説明

距離測定による通過方向判別装置

【課題】本発明による距離測定による通過方向判別装置の課題は、複数の通過体が重複して通過する場合においても、個々を区別した状態で通過体の通過方向を検知することが可能なものを提供することにある。
【解決手段】検出信号を発生する検出信号発生器と通過体による前記検出信号の反射信号を受信する受信器との対からなる複数個の検出ユニット、又は、検出信号を発生する1個の検出信号発生器と前記検出信号発生器を共用し、通過体による前記検出信号の反射信号を受信する複数の受信器による複数個の検出ユニットと、距離差計算器と、応答順判定器と、方向及び個判定器とを有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通過体が微妙にずれながら重なって到達した場合にも出入方向が正確に判別できる通過方向判別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から通過体監視装置は、通路、建物や部屋の出入口などいろいろなところで使用されているが、以下に述べるようなものが利用されてきた。図5は、従来の通過体監視装置の例である。先ず、5−Aにおいて、例えば、通路501を左側から右側に移動する通過体502が実線の位置から、ある時間後に点線の位置に移動したとする。通過検出のための検出信号発生器503からは、例えば、赤外線の場合には、赤外光のビーム504が発射されている。通路の反対側には、赤外光のビーム504を受ける受信器505(光の場合は受光器という)が配置されていて、通過体502が赤外光のビーム504の途上に無い場合には、受信器505は、赤外光のビーム504を受けて、常に、受光量に応じた電気信号を発生し、制御装置506に伝達している。通過体502が、点線の位置のように、赤外光のビーム504の通る途上にある場合は、通過体502により赤外光のビーム504が遮られて、受信器505には到達しないことになり、その結果、受信器505からは、受光量の無い場合の電気信号を制御装置506に送る。その結果、制御装置506は、通過体502が通路501に存在すると検知して、例えば、画像カメラ507、音声、サイレン、光発生などの警報装置508、LED表示器などの表示装置509を駆動して所望の対応をしている。このような、検出信号発生器503と受信器505が通路501に対して反対側にあるのを透過型の配置という。これに対して、5−Bにおいては、通路501に対して、検出信号発生器503と受信器505が同じ側に有るものであり、反射型と呼ばれるものである。検出信号発生器503からの例えば、赤外光のビーム504は、通過体502が、赤外光のビーム504を遮る位置にいない場合は、通路501の反対側に透過してしまうため、受信器505には、受光量が無く、それに対応した信号を制御装置506に送ることになる。通過体502が、赤外光のビーム504を遮る位置にくると、図に示すように、赤外光のビーム504は、通過体502により反射されて、その反射光が、受信器505に入り、受信器505からは、受光量のある信号が、制御装置506に送ることになり、その結果、1−Aと同様に、画像カメラ507、警報装置508、表示装置509などを駆動して所望の対応をすることになる。以上のような、通過体監視装置の例は、特許文献1に見ることが出来る。
【特許文献1】特開平10−9815
【0003】
通過体の監視の要求が更に発展すると、以上のように単に通過体の通路上の存在を検知するだけでなく、通過体の通過方向を判別する必要が度々招来する。例えば、契約マリーナなどでは、入港してくる船だけを監視したいことがあるし、駐車場でも入ってくるのを監視したい場合がある。このような例を、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に見ることが出来る。これらは、いずれも、検出信号発生器503と受信器505の対の2組以上を配置することで、通過体の通過方向を判別するものである。
【特許文献1】特開平5−81503
【特許文献1】特開平9−101204
【特許文献1】特開平9−297057
【特許文献1】特開平10−160856
【特許文献1】特開2001−34856
【0004】
ところが、以上のような、通過体の通過方向を判別にも見過ごせない不都合があることが分かった。以下に、その不都合を説明する。図4は、従来の通過体の通過方向判別装置の例を示す図である。4−Bは、そのようなブロック図であり、4−Aは実際に使用する場合の状況を示す図となっている。4−Bにおいて、通過体を検出するための検出信号発生器403Aと受信器405Aの対からなる第1の検出ユニット400Aと、同様に、検出信号発生器403Bと受信器405Bの対からなる第2の検出ユニット400Bとがあり、検出信号発生器403Aから発生した赤外光のビーム404Aの通過体(図示省略)からの反射光を受信器405Aが受け、同様に、検出信号発生器403Bから発生した赤外光のビーム404Bの通過体(図示省略)からの反射光を受信器405Bが受ける様になっている。従って、今、受信器405A、受信器405Bの出力において、通過体からの反射による受光量がある場合をデジタル値1(高い電圧値)、反射が無いことにより受光量が無い場合をデジタル値0に対応させると、左側から通過体が入ってくるとすると、左側にある受信器405Aの方が受信器405Bより時間的に早く反射による光を受けて0から1に変わる出力を出すことになる。4−Aは、このような事情を説明するものであって、通路401のところを通過体402Aと402Bの複数(この図では2個)の通過がある場合と、1個の通過体402Cが通過する場合の二つの違った場合の受信器の出力を検討している。下に記述したのは、検出信号発生器403Aにより発生した赤外光のビームの通過体402A、402B(2個分)による反射光を受信した受信器405Aの検出出力411Aと、検出信号発生器403Bにより発生した赤外光のビームの通過体402A、402B(2個分)による反射光を受信した受信器405Bの検出出力411Bを示している。当然のことながら、図示するように、通過体402A、402Bが左から右に入ってくると仮定した場合は、通過体が入ってくると、受信器405Aの方が、受信器405Bよりも時間的に早く反射光を受けて、検出出力が0から1に立ち上がることになる。411Aと411Bの表現は、縦軸が、受光器の検出出力値であり、横軸は、時間であり、右側に行くほど遅い方向である。このように、2つの受光器の応答の順を検出することで左からきたか、右から来たかを判別できることになる。従って、4−Bでは、2つの受光器405A、405Bの検出出力を応答順判定器410で順を判定し、その結果で制御装置406を駆動する。制御装置406は、図5の説明と同様に、画像カメラ407、警報装置408、表示装置409などを駆動することになる。勿論、応答順判定器410での順の判定で、通過方向を判定しているわけであるので、例えば、右から来る場合は何もせず、左から来る場合のみ制御装置406が、画像カメラ407、警報装置408、表示装置409の応答を行うような所望の動作をさせるわけである。再び、4−Aにもどって、上に点線で示すのは、1個の通過体402Cによる反射光による受信器405Aの検出出力412Aと受信器405Bの検出出力412Bを示している。通過体402Cの長さと、通過体402Aと402Bの長さの横から見た値を同じにしている。411A、411Bの検出出力と412A、412Bの検出出力とを比較すると、全く同じになってしまい、通過体が2個なのか1個なのか区別がつかないという結果であることが分かる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上説明したように、従来の通過方向判別装置においては、複数の通過体が重複して通過する場合には、個々を区別することが出来なかった。これは、個々を区別してその信号から対応を行う場合に不利なことになる。例えば、個々を判別して個数カウントする場合や、個々を区別して許可体以外を通過させない手順を行うために、通過体の個数と、電波で認識された通過体の有するIDTAGによる個数とから不許可体の有無を認識する場合などの多くの例がある。従って、本発明による距離測定による通過方向判別装置の課題は、複数の通過体が重複して通過する場合においても、個々を区別した状態で通過体の通過方向を検知することが可能なものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような従来の欠点に鑑み、複数の通過体が重複しても、個々を区別できる状態で、通過体の通過方向を正確に把握できる通過方向判別装置であって、検出信号を発生する検出信号発生器と通過体による前記検出信号の反射信号を受信する受信器との対からなる複数個の検出ユニット、又は、検出信号を発生する1個の検出信号発生器と前記検出信号発生器を共用し、通過体による前記検出信号の反射信号を受信する複数の受信器による複数個の検出ユニットと、距離差計算器と、応答順判定器と、方向及び個判定器とを有することを特徴としている。
【0007】
請求項1記載の発明は、請求項1記載の距離測定による通過方向判別装置であって、検出信号を発生する検出信号発生器と通過体による前記検出信号の反射信号を受信する受信器との対からなる複数個の検出ユニット、又は、検出信号を発生する1個の検出信号発生器と前記検出信号発生器を共用し、通過体による前記検出信号の反射信号を受信する複数の受信器による複数個の検出ユニットと、距離差計算器と、応答順判定器と、方向及び個判定器とを有するものであって、前記複数個の検出ユニットは、所望の距離1に離して配置されるものであり、前記検出ユニットは、前記通過体と前記検出ユニット又は、前記受信器との間の距離2を測定するものであり、前記距離差計算器は、前記距離2の時間的変化による差を計算するものであり、前記応答順判定器は、前記受信器の受信信号の前記検出ユニット間の応答時間順を求めるものであり、前記方向及び個判定器は、前記距離差計算器と前記応答順判定器の結果に基づいて、前記通過体の個々を区別して通過方向を判定するものであることを特徴とする距離測定による通過方向判別装置。これにより、通過体の個々を区別した状態で通過方向の判別が出来る。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の距離測定による通過方向判別装置において、前記検出信号は、赤外線レーザー光であることを特徴とする。これにより、野外、雨、霧、夜間の環境でも距離測定が可能となる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の距離測定による通過方向判別装置において、前記複数個の検出ユニットは、2個組又は、4個組からなることを特徴とする。
これにより、最小限の構成で通過方向が判別できる。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の距離測定による通過方向判別装置において、前記通過体の通過速度を測定することで、複数の前記通過体が、前記2個組の検出ユニットの両側から入ってくることによる方向判別の困難さを回避したことを特徴とする。これにより、不都合の回避ができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の距離測定による通過方向判別装置において、前記所望の距離1は、前記通過体の通過速度と前記距離2の測定の測定間時間間隔との積から求めた距離3と前記通過体の通過方向の揺らぎの振幅の2倍である距離4との大きい方の値から、距離3の20倍の値の間であることを特徴とする。
これにより、距離及び通過方向の判別精度を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に構成されているので、本発明の通過方向判別装置では、通過体の個々を判別して、通過体の通過方向が正確に把握できるので、通過体監視装置の管理上の精度向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明を実施するための最良の形態として、検出信号を発生する検出信号発生器と通過体による前記検出信号の反射信号を受信する受信器との対からなる複数個の検出ユニット、又は1個の検出信号発生器と複数の受信器を有する検出ユニットと、距離差計算器と、応答順判定器と、方向及び個判定器とを有するものであって、以下に実施態様を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明による距離測定による通過方向判別装置の一実施態様を示す図である。
100Aと100Bは、適当な距離Lだけ離して配置した第1の検出ユニットと、第2の検出ユニットであり、各々、検出信号発生器と反射信号を受信する受信器を含んでいる。但し、ここでの違いは、検出信号発生器から発生する検出信号が通過体による反射を受けたあとの反射信号を受信器が受信して、通過体と受信機の間の距離を測定するために距離測定手段を通過方向判別装置の中に有していることである。距離を測定する手段として、適当なのは、一般に行われているレーザーパルス光の飛行時間を使うことが利用できる。レーザーパルス光を第1の検出ユニット100Aと、第2の検出ユニット100Bの検出信号発生器から発生し、通過体による反射パルス光を受信器で受けて、パルス発生時のパルス光と受信器が受けた反射パルス光の時間ずれ(飛行時間差)から距離を測定するものである。また、よく行われるドップラー効果を利用した距離測定も可能である。これは、第1の検出ユニット100Aと、第2の検出ユニット100Bの検出信号発生器から発生した検出信号が通過体による反射を受けた後、その反射信号を受信器が受信して、発生時の信号の周波数と反射後の受信信号の周波数との差により、検出ユニットと通過体との距離を計算するものである。しかしながら、速度の変化を周波数の変化としてとらえるドップラー効果の手段は、通過体の通過線に直角な位置から検出する場合には、距離の変化(速度の変化)が少ないので周波数変化も大きく出ないため、距離測定の感度が悪い。距離測定ということでは、レーザーによる飛行時間から距離を割り出す方が、感度が高く有利である。第1の検出ユニット100Aと第2の検出ユニット100Bからの信号は、応答順判定器110と距離差計算器111で応答順と距離が求められる。方向及び個判定器112では、応答順判定器110と距離差計算器111からの出力を得て、応答順から通過体の通過方向を読み取り、距離の差から通過体が1個なのか複数(例えば2個)なのかを判定し、必要な箇所(例、制御器、管理コンピュータなど)に出力する。通過方向の判別では、例えば、検出ユニット100Aが100Bより検出信号の応答が時間的に早い場合は、通過体は、紙面で左から右に通過しているものである。個の判別では、距離の変化の回数により、個数を判別するものである。この事情は、図2を用いて説明する。
【0015】
図2は、本発明の距離測定による通過方向判別装置の実際に使用する場合の状況を説明する図であり、図4の4−Aに対応している。図2において、第1の検出ユニット200Aと第2の検出ユニット200B(図1では100Aと100Bで表現したものを読み替えている)で、左から右に移動してくる2個の重複した通過体202Aと202Bを検出した検出信号出力を下に実線211A、211Bで、1個の通過体202Cを検出した検出信号出力を上に点線で212A、212Bに示す。211A、211B、212A、212Bの検出信号出力は、第1の検出ユニット200Aと第2の検出ユニット200B(図1では、100Aと100B)の各々が有する受信器からの出力であり、通過体と検出器の間の距離に対応した情報を経過時間に対して描いてある。この場合、距離情報自体から通過体の通路での存在か、非存在かを知ることが出来るので、存在検知の受信出力(図4など従来品の説明で示した存在または非存在に対応したデジタル値)は、必ずしも必要ではない。しかしながら、距離情報は、一般的には情報の出力間隔(サンプル間隔)が計算の都合上、存在検知の受信出力のデータ間隔に比べ、粗くなり易いため、存在検知の受信出力も併用することが好ましい。図に見るように、1個の通過体202Cを検出した検出信号出力では、通過体202の通過(入ってから出るまで)の通過体の長さと通過速度の分に対応した時間間隔の間だけ、距離に対応した検出信号出力212A、212Bのように出ている。この検出信号出力の状況により通過体が1個と判定できる。2個の重複した通過体202Aと202Bを検出した検出信号出力211Aと211Bでは、212A、212Bと比べて、2個の通過体の間の距離差の分だけ信号に余分に段差部213を見出すことが出来る。このことにより、2個を検出することができる。
【0016】
以上の説明では、対になる第1の検出ユニットと第2の検出ユニット間の間隔Lの値が重要な要素になる。以下に考慮すべき点を検討する。
Lの決定要因による条件は以下の3通りが考えられる。
1)通過体の時間的ゆれの振幅 r
L>2r
2)通過体の速度vと距離測定器の測定サンプル間隔ts
L≧v×ts
3)複数の通過体の両側から入ってくる確度
・通過体1を検出してから、 L÷vの時間tより大きい時間を置いて、通過体2を
検出する場合には、通過体1はLの区間を通過し終わっているので、問題とならない。
・通過体1を検出してから、 L÷vの時間tより小さい時間内で、通過体2を
検出する場合には、通過体1はLの区間を通過し終わってないので、速度vが分からない場合には、通過体2の方向判別が困難(両側複数通過の不都合と呼ぶことにする)となるため、極力、両側から入る機会を減らすためにLを小さくすることが望ましい。大きくとも、20v×ts以内にすることが好ましい。
速度vを測定できる場合は、通過体1が通過完了前に、通過体2が反対側から入ったと判断するアルゴリズムが可能である。

以上のことから、望ましいLの条件として、式(1)、更に、通常使いたい条件として、式(2)があげられる。
【0017】
(数1) 20v×ts≧L≧v×tsと2rの大きい方の値 (1)
【0018】
(数2) 10v×ts≧L≧3v×ts (2)
【0019】
次に実際のLの計算例を示す。波による通過体(例えば、船舶)のゆれの振幅rを10cm、ts=0.03秒、v=3m毎秒の船舶では、式(1)によるLの範囲は、式(3)となる。
従って、この場合は、1m前後で使用するのが好ましい。
【0020】
(数3) 1.8m≧L≧0.2m (3)
【0021】
図3は、本発明による距離測定による通過方向判別装置の別の実施態様を示す図である。
300Aと300Bは、適当な距離Lだけ離して配置した第1の検出ユニットと、第2の検出ユニットの組であり、300Cと300Dは、適当な距離Mだけ離して配置した第3の検出ユニットと、第4の検出ユニットの組である。言わば、図1の検出ユニットの対の2セットを適当な間隔kだけ離して設置したものであり、検出出力は、応答順判定器310、距離差計算器311に入力され、更にその出力は、方向及び個判定器312に入力されている。間隔kは、距離L、Mの値以上は離すものとする。又、Mの決め方は、前述のLと同様とする。kの間隔だけ離れているので、両側から通過体があった場合にも、最悪の場合でも、検出ユニット組のどちらかが前述の両側複数通過の不都合をこうむるだけで、両方の検出ユニット組が不都合になることは無いため、不都合をこうむらない検出ユニット組の検出出力で通過体の方向を速度を知ること無しに判別できる利点があり、図1より改善された振る舞いを得ることができる。応答順判定器310、距離差計算器311、方向及び個判定器312の動作は、基本的に図1と同じであるので、記述を省略する。又、
応答順判定器310、距離差計算器311は、第1の検出ユニット300Aと第2の検出ユニット300Bの組、及び、第3の検出ユニット300Cと第4の検出ユニット300Dの組の各々の組毎に付いていても良いことは勿論である。
【0022】
尚、検出ユニットに使用される検出信号としては、赤外線光、可視光、これらのレーザー光、超音波、マイクロ波などの電波が利用できるが、野外で利用する場合には、雨や霧、夜間の影響の少ない赤外線のレーザー光の使用が好ましい。又、図1から図3の説明では、検出信号発生器と受信器の対による検出ユニットの場合を例に説明したが、1個の検出信号発生器を複数(例えば2個)の受信器で共用した検出ユニットも可能であり、この方が資材の利用効率がよく、本願の主旨の範囲である。この明細書及び請求の範囲では、このような場合にも対応できるように、便宜的に、各受信器に対応して各々検出ユニットと呼ぶ表現とする。即ち、検出信号発生器が受信器ごとにある場合も、共用で1個しかない場合も、受信器1個について、検出ユニット1個と呼ぶことで表現上の混乱を回避するものである。従って、Lの決め方の場合には、検出ユニットの間隔は、実質的には、受信器の間隔に対応している。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、従来の技術の欠陥であった個々を区別した状態で、複数の重複した通過体の通過方向が確定できないということを回避することができ、通過体の管理が可能となるので、防犯などの分野では極めて利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による距離測定による通過方向判別装置の一実施態様を示す図である。
【図2】本発明の距離測定による通過方向判別装置の実際に使用する場合の状況を説明する図である。
【図3】本発明による距離測定による通過方向判別装置の別の実施態様を示す図である。
【図4】従来の通過体の通過方向判別装置の例を示す図である。
【図5】従来の通過体監視装置の例である。
【符号の説明】
【0025】
100A、200A、300A、400A 第1の検出ユニット
100B、200B、300B、400B 第2の検出ユニット
110、310、410 応答順判定器
111、311 距離差計算器
112、312 方向及び個判定器
202A、202B、202C、402A、402B、502 通過体
211A、211B、212A、212B 検出信号出力
213 段差部
300C 第3の検出ユニット
300D 第4の検出ユニット
403A、403B、503 検出信号発生器
404A、404B、504 赤外光のビーム
405A、405B、505 受信器
406、506 制御装置
407,507 画像カメラ
408、508 警報装置
409、509 表示装置
411A、411B、412A、412B 検出出力
401、501 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出信号を発生する検出信号発生器と通過体による前記検出信号の反射信号を受信する受信器との対からなる複数個の検出ユニット、又は、検出信号を発生する1個の検出信号発生器と前記検出信号発生器を共用し、通過体による前記検出信号の反射信号を受信する複数の受信器による複数個の検出ユニットと、距離差計算器と、応答順判定器と、方向及び個判定器とを有するものであって、前記複数個の検出ユニットは、所望の距離1に離して配置されるものであり、前記検出ユニットは、前記通過体と前記検出ユニット又は、前記受信器との間の距離2を測定するものであり、前記距離差計算器は、前記距離2の時間的変化による差を計算するものであり、前記応答順判定器は、前記受信器の受信信号の前記検出ユニット間の応答時間順を求めるものであり、前記方向及び個判定器は、前記距離差計算器と前記応答順判定器の結果に基づいて、前記通過体の個々を区別して通過方向を判定するものであることを特徴とする距離測定による通過方向判別装置。
【請求項2】
前記検出信号は、赤外線レーザー光であることを特徴とする請求項1記載の距離測定による通過方向判別装置。
【請求項3】
前記複数個の検出ユニットは、2個組又は、4個組からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の距離測定による通過方向判別装置。
【請求項4】
前記通過体の通過速度を測定することで、複数の前記通過体が、前記2個組の検出ユニットの両側から入ってくることによる方向判別の困難さを回避したことを特徴とする請求項3記載の距離測定による通過方向判別装置。
【請求項5】
前記所望の距離1は、前記通過体の通過速度と前記距離2の測定の測定間時間間隔との積から求めた距離3と前記通過体の通過方向の揺らぎの振幅の2倍である距離4との大きい方の値から、距離3の20倍の値の間であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の距離測定による通過方向判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−18118(P2007−18118A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196990(P2005−196990)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】