説明

複数の剪断波を用いる撮像方法および装置

本発明の撮像方法は、剪断成分と圧縮成分とを含む力学波を粘弾性媒体内で発生させ、粘弾性媒体の運動パラメータを力学波の伝搬中にさまざまな点で求めることにある。本方法は、力学波の圧縮成分による誤差を取り除くように運動パラメータが処理される修正段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の剪断波を用いる撮像方法および装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、剪断成分および圧縮成分を含む力学波(onde mecanique) が粘弾性媒体内で発生され、かつ、この力学波の伝搬が続いている間における、 様々な点での粘弾性媒体の運動を記述する少なくとも一つのパラメータを求める 撮像方法に関する。
【0003】
したがって、特に、粘弾性媒体の他の部分と硬度が異なる複数の領域、また は、粘弾性媒体の他の部分と力学緩和時間が異なる複数の領域を特定するために 、定性的および/または定量的な分析を実施することができる。
【背景技術】
【0004】
PCT特許出願公開明細書第04/21038号は、そのような方法の例を 示しており、対象とする力学波、本方法では剪断波、を生成する局所的なパルス 状の推力の離れた位置での発生に続く、平面内の運動(特に変位)を記述してい るパラメータが求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法はすでに完全に満足できるが、本発明の目的は、その精度を改良し 、必要であれば、3次元の撮像に使用できるように、さらにこれを完全にするこ とである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、対象となる方法は、運動パラメータが、上記の力学波の 圧縮成分による影響を取り除くように処理される補正ステップを含むことを特徴 とする。
【0007】
したがって、パルス状の推力が使用されるときでも、それによって発生する 弾性力学波の圧縮成分が運動パラメータの計測を妨害する場合、剪断成分の効果 だけが考慮される。例えば3次元撮像などの比較的長い計測を実施するために、 推力がなくても持続する力学波が使用される場合、力学波の圧縮成分は、運動パ ラメータの計測中も依然として存在し、その結果、この計測を大きく妨害する。
本発明による処理は、この妨害を取り除くことができ、必要であれば、粘弾性媒 体の複数の粘弾性パラメータを2または3次元にマッピングすることができる。
【0008】
本発明による方法の好ましい実施形態では、以下の複数の構成の一つまたは 2つ以上を、さらに任意で用いてもよい。
【0009】
−上記の運動パラメータの回転が補正ステップ中に計算される。
【0010】
−粘弾性媒体内の複数の点における力学波の伝搬が、エコーグラフで観測さ れる少なくとも1つの観測ステップ(b)を含む。
【0011】
−観測ステップ(b)は、以下のサブステップを含む。
【0012】
複数の圧縮超音波(ondes ultrasonores de compression)の連続するショ ットが、複数の変換器の列によって、(焦点が合わされているかどうかにかかわ らず)少なくとも1秒あたり10ショットの割合で、粘弾性媒体内に伝送される サブステップ(b1)。
【0013】
粘弾性媒体に相互作用する複数の圧縮超音波によって発生した複数のエコー を含む粘弾性媒体から受信した複数の音響信号がリアルタイムで検出および記録 されるサブステップ(b2)。
【0014】
−以下のステップが実施される少なくとも1つの処理ステップ(c)をさら に含む。
【0015】
力学波の連続する複数の伝搬画像を求めるために、サブステップ(b2)の 間に粘弾性媒体から受信した複数の連続する音響信号が処理されるステップ(c 1)。
【0016】
連続する複数の伝搬画像から粘弾性媒体の運動パラメータが様々な点で求め られるステップ(c2)。
【0017】
−粘弾性媒体内での力学波の連続する複数の伝搬画像は、いくつかの視点に 沿って生成され、これらの連続する画像は、運動パラメータのベクトル値を求め るために組み合わされる。
【0018】
−運動パラメータの3次元ベクトル値が求められる。
【0019】
−いくつかの視点に沿った力学波の連続する複数の伝搬画像を生成するため に、解析平面内の伝送/検出方向に沿って複数の圧縮超音波を伝送し検出する複
数の超音波変換器の列(複数の圧電変換器の直線状の列、または位相列、1.5
D列、1.75D列、または2D配列などの任意の他の列)が使用され、直線状
の列は、粘弾性媒体の外側で変位することで、解析平面を回転させる(これらの
構成は、前述の構成とは独立して任意に使用することが可能で、そのため、本発
明の主題は、これらの構成自体でもある)。
【0020】
−列は、解析平面を回転しない並進運動によって変位し、その後、列は、回 転することで、解析平面を回転させる。
【0021】
−複数の変換器の列の伝送/検出方向は、解析平面を並進も回転もさせずに 変化し、その後、列は、並進および回転することで、解析平面を回転させる。
【0022】
−運動パラメータは粘弾性媒体の変位、変位速度および応力から選択される 。
【0023】
−粘弾性媒体内の伝搬パラメータのマップを求めるために、粘弾性媒体内の 少なくとも特定の複数の点での、力学波の剪断成分の伝搬を記述する少なくとも 1つのパラメータが、運動パラメータの時間の経過に伴う変化から計算されるマ ッピングステップ(d)をさらに含む。
【0024】
−マッピングステップ中に計算される剪断波の伝搬パラメータは、複数の剪 断波の速度、剪断弾性率、ヤング率、複数の剪断波の減衰、剪断弾性、剪断粘性 、および力学緩和時間、または、異方性媒体の場合これらのパラメータうちのい くつかのパラメータから選択される。
【0025】
また、本発明の主題は、剪断成分と圧縮成分とを含む力学波を粘弾性媒体内 で発生させる手段と、力学波の伝搬中に様々な点で粘弾性媒体の運動を記述する 少なくとも1つのパラメータを求める手段とを含み、力学波の圧縮成分による影 響を取り除くように運動パラメータを処理する補正手段を含むことを特徴とする 撮像装置である。
【0026】
本発明の装置の好ましい実施形態では、以下の複数の構成の1つまたは2つ 以上をさらに任意で用いてもよい。
【0027】
−補正手段は、運動パラメータの回転を計算するように構成されている。
【0028】
−力学波の伝搬を粘弾性媒体内の複数の点でエコグラフィーによって観測す る複数の超音波変換器の制御されている列を含む。
【0029】
−装置は、以下の複数の手段を含む。
【0030】
複数の変換器の列によって、少なくとも1秒あたり10ショットの割合で( 焦点が合わされているかどうかにかかわらず)複数の圧縮超音波の連続するショ ットを粘弾性媒体内に伝送する手段(b1)。
【0031】
粘弾性媒体の複数の反射粒子に相互作用する複数の焦点が合っていない圧縮 超音波によって発生した複数のエコーを含む、粘弾性媒体から受信した複数の音 響信号をリアルタイムで検出および記録する手段(b2)。
【0032】
−装置は、以下のために構成されている複数の処理手段を含む。
【0033】
力学波の連続する複数の伝搬画像を求めるために、粘弾性媒体から受信した 複数の連続する音響信号を処理する(c1)。
【0034】
連続する複数の伝搬画像から粘弾性媒体の運動パラメータを観測フィールド 内の様々な点で求める(c2)。
【0035】
−複数の処理手段は、粘弾性媒体内でいくつかの視点に沿って力学波のいく つかの連続する伝搬画像を生成し、連続する画像を運動パラメータのベクトル値 を求めるために組み合わせるように構成されている。
【0036】
−複数の処理手段は運動パラメータの3次元ベクトル値を求めるように構成 されている。
【0037】
−複数の超音波変換器の列はいくつかの視点に沿った力学波の連続する複数 の伝搬画像を生成するために、解析平面内の伝送/検出方向に沿って複数の圧縮 超音波を伝送して検出し、列(複数の圧電変換器の直線状の列、または位相列、 1.5D列、1.75D列、または2D配列などの任意の他の列)を粘弾性媒体 の外側で変位させる複数の変位手段を含み、複数の手段は解析平面を回転させる ように構成されている(これらの構成は、前述の構成とは独立して任意に使用す ることが可能で、そのため、本発明の主題は、これらの構成自体でもある)。
【0038】
−装置は、複数の変位手段を制御するように構成されている制御手段を含み 、制御手段は、解析平面を回転させずに列を並進運動によって変位させ、その後 、列を回転させることで、解析平面を回転させる。
【0039】
−装置は、複数の変位手段を制御するように構成されている制御手段を含み 、制御手段は、解析平面を並進も回転もさせずに、複数の変換器の列の伝送/検 出方向を変化させ、その後、列を並進および回転させることで、解析平面を並進 および回転させるように構成されている。
【0040】
装置は、粘弾性媒体内の少なくとも特定の複数の点での力学波の剪断成分の 伝搬を記述する少なくとも1つのパラメータを計算するように構成されているマ ッピング手段を含む。
【0041】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面と共に非限定的な例として示し ているその実施形態の1つの以下の説明を通して明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
さまざまな図において、同一の符号は、同一のまたは同様な要素を示してい る。
【0043】
図1に示している撮像装置1は、圧縮超音波を散乱させる粘弾性媒体2内の 複数の弾性剪断波の伝搬を研究することを目的とし、粘弾性媒体2は、例えば、 以下のようなものである。
【0044】
−不活性体、特に、産業用途のための品質管理の場合、または
−生体、例えば、医療用途における患者の体の一部
図に示している例では、撮像装置1は、特に、女性患者3の乳房の医療用撮 像のために設計され、そのため、乳房は、撮像される媒体2を構成している。
【0045】
この目的のために、撮像装置1は、例えば、患者がうつぶせに横たわる検査 テーブル4を含んでいてもよい。このテーブルは、患者の少なくとも1つの乳房 2を貫通させることができる開口5を備えており、貫通した乳房は、ジェルまた は液体、好ましくは水などの超音波カプリング剤の槽6に垂れ下がる。この液体 槽6は、容器7によって境界が定められおり、容器7は超音波変換器の列9と乳 房に接触している振動発生器8も含む。容器7は、特に振動発生器8が乳房2に 接触して適切に配置する、および、変換器列9が乳房に沿って適切に配置されて いることを確認するために透明であってもよい。
【0046】
検査テーブル4は、必要に応じて、患者の両方の乳房が通過し、同じ液体槽 6または2つの別個の槽に垂れ下がるように構成されていてもよい。つまり、撮 像装置は、患者の両方の乳房を同時に撮像するように任意に構成されていてもよ い。
【0047】
振動発生器8は、複数の力学(弾性)波、特に圧縮成分と剪断成分とを含む 複数の持続波(ondes entretenues)を患者の乳房2の内部に伝送するために、 例えば、患者の乳房2の端部に接触するように配置される高さ調整プレート11 内で、低周波の力学振動を発生する音響変換器10を含んでもよい。対象として いる複数の力学波は、例えば、0.1Hzと10kHzとの間の周波数を含んで もよい。
【0048】
ただし、上記の複数の力学波は、例えば、以下のようなもので、前述の振動 発生器以外のもので発生させることができる。
【0049】
−複数の低周波を発生し、乳房2に対して異なる方法で配置されている変換 器。
【0050】
−例えば、上述の文献PCT特許出願公開明細書第04/21038号、ま たは、米国特許出願第5 606971号で説明されたように、放射圧力を使用 して時間変調されており焦点が合わされている複数の超音波によって複数の低周 波力学的信号を遠隔発生する超音波変換器の列。
【0051】
図1に示している例では、プレート11の高さは、乳房2に接触するように 調整可能である。この調整は、任意で、例えば、密封電気ステッピングモータな どで作動するねじシリンダ13で行ってもよい。
【0052】
シリンダ13は、垂直軸Zに沿って、両方向矢印14で示された両方向にプ レート11および音響変換器10を移動させるように、例えば、支持ロッド12 を介して、プレート11に接続されていてもよい。
【0053】
図1および図2に示しているように、複数の変換器の列9は、例えば、直線 状列の形態でもよく、この場合、その複数の変換器は、垂直平面内に揃えられ、 複数の超音波を送受信するように、垂直解析平面(D−Z)内の同一の送信/検 出方向Dに対して全て平行に構成される。
【0054】
変換器列9は、例えば、固定プラットフォーム16によって支持される回転 プラットフォーム15に取り付けられていてもよい。2つのプラットフォーム1 5、16は水辺平面(X−Y)内に配置され、患者の乳房2が中央通路17を自 由に通過できるように開口していることが有利である。回転プラットフォーム1 5は、例えば、プラットフォーム15および16の間に組み込まれている密閉電 気ステッピングモータ(図1および2では、図示しない)で動作する調整システ ムによって、固定プラットフォーム16に対して垂直中央軸Z0を中心に角度方 向に移動可能である。回転プラットフォーム15を動かすことによって、解析平 面(D−Z)は回転し、それによって、特に以下で説明するように3次元画像を 再構成する目的で、乳房2をいくつかの視点で撮像することが可能になる。
【0055】
変換器列9は、解析平面が回転する前にいくつかの解析平面(例えば約30 の解析平面)を撮像するように、さらに解析平面(D−Z)に垂直に両方向矢印 19によって示された両方向に並進運動することができてもよい。この目的のた めに、変換器の列は、例えば中心軸Z0に対して半径方向に垂直な方向に沿って 延びており、回転プラットフォーム15に固定されている横断方向ビーム20上 を両方向19にスライドするように取り付けられていてもよい。変換器列9は、 例えば、ビーム20に内蔵されているナットやねじの組み立て品を制御する密閉 ステッピングモータによって、ビーム20に沿って動作する調整システムによっ て移動させる。
【0056】
変換器列9は、必要な場合、ビームに沿ってスライドし、列9が回転軸Rを 中心に前述の方向19に平行にピボット運動可能な回り継ぎ手21を介してビー ム20に接続されていてもよい。したがって、立体図面において、任意で、方向 Dを変化させる、つまり、解析平面(D−Z)を変化させずに方向Dの水平平面 (X−Y)に対する傾斜角度を変化させてもよい。以下で説明するように、この 任意の動きによって、乳房2の画像が3次元で再構成されるように、乳房2が撮 像される視点も変化させることができる。
【0057】
変換器列9のピボット運動は、例えば、密閉ステッピングモータ22によっ て制御され、列9を両方向矢印23によって定められる方向に変位させることが できる。
【0058】
特に変換器の列9が乳房2の観測領域の所望の高さをカバーするのに十分に 長くない場合、固定プラットフォーム16は、任意で、いくつかの高さで乳房を 撮像するために、垂直方向に移動させてもよい。
【0059】
図示の例では、固定プラットフォーム16の高さは、垂直軸Zに沿って両方 向矢印26にて定義される方向にプラットフォーム16を移動させるように、例 えば、支持ロッド25を介してプラットフォーム16に接続されている密閉電気 ステッピングモータ等によって動作するねじシリンダ24で調整できる。
【0060】
図3に示しているように、撮像デバイスは、さらに(キーボードなどの少な くとも1つの入力インターフェイス28とスクリーンなどの出力インターフェイ ス29とを含む)マイクロコンピュータ27または任意の他の電子中央処理装置 を含んでもよく、以下を制御する。
【0061】
−音響変換器10(TA)
−シリンダ13のモータ30(MOT.1)
−回転プラットフォーム15の回転を制御するモータ31(MOT.2)
−変換器列9の方向19のスライドを制御するモータ32(MOT.3)
−変換器列9の方向23のピボット運動を制御するモータ22(MOT.4 )
−シリンダ24のモータ33(MOT.5)
−電子中央処理装置(CPU)34
−電子信号処理ラック35のマイクロプロセッサ等
中央処理装置34は、変換器列9のn個の変換器36(T1、T2、... Tn)も制御する(nは、例えば、128以上)。
【0062】
ラック35は、任意で以下のものを含んでもよい。
【0063】
−中央処理装置34に接続されているメモリ37(M)
−同様に中央処理装置34に接続されている信号処理用の専用回路38(D SP)
−中央処理装置34に接続されている加算機39(S)
−加算器に接続されており、各々が変換器36に割り当てられているn個の メモリ40(M1、M2、...Mn)(各メモリ40は例えば128Mb以上 の容量を含んでもよい)
−各変換器36と対応しているメモリ40との間に介在しているn個のサン プラ41(E1、E2、...En)
前述のデバイスは、以下のように動作する。
【0064】
マイクロコンピュータ27は、励起ステップ(a)の間に、音響変換器10 によって粘弾性媒体2内に複数の持続弾性力学波を発生する。
【0065】
さらに、粘弾性媒体2内の力学波の伝搬は、励起ステップ(a)に伴う観測 ステップ(b)の間に、エコーグラフとして観測される。この目的のために、マ イクロコンピュータ27は、列9の複数の変換器36を介して複数の圧縮超音波 (例えば0.5と100MHzとの間の、好ましくは0.5と15MHzとの間 の、例えば4MHz付近の周波数で)を伝送させる。
【0066】
これらの圧縮波は、カプリングジェルつまり液体6を通過した後、媒体2を 貫通し、そのとき媒体2内に含まれている複数の散乱粒子によって反射され、そ れによって媒体2の運動を監視することができる。これらの対象となる散乱粒子 は、媒体2内の任意の異質成分からなり、特に、医療用途の場合、人体組織に存 在している複数のコラーゲン粒子からなる。
【0067】
したがって、伝送される複数の圧縮波は、例えば、「平面」圧縮超音波(つ まり、この場合、波面が解析平面(D−Z)内の直線である波)または、例えば 、さまざまな変換器36を介して複数の音響信号を伝送することによって発生さ れた波の、媒体2内の観察領域全体を明らかにする、任意の他の種類の焦点波ま たは非焦点波(focused or unfocused wave)である。
【0068】
前述の観測ステップ(b)は、変換器列9の各位置で以下のサブステップを 含んでもよい。
【0069】
(b1)マイクロコンピュータ27は、列9に、圧縮超音波の連続するショ ットを粘弾性媒体2内に伝送させる。
【0070】
(b2)マイクロコンピュータ27は、列9に、粘弾性媒体2から受け付け た、粘弾性媒体2内の複数の散乱粒子と相互作用する複数の圧縮超音波によって 発生された複数のエコーを含む複数の音響信号を、リアルタイムで検出および記 録させる。これらのエコーは、粘弾性媒体の運動の連続する画像に(直接または 間接的に)対応する。
【0071】
ステップ(b1)間に、圧縮超音波は、1秒あたり10および10000シ ョットの間、好ましくは1秒あたり10および5000ショットの間の割合(こ の割合は、圧縮波が媒体2内を往復する時間、つまり、媒体2の方向Dの厚さに よって制限される。これは、新しい圧縮波が送信される前に、プローブ36にて 受信された圧縮波によって発生された全てのエコーが、プローブ36にて受信さ れなければならないためである)で伝送される。
【0072】
各圧縮超音波は、複数の剪断波よりもはるかに高い伝搬速度(例えば、人体 内を約1500m/s)で媒体内2を伝搬し、媒体2内の複数の散乱粒子と相互 作用することによって、複数のエコー、または、エコーグラフの分野において「 スペックル(speckle)雑音」という用語でそれ自体が知られている、他の同等 の乱れを発生する。
【0073】
このスペックル雑音は、各圧縮超音波の発射後に、サブステップ(b2)間 に、変換器T1...Tnによって検出される。したがって、j番目の発射後に 各変換器Tiによって検出された信号sij(t)は、対応するサンプラEiに よって、先ず、高周波(例えば30から100MHzの範囲の周波数)でサンプ リングされ、そして、リアルタイムでデジタル化(例えば12ビットを超える) される。
【0074】
このようにサンプリングおよびデジタル化された信号sij(t)は、再び リアルタイムで、対応するメモリMiに保存される。
【0075】
また、変換器列9の各位置に対して、マイクロコンピュータ27は、通常は 以降に、以下の内容の処理ステップ(c)を実行する。
【0076】
(c1)マイクロコンピュータ27は、サブステップ(b2)間で、連続す る複数の伝搬画像を得るために、粘弾性媒体2から受信した連続する複数の音響 信号を処理する。
【0077】
(c2)マイクロコンピュータ27は、観察領域の様々な点で、粘弾性媒体 2の少なくとも1つの運動パラメータ(例えば、変位または変位速度)を求める 。
【0078】
サブステップ(b2)間で、変換器列9の同じ位置での計測に対応している すべての信号sii(t)が保存された後に、中央処理装置34は、これらの信 号を加算回路Sによって、サブステップ(c1)に対応している従来のビーム構 成手順によって再処理させる(または、中央処理装置自体がこの処理を実行した り、この処理がマイクロコンピュータ27内で実行されてもよい)。
【0079】
したがって、各々がj番目の発射後の平面(D−Z)内の観測領域の画像に 対応している信号Sj(r,z)が生成される。
【0080】
例えば、信号Sj(t)は以下の式によって求めることができる。
【0081】
【数1】

【0082】
ここで、
−sijは、j番目の圧縮波の発射後にi番目の変換器によって検出された 未処理信号である
−t(r、z)は、圧縮超音波が観測領域内の座標(r、z)の点に到達す るのにかかった時間である。ここで、j番目の発射の開始時がt=0で、rは、 D方向に原点から計測した横座標であり、zは、対象の点の垂直座標である。
【0083】
−di(r,z)は、観測領域内の座標(r、z)の点と、i番目の変換器 との間の距離、または、その距離の概算値である。
【0084】
−Vは、観測される粘弾性媒体内の、複数の音響圧縮超音波の平均伝搬速度 である。
【0085】
−αi(r、z)は、アポダイゼーションの原理を考慮した、重み付け係数 である(実際には、多くの場合、αi(r、z)=1と見なすことができる)。
【0086】
任意事項であるビーム構成ステップ後、中央処理装置34は、複数の画像信 号sjを、(r、z)をラック7が含む中央メモリMに保存する。ここで、jは 圧縮波発射の番号である。これらの信号は、自体が画像処理を行うマイクロコン ピュータ4内にも保存されてもよい。
【0087】
サブステップ(c2)の直後または後に、相関計算(correlation)と有利 には相互相関計算(intercorrelation)によって、1対で、好ましくは基準画像と 1対で処理される、これらの画像は、以下のものである。
【0088】
−前述のようにして以前に求められ、以降の複数の変位画像(または、例え ば30の変位画像など、限定された数の以降の変位画像)の基準画像として使用 される変位画像。
【0089】
−または、予備の初期観測ステップ(a0)中に、剪断波を発生させる励起 ステップ(a)の前に、変換器列9に1つまたは2つ以上の超音波を伝送させて 前述の複数の連続変位画像と同様にして得られた画像。(そのため、励起段階の 前にいくつかの圧縮超音波が伝送され、粘弾性媒体の複数の反射粒子と相互作用 する各圧縮超音波によって発生される複数のエコーが記録され、これらのエコー は粘弾性媒体と連続するいくつかの予備画像に対応しており、粘弾性媒体の初期 画像は、連続する複数の初期画像を組み合わせることによって、具体的には、復数の初期画像の複数の画素値を平均することによって求められる)。
【0090】
前述の相関計算は、例えば、ラック35の一部を構成しているDSP回路内 で実行したり、中央処理装置34またはマイクロプロセッサ27内でプログラム したりすることができる。
【0091】
この相互相関処理中に、例えば、相互相関関数<Sj(x,y),Sj(x ,y)>は、超音波エコーを発生させる各粒子5によって受ける変位を求めるた めに最大化される。
【0092】
そのような相互相関計算の例は、O‘Donnel他、(“Interna l displacement and strain imaging us ing speckle tracking(スペックルトラッキングを使用し た内部変位と歪みの撮像)”、IEEE Transaction on Ul trasonics, Ferroelectrics and Freque ncy Control Vol.41, No.3,May 1994,pp 314−325)とOphir他、(“Elastgraphy:a quan titative method for imaging the elas ticity of biological tissues(エラストグラフ ィー:生物組織の弾性の定量的撮像方法)”、超音波撮像、Vol.13、pp 111−134、1991)による従来技術で示されている。
【0093】
Tanter他(M.Tanter, J.Bercoff, L.San drin and M.Fink、“Ultrafast compound imaging for 2D motion vector estimat ion: Application to transent elastgr aphy(2D運動ベクトル予測のための超高速複合撮像:過渡エラストグラフ ィーへの応用)”、IEEE、Transaction Ultrasonic s, Ferroelectrics and Frequency Cont rol 49(10)、pp1363−1374、2002)によって提案され ている相互相関技法を一般化すると、変換器列9の各位置について、剪断波の影 響下にある解析平面(D−Z)の観測領域の各位置
【0094】
【数2】

【0095】
で複数の剪断波によって発生した一式の変位ベクトル
【0096】
【数3】

【0097】
が得られる(これらの変位ベクトルは2次元であり、方向Dに沿った成分と方 向Zに沿った成分とを含む)。
【0098】
また、前述の軸Rを中心に列をピボット運動させることによって変換器列9 の場所を修正しながら、一連の複数の超音波の発射をもう1回行うことによって 、解析平面(D−Z)内で、計測を実行する、または、複数の変位を計測するた めの前述の技法を洗練する(つまり、観測領域を拡大する)ことも可能である。
【0099】
それから、複数の変位の計測は、ビーム20に沿って連続するいくつかの位 置に変換器列9を変位させることによって、いくつかの平行な解析平面(D−Z )内で繰り返される。したがって、例えば、すべての平行な平面について約1か ら2秒の合計時間で、乳房の撮像の場合では約30の平行な平面内で、変位を計 測することも可能になる。
【0100】
それから、プラットフォーム15は、予め定められた角度で回転し、それに よって解析平面(D−Z)も回転させ、新しい方向Dに平行ないくつかの解析平 面内で複数の変位を計測する前述の動作が前述のように反復される。したがって 、新しい方向Dに沿った成分と方向Zに沿った成分とを含む2次元の複数の変位 場
【0101】
【数4】

【0102】
が、求められる。
【0103】
方向Dの少なくとも2つの向き(例えば、互いに90°の2つの向き)、ま たは必要に応じて2つより多い向き(例えば、36までの角度の向き)を含む複
数の変位の計測後に、粘弾性媒体2内の3次元の変位の場
【0104】
【数5】

【0105】
を再構成することができる。
【0106】
そのためには、例えば、時間の関数として、軸X、Y、Zのそれぞれに沿っ た複数の変位の値が収集され、必要に応じて、さまざまな計測値を時間的に再設 定後(そのために、信号は、周期的な変調を伴って変換器10によって送信され 、そして、時間の原点は、超音波の発射の各シーケンスの前の周期的な変調にお ける全く同一の点とされる)、これらの値が平均と補間とによって組み合わされ て、3次元の変位ベクトルの1つの場
【0107】
【数6】

【0108】
となる。
【0109】
次に、この変位の場
【0110】
【数7】

【0111】
(または他の移動パラメータ)は、音響変換器10にて発生された粘性力学波 の圧縮成分の影響を除去するように補正される。このために、回転演算子が、ベ クトル場
【0112】
【数8】

【0113】
を求めるために、場
【0114】
【数9】

【0115】
に適用される。
【0116】
したがって、音響変換器10にて発生した粘性力学波の剪断成分の影響だけ が考慮される。
【0117】
この一式のベクトル
【0118】
【数10】

【0119】
は、メモリMまたはマイクロコンピュータ4に保存され、そして、例えば、具 体的にはマイクロコンピュータ4の画面4aを使用して、qの成分の値がグレー レベルまたは色レベルなどの光学的パラメータとして表示されるゆっくりしたフ ィルムの形態で表示することができる。
【0120】
したがって、医療用途での健康な組織とガン性の組織など、媒体2内の特性 が異なる領域間の剪断波の伝搬の違いが完全に表示することができる。
【0121】
この弾性波の伝搬のフィルムは、さらに、前述の装置1によって同様に生成 可能な通常のエコーグラフの画像にさらに重ねて表示することが可能である。
【0122】
さらに、観測されている媒体2の各点の複数の変位だけでなく、媒体2の歪 み、つまり、各変位ベクトルの両成分の複数の空間変数についての微分を成分と するベクトルも計算することもできる。これらの歪みベクトルを、剪断波の伝搬 を明確に表示するために、変位ベクトルのようにフィルムの形態で使用すること が可能で、これらの歪みベクトルは、観測している媒体2に対するプローブ36 の変位を除外することができるという利点も含む。これらの歪みベクトルは、変 位ベクトルの場合に前述したように、音響変換器10の粘性力学波の圧縮要素の 影響を取り除くために回転演算子を適用することによって処理することができる 。
【0123】
次に、マイクロコンピュータ27は、媒体2内の剪断波の伝搬を記述してい る少なくとも1つのパラメータが、回転演算子を適用することによって処理され た運動パラメータの変化(変位または歪み速度)から計算される、変位場または 歪み場に基づいてマッピングステップ(d)を実行することが有利である。
【0124】
マッピングステップ間に計算される剪断波の伝搬パラメータは、剪断波の速 度CT、剪断弾性率μまたはヤング率E(=3μ)、複数の剪断波の減衰、剪断 弾性、剪断粘性ζ、または組織の力学緩和時間、または異方性の媒体の場合これ らのパラメータうちのいくつかのパラメータから選択される。
【0125】
例えば、観測領域の様々な点で剪断弾性率μと剪断粘性ζを計算することが できる。
【0126】
そのために、以下の伝搬方程式(1)を使用することができ(媒体2は、1 次近似として局所的に一様かつ等方な粘弾性媒体と見なせると仮定する)、複数 の粘性力学波によって媒体2内の各位置
【0127】
【数11】

【0128】
で発生する変位
【0129】
【数12】

【0130】
は以下の式に従う。
【0131】
【数13】

【0132】
ここでρは媒体の密度、μは剪断弾性率(再構成の対象)、λは第2ラメ係数 、
【0133】
【数14】

【0134】
は媒体内への拡散を考慮した剪断粘性、ζは圧縮波の粘性である。剪断弾性 率μと第2ラメ係数λとは、ヤング率Eとポアソン比σに関して以下の式で与え られる。
【0135】
【数15】

【0136】
各ベクトル場
【0137】
【数16】

【0138】
は、非回転部分
【0139】
【数17】

【0140】
、圧縮不能部分
【0141】
【数18】

【0142】
、および非回転で圧縮不能な調和部分
【0143】
【数19】

【0144】
とに分解することができる。調和部分
【0145】
【数20】

【0146】
は、大局的な複数の変位を考慮し、そのため無視でき、ここでは、この分解を 使用して複数の波の場合を研究しているため、式(1)を複数の剪断波の伝搬を 表している式と複数の圧縮波の伝搬を表している式との2つの式に分離できるこ とを示すことが可能であり、各々の伝搬速度はcTとcLとであって(粘性の影 響は無視)、つまり以下のようになる。
【0147】
【数21】

【0148】
式(1)に回転演算子を適用することによって、変換器10にて発生された 弾性力学波の圧縮成分の影響をもはや有していない簡略化された式が得られる。
【0149】
【数22】

【0150】
それから、式(4)からパラメータμとζと3次空間微分の現在の値を計算 することができる。式(4)は、例えば、系の転置行列(疑似逆行列)が乗算さ れることによって簡単に解くことができる。式(5)は、2つの未知数(密度ρ は水の密度に等しいとみなされる)に対して実際には6つの方程式(複素数表記 で3つが
【0151】
【数23】

【0152】
の実部で3つが虚部)を示していることがわかる。
【0153】
したがって、定常状態では、以下の表記のもとで、
【0154】
【数24】

【0155】
使用可能な方程式は、以下のように表すことができる。
【0156】
【数25】

【0157】
転置行列を乗じることによって、以下の式が得られる。
【0158】
【数26】

【0159】
ここでi=x,y,zであって、複数の同一の添え字に対するアインシュタイ ン規約が適用されている。定常状態の場合、μとζとの間には相関はなく、その ため互いに独立しているこれらの2つの計算されたパラメータをマッピングする のがより容易になる。
【0160】
ただし、局所的に一様で等方性の媒体という近似ができない場合にも、所望 の複数の伝搬パラメータを求めるために同様な計算を使用することができる。こ の場合、より複雑な伝搬方程式が使用される、この伝搬方程式は、以下のように なる。
【0161】
【数27】

【0162】
ここでμiは変位ベクトル
【0163】
【数28】

【0164】
のi番目の成分であり、ρは媒体2の密度であり、λiklmは階数4の弾性テン ソルであり、ηiklmは階数4の粘性テンソルである(複数の同一の添え字に対す るアインシュタイン規約を使用)。
【0165】
この式(1′)は、媒体が横方向に等方性を含む、つまり、媒体が一方向に だけ揃えられている繊維を含むと仮定できる場合に簡単になる。この場合、物質 を記述している複数のパラメータを以下の2つのグループに分割することができ る。
【0166】
−2つの剪断係数(μ,μ)を含む1つのグループは複数の繊維の方向 に水平(□)および垂直(⊥)な剪断波の伝搬を記述している。
【0167】
−他方のグループ(λ,λ,λM)は様々な方向の複数の縦波(つまり 複数の圧縮波)の伝搬を記述している
歪みテンソルと応力テンソルとの間の関係は次の式で示される。
【0168】
【数29】

【0169】
ここでuik=1/2(∂xki+∂xiuk)は歪みテンソルであってσikは応 力テンソルである。
【0170】
変位ベクトル
【0171】
【数30】

【0172】
の対応する伝搬方程式は次の式で与えられる。
【0173】
【数31】

【0174】
ここでζは剪断粘性である。複数の縦波の粘性(ξ)は、比較的低い周波数( HzまたはkHzの範囲)では無視できる。さらに、
【0175】
【数32】

【0176】
はポアソン比の値のために小さい値を含む。したがって、ξ、ζおよび
【0177】
【数33】

【0178】
は値が小さく、そのため式9の右辺の第3項は合理的に無視することができる 。式8を式9に代入すると以下の式を得ることができる。
【0179】
【数34】

【0180】
ここで表記τ=μ−μであって、縦波のすべての弾性率は等しい、つまり λ=λ=λ=λMと仮定している。
【0181】
回転演算子の適用後に以下の式が得られる。
【0182】
【数35】

【0183】
この式(11)によって、特にμ⊥、τおよびζを計算するために使用可能 な6つの方程式が実際に得られる。
【0184】
ただし、本発明は媒体2の運動パラメータ(変位等)を計測するどのような 方法にも適用可能である。したがってこのパラメータは必要に応じてMRIによ って求められるであろう。
【0185】
説明した方法は、例えばPCT特許出願公開明細書第04/85978号に 記述されているような媒体2の音響光学撮像と組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の一実施形態の複数の剪断波によって撮像する撮像装置の概略 図である。
【図2】図1の装置の一部の詳細な透視図である。
【図3】図1の装置のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剪断成分および圧縮成分を含む力学波が粘弾性媒体内(2)で発生され、か つ、前記力学波の伝搬における様々な点で前記粘弾性媒体(2)の運動を記述す る少なくとも1つのパラメータが求められる撮像方法において、
前記粘弾性媒体(2)内の複数の点での前記力学波の伝搬が、エコーグラフ で観測される少なくとも1つの観測ステップ(b)を含み、
前記力学波の前記圧縮成分による影響を取り除くように、前記運動パラメー タが処理される補正ステップを含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
前記補正ステップの間に、前記運動パラメータの回転が計算される、請求項 1に記載の撮像方法。
【請求項3】
前記観測ステップ(b)は、
圧縮超音波の連続するショットが、互いに独立して制御される変換器の列( 9)によって、少なくとも一秒当たり10ショットの割合で前記粘弾性媒体(2 )中に伝送されるサブステップ(b1)と、
前記粘弾性媒体に相互作用する前記複数の圧縮超音波によって生成される複 数のエコーを含む、前記粘弾性媒体(2)から受信した複数の音響信号が、リア ルタイムで検出および記録されるサブステップ(b2)と、を含む、請求項1に 記載の撮像方法。
【請求項4】
前記サブステップ(b2)の間に前記粘弾性媒体から受信した前記複数の連 続する音響信号が、前記力学波の連続する複数の伝搬画像を求めるために処理さ れるステップ(c1)と、
前記粘弾性媒体の前記運動パラメータが、前記連続する複数の伝搬画像から 様々な点で求められるステップ(c2)と、を含む少なくとも1つの処理ステッ プ(c)をさらに含む、請求項3に記載の撮像方法。
【請求項5】
前記粘弾性媒体内の前記力学波の前記連続する複数の伝搬画像は、いくつか の視点に沿って生成され、該連続する画像は、前記運動パラメータのベクトル値 を求めるために組み合わされる、先行する請求項のいずれか1項に記載の撮像方 法。
【請求項6】
前記運動パラメータの3次元ベクトル値が求められる、請求項5に記載の撮 像方法。
【請求項7】
前記いくつかの視点に沿った力学波の連続する複数の伝搬画像を生成するた めに、解析平面(D−Z)内の伝送/検出方向(D)に沿って、前記複数の圧縮 超音波を伝送および検出する複数の超音波変換器の列(9)が使用され、前記直 線状の列(9)は、前記粘弾性媒体の外側で変位することで、前記解析平面(D −Z)を回転させる、請求項5または請求項6に記載の撮像方法。
【請求項8】
前記直線状の列(9)は、前記解析平面(D−Z)が回転しない並進運動に よって変位し、その後、前記直線状の列(9)は、回転することで、前記解析平 面を回転させる、請求項7に記載の撮像方法。
【請求項9】
前記列の変換器の伝送/検出方向(D)は、前記解析平面(D−Z)を並進 も回転もさせずに変化し、その後、前記直線状の列(9)は、並進および回転す ることで、前記解析平面を並進および回転させる、請求項8に記載の撮像方法。
【請求項10】
前記運動パラメータは、前記粘弾性媒体(2)の変位、変位速度および応力 から選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項11】
前記粘弾性媒体内の伝搬パラメータのマップを求めるために、前記粘弾性媒 体(2)内の少なくとも特定の複数の点での、前記力学波の剪断成分の伝搬を記 述する少なくとも1つのパラメータが、前記運動パラメータの時間の経過に伴う 変化から計算されるマッピングステップ(d)をさらに含む、先行する請求項の いずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項12】
前記マッピングステップ中に計算される複数の剪断波の伝搬パラメータは、 前記複数の剪断波の速度、剪断弾性率、ヤング率、前記複数の剪断波の減衰、剪 断弾性、剪断粘性および力学緩和時間、または、異方性媒体の場合には、これら のパラメータうちのいくつかのパラメータ、から選択される、請求項11に記載 の撮像方法。
【請求項13】
剪断成分と圧縮成分とを含む力学波を粘弾性媒体内(2)で発生させる手段 と、前記力学波の伝搬中に様々な点で前記粘弾性媒体の運動を記述する少なくと も1つのパラメータを求める手段と、を含む撮像装置において、
前記粘弾性媒体(2)内の複数の点での前記力学波の伝搬をエコーグラフで 観測するために制御された複数の超音波変換器の列(9)を含み、
前記力学波の前記圧縮成分による影響を取り除くように前記運動パラメータ を処理する補正手段(27)と、を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
前記補正手段(27)は、前記運動パラメータの回転を計算するように構成 される、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記複数の変換器の列(9)によって、少なくとも1秒あたり10ショット の割合で、前記複数の圧縮超音波の連続するショットを前記粘弾性媒体(2)内 に伝送し(b1)、
前記粘弾性媒体の複数の反射粒子に相互作用する前記複数の圧縮超音波によ って発生した複数のエコーを含む、前記粘弾性媒体(2)から受信した複数の音 響信号をリアルタイムで検出および記録する(b2)、複数の手段(27、34 )を含む請求項13に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記力学波の連続する複数の伝搬画像を求めるために、前記粘弾性媒体から 受信した、前記複数の連続する音響信号を処理し(c1)、
前記粘弾性媒体の前記運動パラメータを、前記連続する複数の伝搬画像から 、観測場内の様々な点で求める(c2)ように構成される、複数の処理手段(3 4、38、37)を含む請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記複数の処理手段(34、38、37)は、いくつかの視点に沿って、前 記粘弾性媒体(2)内の力学波のいくつかの連続する伝搬画像を生成し、そして 、前記連続する画像を、前記運動パラメータのベクトル値を求めるために組み合 わせるように構成される、請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記複数の処理手段は、前記運動パラメータの3次元ベクトル値を求めるよ うに構成されている、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記複数の変換器の列(9)は、前記いくつかの視点に沿った力学波の連続 する複数の伝搬画像を生成するために、解析平面(D−Z)内の伝送/検出方向 (D)に沿って前記複数の圧縮超音波を伝送および検出し、前記装置は、前記粘 弾性媒体(2)の外側で、前記直線状の列(9)を変位させる複数の変位手段( 30、31、32、22、33)を含み、前記複数の手段は前記解析平面(D− Z)を回転させるように構成されている、請求項17または請求項18に記載の 撮像装置。
【請求項20】
前記複数の変位手段(30、31、32、33)を制御するように構成され る制御手段(27)を含み、前記制御手段は、前記解析平面(D−Z)を回転さ せずに前記列(9)を並進運動によって変位させ、その後、前記列(9)を回転 させることで、前記解析平面を回転させる、請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記複数の変位手段(30、31、32、22、33)を制御するように構 成されている制御手段(27)を含み、前記制御手段(27)は、前記解析平面 (D−Z)を並進も回転もさせずに、前記複数の変換器の列(9)の前記伝送/ 検出方向(D)を変化させ、その後、前記直線状の列(9)を並進および回転さ せることで、前記解析平面(D−Z)を並進および回転させるように構成されて いる、請求項19または請求項20に記載の撮像装置。
【請求項22】
前記粘弾性媒体内の前記伝搬パラメータのマップを求めるために、前記粘弾 性媒体(2)内の少なくとも特定の複数の点での前記力学波の前記剪断成分の伝 搬を記述する少なくとも1つのパラメータを計算するように構成されているマッ ピング手段(27)を含む、請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の 撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−534198(P2008−534198A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504796(P2008−504796)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000702
【国際公開番号】WO2006/106213
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(502155356)サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シィアンティフィク (セ.エヌ.エール.エス.) (10)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (C.N.R.S.)
【出願人】(507332767)ユニヴェルシテ パリ 7 − デニ デデロ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS 7 − DENIS DIDEROT
【Fターム(参考)】