説明

警備用車両

【課題】警備用車両への適用に特化した、使い勝手の良い撮像記録装置を備えた警備用車両を提供する。
【解決手段】撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、撮像装置は単数または複数であり、制御装置から出力される同期信号に対応させて、1コマの画像情報を制御装置に出力する。また、警備用車両の走行速度を検出可能な速度検出手段を備え、制御装置は、警備用車両の速度に応じて同期信号を出力する。また、制御装置はコントロール装置と中継装置とで構成されており、中継装置には警備用車両のバッテリが接続され、コントロール装置と撮像装置と記憶装置とを含む各装置への電源は中継装置から供給され、中継装置は前記各装置への電源の立ち上げタイミングを制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警察または警備会社等が行う巡回パトロール等の警備に関する業務を遂行するための警備用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される撮影装置としては、安全走行の支援等の目的で、先行車両及び後続車両の監視や、道路の白線の追従等、車両の速度に応じて撮影範囲を変えて安全走行に必要な情報の収集を効率的に行うことができる車載カメラが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、車両に搭載した撮影装置を用いて、道路や周辺施設(標識、信号機、街灯等)の破損や汚れを、作業者でなく装置でチェックして作業者の労力負担を軽減することができる、道路や周辺施設等の管理システムが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−312300号公報
【特許文献2】特開2002−357557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年では、警備用車両(例えば警察車両)に撮像手段(CCDカメラ等)を搭載し、当該車両がパトロール等を行った場所に関する種々の情報を自動的に記録する車載撮影装置の要求が高まってきている。
特許文献1にて提案されている車載カメラは、一般車両の安全走行を支援することを目的とした車載カメラであり、搭載された車両の安全走行を支援するための情報を収集している。収集した情報はその時点における安全走行を支援するために必要な情報であるが、記録及び再生して後から安全走行に利用するような使い方はしていない。しかも、従来の車載カメラは、周囲の様子の撮影に関しては、先行車両、後続車両、路上の白線等を撮影しており、走行した場所に関する状況等の情報を撮影しておらず、且つ記録もしていない。
警備用車両では、パトロール等を行った場所に関する状況等の情報(走行した道路の周辺の情報等)を適切に記録し、且つ必要に応じて再生可能であることが好ましい。しかも、パトロール等を行いながら自動的に適切な撮影モードに切り替わり、使い勝手が良く、現場の検証等に利用可能な価値の高い画像情報を、自動的に撮影及び記録可能であることがより好ましい。
【0004】
また、警備用車両(例えばパトカー)には、一般車両とは異なり、所望方向を照らすライト、マイク、車両外部へ拡声するためのスピーカ、レーダ装置、無線機、緊急灯など、警備業務に必要な各種の機器が多数搭載されている。さらに、近年、警備用車両にカメラ及びその画像情報記録用のHard Disk Driveを搭載することも一部で実施されている。
前記各機器を操作するための入力ボタンを具備するコントローラは、運転席または助手席から楽に手が届く位置に設けることが便利である。しかしながら、これらの警備用業務に必要な各機器のコントローラボックスは大型になり、置き場に困るようになっている。
警備用車両は、パトロールという特性上、運転手または助手による一瞬の判断で現場の映像の記録を行いたい場合もある。このような場合にも、使い勝手が良い(操作性が良い)ことが望ましい。
また、場合によっては、記録した映像を本部(管理センター等)に転送し、本部にて受信した映像に基づいて種々の解析、照合等を行いたい場合もある。このような場合にも、映像の記録と転送という操作の使い勝手が良いことが望ましい。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、警備用車両への適用に特化した、使い勝手の良い撮像記録装置を備えた警備用車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項1に記載の警備用車両は、撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、撮像装置は単数または複数であり、制御装置から出力される同期信号に対応させて、1コマの画像情報を制御装置に出力する。
【0007】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項2に記載の警備用車両は、請求項1に記載の警備用車両であって、警備用車両の走行速度を検出可能な速度検出手段を備え、制御装置は、警備用車両の速度に応じて同期信号を出力する。
【0008】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項3に記載の警備用車両は、撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、制御装置は、コントロール装置と中継装置とで構成されている。
そして中継装置には警備用車両のバッテリが接続されており、コントロール装置と撮像装置と記憶装置とを含む各装置への電源は中継装置から供給され、中継装置は、前記各装置への電源の立ち上げタイミングを制御可能である。
【0009】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項4に記載の警備用車両は、撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、制御装置は、ID情報の読み取り手段を備えており、ID情報を読み取った場合、読み取ったID情報を記憶装置に記録する。
【0010】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項5に記載の警備用車両は、撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、制御装置は内部時計の時刻合わせ手段を備えており、所定のタイミングで内部時計の時刻を補正する。
【0011】
また、本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項6に記載の警備用車両は、請求項1〜5のいずれかに記載の警備用車両であって、制御装置は、記憶装置における記憶可能な残記憶容量を検出可能であり、残記憶容量に関する情報を表示する。
【0012】
また、本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの警備用車両である。
請求項7に記載の警備用車両は、請求項6に記載の警備用車両であって、制御装置は、警備用車両のエンジンを始動した際に残記憶容量を検出し、検出した残記憶容量が所定値以下の場合または記憶装置が接続されていない場合、警告信号を出力する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の警備用車両によれば、単数または複数の撮像装置に対して、制御装置から同期信号を出力するので、各々の撮像装置から同じタイミングの画像情報を取り込むことができる。また、各々の撮像装置から出力される画像情報のインターバル時間を制御することができるので、便利である。
【0014】
また、請求項2に記載の警備用車両によれば、速度に応じて画像情報のコマ数(単位時間あたりのコマ数)を変更(例えば、低速ではコマ数を少なく、高速ではコマ数を多くする)できるので便利である。
【0015】
また、請求項3に記載の警備用車両によれば、各装置への電源の供給を1個所から行うことができる。車両では、一般的に、配線毎に複雑な経路(固有のヒューズやリレー等)で電源が供給され、車両の状態によっては、電源が供給される配線と供給されない配線があったり、電源の立上りや立下りの遅れ時間や順番がばらつく可能性があり、画像記録装置の安定動作に影響を及ぼす可能性がある。
各装置への電源の供給を1個所から行い、電源の立ち上げタイミングを制御することで、これらを適切に防止することができ、安定的な電源を供給することができ、画像記録装置を安定動作させることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の警備用車両によれば、例えば搭乗者に対応させたID情報を記憶したICタグを携帯させ、読み取ったID情報と、読み取った日時等を記憶装置に記録すれば、所定の日時に、その警備用車両に搭乗していた搭乗者を特定することができ、記憶装置の記録内容を解析する場合等に便利である。
【0017】
また、請求項5に記載の警備用車両によれば、内部時計の時刻合わせを、例えば警備用車両のエンジンを始動した場合等、所定のタイミングで自動的に行うため、便利である。また、記憶装置に記録する画像情報に付加する時刻情報の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項6に記載の警備用車両によれば、記憶装置の残記憶容量に関する情報(例えば残りの記憶容量や、残りの記憶容量から推定した交換時期や記録可能時間)を表示するため、パトロール等に出かけた警備用車両の搭乗者が記録を所望しているのに記録できないという事態を未然に防止することができる。
【0019】
また、請求項7に記載の警備用車両によれば、警備用車両のエンジンを始動した際、記憶装置の残記憶容量が所定値以下の場合、または記憶装置が接続されていない場合、警告信号を出力するので、パトロール等に出かけた警備用車両の搭乗者が記録を所望しているのに記録できないという事態を、より確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の警備用車両Sに搭載した画像記録装置の概略接続図である。
●[画像記録装置の構成と接続(図1)]
画像記録装置は、コントロール装置30と中継装置20とで構成された制御装置と、撮像装置10a〜10c(CCDカメラ等であり、以下カメラ10a〜10cと記載する)とで構成され、本実施の形態ではコントロール装置30の内部に記憶装置35(Hard Disk Drive等)を収容している。なお、コントロール装置30は表示装置36も備えている。
カメラ10a〜10cは中継装置20に接続され、画像情報を次々と中継装置20に出力する。中継装置20は、入力された画像情報を圧縮してLANケーブル等を介してコントロール装置30に次々と出力する。コントロール装置30は、警備用車両Sの搭乗者からの操作に基づいて、カメラ10a〜10cの方向及びズーム状態を調整や、中継装置20から入力される画像情報の記録等を行う。
なお、本実施の形態の説明では、複数のカメラを接続した例を説明するが、カメラは単数であってもよい。
【0021】
本実施の形態の説明では、警備用車両Sは警察車両(パトカー等)を例としている。
警備用車両Sは警備用として特化した車両であり、例えばレーダ40w(標的車両の速度計測用等)、車外スピーカ40x(警告音の出力)、回転灯40y(警告光の出力)、マイク40z(車外スピーカへの音声入力用)等、種々の専用装備を有している。
中継装置20には、Global Positioning System40a(以下GPS40aと記載する)からは位置情報が、レーダ40wからは標的車両の速度情報が、その他のセンサ40b等から種々の情報が入力される(例えば当該警備用車両Sの車速センサから速度情報が入力される)。
【0022】
また、中継装置20にはUSB(Universal Serial Bus)端子を備えており、端末装置40c(以下パソコン40cと記載する)、外部記憶装置40d等の機器とUSBによる通信回線にて接続することが可能であり、USBによる通信回線及び通信手段24(USBによる通信のインターフェース)を介して画像情報等の送受信を行うことができる。また、中継装置20には、電源として警備用車両Sのバッテリ40eが接続されており、中継装置20からコントロール装置30及びカメラ10a〜10cへ電源を供給する。
なお、USB端子には種々の機器が接続可能であり、例えばプリンタ(USBによる通信インターフェースを備えたプリンタ)が接続可能である。例えば搭乗者はコントロール装置30の操作ボタンを操作することで、印刷を所望する文書情報または画像情報等を選択し、USB端子に接続されたプリンタから印刷することも可能である。
【0023】
コントロール装置30は、記憶装置35を収容可能であり、収容した記憶装置35及び外部記憶装置40d(外部記憶装置40dを接続した場合)に、警備用車両Sの搭乗者からの操作に基づいて、中継装置20から出力される画像情報を記録可能である。また、コントロール装置30は、警備用車両Sの搭乗者からの操作に基づいて、所定の画像情報等の情報をアンテナ38を介して無線通信で送受信することができる。
また、コントロール装置30は、ラジオ受信機37を収容しており、アンテナ38にて受信したラジオ放送の音声をスピーカ40fから出力することが可能である。
【0024】
●[カメラ、コントロール装置及び中継装置の配置位置(図2)]
次に、図2(A)及び(B)を用いて警備用車両Sにおける、カメラ10a〜10c、コントロール装置30及び中継装置20の配置位置について説明する。
カメラ10aは、警備用車両Sの車外における前方を撮影することが可能な位置に設けられ、図2(A)に示すように例えば警備用車両Sの車外側の天井の前方に設けられている。また、カメラ10aは、ドーム型であり水平方向及び垂直方向に回転させて光軸CZを操作可能であるとともに、ズーム状態も操作可能(所定の範囲で任意の倍率に変更可能)である。なお、光軸CZの方向及びズーム状態は、警備用車両Sの搭乗者により、コントロール装置30から操作可能である。
なお、車外の前方を撮影するカメラ10aは、図示しないが、警備用車両Sのフロントガラス越しに前方を撮影可能に警備用車両S内に設置されていてもよい。
【0025】
カメラ10bは、警備用車両Sの車外における後方を撮影することが可能な位置に設けられ、図2(A)に示すように例えば警備用車両Sの車外側の天井の後方に設けられている。また、カメラ10bは、カメラ10aと同様に、光軸CZの方向及びズーム状態を、警備用車両Sの搭乗者により、コントロール装置30から操作可能である。
なお、車外の後方を撮影するカメラ10bは、図示しないが、警備用車両Sのリアガラス越しに後方を撮影可能に警備用車両S内に設置されていてもよい。
カメラ10cは、警備用車両Sの車内、特に後部座席の搭乗者を前方から撮影することが可能な位置に設けられ、図2(B)に示すように例えば警備用車両Sのルームミラー近傍に設けられている。なお本実施の形態では、カメラ10cは、後部座席の後部座席の搭乗者を前方から撮影できればよく、距離がほぼ固定されているので広角に固定されてズーム状態を操作可能には特にしていない。また、光軸CZも特に操作可能にはしていない。しかし、カメラ10cの光軸CZの方向及びズーム状態を、コントロール装置30から操作可能にすることもできる。
【0026】
本発明実施以前の状態にあっては、警備用車両Sのいわゆるセンターコンソール内には、ラジオ等のオーディオユニット(図示せず)が一般に搭載されている。本発明では、そのオーディオユニットを取り外し、その代わりにコントロール装置30をセンターコンソール内に設置することもできる。なお、本実施の形態では、ラジオ受信機37を、コントロール装置30内に収容することもできる(図3参照)。もちろん、コントロール装置30は、ラジオ受信機37以外のオーディオユニットを搭載する構成としてもよい。
これにより、コントロール装置30は、カメラ10a〜10cの光軸CZの方向及びズーム状態等の操作を、運転席の搭乗者または助手席の搭乗者が腕を伸ばせば容易に届く、使い勝手の良い位置に配置される。また、図3に示すようにラジオ受信機37はCPU31に接続されており、搭乗者は入力手段34からCPU31を介してラジオ受信機37の操作を行うことが可能である。
また、中継装置20は、各センサ、各機器が接続されるとともに(図1及び図3を参照)、コントロール装置30内の限られたスペース内に収容しきれなかった機能も備えている。
なお、図2(B)に示す例では、中継装置20を助手席の前方のスペースに配置しているが、助手席シートの下、または天井、またはダッシュボード上、またはグローブボックス内、またはトランク内等に配置してもよい。
【0027】
●[搭乗者からの操作と、中継装置とコントロール装置の内部構成及び動作(図3)]
次に、警備用車両Sの搭乗者からの各種の操作と、当該操作に基づいた中継装置20及びコントロール装置30の動作について、図3に示すブロック構成図と、図4(A)に示すコントロール装置30の操作パネル30pを用いて説明する。
なお図4(A)の例に示すように、表示装置36を操作パネル30pの左上に配置し、操作パネル30pの右側及び下側に操作ボタンを配置しているため、運転席が左側の場合、運転席からは表示装置36の画面を見易く、助手席からは操作ボタンの操作がし易い。
なお図3において、中継装置20とコントロール装置30に記載している◎印はコネクタを示しており、中継装置20及びコントロール装置30は、互いの接続を、コネクタを用いて容易に行うことができる。また、各種の機器(カメラ10a〜10c、GPS40a等)の接続及び取り外しを、コネクタを用いて容易に行うことができる。
本実施の形態では、車外を撮影するカメラを2台(カメラ10a(前方)、カメラ10b(後方))、車内を撮影するカメラを1台(カメラ10c)としたが、車外を撮影するカメラを1台(カメラ10a)として、車内を撮影するカメラを2台(カメラ10bを車内に設ける)にすることも可能である。また、切替手段22を2台の切替えでなく、4台や8台の切替えを可能にすれば、更に多くの数のカメラを接続可能である。
【0028】
●[カメラの切替え、及びズーム状態と方向の操作]
搭乗者は、コントロール装置30の入力手段34から指示することで、コントロール装置30に入力される画像情報を撮影しているカメラの選択や、カメラ10a及びカメラ10bのズーム状態、光軸CZの方向等を操作することができる。
例えば操作ボタングループgrp1(図4(A)参照)には、カメラ10a〜10cの各カメラを選択して光軸CZの方向及びズーム状態を操作可能な操作ボタン群(カメラ10a及び10bを操作可能)と、表示装置36に表示する画像情報を選択(カメラ10a〜10cの中から選択可能であり、カメラ10aの画像情報のみを表示したり、カメラ10a〜10cの画像情報を分割画面にて同時に表示したりする選択)することが可能な操作ボタン群が配置されている。なお、操作パネル30pに配置されている各種の操作ボタンは、1つのボタンで複数の操作が可能であり、特定のボタン操作により操作内容が切替え可能な構成を有している。
また、例えば各操作ボタンの表面(操作時に触れる部分)はゴム等の滑りにくい材質のものを使用する。
【0029】
例えば搭乗者は、入力手段34からの指示により、CPU31及びCPU21を介してカメラ10a(またはカメラ10b)のズーム手段11aを制御して焦点距離を調整することが可能である。同様に、入力手段34からの指示により、CPU31及びCPU21を介してカメラ10a(またはカメラ10b)の方向変更手段12aを制御してカメラ10aの光軸CZの水平方向と垂直方向を調整することが可能である。
また搭乗者は、入力手段34からの指示により、CPU31及びCPU21を介して中継装置20の切替手段22を、カメラ10b(車外後方)またはカメラ10c(車内)の所望する側に切替えることが可能であり、カメラ10bまたはカメラ10cのいずれの画像情報をコントロール装置30に入力するか、選択することができる。なお、本実施の例では、カメラ10a(車外前方)からの画像情報は、切替えることなくコントロール装置30に入力される。
【0030】
カメラ10aにより撮影された画像情報は、所定時間毎に取り込んだ連続したコマ単位の静止画データとして、もしくは動画データとして、中継装置20の圧縮手段23aへ送信される。同様に、カメラ10b及び10cにより撮影された画像情報は、所定時間毎に取り込んだ連続したコマ単位の静止画データとして、もしくは動画データとして、切替手段22を介して中継装置20の圧縮手段23bへ送信される。
そしてカメラ10bまたは10cで撮影された画像情報は、切替手段22による切替えによって有効となるいずれか一方の画像情報のみが中継装置20の圧縮手段23bへ送信される。
【0031】
圧縮手段23aは、例えばカメラ10aから画像情報(例えば1/60秒間毎に出力されるコマ単位の静止画)を受信する毎に、その画像情報(例えば静止画)を圧縮し一旦自身に記憶しておき、その記憶した静止画が所定のコマ数(例えば、5コマ)になれば一括して出力する(この例ではコントロール装置30のCPU31に出力する)。
また圧縮手段23bは、例えば切替手段22がカメラ10b側からの静止画を有効となるように切替えている場合、上述したカメラ10aの場合と同様に、カメラ10bからの画像情報を受信する毎に、その画像情報を圧縮し一旦自身に記憶しておき、その記憶した画像情報が所定のコマ数(例えば、5コマ)になれば一括して出力する(この例ではコントロール装置30のCPU31に出力する)。
【0032】
切替手段22がカメラ10c側からの静止画を有効となるように切替えている場合、カメラ10cからの画像情報を受信する毎に、その画像情報を圧縮し一旦自身に記憶しておき、その記憶した画像情報が所定のコマ数(例えば、5コマ)になれば一括して出力する(この例ではコントロール装置30のCPU31に出力する)。
圧縮手段23a及び23bは、自身が動画像圧縮手段であるなら、入力された画像情報を動画圧縮形式で圧縮(例、MPEG形式)し、自身が静止画像圧縮手段であるなら、入力された画像情報を静止画圧縮形式で圧縮(例、JPEG形式)する。なお、圧縮手段23a及び23bに、動画像圧縮手段と静止画像圧縮手段の双方を備えさせ、入力手段34からCPU31及びCPU21を介して、動画像圧縮手段と静止画像圧縮手段のどちらかを選択するように構成することも可能である。
【0033】
●[単位時間あたりのコマ数の変更]
CPU21は、圧縮手段23a及び23bを介してカメラ10a〜10cに同期信号を出力し、カメラ10a〜10cが出力する画像情報の出力周期(例えば1/60秒)を任意に制御することができる。例えばCPU21から出力される同期信号の出力周期は、コントロール装置30のCPU31から指示(警備用車両Sの搭乗者が入力手段34から指示)することも可能であり、センサ40b等の検出値に基づいてCPU21が選定するように構成することも可能である。制御装置(この場合、中継装置20のCPU21)からの同期信号が接続されたカメラ10a〜10cは、同期信号が入力されると1コマの画像情報を制御装置(この場合、中継装置20)に出力する。
例えばセンサ40bは警備用車両Sの走行速度を検出可能な車速センサ(速度検出手段)であり、CPU21はセンサ40bが検出した検出値に基づいて、警備用車両Sの走行速度に応じて同期信号の出力周期を変更して、単位時間あたりのコマ数を変更することが可能である。例えば速度0〜10[km/h]では10[コマ/秒]、10〜20[km/h]では20[コマ/秒]、20〜30[km/h]では30[コマ/秒]、30〜40[km/h]では40[コマ/秒]、40〜50[km/h]では50[コマ/秒]、50[km/h]以上では60[コマ/秒]に変更する。
これにより、記録された画像情報を再生する場合、比較的再生画像の品質が高い低速走行時にはコマ数を少なく、比較的再生画像の品質が低い高速走行時にはコマ数を多くするので、低速〜高速まで、安定的な品質の画像情報を記録できるとともに、不要なコマ数を低減して、記憶装置35の記憶容量を有効に利用することができる。
【0034】
●[画像情報の記録と内部時計の自動補正]
搭乗者は、コントロール装置30の入力手段34から指示することで、コントロール装置30に入力されている画像情報を、コントロール装置30に収容している記憶装置35に記録することができる。
CPU31は、中継装置20の圧縮手段23a及び23bから所定のコマ数の画像情報を受信すると、これらの画像情報がどのカメラで撮影された画像情報であるかを識別可能にするカメラ番号(撮像装置ID)と、またこれらの各画像情報がいつ撮影されたものであるかを識別可能にする撮影時刻情報とを各画像情報に付加するヘッダ情報に追加する(図5(A)及び(C)参照)。そしてCPU31は、カメラ番号及び撮影時刻などの属性情報を含むヘッダ情報を付加された画像情報をバッファメモリ33へ一時的に記憶する。
【0035】
なお、CPU31は図示しない計時手段(内部時計)によって、現在日時を認識可能である。
またCPU31は、当該内部時計の時刻合わせ手段を有しており、所定のタイミングで内部時計の時刻を補正することができる。例えば予め設定された時刻にてラジオ受信機37で受信したラジオ放送の時報等を用いて補正したり、警備用車両Sのエンジンを始動した際等にて通信手段32を介して本部50等から現在時刻情報を受信して補正したりすることができる。
また、本部50等から現在時刻情報を送信して、本部50等から強制的に内部時計の時刻を補正することも可能である。
【0036】
さらにCPU31は、上述した画像情報をバッファメモリ33へ記憶する際に、GPS40aから取得した位置情報もヘッダ情報に付加してバッファメモリ33へ記憶することができる(図5(A)参照)。
なお、図5(A)及び(B)は、画像情報に付加されたヘッダ情報内に位置情報を含む場合の画像情報のファイル構成の例(図5(A)、及び再生画像の例(図5(B))を示している。また、図5(C)及び(D)は、位置情報をヘッダ情報内に含まずに、別個のファイルとして構成ファイル構成の例(図5(C)、及び再生画像の例(図5(D))を示している。例えば図5(C)に示すように位置情報を別個のファイルで構成する場合、1分毎等の所定時間毎に、新たなデータ(撮影時刻情報と位置情報)を追加していく。
【0037】
記憶装置35への記録が指示されると、CPU31は、バッファメモリ33に記憶している画像情報が所定量蓄積した場合に、バッファメモリ33内の画像情報を記憶装置35に記録する(位置情報が別個のファイルで構成されている場合は、位置情報も記憶装置35に記録する)。
例えば操作ボタングループgrp2(図4(A)参照)には、カメラ10a〜10cの画像情報の中から記録を所望する画像情報を選択して、記憶装置35への記録を開始する指示を行う操作ボタン群と、記憶装置35に記録されている画像情報の再生等を指示する操作ボタン群が配置されている。例えば搭乗者が操作ボタン30a(REC1)を押すと、カメラ10aの画像情報を記憶装置35へ記録する処理が開始される。
なお、カメラに対応する操作ボタンを押した場合に当該カメラからの画像情報の録画を開始するマニュアル録画モードの他に、コントロール装置30に入力されてくる画像情報を自動的に常時記録するオート録画モードに、特定の操作ボタンの操作により設定することも可能である。
【0038】
なお、図4(B)は、図4(A)に示す操作パネル30pの中から操作ボタングループgrp2を抽出した図である。操作ボタングループgrp2は、運転手または助手による一瞬の判断で現場の映像の記録を行うことが容易となるように、且つ押し間違い等を低減できるように、各操作ボタンを配置している。
例えば操作ボタン30dは記録または再生処理を停止するボタンであり、当該ボタンを中心として、左側には記録用の操作ボタン30a〜30cが配置されている。操作ボタン30aはカメラ10aの画像情報の記録を開始するボタンであり、操作ボタン30bはカメラ10bの画像情報を、操作ボタン30cはカメラ10cの画像情報の記録を開始するボタンである。
操作ボタン30dの右側には記録されている画像情報の再生に関する操作ボタン30e〜30hが配置されている。操作ボタン30eは巻き戻し、操作ボタン30fは再生、操作ボタン30gは早送り、操作ボタン30hは一時停止を指示するボタンである。
例えば操作ボタン30dの形状を、指で触れた場合に他の操作ボタン30a〜30c、及び30e〜30hと容易に識別可能とする(表面粗さ、形状(凹凸具合、外形等)、サイズ等を固有なものにする)。搭乗者は操作ボタン30dの位置を確認すれば、その後は操作ボタン30a〜30hを見ることなく、所望する操作を行うことができる。
【0039】
また、記憶装置35にHard Disk Driveを用い、バッファメモリ33にICメモリを用いた場合、例えば警備用車両Sの振動が大きく、記憶装置35に記録すべきでない状態を検出した場合に(この場合、センサ40bとして、振動検出センサを接続する)、書き込み可能な状態となるまでバッファメモリ33へ画像情報を保持しておくことが可能である。これにより、警備用車両Sの走行によって振動が発生しても画像情報の記憶の漏れ、記憶装置35の故障等を低減または防止することができる。なお、バッファメモリ33の容量は、警備用車両Sが段差等を乗り越えたときに発生する振動が継続すると予想される時間等を想定して選定する。
例えばコントロール装置30は、所定値以上の振動を検出した場合、バッファメモリ33への画像情報の記録は継続しながら、記憶装置35への記録を所定時間中断する。そして所定時間が経過した後に、バッファメモリ33に記録されている画像情報を記憶装置35に記録する。
【0040】
なお、GPS40aは、図示しない人工衛星から情報を受信してGPS40a自身の現在位置に関する情報(例えば、緯度、経度等)を入手可能な装置である。またGPS40aは、現在位置に関する情報に対応付けて住所または地図等を記憶させておくことで、警備用車両Sの現在位置を住所または地図上で認識することも可能である。GPS40aは、所定のタイミング毎に(例えば1分毎)、現在位置を住所または地図上で認識した情報(以下、位置情報という)を中継装置20のCPU21へ送信する。
【0041】
また、CPU21は、通信手段24を介してパソコン40c、外部記憶装置40d等と画像情報の送受信を行うことが可能であり、通信手段24を介して接続したパソコン40cや外部記憶装置40dに画像情報を記録させることが可能である。
例えば通信手段24は、Universal Serial Bus規格の汎用インターフェース(以下、インターフェースをI/Fと記載する)であり、当該規格のI/Fを備えた種々の機器と通信を行うことが可能である。
例えば中継装置20に外部記憶装置40dを接続した場合、搭乗者は、コントロール装置30の入力手段34と表示装置36とを用いて、外部記憶装置40dへの記録を所望する画像情報を記憶装置35から選定して、外部記憶装置40dに記録させることができる。この場合、CPU31は、入力手段34からの指示に基づいて、記憶装置35に記録されている画像情報の中から指示された画像情報を、CPU21を介して外部記憶装置40dに送信する(記録する)。
【0042】
なお、パソコン40cを中継装置20に接続した場合、搭乗者は、パソコン40cの入力手段(キーボード)と表示装置(モニタ)を用いて、当該パソコン40cへの記録を所望する画像情報を記憶装置35から選定して、パソコン40cに記録させることができる。この場合、CPU31は、パソコン40cからCPU21を介して入力される指示に基づいて、記憶装置35に記録されている画像情報の中から指示された画像情報を、CPU21を介してパソコン40cに送信する(記録する)。
なお、表示装置36には、各カメラ10a〜10cで撮影している画像情報をリアルタイムに表示することが可能であるとともに、記憶装置35に記録されている画像情報をカメラ番号もしくは撮影時刻を検索条件とし読み出して表示することも可能である。
【0043】
なお、記憶装置35にHard Disk Driveを用いた場合、故障等を予測する自己診断機能(いわゆるSMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)機能)を利用することが可能である。例えば警備用車両Sのエンジンを始動した場合に、記憶装置35に当該自己診断を行わせ、診断結果を表示装置36に表示させることで、搭乗者は記憶装置35の異常の有無等を確認することができるので便利である。
【0044】
●[画像情報の送信]
搭乗者は、コントロール装置30の入力手段34から指示することで、コントロール装置30に入力されている画像情報を、本部50(例えば警察本部)に送信することができる。なお、画像情報には、位置情報をヘッダ情報(ヘッダ情報は画像情報に付加されている)に含む場合(図5(A)及び(B))と、位置情報と画像情報とが別々の場合(図5(C)及び(D))とがある。
【0045】
[位置情報がヘッダ情報(画像情報)に含まれている場合(図5(A)及び(B))]
例えばCPU31は、入力手段34からの送信要求操作を受け付けると、バッファメモリ33に記憶している画像情報(位置情報等を含むヘッダ情報も付加されている)を1つのファイルとして、通信手段32及びアンテナ38を介して本部50に送信する(所定量の最新の画像情報を送信する)。
本部50では送受信装置52にて当該ファイルを受信可能であり、管理下にある警備用車両Sが撮影した緊急時の画像情報(位置情報、時刻情報等のヘッダ情報も付加されている)を適宜受信することができる。
【0046】
したがって、警備用車両Sがそのパトロール中に現場の状況を撮影している状態において緊急事態が発生した場合、搭乗者が操作ボタン(例えば図4(A)に示す操作ボタン30m)を押すだけの簡単な操作によって、即座に現場の状況を知らせるための画像情報を本部へ送信することができる。
本部50では即座に現場の状況が映像で確認できるため適切な指示を現場に与えることができるとともに、その映像の撮影位置が分かる(ヘッダ情報内の位置情報より)ために、直ぐに応援の車両を向わせることなどができる。なお、このように画像情報に位置情報を含ませて同一ファイルで送信すれば、1ファイルで画像情報と位置情報を管理できるために、ファイル管理が容易となる。図5(A)に示すように、いつ(撮影時刻情報より)、どこで(位置情報より)、どのカメラが(カメラ番号より)、この画像を撮影したかが直ぐに分かる。
【0047】
[位置情報がヘッダ情報(画像情報)に含まれてなく、別ファイルの場合(図5(C)及び(D))]
例えばCPU31は、入力手段34からの送信要求操作を受け付けると、バッファメモリ33に記憶している画像情報と位置情報とを別々のファイルとして、通信手段32及びアンテナ38を介して本部50に送信する(所定量の最新の画像情報を送信する)。
本部50では送受信装置52にて当該ファイルを受信可能であり、管理下にある警備用車両Sが撮影した緊急時の画像情報(時刻情報等のヘッダ情報も付加されている)と、当該画像情報に対応する位置情報とを適宜受信することができる。
なお、警備用車両Sの搭乗者が操作ボタン(例えば図4(A)に示す操作ボタン30m)を押すだけの簡単な操作によって、即座に現場の状況を知らせるための画像情報を本部へ送信することができる点や、本部50で即座に現場の状況が映像で確認できる点は同様である。
【0048】
●[表示装置への表示と、記憶装置に記録する画像情報の選択]
搭乗者は、コントロール装置30の入力手段34から指示することで、表示装置36に表示する形態、及び表示する画像情報等を選択することができる。
例えば初期設定の状態では、表示装置36にはカメラ10a(車外前方)が撮影している画像情報のみが表示される。この場合、CPU31は、圧縮手段23aから入力されるカメラ10aの画像情報を表示装置36に出力する。
また、搭乗者が入力手段34を操作することで、カメラ10bが撮影している画像情報のみを表示させたり、カメラ10cが撮影している画像情報のみを表示させることが可能である。例えば入力手段34からカメラ10bの画像情報の表示操作が行われた場合、CPU31はCPU21を介して切替手段22をカメラ10b側に設定し、圧縮手段23bから入力されるカメラ10bの画像情報を表示装置36に出力する。また、カメラ10cの画像情報の表示操作が行われた場合、CPU31はCPU21を介して切替手段22をカメラ10c側に設定し、圧縮手段23bから入力されるカメラ10cの画像情報を表示装置36に出力する。
【0049】
また、搭乗者が入力手段34を操作することで、記憶装置35に記録されている画像情報を読み出して再生した画像情報を表示させることも可能である。
また、例えば表示装置36にカメラ10aの画像情報を表示している場合に、図4(A)及び(B)に示す操作ボタン30a(REC1)を操作すると、CPU31は圧縮手段23aから入力されるカメラ10aの画像情報を記憶装置35に記録する。
また、例えば表示装置36にカメラ10aの画像情報を表示している場合に、図4(A)及び(B)に示す操作ボタン30b(REC2)を操作すると、CPU31はCPU21を介して切替手段22をカメラ10b側に設定し、圧縮手段23bから入力されるカメラ10bの画像情報を記憶装置35に記録する。
【0050】
また、例えば表示装置36にカメラ10aの画像情報を表示している場合に、図4(A)及び(B)に示す操作ボタン30a(REC1)と30b(REC2)を操作すると、CPU31はCPU21を介して切替手段22をカメラ10b側に設定し、圧縮手段23aから入力されるカメラ10aの画像情報と、圧縮手段23bから入力されるカメラ10bの画像情報とを記憶装置35に記録する。同様に、図4(A)及び(B)に示す操作ボタン30a(REC1)と30c(REC3)を操作すると、CPU31はCPU21を介して切替手段22をカメラ10c側に設定し、圧縮手段23aから入力されるカメラ10aの画像情報と、圧縮手段23bから入力されるカメラ10cの画像情報とを記憶装置35に記録する。
【0051】
また、例えば搭乗者が入力手段34を操作することにより、表示装置36への表示形態を図6(A)に示す分割画面(均等サイズの分割)に変更することや、図6(B)に示す分割画面(不均等サイズの分割)に変更することも可能である。
なお、図6(A)及び(B)の例では、画面の領域36dに操作状態(搭乗者からの操作内容と、その操作内容に伴う処理の実行内容)を表示しているため、誤操作や操作忘れ等を防止することができる。
なお、操作状態を分割画面の1つに表示する代わりに、図6(C)の例に示すように、CPU31は、カメラからの画像情報を表示している領域36a内に、所定時間の間(例えば3秒間等)、操作状態を表示するようにしてもよい。図6(C)は、搭乗者がラジオ受信操作を行い、カメラ10aからの画像情報を表示している領域36aに、ラジオ受信操作がなされたことを表示している例を示している。なお、この場合にカメラ10aの画像情報を記録していても、所定時間表示される操作状態を記録しないようにすることができる。
【0052】
また、操作状態を表示装置36に表示する代わりに、各操作ボタンにLED等を設け、操作されたボタンを識別可能に点灯または点滅等させるようにしてもよい。通常時では全ての操作ボタンのLEDが点灯しており、例えば操作ボタン30a(REC1)を押した場合、所定時間の間、その操作ボタンのLEDのみが点灯して他の操作ボタンのLEDを消灯させる(所定時間経過後は全ての操作ボタンが点灯する通常時に戻る)。また通常時では全ての操作ボタンのLEDが点灯しており、例えば操作ボタン30a(REC1)を押した場合、所定時間の間、その操作ボタンのLEDのみが点滅させる。これにより、どの操作ボタンを操作したのか、適切に確認することができる。
【0053】
また図3に示すように、中継装置20は表示装置36Bを接続することが可能であり、コントロール装置30は表示装置36Aを接続することが可能である。なお、どちらか一方のみが表示装置を接続可能であってもよい。例えば表示装置36Aまたは36Bを所望する位置に配置(後部座席等)し、コントロール装置30の表示装置36の表示内容を視覚的に確認することが困難な搭乗者にも、表示装置36にて表示している画像を表示装置36Aまたは36Bにて視覚的に確認させることができる。
例えば中継装置20に表示装置36Bを接続した場合、CPU21からCPU31に画像情報の要求信号を出力し、要求信号を受信したCPU31は、表示装置36に出力している画像情報をCPU21に出力する。そしてCPU21は入力された画像情報を表示装置36Bに出力する。
【0054】
●[記憶装置の残記憶容量の表示]
CPU31は、記憶装置35の残記憶容量を検出可能である。またCPU31は、検出した残記憶容量に関する情報(例えば残記憶容量のバイト数、または記憶可能時間、交換予想時期等)を表示装置36に表示することが可能である。
また、残記憶容量に関する情報を表示させるタイミングとしては、警備用車両Sのエンジンを始動した場合に、自動的にCPU31が記憶装置35の残記憶容量を検出して表示装置36に表示することが好ましい。
なお、警備用車両Sのエンジンを始動した際に、記憶装置35の残記憶容量が所定値以下の場合、または記憶装置35が接続されていない場合、表示装置36またはスピーカ40f等から警告信号を出力するようにしてもよい。この場合、パトロールに出発した先で、いざ記録しようとした場合に記録できないような事態を未然に防止することができる。
【0055】
●[記憶装置の収容と交換]
次に、図4(C)を用いて記憶装置35の収容及び交換について説明する。図4(C)は、操作パネル30pを開いた(この例では操作パネル30pは、手前に倒れるように開く例を示している)状態を示している。なお、操作パネル30pを右または左に開くように構成してもよい。
搭乗者が所定の操作を行うと、操作パネル30pを開閉可能である。操作パネル30pが開いた状態(図4(C)に示す状態)にて、操作ボタン30Tを押すと、脱着窓30Hから記憶装置35を取り出すことが可能である。なお、脱着窓30Hの奥には記憶装置35を接続するコネクタが配置されており(図示せず)、記憶装置35をコネクタに差込むと、コネクタが記憶装置35を自動的にコントロール装置30内の所定位置まで移動して記憶装置35を収容する。
【0056】
なお、記憶装置35には、記憶容量が20GB、30GB、40GB等、種々の容量のものを用いることができる。
また、記憶装置35の交換は、所定の権限を有する者のみが交換可能であることが好ましい。そのため、操作パネル30pは、操作パネル30pの操作ボタンから、所定のパスワード等が入力された場合に開くように構成することも可能である。例えば所定の操作ボタンを操作することで、操作ボタン30bを、数字「1」の入力用に設定したり、アルファベット「AまたはBまたはC」の入力用に設定することができ、これらの操作ボタンからパスワード等を入力させるように構成することが可能である。
【0057】
●[電源の集中制御]
中継装置20は電源25を備えている。電源25は警備用車両Sのバッテリ40eに接続されており、バッテリ40eから供給された電源を、自身である中継装置20と、コントロール装置30(及び記憶装置35)と、カメラ10a〜10cを含む各装置に供給する。共通の電源25から各装置に電源を供給することで、車両の状態によっては、電源が供給される配線と供給されない配線があったり、電源の立上りや立下りの遅れ時間や順番がばらつくことによる画像記録装置の安定動作に影響を及ぼす可能性を適切に防止することができる。共通の電源25により安定的な電源を供給することで、画像記録装置を安定動作させることができる。
なお、中継装置20は、電源25から各装置に供給する電源の立ち上げタイミングを制御可能であり、例えばカメラ10a〜10cに電源の供給を開始して更に所定時間経過した後に、コントロール装置30に電源の供給を開始する等、順番及びディレイ時間等を設定することが可能である。これにより、画像記録装置をより安定動作(この場合、安定的な立ち上げ動作)をさせることが可能である。
【0058】
●[無線交信]
例えば警備用車両Sが警察車両であり、本部50が各地域の警察署の場合、コントロール装置30における通信手段32は、警察無線用の無線機とすることができる。例えば、図1に示すマイク40zを用いた警察無線を使用することが操作された場合、通信手段32は警察無線の無線回線を用いて、本部50の送受信装置52と音声情報の送受信を行うことが可能である。また、上記に説明した[画像情報の送信]の操作がなされた場合、通信手段32は警察無線の無線回線を用いて、本部50の送受信装置52に画像情報を送信することが可能である。
【0059】
また、搭乗者は、マイク40zから中継装置20とコントロール装置30(コントロール装置30の通信手段32)を介して、警備員が携帯する無線機(携帯可能な警察無線機)と音声情報を送受信することが可能である。なお、搭乗者が通信手段32を介して本部50の送受信装置52または警備員が携帯する無線機と送受信を行った音声情報は、所定の操作を行うことで(操作ボタン等の操作)記憶装置35に記録することができる。従って、搭乗者がマイク40zから入力した音声も、記憶装置35に記録することができる。
上記に説明したように、搭乗者はマイク40zにて本部50の送受信装置52または警備員が携帯する無線機との音声情報の無線交信の記録を行うことができるとともに、所定の操作を行うことで(操作ボタン等の操作)マイク40zから入力した音声情報のみを記録することも可能である。これにより、搭乗者は音声による日報データ等を記録することができ、便利である。
【0060】
●[搭乗者の記録]
警備用車両Sには種々の警備員等が搭乗するため、誰が、いつ搭乗したか記録しておくことが好ましい。そこで、例えば各警備員等には、ID情報(識別情報)が記録されたICタグ(非接触タイプの無線タグ)を携帯させ、コントロール装置30または中継装置20にはID情報の読み取り手段を設ける。
例えばコントロール装置30は、所定時間毎(5分毎等)に読み取り手段を用いてID情報を読み取り、読み取ったID情報を時刻情報とともに記録する。このID情報及び時刻情報を用いれば、当該警備用車両Sに、いつ、誰が搭乗したかを容易に抽出することができる。なお、毎日またはパトロール毎に記憶装置35を交換等する場合は、時刻情報を記録しなくても構わない。
【0061】
また、警備用車両Sのエンジン始動前等に照合を行わせることも可能である。例えば、ID情報と警備員とを対応づけた照合情報を、コントロール装置30または中継装置20、または本部50に記憶しておく。
例えばコントロール装置30は、警備用車両Sのエンジン始動前(イグニッションスイッチをOFF位置からON位置に移動させたとき)に、読み取り手段を用いてID情報を読み取る。そして読み取ったID情報と照合情報とを照合する(コントロール装置30に照合情報を記憶している場合)。
なお、照合情報を中継装置20が記憶している場合、コントロール装置30から中継装置20に(読み取った)ID情報が送信され、中継装置20の照合結果をコントロール装置30が受信する。
また、照合情報を本部50が記憶している場合、コントロール装置30から本部50の送受信装置52に(読み取った)ID情報が送信され、本部50の送受信装置52の照合結果をコントロール装置30が受信する。
【0062】
本発明の警備用車両Sは、本実施の形態で説明した構成、動作、表示等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
表示装置36の表示画面の表示内容等は、本実施の形態に限定されるものではない。
本実施の形態の説明に用いた数値等は一例であり、この数値等に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の警備用車両Sは、警察及び警備会社等のパトロール用の車両に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の警備用車両Sに搭載する画像記録装置(コントロール装置30と中継装置20とで構成された制御装置を含む)と、撮像装置(カメラ)等との接続の例を説明する図である。
【図2】警備用車両Sにおける、カメラ10a〜10c、コントロール装置30及び中継装置20の配置位置を説明する図である。
【図3】コントロール装置30と中継装置20の内部構成、及び撮像装置(カメラ)等との接続の例を説明する図である。
【図4】コントロール装置30の操作パネル30pの外観を説明する図である。
【図5】画像情報に位置情報を含むファイルの構成、及び画像情報と別個のファイルで位置情報を有する構成の例を説明する図である。
【図6】表示装置36への表示方法の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
10a〜10c 撮像装置(カメラ)
20 中継装置
23a、23b 圧縮手段
30 コントロール装置
32 通信手段
34 入力手段
35 記憶装置
36 表示装置
50 本部
52 送受信装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、
撮像装置は単数または複数であり、制御装置から出力される同期信号に対応させて、1コマの画像情報を制御装置に出力する、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項2】
請求項1に記載の警備用車両であって、
警備用車両の走行速度を検出可能な速度検出手段を備え、
制御装置は、警備用車両の速度に応じて同期信号を出力する、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項3】
撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、
制御装置は、コントロール装置と中継装置とで構成され、
中継装置には警備用車両のバッテリが接続されており、コントロール装置と撮像装置と記憶装置とを含む各装置への電源は中継装置から供給され、
中継装置は、前記各装置への電源の立ち上げタイミングを制御可能である、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項4】
撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、
制御装置は、ID情報の読み取り手段を備えており、ID情報を読み取った場合、読み取ったID情報を記憶装置に記録する、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項5】
撮像装置で撮影した警備用車両の車外または車内の少なくとも一方の画像情報を制御装置を介して記憶装置に記録する画像記録装置を備えた警備用車両であって、
制御装置は内部時計の時刻合わせ手段を備えており、所定のタイミングで内部時計の時刻を補正する、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の警備用車両であって、
制御装置は、記憶装置における記憶可能な残記憶容量を検出可能であり、残記憶容量に関する情報を表示する、
ことを特徴とする警備用車両。
【請求項7】
請求項6に記載の警備用車両であって、
制御装置は、警備用車両のエンジンを始動した際に残記憶容量を検出し、検出した残記憶容量が所定値以下の場合または記憶装置が接続されていない場合、警告信号を出力する、
ことを特徴とする警備用車両。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−39934(P2006−39934A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218764(P2004−218764)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(391006348)株式会社タイテック (79)
【Fターム(参考)】