説明

表示装置

【課題】デュアルビュー表示中における操作性を向上する。
【解決手段】タッチスイッチ16によってタッチ操作が検出され、かつ、近接センサ20によってディスプレイの左側からタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、左側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行し(S112)、タッチスイッチ16によってタッチ操作が検出され、かつ、近接センサ20によってディスプレイの右側からタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、右側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行する(S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの正面より左側から見える左側画面とディスプレイの正面より右側から見える右側画面とを異ならせることができる機能を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステムにおいて、運転席の乗員と助手席の乗員に対してそれぞれ異なる画面を全画面表示できる、いわゆるデュアルビュー(デュアルビューは商標)機能を有する表示装置を備えたものが実用化されている。
【0003】
このデュアルビュー機能により、例えば、図7に示すように、運転席側からは地図ディスプレイを、助手席ではTVやDVDビデオなどの映像画面を、それぞれ全画面表示で楽しむことが可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなデュアルビュー機能を有するカーナビゲーションシステムでは、例えば、図7に示したように、デュアルビューディスプレイの左下の部分Aがタッチ操作された場合、助手席のユーザによって助手席画面(左側画面)のスクロールを指示するためのアイコンBがタッチ操作されたのか、運転席のユーザによって運転席画面(右側画面)のズームインを指示するためのアイコンCがタッチ操作されたのかを特定することができない。
【0005】
このため、デュアルビュー表示中には、2つの画面のうち一方の画面に対するタッチ操作のみを有効とし、他方の画面に対するタッチ操作を無効とする制約が設けられており、操作性が悪いといった問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、デュアルビュー表示中における操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、ディスプレイの正面より左側から見える左側画面とディスプレイの正面より右側から見える右側画面とを異ならせることができる機能を有し、ディスプレイにボタンが選択可能に表示される表示装置であって、ディスプレイの前面に配置され、接触面に対するタッチ操作および接触位置を検出するタッチスイッチと、ディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手およびディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手を検出する検出手段と、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、検出手段によってディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、左側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行し、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、検出手段によってディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、右側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行する操作実行手段と、を備えたことである。
【0008】
このような構成では、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、検出手段によってディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、左側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理が実行され、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、検出手段によってディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、右側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理が実行されるので、ディスプレイに対するユーザの位置によるタッチ操作の制約を受けることなくタッチ操作に応じた処理を実施することができ、デュアルビュー表示中における操作性を向上することができる。
【0009】
なお、検出手段は、ディスプレイの左端部および右端部に、発光素子から発光した光がディスプレイの左端部および右端部の手前に近接する物体に反射した反射光を受光して物体を検出する受光素子を有する近接センサを配置して構成することができる。
【0010】
また、本発明の第3の特徴は、ディスプレイが、車両前方の運転席と助手席の中間部分に取り付けられるものであることである。
【0011】
このように、ディスプレイは、車両前方の運転席と助手席の中間部分に取り付けられるものであるので、運転席側のユーザと助手席側のユーザに異なる画面を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る車両用ナビゲーション装置の構成を図1に示す。本車両用ナビゲーション装置1は、車両前方のインストルメントパネルの運転席と助手席の中間部分に表示装置18が格納されるいわゆるインダッシュタイプのものとして構成されている。本車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器10、地図データ入力器15、操作スイッチ群16、外部メモリ17、表示装置18、音声入力マイク19、近接センサ20、送受信機21および制御回路22を備えている。
【0013】
位置検出器10は、いずれも周知の地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13およびGPS受信機14等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた現在位置を特定するための情報を制御回路22に出力する。
【0014】
地図データ入力器15は、位置精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データおよび目印データを含む地図データを入力するための装置である。この地図データを記憶する記憶媒体としては、ハードディスク、DVD−ROM、CD−ROM等が用いられる。
【0015】
本実施形態における地図データ入力器15は、地図データの入力だけでなく、例えば、DVDビデオが記憶されたDVD−ROMから読み出したDVDビデオを入力することも可能となっている。
【0016】
操作スイッチ群16は、表示装置18のディスプレイの前面に配置され、接触面に対するタッチ操作および接触位置を検出するタッチスイッチによって構成されている。
【0017】
外部メモリ17は、制御回路22の内部とは別に設けられたメモリで、各種データが記憶される。
【0018】
表示装置18は、液晶等のフルカラー表示が可能なディスプレイを有し、制御回路22から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。なお、本実施形態における表示装置18は、ユーザの操作に応じて通常の表示とデュアルビュー表示を切り替えて表示するようになっている。
【0019】
表示装置18は、ユーザの操作に応じてデュアルビュー表示に設定されると、図2に示すように、制御回路22から入力される左側画面用の映像信号と右側画面用の映像信号に応じてディスプレイに左側画面と右側画面を水平方向に1ピクセル毎に交互に表示させるとともに、液晶パネルの手前に配置された視差バリアのスリット間隔を制御する。このような構成により、ディスプレイの正面より左側に位置するユーザから見える左側画面とディスプレイの正面より右側に位置するユーザから見える右側画面とを異ならせるデュアルビュー機能を実現している。
【0020】
音声入力マイク19は、ユーザの発する音声を集音して、音声信号を制御回路22へ入力する。
【0021】
近接センサ20は、赤外光を発光する発光素子と、該発光素子によって発せられた赤外光がユーザの手に反射した反射光を受光する受光素子(いずれも図示せず)によって構成され、いわゆる手かざしスイッチとして機能する。この近接センサ20は、表示装置18のディスプレイの左端部と右端部にそれぞれ設けられており、図3に示すように、表示装置18のディスプレイの左端部および右端部から手前へ向けて発せられる赤外光3がユーザの手に反射した反射光を受光することにより、ディスプレイの左側からタッチスイッチへ操作されるユーザの手およびディスプレイの右側からタッチスイッチへ操作されるユーザの手をそれぞれ非接触で検出し、検出したことを示す信号を制御回路22へ出力する。
【0022】
送受信機21は、道路沿いに設置された路上機を介してVICSセンタ2とデータの送受信を行うための装置である。送受信機21は、VICSセンタ2から送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等を受信して制御回路22に出力するとともにVICSセンタ2へ車両情報、ユーザ情報等を送信する。
【0023】
制御回路22は、CPU、内部メモリ等を備えたコンピュータによって構成されており、CPUは、内部メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0024】
制御回路22の処理としては、位置検出器10から入力される信号に基づいて自車位置を算出する自車位置算出処理、地図データ入力器15を介して自車位置周辺の地図データを読み出して自車位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示する地図表示処理、DVD−ROMに記憶されたDVDビデオを読み出して再生するビデオ再生処理、ユーザの操作によりデュアルビュー機能が有効にされると、左側画面用の映像信号と右側画面用の映像信号をそれぞれ表示装置18へ出力する映像信号出力処理等がある。
【0025】
また、本車両用ナビゲーション装置1は、予めメニュー画面に従って表示装置18の表示設定を通常表示とデュアルビュー表示のいずれかに設定されるようになっている。
【0026】
次に、図4に従って、制御回路22の処理について説明する。イグニッションスイッチがオンしてバッテリから電源が供給されると、本車両用ナビゲーション装置1は、動作状態となり、制御回路22は、自車位置算出処理、地図表示処理等の処理と並行して図4に示す処理を開始する。
【0027】
まず、デュアルビューが有効状態か否かを判定する(S100)。具体的には、表示装置18の表示設定が通常表示に設定されているかデュアルビュー表示に設定されているかに基づいてデュアルビューが有効状態か否かを判定する。
【0028】
表示装置18の表示設定が通常表示に設定されている場合、S100の判定はNOとなり、通常表示画面に対する操作に応じた処理を実施する(S102)。具体的には、表示装置18に通常表示画面を表示させ、この画面表示に従ってユーザのタッチパネルへのタッチ操作に応じた操作を受け付ける処理を実施し、S100へ戻る。
【0029】
また、表示装置18の表示設定がデュアルビュー表示に設定されている場合、S100の判定はYESとなり、S104へ進む。
【0030】
S104では、表示装置18のディスプレイの左端部と右端部に配置された近接センサ20のいずれかによりユーザの手が検出されたことを示す信号が入力されたか否かに基づいて近接センサ20の反応が有るか否かを判定する。
【0031】
また、S106では、タッチスイッチによってユーザのタッチ操作が検出されたか否かに基づいてディスプレイのタッチパネルで操作が行われたか否かを判定する。
【0032】
また、S108では、ディスプレイの左端部と右端部のどちらの近接センサ20によりユーザの手が検出されたかに基づいて左右どちらから操作が行われたか否かを判定する。
【0033】
したがって、運転席側のユーザが右側画面を視認しながらディスプレイのタッチスイッチへタッチ操作した場合、S104の判定はYES、S106の判定はYES、S108の判定は「右」となり、次に、右側画面に対する操作としてタッチ操作に応じた処理を実行する(S110)。具体的には、右側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行する。例えば、運転席のユーザが、図5の「運転席側」に示すような右側画面を視認しながら、ディスプレイの右側から手を伸ばしてディスプレイの左下の部分Aをタッチ操作した場合、運転席側のユーザに対して表示している右側画面のズームインを指示するためのアイコンCがタッチ操作されたものとして操作を受け付け、ズームインを実行し、S104へ戻る。
【0034】
また、助手席側のユーザが左側画面を視認しながらディスプレイのタッチスイッチへタッチ操作した場合、S104の判定はYES、S106の判定はYES、S108の判定は「左」となり、次に、左側画面に対する操作としてタッチ操作に応じた処理を実行する(S110)。具体的には、左側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行する(S110)。例えば、助手席のユーザが、図6の「助手席側」に示すような左側画面を視認しながら、ディスプレイの左側から手を伸ばしてディスプレイの左下の部分Aをタッチ操作した場合、助手席側のユーザに対して表示している左側画面のスクロールを指示するためのアイコンBがタッチ操作されたものとして操作を受け付け、スクロールを実行し、S104へ戻る。
【0035】
また、運転席側のユーザまたは助手席側のユーザの手がディスプレイの近くまで伸びて近接センサ20によって検出されたものの、タッチスイッチへのタッチ操作がない場合には、S104の判定はYESとなり、S106の判定はNOとなり、S100へ戻る。
【0036】
上記した構成によれば、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、近接センサ20によってディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、左側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理が実行され、タッチスイッチによってタッチ操作が検出され、かつ、近接センサ20によってディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、右側画面上のタッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理が実行されるので、ディスプレイに対するユーザの位置によるタッチ操作の制約を受けることなくタッチ操作に応じた処理を実施することができ、デュアルビュー表示中における操作性を向上することができる。
【0037】
なお、ディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手およびディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手の検出は、ディスプレイの左端部および右端部に配置され、発光素子から発光した光がディスプレイの左端部および右端部の手前に近接する物体に反射した反射光を受光して物体を検出する受光素子を有する近接センサを用いて検出することができる。
【0038】
また、ディスプレイは、車両前方の運転席と助手席の中間部分に取り付けられるものであるので、運転席側のユーザと助手席側のユーザに異なる画面を表示することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0040】
例えば、上記実施形態では、赤外光を発光する発光素子と、この発光素子によって発せられた赤外光がユーザの手に反射した反射光を受光する受光素子によって構成された近接センサ20によって、ディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手およびディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手を検出する例を示したが、このような近接センサ20に限定されるものではなく、例えば、温度検出に用いられるサーモグラフィ等の温度センサや、人体から放射される赤外線を感知する赤外線センサや、超音波の送受信により物体を検出する超音波センサ等を用いて、ディスプレイの左側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手およびディスプレイの右側からタッチスイッチへタッチ操作するユーザの手を検出するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、運転席と助手席の間の中央のインストルメントパネル内に表示装置が収納されたいわゆるインダッシュタイプのナビゲーション装置に用いられた例を示したが、ダッシュボードの上に表示装置を設置するオンダッシュタイプ、持ち運びが可能なポータブルタイプのナビゲーション装置等に用いられてもよい。また、ナビゲーション装置以外の表示装置に適用することもできる。
【0042】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、近接センサ20が検出手段に相当し、S104、S106、S108、S110、S112が操作実行手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】デュアルビュー機能を有する表示装置の構成を示す図である。
【図3】近接センサについて説明するための図である。
【図4】制御回路の処理を示すフローチャートである。
【図5】運転席のユーザによる操作に応じた処理について説明するための図である。
【図6】助手席のユーザによる操作に応じた処理について説明するための図である。
【図7】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0044】
1…車両用ナビゲーション装置、10…位置検出器、11…地磁気センサ、
12…ジャイロスコープ、13…距離センサ、14…GPS受信機、
15…地図データ入力器、16…操作スイッチ群、17…外部メモリ、
18…表示装置、19…音声入力マイク、20…近接センサ、21…送受信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの正面より左側から見える左側画面と前記ディスプレイの正面より右側から見える右側画面とを異ならせることができる機能を有し、前記ディスプレイにボタンが選択可能に表示される表示装置であって、
前記ディスプレイの前面に配置され、接触面に対するタッチ操作および接触位置を検出するタッチスイッチと、
前記ディスプレイの左側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手および前記ディスプレイの右側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手をそれぞれ検出する検出手段と、
前記タッチスイッチによって前記タッチ操作が検出され、かつ、前記検出手段によって前記ディスプレイの左側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、前記左側画面上の前記タッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行し、前記タッチスイッチによって前記タッチ操作が検出され、かつ、前記検出手段によって前記ディスプレイの右側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手が検出された場合には、前記右側画面上の前記タッチ操作された位置に表示されているボタンへの選択操作に応じた処理を実行する操作実行手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記ディスプレイの左端部および右端部に配置され、発光素子から発光した光が前記ディスプレイの左端部および右端部の手前に近接する物体に反射した反射光を受光して物体を検出する受光素子を有する近接センサを有し、該近接センサにより前記ディスプレイの左側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手および前記ディスプレイの右側から前記タッチスイッチへタッチ操作するユーザの手を検出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ディスプレイは、車両前方の運転席と助手席の中間部分に取り付けられるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−114772(P2008−114772A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301363(P2006−301363)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】