
一方、S105において、経路案内処理の実行中であると判定した場合には(S105:Yes)、その経路案内処理にて案内を行っている経路における次の案内ポイントの予想通過時刻を算出する(S120)。ここで言う「案内ポイント」というのは、例えば右左折のポイントや分岐ポイント等を意味する。また、この予想通過時刻の算出は、GPSモジュール15,Gセンサ17,ジャイロスコープ19から入力した信号および地図データ入力器21から入力した地図データに基づいて現在位置を算出し、その現在位置と、車両LAN47を介して速度センサから取得した車速情報と、経路案内処理の中で算出した案内経路情報と、に基づいて行う。
【0042】
続いて、S120で算出した予想通過時刻と現在時刻との差に基づいて発光方法を決定し、次の案内ポイントにおける案内に用いる表示器(第一表示器31または第二表示器35)に対応する表示器LED(第一表示器LED33または第二表示器LED37)の発光を開始する(S135)。なお、ここで言う「予想通過時刻と現在時刻との差に基づいて発光方法を決定し」というのは、現在時刻と予想通過時刻との差が15秒以上であれば発光しないと決定し、現在時刻と予想通過時刻との差が10秒〜15秒であれば1秒あたり0.1秒間の発光を1回だけ行うと決定し、現在時刻と予想通過時刻との差が5秒〜10秒であれば1秒あたり0.1秒間の発光を3回行うと決定し、現在時刻と予想通過時刻との差が5秒以下であれば1秒あたり0.1秒間の発光を5回行うと決定することを意味する。また、この時点では経路案内処理によって第一表示器31および第二表示器35に案内図等が表示されている。
【0043】
表示器LEDの発光を開始すると、続いて、運転者によって方向指示器の操作がなされたか否かを判定する(S140)。この判定は、車両LAN47を介して方向指示器センサの値を取得して行う。運転者によって方向指示器の操作がなされていないと判定した場合は(S140:No)、S145に移行して後述するウォーニング処理を実行し、そのウォーニング処理の実行を終えるとS150に移行する。そして、S150では、車両が案内ポイントを通過したか否かを判定する。車両が案内ポイントを通過していないと判定した場合には(S150:No)、S135に処理を移行し、一方、車両が案内ポイントを通過したと判定した場合には(S150:Yes)、S135にて発光を開始した表示器LEDの発光を中止し(S155)、S105に移行する。
【0044】
一方、S140において、運転者によって方向指示器の操作がなされたと判定した場合は(S140:Yes)、S135にて発光を開始した表示器LEDの発光を中止し(S160)、後述するウォーニング処理を実行する(S165)。そして、このウォーニング処理の実行を終えると、車両が案内ポイントを通過したか否かを判定する(S170)。車両が案内ポイントを通過したと判定した場合は(S170:Yes)、S105に移行し、車両が案内ポイントを通過していないと判定した場合は(S170:No)、S165に移行して再びウォーニング処理を実行する。
【0045】
(2)ウォーニング処理
次に、ウォーニング処理について図4のフローチャートを用いて説明する。このウォーニング処理は、上述したLED発光制御処理のS110,S145,S165で呼び出されたときに、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43にて実行される処理である。
【0046】
ナビ制御回路25およびメータ制御回路43がウォーニング処理の実行を開始すると、まず、ウォーニング情報があるか否かを判定する(S210)。ここで言う「ウォーニング情報」というのは、燃料がほとんど残っていないという情報や、水温や油温に異常があるという情報や、電気系統に異常があるという情報や、ドアが開いているという情報や、シートベルトがセットされていないという情報等を意味する。なお、これらの情報は車両LAN47を介して各種のセンサ等から取得する。
【0047】
S210において、ウォーニング情報がないと判定した場合には(S210:No)、本処理(ウォーニング処理)を終了し、上述したLED発光制御処理の呼び出し元のステップに処理を戻す。
【0048】
一方、S210において、ウォーニング情報があると判定した場合には(S210:Yes)、ウォーニングが最初に発生してから現在までに走行した距離を算出する(S220)。そして、算出した距離に基づいて発光方法を決定し、そのウォーニングの警告に用いる表示器(第一表示器31または第二表示器35)に対応する表示器LED(第一表示器LED33または第二表示器LED37)の発光を開始する(S230)。ここで言う「算出した距離に基づいて発光方法を決定し」というのは、S220にて算出した距離に応じて表示器LEDの発光タイミングを決定することを意味し、例えば、ウォーニング情報として水温異常情報であった場合、その水温異常が発生してから現在までの走行距離を算出し、その算出した距離が0km〜1kmであった場合は1秒あたり0.1秒間の発光を1回だけ行うという発光方法を決定し、算出した距離が1km〜3kmであった場合は1秒あたり0.1秒間の発光を3回行うという発光方法に決定し、算出した距離が3km異常であった場合は1秒あたり0.1秒間の発光を5回行うという発光方法に決定することを意味する。
【0049】
続いて、車両の速度が0km/hであるか否かを判定する(S240)。この判定は車両LAN47を介して車速センサから取得して行う。車両の速度が0km/hでないと判定した場合は(S240:No)、S220に処理を移行し、S220以降の処理を繰り返す。一方、車両の速度が0km/hであると判定した場合は(S240:Yes)、S230にて発光を開始した表示器LEDの発光を中止し(S250)、本処理(ウォーニング処理)を終了し、上述したLED発光制御処理の呼び出し元のステップに処理を戻す。
【0050】
なお、上記ウォーニング処理では、第一表示器LED33および第二表示器LED37の発光のみについて言及しているが、第一表示器31および第二表示器35には、他の処理によってウォーニング情報の詳細が表示されるようになっている。
【0051】
[実施形態の効果]
次に上記実施形態の効果について説明する。上記実施形態のナビゲーションシステム11によれば、第一表示器LED33または第二表示器LED37が運転時における運転者の周辺視野内に配置されているため、第一表示器LED33または第二表示器LED37が発光すると運転者はそれらの発光に自然と気づく。そして、運転者はその発光を確認したときに対応する表示器(第一表示器LED33が発光した場合は第一表示器31,第二表示器LED37が発光した場合は第二表示器35)を確認すればよい。
【0052】
このため、運転者は、第一表示器31および第二表示器35を常時意識的に確認する必要がなくなり、第一表示器31や第二表示器35を確認したけれども何も表示に変化がなかったといった無意味な確認動作が不要となる。そのため、より運転に集中することができる。
【0053】
また、案内ポイントに近づくにつれて案内内容を表示させた表示器に対応する表示器LEDの発光間隔が短くなるため、運転者はその発光間隔を確認するだけで対応する表示器に表示されている情報を確認する必要が迫っていることを認識することができる。
【0054】
また、運転者が表示器に表示された案内内容を確認して方向指示器を操作した場合、表示器LEDの発光が停止するようになっているため、運転者が表示器の内容を確認したにもかかわらず表示器LEDの発光が継続するという状況がなくなり、運転者はより運転に集中することができる。
【0055】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、案内ポイントの予想通過時刻と現在時刻との差によって第一表示器LED33および第二表示器LED37の発光方法を決定するようになっていたが、現在位置から案内ポイントまでの距離によって発光方法を決定するようになっていてもよい。例えば、案内ポイントまでの距離が200m以上あれば発光しないと決定し、案内ポイントまでの距離が100m〜200mであれば1秒あたり0.1秒間の発光を1回だけ行うと決定し、案内ポイントまでの距離が50m〜100mであれば1秒あたり0.1秒間の発光を3回行うと決定し、案内ポイントまでの距離が50m以下であれば1秒あたり0.1秒間の発光を5回行うと決定するようになっていてもよい。
【0056】
このようになっていても運転者は発光間隔を確認するだけで対応する表示器に表示されている情報を確認する必要が迫っていることを認識することができる。
(2)上記実施形態では、第一表示器LED33および第二表示器LED37は、所定の間隔で同時に発光するだけであったが、第一表示器31および第二表示器35の表示内容によって発光色や発光パターンを変更するようになっていてもよい。ここで言う「発光パターン」というのは、例えば、第一表示器LED33を構成するLEDのうちの何れか一つまたは数個のみを発光させ、その発光LEDを順に変えて行くことにより光が第一表示器31の周囲を回っているようにし、その回転速度を変化させることを意味する。
【0057】
このようになっていても、上述した効果を奏することができる。
(3)上記実施形態では、方向指示器を操作有無によって運転者が表示器に表示された案内内容を確認したか否かを推定するようになっていたが、ハンドル操作に関する情報、ブレーキ操作に関する情報、アクセル操作に関する情報、シフトチェンジに関する情報、視線移動に関する情報、走行レーンの情報等を取得して、それらの情報から、運転者が表示器に表示された案内内容を確認したか否かを推定するようになっていてもよい。
【0058】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態で用いた用語と特許請求の範囲に記載の用語との対応を示す。第一表示器31および第二表示器35が特許請求の範囲に記載の主表示器に相当し、第一表示器LED33および第二表示器LED37が特許請求の範囲に記載の補助表示器に相当する。また、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43におけるプログラム実行機能を有する部分が特許請求の範囲に記載の制御手段に相当し、ナビ制御回路25およびメータ制御回路43における、車両LAN47を介して車両各部(例えば方向指示器)の状態情報を取得する機能を有する部分が、特許請求の範囲に記載の運転操作情報取得手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第一表示器および第二表示器を説明するための説明図である。
【図3】LED発光制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】ウォーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
11…ナビゲーションシステム、13…アンテナ、15…GPSモジュール、17…Gセンサ、19…ジャイロスコープ、21…地図データ入力器、23…操作スイッチ群、25…ナビ制御回路、27…スピーカ、29…オーディオI/F、31…第一表示器、33…第一表示器LED、35…第二表示器、37…第二表示器LED、39…速度メータ、41…タコメータ、43…メータ制御回路、45…共有メモリ、47…車両LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行に伴う情報を表示するための主表示器と、
前記主表示器に対して補助的な情報を表示するための補助表示器と、
前記主表示器と前記補助表示器とを制御する制御手段と、
を備え、
前記補助表示器は、運転者の運転時における周辺視野内に配置され、
前記制御手段は、運転者の確認すべき情報を前記主表示器に表示させると、前記主表示器に前記情報が表示されたことを前記補助表示器に表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記主表示器に表示させる情報の重要度の推移にしたがい、前記補助表示器に表示させる情報を変更すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記主表示器の表示する前記車両の運行に伴う情報が経路案内情報である場合、
前記重要度というのは、前記車両の現在位置から前記経路案内情報における次の案内ポイントまでの距離に反比例した指標であること、
を特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の表示装置において、
前記主表示器の表示する前記車両の運行に伴う情報が経路案内情報である場合、
前記重要度というのは、前記車両の現在位置から前記経路案内情報における次の案内ポイントまで到達するのに必要な時間に反比例した指標であること、
を特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れかに記載の表示装置において、
前記補助表示器は発光体から構成され、
前記変更というのは、前記発光体の、点滅速度、明度、または彩度の少なくとも何れか一つの状態を変更すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の表示装置において、
さらに、運転者の運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段を備え、
前記制御手段は、前記主表示器に表示させた前記運転者の確認すべき情報を運転者が認識したか否かについて、前記運転操作情報取得手段が取得した前記運転操作情報に基づいて判断し、前記情報を運転者が認識したと判断した場合には、前記補助表示器に表示を停止させること、
を特徴とする表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−292836(P2006−292836A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110088(P2005−110088)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】