説明

複合部材及びその製造方法

【課題】経時による加飾層の変色が低減された複合部材を提供する。
【解決手段】イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種の化合物17を介して硫黄架橋ゴム部材14と熱可塑性樹脂部材15とを一体化してなる複合部材。硫黄架橋ゴム部材14を成形後、硫黄架橋ゴム部材14表面に前記少なくとも1種の化合物17を担持させ、その後、化合物を含み得る熱可塑性樹脂15を硫黄架橋ゴム部材14上に押し出し、上記複合部材を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複合部材及びその製造方法に関し、詳細には、ウエザーストリップ、ガスケット等の複合部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のトリム部等を備えた加飾層を有するウエザーストリップや建住用ガスケットは、従来EPDM[エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム]をベースとする硫黄加橋ゴムからなる本体に、オレフィン系、スチレン系などの熱可塑性樹脂を熱融着によって接着させ、カラー加飾層を形成させているものがある。しかし、このような製造方法で製造したウエザーストリップやガスケットは、時間経過と共に加飾層に黄変などの変色を生じる。変色対策として、特許文献1及び2の発明が権利化されている。特許文献1は、変色原因物質を粘着付与剤と仮定し、粘着付与剤を特定した発明を開示している。特許文献2は、変色の原因をゴム中の硫黄加硫系薬剤であるとし、対策として加飾層にハイドロタルサイトを添加したものである。しかし、ハイドロタルサイトでの黄変要因物質の吸着は不十分であり、公報記載のデータを見ても、サンシャインウェザオメーターでの耐候性試験300時間後のサンプルの変色は色差(ΔE)が2以上であり、その効果は限定的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3654120号公報
【特許文献2】特許第3261562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、経時による加飾層の変色が低減された複合部材及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の通りである。
1)イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種の化合物を介して硫黄架橋ゴム部材と熱可塑性樹脂部材とを一体化してなる複合部材。
2)硫黄架橋ゴム部材を成形後、硫黄架橋ゴム部材表面に前記少なくとも1種の化合物を担持させ、その後、熱可塑性樹脂を硫黄架橋ゴム部材上に押し出し、上記1)の複合部材を製造する方法。
3)硫黄架橋ゴム部材を成形後、前記少なくとも1種の化合物を含む熱可塑性樹脂を硫黄架橋ゴム部材上に押し出してなる複合部材、及びその製造方法。
【0006】
本発明は、カラー加飾層変色の原因解析を行った結果、カラー加飾層を形成している熱可塑性樹脂単独では変色せず、硫黄架橋ゴムとの複合品とすると変色を生じること、また、過酸化物によって架橋したゴムと熱可塑性樹脂の組み合わせでは変色は生じないことから、硫黄架橋によって副次的に形成された化学物質が熱可塑性樹脂へ移行し、これが変色の原因物質となったものと考えられることにより想起されたものである。すなわちこの硫黄架橋ゴムからの移行成分を化学的に捕捉することで変色を抑制できると考え、種々検討の結果、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、およびシランカップリング剤を用いることにより、上記変色が有効に防止できることを見出したものである。これら化合物は、その官能基が変色原因物質を捕獲する機能を有するものと考えられる。以下、このような機能を有する上記化合物を捕捉剤とも称する。
【0007】
本発明の複合部材は、硫黄架橋ゴム部材と熱可塑性樹脂部材とを一体化してなるが、ここで一体化とは各部材間の所望の表面同士を、接合することを意味する。ここで、各部材間の所望の表面同士を捕捉剤を介して接合することも含まれるが、これは硫黄架橋ゴム部材と熱可塑性樹脂部材の間乃至界面に少なくとも捕捉剤が存在する状態で、当該両部材が接着されている状態を意味し、該接着は物理的な接着でも共有結合を有する接着でもそれら両者の併用でもよい。捕捉剤は該両部材の少なくとも何れかと共有結合してもしなくともよいが、少なくとも硫黄架橋ゴム部材に含まれる変色原因物質を捕捉する機能を有していることが必要である。この捕捉機能は、変色原因物質と捕捉剤との反応によるものと考えられるので、捕捉剤が該両部材と共有結合する場合には、一体化の後に該変色原因物質を捕獲するための官能基が捕捉剤に残っていることが必要である。
また、本発明の複合部材の製造方法において、硫黄架橋ゴム部材表面に少なくとも1種の捕捉剤を担持させるとは、上記接合が可能なように捕捉剤を硫黄架橋ゴム部材上に固定することを意味する。この固定は硫黄架橋ゴム部材表面に接触していてもそうでなくとも、または接触して当該部材と反応してもしなくともよいが、一体化の後に該変色原因物質を捕獲するための官能基が捕捉剤に残るようにすることが必要である。また、この官能基に関しては、上記製造方法で、熱可塑性樹脂自体が、捕捉剤を含む場合もこの考え方は、当てはまる。上記態様は、硫黄架橋ゴム部材を成形後、少なくとも1種の捕捉剤を含む熱可塑性樹脂を硫黄架橋ゴム部材上に押し出す製造方法においても同様に当てはまる。
本発明において、捕捉剤は硫黄架橋ゴム部材表面のみでも、熱可塑性樹脂部材内部のみでもその両者にも含ませることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、経時においても加飾層の変色が低減されたウエザーストリップやガスケット等を提供することができ、美観の維持に有効な手段を提供する。また、用いることのできる硫黄架橋ゴム部材の硫黄架橋の仕様範囲が広がり、複合部材の設計の幅を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ウエザーストリップの一例の横断面を示す図である。
【図2】目地ガスケットの一例の横断面を示す図である。
【図3】本発明の複合部材を製造するための装置構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
初めに、本発明に用いられる捕捉剤について説明する。
捕捉剤は、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、又はシランカップリング剤であり、これらは単独でまたは複数併用して用いることができる。
イソシアネート化合物とは、イソシアネート結合、すなわち、−N=C=Oで示される結合を官能基として、分子中に少なくとも1個以上有する化合物を呼称するものである。
イソシアネート化合物としては、例えば、大橋化学工業株式会社製オーフレックスEH−47等が挙げられる。
カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド結合、すなわち、−N=C=N−で示される結合を官能基として分子中に少なくとも1個以上有する化合物を呼称するものである。カルボジイミド化合物としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製カルボジライト等が挙げられる。
シランカップリング剤とは、一つの分子中にアミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、メタクリル基等の有機官能基とアルコキシ基等の加水分解性官能基の両方を併せ持つ有機ケイ素化合物を呼称するものである。例えばアミノ系シランカップリング剤([3−(2−アミノエチル)アミノプロピル]トリメトキシシラン)、信越化学工業株式会社製KBM−603等が挙げられる。
【0011】
捕捉剤は、加飾層を形成する材料自体に含有させる場合、又は硫黄架橋ゴム部材に担持させる場合があり、担持させる場合そのまま用いてもよいし、溶媒に溶解乃至分散して用いてもよいし、バインダー(溶媒が存在してもしなくともよい)に分散させて用いてもよい。捕捉剤を塗布液として用いて、硫黄架橋ゴム部材に担持させるための塗布方法は限定されず、スプレー塗布、ハケ塗り、バーコーター塗布などいかなる方法を用いてもよい。また、バインダーを用いる場合は、ゲル状の薄層として離型材に保持させたものを転写してもよいし、薄層に押し出してもよい。
本発明の複合部材は、捕捉剤を硫黄架橋ゴム部材表面に担持させた後、加飾層形成材料を硫黄架橋ゴム部材上に押し出すことにより製造することができる。この押し出しが施される当該担持物は溶媒を用いた場合、溶媒は除去されていることが好ましい。当該担持物を介して硫黄架橋ゴム部材と押し出された加飾層形成材料は一体化され、複合部材となる。
捕捉剤をバインダーに分散して用いる場合、バインダーは、捕捉剤の官能基とは反応性がないことが変色原因物質捕捉の観点から好ましい。このバインダーとしては、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂などが挙げられる。バインダーが捕捉剤の官能基と反応性の官能基を有している場合、使用前に該反応性の官能基を反応性のない不活性な基に変換してもよい。例えば、バインダーの官能基に保護基等を結合させる等の前処理を施すことが挙げられる。
捕捉剤を加飾層を形成する材料自体に含有させるには、加飾層を形成する材料合成時、又は終了時、及び押出成形時等に上記形態で混在させること等が挙げられる。捕捉剤の加飾層形成材料における存在形態は、部材全体に一様に分布させても、濃度勾配を設けて分布させても、又は局所的に分布させてもよく、例えば、硫黄架橋ゴム部材表面近傍に分布するようにしてもよい。また、この場合も、加飾層を形成する材料は捕捉剤の官能基とは反応性がないことが好ましい。
この捕捉剤を含む加飾層を形成する材料を用いた複合部材は、当該捕捉剤を含む加飾層を形成する材料を硫黄架橋ゴム部材上に押し出すことにより製造することができる。つまり、硫黄架橋ゴム部材に捕捉剤を担持させる必要がなく、硫黄架橋ゴム部材と押し出された加飾層を形成する材料は一体化され、複合部材となる。
無論、捕捉剤を硫黄架橋ゴム部材に担持させた後、この捕捉剤を含む加飾層を形成する材料を硫黄架橋ゴム部材上に押し出すことにより一体化してもよい。
【0012】
複合部材として、本発明のウエザーストリップ及び目地ガスケットを製造する場合の一例を、図を参照して説明する。
図1は、例示されるウエザーストリップの横断面を示す図である。ウエザーストリップ1は、空間2を有するシール部3と、取り付け部4と、加飾層7とから概略なる。取り付け部4は、芯金5が内装され、フランジに圧接されるリップ6を有する構成である。シール部3と、取り付け部4は接続部8を介して一体化されている。
加飾層7は、取り付け部4の表面と加飾層7の内表面の間に設けられた捕捉剤含有層9を介して取り付け部4と一体化されている。捕捉剤含有層9は、捕捉剤のみからなるものであっても、バインダーに分散されたものでもよい。
また、シール部3及び取り付け部4の構成素材は、ともに硫黄架橋ゴム部材であってもよいし、取り付け部4のみが硫黄架橋ゴム部材であってもよい。また、当該硫黄架橋ゴム部材は、スポンジでもソリッドゴムでもよいが、シール部3をスポンジ、取り付け部4をソリッドゴム又は発泡倍率が1.1〜2倍で発泡径が1mm以下の微発泡ゴムとすることが好ましい。加飾層7は色材を有する熱可塑性樹脂部材である。
ウエザーストリップ1を製造するには、図3に示されるような装置構成を適用することができる。
ゴム用押出機101にて、芯金5及び各種ゴムを同時押出成形し、芯金5を有する取り付け部4とシール部3とが一体化したゴム部材を成形し、このゴム部材を加硫炉102にて硫黄架橋し、硫黄架橋ゴム部材を成形する。この成形された硫黄架橋ゴム部材は、捕捉剤塗布装置103にて例えば、捕捉剤(溶媒、バインダーを含んでもよい)塗布液を少なくとも加飾層7が設けられる部位を含むように硫黄架橋ゴム部材表面に塗布を施し、捕捉剤含有層9を形成する。捕捉剤含有層9を有する硫黄架橋ゴム部材は、熱可塑性樹脂用押出機104に移送され、該捕捉剤含有層9上に押し出された加飾層7となる熱可塑性樹脂が、エンボッシングローラ105により上記硫黄架橋ゴム部材に圧接されることにより、加飾層7にエンボス加工が施されるとともに硫黄架橋ゴム部材と一体化され、ウエザーストリップ1が製造される。
【0013】
図2は、例示される目地ガスケットの横断面を示す図である。目地ガスケット11は、柱部12と、シールリップ部13と、頭部14と、加飾層15とから概略なる。頭部14と、柱部12又はシールリップ部13は接続部16を介して一体化されている。
加飾層15は、捕捉剤含有層17を介して頭部14と一体化されている。
また、加飾層15を除く、柱部12、シールリップ部13、及び頭部14の構成素材は、ともに硫黄架橋ゴム部材であってもよいし、頭部14のみが硫黄架橋ゴム部材であってもよい。また、当該硫黄架橋ゴム部材は、スポンジでもソリッドゴムでもよい。柱部12は硬質ソリッドゴムで、シールリップ部及び頭部は軟質ソリッドゴムであることが好ましい。加飾層15は色材を有する熱可塑性樹脂部材である。また、図示されていないが、柱部12には、剛性の高い、例えば、金属製の芯材(板状)が埋設されることもある。
目地ガスケット11を製造するには、ウエザーストリップ1と同様に図3に示されるような装置構成を適用することができる。
ゴム用押出機101にて、各種ゴムを同時押出成形し、加飾層15を除く、柱部12、シールリップ部13、及び頭部14が一体化したゴム部材を成形し、このゴム部材を加硫炉102にて硫黄架橋し、硫黄架橋ゴム部材を成形する。この成形された硫黄架橋ゴム部材は、捕捉剤塗布装置103にて例えば、上記塗布液を少なくとも加飾層15が設けられる部位を含むように硫黄架橋ゴム部材(頭部)表面に塗布を施し、捕捉剤含有層17を形成する。捕捉剤含有層17を有する硫黄架橋ゴム部材は、熱可塑性樹脂用押出機104に移送され、該捕捉剤含有層17上に押し出された加飾層15となる熱可塑性樹脂が、エンボッシングローラ105により上記硫黄架橋ゴム部材に圧接されることにより、加飾層15にエンボス加工が施されるとともに硫黄架橋ゴム部材と一体化され、目地ガスケット11が製造される。
上記複合部材の製法では、捕捉剤を硫黄架橋ゴム部材表面に塗布する態様を説明するものであるが、捕捉剤塗布装置に変えて熱可塑性樹脂用押出機104において、捕捉剤含有層を硫黄架橋ゴム部材に熱可塑性樹脂と同時に押し出し成形するようにしてもよい。また、上記複合部材の製法は、熱融着を用いて硫黄架橋ゴム部材と熱可塑性樹脂部材を一体化するものであるが、本発明の複合部材は、熱融着以外の方法、例えば、捕捉剤を常温で接着性のあるバインダーに含有させて成形済みの当該両部材を、該バインダーを介して常温にて一体化する方法等で製造することも可能である。
本発明の複合部材は、ウエザーストリップ、目地ガスケットに制限されることなく、例えば、オープニングトリム、ルーフサイドモール、ドアモール等にも適用可能である。
【0014】
本発明において、硫黄架橋ゴム部材表面に捕捉剤含有層を担時させる場合、その有効成分の濃度が5〜100%、かつ膜厚が15〜100μmである必要がある。
【0015】
本発明に用いられる硫黄架橋ゴム部材を構成するゴムとしては、EPDM[エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等)共重合体。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。中でもプロピレンが好ましい。]、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等を挙げることができる。硫黄はゴム重量100に対して通常、0.5〜10phr用いられる。
【0016】
本発明の加飾層に用いられる熱可塑性樹脂材料としては、オレフィン系、例えばポリエチレンやポリプロピレンや、スチレン系、例えばポリスチレン等が挙げられ、熱可塑性エラストマーであってもよい。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとのブレンド、オレフィン系樹脂とビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体または該共重合体の水素添加物とのブレンド(ビニル芳香族化合物は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。)などが挙げられ、具体的にはオレフィン系としては、例えば、エクソンモービル製サントプレーン、三井化学製ミラストマー等が、スチレン系としては、三菱化学製ラバロン、クラレプラスチックス製セプトンコンパウンド等が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂は、公知の色材を含有することができる。色材としては、公知の色素、有機又は無機の顔料を用いることができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
比較例1〜2、実施例1〜3はいずれも硫黄架橋EPDMゴム(エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2ノルボルネン共重合体)の上に各種捕捉剤を塗布した後、スチレン系熱可塑性エラストマー(三菱化学株式会社製ラバロン)を硫黄架橋EPDMゴムと一体化し、サンシャインウェザオメーター(SWOM)(ブラックパネル温度:63℃)による促進曝露試験(200時間及び350時間)を行い、該熱可塑性樹脂部材のその試験前後の色差を色差計(日本電色工業株式会社製分光式色差計SE−2000)により測定した。
なお、熱可塑性エラストマーの一体化は、熱可塑性エラストマーの熱溶着によった。比較例1では、捕捉剤を担持させずに熱可塑性エラストマーを硫黄架橋EPDMゴムに一体化した。比較例2では、捕捉剤をウレタン樹脂エマルションとし、DIC株式会社製ハイドランWLS−202を使用した。乾燥後の膜厚を30μmとした。
実施例1は、捕捉剤としてポリイソシアネート(大橋化学工業株式会社製オーフレックスEH−47)を用いたものであり、乾燥後の膜厚を20μmとした。実施例2は、捕捉剤としてポリカルボジイミド(日清紡ケミカル株式会社製カルボジライト)を用いたものであり、乾燥後の膜厚を20μmとした。実施例3は、捕捉剤としてアミノ系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM−603)を用いたものであり、乾燥後の膜厚を20μmとした。
結果を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
上表から、本発明は、特定の捕捉剤を用いることにより、色差を2未満に抑制することができることから、硫黄架橋ゴム部材を用いる複合部材における熱可塑性樹脂部材の経時による変色を有効に抑制できることが理解される。
【符号の説明】
【0020】
1…ウエザーストリップ、2…空間、3…シール部、4…取り付け部、5…芯金、6…リップ、7…加飾層、8…接続部、9…捕捉剤含有層、11…目地ガスケット、12…柱部、13…シールリップ部、14…頭部、15…加飾層、16…接続部、17…捕捉剤含有層、101…ゴム用押出機、102…加硫炉、103…捕捉剤塗布装置、104…熱可塑性樹脂用押出機、105…エンボッシングローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種の化合物を介して硫黄架橋ゴム部材と熱可塑性樹脂部材とを一体化してなる複合部材。
【請求項2】
前記少なくとも1種の化合物は、硫黄架橋ゴム部材表面に担持されている、請求項1の複合部材。
【請求項3】
前記少なくとも1種の化合物は、熱可塑性樹脂部材に含有される、請求項1又は2の複合部材。
【請求項4】
前記化合物はバインダーに分散されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合部材。
【請求項5】
前記化合物は塗布液由来である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合部材。
【請求項6】
複合部材は、ウエザーストリップ又はガスケットである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合部材。
【請求項7】
硫黄架橋ゴム部材を成形後、硫黄架橋ゴム部材表面に前記少なくとも1種の化合物を担持させ、その後、熱可塑性樹脂を硫黄架橋ゴム部材上に押し出し、請求項1、2、又は4〜6のいずれか一項に記載の複合部材を製造する方法。
【請求項8】
硫黄架橋ゴム部材を成形後、前記少なくとも1種の化合物を含む熱可塑性樹脂を硫黄架橋ゴム部材上に押し出し、請求項3の複合部材を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−178161(P2011−178161A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15407(P2011−15407)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】