説明

複合材格納ケーシングの修理方法

【課題】 複合材格納ケーシングの修理方法を提供する。
【解決手段】 複合材格納ケーシングの修理方法は、サンドイッチ構造と、少なくとも1つのアブレイダブル層とからなり、少なくとも1つの損傷部分がある一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングを用意し、該アブレイダブルシステムの該損傷部分を除去して穴を開け、サンドイッチ構造セグメントを成形して成形サンドイッチ構造を形成し、該成形サンドイッチ構造を該アブレイダブルシステムの該穴の中に配置し、該成形サンドイッチ構造に樹脂を注入し、該成形サンドイッチ構造を有する該格納ケーシングを硬化させ、少なくとも1つのアブレイダブル層を該成形サンドイッチ構造に塗布して、修理された一体型アブレイダブルシステムを有する該格納ケーシングを形成することからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、概して複合材格納ケーシングの修理方法に関する。より詳細には、本明細書の実施形態は、概して一体型アブレイダブルシステムを有する複合材ファンケーシングの修理方法を説明する。
【背景技術】
【0002】
航空機エンジン等のガスタービンエンジンでは、空気がエンジンの前部に吸い込まれ、軸上圧縮機によって圧縮され、燃焼器内で燃料と混合される。そして、混合物が燃焼されて、高温の排気ガスが同軸上に取り付けられたタービン内を流れる。燃焼ガスの流れはタービン内に広がり、軸を回転させて、圧縮機に動力を供給する。高温の排気ガスはさらにエンジンの後部のノズル内に広がって、強力な推力を発生させて、航空機を前進させる。
【0003】
エンジンはさまざまな状況で作動するので、やっかいなことにエンジンに異物が入ってしまう可能性がある。より詳細には、大きな鳥、雹、氷、砂および雨などの異物がエンジンの吸気口に巻き込まれて、エンジンやその中のファンブレードに衝突することがある。これらの衝突によって一部の接触したブレードがロータから外れてしまうこともあり、これは一般に、ファンブレードアウトの呼び名で知られている。外れたファンブレードが、ファンケーシングの内部に衝突する可能性もある。同様に、寒い気候や高い高度では、氷が形成して、ファンブレード上に蓄積することがある。エンジン速度が急速に加速するか、または高度が下がると、氷が剥離することがあって、ファンケーシングの内部に衝突することにもなる。
【0004】
近年、複合材料は耐久性があり、比較的軽量なため、さまざまな航空宇宙用途で用いるのにますます普及してきている。複合材料は優れた強度と重量特性を備えており、氷の剥離やファンブレードアウトなどによる衝突の際にファンケーシングの損傷範囲を小さくすることができるが、改善の余地が残されている。
【0005】
ファンケーシングの製造に用いられるような現在の複合材格納技術では、一般的に、氷および/または外れたファンブレードによる衝突に耐えることができ、さらに氷や外れたファンブレードを破砕、すなわちそれらを小さな破片に砕くことができる厚いモノリシックなセメントプラスター構造を採用している。これらの破砕された破片は、航空機のエンジンにも本体にも著しい損傷を与えずに、エンジンから取り除くことができる。ファンケーシングの構造は、ファイバー/マトリクス干渉障害、マトリクス微小亀裂および層間剥離を含む多数の機構のいずれかを用いて衝突エネルギーの消失をもたらす。
【0006】
より詳細には、現在のセメントプラスター構造は、通常、ノーメックス(Nomex)(登録商標)ハニカムコアに接合させたガラス/エポキシ複合材表面板を含む基板構造に取り付けられたアブレイダブル層を有するアブレイダブルシステムからなっており、非常に軽量である。ランゲンブラナー(Langenbrunner)らの特許文献1を参照されたい。しかしながら、そのようなハニカムコアは、一般的に、ファンブレードアウト事象の際に大きなエネルギー吸収を行うように設計されていない。より詳細には、ハニカムコアの構造により、アブレイダブルシステムが半径方向の脆弱性を有することになる。したがって、外れたファンブレードは衝突時にハニカムコアをたやすく切断する傾向があり、およそ99%の衝突エネルギーがファンケーシング本体によって吸収されるべく残される。さらに、現在のアブレイダブルシステムは多数のレイアップ、接合、硬化および機械加工サイクルを必要とするので、そのようなシステムの製造は大きな労力を要し、コストがかかるものになり、多層構造の故に希望よりも重いファンケーシングができあがることもある。さらにまた、アブレイダブルシステムはファンケーシングとは別に製造されてからファンケーシングに取り付けられるので、2つの部品は単一システムとしてではなく、独立して機能する。
【特許文献1】米国特許第5,344,280号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0074593号公報
【特許文献3】米国特許第6,742,547号公報
【特許文献4】米国特許第6,892,766号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0134251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前述の時間、労力、重量およびコストの問題がなく、耐衝撃性が向上した、複合材ファンケーシング用の一体型アブレイダブルシステムを修理する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、概して、複合材格納ケーシングの修理方法に関しており、該方法は、サンドイッチ構造と、少なくとも1つのアブレイダブル層或いは摩耗性層(摩耗可能層)とからなり、少なくとも1つの損傷部分がある一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングを用意し、該アブレイダブルシステムの該損傷部分を除去して穴を開け、サンドイッチ構造セグメントを成形して成形サンドイッチ構造を形成し、該成形サンドイッチ構造を該アブレイダブルシステムの該穴の中に配置し、該成形サンドイッチ構造に樹脂を注入し、該成形サンドイッチ構造を有する該格納ケーシングを硬化させ、少なくとも1つのアブレイダブル層を該成形サンドイッチ構造に塗布して、修理された一体型アブレイダブルシステムを有する該格納ケーシングを形成することからなる。
【0009】
本明細書の実施形態はまた、概して、複合材格納ケーシングの修理方法に関しており、該方法は、サンドイッチ構造と、少なくとも1つのアブレイダブル層とからなり、少なくとも1つの損傷部分がある一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングを用意し、該アブレイダブルシステムの該損傷部分を除去して穴を開け、サンドイッチ構造セグメントを成形して成形サンドイッチ構造を形成し、該成形サンドイッチ構造に樹脂を注入し、該成形サンドイッチ構造を硬化させ、該成形サンドイッチ構造を該アブレイダブルシステムの該穴の中に接合し、少なくとも1つのアブレイダブル層を該成形サンドイッチ構造に塗布して、修理された一体型アブレイダブルシステムを有する該格納ケーシングを形成することからなる。
【0010】
これらおよびその他の特徴、態様および利点は、以下の開示から当業者には明らかになるであろう。
【0011】
本明細書は、特許請求の範囲で本発明を具体的に指摘し、明確に請求することで完結するが、本明細書に記載した実施形態は、同じ参照番号が同様の要素を特定している添付図面と併せて以下の説明からよりよく理解されるであろうと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、概して、一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングの修理方法に関する。以下の説明は、低バイパスファンエンジン、高バイパスファンエンジンおよび超高バイパスファンエンジンを含むがこれに限定されない、あらゆる種類のガスタービンエンジンに適用できることが、当業者にはわかるであろう。
【0013】
図面を参照すると、図1は、一般にファンアセンブリ12とコアエンジン14を含む従来のガスタービンエンジン10の一実施形態の概略図である。ファンアセンブリ12は、本体17を有する複合材ファンケーシング16と、ロータディスク20から半径方向外方に延在するファンブレード列18とを含む。コアエンジン14は、高圧圧縮機22、燃焼器24、高圧タービン26および低圧タービン28を含む。エンジン10は、吸気端30および排気端32を有する。
【0014】
前述したように、本明細書の実施形態は、隣接する一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシング35であり、ファンブレードアウトやその他の同様の事象による損傷を少なくすることができる。アブレイダブルシステム34はさまざまな構成をとることができるが、通常、図2に示すように、サンドイッチ構造36と少なくとも1つのアブレイダブル層38とからなる。本明細書で用いられているように、「サンドイッチ構造」は通常、図2に示すように、第1表面板33と、少なくとも1つのコア層37の周囲に配置された第2表面板33とからなる多層構造を指す。第1および第2表面板33は、コア層37と同様に、樹脂を注入し、硬化させて、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、およびアラミドポリマー繊維等の複合材料を形成することのできる、任意の織物、組物、またはノンクリンプ繊維からなる。さらに、コア層37に使用される材料は非等方特性を有しており、セル、円柱、およびトラス構造が含まれる。複数のコア層37は、ファンケーシングの半径または厚さに応じて、サンドイッチ構造36の直交異方特性を調整できることが望ましい。
【0015】
サンドイッチ構造36として使用するのに適した材料の例としては、これらに限定すべきではないが、図2に示すTYCOR(登録商標)(オハイオ州、マイアミズバーグ、WebCore Technologies,Inc.、特許文献2参照)、または図4および図5に示す3次元トラス構造織物(ペンシルバニア州、バリー、バリーリボンミルズ社、特許文献3および特許文献4参照)が挙げられる。
【0016】
製造過程中、サンドイッチ構造36は、半径方向に強く円周方向に弱くなるように設計することができると想定される。半径方向の強度により、外れたファンブレードによって生じる衝突エネルギーの吸収および消失のみならず、外れたブレードの飛行軌跡の変更が可能になる。円周方向の脆弱性により、ロータの不安定な軌道によってファンブレードが衝突した際に、サンドイッチ構造36が押しつぶされて変形する可能性がある。この半径方向の強度と円周方向の脆弱性を総合すると、サンドイッチ構造36が外れたファンブレードによって生じるエネルギーを吸収するのが促進され、それによってファンケーシングが吸収しなければならないエネルギーを減らすことができる。このことは、より薄くより軽いファンケーシングの製造につながり得る。さらに、サンドイッチ構造36が機械的完全性を維持することによって、外れたファンブレードがファンケーシングに接触し、および/または大きな損傷を与える可能性を減らすことができる。
【0017】
アブレイダブル層38は、一体型アブレイダブルシステム34の半径方向最内層のことであり、エンジンの作動中にファンブレードがこすれることのある領域を形成する。アブレイダブル層38は、通常、クリアランス制御用途で使用するのに適した任意の低密度シンタクチックフィルムエポキシからなっており、本明細書で後述するように、氷の衝突による損傷に耐性があり、ファンケーシングの耐用年数を通じて容易に修理/交換することができる。アブレイダブル層38として使用するのに適当な材料の一例として、本明細書の実施形態はこれに限定すべきではないが、Hysol(登録商標)EA9890がある。さらに、アブレイダブル層38は、サンドイッチ構造36を覆うようにファンケーシングに接合することができる。当業者に公知の従来の接合材料および技術はいずれも、本明細書で使用することができる。
【0018】
一般に、一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシング35は、従来の複合材製造過程を用いて製造することができる。しかしながら、その過程で使用する工具を若干変更する必要がある。図3に示すように、マンドレル40は、本明細書に記載の実施形態のファンケーシングを製造するために用意される。マンドレル40は、マンドレル40がアブレイダブルシステム34のトラスコア層36を収容するためにその円周方向周囲に配置されたポケット42を有する点を除いて、ファンケーシングの製造に使用される従来の工具(例えば、ブラントン(Blanton)らの特許文献5を参照)と同様である。マンドレル40は「略円筒状」であり、通常、輪郭の有無にかかわらずシリンダのように成形される。
【0019】
より詳細には、図3に示すように、ポケット42は、アブレイダブルシステム34の所望の寸法のサンドイッチ構造36に対応する任意の寸法であればよい。しかしながら、一般に、ポケット42(ひいてはサンドイッチ構造36)は、図1に示すファンブレード18の軸方向コード長Lの約1〜約3倍の幅Wと、ファンケーシングの半径方向厚さTの約1〜約5倍の深さDを有する。「半径方向厚さ」は、図5に示すように、ファンケーシングの最も厚い断面で測定される。例えば、ファンブレード18が約12インチ(約30.4cm)の軸方向コード長Lを有し、ファンケーシングプリフォーム46が約1インチ(約2.54cm)の半径方向厚さTを有する場合、ポケット42は約12インチ(約30.4cm)〜約36インチ(約91.4cm)の幅Wと、約1インチ(約2.54cm)〜約5インチ(約12.7cm)の深さDを有することになる。さらに、アブレイダブルシステム34は外れたファンブレードの衝撃を吸収する働きをするので、ポケット42は、エンジンのファンアセンブリが組み立てられる際に、図5に示すように、サンドイッチ構造36、ひいてはアブレイダブルシステム34がファンブレード18に隣接するように、マンドレル40に沿って配置することができる。
【0020】
一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシング35を製造するには、いくつかの方法で行うことができる。一実施形態では、図4に示すように、まず所望の数のコア層37を有するサンドイッチ構造36がマンドレル40のポケット42内に配置される。次に、少なくとも1層の材料44が、サンドイッチ構造36を含むポケット42を有するマンドレル40の周囲に、所望の厚さが得られるまで連続して塗布される。サンドイッチ構造36の表面板33と同様に、材料44は、樹脂を注入し、硬化させて複合材料を形成することのできる任意の織物、組物、またはノンクリンプ繊維からなる。一実施形態では、材料は、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、およびアラミドポリマー繊維である。さらに、各繊維トウは、約3000〜約24000本の単一繊維フィラメントからなる。
【0021】
得られた一体型サンドイッチ構造36を有するファンケーシングプリフォーム46は、ファンケーシングプリフォーム46と一体型サンドイッチ構造36の全体に樹脂を注入するために、従来技術を用いてエポキシ等の任意の適切な樹脂で処理される。樹脂が注入された時点で、当業者に公知の従来の硬化方法を用いて、ファンケーシングプリフォーム46を硬化させる。
【0022】
代替実施形態では、ファンケーシングプリフォーム46を、従来技術を用いて従来のマンドレルの周囲にレイアップした後に、樹脂の注入と硬化を行うことができる。得られたファンケーシングは、あらかじめ樹脂を注入して硬化させ、その内部19に接合させたサンドイッチ構造36を有することになる。前述の実施形態のように、サンドイッチ構造36は、エンジンのファンアセンブリが組み立てられる際に、図5に示すように、ファンブレード18に隣接して配置することができる。
【0023】
アブレイダブルシステムを有するファンケーシング35を完成させるためにいずれの製造方法を選択しても、少なくとも1つのアブレイダブル層38は、接着接合または機械的固定を含むがこれに限らない任意の適切な方法を用いて、図5に示すように、サンドイッチ構造36上に塗布することができる。さらに、あらゆるファンケーシング製造過程で一般的な仕上げ工程、例えば、1つ以上の音響パネル48の適用などを実施してもよい。
【0024】
本明細書に記載の実施形態のファンケーシングの一体型アブレイダブルシステムでは、前述した利点の他にいくつかの利点を得ることができる。例えば、本明細書の実施形態のファンケーシングは、一体型アブレイダブルシステムの性質と構造によって、必要とするレイアップ、接合、硬化および機械加工サイクルを従来のファンケーシングよりも大幅に少なくすることができる。さらに、サンドイッチ構造のコア層を任意の非金属複合材料から作ることができるので、本明細書のアブレイダブルシステムは、軽量でありながらも衝突エネルギーをより吸収することができる。特に、本明細書に記載の実施形態のアブレイダブルシステムは、外れたファンブレードによって生じる衝突エネルギーを約25%に至るまで吸収することができ、約75%の衝突エネルギーだけがファンケーシングの本体によって吸収されるべく残される。「衝突エネルギー」とは、外れたファンブレードの運動エネルギーを意味する。これにより、ファンケーシング35の厚さ、ひいては重量を減少させることができる。
【0025】
ここに記載する実施形態がもたらす別の利点は、修理の容易さである。損傷がその一部のみに限られる場合、アブレイダブルシステム全体を除去して再塗装する必要がないことが当業者にはわかるであろう。むしろ、アブレイダブルシステムの一部が、氷の剥離、ファンブレードアウトまたはその他同様の出来事によって損傷を受けた場合、その部分のみを交換することができる。製造と同様に、修理もいくつかの方法で実行することができる。一実施形態では、アブレイダブルシステムの損傷部分は、従来方法を用いてアブレイダブルシステムに穴を開けて、機械加工を行う、すなわちファンケーシングから切り取ることができる。必要に応じて任意の数のコア層と表面板とからなるサンドイッチ構造セグメントは、穴を塞ぎ、成形サンドイッチ構造を形成するのに必要な適当な寸法に成形される。成形サンドイッチ構造はアブレイダブルシステムの穴の中に配置されて、その中に樹脂が注入される。成形サンドイッチ構造を有するファンケーシングを硬化させて、修理された一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシングを形成することができる。
【0026】
代替実施形態では、この場合もやはり、アブレイダブルシステムの損傷部分は、アブレイダブルシステムに穴を開ける従来方法を用いて、機械加工して外へ出すことができる。サンドイッチ構造セグメントは、アブレイダブルシステムの穴を塞ぎ、成形サンドイッチ構造を形成するのに必要な適当な寸法に成形される。この実施形態では、成形サンドイッチ構造は、穴の中に配置して、アブレイダブルシステムに接合する前に、まず樹脂を注入して硬化させて、修理された一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシングを形成する。成形サンドイッチ構造をアブレイダブルシステムの穴の中に接合するのに、任意の接着剤やその他の同様の材料を使用できることが当業者にはわかるであろう。
【0027】
利用した修理方法に関わらず、注入サンドイッチ構造をファンケーシングに接合した後に、新しいアブレイダブル層を前述の方法で注入サンドイッチ構造に塗布することができる。
【0028】
一体型アブレイダブルシステムを有する修理されたファンケーシングでは、前述の利点すべてを得ることができる。さらに、ファンケーシングの損傷部分のみを修理する機能によって、アブレイダブルシステム全体を交換した場合にかかる時間とコストを削減することができる。
【0029】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて、本発明を開示するとともに、あらゆる当業者が本発明を製作し使用することを可能にしている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想定するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言とは実質的に相違しない同等の構造的要素を有する場合、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本明細書の説明に従った一実施形態のガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図2】本明細書の説明に従った一実施形態の一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシングの概略部分断面図である。
【図3】本明細書の説明に従った一実施形態のポケットを有するマンドレルの概略斜視図である。
【図4】本明細書の説明に従った、ポケット内に配置されたサンドイッチ構造と、その周囲に巻き付けられた材料とを有する、図3のマンドレルの線A−Aに沿った概略部分断面図である。
【図5】本明細書の説明に従った一実施形態の一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシングと、ファンブレードに対するシステムの配置の概略部分断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 ガスタービンエンジン
12 ファンアセンブリ
14 コアエンジン
16 ファンケーシング
17 ファンケーシング本体
18 ブレード
19 ファンケーシングの内部
20 ロータディスク
22 高圧圧縮機
24 燃焼器
26 高圧タービン
28 低圧タービン
30 吸気端
32 排気端
33 表面板
34 一体型アブレイダブルシステム
35 一体型アブレイダブルシステムを有するファンケーシング
36 サンドイッチ構造
37 コア層
38 アブレイダブル層
40 マンドレル
42 ポケット
44 材料
46 プリフォーム
48 音響パネル
W 幅
D 深さ
L ファンブレードの軸方向コード長
T ファンケーシングプリフォームの半径方向厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材格納ケーシングの修理方法であって、
サンドイッチ構造と、少なくとも1つのアブレイダブル層とからなり、少なくとも1つの損傷部分がある一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングを用意し、
該アブレイダブルシステムの該損傷部分を除去して穴を開け、
サンドイッチ構造セグメントを成形して成形サンドイッチ構造を形成し、
該成形サンドイッチ構造を該アブレイダブルシステムの該穴の中に配置し、
該成形サンドイッチ構造に樹脂を注入し、
該成形サンドイッチ構造を有する該格納ケーシングを硬化させ、
少なくとも1つのアブレイダブル層を該成形サンドイッチ構造に塗布して、修理された一体型アブレイダブルシステムを有する該格納ケーシングを形成することからなる方法。
【請求項2】
該サンドイッチ構造セグメントが、第1表面板と、少なくとも1つのコア層と、第2表面板とからなっており、該コア層が、セル構造、円柱構造、またはトラス構造のいずれかからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該サンドイッチ構造が、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アラミドポリマー繊維、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される材料からなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該格納ケーシングが、少なくとも1つのファンブレードを含むガスタービンエンジンのファンアセンブリ用のファンケーシングであり、該ファンケーシングが半径方向厚さを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該アブレイダブル層が低密度シンタクチックフィルムエポキシからなる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該サンドイッチ構造が複数のコア層からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
該成形サンドイッチ構造が半径方向に強く円周方向に弱いものである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
該格納ケーシングが、ガスタービンエンジンのファンアセンブリ用のファンケーシングである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複合材格納ケーシングの修理方法であって、
サンドイッチ構造と、少なくとも1つのアブレイダブル層とからなり、少なくとも1つの損傷部分がある一体型アブレイダブルシステムを有する複合材格納ケーシングを用意し、
該アブレイダブルシステムの該損傷部分を除去して穴を開け、
サンドイッチ構造セグメントを成形して成形サンドイッチ構造を形成し、
該成形サンドイッチ構造に樹脂を注入し、
該成形サンドイッチ構造を硬化させ、
該成形サンドイッチ構造を該アブレイダブルシステムの該穴の中に接合し、
少なくとも1つのアブレイダブル層を該成形サンドイッチ構造に塗布して、修理された一体型アブレイダブルシステムを有する該格納ケーシングを形成することからなる方法。
【請求項10】
該サンドイッチ構造セグメントが、第1表面板と、少なくとも1つのコア層と、第2表面板とからなっており、該コア層が、セル構造、円柱構造、またはトラス構造のいずれかからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該サンドイッチ構造が、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アラミドポリマー繊維、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される材料からなる、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
該格納ケーシングが、少なくとも1つのファンブレードを含むガスタービンエンジンのファンアセンブリ用のファンケーシングであり、該ファンケーシングが半径方向厚さを有する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該アブレイダブル層が低密度シンタクチックフィルムエポキシからなる、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該サンドイッチ構造が複数のコア層からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
該成形サンドイッチ構造が半径方向に強く円周方向に弱いものである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
該格納ケーシングが、ガスタービンエンジンのファンアセンブリ用のファンケーシングである、請求項9乃至15のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−143229(P2009−143229A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313981(P2008−313981)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】