記録装置、画像形成装置、及びオプション装置
【課題】プログラムの書き込み中に電源断が発生した場合であっても、電源復旧後に、既に書き込みが完了している記録位置から書き込みを再開する画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、電源部の状態監視を行う電源監視手段とを備え、電源監視手段により電源電圧の低下が検知されると、フラグ設定手段が、記録媒体に対する記録処理が行われているかどうかを確認する。記録処理が行われている場合、記録中断を示すフラグ情報と、データの記録済み部分を示すメモリアドレス等の位置情報と、記録処理中データのファイル名等を含む識別情報とを、記録媒体に記録する。電源部の復旧により再起動が行われ、フラグ情報が記録されている場合、識別情報及び位置情報を記録媒体から読み出し、記録中断位置から記録再開する。
【解決手段】記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、電源部の状態監視を行う電源監視手段とを備え、電源監視手段により電源電圧の低下が検知されると、フラグ設定手段が、記録媒体に対する記録処理が行われているかどうかを確認する。記録処理が行われている場合、記録中断を示すフラグ情報と、データの記録済み部分を示すメモリアドレス等の位置情報と、記録処理中データのファイル名等を含む識別情報とを、記録媒体に記録する。電源部の復旧により再起動が行われ、フラグ情報が記録されている場合、識別情報及び位置情報を記録媒体から読み出し、記録中断位置から記録再開する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、画像形成装置、及びオプション装置に関するものであり、特に入力データを用いてデータ書き換え可能な記録装置、画像形成装置及びオプション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、FAX等の画像形成装置においては、粉末の現像剤(以下、「トナー」という)が使用され、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって可視化し、そのトナー像を記録媒体(以下、「シート」という)上に転写した後、定着処理を行うものが一般的である。
【0003】
上記のような画像形成装置として、制御プログラム等を記録する記録装置にフラッシュメモリを使用した画像形成装置が実用化されている。フラッシュメモリは、不揮発性のためバックアップ電源が不要であり、電気的に書き換えることができる。しかし、次のような問題点もある。
【0004】
フラッシュメモリは、記録されているデータを一旦消去しなければ、データの書き込みができない。また、バイト単位での書き込み/消去ができず、数キロバイト〜数十キロバイトのセクタ単位、或いはブロック単位でしか書き込み/消去ができない。このため、読み出し速度に対して、書き込み速度や消去速度が遅いという欠点がある。
【0005】
またフラッシュメモリは、書き込み/消去回数に制限がある。少ない物では100〜300回、コントローラを集積して書き込み/消去が特定ブロックに集中しないように改良された物でも、数万回から数百万回が限度である。このため、使用領域に偏りがあると、書き込み/消去回数の多い部分が先に不良となり、使用可能領域が減少する。
【0006】
上記に関連して特許文献1には、ブートプログラムとユーザプログラムとの双方を格納したフラッシュメモリに適した消去回路を備えたマイクロコンピュータが開示されている。ユーザプログラムとは、アプリケーションの実行や操作受け付け等を行うプログラムである。ブートプログラムとは、装置の起動や、ユーザプログラムの書き換え等を行うプログラムである。ブートプログラムはその特性から、ユーザプログラムと比較して書き換えられる頻度が低いのが通常である。
【0007】
特許文献1のマイクロコンピュータは、フラッシュメモリを、ブートプログラムを記録する第一の領域と、ユーザプログラムを記録する第二の領域とで分割管理している。そして第二の領域だけを消去するための選択消去手段を有している。このため、第二の領域に記録されたユーザプログラムを、一括して消去可能である。
【特許文献1】特開平10−161988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1においては、通常運用時におけるフラッシュメモリの効率的な使用方法については開示されているが、不測の事態における対処方法、例えばプログラム書き込み中に電源の強制停止が発生した場合等における対処方法については、開示も示唆もなされていない。
【0009】
プログラムの書き込み/消去中に電源電圧が低下する等により装置の強制再起動が行われると、書き込み/消去が中断され、電源復旧後に再度書き込み/消去が最初から行われる。このため、電源復旧後の処理効率が低下するとともに、限りある書き込み/消去回数を余分に消費するという問題があった。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために考案されたものであり、フラッシュメモリに対するプログラムの書き込み/消去が電源電圧低下により強制中断された場合において、電源復旧後に書き込み/消去を効率的に再開することが可能な記録装置、及びこの記録装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、記録媒体を備え、電源部より電源電圧を受けて駆動する記録装置において、前記記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、前記電源部の状態監視を行う電源監視手段と、前記電源監視手段により前記電源部の電源電圧が予め定められた値を下回ることが検知された際に、前記書換手段の処理状態を確認し、記録処理中であることが検知された場合に、記録中断発生を示すフラグ情報、記録処理中データの記録済み部分を示す位置情報、及び記録処理中データの識別情報を前記記録媒体に記録するフラグ設定手段と、前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、前記識別情報が示すデータを、前記位置情報が示す位置から記録する記録再開手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
これによると、本発明の記録装置は、記録媒体と電源部とを備えている。また、記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、電源部の状態監視を行う電源監視手段とを備えている。電源監視手段により電源電圧の低下が検知されると、フラグ設定手段は、記録媒体に対する記録処理が行われているかどうかを確認する。記録処理が行われている場合、記録処理は中断される。そしてフラグ設定手段は、記録中断を示すフラグ情報と、データの記録済み部分を示すメモリアドレス等の位置情報と、記録処理中データのファイル名等を含む識別情報とを、記録媒体に記録する。その後、電源部の復旧により再起動が行われると、記録再開手段が記録媒体を参照し、フラグ情報が記録されているかどうかを判定する。記録されている場合、さらに識別情報及び位置情報を記録媒体から読み出す。そして識別情報が示すデータを、位置情報が示す記録中断位置から記録再開する。このため、記録処理中において電源断が発生したとしても、電源復旧後に最初から記録処理をやり直す必要がなく、記録済みデータを利用して記録再開ができる。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記記録媒体が、第一記録媒体及び第二記録媒体を含み、前記書換手段が、前記第一記録媒体に対してデータの記録及び消去を行い、前記フラグ設定手段が、前記第二記録媒体に対して前記フラグ情報、前記位置情報、及び前記識別情報を記録し、前記記録再開手段が、前記第二記録媒体から読み出した前記フラグ情報に基づいて、前記識別情報が示すデータの記録の実施/未実施を決定することを特徴とする。
【0014】
これによると、本発明の記録装置は、少なくとも第一記録媒体及び第二記録媒体を含む、複数の記録媒体を備えている。第一記録媒体は、書換手段がデータの記録及び消去を行う記録媒体である。第二記録媒体は、フラグ設定手段が、フラグ情報、位置情報、及び識別情報等を記録する記録媒体である。第一記録媒体への記録処理中に電源電圧の低下が検知され、且つ再起動が行われると、記録再開手段は、第二記録媒体から読み出したフラグ情報に基づいて記録再開の実施/未実施を決定する。このように、フラグ情報等を記録する記録媒体と、データ書き換え用の記録媒体とを分離させているため、データ記録中であってもフラグ情報等を迅速且つ確実に記録することができる。
【0015】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、記録再開の実施/未実施に関する選択要求を出力し、前記選択要求に対する記録再開指示を受け付けた場合に、前記記録再開手段に対して記録再開を許可する再開受付手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
これによると、本発明の記録装置は、電源の再起動時において記録媒体にフラグ情報が記録されているかを確認し、記録されている場合に、記録再開を行うかどうかの選択要求を行う再開受付手段を備えている。例えば、記録装置に接続されたパーソナルコンピュータ等に、記録再開を行うかどうかの旨を示すメッセージを出力し、指示を待ち受ける状態となる。これに対して、ユーザより記録再開指示がなされると、記録再開手段が記録再開を行う。このため、ユーザが記録再開を必要とする場合にのみ、中断されていた記録処理の再開を行うことができる。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記電源監視手段が、LVI(Low Voltage Inhibit)回路を用いて前記電源部の電源電圧の低下を検出することを特徴とする。
【0018】
これによると、本発明の記録装置が備える電源監視手段は、LVI回路を用いて電源部の電源電圧の低下を検出する。このため、既存の回路を流用して電源電圧の低下を迅速且つ確実に検出することができる。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記第一記録媒体がフラッシュメモリであり、前記第二記録媒体がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)であり、前記書換手段が前記フラッシュメモリに対して記録/消去するデータが装置の制御用プログラムであることを特徴とする。
【0020】
これによると、本発明の記録装置は、第一記録媒体としてフラッシュメモリ、第二記録媒体としてEEPROMを備えている。そしてフラッシュメモリに対して、画像形成装置の制御用プログラムを記録する。このため、フラッシュメモリに対する制御用プログラムの記録中に電源電圧低下を検知したとしても、電源復旧後に制御用プログラムの記録を途中から再開することができる。
【0021】
また上記目的を達成するために本発明の画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたことを特徴とする。
【0022】
これによると、本発明の画像形成装置は、上述の記録装置のいずれか備えることにより、画像形成装置の電源電圧が低下し、且つ記録装置に対する記録処理中であった場合でも、画像形成装置の電源復旧後に記録中断位置から記録処理を再開することができる。
【0023】
又、上記目的を達成するために本発明のオプション装置は、画像形成装置に接続されて機能を付加するオプション装置において、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたことを特徴としている。
【0024】
これによると、上述の記録装置のいずれか備えることにより、オプション装置の電源電圧が低下し、且つ記録装置に対する記録処理中であった場合でも、オプション装置の電源復旧後に記録中断位置から記録処理を再開することができる。
【0025】
又、上記目的を達成するために本発明のオプション装置は、画像形成装置が備える原稿読取手段に対して原稿の搬送を行う原稿搬送手段を備えたことを特徴としている。
【0026】
これによると、画像形成装置に接続されて原稿を搬送する原稿搬送装置において、本発明の記録装置が備える上記の書き換え機能を実施することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、データ書き換え処理中に電源電圧の低下が検知され、且つ電源復旧後にデータ記録処理が再開された場合に、電源電圧低下時に記録中断した位置より記録を再開することができる。このため、記録済みのデータを利用して、電源復旧後の記録時間の短縮を図ることができるとともに、有限である書き込み/消去回数を有効利用し、長寿命化を図ることができる。
【0028】
また本発明では、フラグ情報等を記録する記録媒体と、データ書き換え用の記録媒体とを分離させることにより、電源電圧低下時にフラグ情報等を迅速に記録することができる。このため、電源電圧低下検知から電源断までの時間において、フラグ情報の書き込みに失敗する確率を低減することができる。
【0029】
また本発明では、電源復旧後において記録再開を行うかどうかの選択要求を行う。これに対して、ユーザより記録再開指示がなされた場合のみ、中断されていた記録処理の再開を行う。このため、記録再開が不要であるにもかかわらず記録処理が実施されるといった、不要な処理が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像読取装置、及び画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0031】
[実施の形態1]
〈1.装置の概略構成〉
ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略を、図2を用いて説明する。図2は、画像形成装置1の概略構成を示す正面から見た模型的断面図である。
【0032】
図2に示すように、画像形成装置1は、箱形を呈した本体部4を有している。本体部4の上方には画像読取装置2が配され、その上面に載置された原稿搬送装置3(=オプション装置)が設けられている。
【0033】
ここではまず、原稿搬送装置3の概略構成について説明する。
【0034】
原稿搬送装置3は、本体部4に図2の紙面奥側を支点として、本体部4に開閉自在に取り付けられる。原稿搬送装置3は、原稿載置トレイ10から原稿搬送路11に沿って原稿搬送方向上流側から順に、原稿載置トレイ10、原稿ピックアップローラ12、原稿搬送ローラ対13、原稿排出ローラ対14、原稿排出トレイ15等を備える。
【0035】
原稿載置トレイ10は、複数枚の原稿を載置できるようになっていて、原稿搬送路11上流端に接続される。原稿ピックアップローラ12は、原稿載置トレイ10上の原稿のうち、最上面の原稿に当接する位置に配されている。原稿読み取り、又は画像形成の実施指示が画像形成装置1に対してなされると、原稿ピックアップローラ12は原稿搬送路11に向けて原稿を送り出す。
【0036】
原稿搬送路11に送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ対13やガイドに導かれつつ、原稿通過面51の上面を通過する。詳細は後述するが、この際に、画像読取装置2によって、原稿の読み取りがなされる。そして、読み取りが完了した原稿は、ガイドや原稿搬送ローラ対13、原稿排出ローラ対14を通過して、排出トレイ15に排出される。
【0037】
次に、本体部4の概略構成について説明する。
【0038】
本体部4は、その内部に、シート供給部20、シート搬送路24、画像形成部30、定着装置40、シート排出部43等を備えている。本体部4の中央上方位置には、排紙空間が設けられる。そこで、これらの構成をシートSの搬送経路に沿って説明する。なお、図2において、シートSの本体部4内での搬送経路を実線矢印で図示する。
【0039】
まず、シート供給部20は、画像形成部30に向けて、コピー用紙やOHPシート等のシートSを送り出すためのものであり、本体部4の最下部に設けられる。シート供給部20は、給紙カセット21、シート載置板22、給紙ローラ23を含むように構成される。
【0040】
給紙カセット21は、複数のシートSを積載し収容するためのものであって、箱型且つ上面が開放されていて、シート補給のため本体部4から引き出して脱着可能である。給紙カセット21内には、複数のシートSが載置されるシート載置板22が設けられる。また、給紙カセット21のシート搬送方向下流側上部(図2における左上方位置)に、給紙ローラ23が設けられる。
【0041】
シート搬送路24は、画像形成装置1内でシートSを搬送するためのものであり、シート供給部20から、画像形成部30、定着装置40を経て、シート排出部43までシートSを搬送する。そのため、シート搬送路24は、本体部4内を上下方向に貫くように形成される。そして、シート搬送路24は、搬送ローラ対25やシートSを案内するための複数のガイド板(不図示)で構成される。
【0042】
画像形成部30のシート搬送方向上流側の手前には、レジストローラ対26が設けられる。レジストローラ対26は、搬送されてきたシートSを一旦止め、シートSの適切な位置でトナー像が転写されるように、所定のタイミングと速度でシートSを画像形成部30に向けて送り出す。
【0043】
前記画像形成部30は、画像読取装置2が読み取った原稿や画像形成装置1に入力された画像データに基づき、形成すべき画像のトナー像を形成し、シートSに転写を行う。図2の例では、本体部4の中央よりやや左方の位置に配される。そして、画像形成部30は、像担持体としての感光体ドラム31、帯電装置32、露光装置33、現像装置34、転写ローラ36、クリーニング装置37等で構成されている。
【0044】
感光体ドラム31は、画像形成部30の略中央位置に配され、駆動装置(不図示)によって所定の方向(図2では時計方向)に回転駆動される。前記感光体ドラム31は例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上に、正帯電のOPCやアモルファスシリコンの感光層を有するように構成される。そして、感光体ドラム31の周面上に静電潜像が形成された後、トナーが供給されトナー像が感光体ドラム31の周面上に形成される。
【0045】
帯電装置32は、図2の例では感光体ドラム31の右斜め上方に対向して配され、所定の電位で感光体ドラム31の周面を帯電させる。本実施形態では、帯電装置32としてコロナ帯電器を用いるが、感光体ドラム31表面を所定の電位に帯電できるものであれば、帯電ローラやブラシによる帯電装置32を用いてもよい。
【0046】
露光装置33は、図2の例では感光体ドラム31及び帯電装置32の右側方に配される。露光装置33は、一様に帯電された感光体ドラム31の周面に、形成すべき画像の画像データに基づき、光を感光体ドラム31に対し照射し、感光体ドラム31の周面を走査、露光する。これにより、感光体ドラム31の周面上に静電潜像が形成される。
【0047】
現像装置34は、図2の例では感光体ドラム31の下方に設けられ、トナーを収容するとともに、トナーを所定の電位に帯電させ、そのトナーを感光体ドラム31の周面上に形成された静電潜像に向けて供給する。現像装置34内には、トナー供給のため、感光体ドラム31と所定の隙間が設けられつつ対向する位置に現像ローラ35が設けられる。現像ローラ35は、周面にトナーを担持しつつ所定の方向に回転する。現像ローラ35に所定の電圧が印加されると、トナーは像担持体に向けて飛翔し、静電潜像の現像が行われる。
【0048】
転写ローラ36は、図2の例では感光体ドラム31の左斜め下方に回転可能に支持される。転写ローラ36は、感光体ドラム31上に形成されたトナー像をシートSに転写するためのものであり、感光体ドラム31に当接し、転写のためのニップを形成する。ニップにシートSが進入すると、転写ローラ36に感光体ドラム31の帯電極性と逆の極性の電圧が印加され、トナー像がシートSへ転写される。
【0049】
クリーニング装置37は、図2の例では感光体ドラム31の上方に配される。クリーニング装置37は、感光体ドラム31の周面上の残トナーや塵芥等を除去、回収するものである。本実施形態では、感光体ドラム31の軸線方向に伸びて形成されるブレードを感光体ドラム31に当接させている。
【0050】
前記定着装置40は、シートSに転写されたトナー像を加圧、加熱してトナーを溶融し、シートSに固着させるためのものである。前記定着装置40は、加熱ローラ41、加圧ローラ42等で構成されている。加熱ローラ41内には発熱体(不図示)が内蔵されている。発熱体は、トナーを溶融できる温度にまで加熱ローラ41を暖める。加圧ローラ42は、例えばシリコンゴム等の弾性を有する材料を用いて形成されている。
【0051】
加熱ローラ41と加圧ローラ42とは、圧接されニップを形成している。このニップに、トナー像が転写されたシートSを進入させることにより、シートSへのトナーの定着が行われる。定着が完了したシートSは、排出部43へと搬送される。そして排出部43の側方に設けられた排出トレイ44に向けて、排出ローラ対45により排出される。
【0052】
次に、画像読取装置2の概略構成について説明する。
【0053】
図2に示すように、本実施形態における画像読取装置2は本体部4の上部に備え付けられた箱形の筐体50を有する。そして、画像読取装置2の上面には、図2の左方から、原稿通過面51、原稿搬送ガイド53、原稿載置面52が配される。
【0054】
前記原稿通過面51は、原稿搬送装置3により搬送される原稿が接触しつつ通過する面である。後述する読取ユニット60を原稿通過面51の下方に配置した状態で留めておき、原稿を通過させて原稿の読み取りを行う。一方、前記原稿載置面52は、原稿搬送装置3を使用できない場合、例えば書籍や新聞等を読み取る場合において、原稿搬送装置3を持ち上げた上で、読み取るべき原稿を下向きにして原稿を載置する面である。
【0055】
原稿載置面52における原稿の読み取りは、読取ユニット60を原稿載置面52の下方に配置して、ワイヤ54及び巻取ドラム55によりホームポジションから図2の右方向に水平に移動させて行う。これらの原稿通過面51及び原稿載置面52は、例えば、ガラスのような透光性の材料で一定の厚さを有する矩形状の板状部材により形成される。
【0056】
図2に示すように、原稿通過面51と原稿載置面52の間に挟み込まれるように、原稿搬送ガイド53が設けられる。原稿搬送ガイド53は、原稿通過面51を通過した原稿を、原稿排出ローラ対14に導き、原稿を斜め上方にガイドするための曲面を有する。
【0057】
画像読取装置2の筐体50内には、図2に示すように、ワイヤ54、巻取ドラム55、レンズ56、イメージセンサ57、読取ユニット60等が配される。
【0058】
読取ユニット60は、第1読取ユニット601と、第2読取ユニット602から構成される。なお、第1読取ユニット601は上方に、第2読取ユニット602は下方に配される。そして、この第1及び第2読取ユニット601、602にはワイヤ54が取り付けられ、ワイヤ54の他端が巻取ドラム55につながり、巻取ドラム55が回転することで、読取ユニット60が水平方向に移動する。なおワイヤ54及び巻取ドラム55は図示している数に限定されるものではなく、複数のものを組み合わせた構成でもよい。
【0059】
例えば、巻取ドラム55一つに対して、二本のワイヤ54が巻き付けられており、この二本のワイヤ54は、それぞれ長手方向において異なる方向に伸びるように(図2では簡略化のため一本のみ図示)巻取ドラム55に巻き付けられる。片側につき二本(計四本)のワイヤ54を複数のプーリ(不図示)によって適宜架け渡し、この二本のワイヤ54と第1読取ユニット601及び第2読取ユニット602を連結させる。そして、モータの正逆回転を制御すると、走査方向に沿って自在に読取ユニット60を移動させることができる。
【0060】
〈2.機能構成について〉
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1が含む各装置の機能構成を、図3のブロック図を参照しつつ説明する。
【0061】
図3のブロック図に示すように、本実施形態の画像形成装置1は少なくとも、本体部4が備えるシート供給部20、画像形成部30、定着装置40、フラッシュメモリ71(=第一記録媒体)、EEPROM72(=第二記録媒体)、外部接続端子73、操作パネル74、電源部80、及び制御部90と、画像読取装置2が備える読取ユニット60と、原稿搬送装置3が備える制御部100、フラッシュメモリ111(=第一記録媒体)、EEPROM112(=第二記録媒体)、原稿搬送部120(=原稿搬送手段)、及び電源部130とを含むように構成されている。なお、図2において既に説明を行っている装置については、ここでは説明を省略する。
【0062】
フラッシュメモリ71は、本体部4が保持する各種データを一時的に記録する記録媒体である。フラッシュメモリ71は、例えば制御部90が各装置の制御を行うために用いる制御プログラムや、各種制御よって発生する処理データ、設定データ、ユーザデータ等を記録する役割を持つ。フラッシュメモリは不揮発の記録媒体であるが、1バイト単位の書き込み/消去が不可能であり、セクタ単位、或いはブロック単位でしか書き込み/消去を行うことができない。
【0063】
EEPROM72は、半導体メモリの一種で、電気的にデータの消去が可能なROM(read-only memory)である。EEPROM72は、フローティングゲートからドレインにトンネル効果を利用して電子を引き抜くことにより、電気的な操作のみで消去を行うことが可能である。フラッシュメモリ71と異なる点として、1バイト単位の書き込み/消去が可能である。
【0064】
外部接続端子73は、画像形成装置1を外部記録媒体や通信網に接続するためのインタフェースである。外部接続端子73は例えば、USBメモリを接続するためのUSB接続端子、コンパクトフラッシュ(登録商標)やSDメモリカードを接続するためのカードスロット、LANケーブルを接続するためのLANコネクタ及びネットワークカード、シリアルケーブルを接続するためのシリアルポート等を含む。外部接続端子73より入力されたデータは、後述する書換実施部91によって記録が行われる。
【0065】
操作パネル74は、ユーザが画像形成装置1に対して複写指示やユーザ情報の入力指示等を行うための操作ボタン群と、情報の表示を行う液晶表示パネルとを含む。操作パネル74により入力された指示は制御部90により受け付けられ、指示の内容に基づいて各種制御処理が行われる。なお、液晶表示パネルがタッチパネルを備え、タッチパネルによりユーザ操作を受け付ける形態でもよい。
【0066】
電源部80は、本体部4備える各装置に対して駆動電圧を供給する。電源部80は、例えば外部の商用電源(不図示)や内部バッテリー(不図示)から電力を受けて、交流から直流への変換や整流、電圧調整等を行う。また電源部80は、LVI(Low Voltage Indicater)回路81、及びPOC(Power-On Clear)回路82(図1参照)、電源回路83を備えている。
【0067】
LVI回路81は、一定の基準電圧VLVIを出力する基準電圧発生回路と、電源回路83が出力する電源電圧VDDを分圧抵抗によって分圧して出力する分圧回路と、これら各出力を比較し、その判定結果を出力するコンパレータとから構成される低電圧検出回路である。LVI回路81によって電源電圧VDDの状態は監視され、分圧電圧が基準電圧VLVIよりも低くなった場合に、コンパレータからプログラム割り込み信号が出力され、制御部90に送られる。
【0068】
POC回路82は、LVI回路81と同様の方法により、基準電圧発生回路から出力される基準電圧VPOCと電源回路83が出力する電源電圧VDDとを比較する。なお、VPOCは、制御部90の動作に異常が生じる可能性がある電圧を示す。この値以下に電源電圧VDDが低下した場合、内部リセット信号が出力され、制御部90に送られる。これを受けた制御部90は、レジスタの初期化やメモリのクリア等、いわゆるパワーオンクリア動作を含めた、電源停止処理を行う。
【0069】
例えば図6に示す例では、電源回路83から供給される電源電圧VDDをLVI回路81が監視し、基準電圧VLVIを下回った時点(=t1)で、制御部90に対してプログラム割り込み信号を出力する。また電源電圧VDDをPOC回路82が監視し、VPOCを下回った時点(=t2)で、制御部90に対して内部リセット信号を出力する。なお、VLVI及びVPOCの具体的な値については、設計事項の範囲内において適宜変更可能である。
【0070】
制御部90は、本体部4を構成する各装置の動作を制御することにより、印刷処理やシート搬送処理等を実施する。制御部90は、例えば複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部90は、各装置、例えば本体部4の制御やデータの計算、画像処理等を行う中枢部分となっている。なお、制御部90が所定のプログラムを実行することにより実現される機能部(図1の書換実施部91〜起動時書換部94)の詳細については後述する。
【0071】
原稿搬送装置3が備える制御部100、フラッシュメモリ111、EEPROM112、及び電源部130については、上述の制御部90、フラッシュメモリ71、EEPROM72、及び電源部80とほぼ同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。なお、電源部130に関しては、電源部80に接続されて電力供給を受ける形態であってもよい。
【0072】
原稿搬送部120は、原稿の載置及び搬送を行い、原稿を読取ユニット60の読取部まで移動させるものである。図2の例では、原稿載置トレイ10〜原稿排出トレイ15がこれに相当する。
【0073】
次に、制御部90が備える機能部について、図1を用いつつ説明する。図1に示すように制御部90は、書換実施部91(=書換手段)、電源監視部92(=電源監視手段)、フラグ設定部93(=フラグ設定手段)、及び起動時書換部94(=記録再開手段、再開受付手段)を備えている。
【0074】
書換実施部91は、ユーザ指示等により発行されるプログラム書き換え(=書き込み/消去)指示に従い、フラッシュメモリ71に記録されている所定のプログラムの書き換えを行う。なお、所定のプログラムの一例としては、本体部4の統括制御を行うファームウェアプログラム等が書き換えの対象となる。
【0075】
電源監視部92は、LVI回路81及びPOC回路82から出力される各種信号を待ち受ける。そして信号を受信した際に、受信信号の内容に応じて、本体部4の再起動処理や、予め定められたプログラム割り込み処理等を行う。電源監視部92は、LVI回路81よりプログラム割り込み信号を受けることにより、次に説明するフラグ設定部93に対してフラグ設置処理の指示を行う。
【0076】
フラグ設定部93は、電源監視部92によりプログラム割り込み信号が受信された際、つまり電源電圧の低下が検知された際に、書換実施部91の処理状態を確認する。そしてフラッシュメモリ71に対するプログラムの記録処理中である場合に、記録済みデータのデータ記録位置を示す位置情報、例えばメモリアドレス情報と、記録中のプログラムを特定するための識別情報、例えばファイル名とを取得して、EEPROM72に記録する。なお識別情報には、ファイル名の他にバージョン情報や更新日時情報等が含まれている形態でもよい。またフラグ設定部93は、書き込み処理が完了していないことを示すフラグ情報も、EEPROM72に記録する。なお、以上の処理は電源電圧が図6に示すVPOCを下回るまでの期間に実行する。
【0077】
起動時書換部94は、画像形成装置1の電源が起動された際に、EEPROM72より上記のフラグ情報が存在するかどうかの判定を行う。フラグ情報が存在する、つまり前回電源断時にプログラム記録処理が中断されたことが示されている場合、該当プログラムの書き換え処理を再開する。なお、書き換え処理の再開には、EEPROM72に記録されている位置情報やプログラムの識別情報を用いて行う。
【0078】
〈3.書き換え動作について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1における、プログラム書き換え動作の処理フローについて、図4及び図5のフロー図を用いながら説明する。
【0079】
図4に示す処理フローは、画像形成装置1の電源が起動され、且つ書換実施部91がフラッシュメモリ71へのプログラム書き換え指示を受け付けることにより開始される。なおプログラム書き換え指示は、例えば外部接続端子73にUSBメモリ等の外部記録媒体が接続され、且つ外部記録媒体の内部に書き換え対象のプログラムが存在することを書換実施部91が検知した場合等において発行される。
【0080】
上記の指示を受けた書換実施部91は、指定されたプログラムをフラッシュメモリ71に書き込む。なお古いバージョンのプログラムが既にフラッシュメモリ71に記録されている場合は、予め古いバージョンのプログラムの消去を行ってから、書き込みを開始する。
【0081】
次に書換実施部91はステップS110において、指定されたプログラム書き込み処理が完了したかどうかの判定を行う。書き込みが完了している場合、本処理を終了する。書き込みが完了していない場合、電源監視部92はステップS120において、電源回路83から供給される電源電圧の低下を検知したかどうかの判定を行う。
【0082】
電源電圧の低下は、図6に示すようにLVI回路81を用いて行う。電源電圧VDDが基準電圧VLVIを下回っていない場合、再びステップS110へ移行する。電源電圧VDDが基準電圧VLVIを下回った場合、つまり電源監視部92がLVI回路81よりプログラム割り込み信号を受け付けた場合、フラグ設定部93はステップS130において、フラグ情報をEEPROM72に記録する。さらにフラグ設定部93はステップS140において、書き込み中断位置を示す位置情報をEEPROM72に記録する。
【0083】
さらにフラグ設定部93はステップS150において、書き込み中であったプログラムを識別するための識別情報を、EEPROM72に記録する。これらの記録処理が完了した時点で、本処理を終了する。
【0084】
次に、画像形成装置1の電源起動時における処理フローを、図5を用いて説明する。図5に示す処理フローは、画像形成装置1が電源起動指示を受け付けることにより開始される。なお電源起動指示は、例えば操作パネル74に含まれる電源スイッチが、ユーザにより押下された場合等に発行される。
【0085】
本処理の開始後、起動時書換部94はステップS210において、EEPROM72よりフラグ情報の読み出しを行う。なおここで言うフラグ情報とは、フラグ設定部93によって上述のステップS130において記録されたフラグ情報を指す。
【0086】
次に起動時書換部94はステップS220において、フラグ情報の読み出しに成功したかどうかの判定を行う。フラグ情報の読み出しに失敗した場合、通常の起動処理を行うため、本処理を終了する。書き込み中フラグの読み出しに成功した場合、起動時書換部94はステップS230において、書き換え再開指示を受け付けたかどうかの判定を行う。
【0087】
書き換え再開指示は例えば、操作パネル74において所定のユーザ操作がなされた場合や、USBメモリ等の外部記録装置(不図示)に所定の識別情報を持つデータが存在することが検知された場合等に発行される。或いは、電源復旧時において、前回電源断時に書き換え中断が発生したことを示すメッセージを操作パネル74に出力し、書き換えを再開するかどうかの指示待ち画面を表示する形態であってもよい。
【0088】
書き換え再開指示を検知しなかった場合、起動時書換部94は書き換えの再開を行わず、通常の起動処理を行うため本処理を終了する。なおこの場合、所定時間が経過することにより、EEPROM72に記録されているフラグ情報、アドレス情報、及び識別情報を、フラグ設定部93が消去することが望ましい。
【0089】
書き換え再開指示を検知した場合、起動時書換部94はステップS240において、EEPROM72より書き込み中断位置を示す位置情報を読み出す。さらに起動時書換部94はステップS250において、EEPROM72より書き込み中であったプログラムを示す識別情報を読み出す。
【0090】
次に起動時書換部94はステップS260において、書き込み再開指示により指定されたプログラムの識別情報と、EEPROM72より読み出した識別情報とが一致するかを判定する。一致しない場合は本処理を終了する。
【0091】
一致する場合、起動時書換部94はステップS270において、読み出した位置情報が示す書き込み中断位置から、プログラムの書き込みを再開する。さらに起動時書換部94はステップS280において、EEPROM72に記録されているフラグ情報を初期化した後、本処理を終了する。なお、起動時書換部94による書き換え処理か再開された時点で、図4に示すステップS110に移行する形態でもよい。
【0092】
以上に説明した本実施形態によると、書換実施部91によるプログラム書き換え実施中に電源電圧の低下が発生した場合であっても、電源復旧時に起動時書換部94が中断位置より書き換えを再開するため、書き換え処理を最初からやり直す必要がなく、処理時間の短縮、及びフラッシュメモリ71の長寿命化を図ることができる。
【0093】
また以上に説明した本実施形態によると、フラグ情報等を記録するEEPROM72と、制御用プログラム記録用のフラッシュメモリ71との二つの記録装置を用いることにより、電源電圧低下時にフラグ情報等を迅速に記録できる。つまり図6に示すt1からt2の間に、記録再開に必要な情報をより確実に記録し、記録失敗を防止することができる。
【0094】
[実施の形態2]
次に、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置について、図7を用いて説明する。なお、装置の概略構成に関しては実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
実施の形態1と異なり、本実施形態では、書き換え対象のプログラムが画像形成装置1のフラッシュメモリ71に書き込まれのではなく、原稿搬送装置3のフラッシュメモリ111に書き込まれる。図7は、本実施形態の原稿搬送装置3が備える機能部の構成示したものである。
【0096】
図7に示すように、原稿搬送装置3が備える制御部100は、実施の形態1の制御部90と同様、書換実施部101〜起動時書換部104を備えている。書換実施部101は、本体部4の制御部90から与えられた指示及びプログラムデータを受けて、フラッシュメモリ111に記録されている所定のプログラムの書き換えを行う。或いは、原稿搬送装置3が操作パネル(不図示)や外部接続端子(不図示)を備えており、これらの装置により受け付けた指示及びプログラムデータにより、書き換えを行う形態であってもよい。
【0097】
電源監視部102は、本体部4が備える制御部90と相互通信を行い、制御部90が実施する電源関連の処理の処理状態を監視する。例えば、制御部90がLVI回路81やPOC回路82から各種通知を受け付け、プログラム割り込み処理やパワーオンクリア動作を実施したかどうかを監視する。プログラム割り込み処理が検知された場合、電源監視部102はフラグ設定部103に対してフラグ設定処理の指示を行う。
【0098】
フラグ設定部103及び起動時書換部104は、フラグ設定部93及び起動時書換部94とほぼ同機能である。異なる点は、記録/読み出し対象となる記録装置が異なる、つまりフラッシュメモリ111及びEEPROM112を記録/読み出し対象としていることである。このため、詳細については、ここでは説明を省略する。また、処理フローに関しても、実施の形態1の図4及び図5とほぼ同様の内容となるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
以上に説明した本実施形態によると、電源電圧低下時/電源復旧時の書き込み中断処理/再開処理を、原稿搬送装置3単独で実施することができる。このため、原稿搬送装置3が接続される画像形成装置1が変越されたとしても、本発明の記録再開処理を実施することができる。
【0100】
[実施の形態3]
次に、本発明の第三の実施形態に係る画像形成装置について、図8を用いて説明する。なお、装置の概略構成に関しては実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0101】
実施の形態1と異なり、本実施形態では、図8に示すように、フラッシュメモリ71(=記録装置)が内蔵するフラッシュメモリコントローラ71aが書換実施部91〜起動時書換部94を備えている。なお、各機能部の概要については、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0102】
第一記録領域71b(=第一記録媒体)は、例えば制御部90が各装置の制御を行うために用いる制御プログラムや、各種制御よって発生する処理データ、設定データ、ユーザデータ等を記録する領域である。第二記録領域71c(=第二記録媒体)は、電源電圧低下時における記録再開のためのフラグ情報、位置情報、及び識別情報を記録するための領域である。
【0103】
電源監視部92は、本体部4が備える制御部90と相互通信を行い、制御部90が実施する電源関連の処理の処理状態を監視する。プログラム割り込み処理が検知された場合、電源監視部92はフラグ設定部93に対してフラグ設定処理の指示を行う。これにより、第一記録領域71bに対するデータ記録を中断し、記録再開要の各種情報を第二記録領域に記録する。そして電源復旧後に、上記各種情報に基づいて、第一記録領域に対する記録処理の再開を行う。なお、処理の詳細については、実施の形態1の図4及び図5と同様の内容となるため、ここでは説明を省略する。
【0104】
以上に説明した本実施形態によれば、フラッシュメモリ71が単体で他装置に移植されたとしても、移植先装置において、本発明の記録再開処理を実施することができる。
【0105】
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0106】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、本発明の実施対象として画像形成装置1を例に説明を行っているが、上記以外の画像形成装置において本発明を実施したとして、同様の効果が達成される。例えば、複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置において実施することが可能である。
【0107】
(B)本実施形態では、本発明のプログラム書き換え処理に関連する各種機能部、例えば書換実施部91〜起動時書換部94が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種処理部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0108】
(C)本実施形態では、記録済みデータのアドレス情報や識別情報を記録する第二記録媒体としてEEPROM72を例に説明しているが、これ以外の記録媒体を用いる形態でもよい。例えば、外部接続端子73に接続されたSDカードメモリや、ハードディスク等を用いる形態であってもよい。或いは、外部接続端子73により接続された通信網に存在する通信装置、例えばネットワークサーバ等を、記録媒体として用いる形態であってもよい。また、フラッシュメモリ71を第二記録媒体の代替として使用する形態であってもよい。
【0109】
(D)本実施形態では、フラグ設定部93がフラグ情報等を記録する対象として制御用プログラムを例に説明を行っているが、これ以外のデータに対して、電源電圧低下時にフラグ情報等を記録する形態であってもよい。例えば画像形成装置1の設定データ、ユーザデータ、エラー履歴データ、原稿読み取り数等を含む保守運用データ、画像データ等に関して、電源電圧低下時にフラグ情報等をEEPROM72に記録し、電源復旧後に書き込みを再開する形態であってもよい。このように、制御用プログラムよりも比較的書き換え頻度の高い上記データを処理対象とすることにより、本発明の書き換え再開機能をより有効に活用し、よりフラッシュメモリ71の長寿命化を図ることができる。
【0110】
(E)本実施形態では、フラグ設定部93がEEPROM72に記録する位置情報としてメモリアドレス情報を用いているが、これ以外の情報を用いて、記録中断位置を示す形態でもよい。例えば、記録処理中データの先頭から何バイト目まで記録済みであるかを示すデータサイズ情報や、バイナリアドレス情報等を用いる形態でもよい。
【0111】
(F)本実施形態では、本発明の記録装置を備えたオプション装置として原稿搬送装置3を例に説明を行っているが、上記以外のオプション装置において本発明を実施したとしても、同様の効果が達成される。例えば、フィニッシャー、ペーパーフィーダ、メールボックス、FAXキット、セキュリティキット等のオプション装置において実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の制御部が備える機能部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置の概略構成を示す正面から見た断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のプログラム書き換え処理の処理フローを示すフロー図である。
【図5】本発明のプログラム書き換え処理の処理フローを示すフロー図である。
【図6】本発明の画像形成装置が備える電源部の電圧降下を示すグラフ図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係る原稿搬送装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係る記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 原稿搬送装置(オプション装置)
71、111 フラッシュメモリ(記録装置、第一記録媒体)
71b 第一記録領域(第一記録媒体)
71c 第二記録領域(第二記録媒体)
72、112 EEPROM(第二記録媒体)
80、130 電源部
91、101 書換実施部(書換手段)
92、102 電源監視部(電源監視手段)
93、103 フラグ設定部(フラグ設定手段)
94、104 起動時書換部(記録再開手段、再開受付手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、画像形成装置、及びオプション装置に関するものであり、特に入力データを用いてデータ書き換え可能な記録装置、画像形成装置及びオプション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、FAX等の画像形成装置においては、粉末の現像剤(以下、「トナー」という)が使用され、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって可視化し、そのトナー像を記録媒体(以下、「シート」という)上に転写した後、定着処理を行うものが一般的である。
【0003】
上記のような画像形成装置として、制御プログラム等を記録する記録装置にフラッシュメモリを使用した画像形成装置が実用化されている。フラッシュメモリは、不揮発性のためバックアップ電源が不要であり、電気的に書き換えることができる。しかし、次のような問題点もある。
【0004】
フラッシュメモリは、記録されているデータを一旦消去しなければ、データの書き込みができない。また、バイト単位での書き込み/消去ができず、数キロバイト〜数十キロバイトのセクタ単位、或いはブロック単位でしか書き込み/消去ができない。このため、読み出し速度に対して、書き込み速度や消去速度が遅いという欠点がある。
【0005】
またフラッシュメモリは、書き込み/消去回数に制限がある。少ない物では100〜300回、コントローラを集積して書き込み/消去が特定ブロックに集中しないように改良された物でも、数万回から数百万回が限度である。このため、使用領域に偏りがあると、書き込み/消去回数の多い部分が先に不良となり、使用可能領域が減少する。
【0006】
上記に関連して特許文献1には、ブートプログラムとユーザプログラムとの双方を格納したフラッシュメモリに適した消去回路を備えたマイクロコンピュータが開示されている。ユーザプログラムとは、アプリケーションの実行や操作受け付け等を行うプログラムである。ブートプログラムとは、装置の起動や、ユーザプログラムの書き換え等を行うプログラムである。ブートプログラムはその特性から、ユーザプログラムと比較して書き換えられる頻度が低いのが通常である。
【0007】
特許文献1のマイクロコンピュータは、フラッシュメモリを、ブートプログラムを記録する第一の領域と、ユーザプログラムを記録する第二の領域とで分割管理している。そして第二の領域だけを消去するための選択消去手段を有している。このため、第二の領域に記録されたユーザプログラムを、一括して消去可能である。
【特許文献1】特開平10−161988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1においては、通常運用時におけるフラッシュメモリの効率的な使用方法については開示されているが、不測の事態における対処方法、例えばプログラム書き込み中に電源の強制停止が発生した場合等における対処方法については、開示も示唆もなされていない。
【0009】
プログラムの書き込み/消去中に電源電圧が低下する等により装置の強制再起動が行われると、書き込み/消去が中断され、電源復旧後に再度書き込み/消去が最初から行われる。このため、電源復旧後の処理効率が低下するとともに、限りある書き込み/消去回数を余分に消費するという問題があった。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために考案されたものであり、フラッシュメモリに対するプログラムの書き込み/消去が電源電圧低下により強制中断された場合において、電源復旧後に書き込み/消去を効率的に再開することが可能な記録装置、及びこの記録装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、記録媒体を備え、電源部より電源電圧を受けて駆動する記録装置において、前記記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、前記電源部の状態監視を行う電源監視手段と、前記電源監視手段により前記電源部の電源電圧が予め定められた値を下回ることが検知された際に、前記書換手段の処理状態を確認し、記録処理中であることが検知された場合に、記録中断発生を示すフラグ情報、記録処理中データの記録済み部分を示す位置情報、及び記録処理中データの識別情報を前記記録媒体に記録するフラグ設定手段と、前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、前記識別情報が示すデータを、前記位置情報が示す位置から記録する記録再開手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
これによると、本発明の記録装置は、記録媒体と電源部とを備えている。また、記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、電源部の状態監視を行う電源監視手段とを備えている。電源監視手段により電源電圧の低下が検知されると、フラグ設定手段は、記録媒体に対する記録処理が行われているかどうかを確認する。記録処理が行われている場合、記録処理は中断される。そしてフラグ設定手段は、記録中断を示すフラグ情報と、データの記録済み部分を示すメモリアドレス等の位置情報と、記録処理中データのファイル名等を含む識別情報とを、記録媒体に記録する。その後、電源部の復旧により再起動が行われると、記録再開手段が記録媒体を参照し、フラグ情報が記録されているかどうかを判定する。記録されている場合、さらに識別情報及び位置情報を記録媒体から読み出す。そして識別情報が示すデータを、位置情報が示す記録中断位置から記録再開する。このため、記録処理中において電源断が発生したとしても、電源復旧後に最初から記録処理をやり直す必要がなく、記録済みデータを利用して記録再開ができる。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記記録媒体が、第一記録媒体及び第二記録媒体を含み、前記書換手段が、前記第一記録媒体に対してデータの記録及び消去を行い、前記フラグ設定手段が、前記第二記録媒体に対して前記フラグ情報、前記位置情報、及び前記識別情報を記録し、前記記録再開手段が、前記第二記録媒体から読み出した前記フラグ情報に基づいて、前記識別情報が示すデータの記録の実施/未実施を決定することを特徴とする。
【0014】
これによると、本発明の記録装置は、少なくとも第一記録媒体及び第二記録媒体を含む、複数の記録媒体を備えている。第一記録媒体は、書換手段がデータの記録及び消去を行う記録媒体である。第二記録媒体は、フラグ設定手段が、フラグ情報、位置情報、及び識別情報等を記録する記録媒体である。第一記録媒体への記録処理中に電源電圧の低下が検知され、且つ再起動が行われると、記録再開手段は、第二記録媒体から読み出したフラグ情報に基づいて記録再開の実施/未実施を決定する。このように、フラグ情報等を記録する記録媒体と、データ書き換え用の記録媒体とを分離させているため、データ記録中であってもフラグ情報等を迅速且つ確実に記録することができる。
【0015】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、記録再開の実施/未実施に関する選択要求を出力し、前記選択要求に対する記録再開指示を受け付けた場合に、前記記録再開手段に対して記録再開を許可する再開受付手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
これによると、本発明の記録装置は、電源の再起動時において記録媒体にフラグ情報が記録されているかを確認し、記録されている場合に、記録再開を行うかどうかの選択要求を行う再開受付手段を備えている。例えば、記録装置に接続されたパーソナルコンピュータ等に、記録再開を行うかどうかの旨を示すメッセージを出力し、指示を待ち受ける状態となる。これに対して、ユーザより記録再開指示がなされると、記録再開手段が記録再開を行う。このため、ユーザが記録再開を必要とする場合にのみ、中断されていた記録処理の再開を行うことができる。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記電源監視手段が、LVI(Low Voltage Inhibit)回路を用いて前記電源部の電源電圧の低下を検出することを特徴とする。
【0018】
これによると、本発明の記録装置が備える電源監視手段は、LVI回路を用いて電源部の電源電圧の低下を検出する。このため、既存の回路を流用して電源電圧の低下を迅速且つ確実に検出することができる。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明の記録装置は、前記第一記録媒体がフラッシュメモリであり、前記第二記録媒体がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)であり、前記書換手段が前記フラッシュメモリに対して記録/消去するデータが装置の制御用プログラムであることを特徴とする。
【0020】
これによると、本発明の記録装置は、第一記録媒体としてフラッシュメモリ、第二記録媒体としてEEPROMを備えている。そしてフラッシュメモリに対して、画像形成装置の制御用プログラムを記録する。このため、フラッシュメモリに対する制御用プログラムの記録中に電源電圧低下を検知したとしても、電源復旧後に制御用プログラムの記録を途中から再開することができる。
【0021】
また上記目的を達成するために本発明の画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたことを特徴とする。
【0022】
これによると、本発明の画像形成装置は、上述の記録装置のいずれか備えることにより、画像形成装置の電源電圧が低下し、且つ記録装置に対する記録処理中であった場合でも、画像形成装置の電源復旧後に記録中断位置から記録処理を再開することができる。
【0023】
又、上記目的を達成するために本発明のオプション装置は、画像形成装置に接続されて機能を付加するオプション装置において、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたことを特徴としている。
【0024】
これによると、上述の記録装置のいずれか備えることにより、オプション装置の電源電圧が低下し、且つ記録装置に対する記録処理中であった場合でも、オプション装置の電源復旧後に記録中断位置から記録処理を再開することができる。
【0025】
又、上記目的を達成するために本発明のオプション装置は、画像形成装置が備える原稿読取手段に対して原稿の搬送を行う原稿搬送手段を備えたことを特徴としている。
【0026】
これによると、画像形成装置に接続されて原稿を搬送する原稿搬送装置において、本発明の記録装置が備える上記の書き換え機能を実施することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、データ書き換え処理中に電源電圧の低下が検知され、且つ電源復旧後にデータ記録処理が再開された場合に、電源電圧低下時に記録中断した位置より記録を再開することができる。このため、記録済みのデータを利用して、電源復旧後の記録時間の短縮を図ることができるとともに、有限である書き込み/消去回数を有効利用し、長寿命化を図ることができる。
【0028】
また本発明では、フラグ情報等を記録する記録媒体と、データ書き換え用の記録媒体とを分離させることにより、電源電圧低下時にフラグ情報等を迅速に記録することができる。このため、電源電圧低下検知から電源断までの時間において、フラグ情報の書き込みに失敗する確率を低減することができる。
【0029】
また本発明では、電源復旧後において記録再開を行うかどうかの選択要求を行う。これに対して、ユーザより記録再開指示がなされた場合のみ、中断されていた記録処理の再開を行う。このため、記録再開が不要であるにもかかわらず記録処理が実施されるといった、不要な処理が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像読取装置、及び画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0031】
[実施の形態1]
〈1.装置の概略構成〉
ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略を、図2を用いて説明する。図2は、画像形成装置1の概略構成を示す正面から見た模型的断面図である。
【0032】
図2に示すように、画像形成装置1は、箱形を呈した本体部4を有している。本体部4の上方には画像読取装置2が配され、その上面に載置された原稿搬送装置3(=オプション装置)が設けられている。
【0033】
ここではまず、原稿搬送装置3の概略構成について説明する。
【0034】
原稿搬送装置3は、本体部4に図2の紙面奥側を支点として、本体部4に開閉自在に取り付けられる。原稿搬送装置3は、原稿載置トレイ10から原稿搬送路11に沿って原稿搬送方向上流側から順に、原稿載置トレイ10、原稿ピックアップローラ12、原稿搬送ローラ対13、原稿排出ローラ対14、原稿排出トレイ15等を備える。
【0035】
原稿載置トレイ10は、複数枚の原稿を載置できるようになっていて、原稿搬送路11上流端に接続される。原稿ピックアップローラ12は、原稿載置トレイ10上の原稿のうち、最上面の原稿に当接する位置に配されている。原稿読み取り、又は画像形成の実施指示が画像形成装置1に対してなされると、原稿ピックアップローラ12は原稿搬送路11に向けて原稿を送り出す。
【0036】
原稿搬送路11に送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ対13やガイドに導かれつつ、原稿通過面51の上面を通過する。詳細は後述するが、この際に、画像読取装置2によって、原稿の読み取りがなされる。そして、読み取りが完了した原稿は、ガイドや原稿搬送ローラ対13、原稿排出ローラ対14を通過して、排出トレイ15に排出される。
【0037】
次に、本体部4の概略構成について説明する。
【0038】
本体部4は、その内部に、シート供給部20、シート搬送路24、画像形成部30、定着装置40、シート排出部43等を備えている。本体部4の中央上方位置には、排紙空間が設けられる。そこで、これらの構成をシートSの搬送経路に沿って説明する。なお、図2において、シートSの本体部4内での搬送経路を実線矢印で図示する。
【0039】
まず、シート供給部20は、画像形成部30に向けて、コピー用紙やOHPシート等のシートSを送り出すためのものであり、本体部4の最下部に設けられる。シート供給部20は、給紙カセット21、シート載置板22、給紙ローラ23を含むように構成される。
【0040】
給紙カセット21は、複数のシートSを積載し収容するためのものであって、箱型且つ上面が開放されていて、シート補給のため本体部4から引き出して脱着可能である。給紙カセット21内には、複数のシートSが載置されるシート載置板22が設けられる。また、給紙カセット21のシート搬送方向下流側上部(図2における左上方位置)に、給紙ローラ23が設けられる。
【0041】
シート搬送路24は、画像形成装置1内でシートSを搬送するためのものであり、シート供給部20から、画像形成部30、定着装置40を経て、シート排出部43までシートSを搬送する。そのため、シート搬送路24は、本体部4内を上下方向に貫くように形成される。そして、シート搬送路24は、搬送ローラ対25やシートSを案内するための複数のガイド板(不図示)で構成される。
【0042】
画像形成部30のシート搬送方向上流側の手前には、レジストローラ対26が設けられる。レジストローラ対26は、搬送されてきたシートSを一旦止め、シートSの適切な位置でトナー像が転写されるように、所定のタイミングと速度でシートSを画像形成部30に向けて送り出す。
【0043】
前記画像形成部30は、画像読取装置2が読み取った原稿や画像形成装置1に入力された画像データに基づき、形成すべき画像のトナー像を形成し、シートSに転写を行う。図2の例では、本体部4の中央よりやや左方の位置に配される。そして、画像形成部30は、像担持体としての感光体ドラム31、帯電装置32、露光装置33、現像装置34、転写ローラ36、クリーニング装置37等で構成されている。
【0044】
感光体ドラム31は、画像形成部30の略中央位置に配され、駆動装置(不図示)によって所定の方向(図2では時計方向)に回転駆動される。前記感光体ドラム31は例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上に、正帯電のOPCやアモルファスシリコンの感光層を有するように構成される。そして、感光体ドラム31の周面上に静電潜像が形成された後、トナーが供給されトナー像が感光体ドラム31の周面上に形成される。
【0045】
帯電装置32は、図2の例では感光体ドラム31の右斜め上方に対向して配され、所定の電位で感光体ドラム31の周面を帯電させる。本実施形態では、帯電装置32としてコロナ帯電器を用いるが、感光体ドラム31表面を所定の電位に帯電できるものであれば、帯電ローラやブラシによる帯電装置32を用いてもよい。
【0046】
露光装置33は、図2の例では感光体ドラム31及び帯電装置32の右側方に配される。露光装置33は、一様に帯電された感光体ドラム31の周面に、形成すべき画像の画像データに基づき、光を感光体ドラム31に対し照射し、感光体ドラム31の周面を走査、露光する。これにより、感光体ドラム31の周面上に静電潜像が形成される。
【0047】
現像装置34は、図2の例では感光体ドラム31の下方に設けられ、トナーを収容するとともに、トナーを所定の電位に帯電させ、そのトナーを感光体ドラム31の周面上に形成された静電潜像に向けて供給する。現像装置34内には、トナー供給のため、感光体ドラム31と所定の隙間が設けられつつ対向する位置に現像ローラ35が設けられる。現像ローラ35は、周面にトナーを担持しつつ所定の方向に回転する。現像ローラ35に所定の電圧が印加されると、トナーは像担持体に向けて飛翔し、静電潜像の現像が行われる。
【0048】
転写ローラ36は、図2の例では感光体ドラム31の左斜め下方に回転可能に支持される。転写ローラ36は、感光体ドラム31上に形成されたトナー像をシートSに転写するためのものであり、感光体ドラム31に当接し、転写のためのニップを形成する。ニップにシートSが進入すると、転写ローラ36に感光体ドラム31の帯電極性と逆の極性の電圧が印加され、トナー像がシートSへ転写される。
【0049】
クリーニング装置37は、図2の例では感光体ドラム31の上方に配される。クリーニング装置37は、感光体ドラム31の周面上の残トナーや塵芥等を除去、回収するものである。本実施形態では、感光体ドラム31の軸線方向に伸びて形成されるブレードを感光体ドラム31に当接させている。
【0050】
前記定着装置40は、シートSに転写されたトナー像を加圧、加熱してトナーを溶融し、シートSに固着させるためのものである。前記定着装置40は、加熱ローラ41、加圧ローラ42等で構成されている。加熱ローラ41内には発熱体(不図示)が内蔵されている。発熱体は、トナーを溶融できる温度にまで加熱ローラ41を暖める。加圧ローラ42は、例えばシリコンゴム等の弾性を有する材料を用いて形成されている。
【0051】
加熱ローラ41と加圧ローラ42とは、圧接されニップを形成している。このニップに、トナー像が転写されたシートSを進入させることにより、シートSへのトナーの定着が行われる。定着が完了したシートSは、排出部43へと搬送される。そして排出部43の側方に設けられた排出トレイ44に向けて、排出ローラ対45により排出される。
【0052】
次に、画像読取装置2の概略構成について説明する。
【0053】
図2に示すように、本実施形態における画像読取装置2は本体部4の上部に備え付けられた箱形の筐体50を有する。そして、画像読取装置2の上面には、図2の左方から、原稿通過面51、原稿搬送ガイド53、原稿載置面52が配される。
【0054】
前記原稿通過面51は、原稿搬送装置3により搬送される原稿が接触しつつ通過する面である。後述する読取ユニット60を原稿通過面51の下方に配置した状態で留めておき、原稿を通過させて原稿の読み取りを行う。一方、前記原稿載置面52は、原稿搬送装置3を使用できない場合、例えば書籍や新聞等を読み取る場合において、原稿搬送装置3を持ち上げた上で、読み取るべき原稿を下向きにして原稿を載置する面である。
【0055】
原稿載置面52における原稿の読み取りは、読取ユニット60を原稿載置面52の下方に配置して、ワイヤ54及び巻取ドラム55によりホームポジションから図2の右方向に水平に移動させて行う。これらの原稿通過面51及び原稿載置面52は、例えば、ガラスのような透光性の材料で一定の厚さを有する矩形状の板状部材により形成される。
【0056】
図2に示すように、原稿通過面51と原稿載置面52の間に挟み込まれるように、原稿搬送ガイド53が設けられる。原稿搬送ガイド53は、原稿通過面51を通過した原稿を、原稿排出ローラ対14に導き、原稿を斜め上方にガイドするための曲面を有する。
【0057】
画像読取装置2の筐体50内には、図2に示すように、ワイヤ54、巻取ドラム55、レンズ56、イメージセンサ57、読取ユニット60等が配される。
【0058】
読取ユニット60は、第1読取ユニット601と、第2読取ユニット602から構成される。なお、第1読取ユニット601は上方に、第2読取ユニット602は下方に配される。そして、この第1及び第2読取ユニット601、602にはワイヤ54が取り付けられ、ワイヤ54の他端が巻取ドラム55につながり、巻取ドラム55が回転することで、読取ユニット60が水平方向に移動する。なおワイヤ54及び巻取ドラム55は図示している数に限定されるものではなく、複数のものを組み合わせた構成でもよい。
【0059】
例えば、巻取ドラム55一つに対して、二本のワイヤ54が巻き付けられており、この二本のワイヤ54は、それぞれ長手方向において異なる方向に伸びるように(図2では簡略化のため一本のみ図示)巻取ドラム55に巻き付けられる。片側につき二本(計四本)のワイヤ54を複数のプーリ(不図示)によって適宜架け渡し、この二本のワイヤ54と第1読取ユニット601及び第2読取ユニット602を連結させる。そして、モータの正逆回転を制御すると、走査方向に沿って自在に読取ユニット60を移動させることができる。
【0060】
〈2.機能構成について〉
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1が含む各装置の機能構成を、図3のブロック図を参照しつつ説明する。
【0061】
図3のブロック図に示すように、本実施形態の画像形成装置1は少なくとも、本体部4が備えるシート供給部20、画像形成部30、定着装置40、フラッシュメモリ71(=第一記録媒体)、EEPROM72(=第二記録媒体)、外部接続端子73、操作パネル74、電源部80、及び制御部90と、画像読取装置2が備える読取ユニット60と、原稿搬送装置3が備える制御部100、フラッシュメモリ111(=第一記録媒体)、EEPROM112(=第二記録媒体)、原稿搬送部120(=原稿搬送手段)、及び電源部130とを含むように構成されている。なお、図2において既に説明を行っている装置については、ここでは説明を省略する。
【0062】
フラッシュメモリ71は、本体部4が保持する各種データを一時的に記録する記録媒体である。フラッシュメモリ71は、例えば制御部90が各装置の制御を行うために用いる制御プログラムや、各種制御よって発生する処理データ、設定データ、ユーザデータ等を記録する役割を持つ。フラッシュメモリは不揮発の記録媒体であるが、1バイト単位の書き込み/消去が不可能であり、セクタ単位、或いはブロック単位でしか書き込み/消去を行うことができない。
【0063】
EEPROM72は、半導体メモリの一種で、電気的にデータの消去が可能なROM(read-only memory)である。EEPROM72は、フローティングゲートからドレインにトンネル効果を利用して電子を引き抜くことにより、電気的な操作のみで消去を行うことが可能である。フラッシュメモリ71と異なる点として、1バイト単位の書き込み/消去が可能である。
【0064】
外部接続端子73は、画像形成装置1を外部記録媒体や通信網に接続するためのインタフェースである。外部接続端子73は例えば、USBメモリを接続するためのUSB接続端子、コンパクトフラッシュ(登録商標)やSDメモリカードを接続するためのカードスロット、LANケーブルを接続するためのLANコネクタ及びネットワークカード、シリアルケーブルを接続するためのシリアルポート等を含む。外部接続端子73より入力されたデータは、後述する書換実施部91によって記録が行われる。
【0065】
操作パネル74は、ユーザが画像形成装置1に対して複写指示やユーザ情報の入力指示等を行うための操作ボタン群と、情報の表示を行う液晶表示パネルとを含む。操作パネル74により入力された指示は制御部90により受け付けられ、指示の内容に基づいて各種制御処理が行われる。なお、液晶表示パネルがタッチパネルを備え、タッチパネルによりユーザ操作を受け付ける形態でもよい。
【0066】
電源部80は、本体部4備える各装置に対して駆動電圧を供給する。電源部80は、例えば外部の商用電源(不図示)や内部バッテリー(不図示)から電力を受けて、交流から直流への変換や整流、電圧調整等を行う。また電源部80は、LVI(Low Voltage Indicater)回路81、及びPOC(Power-On Clear)回路82(図1参照)、電源回路83を備えている。
【0067】
LVI回路81は、一定の基準電圧VLVIを出力する基準電圧発生回路と、電源回路83が出力する電源電圧VDDを分圧抵抗によって分圧して出力する分圧回路と、これら各出力を比較し、その判定結果を出力するコンパレータとから構成される低電圧検出回路である。LVI回路81によって電源電圧VDDの状態は監視され、分圧電圧が基準電圧VLVIよりも低くなった場合に、コンパレータからプログラム割り込み信号が出力され、制御部90に送られる。
【0068】
POC回路82は、LVI回路81と同様の方法により、基準電圧発生回路から出力される基準電圧VPOCと電源回路83が出力する電源電圧VDDとを比較する。なお、VPOCは、制御部90の動作に異常が生じる可能性がある電圧を示す。この値以下に電源電圧VDDが低下した場合、内部リセット信号が出力され、制御部90に送られる。これを受けた制御部90は、レジスタの初期化やメモリのクリア等、いわゆるパワーオンクリア動作を含めた、電源停止処理を行う。
【0069】
例えば図6に示す例では、電源回路83から供給される電源電圧VDDをLVI回路81が監視し、基準電圧VLVIを下回った時点(=t1)で、制御部90に対してプログラム割り込み信号を出力する。また電源電圧VDDをPOC回路82が監視し、VPOCを下回った時点(=t2)で、制御部90に対して内部リセット信号を出力する。なお、VLVI及びVPOCの具体的な値については、設計事項の範囲内において適宜変更可能である。
【0070】
制御部90は、本体部4を構成する各装置の動作を制御することにより、印刷処理やシート搬送処理等を実施する。制御部90は、例えば複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部90は、各装置、例えば本体部4の制御やデータの計算、画像処理等を行う中枢部分となっている。なお、制御部90が所定のプログラムを実行することにより実現される機能部(図1の書換実施部91〜起動時書換部94)の詳細については後述する。
【0071】
原稿搬送装置3が備える制御部100、フラッシュメモリ111、EEPROM112、及び電源部130については、上述の制御部90、フラッシュメモリ71、EEPROM72、及び電源部80とほぼ同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。なお、電源部130に関しては、電源部80に接続されて電力供給を受ける形態であってもよい。
【0072】
原稿搬送部120は、原稿の載置及び搬送を行い、原稿を読取ユニット60の読取部まで移動させるものである。図2の例では、原稿載置トレイ10〜原稿排出トレイ15がこれに相当する。
【0073】
次に、制御部90が備える機能部について、図1を用いつつ説明する。図1に示すように制御部90は、書換実施部91(=書換手段)、電源監視部92(=電源監視手段)、フラグ設定部93(=フラグ設定手段)、及び起動時書換部94(=記録再開手段、再開受付手段)を備えている。
【0074】
書換実施部91は、ユーザ指示等により発行されるプログラム書き換え(=書き込み/消去)指示に従い、フラッシュメモリ71に記録されている所定のプログラムの書き換えを行う。なお、所定のプログラムの一例としては、本体部4の統括制御を行うファームウェアプログラム等が書き換えの対象となる。
【0075】
電源監視部92は、LVI回路81及びPOC回路82から出力される各種信号を待ち受ける。そして信号を受信した際に、受信信号の内容に応じて、本体部4の再起動処理や、予め定められたプログラム割り込み処理等を行う。電源監視部92は、LVI回路81よりプログラム割り込み信号を受けることにより、次に説明するフラグ設定部93に対してフラグ設置処理の指示を行う。
【0076】
フラグ設定部93は、電源監視部92によりプログラム割り込み信号が受信された際、つまり電源電圧の低下が検知された際に、書換実施部91の処理状態を確認する。そしてフラッシュメモリ71に対するプログラムの記録処理中である場合に、記録済みデータのデータ記録位置を示す位置情報、例えばメモリアドレス情報と、記録中のプログラムを特定するための識別情報、例えばファイル名とを取得して、EEPROM72に記録する。なお識別情報には、ファイル名の他にバージョン情報や更新日時情報等が含まれている形態でもよい。またフラグ設定部93は、書き込み処理が完了していないことを示すフラグ情報も、EEPROM72に記録する。なお、以上の処理は電源電圧が図6に示すVPOCを下回るまでの期間に実行する。
【0077】
起動時書換部94は、画像形成装置1の電源が起動された際に、EEPROM72より上記のフラグ情報が存在するかどうかの判定を行う。フラグ情報が存在する、つまり前回電源断時にプログラム記録処理が中断されたことが示されている場合、該当プログラムの書き換え処理を再開する。なお、書き換え処理の再開には、EEPROM72に記録されている位置情報やプログラムの識別情報を用いて行う。
【0078】
〈3.書き換え動作について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1における、プログラム書き換え動作の処理フローについて、図4及び図5のフロー図を用いながら説明する。
【0079】
図4に示す処理フローは、画像形成装置1の電源が起動され、且つ書換実施部91がフラッシュメモリ71へのプログラム書き換え指示を受け付けることにより開始される。なおプログラム書き換え指示は、例えば外部接続端子73にUSBメモリ等の外部記録媒体が接続され、且つ外部記録媒体の内部に書き換え対象のプログラムが存在することを書換実施部91が検知した場合等において発行される。
【0080】
上記の指示を受けた書換実施部91は、指定されたプログラムをフラッシュメモリ71に書き込む。なお古いバージョンのプログラムが既にフラッシュメモリ71に記録されている場合は、予め古いバージョンのプログラムの消去を行ってから、書き込みを開始する。
【0081】
次に書換実施部91はステップS110において、指定されたプログラム書き込み処理が完了したかどうかの判定を行う。書き込みが完了している場合、本処理を終了する。書き込みが完了していない場合、電源監視部92はステップS120において、電源回路83から供給される電源電圧の低下を検知したかどうかの判定を行う。
【0082】
電源電圧の低下は、図6に示すようにLVI回路81を用いて行う。電源電圧VDDが基準電圧VLVIを下回っていない場合、再びステップS110へ移行する。電源電圧VDDが基準電圧VLVIを下回った場合、つまり電源監視部92がLVI回路81よりプログラム割り込み信号を受け付けた場合、フラグ設定部93はステップS130において、フラグ情報をEEPROM72に記録する。さらにフラグ設定部93はステップS140において、書き込み中断位置を示す位置情報をEEPROM72に記録する。
【0083】
さらにフラグ設定部93はステップS150において、書き込み中であったプログラムを識別するための識別情報を、EEPROM72に記録する。これらの記録処理が完了した時点で、本処理を終了する。
【0084】
次に、画像形成装置1の電源起動時における処理フローを、図5を用いて説明する。図5に示す処理フローは、画像形成装置1が電源起動指示を受け付けることにより開始される。なお電源起動指示は、例えば操作パネル74に含まれる電源スイッチが、ユーザにより押下された場合等に発行される。
【0085】
本処理の開始後、起動時書換部94はステップS210において、EEPROM72よりフラグ情報の読み出しを行う。なおここで言うフラグ情報とは、フラグ設定部93によって上述のステップS130において記録されたフラグ情報を指す。
【0086】
次に起動時書換部94はステップS220において、フラグ情報の読み出しに成功したかどうかの判定を行う。フラグ情報の読み出しに失敗した場合、通常の起動処理を行うため、本処理を終了する。書き込み中フラグの読み出しに成功した場合、起動時書換部94はステップS230において、書き換え再開指示を受け付けたかどうかの判定を行う。
【0087】
書き換え再開指示は例えば、操作パネル74において所定のユーザ操作がなされた場合や、USBメモリ等の外部記録装置(不図示)に所定の識別情報を持つデータが存在することが検知された場合等に発行される。或いは、電源復旧時において、前回電源断時に書き換え中断が発生したことを示すメッセージを操作パネル74に出力し、書き換えを再開するかどうかの指示待ち画面を表示する形態であってもよい。
【0088】
書き換え再開指示を検知しなかった場合、起動時書換部94は書き換えの再開を行わず、通常の起動処理を行うため本処理を終了する。なおこの場合、所定時間が経過することにより、EEPROM72に記録されているフラグ情報、アドレス情報、及び識別情報を、フラグ設定部93が消去することが望ましい。
【0089】
書き換え再開指示を検知した場合、起動時書換部94はステップS240において、EEPROM72より書き込み中断位置を示す位置情報を読み出す。さらに起動時書換部94はステップS250において、EEPROM72より書き込み中であったプログラムを示す識別情報を読み出す。
【0090】
次に起動時書換部94はステップS260において、書き込み再開指示により指定されたプログラムの識別情報と、EEPROM72より読み出した識別情報とが一致するかを判定する。一致しない場合は本処理を終了する。
【0091】
一致する場合、起動時書換部94はステップS270において、読み出した位置情報が示す書き込み中断位置から、プログラムの書き込みを再開する。さらに起動時書換部94はステップS280において、EEPROM72に記録されているフラグ情報を初期化した後、本処理を終了する。なお、起動時書換部94による書き換え処理か再開された時点で、図4に示すステップS110に移行する形態でもよい。
【0092】
以上に説明した本実施形態によると、書換実施部91によるプログラム書き換え実施中に電源電圧の低下が発生した場合であっても、電源復旧時に起動時書換部94が中断位置より書き換えを再開するため、書き換え処理を最初からやり直す必要がなく、処理時間の短縮、及びフラッシュメモリ71の長寿命化を図ることができる。
【0093】
また以上に説明した本実施形態によると、フラグ情報等を記録するEEPROM72と、制御用プログラム記録用のフラッシュメモリ71との二つの記録装置を用いることにより、電源電圧低下時にフラグ情報等を迅速に記録できる。つまり図6に示すt1からt2の間に、記録再開に必要な情報をより確実に記録し、記録失敗を防止することができる。
【0094】
[実施の形態2]
次に、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置について、図7を用いて説明する。なお、装置の概略構成に関しては実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
実施の形態1と異なり、本実施形態では、書き換え対象のプログラムが画像形成装置1のフラッシュメモリ71に書き込まれのではなく、原稿搬送装置3のフラッシュメモリ111に書き込まれる。図7は、本実施形態の原稿搬送装置3が備える機能部の構成示したものである。
【0096】
図7に示すように、原稿搬送装置3が備える制御部100は、実施の形態1の制御部90と同様、書換実施部101〜起動時書換部104を備えている。書換実施部101は、本体部4の制御部90から与えられた指示及びプログラムデータを受けて、フラッシュメモリ111に記録されている所定のプログラムの書き換えを行う。或いは、原稿搬送装置3が操作パネル(不図示)や外部接続端子(不図示)を備えており、これらの装置により受け付けた指示及びプログラムデータにより、書き換えを行う形態であってもよい。
【0097】
電源監視部102は、本体部4が備える制御部90と相互通信を行い、制御部90が実施する電源関連の処理の処理状態を監視する。例えば、制御部90がLVI回路81やPOC回路82から各種通知を受け付け、プログラム割り込み処理やパワーオンクリア動作を実施したかどうかを監視する。プログラム割り込み処理が検知された場合、電源監視部102はフラグ設定部103に対してフラグ設定処理の指示を行う。
【0098】
フラグ設定部103及び起動時書換部104は、フラグ設定部93及び起動時書換部94とほぼ同機能である。異なる点は、記録/読み出し対象となる記録装置が異なる、つまりフラッシュメモリ111及びEEPROM112を記録/読み出し対象としていることである。このため、詳細については、ここでは説明を省略する。また、処理フローに関しても、実施の形態1の図4及び図5とほぼ同様の内容となるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
以上に説明した本実施形態によると、電源電圧低下時/電源復旧時の書き込み中断処理/再開処理を、原稿搬送装置3単独で実施することができる。このため、原稿搬送装置3が接続される画像形成装置1が変越されたとしても、本発明の記録再開処理を実施することができる。
【0100】
[実施の形態3]
次に、本発明の第三の実施形態に係る画像形成装置について、図8を用いて説明する。なお、装置の概略構成に関しては実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0101】
実施の形態1と異なり、本実施形態では、図8に示すように、フラッシュメモリ71(=記録装置)が内蔵するフラッシュメモリコントローラ71aが書換実施部91〜起動時書換部94を備えている。なお、各機能部の概要については、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0102】
第一記録領域71b(=第一記録媒体)は、例えば制御部90が各装置の制御を行うために用いる制御プログラムや、各種制御よって発生する処理データ、設定データ、ユーザデータ等を記録する領域である。第二記録領域71c(=第二記録媒体)は、電源電圧低下時における記録再開のためのフラグ情報、位置情報、及び識別情報を記録するための領域である。
【0103】
電源監視部92は、本体部4が備える制御部90と相互通信を行い、制御部90が実施する電源関連の処理の処理状態を監視する。プログラム割り込み処理が検知された場合、電源監視部92はフラグ設定部93に対してフラグ設定処理の指示を行う。これにより、第一記録領域71bに対するデータ記録を中断し、記録再開要の各種情報を第二記録領域に記録する。そして電源復旧後に、上記各種情報に基づいて、第一記録領域に対する記録処理の再開を行う。なお、処理の詳細については、実施の形態1の図4及び図5と同様の内容となるため、ここでは説明を省略する。
【0104】
以上に説明した本実施形態によれば、フラッシュメモリ71が単体で他装置に移植されたとしても、移植先装置において、本発明の記録再開処理を実施することができる。
【0105】
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0106】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、本発明の実施対象として画像形成装置1を例に説明を行っているが、上記以外の画像形成装置において本発明を実施したとして、同様の効果が達成される。例えば、複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置において実施することが可能である。
【0107】
(B)本実施形態では、本発明のプログラム書き換え処理に関連する各種機能部、例えば書換実施部91〜起動時書換部94が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種処理部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0108】
(C)本実施形態では、記録済みデータのアドレス情報や識別情報を記録する第二記録媒体としてEEPROM72を例に説明しているが、これ以外の記録媒体を用いる形態でもよい。例えば、外部接続端子73に接続されたSDカードメモリや、ハードディスク等を用いる形態であってもよい。或いは、外部接続端子73により接続された通信網に存在する通信装置、例えばネットワークサーバ等を、記録媒体として用いる形態であってもよい。また、フラッシュメモリ71を第二記録媒体の代替として使用する形態であってもよい。
【0109】
(D)本実施形態では、フラグ設定部93がフラグ情報等を記録する対象として制御用プログラムを例に説明を行っているが、これ以外のデータに対して、電源電圧低下時にフラグ情報等を記録する形態であってもよい。例えば画像形成装置1の設定データ、ユーザデータ、エラー履歴データ、原稿読み取り数等を含む保守運用データ、画像データ等に関して、電源電圧低下時にフラグ情報等をEEPROM72に記録し、電源復旧後に書き込みを再開する形態であってもよい。このように、制御用プログラムよりも比較的書き換え頻度の高い上記データを処理対象とすることにより、本発明の書き換え再開機能をより有効に活用し、よりフラッシュメモリ71の長寿命化を図ることができる。
【0110】
(E)本実施形態では、フラグ設定部93がEEPROM72に記録する位置情報としてメモリアドレス情報を用いているが、これ以外の情報を用いて、記録中断位置を示す形態でもよい。例えば、記録処理中データの先頭から何バイト目まで記録済みであるかを示すデータサイズ情報や、バイナリアドレス情報等を用いる形態でもよい。
【0111】
(F)本実施形態では、本発明の記録装置を備えたオプション装置として原稿搬送装置3を例に説明を行っているが、上記以外のオプション装置において本発明を実施したとしても、同様の効果が達成される。例えば、フィニッシャー、ペーパーフィーダ、メールボックス、FAXキット、セキュリティキット等のオプション装置において実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の制御部が備える機能部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置の概略構成を示す正面から見た断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のプログラム書き換え処理の処理フローを示すフロー図である。
【図5】本発明のプログラム書き換え処理の処理フローを示すフロー図である。
【図6】本発明の画像形成装置が備える電源部の電圧降下を示すグラフ図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係る原稿搬送装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係る記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 原稿搬送装置(オプション装置)
71、111 フラッシュメモリ(記録装置、第一記録媒体)
71b 第一記録領域(第一記録媒体)
71c 第二記録領域(第二記録媒体)
72、112 EEPROM(第二記録媒体)
80、130 電源部
91、101 書換実施部(書換手段)
92、102 電源監視部(電源監視手段)
93、103 フラグ設定部(フラグ設定手段)
94、104 起動時書換部(記録再開手段、再開受付手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を備え、電源部より電源電圧を受けて駆動する記録装置において、
前記記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、
前記電源部の状態監視を行う電源監視手段と、
前記電源監視手段により前記電源部の電源電圧が予め定められた値を下回ることが検知された際に、前記書換手段の処理状態を確認し、記録処理中であることが検知された場合に、記録中断発生を示すフラグ情報、記録処理中データの記録済み部分を示す位置情報、及び記録処理中データの識別情報を前記記録媒体に記録するフラグ設定手段と、
前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、前記識別情報が示すデータを、前記位置情報が示す位置から記録する記録再開手段とを備えたこと
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体が、第一記録媒体及び第二記録媒体を含み、
前記書換手段が、前記第一記録媒体に対してデータの記録及び消去を行い、
前記フラグ設定手段が、前記第二記録媒体に対して前記フラグ情報、前記位置情報、及び前記識別情報を記録し、
前記記録再開手段が、前記第二記録媒体から読み出した前記フラグ情報に基づいて、前記識別情報が示すデータの記録の実施/未実施を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、記録再開の実施/未実施に関する選択要求を出力し、前記選択要求に対する記録再開指示を受け付けた場合に、前記記録再開手段に対して記録再開を許可する再開受付手段を備えたこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記電源監視手段が、LVI(Low Voltage Inhibit)回路を用いて前記電源部の電源電圧の低下を検出すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記第一記録媒体がフラッシュメモリであり、
前記第二記録媒体がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)であり、
前記書換手段が前記フラッシュメモリに対して記録/消去するデータが装置の制御用プログラムであること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置に接続されて機能を付加するオプション装置において、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたこと
を特徴とするオプション装置。
【請求項8】
画像形成装置が備える原稿読取手段に対して原稿の搬送を行う原稿搬送手段を備えたこと
を特徴とする請求項7に記載のオプション装置。
【請求項1】
記録媒体を備え、電源部より電源電圧を受けて駆動する記録装置において、
前記記録媒体に対するデータの記録及び消去を行う書換手段と、
前記電源部の状態監視を行う電源監視手段と、
前記電源監視手段により前記電源部の電源電圧が予め定められた値を下回ることが検知された際に、前記書換手段の処理状態を確認し、記録処理中であることが検知された場合に、記録中断発生を示すフラグ情報、記録処理中データの記録済み部分を示す位置情報、及び記録処理中データの識別情報を前記記録媒体に記録するフラグ設定手段と、
前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、前記識別情報が示すデータを、前記位置情報が示す位置から記録する記録再開手段とを備えたこと
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体が、第一記録媒体及び第二記録媒体を含み、
前記書換手段が、前記第一記録媒体に対してデータの記録及び消去を行い、
前記フラグ設定手段が、前記第二記録媒体に対して前記フラグ情報、前記位置情報、及び前記識別情報を記録し、
前記記録再開手段が、前記第二記録媒体から読み出した前記フラグ情報に基づいて、前記識別情報が示すデータの記録の実施/未実施を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記電源部の起動時に、前記記録媒体を参照し、前記記録媒体に前記フラグ情報が記録されていることが検知された場合に、記録再開の実施/未実施に関する選択要求を出力し、前記選択要求に対する記録再開指示を受け付けた場合に、前記記録再開手段に対して記録再開を許可する再開受付手段を備えたこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記電源監視手段が、LVI(Low Voltage Inhibit)回路を用いて前記電源部の電源電圧の低下を検出すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記第一記録媒体がフラッシュメモリであり、
前記第二記録媒体がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)であり、
前記書換手段が前記フラッシュメモリに対して記録/消去するデータが装置の制御用プログラムであること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置に接続されて機能を付加するオプション装置において、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記録装置を備えたこと
を特徴とするオプション装置。
【請求項8】
画像形成装置が備える原稿読取手段に対して原稿の搬送を行う原稿搬送手段を備えたこと
を特徴とする請求項7に記載のオプション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−9165(P2010−9165A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165471(P2008−165471)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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