説明

複合材料の製造方法および複合材料

【課題】コストを低減した複合材料の製造方法および複合材料を提供する。
【解決手段】複合材料10の製造方法は、熱伝導性粒子を含む相を金属基材11の表面11aの開口部に供給する工程と、相と接触する金属基材11と、相とを摩擦攪拌する工程とを備えている。複合材料10は、表面11aを有する金属基材11と、金属基材11の表面11aに配置された金属基複合材料12とを備えている。金属基複合材料12は、金属基材11を構成する金属材料と、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の製造方法および複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやモバイル電子機器の高機能化、高密度実装化に伴い、CPU(Central Processing Unit:セントラルプロセッシングユニット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、チップセット、メモリーチップ等の半導体素子の発熱源の単位面積あたりの発熱量が飛躍的に増大しており、放熱装置の高性能化が求められている。これは、半導体素子には構成する材料固有の作動上限温度が定まっており、その温度以上では半導体素子が破壊してしまうので、放熱が不十分な状態では著しく寿命低下をきたすためである。通常、自然対流や電動送風装置を用いた強制対流を用いて放熱を図る。しかし、原理的に単位面積あたりの放熱量には冷却方式固有の上限がある。したがって、大量の熱を放熱するためには、放熱する面積を拡大するヒートスプレッダと称する放熱装置が一般に用いられている。
【0003】
具体的には、ヒートスプレッダとして、半導体素子の放熱面に配置され、半導体よりもサイズの大きいAl(アルミニウム)やCu(銅)などの金属をベースとする複合材料、たとえばSiC(炭化珪素)を添加したAl−SiC複合材料やダイヤモンドを添加したCu−ダイヤモンド複合材料などを用いることができる。また、別の複合材料として、特開2006−108317号公報(特許文献1)には、Si(シリコン)と、Ca(カルシウム)などの第1の元素と、Sc(スカンジウム)などの第2の元素とを有する添加元素と、Alとを含むアルミニウム合金中にセラミックス粒子が分散された複合材料が開示されている。このような複合材料の熱膨張係数は、半導体素子の熱膨張係数と近い。このような複合材料を半導体素子と接触させることで、熱を吸い上げると共に、その熱をヒートスプレッダとしての複合材料の面内方向にも広げ、さらには、その複合材料の熱をAlやCuなどの金属製の冷却材、たとえばヒートシンクに伝えて放熱する方法がとられる。
【0004】
ヒートスプレッダとしての複合材料を半導体素子の熱膨張係数と近い材料にするのは、以下の理由による。すなわち、半導体素子の熱膨張係数と、ヒートシンクとしての金属製の冷却材の熱膨張係数との間には大きな差があるため、金属製の冷却材の上にそのまま半導体素子を積層すると、温度サイクル下で両者の界面に熱応力が発生する。このため、半導体素子に歪みが発生して半導体素子が安定して動作しなかったり、最悪の場合には、界面でのクラックの発生や剥離や、半導体素子の破壊に至る場合もある。このため、金属製の冷却材と半導体素子との熱膨張係数の中間の熱膨張係数を持つヒートスプレッダを介在させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−108317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1などの複合材料を製造するためには、添加元素、セラミックス粒子などの熱伝導性粒子を金属と混合した後に焼結するか、あるいは熱伝導性粒子をAlやCuの溶湯に添加して混ぜ合わせ、冷却固化させるなどの複雑なプロセスで製造する必要がある。このため、複合材料が高価になってしまう。また、半導体素子を搭載するためには、複合材料とヒートシンクとを接合する必要がある。したがって、コストが増加してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、コストを低減した複合材料の製造方法および複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の複合材料の製造方法は、以下の工程を備えている。熱伝導性粒子を含む相を金属基材の表面の開口部に供給する。相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌する。
【0009】
本発明の複合材料の製造方法によれば、金属基材の開口部に供給した相と、相と接触する金属基材とを摩擦攪拌することによって、金属基材を構成する材料と相とを混合した材料を含む金属基複合材料を金属基材に形成することができる。これにより、簡易なプロセスで複合材料を形成することができるので、コストを低減して複合材料を製造することができる。
【0010】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、上記摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する。
【0011】
これにより、攪拌時に金属の塑性流動が抑制されにくくなるため、相の各熱伝導性粒子を金属中により均一に分散させることができる。
【0012】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、上記摩擦攪拌する工程では、相に棒状の回転部材を当接させつつ回転させる。
【0013】
これにより、より容易に複合材料を製造することができるので、コストをより低減して複合材料を製造することができる。
【0014】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、上記摩擦攪拌する工程では、先端に位置するロッド状のプローブと、プローブと接続され、かつ金属基材の表面と接するショルダー面とを有する回転部材を用い、回転部材のショルダー面の径は、被加工部の径よりも大きい。
【0015】
これにより、相の体積分率が高い状態で摩擦攪拌する際に少なくとも一部に液相を生成した場合に、液相の生成によって体積が膨張しても、上記ショルダー面を有する回転部材を用いることで、開口部内に気孔が混入することを抑制できる。このため、金属基複合材料の特性を向上することができる。
【0016】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、上記摩擦攪拌する工程では、ショルダー面に300MPa以上の圧力を印加して摩擦攪拌する。
【0017】
これにより、加工時に熱伝導性粒子が再配列されやすくなるので、開口部内に気孔が混入した場合でも、金属基複合材料の緻密化に効果を奏する。
【0018】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、少なくとも被加工部を予備加熱する工程をさらに備える。
【0019】
これにより、摩擦攪拌するときに、少なくとも一部に液相を生成させやすくなる。このため、相の各熱伝導性粒子を金属中により均一に分散させることができる。
【0020】
上記複合材料の製造方法において好ましくは、上記予備加熱する工程では、金属基材を構成する金属材料の融点以上で被加工部を予備加熱する。
【0021】
これにより、相の各熱伝導性粒子を金属中により一層均一に分散させることができる。
本発明の複合材料は、表面を有する金属基材と、金属基材の表面に配置された金属基複合材料とを備え、金属基複合材料は、金属基材を構成する金属材料と、50vol%(体積%)以上70vol%(体積%)以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む。
【0022】
本発明の複合材料によれば、本発明の複合材料の製造方法により製造することにより、コストを低減して、上記のような所望の特性を有する複合材料を実現することができる。
【0023】
上記複合材料において好ましくは、金属基材が、アルミニウム、マグネシウム、および銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む。
【0024】
これらの金属は熱伝導率が高いため、放熱性をより向上した複合材料を実現することができる。
【0025】
上記複合材料において好ましくは、熱伝導性粒子が、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素(hBN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む。これにより、金属基複合材料の熱伝導率をより向上することができる。
【0026】
上記複合材料において好ましくは、金属基複合材料の熱伝導率が200W/mK以上である。これにより、金属基複合材料の放熱性をより向上することができる。
【0027】
上記複合材料において好ましくは、金属基複合材料の熱膨張係数が8.4×10-6/K以下である。
【0028】
これにより、半導体素子の熱膨張係数と整合性の高い熱膨張係数を有する金属基複合材料を有する複合材料を実現することができる。
【0029】
上記複合材料において好ましくは、金属基複合材料は、半導体素子を搭載するための表面を有する。
【0030】
本発明の複合材料は、放熱性が高く、かつ半導体素子との熱膨張率差が小さいので、半導体素子を搭載すると、半導体素子から発生する熱を効果的に放熱することができる。このため、コストを低減して半導体素子を搭載することができる。
【0031】
上記複合材料において好ましくは、半導体素子は、シリコン(Si)、インジウムリン(InP)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、および窒化アルミニウム(AlN)からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む。
【0032】
これらの材料の半導体素子についても、本発明の複合材料を用いることにより、コストを低減して放熱効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明の複合材料の製造方法および複合材料によれば、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態における複合材料を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における開口部を有する金属基材を概略的に示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における相を供給した状態を概略的に示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態における摩擦攪拌する状態を概略的に示す模式図である。
【図5】図6における線分V−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における摩擦攪拌する状態を概略的に示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例1における相を供給した状態を概略的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例1における複合材料を概略的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例2における相を供給した状態を概略的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例2における複合材料を概略的に示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態の変形例3における相を供給した状態を概略的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態の変形例3における複合材料を概略的に示す平面図である。
【図13】比較例の複合材料に半導体素子を搭載した状態を概略的に示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態における複合材料に半導体素子を搭載した状態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0036】
図1を参照して、本実施の形態における複合材料10について説明する。複合材料10は、金属基材11と、金属基複合材料12とを備えている。金属基材11は、表面11aを有している。金属基複合材料12は、金属基材11の表面11aに配置されている。言い換えると、複合材料10の表面の一部に、金属基複合材料12は形成されている。本実施の形態では、金属基材11の表面11aと、金属基複合材料12の表面12aとは同一平面に位置付けられている。
【0037】
金属基材11は、ヒートシンクである。金属基材11は、たとえば開口部を有する平板であり、熱伝導率が高いことが好ましい。この観点から、金属基材11は、アルミニウム、マグネシウム、および銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含むことが好ましい。金属基材11は、アルミニウム、マグネシウム、銅、またはこれらの合金からなることがより好ましい。
【0038】
金属基複合材料12は、ヒートスプレッダである。この金属基複合材料12は、金属基材11を構成する金属材料と、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含んでいる。つまり、金属基複合材料12は、金属基材11を構成する金属材料中に、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子が分散している。このため、金属基複合材料12は半導体素子の熱膨張係数と整合性の高い熱膨張係数を持ち、その他の部位(金属基材11)は熱伝導率が高い金属材料からなる。
【0039】
金属基複合材料12の体積含有率が50vol%以上の場合、熱伝導性粒子により熱膨張係数を下げることができるので、半導体素子の熱膨張率との差を緩和することができる。このため、半導体素子を金属基複合材料12の表面12a上に配置したときに、金属基複合材料12において半導体素子と接触する部位の熱膨張係数が整合しているために熱応力の不整合が小さくなり、熱応力破壊が起こることを抑制できる。さらに、その他の部位(金属基材11)は加工性、ろう付け性、めっき性に優れた金属材料からなるため、放熱性能に優れた複合材料10を安価で実現することができる。
【0040】
一方、金属基複合材料12の体積含有率が70vol%を超える場合、攪拌時の抵抗が高くなり、加工ができなくなる場合がある。
【0041】
ここで、上記「熱伝導性粒子」とは、金属基複合材料12の表面12aに載置する半導体素子の熱膨張係数と、金属基材11の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する粒子を意味する。また、熱伝導性粒子は、放熱材料に用いられる粒子を意味する。熱伝導性粒子は、たとえば200W/mK以上の熱伝導率を有している。
【0042】
また、上記「体積含有率」とは、複合材料に転化した金属基複合材料12中の熱伝導性粒子の割合を言う。
【0043】
熱伝導性粒子は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含んでいることが好ましい。これらの熱伝導性粒子は熱伝導率が高いので、金属基複合材料12の熱伝導率をより向上することができる。
【0044】
金属基複合材料の熱伝導率は、200W/mK以上であることが好ましい。たとえば、金属基材11および熱伝導性粒子として上記材料を用いることにより、金属基複合材料12の熱伝導率を200W/mK以上にすることができる。これにより、金属基複合材料12の熱伝導率をより向上することができる。
【0045】
ここで、上記「熱伝導率」とは、レーザフラッシュ法により測定される値を意味する。
金属基複合材料の熱膨張係数は、8.4×10-6/K以下であることが好ましい。この場合、金属基複合材料12の表面12a上に搭載する半導体素子の熱膨張率と、金属基複合材料12の熱膨張率との差を効果的に緩和することができる。このため、半導体素子の使用により、半導体素子が複合材料10から剥離することを抑制することができる。
【0046】
ここで、上記「熱膨張係数」は、室温から500℃の間のレーザ変位読み取り式熱膨張係数測定装置で測定される平均熱膨張係数を意味する。
【0047】
本実施の形態では、複合材料10は、放熱性が高く、かつ半導体素子との熱膨張係数差が小さいので、半導体素子を搭載するための放熱材料としている。このため、金属基複合材料12の表面12aは、半導体素子を搭載する。
【0048】
半導体素子は、シリコン、インジウム、ガリウム砒素、窒化ガリウム、および窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含むことが好ましい。たとえば、半導体素子は、シリコン、インジウム、ガリウム砒素、窒化ガリウム、または窒化アルミニウムからなる基板と、この基板上に形成された半導体層とを備えている。本実施の形態の複合材料10は、これらの材料の半導体素子から発生する熱を放熱する効果をコストを低減して実現できるため、放熱装置として好適に用いられる。
【0049】
続いて、図1〜図6を参照して、本実施の形態における複合材料の製造方法について説明する。
【0050】
まず、図2に示すように、表面11aに開口部11bを有する金属基材11を準備する。金属基材11は、アルミニウム、マグネシウム、および銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含むことが好ましい。
【0051】
この工程では、たとえば、平板状の金属基材を準備し、表面11aを加工して、開口部11bを形成する。開口部11bは、わずかな隙間であり、たとえば溝である。
【0052】
次に、図3に示すように、熱伝導性粒子を含む相15を金属基材11の表面11aの開口部11bに供給する。相15は、金属基材11を構成する金属材料と同じ金属粉末と、熱伝導性粒子とを混合した混合粉末を用いてもよい。この場合には、後述する摩擦攪拌する工程において、攪拌がより容易になる。なお、相15は、熱伝導性粒子を主成分として含み、残部が不可避的不純物であってもよい。
【0053】
相15が含んでいる熱伝導性粒子は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含んでいることが好ましい。
【0054】
熱伝導性粒子の平均粒径は200μm以下であることが好ましい。200μm以下の場合、回転部材16(図4〜図6参照)などの工具の磨耗を低減することができる。平均粒径が小さくなっても攪拌に問題は生じないが、下限はたとえば1μmである。この場合、熱伝導性粒子と金属基材11を構成する金属材料との界面の面積が増大することを抑制し、かつ金属基複合材料12の熱伝導率が低下することを抑制することができる。なお、後述する攪拌する工程で少なくとも一部に液相を生成させながら攪拌する場合には、熱伝導性粒子の平均粒径が200μmを超えていてもよい。
【0055】
この工程では、開口部11bに相15を充填した後に、圧力を加えて充填密度を高めてもよい。このとき、相15を構成する熱伝導性粒子の組織が崩れることを抑制できる程度の圧力を加えることが好ましい。
【0056】
また、この工程では、金属基材11の表面11aと同じまたはそれ以下の深さになるように、相15を開口部11bに供給することが好ましい。この場合、相15が開口部11bからあふれることを抑制できるので、金属基複合材料12に生成される組織が崩れることを抑制できる。
【0057】
次に、図4〜図6に示すように、相15と接触する金属基材11と、相15とを摩擦攪拌する。本実施の形態では、相15に棒状の回転部材16を当接させつつ回転させることにより、金属基材11と相15とを摩擦攪拌している。
【0058】
ここで、図4および図5を参照して、回転部材16について説明する。回転部材16は、本体16aと、プローブ16bとを有している。本体16aは、円筒状である。プローブ16bは、回転部材16の先端に位置し、本体16aよりも小径のロッド状である。本体16aは、プローブ16bと接続され、かつ金属基材11の表面11aと接するショルダー面16a1とを有する。
【0059】
なお、プローブ16bは回転部材に必ず必要なものではなく、場合によってはプローブ16bを有しない略円筒状の回転部材を用いても良い。
【0060】
回転部材16の材質は、たとえば、JISに規格されているSKD61鋼等の工具鋼や、タングステンカーバイト(WC)、コバルト(Co)からなる超硬合金、またはSi34等のセラミックス、立方晶窒化硼素(cBN)からなるものとすることができる。
【0061】
このような回転部材16を、図4に示すように、相15を充填した開口部11b上に、回転部材16のプローブ16bを当接させつつ回転させる。さらに、図6に示すように、開口部11bの長手方向に沿って回転部材16を移動させる。これにより、開口部11bに充填した相15を回転部材16によって攪拌させ、相15を金属基材11を構成する金属材料中に混入させることができる。
【0062】
なお、相15を金属材料中に十分に混入させるため、回転部材16を、相15を充填した開口部11b上で回転させつつ往復動させることもできる。あるいは、回転部材16を移動させずに同じ場所で回転させ続けることによっても相15を金属材料中に混入させることができる。このような処理をすることで、攪拌された部位のみが金属基材11を構成する金属材料と相とを含む金属基複合材料12に転化させることができる。たとえば、金属基材11がAlであり、相15がSiCである熱伝導性粒子からなる場合には、Al−SiC系複合材料に転化させる。
【0063】
回転部材16の形状としては、図4に示すように、先端にロッド状のプローブ16bとショルダー面16a1とを有し、ショルダー面16a1の面積が金属基複合材料12が生成する部位(被加工部)の面積よりも大きいことが好ましい。言い換えると、回転部材16のショルダー面16a1の径D16は、被加工部の径D12よりも大きい。この場合、被加工部に気孔が混入することを抑制することができる。このため、摩擦攪拌により生成される金属基複合材料12の密度を向上することができる。したがって、金属基複合材料12の熱伝導率を向上することができる。
【0064】
なお、回転部材のショルダー面16a1の径D16とは、ショルダー面16a1において被加工部を覆っている直径を意味する。被加工部の径D12とは、金属基複合材料12を生成するべき領域の短手方向の長さ、つまり開口部11bの幅を意味する。
【0065】
また、加工時におけるショルダー面16a1の面圧が300MPa以上であることが好ましい。この場合、加工時に硬質粒子である熱伝導性粒子が再配列されやすく、気孔を含んだ場合でも緻密化に効果がある。このため、金属基複合材料12の熱伝導率を向上することができる。なお、加工時におけるショルダー面16a1の面圧の上限は、たとえば装置上の理由から、7ton/cm2以下である。
【0066】
また、この工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することが好ましい。言い換えると、この工程では、金属基材11を構成する金属材料の融点以上に加熱して摩擦攪拌することが好ましい。
【0067】
本実施の形態では、熱伝導性粒子を含む相15(硬質分散相)の体積分率が高いので、固相状態のままで攪拌すると、金属の塑性流動が抑制される。このため、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することにより、濡れ性を向上し、界面の状態を良好にすることで、熱伝導性粒子(分散相粒子)を均一に金属材料中に分散させることができる。したがって、用いる金属基材11によって攪拌により到達する温度を変化させて液相を出すことが好ましい。たとえば、純Al−SiC系の場合は、Alの融点である660℃を越えた温度まで攪拌させることが好ましい。
【0068】
この時、到達温度が高すぎると、液相の粘性が大幅に低下して周囲に飛散しやすい。一方、到達温度が液相出現温度の直上の場合は、液相の粘性が大きく、十分に攪拌できない場合がある。このため、好ましい温度T(℃)は、液相出現温度+50(℃)≦T(℃)≦液相出現温度+150(℃)である。なお、液相出現温度とは、一部に液相が出る温度である固相線以上の温度を言う。もちろん、完全に溶融する温度である液相線を超える温度でも構わない。
【0069】
この工程では、少なくとも被加工部(金属基複合材料となるべき領域)を予備加熱しておくと液相が出現しやすいので効果がある。予備加熱温度は、金属基材11を構成する金属材料の液相出現温度以上であることが好ましく、具体的には金属基材11を構成する金属材料の融点以上で被加工部を予備加熱することが好ましい。設備の制約上、予備加熱温度に限界がある場合は、使用する金属材料に応じて、液相出現温度未満の適度な温度にしてもよい。たとえばAl系金属の場合は400℃程度、Cu系金属の場合は800℃程度でも効果がある。
【0070】
また、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する場合には、ショルダー面16a1の面積が金属基複合材料12が生成する部位(被加工部)の面積よりも大きい回転部材16を用いることが特に好ましい。これは、熱伝導性粒子(硬質粒子)の体積分率が高い場合、液相が出現した状態で攪拌すると、液相の体積膨張のために被加工部が膨張して、被加工部が気孔を含みやすくなるためである。ショルダー面16a1の面積を金属基複合材料12の生成部位(被加工部)の面積よりも大きくすることで、気孔の生成を抑制することができる。
【0071】
少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌した場合には、たとえば自然冷却することにより、攪拌した金属基材11と相15中の熱伝導性粒子とが混合した液相が固化される。これにより、攪拌した金属基材11を構成する金属材料中に、相15の熱伝導性粒子が分散された金属基複合材料12を形成することができる。したがって、図1に示す複合材料10を製造することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、摩擦攪拌する工程では、棒状の回転部材16を当接させつつ回転させているが、摩擦攪拌する方法は特にこれに限定されない。たとえば直線運動を往復させる部材により摩擦攪拌してもよい。
【0073】
(変形例1)
変形例1は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において金属基複合材料12がストライプ状に形成されている点において異なる。
【0074】
具体的には、図7に示すように、金属基材11の表面11aに、ストライプ状の開口部11bを形成する。次に、図7に示すように、この開口部11bに相15を供給する。次に、相と接触する金属基材11と、相15とを摩擦攪拌する。これにより、図8に示すように、ストライプ状に形成された金属基複合材料12を備えた変形例1の複合材料を製造することができる。
【0075】
(変形例2)
変形例2は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において金属基複合材料12が格子状に形成されている点において異なる。
【0076】
具体的には、図9に示すように、金属基材11の表面11aに、格子状の開口部11bを形成する。次に、図9に示すように、この開口部11bに相15を供給する。次に、相と接触する金属基材11と、相15とを摩擦攪拌する。これにより、図10に示すように、格子状に形成された金属基複合材料12を備えた変形例2の複合材料を製造することができる。
【0077】
(変形例3)
変形例3は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において金属基複合材料12が島状に形成されている点において異なる。
【0078】
具体的には、図11に示すように、金属基材11の表面11aに、内部に島状の開口部11bを形成する。次に、図11に示すように、この開口部11bに相15を供給する。次に、相と接触する金属基材11と、相15とを摩擦攪拌する。これにより、図12に示すように、島状に形成された金属基複合材料12を備えた変形例3の複合材料を製造することができる。
【0079】
なお、金属基複合材料12に転化させる領域は、本実施の形態、変形例1〜3の配置に限定されず、他の配置であってもよい。
【0080】
続いて、本実施の形態における複合材料10の効果について、図13に示す比較例と比較して説明する。
【0081】
図13に示す比較例の放熱装置100は、金属基材11と、金属基材11上に形成された複合材料112とを備えている。複合材料112は、たとえば上記特許文献1に開示の複合材料などである。金属基材11は、ヒートシンクの役割を果たし、複合材料112はヒートスプレッダの役割を果たす。
【0082】
図13に示すように、比較例の放熱装置100に半導体素子21を載置すると、複合材料112により半導体素子21と金属基材11との熱膨張係数差を緩和することができる。しかし、この放熱装置100を製造するためには、熱伝導性粒子を金属と混合した後に焼結する、熱伝導性粒子をAlやCuの溶湯に添加して混ぜ合わせ、冷却固化させるなどの複雑なプロセスで製造する必要がある。さらに、金属基材11と複合材料112とを、ロウ付けやAu−Sn(錫)めっきを介して接合する必要がある。このため、放熱装置100が高価になってしまうという問題がある。
【0083】
一方、本実施の形態における複合材料10は、金属基材11の開口部11bに供給した相15と、相15と接触する金属基材11とを摩擦攪拌することによって、金属基材11を構成する金属材料と相15とを混合した材料を含む金属基複合材料12を金属基材11に形成することができる。これにより、簡略なプロセスで金属基複合材料12を形成でき、金属基材11と金属基複合材料12とを接合する工程を省略できる。このように簡略なプロセスで複合材料10を形成することができるので、コストを低減して複合材料10を製造することができる。
【0084】
この複合材料10の金属基複合材料12の表面12aに、図14に示すように、半導体素子21を載置すると、金属基複合材料12は熱伝導性粒子を含んでいるので、半導体素子21と金属基材11との熱膨張係数差を緩和することができる。このため、熱応力の不整合が小さくなり、熱応力破壊が起こることを抑制できる。複合材料10は、半導体素子21を搭載する領域が、半導体素子21の熱膨張係数と整合性の高い熱膨張係数を有する金属基複合材料12であり、その他の領域は熱伝導率が高い金属基材11である。金属基材11は加工性、ろう付け性、めっき性などに優れた金属を用いることができる。このため、半導体素子21との熱膨張率を緩和して、かつ放熱性を向上することができる複合材料10を安価に製造することができる。
【0085】
さらに、金属基材11の開口部11bに、所定の量の熱伝導性粒子を含む相15を供給することにより、金属基材11を構成する金属材料と、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む金属基複合材料12を備えた複合材料10を製造することができる。
【0086】
金属基複合材料12中の熱伝導性粒子の体積含有率が70vol%以下であるので、金属基複合材料12の組織が破壊されることを抑制できる。このため、特性を維持した複合材料10を実現できる。
【0087】
金属基複合材料12中の熱伝導性粒子の体積含有率が50vol%以上であるので、半導体素子21と接する部位(金属基複合材料12の表面12a)の熱膨張係数が半導体素子21との熱膨張係数に近くなる。このため、半導体素子21の発熱時に発生する熱応力を低減することができ、半導体素子21の誤作動を抑制でき、あるいは、熱応力破壊等も抑制できる。
【0088】
特に、摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することが好ましい。この場合、相15中の熱伝導性粒子を金属基材11を構成する金属材料中に均一に分散することができる。このため、たとえば、金属基複合材料12中の熱伝導性粒子の体積含有率が50vol%以上70vol%以下で、かつ金属基複合材料12の熱伝導率が200W/mK以上である複合材料10を実現することができる。
【0089】
また、熱伝導性粒子が50vol%以上の場合には、硬質相量が増大するため、攪拌抵抗が増大するが、金属基材11を構成する金属材料を溶融させることで攪拌抵抗を低下させることができる。このため、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌すると、被加工部における金属材料と相15との混合物が流動しやすくなり、熱伝導性粒子の体積含有率が50vol%以上の金属基複合材料12を備えた複合材料10を実現することができる。
【0090】
以上のように、本実施の形態によれば、複雑なプロセスを用いなくても高熱伝導の複合材料10を製造することができる。このため、複合材料10は、半導体素子における放熱構造として最適である。したがって、本実施の形態の複合材料10は、複合材料10を組み込んだ自動車用、家電用半導体デバイスなどの広い用途に応用可能である。
【実施例】
【0091】
本実施例では、相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌する工程を備えることの効果について調べた。また、複合材料が50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含むことにより効果について調べた。
【0092】
(試料2〜11、13〜18)
<金属基材>
金属基材として、100mm×100mmで、5mmの厚さを有するCuまたはAlを用いた。それぞれの試料について、用いた金属基材、その融点および熱伝導率を下記の表1に記載する。
【0093】
次に、準備した金属板材の中心に、幅5mm、深さ2mmの溝(ギャップ)を加工により形成した。
【0094】
<熱伝導性粒子を含む相>
熱伝導性粒子を含む相として、熱伝導性粒子を主成分として含み、残部が不可避的不純物からなる相を準備した。熱伝導性粒子は、下記の表1に記載のSiC、ダイヤモンド、cBNのいずれかを用いた。それぞれの試料について、用いた熱伝導性粒子の材料およびその粒径を下記の表1に記載する。
【0095】
<供給する工程>
熱伝導性粒子を含む相を金属基材の表面の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
【0096】
<摩擦攪拌する工程>
試料2、5〜11について、下記の表1に記載の温度で予備加熱した。その後、試料2〜11、13〜18について、以下のようにして、相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌した。
【0097】
具体的には、図5に示すような回転部材16を準備した。回転部材16は、直径3.8mm、長さ1.75mmのプローブ16bと、直径D16が下記の表1に記載の各種値(7〜20mm)で、かつ下記の表1に記載の各種材質からなる本体16aとを有していた。この回転部材16のショルダー面に下記の表1に記載の圧力を印加して、相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌した。回転部材16の回転速度を調整して、下記の表1に記載の攪拌部(被加工部)の到達温度とした。回転ツールの移動速度は45mm/minとした。
【0098】
これにより、中心部のみに金属基複合材料が配置された構造の複合材料を得た。この金属基複合材料は、下記の表1に記載の幅を有していた。
【0099】
この金属基複合材料について、金属基複合材料に転化した部分のみを切り出して、熱伝導性粒子の体積含有率、熱伝導率、および熱膨張係数を測定した。熱伝導性粒子の体積含有率は、アルキメデス法で金属基複合材料の密度を測定し、熱伝導性粒子の真密度値から金属基複合材料中の熱伝導性粒子の体積含有率を計算した。熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定した。熱膨張係数は、レーザ変位読み取り式熱膨張係数測定装置により測定した。その結果を下記の表1に記載する。
【0100】
その後、それぞれの試料の表面全体を約0.4mm研磨加工して、表面粗さRaが0.05μmの面を得た。以上より、試料2〜11、13〜18の複合材料を製造した。
【0101】
(試料1および12)
試料1および12は、下記の表1に記載の金属基材のみを備えていた。
【0102】
(評価方法)
半導体素子として、5mm×5mmで、0.25mmの厚さを有するInP、GaAs、Si、GaNのいずれかの半導体基板を備えた半導体素子を準備した。それぞれの試料について、用いた半導体素子の半導体基板およびその熱伝導率を下記の表1に記載する。この半導体素子を、スパッタ法により半導体素子の表面(半導体基板において半導体層が形成された面と反対側の面)にAu−Sn系膜を0.1μmコーティングした。その後、この半導体素子の表面と、試料2〜11、13〜18については複合材料の金属基複合材料の表面上とを、試料1および12についてはは金属基材の表面とを、アルミニウムろうを用いて600℃でろう付けした。これにより、各試料の複合材料に半導体素子を載置した。
【0103】
半導体素子の表面の熱膨張係数と、各試料1〜18において半導体素子の表面と接続される領域の熱膨張係数との差(熱膨張係数差ΔT)を求めた。その結果を下記の表1に記載する。
【0104】
また、半導体素子を載置した試料1〜18を炉に投入し、1気圧の窒素中で、昇温速度10℃/minで550℃まで加熱し、その後1分間保持した後、炉内から取り出し水中へ投入した。これを最大30回繰り返した。各回処理終了後、各試料を各面と垂直方向に切断して界面を実体顕微鏡で観察した。このようにして、各試料について、剥離せずに温度サイクルを実施できた回数(温度サイクル回数)を調べた。その結果を下記の表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
(評価結果)
表1に示すように、試料2〜11、13〜18によれば、相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌する工程を備えることにより、簡略化したプロセスで、金属基材を構成する金属材料と、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む複合材料を製造可能なことがわかった。このため、所望の特性を有する複合材料をコストを低減して製造できることがわかった。
【0107】
また、攪拌部の到達温度が金属基材を構成する金属材料の融点以上であった試料2、4〜11、14〜18は、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌したので、攪拌時に金属の塑性流動が抑制されにくくなった。このため、相の各熱伝導性粒子を金属基材を構成する金属材料中により均一に分散させることができたので、金属基複合材料の熱伝導率を200W/mK以上にすることができた。
【0108】
また、試料2〜11、13〜18によれば、半導体素子との接触部を金属基複合材料にすることにより、試料1、13の温度サイクル回数よりも温度サイクル回数を大幅に増加することができた。このことから、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む複合材料を実現することにより、大幅な耐熱衝撃性の向上が確認できた。
【0109】
また、耐熱衝撃性は、半導体素子の表面の熱膨張係数と、半導体素子の表面と接続される金属基複合材料の熱膨張係数との差(熱膨張係数差ΔT)が小さいほど向上した。このことから、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む金属基複合材料を備えた複合材料を実現することにより、半導体素子と複合材料との熱膨張係数差を低減することが、耐衝撃性の大幅な向上に寄与することが確認できた。
【0110】
以上より、本実施例によれば、相と接触する金属基材と、相とを摩擦攪拌する工程を備えることにより、簡易なプロセスで、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む金属基複合材料を備えた複合材料を製造できることがわかった。また、複合材料が50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含むことにより、コストを低減して放熱効果を高める複合材料を実現できることがわかった。
【0111】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
10 複合材料、11 金属基材、11a,12a 表面、11b 開口部、12 金属基複合材料、15 相、16 回転部材、16a 本体、16a1 ショルダー面、16b プローブ、21 半導体素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性粒子を含む相を金属基材の表面の開口部に供給する工程と、
前記相と接触する前記金属基材と、前記相とを摩擦攪拌する工程とを備えた、複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記摩擦攪拌する工程では、前記相に棒状の回転部材を当接させつつ回転させる、請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記摩擦攪拌する工程では、先端に位置するロッド状のプローブと、前記プローブと接続され、かつ前記金属基材の前記表面と接するショルダー面とを有する前記回転部材を用い、
前記回転部材の前記ショルダー面の径は、被加工部の径よりも大きい、請求項3に記載の複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記摩擦攪拌する工程では、前記ショルダー面に300MPa以上の圧力を印加して摩擦攪拌する、請求項4に記載の複合材料の製造方法。
【請求項6】
少なくとも被加工部を予備加熱する工程をさらに備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記予備加熱する工程では、前記金属基材を構成する金属材料の融点以上で前記被加工部を予備加熱する、請求項6に記載の複合材料の製造方法。
【請求項8】
表面を有する金属基材と、
前記金属基材の前記表面に配置された金属基複合材料とを備え、
前記金属基複合材料は、前記金属基材を構成する金属材料と、50vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子とを含む、複合材料。
【請求項9】
前記金属基材が、アルミニウム、マグネシウム、および銅からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求項8に記載の複合材料。
【請求項10】
前記熱伝導性粒子が、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求項8または9に記載の複合材料。
【請求項11】
前記金属基複合材料の熱伝導率が200W/mK以上である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項12】
前記金属基複合材料の熱膨張係数が8.4×10-6/K以下である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項13】
前記金属基複合材料は、半導体素子を搭載するための表面を有する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項14】
前記半導体素子は、シリコン、インジウムリン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、および窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求項13に記載の複合材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−25297(P2011−25297A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175536(P2009−175536)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】