説明

触媒劣化判定システム

【課題】吸蔵還元型NOx触媒の劣化判定を速やかに且つ正確に行なう。
【解決手段】触媒へ還元剤を供給する供給装置と、触媒よりも下流の排気中のNOxを検
出するNOxセンサと、EGR装置と、NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下
のときであって還元剤の供給が行われていないときに、EGR装置によるEGRガスの供給を停止させた場合のNOxセンサによる検出値に基づいて触媒が劣化しているか否か判
定する判定装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒劣化判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
NOx吸収剤よりも下流側の排気通路に排気中のNOx濃度を検出するNOxセンサを配
置し、NOx吸収剤の再生終了後に、該NOxセンサの出力が所定値まで上昇するまでの時間が予め定めた所定時間以下の場合にNOx吸収剤が劣化したと判定する技術が知られて
いる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この技術は、NOx触媒に吸蔵可能なNOx量が、NOx触媒の劣化と共に減少すること
を利用している。すなわち、NOx触媒にNOxを吸蔵させていき、NOxが吸蔵できなく
なるまでの時間を計り、この時間に基づいてNOx触媒の劣化判定を行っている。しかし
、NOxが吸蔵できなくなるまでNOx触媒へNOxを供給しなくてはならない。これには
、ある程度の時間がかかるため、NOx触媒の劣化判定が完了するまでに時間がかかって
しまう。
【0004】
また、NOx触媒よりも下流にNOxセンサを備え、NOx触媒に吸蔵されたNOxを浄化するために一時的に空燃比をリッチ雰囲気とした前後のNOxセンサの出力値の変化に基づいてNOx触媒の劣化状態を検知する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。
)。
【0005】
ここで、NOx触媒へ還元剤を供給すると、還元剤とNOxとが反応することにより、NHが生成されることがある。そして、NOxセンサは、NHもNOxと同様に検出してしまう。また、還元剤を供給したときに、NOx触媒から放出されるものの還元されずに
NOx触媒から流出するNOxもNOxセンサにより検出される。さらに、NOx触媒よりも上流側から流れてきたNOxが還元されずに、NOx触媒をすり抜けてNOxセンサにより
検出されることもある。
【0006】
このように、還元剤を供給した後には、NOx触媒をすり抜けるNOxの他に、NHや、NOx触媒から放出されるNOxも検出される。しかし、NHや、NOx触媒から放出
されるNOxは、NOx触媒が正常であっても検出されるため、これらによりNOxセンサ
の検出値が大きくなったとしても、NOx触媒が劣化しているとはいえない。したがって
、還元剤供給時のNOxセンサの出力値によりNOx触媒の劣化判定を行うと、精度が低くなる虞がある。
【0007】
なお、NOx濃度を変更する手段として、EGR率を利用する技術が知られている(例
えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−208151号公報
【特許文献2】特開2004−108373号公報
【特許文献3】特開2008−002440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、吸蔵還元型NOx触媒
の劣化判定を速やかに且つ正確に行なうことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために本発明による触媒劣化判定システムは、
内燃機関の排気通路に設けられてNOxを吸蔵し、吸蔵していたNOxを還元剤の供給により還元する吸蔵還元型NOx触媒の劣化を判定する触媒劣化判定システムにおいて、
前記吸蔵還元型NOx触媒へ還元剤を供給する供給装置と、
前記吸蔵還元型NOx触媒よりも下流の排気中のNOxを検出するNOxセンサと、
前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通し、排気通路を流通する排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
前記吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下のときであって前記供給装置による還元剤の供給が行われていないときに、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させた場合の前記NOxセンサによる検出値に基づいて前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化しているか否か判定する判定装置と、
を備える。
【0011】
吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒ともいう。)は、リーン空燃比のときにNOxを吸蔵し、吸蔵していたNOxを還元剤が存在するときに還元する。供給装置は、NOx触媒へ還元剤を供給することができる。還元剤は、排気通路を流通する排気中に供給し
てもよく、内燃機関から排出させるようにしてもよい。
【0012】
ここで、NOx触媒に還元剤を供給すると、HやHCがNOと反応してNHが生成
されることがある。そして、NOxセンサはNHもNOxと同様に検出してしまう。このため、NOxセンサの検出値が、たとえばNOの濃度なのか、またはNHの濃度なの
か判別することは困難である。そして、正常な触媒であっても、還元剤の供給時には、NHが生成されたり、NOxに吸蔵されていたNOxが還元されずにNOx触媒から流出し
たりするため、このときのNOxセンサの検出値に基づいて劣化判定を行うと精度が低く
なる虞がある。
【0013】
これに対し、判定装置は、還元剤が供給されていないときに、NOx触媒の劣化判定を
行う。このため、排気中にNHやNOx触媒から放出されたNOxが存在しない状態のときにNOx触媒の劣化判定を行うことができる。すなわち、NOx触媒をすり抜けたNOx
のみにより劣化判定を行うことができる。
【0014】
また、判定装置は、NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下のときに、NOx
触媒の劣化判定を行う。なお、ここでいう所定量とは、NOx触媒が正常ならば、NOxを吸蔵することが可能なNOx吸蔵量である。すなわち、NOx触媒が正常で且つ吸蔵されているNOx量が所定値以下の場合には、NOx触媒に流入する単位時間当たりのNOx量が
増加しても、単位時間当たりに吸蔵可能なNOx量が多いためにNOxを吸蔵することができる。なお、NOx触媒に還元剤を供給した後であれば、NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下になる。
【0015】
ここで、NOx触媒が正常な場合には、NOxの還元を行った後にNOxの吸蔵能力が回
復する。これにより、NOx触媒に吸蔵可能なNOxの総量が多くなり、単位時間当たりに吸蔵可能なNOx量も多くなる。この単位時間当たりに吸蔵可能なNOx量は、NOx触媒
に吸蔵されているNOx量が増加するほど、少なくなる。このため、NOx触媒に流入するNOx量が多くても、該NOx触媒にある程度のNOxが吸蔵されるまでは、該NOx触媒よりも下流側にNOxがほとんど流出しない。換言すると、NOx触媒が正常であっても、NOx触媒に多くのNOxが吸蔵されるとNOxの吸蔵能力が低下するため、該NOx触媒よりも下流側へNOxが流出し得る。
【0016】
そして、NOx触媒が単位時間当たりに吸蔵可能なNOx量よりも、NOx触媒へ単位時
間当たりに流入するNOx量のほうが多くなると、NOxの一部がNOx触媒をすり抜けて
NOxセンサにより検出される。そして、NOx触媒が吸蔵可能な単位時間当たりのNOx
量は、NOx触媒の劣化と共に減少する。
【0017】
ここで、NOxの吸蔵量が同じ場合には、正常な触媒のほうが、劣化している触媒より
も、単位時間当たりに吸蔵可能なNOx量が多い。したがって、NOx触媒が劣化すると、NOx触媒に多くのNOxが流入したときに、NOx触媒が単位時間当たりに吸蔵可能なN
Ox量よりも、NOx触媒へ単位時間当たりに流入するNOx量のほうが多くなり、NOxセンサにてNOxが検出される。
【0018】
そして、判定装置は、EGRガスの供給が停止しているときに、NOx触媒の劣化判定
を行う。ここで、EGR装置によるEGRガスの供給を停止させると、内燃機関から排出されるNOx量が多くなる。このため、NOx触媒に流入する単位時間当たりのNOx量が
増加する。この場合であっても、NOx触媒が正常であれば、単位時間当たりに吸蔵可能
なNOx量が多いため、NOxの吸蔵量がある程度多くなるまでは、NOx触媒からNOxが流出しない。一方、NOx触媒が劣化している場合には、単位時間当たりに吸蔵可能なN
Ox量よりも多くのNOxが供給されることになるため、NOxセンサによりNOxが検出される。
【0019】
このように、NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下のときであって還元剤の供給が行われていないときにEGRガスの供給を停止すると、NOx触媒の劣化の度合い
に応じて、NOxセンサの検出値が変化する。したがって、該NOxセンサの検出値に基づいてNOx触媒が劣化しているか否か判定することができる。また、EGRガスの供給を
停止してNOxの排出量を増加させることで、より速やかに且つより正確に劣化判定を行
うことができる。
【0020】
そして、本発明においては、前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させてから、前記NOxセンサの検出値が増加するまでの時間が閾値未満のときに
、前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化していると判定することができる。
【0021】
すなわち、EGRガスの供給を停止させることによりNOx触媒に流入するNOx量が増加してから、該NOx触媒からNOxが流出するまでの時間が閾値未満のときにNOx触媒
が劣化していると判定することができる。ここで、正常なNOx触媒では、NOxの吸蔵能力が高いため、NOxの吸蔵量がある程度多くなるまでは、NOx触媒へ流入する単位時間当たりのNOx量が多くても、NOxを吸蔵することができる。このため、NOxセンサに
よりNOxがほとんど検出されない。一方、劣化しているNOx触媒では、NOx吸蔵能力
が低いため、NOx吸蔵量が少なくても、NOx触媒へ流入する単位時間当たりNOx量が
多くなると、NOxを吸蔵することができなくなる。すなわち、NOx触媒が劣化すると、NOx触媒に流入する単位時間当たりのNOx量を増加させたときに、早期に該NOx触媒
からNOxが流出する。このように、NOx触媒の劣化が進行することにより、NOxセン
サの検出値が増加するまでの時間が短くなる。そして、NOx触媒が劣化しているか否か
の境にあるときにおける、EGRガスの供給を停止させてからNOxセンサの検出値が増
加するまでの時間を閾値として設定しておけば、実際に計測される時間と、閾値と、を比較することにより、NOx触媒の劣化を判定することができる。
【0022】
なお、EGR装置によるEGRガスの供給を停止させてから、NOxセンサの検出値が
増加するまでの時間が長いほど、劣化の度合いが大きいと判定してもよい。また、NOx
センサの検出値が所定値よりも大きくなるまでの時間が閾値未満のときに、NOx触媒が
劣化していると判定してもよい。
【0023】
また、本発明においては、前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給が停止しているときの前記NOxセンサの検出値の最大値が閾値よりも大きいときに、前記
吸蔵還元型NOx触媒が劣化していると判定することができる。
【0024】
すなわち、NOx吸蔵能力の低下に応じて、NOx触媒をすり抜けるNOx量が増加する
ため、NOxセンサの検出値はより大きくなる。したがって、NOxセンサの検出値の最大値も、NOx触媒の劣化の進行にしたがって大きくなる。そして、NOx触媒が劣化しているか否かの境にあるときにおける、NOxセンサの検出値の最大値を閾値として設定して
おけば、実際に検出される最大値と、閾値と、を比較することにより、NOx触媒の劣化
を判定することができる。
【0025】
なお、NOxセンサの検出値の最大値は、EGR装置によるEGRガスの供給を停止さ
せてから所定時間における最大値としてもよい。すなわち、NOx触媒の劣化が進行する
ほど、NOxセンサの検出値の増加がより早期に始まり、且つ、NOx触媒から流出するNOx量も多くなるため、所定時間経過したときの最大値も大きくなる。この所定時間は、
劣化しているNOx触媒において、EGRガスの供給を停止させてから、NOxセンサによりNOxが検出されるまでの時間よりも長い時間とする。このように、所定時間における
NOxセンサの検出値を用いることで、NOx触媒の劣化判定に要する時間を短縮することができる。
【0026】
なお、NOxセンサの検出値の最大値が大きいほど、劣化の度合いが大きいと判定して
もよい。
【0027】
本発明においては、前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給が停止しているときの前記NOxセンサの検出値の積算値が閾値よりも大きいときに、前記吸蔵還
元型NOx触媒が劣化していると判定することができる。
【0028】
すなわち、NOx吸蔵能力の低下に応じて、NOx触媒をすり抜けるNOx量が増加する
ため、NOxセンサの検出値はより大きくなる。したがって、NOx触媒の劣化の進行にしたがって、検出値の積算値も大きくなる。そして、NOx触媒が劣化しているか否かの境
にあるときにおける、NOxセンサの検出値の積算値を閾値として設定しておけば、実際
に検出される積算値と、閾値と、を比較することにより、NOx触媒の劣化を判定するこ
とができる。
【0029】
なお、NOxセンサの検出値の積算値は、たとえば、NOxセンサの検出値の積分値としてもよく、規定時間毎にNOxセンサの検出値を加算した値としてもよい。また、NOxセンサの検出値の積算値は、EGR装置によるEGRガスの供給を停止させてから所定時間における積算値としてもよい。すなわち、NOx触媒の劣化が進行するほど、NOxセンサの検出値の増加がより早期に始まり、且つ、NOx触媒から流出するNOx量も多くなるため、所定時間経過したときの積算値も大きくなる。この所定時間は、劣化しているNOx
触媒において、EGRガスの供給を停止させてから、NOxセンサによりNOxが検出されるまでの時間よりも長い時間とする。このように、所定時間におけるNOxセンサの検出
値を用いることで、NOx触媒の劣化判定に要する時間を短縮することができる。
【0030】
なお、NOxセンサの検出値の積算値が大きいほど、劣化の度合いが大きいと判定して
もよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、吸蔵還元型NOx触媒の劣化判定を速やかに且つ正確に行なうことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例に係る内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。
【図2】NOx触媒におけるNOxの吸蔵作用を説明するための図である。
【図3】NOx触媒におけるNOxの還元作用を説明するための図である。
【図4】新品のNOx触媒にリッチスパイク制御を行ったときの下流側NOxセンサの検出値の推移を示したタイムチャートである。
【図5】劣化の度合いが許容範囲内ではあるが該許容範囲内で劣化の度合いが最も高いNOx触媒にリッチスパイク制御を行ったときの下流側NOxセンサの検出値の推移を示したタイムチャートである。
【図6】劣化の度合いが許容範囲を超えたNOx触媒にリッチスパイク制御を行ったときの下流側NOxセンサの検出値の推移を示したタイムチャートである。
【図7】EGR弁の開度と下流側NOxセンサによる検出値との関係の一例を示した図である。
【図8】リッチスパイク制御後にさらにEGR弁を閉じた後の下流側NOxセンサの推移を示したタイムチャートである。
【図9】リッチスパイク制御後にさらにEGR弁を閉じた後の下流側NOxセンサの推移を示したタイムチャートである。
【図10】NOx触媒の劣化判定のフローを示したフローチャートである。
【図11】NOx触媒におけるNOxの吸蔵量とNOxの吸蔵速度との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る触媒劣化判定システムの具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本実施例に係る内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、4つの気筒を有する水冷式の4サイクル・ディーゼルエンジンである。
【0035】
内燃機関1には、排気通路2が接続されている。この排気通路2の途中には、吸蔵還元型NOx触媒4(以下、NOx触媒4という。)が備えられている。
【0036】
NOx触媒4は、たとえばアルミナ(Al)を担体とし、その担体上に、たとえ
ばバリウム(Ba)及び白金(Pt)を担持して構成されている。
【0037】
このNOx触媒4は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低下し且つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを還元す
る機能を有する。
【0038】
また、NOx触媒4よりも上流の排気通路2には、排気中に還元剤を噴射する噴射弁5
が取り付けられている。噴射弁5は、後述するECU10からの信号により開弁して排気中へ還元剤を噴射する。還元剤には、たとえば内燃機関1の燃料(軽油)が用いられるが、これに限らない。
【0039】
噴射弁5から排気通路2内へ噴射された燃料は、排気通路2の上流から流れてきた排気の空燃比を低下させる。そして、NOx触媒4に吸蔵されているNOxの還元時には、噴射
弁5から燃料を噴射することにより、NOx触媒4に流入する排気の空燃比を比較的に短
い周期で低下させる所謂リッチスパイク制御を実行する。噴射弁5から噴射させる還元剤量は、たとえば内燃機関1の運転状態(機関回転数及び燃料噴射量)に基づいて決定される。還元剤量と機関回転数と機関負荷との関係は予めマップ化しておくことができる。また、排気通路2に空燃比センサを取り付けて、該空燃比センサにより検出される空燃比が目標値となるように還元剤量をフィードバック制御してもよい。
【0040】
なお、本実施例においては噴射弁5が、本発明における供給装置に相当する。また、内燃機関1から未燃燃料を排出させることで還元剤を供給することもできる。すなわち、気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁を備え、該筒内噴射弁から主噴射を行なった後の膨張行程中若しくは排気行程中に再度燃料を噴射する副噴射(ポスト噴射)を行なったり、筒内噴射弁からの燃料噴射時期を遅らせたりすることにより、内燃機関1から還元剤を多く含むガスを排出させることもできる。
【0041】
また、噴射弁5よりも上流の排気通路2には、排気中のNOx濃度を測定する上流側N
Oxセンサ7が取り付けられている。また、NOx触媒4よりも下流の排気通路2には、排気中のNOx濃度を測定する下流側NOxセンサ8及び排気の温度を測定する温度センサ9が取り付けられている。なお、本実施例においては下流側NOxセンサ8が、本発明にお
けるNOxセンサに相当する。
【0042】
また、内燃機関1には、吸気通路3が接続されている。さらに、内燃機関1には、排気通路2内を流通する排気の一部を吸気通路3へ再循環させるEGR装置20が備えられている。このEGR装置20は、排気通路2と吸気通路3とを接続するEGR通路21、及びEGR通路21の通路断面積を調節するEGR弁22を備えて構成されている。
【0043】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU10が併設されている。このECU10は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1を制御する。
【0044】
また、ECU10には、上記センサの他、運転者がアクセルペダル11を踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検知するアクセル開度センサ12、および機関回転数を検知するクランクポジションセンサ13が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU10に入力されるようになっている。
【0045】
一方、ECU10には、噴射弁5及びEGR弁22が電気配線を介して接続されており、該ECU10により噴射弁5及びEGR弁22の開閉時期が制御される。たとえば、ECU10は、内燃機関1の運転状態に応じてEGR弁22の開度を制御する。EGR弁22の開度と、機関回転数及び機関負荷との関係を予め実験等により求めてマップ化してECU10に記憶させておき、ECU10はマップにしたがってEGR弁22を制御する。また、ECU10は、前記リッチスパイク制御を行う。
【0046】
そして、ECU10は、リッチスパイク制御を行うことによりNOx触媒4に吸蔵され
ていたNOxを還元させた後でEGR弁22を閉じ、その後の下流側NOxセンサ8の検出値に基づいてNOx触媒4の劣化判定を行う。
【0047】
ここで、図2は、NOx触媒4におけるNOxの吸蔵作用を説明するための図である。また、図3は、NOx触媒4におけるNOxの還元作用を説明するための図である。
【0048】
NOx触媒4は、排気の空燃比がリーンのときにNOをPt上でOと酸化させ、Ba
へBa(NOとして吸蔵する(図2参照)。一方、還元剤を供給して排気の空燃比
を理論空燃比近傍のリッチとすると、Ba(NOがNOとなって放出され、さらにPt上でNに還元される(図3参照)。
【0049】
しかし、NOx触媒4が劣化(シンタリング)すると、Ptの表面積が正常時よりも小
さくなる。このため、放出されたNOがNに還元され難くなる。そうすると、たとえばBaから脱離したNOの一部がNOx触媒4よりも下流へ流れ出る。このNOx触媒4よりも下流へ流れ出るNOの量は、NOx触媒4の劣化の度合いに応じて多くなる。こ
のようにしてNOx触媒4よりも下流へ流れ出るNOは、下流側NOxセンサ8により検出される。
【0050】
また、排気の空燃比をリッチ空燃比とすると、NOx触媒4では、NOとHまたはH
Cとが反応して、NHが生成される。
【0051】
しかし、NOx触媒4が劣化(シンタリング)すると、Ptのシンタリングにより、N
Oxを吸蔵可能なBaが減少する。このため、NOx触媒4の吸蔵能力が低下する。すなわち、NOx触媒4が劣化すると、Ba(NOとして吸蔵されるNOx量が減少する。そして、Ptの表面積が小さくなることにより、還元剤の供給時に生成されるNHの量も減少する。そしてNHは、下流側NOxセンサ8においてOと反応してNOになる
ため、NOxとして検出される。
【0052】
ここで、図4は、初めて使用するNOx触媒4、または、新品時からの走行距離が短く
ほとんど劣化していないと考えられるNOx触媒4にリッチスパイク制御を行ったときの
下流側NOxセンサ8の検出値の推移を示したタイムチャートである。また、図5は、劣
化の度合いが許容範囲内ではあるが該許容範囲内で劣化の度合いが最も高いNOx触媒4
にリッチスパイク制御を行ったときの下流側NOxセンサ8の検出値の推移を示したタイ
ムチャートである。また、図6は、劣化の度合いが許容範囲を超えたNOx触媒4にリッ
チスパイク制御を行ったときの下流側NOxセンサ8の検出値の推移を示したタイムチャ
ートである。
【0053】
図4,5,6において、「リッチスパイク制御」と示される期間でリッチスパイク制御が行われており、NOx触媒4に還元剤が供給されている。このときの排気の空燃比は、
たとえば14.4である。その前後の期間では還元剤が供給されておらず、排気の空燃比はリーン空燃比である。
【0054】
図5に示した正常なNOx触媒4の場合であっても、図6に示した劣化しているNOx触媒4であっても、下流側NOxセンサ8の検出値が増加することが分かる。
【0055】
すなわち、NOx及びNHは、下流側NOxセンサ8によりNOxとして検出される。
このため、下流側NOxセンサ8によりNHが検出されたのか、またはNOxが検出されたのか判別することは困難である。一方、リッチスパイク制御が終了した後であれば、NOx触媒4においてNHが生成されなくなり、また、NOx触媒4に吸蔵されていたNOxが還元されないまま放出されることがなくなるので、下流側NOxセンサ8により検出されるのは、NOx触媒4をすり抜けるNOxのみになる。
【0056】
また、本実施例では、リッチスパイク制御を行うことによりNOx触媒4に吸蔵されて
いるNOx量を減少させた後に、EGR弁22を閉じている。EGR弁22を閉じること
により、内燃機関1で多くのNOxを発生させることができるため、NOx触媒4に多くのNOxを流入させることができる。このときにNOx触媒4の劣化の度合いに応じてNOx
がNOx触媒4をすり抜けるようになる。このため、NOx触媒4をすり抜けるNOxを下
流側NOxセンサ8により検出することにより、NOx触媒4の劣化判定を行うことができ
る。
【0057】
図7は、EGR弁22の開度と下流側NOxセンサ8による検出値との関係の一例を示
した図である。EGR弁開度において「0%」は、EGR弁22が全閉となっていることを示し、「通常制御」は、EGR弁22が開かれており、内燃機関1の運転状態に応じてEGR弁22が制御されていることを示す。EGR弁開度が「0%」となる前の通常制御中には、内燃機関1へEGRガスが供給されているために、内燃機関1ではNOxがほと
んど発生せず、下流側NOxセンサ8の検出値は略0となる。そして、EGR弁開度「0
%」となると、内燃機関1においてNOxが発生し、該内燃機関1から多くのNOxが排出されるため、下流側NOxセンサ8の検出値が増加する。その後に、EGR弁開度が「通
常制御」に戻ると、内燃機関1からNOxがほとんど排出されなくなるので、下流側NOxセンサ8の検出値が減少する。
【0058】
ここで、図8及び図9は、リッチスパイク制御後にさらにEGR弁22を閉じた後の下流側NOxセンサ8の推移を示したタイムチャートである。図8は、分かり易いように抽
象化した図であり、図9は、実験により得た図である。
【0059】
「新品」は、初めて使用するNOx触媒4、または、新品時からの走行距離が短くほと
んど劣化していないと考えられるNOx触媒4の場合である。「正常最悪」は、劣化の度
合いが許容範囲内ではあるが該許容範囲内で劣化の度合いが最も高いNOx触媒4の場合
である。「劣化」は、劣化の度合いが許容範囲を超えたNOx触媒4の場合である。
【0060】
「新品」の場合には、Ptがほとんど劣化していないため、十分なNOx吸蔵能力があ
る。このため、下流側NOxセンサ8の検出値の増加が始まる時期が比較的遅くなる。ま
た、NOx触媒4をすり抜けるNOxの量も少ないので、下流側NOxセンサ8の検出値の
最大値及び積算値も小さくなる。なお、下流側NOxセンサ8の検出値の積算値は、図8
及び図9に示される検出値の線よりも下側の面積としてもよい。
【0061】
「正常最悪」の場合には、Ptの劣化が進行しているため、「新品」の場合と比較して、NOx触媒4をNOxがすり抜け始める時期が早くなる。このため、下流側NOxセンサ
8の検出値の増加が始まる時期が、「新品」の場合よりも早くなる。これに従い、下流側NOxセンサ8の検出値の最大値及び積算値が、「新品」の場合よりも大きくなる。
【0062】
「劣化」の場合には、NOxの吸蔵能力がほとんどない。このため、EGR弁22を閉
じてからすぐにNOxがNOx触媒4をすり抜けるようになる。このため、下流側NOxセ
ンサ8の検出値の増加が始まる時期が、「正常最悪」の場合よりも早くなる。これに従い、下流側NOxセンサ8の検出値の最大値及び積算値が、「正常最悪」の場合よりも大き
くなる。
【0063】
すなわち、EGR弁22を閉じてから下流側NOxセンサ8の検出値の増加が始まるま
での時間、下流側NOxセンサ8の検出値の最大値、下流側NOxセンサ8の検出値の積算値は、夫々、NOx触媒4の劣化の度合いに応じて変化するため、この3つの値を用いて
該NOx触媒4の劣化判定を行うことができる。なお、「正常最悪」の場合のこれらの値
を閾値として予め実験等により求めておけば、これらの値と閾値とを比較することでNOx触媒4が劣化しているか否か判定することができる。
【0064】
図10は、NOx触媒4の劣化判定のフローを示したフローチャートである。本ルーチ
ンは、所定の期間毎にECU10により実行される。
【0065】
ステップS101では、NOx触媒4の劣化判定を行う前提条件が成立しているか否か
判定される。たとえば下流側NOxセンサ8が正常であるときに前提条件が成立している
と判定される。この判定は、周知の技術により行うことができる。
【0066】
ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。
【0067】
ステップS102では、NOx触媒4の劣化判定を行う条件が成立しているか否か判定
される。たとえば、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量が所定量以下であり、且つNOx触媒4の温度が所定温度以上のときに条件が成立していると判定される。たとえば、リ
ッチスパイク制御を行ってから所定時間内であれば、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量が所定量以下と判定される。なお、ここでいう所定量とは、NOx触媒4が正常ならば
、NOxを吸蔵することが可能となる量である。この所定量は予め実験等により最適値を
求めておく。すなわち、NOx触媒4にNOxが多く吸蔵されている状態だと、NOx触媒
4がたとえ正常であっても、NOxがNOx触媒4をすり抜ける。そうすると劣化判定が困難となるため、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量が所定量以下であることを条件としている。
【0068】
また、たとえば、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量を、上流側NOxセンサ7によ
り検出されるNOx濃度に基づいて算出することもできる。さらに、内燃機関の1の運転
状態に基づいて、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量を推定することもできる。
【0069】
また、NOx触媒4の温度は、温度センサ9により検出される。NOx触媒4の温度が低いと、NOx触媒4がたとえ正常であってもNOxを吸蔵することが困難となる。そうすると劣化判定が困難となるため、NOx触媒4の温度が所定値温度以上であることを条件と
する。すなわち、所定温度とは、NOx触媒4が正常であれば、NOxを吸蔵することができる温度である。
【0070】
さらに、機関回転数または内燃機関1の吸入空気量が所定値以上である場合に条件が成立していると判定してもよい。すなわち、NOx触媒4から放出されるNOxが、下流側NOxセンサ8により速やかに検出される状態のときに条件が成立していると判定してもよ
い。たとえば排気の流速が低いと、NOxが下流側NOxセンサ8へ到達するまでに拡散してしまい、検出値が小さくなる虞がある。そうすると、検出値の最大値や積算値に基づいた劣化判定の精度が低くなる虞がある。
【0071】
ここで、図11は、NOx触媒4におけるNOxの吸蔵量とNOxの吸蔵速度との関係を
示した図である。NOxの吸蔵速度とは、単位時間当たりにNOx触媒4に吸蔵されるNOx量である。実線は、前記「新品」または「正常最悪」の場合を示し、一点鎖線は前記「
劣化」の場合を示している。
【0072】
一般に、NOxの吸蔵量が多くなるほど、NOxの吸蔵速度が低くなる。また、同じNOxの吸蔵量の場合には、劣化しているNOx触媒4は、正常な触媒4と比較して、NOxの
吸蔵速度が低くなる。ここで、NOxの吸蔵速度よりも、NOx触媒4に流入する単位時間当たりのNOx量(以下、NOxの供給速度という。)のほうが高い場合には、NOxの吸
蔵速度を超えた分のNOxがNOx触媒4をすり抜ける。
【0073】
たとえば、NOxの吸蔵量が0のときにおける正常なNOx触媒4の吸蔵速度は、図11のAで示される。また、吸蔵量が0のときにおける劣化しているNOx触媒4の吸蔵速度
は、図11のBで示される。すなわち、NOx触媒4におけるNOxの吸蔵量が0の場合には、正常なNOx触媒4では、NOxの供給速度がAを超えるとNOxがすり抜け、劣化し
ている触媒4では、NOxの供給速度がBを超えるとNOxがすり抜けてしまう。
【0074】
また、NOxの吸蔵量が増加するにしたがって、NOxの吸蔵速度が低下する。すなわち、正常なNOx触媒4では、吸蔵量がDのときにNOxの吸蔵速度が0となり、劣化しているNOx触媒4では、吸蔵量がCのときにNOxの吸蔵速度が0となる。したがって、正常なNOx触媒4では、吸蔵量がDとなるとNOxを吸蔵することができなくなり、劣化しているNOx触媒4では、吸蔵量がCとなるとNOxを吸蔵することができなくなる。そして、NOx触媒4の劣化の進行と共に、NOx触媒4に吸蔵可能なNOx量がDからCに変化
していく。
【0075】
したがって、NOx触媒4をすり抜けるNOxを検出して劣化判定を行う場合には、吸蔵速度がBよりも高く、且つ、吸蔵量がC以下となる条件が適しているといえる。これは、劣化しているNOx触媒4ではNOxがすり抜け、正常なNOx触媒4ではNOxが吸蔵される領域であり、図11のハッチングを施した領域に相当する。したがって、ステップS102において、NOx触媒4に吸蔵されているNOx量が図11に示したC以下のときに、NOx触媒4の劣化判定を行う条件が成立していると判定してもよい。また、リッチスパ
イク制御を行った直後には、NOx触媒4のNOx吸蔵量が少なく、且つ、温度も高くなっているため、リッチスパイク制御を行った直後では、NOx触媒4の劣化判定を行う条件
が成立していると判定してもよい。また、本ルーチンを実行する前に、リッチスパイク制御を積極的に行ってもよい。
【0076】
そして、ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。
【0077】
ステップS103では、EGR弁22が全閉とされる。これにより、内燃機関1から多くのNOxを排出させる。なお、EGR弁22は、所定期間だけ全閉としてもよい。また
、劣化しているNOx触媒4ではNOxがすり抜け、正常なNOx触媒4ではNOxが吸蔵されるように、NOx触媒4におけるNOx吸蔵量に合わせて、NOxの供給速度を調整して
もよい。
【0078】
ステップS104では、下流側NOxセンサ8の検出値が増加を始めるまでの時間が閾
値未満であるか否か判定される。この閾値は、NOx触媒4が、前記「正常最悪」の状態
のときの値として予め実験等により求めておく。なお、本ステップでは、下流側NOxセ
ンサ8の検出値の誤差などを考慮して、下流側NOxセンサ8の検出値が所定値以上とな
るまでの時間が閾値未満であるか否か判定してもよい。
【0079】
ステップS104で肯定判定がなされた場合にはステップS105へ進み、NOx触媒
4は劣化していると判定される。一方、ステップS104で否定判定がなされた場合にはステップS106へ進む。
【0080】
ステップS106では、下流側NOxセンサ8の検出値の最大値が閾値よりも大きいか
否か判定される。この閾値は、NOx触媒4が。前記「正常最悪」の状態のときの値とし
て予め実験等により求めておく。最大値は、所定期間における最大値としてもよい。
【0081】
ステップS106で肯定判定がなされた場合にはステップS105へ進み、NOx触媒
4は劣化していると判定される。一方、ステップS106で否定判定がなされた場合にはステップS107へ進む。
【0082】
ステップS107では、下流側NOxセンサ8の検出値の積算値が閾値よりも大きいか
否か判定される。この閾値は、NOx触媒4が。前記「正常最悪」の状態のときの値とし
て予め実験等により求めておく。積算値は、所定期間における積算値としてもよい。また
、積算値は、下流側NOxセンサ8の検出値を規定時間毎に加算した値としてもよい。ま
た、積算値は、下流側NOxセンサ8の検出値を積分した値としてもよい。
【0083】
ステップS107で肯定判定がなされた場合にはステップS105へ進み、NOx触媒
4は劣化していると判定される。一方、ステップS107で否定判定がなされた場合にはステップS108へ進んで、NOx触媒4は正常であると判定される。なお、本実施例に
おいてはステップS104からステップS108を処理するECU10が、本発明における判定装置に相当する。
【0084】
このようにして、リッチスパイク制御後にEGR弁22を閉じたときの下流側NOxセ
ンサ8の検出値に基づいてNOx触媒4の劣化判定を行うことができる。そして、劣化判
定時には、還元剤が供給されないので、還元剤の消費量を低減することができる。また、正常なNOx触媒4では、劣化判定時においてもNOxが吸蔵されるため、NOxの放出量
を抑制することができる。さらに、劣化判定時にNOxの浄化率を求める必要がないため
、上流側NOxセンサ7を設けなくてもよい。また、NOxの供給速度を高めることによりNOx触媒4の劣化判定を行うことができるため、NOx触媒4にNOxが吸蔵されるのを
待つ必要がないので、劣化判定を速やかに完了させることができる。また、NHが生成されず且つNOx触媒からNOxが放出されない時期に劣化判定を行うため、判定精度が高い。
【0085】
なお、本実施例では、ステップS104,106,107の何れか1つで肯定判定がなされた場合にNOx触媒4が劣化していると判定されるが、これに代えて、これらステッ
プS104,106,107の全てで肯定判定がなされた場合に限りNOx触媒4が劣化
していると判定してもよい。また、何れか2つで肯定判定がなされたときに、NOx触媒
4が劣化していると判定してもよい。また、下流側NOxセンサ8の検出値が増加するま
での時間が短いほど、NOx触媒4の劣化の度合いが大きいと判定してもよい。また、下
流側NOxセンサ8の検出値の最大値が大きいほど、NOx触媒4の劣化の度合いが大きいと判定してもよい。さらに、下流側NOxセンサ8の検出値の積分値が大きいほど、NOx触媒4の劣化の度合いが大きいと判定してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 内燃機関
2 排気通路
3 吸気通路
4 吸蔵還元型NOx触媒
5 噴射弁
7 上流側NOxセンサ
8 下流側NOxセンサ
9 温度センサ
10 ECU
11 アクセルペダル
12 アクセル開度センサ
13 クランクポジションセンサ
20 EGR装置
21 EGR通路
22 EGR弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられてNOxを吸蔵し、吸蔵していたNOxを還元剤の供給により還元する吸蔵還元型NOx触媒の劣化を判定する触媒劣化判定システムにおいて、
前記吸蔵還元型NOx触媒へ還元剤を供給する供給装置と、
前記吸蔵還元型NOx触媒よりも下流の排気中のNOxを検出するNOxセンサと、
前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通し、排気通路を流通する排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
前記吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOx量が所定量以下のときであって前記供給装置による還元剤の供給が行われていないときに、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させた場合の前記NOxセンサによる検出値に基づいて前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化しているか否か判定する判定装置と、
を備える触媒劣化判定システム。
【請求項2】
前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させてから、前記NOxセンサの検出値が増加するまでの時間が閾値未満のときに、前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化していると判定する請求項1に記載の触媒劣化判定システム。
【請求項3】
前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給が停止しているときの前記NOxセンサの検出値の最大値が閾値よりも大きいときに、前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化していると判定する請求項1または2に記載の触媒劣化判定システム。
【請求項4】
前記判定装置は、前記EGR装置によるEGRガスの供給が停止しているときの前記NOxセンサの検出値の積算値が閾値よりも大きいときに、前記吸蔵還元型NOx触媒が劣化していると判定する請求項1から3の何れか1項に記載の触媒劣化判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−233419(P2012−233419A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101366(P2011−101366)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】