説明

貫通孔へのメッキ埋め込み方法及びメッキ装置

【課題】貫通孔へのメッキ埋め込み方法及びメッキ装置において、メッキ埋め込み工程の前後に別プロセスを必要とせずに直接貫通孔に金属を埋め込み、また、埋め込み金属中にボイドの発生のない信頼性の高い貫通電極をより高速に形成することを可能とする。
【解決手段】貫通孔3を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1にメッキを施して貫通孔3の内部に金属4を埋め込むメッキ埋め込み方法であって、第1工程では基板1の表面に金属薄膜2を形成し、第2工程では基板1の面A側の電流密度と面B側の電流密度を異ならせて金属薄膜2にメッキを施し電流密度の高い側の面Aの貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぎ、第3工程ではメッキ抑制剤及び又はメッキ促進剤を含むメッキ液を用いるとともに基板1の面A側の電流密度と面B側の電流密度の高低を第2工程とは逆に設定してメッキを施し貫通孔3にメッキ金属4を埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が絶縁された貫通孔にメッキを施して貫通孔に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法及びメッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に形成されたアスペクト比の大きな貫通孔に、金属を埋め込む方法が種々提案されている。このような金属埋め込み構造は、例えば、基板積層用の貫通電極として用いられる。金属埋め込みにはメッキによる方法が多く用いられている。メッキによる金属埋め込み、及び、ボイドを発生させることなく金属埋め込みを行うため、例えば、促進剤や抑制剤を利用するメッキ液に関する方法の他に、メッキ電流値をスロースタートしたり2段階に変化させたりするというメッキ電流制御に関する方法、基板表面に平行な流速としたり円形振動を与えたりするメッキ液撹拌に関する方法、メッキ前処理として促進剤を孔内のみに吸着させる方法などが提案されている。なお、貫通孔内のボイドは、金属の埋め込みが完了する前に貫通孔の上下が閉塞されることにより発生する。
【0003】
ここで、図15を参照して、促進剤や抑制剤を含むメッキ液を用いて基板に形成された孔にメッキ金属を埋め込んで貫通電極を形成する従来例を説明する。まず、図15(a)に示すように、シリコンウエハ基板91両面に熱酸化膜92を形成し、反応性イオンエッチングにより有底孔93を形成する。その後、図15(b)に示すように、絶縁膜94を形成し、図15(c)に示すように、絶縁膜94の上にバリアメタルとシード層を形成(不図示)した後、メッキ装置(不図示)のメッキ浴中で基板91を回転させながらシード層の上にCuメッキ97を形成する。これにより、有底孔93にCuメッキ97が充填される。その後、図15(d)に示すように、基板91が機械的に削られ、基板91を貫通したCuメッキ93による貫通電極が形成される。
【0004】
上述のメッキ液は、有底孔開口部近傍でのCuメッキの析出を抑制して有底孔底面及び側面からCuメッキを堆積でき、このメッキ液の使用に加え、メッキ電流密度を0.1〜3mA/cmとすることにより、有底孔内部が充填される前に開口部に析出したCuメッキによって開口部が塞がれて空洞(ボイド)が発生するという事態を回避できるとされる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、樹脂板を貫通して形成されたヴィアの一端側が樹脂板の一面側に形成された配線パターンに接合されている配線基板を製造するため、樹脂板を貫通する貫通孔へのメッキ埋め込みを行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この例では、樹脂板を貫通する貫通孔の内壁面を含む全表面に形成した薄金属層を給電層とする電解メッキによって、貫通孔を金属により充填してヴィアを形成しすると共に、樹脂板の一面側に樹脂板の他面側よりも厚い金属層を形成し、樹脂板の一面側のみに所定の厚さの金属層が残存するように金属層にエッチングを施した後、樹脂板の一面側に残存した金属層にパターニングを施し、配線パターンを形成する。
【特許文献1】特許2003−328180号公報
【特許文献2】特開2003−309214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した図15や特許文献1に示されるような埋め込み方法においては、有底孔にメッキ埋め込み後に開口部と逆の基板面を切削研磨して埋め込み金属を露出させており、メッキ埋め込み工程の前後に別プロセスが必要であり、直接貫通孔へのメッキ埋め込みを行っていない。また、電流密度が小さく高速な処理が望めない。特許文献2に示されるような貫通孔へのメッキ埋め込み方法においては、ボイドに関する言及がなく、このメッキ埋め込み方法の適用限界が定かではない。また、基板に形成されたアスペクト比の大きな貫通孔に、ボイドの発生なく直接メッキ金属を埋め込みできるメッキ装置が知られていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解消するものであって、メッキ埋め込み工程の前後に別プロセスを必要とせずに直接貫通孔に金属埋め込みができ、また、埋め込み金属中にボイドの発生のない信頼性の高い貫通電極をより高速に形成できる貫通孔へのメッキ埋め込み方法及びメッキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、前記基板の表面に金属薄膜を形成する第1工程と、前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度を異ならせて前記金属薄膜にメッキを施し電流密度の高い側の面の前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、メッキ抑制剤及び又はメッキ促進剤を含むメッキ液を用いるとともに前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度の高低を前記第2工程とは逆に設定してメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、前記第2工程は、前記基板の前記他方の面に臨む前記貫通孔の開口部周辺に撥水処理を施し、前記貫通孔に気泡を形成させた状態で前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぎ、その後、付着している前記気泡を脱泡させる工程である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1記載のメッキ埋め込み方法において、前記第2工程は、粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液を用いて行うものである。
【0011】
請求項4の発明は、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、前記基板の一方の面及び前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部の内壁に金属薄膜を形成する第1工程と、前記基板の一方の面とこの面に対向する陽極との間でメッキ電流を流すことにより前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、前記基板の他方の面側の電流密度を前記一方の面側の電流密度より高くしてメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むものである。
【0012】
請求項5の発明は、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、前記基板の一方の面及び前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部の内壁に金属薄膜を形成する第1工程と、前記基板の一方の面側の電流密度を前記他方の面側の電流密度より高くして前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度の高低を前記第2工程とは逆に設定してメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むものである。
【0013】
請求項6の発明は、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板における前記貫通孔にメッキを施すメッキ装置であって、メッキ液が充填されるメッキ槽と、電源及びこの電源に接続され前記基板を陰極として前記基板の両面にそれぞれ対向するように前記メッキ槽中に配置された陽極を含む電界印加手段と、を備え、前記電界印加手段は、前記基板とその両面に配置されたそれぞれの陽極との間の電流密度を独立に制御する電流密度制御手段を備えているものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6記載のメッキ装置において、前記基板の一方の面と陽極との距離を20mm以下の互いに接触しない距離とし、前記基板の他方の面と陽極との距離を30mm以上とするものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7記載のメッキ装置において、前記基板の一方の面と陽極との距離、及び前記基板の他方の面と陽極との距離がそれぞれ可変のものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7又は8記載のメッキ装置において、前記電界印加手段は、前記基板の一方の面及び他方の面がれぞれ独立に陰極又はグランドとなるように接続できるものである。
【0017】
請求項10の発明は、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板における前記貫通孔にメッキを施すメッキ装置であって、粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液を充填するメッキ槽と、電源及びこの電源に接続され前記基板を陰極としで前記基板の両面にそれぞれ対向するように前記メッキ槽中に配置された陽極を含む電界印可手段と、を備え、前記メッキ槽は、前記基板及び該基板を保持する基板保持装置により2つの液槽に分離されてなり、それぞれの液槽は少なくとも貯め槽とポンプによりなるメッキ液循環機構とを備えているものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、第2工程において電流密度の高い側の面の貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぎ、第3工程においてメッキ抑制剤及び又はメッキ促進剤の作用により、貫通孔入口付近への電流集中によるボイドの発生を防ぐと共にメッキ金属で塞がれた貫通孔の底部からのメッキ金属層の成長を促すので、金属の埋め込みが完了する前に貫通孔の開口が閉塞されることによるボイドの発生を防止でき、信頼性の高い貫通孔へメッキ金属の埋め込みができる。また、電流密度の条件設定によりプロセス制御して、貫通孔への直接埋め込みができるので、メッキ埋め込み工程の前後に別プロセスを必要とせず、工程が簡略化できる。
【0019】
請求項2の発明によれば、気泡に覆われた金属薄膜表面にはメッキが析出されないので、より大きな電流密度のもとでメッキを行うことができ、より短時間で貫通孔の一方をメッキ金属で塞ぐことができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、メッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末粒子が、析出するメッキ金属中に取り込まれるので、より短時間で貫通孔の一方の開口部をメッキ金属で塞ぐことができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、第1工程において基板の一方の面及び一方の面に臨む貫通孔の開口部の内壁のみに金属薄膜を形成し(従って、貫通孔の残りの内壁及び他方の面には給電層となる金属薄膜はない)、第2工程において一方の面に臨む貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぎ、その後、第3工程において貫通孔の孔底面から開口に向けて一方的にメッキ金属層の成長を行う堆積(ボトムアップ)方式によりメッキ金属を埋め込むことができるので、金属の埋め込みが完了する前に貫通孔の開口が閉塞されることがなくボイドの発生を防止でき、信頼性の高い貫通孔へメッキ金属の埋め込みができる。また、開口に向かって貫通孔が狭まっていく逆テーパ形状の貫通孔に対してもボイドの発生なくメッキ埋め込みができる。また、メッキ促進剤やメッキ抑制剤を必要としない。また、ボトムアップ方式によりメッキ金属を埋め込むので、メッキ電流密度を大きくして処理を高速化でき、メッキ埋め込み時間を短縮できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を奏することに加えて、第2工程において、基板の他方の面側からも金属薄膜にメッキを施して一方の面に臨む貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐので、メッキ埋め込み時間をさらに短縮できる。
【0023】
請求項6の発明によれば、基板の両面における電流密度をそれぞれ独立に制御できるので、電流密度の条件設定によりプロセス制御して、貫通孔への直接埋め込みができ、ボイドの発生を防止した信頼性の高い貫通孔へメッキ金属の埋め込みができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、陽極の近距離設定により貫通孔の開口部に電流集中させることができ、電流集中させた開口部をメッキ金属により短時間で塞ぐことができる。また、陽極の遠距離設定により貫通孔の開口部付近の電流集中を小さくでき、ボイドの発生を防ぎながら貫通孔へのメッキ埋め込みができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、陽極の距離調整により電流密度の条件設定ができ、種々の処理対象基板に対し、また、特定の基板の処理中の工程変更に対し柔軟に対応できる。
【0026】
請求項9の発明によれば、処理対象基板の両面の金属薄膜、従って、貫通孔の両端の開口部における金属薄膜に対する電流密度の調整が独立に行えるので、貫通孔へのメッキ埋め込み中の各工程段階において、適宜の電流密度調整ができる。例えば、一方の面側にのみ電源の陰極を接続して他方の面側には接続しない場合、他方の面側には貫通孔の金属膜を通じてのみ電気接続されるので、途中の金属膜の抵抗により他方の面側への供給電流が減少する。これにより、他方の面側に影響を与えることなく一方の面側への電流密度を大きくでき、より短時間で一方の面側に臨む貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐことが可能となる。
【0027】
請求項10の発明によれば、メッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末粒子を、析出するメッキ金属中に取り込ませてより短時間で貫通孔の一方の開口部をメッキ金属で塞ぐことができる。また、2つの液槽の一方にのみ前記粉末粒子を分散させておくことにより、貫通孔の一方の開口部のみに粉末粒子を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法及びメッキ装置について、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、図1、図2に示すように、直径が1mm以下の貫通孔3を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1にメッキを施して貫通孔3の内部に金属4を埋め込む貫通孔3へのメッキ埋め込み方法に関し、第1工程(S1)、第2工程(S2)、第3工程(S3)を含んでいる。すなわち、第1工程(S1、図2(a))では基板1の表面に金属薄膜2を形成し、第2工程(S2、図2(b))では基板1の一方の面A側の電流密度と他方の面B側の電流密度を異ならせて金属薄膜2にメッキを施し電流密度の高い側の面Aの貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぎ、第3工程(S3、図2(c))ではメッキ抑制剤及び又はメッキ促進剤を含むメッキ液を用いるとともに基板1の一方の面A側の電流密度と他方の面B側の電流密度の高低を第2工程(S2)とは逆に設定してメッキを施し貫通孔3にメッキ金属4を埋め込む。以下、実施例を説明する。
【0030】
(第1工程)
図2(a)に示す基板1は、例えば、厚み300μmのシリコンウエハに、例えばプラズマエッチングにより直径20μmの貫通孔3を形成し、その表面A、B及び貫通孔3の側壁にシリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成したものである。貫通孔3は、アスペクト比が15であり、通常のプリント配線板のブラインドビアホールと比較しても高アスペクト比の貫通孔である。基板1として、絶縁膜を形成することなく、絶縁材である樹脂やセラミックからなる基板そのものを用いてもよい。
【0031】
上述の基板1の表面及び貫通孔3内部側壁に、次工程での電気メッキの導電性下地となる金属薄膜2として、例えば銅薄膜をCVDにより0.3μm形成する。金属薄膜2は、膜厚0.05μmから1μmが好ましく、薄すぎると電気メッキ初期の溶解損失の発生や電気メッキ後の基板1からの剥がれの発生の原因となり、また、厚すぎると膜応力が発生して基板1との密着性が低下する。金属薄膜2の形成方法としてCVDの他、スパッタ、蒸着、化学メッキ等のいずれを用いてもよい。金属薄膜2の金属は特に限定しないが、次工程における電気メッキとの密着性を考慮して選定する。また、基板1表面に各種電子部品を実装するための電気配線パターンや、基板1そのものを積層してデバイスを形成するための電気配線パターンを、金属薄膜2に形成してもよい。
【0032】
(第2工程)
メッキ液として、表1に示す銅メッキ液を用い、金属薄膜2を形成した基板1を陰極とし基板1の一方の面A(以下、A面)及び他方の面B(以下B面)に対向する陽極との間に電流を流して電気メッキを行う。その際、図2(b)及び表1に示すように、基板1のA面の電流密度をB面の電流密度より高くして、20分間の電気メッキを行った。
【0033】
【表1】

【0034】
上述の電気メッキにより、図2(b)右図に示すように、電流密度の高いA面の貫通孔3開口部が銅のメッキ金属4で完全に塞がっていた。また、A面の電流密度が高い場合には、貫通孔3の入口付近に電流が集中しやすく、貫通孔3が塞がりやすくなるが、A面の電流密度が高すぎる場合には、供給される銅イオンの不足が発生するため、メッキ面に粉状の析出物が発生する。
【0035】
(第3工程)
次に、第2工程で用いた同一のメッキ液を用いて、図2(c)及び表2に示すように、第2工程とは逆に基板1のB面の電流密度をA面の電流密度より高くして、40分間の電気メッキを行った。
【0036】
【表2】

【0037】
上述の電気メッキにより、図2(c)右図に示すように、貫通孔3を銅のメッキ金属4で完全に埋めることができた。メッキ促進剤は、第2工程で塞がった孔の底に付着しやすく、メッキの析出を促進する作用がある。また、メッキ抑制剤は、基板1表面や電流の集中しやすい貫通孔3の入口付近へ付着してメッキ析出を抑制する作用がある。これらの作用は単独では機能し難く、相互的に作用する。B面の電流密度は、低い方が埋め込み作用が大きく高い電流密度では開口部周辺の電流集中により促進割と抑制剤の作用が弱まる。好ましくは3A/dm以下が良い。A面の電流密度は、B面のメッキ時間で所定の膜厚が得られるように設定する。これにより、貫通孔3内部にボイドを生じることなく、メッキ金属4で貫通孔3を埋め込むことができる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、図3、図4に示すように、第1の実施形態と同様に直径が1mm以下の貫通孔3を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1にメッキを施して貫通孔3の内部に金属4を埋め込む貫通孔3へのメッキ埋め込み方法に関し、第1工程(S21)、第2工程(S22)、第3工程(S23)を含んでいる。すなわち、第1工程(S21、図4(a))では基板1の一方の面A及び一方の面Aに臨む貫通孔3の開口部の内壁に金属薄膜2を形成し、第2工程(S22、図4(b))では基板1の一方の面Aとこの面Aに対向する陽極との間でメッキ電流を流すことにより金属薄膜2にメッキを施して一方の面Aに臨む貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぎ、第3工程(S23、図4(c))では基板1の他方の面B側の電流密度を一方の面A側の電流密度より高くしてメッキを施し貫通孔3にメッキ金属4を埋め込む。以下、実施例を説明する。
【0039】
(第1工程)
上述の第1の実施形態の第1工程における基板1と同様の基板1に対し、図4(a)に示すように、基板1のA面にスバッタリングにより銅の金属薄膜2を0.2μm形成した。つまり、片面のみに金属薄膜2を形成した。貫通孔3の内部の金属薄膜2の厚みは0.01μmであり、次工程の電気メッキ初期に溶解損失析出されない厚さである。金属薄膜2は、第2工程における電気メッキの導電性下地となる。金属薄膜2の厚さは0.05μmから1μmが好ましく、薄すぎると電気メッキ初期の溶解損失の発生や電気メッキ後の基板1からの剥がれの発生の原因となり、また、厚すぎると膜応力が発生して基板1との密着性が低下する。
【0040】
金属薄膜2の形成方法としてCVDの他、スパッタ、蒸着、化学メッキ等のいずれを用いてもよいが、第3工程の貫通孔3内へのメッキ析出を孔底からのボトムアップ析出とするために、基板1の表面部及び貫通孔3の入口付近のみに金属薄膜2を形成することが好ましい。このような片面のみの金属薄膜2の形成方法として、金属薄膜2を形成しない面、及び貫通孔3の内部をマスキングする方法を用いてもよい。金属薄膜2の金属は、とくに限定しないが次工程の電気メッキとの密着性を考慮して選定する。また、基板1表面に各種電子部品を実装するための電気配線パターンや、基板1そのものを積層してデバイスを形成するための電気配線パターンを、金属薄膜2に形成してもよい。
【0041】
(第2工程)
メッキ液として、表3に示すように、第1の実施形態における銅メッキ液を用い、金属薄膜2を片面(A面)のみに形成した基板1を陰極として、図4(b)に示すように、金属薄膜2を形成した面Aに対向する陽極との間に電流密度3A/dmの電流を流して20分間の電気メッキを行った。ただし、メッキ促進剤及びメッキ抑制剤は使わない。
【0042】
【表3】

【0043】
このような電気メッキにより、電流密度の高いA面の貫通孔3の開口部は、銅のメッキ金属4で完全に塞がった。A面の電流密度が高い場合には、貫通孔3の入口付近に電流が集中て貫通孔3が塞がりやすくなるが、A面の電流密度が高すぎる場合には、供給される銅イオンの不足が発生するため、メッキ面に粉状の析出物が発生する。
【0044】
(第3工程)
次に、表4、及び図4(c)に示すように、基板1のB面の電流密度をA面の電流密度より高くして、5時間の電気メッキを行った。
【0045】
【表4】

【0046】
上述の電気メッキにより、図4(c)右図に示すように、メッキ析出がボトムアップとなるので、貫通孔3の壁面又は貫通孔3の開口部が先に塞がることがなく、貫通孔3内にボイドが発生しない。このため、電気メッキ液には、第1の実施形態におけるメッキ促進剤及びメッキ抑制剤は必要としない。また、電気メッキにより貫通孔3は、銅のメッキ金属4で完全に埋めることができた。
【0047】
上述のメッキ埋め込み方法を用いると、メッキ金属4の埋め込みが、孔底面からの堆積(ボトムアップ)方式になることより、図5に示すような、開口が貫通孔内部よりも狭まった状態の貫通孔3に対しても、ボイドの発生を起こすことなく貫通孔3にメッキ金属4で充填できる。また、メッキ促進剤、メッキ抑制剤等を必要としない。
【0048】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、図6、図7に示すように、第1の実施形態と同様に直径が1mm以下の貫通孔3を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1にメッキを施して貫通孔3の内部に金属4を埋め込む貫通孔3へのメッキ埋め込み方法に関し、第1工程(S31)、第2工程(S32)、第3工程(S33)を含んでいる。すなわち、第1工程(S31、図7(a))では基板1の一方の面A及び一方の面Aに臨む貫通孔3の開口部の内壁に金属薄膜2を形成し、第2工程(S32、図7(b))では基板1の一方の面A側の電流密度を他方の面B側の電流密度より高くして金属薄膜2にメッキを施して一方の面Aに臨む貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぎ、第3工程(S33)では基板1の一方の面A側の電流密度と他方の面B側の電流密度の高低を第2工程(S2)とは逆に設定してメッキを施し貫通孔3にメッキ金属4を埋め込む。以下、実施例を説明する。
【0049】
(第1工程)
使用する基板1及び金属薄膜2を形成する工程は、図7(a)に示すように、上述の第2の実施形態の第1工程における基板1及び金属薄膜2の形成と同様である。
【0050】
(第2工程)
ここでは、上述の第2の実施形態の第2工程とは異なり、図7(b)に示すように、金属薄膜2を形成したA面及び金属薄膜2を形成していないB面のそれぞれに対向する陽極との間に電流を流して電気メッキを行った。その際、基板1のA面の電流密度を、表5に示すように、B面の電流密度より高くして、30分間の電気メッキを行った。メッキ液組成は、上述の第2の実施形態と同様である。
【0051】
【表5】

【0052】
このような電気メッキにより、電流密度の高いA面の貫通孔3の開口部は銅のメッキ金属4で完全に塞がった。また、図7(b)右図に示すように、基板1のA面の開口部から貫通孔3の内壁を基板1のB面方向に高さd=100μmまで、メッキ析出がなされていた。B面側の電流密度が高すぎると、図7(c)に示すように、メッキ析出が析出先端部で厚くなり、次の第3工程におけるメッキ時にボイドが発生しやすくなる。
【0053】
(第3工程)
次に、表6に示すように、基板1のB面の電流密度をA面の電流密度より高くして、3時間の電気メッキを行った。メッキ液組成は、上述の第2の実施形態と同様である。
【0054】
【表6】

【0055】
上述のメッキ埋め込み方法を用いると、第2の実施形態と同様に、メッキ析出がボトムアップとなるので、貫通孔3の壁面又は貫通孔3の開口部が先に塞がることがなく、貫通孔3内にボイドが発生しない。このため、電気メッキ液には、第1の実施形態におけるメッキ促進剤及びメッキ抑制剤は必要としない。また、電気メッキにより貫通孔3は、銅のメッキ金属4で完全に埋めることができる。
【0056】
ここで、上述した、第1、第2、及び第3の実施形態における、各工程の電流密度条件を比較のため、図8に示す。
【0057】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、図9に示すように、上述の第1の実施形態における第2工程において、基板1の他方の面Bに臨む貫通孔3の開口部周辺5aに撥水処理を施し、貫通孔3に気泡5bを形成させた状態で金属薄膜2にメッキを施して一方の面Aに臨む貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぎ、その後、付着している気泡5bを脱泡させるものである。以下、実施例を説明する。
【0058】
(第1工程)
上述の第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0059】
(第2工程)
第1工程における金属薄膜2を形成した基板1に対し、図9(a)に示すように、基板1のB面側にフォトレジスト5を塗布し硬化させて、B面に臨む貫通孔3の開口部周辺5aに撥水処理を行った。この撥水処理を行なった基板1を、メッキ液に浸漬させ、取出した基板1の表面を観察した結果、撥水処理をしていない金属薄膜2では、メッキ液が一面に親水しているのに対し、フォトレジスト5の表面上ではメッキ液は液滴状になっていた。このような基板1を用いて、第1の実施形態における銅メッキ液を用いて、基板1を陰極とし、撥水処理を施していない面Aに対向する陽極との間に電流密度3A/dmの電流を流して20分間の電気メッキを行った。このような電気メッキにより、電流密度の高いA面の貫通孔3の開口部は、銅のメッキ金属4により完全に塞がっていた。
【0060】
このような基板1は、基板1に付着した気泡5bを、振動付加、真空引き、液噴流、ブラッシング等で脱泡を行なった後に、上述の第1の実施形態における第3工程の処理を行うことができる。貫通孔3内に付着した気泡5bは、メッキのマスクとなるので、基板1のB面の開口部へのメッキ析出を阻止することになる。これにより、親水性の良い基板1のA面側の開口部のみをメッキ金属4で塞ぐことができる。撥水処理として、上述以外に金属薄膜2上に酸化膜を形成したり、フッ素やシリコーンなどをコーティングしたり、金属薄膜2に撥水材料を含有させたりする方法を用いることができる。
【0061】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、図10に示すように、上述の第1の実施形態における第2工程において、粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液を用いて貫通孔3へのメッキ埋め込み方法である。以下、実施例を説明する。
【0062】
第1の実施形態におけるメッキ液に平均粒径1μmのニッケル粒子を100g/Lの割合で添加し、メッキ液を撹拌してニッケル粒子を均一に分散させながら基板1のA面の電流密度を3A/dmとして15分間の電気メッキを行った。このような電気メッキにより、電流密度の高いA面の貫通孔3の開口部近傍のメッキ金属4には、他の部分よりも多くのニッケル粒子6が取り込まれて、表面がコブ状となり、貫通孔3が完全に塞がっていた。メッキ液に分散させる粉末として、メッキ液に溶解しないニッケル、銀、バラジウム等の金属粒子粉末や、同じく溶解しない酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩類などのセラミックスや、導電性を有する活性炭等の粉末を用いることができる。これらの粒子をメッキ液中に分散させるため、粒子に対して予め界面活性剤により親水性を付与してもよい。粒子の大きさとして、粒子径0.2μmから10μmが良く、0.2μm以下では開口部以外にも分散粒子が析出し貫通孔を塞ぐ効果が少ない。10μm以上では液中に均一に分散しなく、また析出量が少ないため貫通孔を塞ぐ効果が少ない。
【0063】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、図11に示すように、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1における貫通孔にメッキを施すメッキ装置7に関し、メッキ液70が充填されるメッキ槽71と、電源PS1,PS2及びこの電源PS1,PS2に接続され基板1を陰極として基板1の両面A,Bにそれぞれ対向するようにメッキ槽71中に配置された陽極AD1,AD2を含む電界印加手段と、を備え、電界印加手段は、基板1とその両面A,Bに配置されたそれぞれの陽極AD1,AD2との間の電流密度を独立に制御する電流密度制御手段72,72を備えているものである。
【0064】
このようなメッキ装置7によれば、基板1の両面A,Bにおける電流密度をそれぞれ独立に制御できるので、電流密度の条件設定によりプロセス制御して、貫通孔への直接埋め込みができ、ボイドの発生を防止した信頼性の高い貫通孔へメッキ金属の埋め込みができる。
【0065】
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、図12に示すように、上述の第6の実施形態におけるメッキ装置7において、基板1の一方の面Aと陽極との距離d1を20mm以下の互いに接触しない距離とし、基板1の他方の面Bと陽極との距離d2を30mm以上とするものである。
【0066】
このようなメッキ装置7によれば、陽極AD1の近距離設定により貫通孔の開口部に電流集中させることができ、電流集中させた開口部をメッキ金属により短時間で塞ぐことができる。また、陽極AD2の遠距離設定により貫通孔の開口部付近の電流集中を小さくでき、ボイドの発生を防ぎながら貫通孔へのメッキ埋め込みができる。
【0067】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、上述の第7の実施形態におけるメッキ装置7において(図12参照)、基板1の一方の面Aと陽極AD1との距離d1、及び基板1の他方の面Bと陽極AD2との距離d2がそれぞれ可変のものである。
【0068】
このようなメッキ装置7によれば、陽極の距離調整により電流密度の条件設定ができ、種々の処理対象基板に対し、また、特定の基板の処理中の工程変更に対し柔軟に対応できる。例えば、基板1のA面とその面Aに対応する陽極AD1との距離d1、他方の面Bと陽極AD2との距離d2を、貫通孔の孔径及び深さなどの形状寸法に合わせて最適化できる。これにより、上述したメッキ埋め込み方法のいずれかの実施形態において、第2工程の貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぎ易くすると共に、第2工程及び第3工程における開口部への電流集中を緩和させることができ、メッキ埋め込みが容易となる。また、基板1のB面及びA面のメッキ厚を制御することができる。
【0069】
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、上述の第7又は第8の実施形態におけるメッキ装置において、電界印加手段は、基板1の一方の面A及び他方の面Bがれぞれ独立に陰極又はグランドとなるように接続できるものである。このようなメッキ装置7によれば、処理対象基板1の両面A,Bの金属薄膜2、従って、貫通孔3の両端の開口部における金属薄膜2に対する電流密度の調整が独立に行えるので、貫通孔3へのメッキ埋め込み中の各工程段階において、適宜の電流密度調整ができる。例えば、図13に示すように、一方の面A側にのみ電源PS1の陰極を接続して他方の面B側には接続しない場合、他方の面B側には貫通孔3の金属薄膜2を通じてのみ電気接続されるので、途中の金属薄膜2の抵抗により他方の面B側への供給電流が減少する。これにより、他方の面B側に影響を与えることなく一方の面A側への電流密度を大きくでき、より短時間で一方の面側に臨む貫通孔3の開口部をメッキ金属で塞ぐことが可能となる。
【0070】
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、図14に示すように、直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板1又は表面が絶縁された基板1における貫通孔にメッキを施すメッキ装置7に関し、粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液70aを充填するメッキ槽71と、電源PS1,PS2及びこの電源PS1,PS2に接続され基板1を陰極としで基板1の両面A,Bにそれぞれ対向するようにメッキ槽71中に配置された陽極AD1,AD2を含む電界印可手段と、を備え、メッキ槽71は、基板1及び該基板1を保持する基板保持装置74により2つの液槽に分離されてなり、それぞれの液槽は少なくとも貯め槽71a,71bとポンプPによりなるメッキ液循環機構とを備えているものである。
【0071】
このようなメッキ装置7は、上述の第5の実施形態における第2工程において好適に用いられる。この場合、貫通孔3の開口部をメッキ金属4で塞ぐため(前出の図10参照)、基板1のA面をメッキする側には、粒径0.2μm〜10μmかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液70aを、基板1と該基板1を保持する基板保持装置74によりメッキ槽71を2つの液槽に分離した一方の側のメッキ槽に供給して用いる。このメッキ液70aは、メッキ槽71から矢印OFで示すようにオーバフロして貯め槽71aに回収される。貯め槽71aは、メッキ液70aの温度、組成等の調整を行なうこともでき、また、粒末の沈降を防止する撹拌機能(不図示)を備える。貯め槽71aのメッキ液70aは、循環ポンプPによりメッキ槽71に戻される。メッキ槽71では、粉末の沈降を防止する別の撹拌機能を備えてもよい。
【0072】
また、基板1のB面をメッキする側には、前記粉末を分散させていないメッキ液70bを用いる。このメッキ液70bは、基板1と該基板1を保持する基板保持装置74によりメッキ槽71を2つの液槽に分離した他方のメッキ槽に供給して用いる。このメッキ液70bは、メッキ槽71から矢印OFで示すようにオーバフロして貯め槽71bに回収される。貯め槽71bは、メッキ液70aの温度、組成等の調整を行なうこともできる。貯め槽71bのメッキ液70bは、循環ポンプPによりメッキ槽71に戻される。このとき、メッキ液70bは、循環経路中に混入した粉末をフィルタFによって濾過除去される。なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法に関するフローチャート。
【図2】(a)(b)(c)は同上メッキ埋め込み方法を説明する主要工程段階における貫通孔部の基板断面図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法に関するフローチャート。
【図4】(a)(b)(c)は同上メッキ埋め込み方法を説明する主要工程段階における貫通孔部の基板断面図。
【図5】同上メッキ埋め込み方法による埋め込み例を示す基板断面図。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法に関するフローチャート。
【図7】(a)(b)は同上メッキ埋め込み方法を説明する主要工程段階における貫通孔部の基板断面図、(c)は失敗例を示す貫通孔部の基板断面図。
【図8】同上3種類のメッキ埋め込み方法のメッキ条件の比較図。
【図9】(a)(b)(c)は本発明のさらに他の実施形態に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法を説明する貫通孔部の基板断面図。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る貫通孔へのメッキ埋め込み方法を説明する貫通孔部の基板断面図。
【図11】本発明の実施形態に係るメッキ装置の断面図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るメッキ装置の断面図。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るメッキ装置の断面図。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係るメッキ装置の断面図。
【図15】(a)〜(d)は従来の貫通孔へのメッキ埋め込み方法を説明する主要工程段階における貫通孔部の基板断面図。
【符号の説明】
【0074】
1 基板
2 金属薄膜
3 貫通孔
4 メッキ金属
5 撥水処理
5b 気泡
6 粒子
7 メッキ装置
70 メッキ液
71 メッキ槽
72 電流密度制御手段
74 基板保持装置
71a,71b 貯め槽
AD1,AD2 陽極
A 他方の面
B 一方の面
P ポンプ
PS1,PS2 電源
d1,d2 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、
前記基板の表面に金属薄膜を形成する第1工程と、
前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度を異ならせて前記金属薄膜にメッキを施し電流密度の高い側の面の前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、
メッキ抑制剤及び又はメッキ促進剤を含むメッキ液を用いるとともに前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度の高低を前記第2工程とは逆に設定してメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むことを特徴とする貫通孔へのメッキ埋め込み方法。
【請求項2】
前記第2工程は、前記基板の前記他方の面に臨む前記貫通孔の開口部周辺に撥水処理を施し、前記貫通孔に気泡を形成させた状態で前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぎ、その後、付着している前記気泡を脱泡させる工程である請求項1記載の貫通孔へのメッキ埋め込み方法。
【請求項3】
前記第2工程は、粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液を用いて行う請求項1記載のメッキ埋め込み方法。
【請求項4】
直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、
前記基板の一方の面及び前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部の内壁に金属薄膜を形成する第1工程と、
前記基板の一方の面とこの面に対向する陽極との間でメッキ電流を流すことにより前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、
前記基板の他方の面側の電流密度を前記一方の面側の電流密度より高くしてメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むことを特徴とする貫通孔へのメッキ埋め込み方法。
【請求項5】
直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板にメッキを施して前記貫通孔の内部に金属を埋め込む貫通孔へのメッキ埋め込み方法において、
前記基板の一方の面及び前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部の内壁に金属薄膜を形成する第1工程と、
前記基板の一方の面側の電流密度を前記他方の面側の電流密度より高くして前記金属薄膜にメッキを施して前記一方の面に臨む前記貫通孔の開口部をメッキ金属で塞ぐ第2工程と、
前記基板の一方の面側の電流密度と他方の面側の電流密度の高低を前記第2工程とは逆に設定してメッキを施し前記貫通孔にメッキ金属を埋め込む第3工程と、を含むことを特徴とする貫通孔へのメッキ埋め込み方法。
【請求項6】
直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板における前記貫通孔にメッキを施すメッキ装置であって、
メッキ液が充填されるメッキ槽と、
電源及びこの電源に接続され前記基板を陰極として前記基板の両面にそれぞれ対向するように前記メッキ槽中に配置された陽極を含む電界印加手段と、を備え、
前記電界印加手段は、前記基板とその両面に配置されたそれぞれの陽極との間の電流密度を独立に制御する電流密度制御手段を備えていることを特徴とするメッキ装置。
【請求項7】
前記基板の一方の面と陽極との距離を20mm以下の互いに接触しない距離とし、前記基板の他方の面と陽極との距離を30mm以上とする請求項6記載のメッキ装置。
【請求項8】
前記基板の一方の面と陽極との距離、及び前記基板の他方の面と陽極との距離がそれぞれ可変である請求項7記載のメッキ装置。
【請求項9】
前記電界印加手段は、前記基板の一方の面及び他方の面がれぞれ独立に陰極又はグランドとなるように接続できる請求項7又は請求項8記載のメッキ装置。
【請求項10】
直径が1mm以下の貫通孔を有する絶縁材料からなる基板又は表面が絶縁された基板における前記貫通孔にメッキを施すメッキ装置であって、
粒径が0.2μm乃至10μmでかつメッキ液に溶解しない金属又は非金属の粉末を分散させたメッキ液を充填するメッキ槽と、
電源及びこの電源に接続され前記基板を陰極としで前記基板の両面にそれぞれ対向するように前記メッキ槽中に配置された陽極を含む電界印可手段と、を備え、
前記メッキ槽は、前記基板及び該基板を保持する基板保持装置により2つの液槽に分離されてなり、それぞれの液槽は少なくとも貯め槽とポンプによりなるメッキ液循環機構とを備えていることを特徴とするメッキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−111896(P2006−111896A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298109(P2004−298109)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】