説明

貫通基板および貫通基板の製造方法

【課題】 クロストークによるノイズを排除できる貫通電極を提供する。
【解決手段】 貫通基板は、表面11と裏面12とを貫通する貫通孔19を有するシリコン基板10と、貫通孔19の内壁面に沿って設けられた、シリコン酸化膜13と、シリコン酸化膜13の内壁面に形成されたZnおよびCuの層14,15と、ZnおよびCuの層14,15の内壁面に沿って、間に絶縁層16を介して、Cuのシード層17から成長されたCuのメッキ層18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貫通基板およびその製造方法に関し、特に、信号伝達経路としても利用可能な、貫通基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、多層配線回路基板は、配線層が高密度化されることにより、信号線が近接することでお互いの信号配線間にクロストークノイズが生じ、回路の駆動素子に動作不良を発生させるという問題があった。このような問題を解決する一つの方法が、たとえば、特開2004−63725号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
同公報によれば、基板の内部に同軸構造の同軸線を形成して、信号配線層として利用している。
【特許文献1】特開2004−63725号公報(段落番号0004、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のクロストークノイズを排除する方法は上記のように行なわれていた。特許文献1においては、同軸構造を基板に平行に配置して、それを接地電位や電源電位の層の近傍に配置することによって、ノイズの排除を行なっているため、基板内の構成が複雑になるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、クロストークによるノイズを排除できる貫通基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる貫通基板は、表裏面とを貫通する貫通孔を有する基板と、貫通孔の内壁面に沿って設けられ、内部に内壁面を有する第1導電層と、第1導電層の内壁面に沿って、間に絶縁層を介して設けられた第2導電層とを有する。
【0007】
好ましくは、第1導電層はシールド線として作動し、第2導電層は、信号線として作動する。
【0008】
基板は絶縁物基板であってもよいし、半導体基板であってもよい。
【0009】
基板が半導体基板の場合は、貫通孔の内壁面と第1導電層との間に絶縁層をさらに含む。
【0010】
貫通孔はインターポーザの貫通孔であってもよい。
【0011】
この発明の他の局面においては、貫通基板の製造方法は、表裏面とを有する基板を準備するステップと、基板に貫通孔を形成するステップと、貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する第1導電層を形成するステップと、第1導電層の内壁面に沿って、間に絶縁層を介して第2導電層を形成するステップとを含む。
【0012】
好ましくは、表裏面とを有する基板を準備するステップは、半導体基板を準備するステップ含み、貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する第1導電層を形成する前に、貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する絶縁層を形成するステップをさらに含み、その後、絶縁層の内壁面に沿って第2導電層を形成するステップを含む。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る貫通基板は、表裏面とを貫通する貫通孔の内壁面に沿って設けられた第1導電層と、第1導電層の内壁面に沿って、間に絶縁層を介して設けられた第2導電層とを有する。貫通孔の内部に第2導電層が絶縁層を介して第1導電層で囲われ構成が形成されるため、遮蔽性の向上した同軸ケーブルの構成が得られる。その結果、クロストークによるノイズを排除できる貫通基板を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る貫通基板の製造工程をステップごとに示す図である。ここで貫通基板とは、基板の表面から裏面に渡って貫通孔を有している基板のことをいい、プリント基板(フレキシブルを含む)およびインターポーザ(シリコンインターポーザを含む)を含む。
【0015】
図1を参照して、まず、表面11および裏面12を有し両面間を貫通する複数の貫通孔19が設けられたシリコンの基板(貫通基板)10を準備する。なお、基板10全体はシリコン酸化膜13で覆われているものとする。次いで、たとえば、無電解メッキで貫通孔19の内部および表面および裏面の周囲にZnの層14を形成する(図1(A))。次いで、Znの層14の上にCuの層15を同じく無電解メッキで形成する(図1(B)、これらの層が第1導電層となる)。次に、Cuの層15の上に、たとえば、スパッタリングで絶縁層16を形成する。この絶縁層16は、スパッタリングに限らず、CVDによりシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を形成してもよいし、電着樹脂形成してもよい。ここで電着樹脂としては、PTFEや、レジストや、ポリイミドや、ポリアミド等がある。
【0016】
なお、スパッタリングやCVDは、真空装置を準備する必要があるが、電着樹脂はそのような必要が無いため、好ましい。
【0017】
次に、貫通孔19の裏面12側において、たとえばCuのシード層17を設け、これを電界または無電解メッキの電極として形成し、この電極から、表面11側に向けて絶縁層16で構成された貫通孔の内部にメッキの層を成長させて貫通した導電層(第2導電層)18を形成する(図1(D))。
【0018】
これによって、基板10の貫通孔19は、その中心から導電層18、絶縁層16、導電層15および14で充填され、遮蔽性の向上した、同軸ケーブルの形状が得られる。この形状は、ノイズが低減できるとともに、寄生容量を減らすとともに、信号の高速伝送が可能な、同軸ケーブルの形状を有したビアホールであるので、以下、この形状を同軸ビアという。
【0019】
次にこの発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、シリコンの基板を用いた例について説明したが、この実施の形態においては、貫通基板として、ガラス基板やサファイヤ基板のような、絶縁基板を用いる。
【0020】
図2は、そのような、絶縁基板を用いた場合の図1に対応する図である。図2を参照して、この実施の形態においては、貫通基板が絶縁基板であるため、先の実施の形態のように、貫通孔の内壁に沿って酸化膜のような絶縁層13を設ける必要がない。
【0021】
それ以外の部分については、先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0022】
なお、この貫通基板は、複数の貫通孔を有する、インターポーザに適用されてもよい。
【0023】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明に係る貫通基板は、同軸ケーブルと同様の機能を有する基板として、有利に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】基板として半導体基板を用いた場合の、貫通基板の製造方法をステップごとに示す図である。
【図2】基板として絶縁基板を用いた場合の、貫通基板の製造方法をステップごとに示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10 基板、11 表面、12 裏面、13 酸化膜、14 Znメッキ層、15 Cuメッキ層、16 絶縁層、17 シード層、18 導電層、19 貫通孔。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面とを貫通する貫通孔を有する基板と、
前記貫通孔の内壁面に沿って設けられ、内部に内壁面を有する第1導電層と、
前記第1導電層の内壁面に沿って、間に絶縁層を介して設けられた第2導電層とを有する、貫通基板。
【請求項2】
前記第1導電層はシールド線として作動し、前記第2導電層は、信号線として作動する、請求項1に記載の貫通基板。
【請求項3】
前記基板は絶縁物基板を含む、請求項1または2に記載の貫通基板。
【請求項4】
前記基板は半導体基板を含み、
前記貫通孔の内壁面と前記第1導電層との間に絶縁層をさらに含む、前記請求項1または2に記載の貫通基板。
【請求項5】
前記貫通孔はインターポーザの貫通孔である、請求項1または2に記載の貫通基板。
【請求項6】
表裏面とを有する基板を準備するステップと、
前記基板に貫通孔を形成するステップと、
前記貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する第1導電層を形成するステップと、
前記第1導電層の内壁面に沿って、間に絶縁層を介して第2導電層を形成するステップとを含む、貫通基板の製造方法。
【請求項7】
前記表裏面とを有する基板を準備するステップは、半導体基板を準備するステップ含み、
前記貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する第1導電層を形成する前に、前記貫通孔の内壁面に沿って、内部に内壁面を有する絶縁層を形成するステップをさらに含み、その後、絶縁層の内壁面に沿って前記第2導電層を形成するステップを含む、請求項6に記載の貫通基板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−24653(P2006−24653A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199871(P2004−199871)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】