説明

走行確認システム、走行装置および走行確認方法

【課題】ユーザにとって経路の確認が容易である走行確認システム、走行装置および走行確認方法を提供することを目的とすること。
【解決手段】印刷媒体50上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体50と、パターンを読み取り、読取データとして出力する読取部12が配置されると共に、印刷媒体上50を、指定された経路で移動する移動機器10と、移動機器10で読み取った読取データを位置情報に変換する変換テーブルと、移動機器10の走行経路を指示する指示データと位置情報に基づき、移動機器10の移動制御に使用する制御データを生成する制御部36と、を有する走行確認システム1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行確認システム、走行装置および走行確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報をドットパターンで記録した紙と、そのドットパターンを読み取ることで位置情報を取得し電子的に読み取り可能な位置情報に変換する電子ペンを備えた地図情報処理システムが研究されている。この地図情報処理システムは、電子ペンにより取得した紙の位置情報を電子地図上の座標に変換できる。
【0003】
上述のような地図情報処理システムを用いることにより、電子ペンを使用して、ナビゲーション装置の目的地の入力を行う案がある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−294942号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、ナビゲーション装置にてユーザが設定した経路を確認したり、シミュレーションする場合には、液晶モニタ等における表示により確認する必要がある。経路をモニタで確認する場合には、モニタのサイズで確認できる範囲が限定されてしまう。そのため、広い範囲を表示するためには、表示が小さくなり、拡大して表示すると全体が見渡せなくなる等の問題が生じている。
【0006】
また、例えば、紙媒体の地図を見ながら、ナビゲーション装置において経路を選択する場合には、ナビゲーションの画面上の表示と、紙媒体の地図との対応が分りにくいという問題もある。
【0007】
また、カーナビゲーション等のナビゲーションシステムでシミュレーションを行うだけではなく、観光地を人が歩いて散策する場合や、旅行行程を確認する場合など多くの場合に、その経路をシミュレーションすることを必要としているが、適切なものがない状況である。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、ユーザにとって経路の確認が容易である走行確認システム、走行装置および走行確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体と、パターンを読み取り、読取データとして出力する読取部が配置されると共に、印刷媒体上を、指定された経路で移動する移動機器と、移動機器で読み取った読取データを位置情報に変換する変換テーブルと、移動機器の走行経路を指示する指示データと位置情報に基づき、移動機器の移動制御に使用する制御データを生成する制御部と、を有する走行確認システムとしている。
【0010】
また、別の発明では、上述の発明に加え、制御データは、ナビゲーション装置に設定された経路に基づき生成されるものとしている。
【0011】
また、別の発明では、上述の発明に加え、制御データは、ナビゲーション装置から送信されると共に、道路情報に基づき変化する車両の走行速度を含むものとしている。
【0012】
また、別の発明では、印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体のパターンを読み取る読取部と、走行経路を指示する指示データと読取部の読み取った位置情報に基づき生成された制御データを外部装置より受信する受信部と、制御データに基づいて指示データに沿った走行を行うための走行制御部と、を有する走行装置としている。
【0013】
また、別の発明では、印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体のパターンを、印刷媒体を走行する移動機器が読み取る読取ステップと、読み取ったパターンに基づいて読取データを出力する読み取りデータ出力ステップと、移動機器で読み取った読取データを位置情報に変換する変換ステップと、移動機器の走行経路を指示する指示データと位置情報に基づき、移動機器の移動制御に使用する制御データを生成する制御データ生成ステップと、制御データを移動機器が受信する制御データ受信ステップと、制御データに基づいて、移動機器が指定された経路で印刷媒体を移動する移動ステップと、を有する走行確認方法としている。
【0014】
また、別の発明では、上述の発明に加え、制御データ生成ステップにおいて、位置情報に基づき現在の位置が目標位置であるか否かを判定するものとしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザにとって経路の確認が容易である走行確認システム、走行装置および走行確認方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る走行確認システムとしてのシミュレーションシステム1全体の構成を示す図である。この例では、シミュレーションシステム1は、移動装置となる走行装置10、ナビゲーション装置30および絶対座標が特殊な配列のドットによって書き込まれた印刷媒体としての地図帳50を主要な構成要素としている。
【0017】
まず、本実施の形態において印刷媒体としての地図帳50について説明する。地図帳50は、赤外線を透過させる通常のインクで地図情報が印刷されるとともに、赤外線を吸収するインクにより光学ドットパターンが印刷されている。光学ドットパターンを走行装置10の読取部12が読み取ることにより、後述する方法で地図上における位置を座標値として得ることができる。
【0018】
図2は、地図帳50の所定のページに印刷された光学ドットパターンの詳細を説明する図である。この図に示すように、地図帳50の各ページには、図2中の左に示す図2(A)の一部を中央に拡大して示す図2(B)のように、例えば、0.3mm間隔で赤外線を吸収する直交する格子状の縦横線の中心点の上下左右のいずれか1箇所に配置されるドットが、地図情報とともに印刷されている。これらのドットは、図2の中の右にさらに拡大して示す図2(C)のように、格子の中心から上下左右のいずれかの方向に所定量だけずれて印刷されている。6×6=36ドットが集まって、1つの光学ドットパターンを構成し、そのパターンによって、パターン中央の座標値に変換できるようになっている。すなわち図2の例で示せば、36ドットの光学ドットパターンDP1は、その中心の4つのドットで囲まれる領域PC1を表すものとなる。領域PC1の1つの左の領域PC2を表す光学ドットパターンは、光学ドットパターンDP1を1列分の格子を左にずらした36ドットのパターンとなる。1ドットは4通りとなることから、1.8mm×1.8mmサイズの1つの光学ドットパターンには4の36乗通りの組み合わせが存在する。1つの光学ドットパターンは、地図帳50の所定のページの所定の位置を示す座標値に変換できる。
【0019】
なお、複数のページのうち、どのページが指定されたかを知る方法としては、例えば、光学ドットパターンにページに関する情報を格納する方法がある。また、全てのページに対して同一の座標系の位置情報を格納する方法もある。すなわち、全てのページを平面上に並べて大きな用紙とした場合に、この大きな用紙の左上隅が原点となるように座標系を設定することができる。
【0020】
次に、本実施の形態における走行装置10の構成について説明する。本実施の形態における走行装置10は、読取部12および駆動部16を有する。読取部12は、地図帳50の所定のページにおいて、地図帳50に印刷されているそれぞれの地点の光学ドットパターンを読み取る。走行装置10の読取部12は、光学ドットパターンへ赤外線を照射し、その赤外線が照射された光学ドットパターンを、その照射した赤外線の反射波で読み取り、座標値に変換する。また、得られた座標値を、読取データとしてナビゲーション装置30に無線で送信する。また、走行装置10は、ナビゲーション装置30が送信する制御データを無線で受信し、その制御データに基づき、駆動部16を駆動する。
【0021】
図3は、走行装置10の外観を側面より示す図である。この図3に示すように、走行装置10は、車両を模したハウジング11を有している。なお、走行装置10の形状は他の形状としてもよい。ハウジング11の先頭部であって、底部の一部には、読取部12が設けられている。読取部12は、地図帳50に印刷された光学ドットパターンを読み取るものである。読取部12は、赤外線LED(Light Emitting Diode)13と、C−MOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)カメラ14と、画像処理部23とから主に構成されている。
【0022】
なお、読取部12は、ハウジング11が位置する場所のドットパターンを読み取ることができる。このとき、赤外線LED13から照射された赤外線が、C−MOSカメラ14によって読み取られることで得られる光学ドットパターンに基づいて、座標値が取得され、その座標値は、読取データとしてナビゲーション装置30に送信される。
【0023】
ハウジング11の上面部には、各色に発光できるLED15が設けられている。LED15は、各色に点灯できるものとしている。
【0024】
図4は、図3に示す走行装置10の構成例を示すブロック図である。この図に示すように、走行装置10は、赤外線LED13、C−MOSカメラ14、LED15、駆動部16、CPU(Central Processing Unit)21、画像処理部23、メモリ24、および、通信部25を主要な構成要素としている。
【0025】
ここで、赤外線LED13は、CPU21の制御に基づいて、印刷媒体としての地図帳50の所定のページに赤外線を照射する。C−MOSカメラ14は、地図帳50から反射されてきた赤外線を受光し、光学ドットパターンを読み取る。
【0026】
図5は、地図帳50の所定のページの一部の断面構造を示す図である。この図に示すように、地図帳50のベースとなる紙部51の上には、赤外線を吸収するドットインク52によって、図2に示す光学ドットパターンが印刷されている。また、その上には、赤外線を透過する通常インク53によって、地図情報が印刷されている。赤外線LED13から射出された赤外線のうち、ドットインク52に照射された部分は吸収されてC−MOSカメラ14には入射されない。また、通常インク53に照射された部分は透過し、その後、ドットインク52以外の部分を通過する赤外線は、紙部51により反射され、C−MOSカメラ14に入射される。これにより、光学ドットパターンに応じた反転図形の赤外線画像がC−MOSカメラ14に入射される。
【0027】
LED15は、走行装置10の通知部として機能する。例えば、CPU21からの制御により、LED15を発光あるいは点滅させるものである。
【0028】
CPU21は、各入力信号および出力信号の処理を行い、走行装置10の各部を制御する。本実施の形態では、赤外線LED13、LED15、駆動部16、画像処理部23、メモリ24、および、通信部25等を、CPU21が制御している。
【0029】
駆動部16は、例えば車輪に連結されたギヤ機構(不図示)及びそれらを駆動する駆動モータ(不図示)等から構成される。制御データに基づき、CPU21からの指示を駆動部16が受信する。例えば、走行装置10を前進させるための制御データを駆動部16が受信すると、駆動部16が有する駆動モータが駆動する。すると、駆動モータに連結されたギヤ機構により、モータに取り付けられた車輪が駆動され、走行装置10が走行できる。
【0030】
画像処理部23は、C−MOSカメラ14に入射された赤外線によって形成された光学ドットパターンに対応する反射した赤外線画像データを入力して画像処理を施すことにより、光学ドットパターンに含まれている情報(座標値)を抽出し、CPU21に供給する。
【0031】
メモリ24は、フラッシュメモリまたは他の記憶媒体によって構成されており、CPU21が実行する基本的なプログラムおよび定数を格納している。また、メモリ24は、CPU21が演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に格納する、あるいは、CPU21からの制御指令に基づいて通信部25からの通信情報を一時的に記憶する。
【0032】
通信部25は、受信部および送信部の両方として機能する。通信部25は、無線通信、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の規格に基づいて、ナビゲーション装置30との間で、アンテナを介して情報を授受する。なお、無線通信の代わりに、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のケーブルを用いて、ナビゲーション装置30と走行装置10とを有線接続し、情報を授受するようにしてもよい。しかし、無線で接続した場合には、より走行装置10を使用しやすいものとすることができる。
【0033】
次に、本実施の形態におけるナビゲーション装置30について説明する。本実施の形態におけるナビゲーション装置30は、自動車等に設置されて、目的地あるいは所望の経路等を入力することで、現在地から目的地までの経路を画像および音声等でナビゲーション(案内)する装置として機能する。本実施の形態において、ナビゲーション装置30は、走行装置10と双方向で通信を行う。具体的には、まず、ナビゲーション装置30は、走行装置10より受信した座標値と、ナビゲーションに設定された経路の緯度経度を座標値に変換したものと、を比較して、移動先の座標値、すなわち、目標座標を決定する。そして、走行装置10が目標座標に到達するように旋回および前進させるための制御データを、ナビゲーション装置30は、走行装置10に送信する。
【0034】
図6は、ナビゲーション装置30の構成を示すブロック図である。本実施の形態において、ナビゲーション装置30は、入力部31、通信部32、記憶部33、画像処理部34、表示部35および情報処理部36等を主要な構成要素としている。
【0035】
入力部31は、ナビゲーション装置30に指示を与えるためのデバイスである。この入力部31は、ボタン、リモートコントローラおよびタッチパネル等のいずれかまたは複数の入力部材を用いて構成されることができる。
【0036】
通信部32は、ナビゲーション装置30と走行装置10との間の通信を行う。そのため、走行装置10の通信部25と同じ規格に基づいて通信を行うことができるように構成されている。また、通信部32は、外部と通信することにより、例えば、地図情報や渋滞情報等の各種の情報を得ることができる。
【0037】
記憶部33は、各種情報、データまたはプログラム等のいずれか1つあるいは複数を記憶しておく部分であり、HDD、フラッシュメモリ、ROMおよびRAM等の中から1つあるいは複数を採用できる。記憶部33は、情報処理部36が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶したり、各種デバイスとの通信情報を一時的に記憶したりできる。また、記憶部33は、経路の各地点の緯度経度を座標値に変換するための変換テーブルを記憶できる。また、記憶部33が追加データの書き込みが可能な追加記憶領域を有する場合には、変換テーブル等の情報を更新することができる。
【0038】
画像処理部34は、情報処理部36から入力された画像データを、出力可能な画像信号に変換する。つまり、画像処理部34は、デコーダとしての役割を有し、その画像信号は、表示部35にて画像として出力される。
【0039】
表示部35は、液晶ディスプレイ等から好適に構成される。また、画像処理部34にて変換された映像信号が表示部35に入力されると、表示部35にはその映像信号に基づく映像を表示出力できる。
【0040】
情報処理部36は、ナビゲーション装置30の制御を行う制御部である。情報処理部36は、記憶部33に記憶されている制御プログラムを読み出して、実行することにより動作する。また、情報処理部36は、ある経路の各地点の緯度経度を、記憶部33にて記憶されている変換テーブルに基づき、その経路の各地点に対応する地図帳50中の座標値に変換する。
【0041】
変換データベース37は、走行装置10の読取部12から得られた、地図帳50に印刷されている光学ドットパターンに基づき生成された座標値と、緯度経度の位置情報とをひも付ける変換テーブルである。本実施の形態では、ナビゲーション装置30に入力された経路の各地点の緯度経度を座標値に変換するものとしている。また、読取部12から得られた座標値を、緯度経度の情報に変換できるようにしてもよい。
【0042】
指示データは、ナビゲーション装置30にて設定された経路およびその経路での走行状況等として走行速度および各情報の通知を指示するためのデータである。経路は、経路中の各地点を緯度経度で表すデータで示されている。また、走行速度は、その経路中の各地点を時間と関連させたデータとして示されている。また、各情報の通知データとは、例えばユーザが渋滞の有無を知りたい場合には、渋滞が生じている場所に走行装置10が到達すると、ユーザに渋滞が生じている旨を通知するためのデータである。例えば、渋滞が生じている場所では、LED15が点灯することにより、シミュレーション中に渋滞の有無をユーザに通知できる。
【0043】
図7のテーブルは、制御用データを説明するための説明図である。制御用データは、走行装置10の駆動部を制御することで、走行装置10の走行状況を制御するためのデータである。制御用データは、走行装置10の現在位置を示す位置情報と指示データとに基づき作成され、目標座標、走行装置10の回旋角度、走行速度およびLED15の点灯指示を含む。本実施の形態では、制御用データは、「目標座標」、「回旋角度」、「速度」および「LED」の4つの項目を有する。また、回旋角度は、直前に走行装置10が走行した軌跡の進行方向と、走行装置10の現在地点から目標座標への方向とが成す角度として、情報処理部36が算出する。したがって、走行装置10が走行を開始した直後は、一旦、走行装置10が直線に試走行する。そして、その試走行の軌跡から、情報処理部36が回旋角度を定めることができる。
【0044】
次に、本実施の形態のシミュレーションシステム1について図7から図10を参照しながら説明する。本実施の形態では、ユーザは、ナビゲーション装置30で設定された経路に基づき、走行装置10が地図帳50の同一経路を走行することで、ナビゲーション装置30に設定したシミュレーションができるものである。例えば、本実施の形態では、ユーザが、図8の地点61から地点65までの走行経路をナビゲーション装置に設定し、その走行経路の走行シミュレーションを行うために、シミュレーションシステム1を用いる。
【0045】
まず、図9に基づき、本実施の形態のシミュレーションシステム1を構成する走行装置10の動作を説明する。
【0046】
走行装置10は、電源スイッチ(不図示)により電源がONになり動作可能となっている状態とする。走行装置10が地図帳50に置かれると、まず、走行装置10のCPU21は、赤外線LED13が赤外線の照射を開始する。すると、C−MOSカメラ14が地図帳50の光学ドットパターンの読み取りを開始する(ステップS101:光学パターン読取ステップ)。
【0047】
CPU21は、画像処理部23に入力された、C―MOSカメラ14から供給される光学ドットパターンに含まれる6×6のドットの像を特定し、その特定した6×6のドットの組合せに1対1に対応する座標値(読み取った座標パターンに1対1に対応する座標値)を演算する(ステップS102:変換ステップ)。
【0048】
次に、CPU21は、得られた座標値を通信部25に供給する。通信部25は、その座標値をナビゲーション装置30の通信部32へ送信する(ステップS103:座標値送信ステップ)。例えば、図8において、まず走行装置10が地点61部分を読み取りしたとすると、走行装置10は、地点61の座標値をナビゲーション装置30へ送信する。なお、地点61から離れた位置に走行装置10が置かれると、走行装置10は、置かれた地点の座標値をナビゲーション装置30へ送信することになる。
【0049】
その座標値を送信した後で、通信部25が制御データを検出するか否かを判定する(ステップS104:制御データ検出ステップ)。ステップS104において、通信部25が制御データを検出しない場合には(ステップS104においてNO)、動作を終了する。一方、通信部25が制御データを検出した場合(ステップS104においてYES)には、CPU21は、その制御データに含まれる走行用のデータの他に、例えば、LED15を点灯させるためのデータが含まないか、あるいは含まれているかを判定する(ステップS105)。
【0050】
制御用データにLED15を点灯させるためのデータが含まれている場合(ステップS105においてNO)には、そのデータに従い、CPU21はLED15を点灯させる(ステップS106)。例えば、図8において、地点63、地点64および地点65の「LED」の欄は、「1」が関連付けられているため、走行装置10が地点63、地点64および地点65に到達すると、CPU21は、LED15を点灯させる制御を行う。なお、地点61以外の所に走行装置10が置かれた場合、走行装置10は、まず地点61を目指し走行する。その際には、上述したステップS105でYESと判断され続ける。
【0051】
制御用データにLED15を点灯させるためのデータが含まれていない場合(ステップS105においてYES)およびステップS106の後には、CPU21は、制御用データに基づき駆動部16を動作させて、走行装置を走行させる(ステップS106:走行ステップ)。例えば、座標(100,200)の地点61に、走行装置10が位置している場合には、次の地点62の座標に向けて、すなわち、座標(101,203)に向けて、速度3で駆動部16が走行装置10を走行させる。
【0052】
ステップS107の後には、一定の時間間隔でステップS101に戻り再び光学パターンを読み取る。
【0053】
次に、図10に基づき、本実施の形態のシミュレーションシステム1を構成するナビゲーション装置30の処理動作を説明する。ユーザは、まずナビゲーション装置30の入力部より、所望の経路を入力する。例えば、本実施の形態では、地点61の次に地点62、地点63、地点64を繋ぐ様に走行して地点65を経路の終端とする。経路が入力されると、情報処理部36は、経路中の複数の地点の緯度経度を変換データベース37により座標に変換し、図7のような目標座標、走行速度およびLEDの点灯指示のテーブルを作成する。
【0054】
次に、ナビゲーション装置30の情報処理部36は、走行装置10から座標値を受信する(ステップS201:座標値受信ステップ)。情報処理部36は、その座標値が目標座標であるか否かを判定する(ステップS202:判定ステップ)。その座標地点が目標座標ではないと判定された場合には(ステップS202においてNO)、進むべき座標に近づけるような目標座標を設定する(ステップS203:目標座標追加設定ステップ)。例えば、地点61から地点62に向けて走行したにも関わらず、地点62ではない地点の座標値を情報処理部36が受信した場合には、地点62と同じ座標あるいは地点62に近い新規の目標座標を次の目標座標として設定する。
【0055】
走行装置10から受信した座標値が、目標座標であると情報処理部36により判定された場合(ステップS202においてYES)、あるいは、ステップS203の後には、その走行装置10から受信した座標値は、経路の終端であるか否かを情報処理部36が判定する(ステップS204:ルート終端判定ステップ)。
【0056】
ステップS204において、その走行装置10から受信した座標値は、経路の終端であると情報処理部36により判定された場合(ステップS204においてYES)には、情報処理部36は、走行装置10に制御データを送信することなく、動作を終了する。すなわち、走行装置10は、制御データを受信しないため停車状態となる。
【0057】
一方、ステップS204において否定的(NO)な判定がなされた場合には、情報処理部36は、次の目標座標に基づき制御データを作成し、作成された制御データを、通信部32から走行装置10へ送信する(ステップS205)。
【0058】
ステップS205の後、すなわち、情報処理部36が通信部32から走行装置10へ制御データを送信した後には、ステップS201に戻り、次の座標値を受信する。
【0059】
以上に説明したように、走行装置10が光学パターンを読み取り座標値をナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置に入力された経路とその取得した座標値とを情報処理部36が比較することで、情報処理部36が走行装置10の走行制御を行うことができる。ユーザは、ナビゲーション装置30に入力した経路と地図帳50の経路とを対応づけることが容易になる。
【0060】
さらに、ユーザは、ナビゲーション装置30に入力された経路を、広域地図の地図帳50で追いながら、詳細な情報をナビゲーション装置30の画面32にて見ることが可能なシミュレーションシステム1となる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、シミュレーション中に、走行装置10が走行しながらある条件に応じてLED15を点灯させることで、ユーザは、より適切な経路を選択できる。例えば、渋滞箇所でLED15が点灯する場合に、LED15が点灯しない状態で走行装置10が走行する道路が、渋滞の生じていない道路である旨をユーザが認識できる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
【0063】
たとえば、各実施の形態において、走行装置10は、地図帳50の光学ドットパターンから座標値を得て、その得られた座標値を送信するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、読み取った光学ドットパターン自身を走行装置10からナビゲーション装置30に送信するものでもよい。また、座標値を緯度経度の情報に変換して走行装置10からナビゲーション装置30に送信するものでもよい。なお、走行装置10が座標値を送信するようにすると、送信するデータの容量が小さくなるため好ましい。
【0064】
また、上述の実施の形態では、ステップS202において、走行装置10から送信された座標値と、ナビゲーション装置30に入力された経路の各地点の緯度経度を座標値に変換されたものとを比較しているが、このような形態に限らない。例えば、走行装置10から送信された座標値を緯度経度に変換し、ナビゲーション装置30に入力された経路の各地点の緯度経度と比較するような形態としてもよい。
【0065】
また、上述の実施の形態では、ステップS202において、目標座標と受信した座標値とが一致した場合に、次の目標座標値に基づく制御データを送信するものとしたが、このような形態に限らない。例えば、目標座標値に許容範囲を設定し、目標座標値の一定範囲内に到達したら、次の目標座標に向かって走行するようなシミュレーションシステム1としてもよい。
【0066】
また、上述の実施の形態に係るシミュレーションシステム1は、ナビゲーション装置30が走行装置10と通信するものとしている。しかしこのような形態に限らず、走行装置10の内部で光学ドットパターンから制御用データにできる、すなわち、走行装置10内部で全ての処理が行われるシミュレーションシステム1としてもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、制御データに走行速度およびLED15を点灯させるためのデータを含むものとしているが、このような形態に限定されない。走行速度等のデータがなくてもよいし、その他のデータを含むような形態としてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態に係る地図帳50は、図2のような赤外線を吸収する0.3mm間隔の格子上のドットが、赤外線を透過する情報とともに印刷されているものとしている。しかし、このようなものに限らず、座標値として得られるようなパターンであればよい。例えば、格子上の交点にもドットが位置するようなドットパターンとすることで、5の36乗のパターン種類ができる。また、例えば、6×6ドットで表示するのではなく、8×8ドットとして表示するような形態でも良い。また、直交格子ではなく、ひし形の格子としたり、あるいは、ドットの形状を変えてもよい。また、ドットで構成されていないパターンを用いてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、LED15を介してユーザに通知するための情報として渋滞を例示しているが、渋滞に限られず、例えば、危険箇所の情報、事故多発地点情報あるいは速度取締装置の設置地点等の通知をするものとしてもよい。また、それらの通知内容を、例えば、通信部32がインターネットあるいはVICS等により外部から取得するようにしても良い。あるいは、自分でお気に入りの場所や店の位置等を入力あるいは変更する等しても良い。
【0070】
また、上述の実施の形態では、所定の条件に合致する箇所を通知する方法としてLED15の発光としているが、このような形態に限らない。たとえば、LCDを設けて、LCDに文字および図等を表示するものとしてもよいし、スピーカを設けてスピーカから音響で通知するもの、あるいは、走行装置10が振動等することでユーザに通知するものでも良い。
【0071】
また、所定の条件に合致する箇所を通知する方法としては、走行装置10が、赤、青および黄の光により所定の情報をユーザに段階的に通知するようなものとしてもよい。あるいは、色や通知方法を変化させるのではなく、その通知レベルを変化させるものとしてもよい。例えば、光で通知する場合に、光の強弱や点滅速度の違いにより段階的に通知しても良い。また、別の例を挙げると、音で通知する場合には、音の音量あるいは、音の高さにより段階的に通知するものとしてもよい。このように、通知レベルを強弱および高さ等で変化させることで、より多くの段階について、わかりやすく通知できる。
【0072】
また、走行装置10のLED15から通知するものではなく、ナビゲーション装置30の画面あるいはナビゲーション装置30に取り付けられたスピーカ等からも通知するようなシステムとしてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、走行装置10の内部に駆動部16と読取部12とを有するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、走行装置10は、無線あるいは有線で走行を制御できる駆動部16のみが搭載され、かつ、図11のように、ペン把持機構29を有する走行装置10としてもよい。そして、ペン把持機構29部分に、通信機能を有する電子ペン200を把持させることで、読取部として電子ペン200が機能するようにもよい。読取部として電子ペン200を用いることで、電子ペン200が座標値を送信することができるので、電子ペン200からの座標値に基づきナビゲーション装置30が駆動部16を制御できる。このように、電子ペン200をシミュレーションシステム1の構成物品のひとつとしてもよい。
【0074】
また、上述の実施の形態では、ナビゲーション装置30にて設定した経路の確認の例を挙げたが、本発明は、このような形態に限らず、その他の形態に用いることができる。例えば、図11に示すように、走行装置10Aがペンの把持機構29を有するものとしてもよい。例えば、そのペンの把持機構29に、筆記できるペン200を把持させ、ペン先が地図帳50に当接し、筆記できるようにしてもよい。この場合には、例えば、旅行をしている間に走行した経路をナビゲーション装置30に保存しながら走行する。そして、旅行から帰宅した後に、ペンを把持した走行装置10Aを、その経路に沿って走行させることで、旅行に通った経路を地図帳50に記念に書き込むことができる。その経路を書き込む場合に、そのペン先のインクの色が変化するような制御を行うものでもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、カーナビゲーション装置30で走行経路のシミュレーションを行うものとしているが、このような形態に限らない。例えば、観光地を人が歩いて散策する場合や、旅行行程を確認する場合など多くの場合に、その経路をシミュレーションするために、本発明を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーションシステムの一例を示すシステム図である。
【図2】図1に示すシミュレーションシステムを構成する地図帳を説明するための説明図で、(A)は、ユーザが見る地図帳の外観で、(B)は、図2の(A)の地図帳に付された光学パターンを説明する拡大図で、(C)は、図2の(B)の一部を拡大して光学パターンをより詳細に説明する拡大図である。
【図3】図1に示すシミュレーションシステムを構成する走行装置が地図帳上に置かれた状態の側面図である。
【図4】図3に示す走行装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図3に示す走行装置の読取原理を説明するための説明図である。
【図6】図1に示すシミュレーションシステムを構成するナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図1に示すシミュレーションシステム中のナビゲーション装置が有する制御データである。
【図8】図1に示すシミュレーションシステムにおいて使用する地図帳の例で、ナビゲーション装置の動作を説明するための地図である。
【図9】図1に示すナビゲーションシステムにおいて走行装置が制御データを受信してからの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示すナビゲーションシステムにおいて、座標値を受信して通知用データを送信するまでの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施の形態の変形例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0077】
1…シミュレーションシステム(走行確認システム)、10…走行装置(移動装置)、15…LED、25…通信部、30…ナビゲーション装置(制御部)、36…情報処理部(制御部)、50…地図帳(印刷媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体と、
上記パターンを読み取り、読取データとして出力する読取部が配置されると共に、上記印刷媒体上を指定された経路で移動する移動機器と、
上記移動機器で読み取った読取データを位置情報に変換する変換テーブルと、
上記移動機器の走行経路を指示する指示データと上記位置情報に基づき、上記移動機器の移動制御に使用する制御データを生成する制御部と、
を有することを特徴とする走行確認システム。
【請求項2】
前記制御データは、ナビゲーション装置に設定された経路に基づき生成されることを特徴とする請求項1に記載の走行確認システム。
【請求項3】
前記制御データは、ナビゲーション装置から送信されると共に、道路情報に基づき変化する車両の走行速度を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の走行確認システム。
【請求項4】
印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体の上記パターンを読み取る読取部と、
走行経路を指示する指示データと上記読取部の読み取った位置情報に基づき生成された制御データを外部装置より受信する受信部と、
上記制御データに基づいて上記指示データに沿った走行を行うための走行制御部と、
を有することを特徴とする走行装置。
【請求項5】
印刷媒体上の位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体の上記パターンを、上記印刷媒体を走行する移動機器が読み取る読取ステップと、
読み取ったパターンに基づいて読取データを出力する読み取りデータ出力ステップと、
上記移動機器で読み取った読取データを位置情報に変換する変換ステップと、
上記移動機器の走行経路を指示する指示データと上記位置情報に基づき、上記移動機器の移動制御に使用する上記制御データを生成する制御データ生成ステップと、
上記制御データを上記移動機器が受信する制御データ受信ステップと、
上記制御データに基づいて、上記移動機器が指定された経路で上記印刷媒体を移動する移動ステップと、
を有することを特徴とする走行確認方法。
【請求項6】
前記制御データ生成ステップにおいて、前記位置情報に基づき現在の位置が目標位置であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の走行確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−236521(P2009−236521A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79754(P2008−79754)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】