説明

車両の乗客監視装置

【課題】車室内における座席に着座していない乗員の状態を識別し、乗客の年齢等の識別信号によって、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知し、かかる識別信号に対応した運転制御ができる車両の乗客監視装置を提供する。
【解決手段】車両の車室内における乗員の動きを検知して、車両内の乗員の状況を監視する車両の乗客監視装置において、前記車室内における乗員の状況を検知する乗員状態検知装置と、該乗員状態検知装置からの乗員状況検知信号を受信して該乗員状況検知信号から座席に着座していない乗員を識別すると、該乗員識別信号を表示警報装置を介して運転者に検知させるとともに、前記車内の不安定状態を識別するとエンジン制御装置及びブレーキ制御装置をそれぞれ制御して前記車両の走行状態を加減する制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスなどの車両に適用され、車両(バス)の車室内における乗員の動きを検知して、車両内の乗員の状況を監視する車両の乗客監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バスにおける乗員の状況を監視する、最も簡単な手段は運転者がミラーなどで目視確認している手段がある。その他にも、座席に圧力センサをつけて、乗客が座席に着いたのを確認するシステムも最近提供されている。
【0003】
また、特許文献1(特開平7−285398号公報)においては、バスの車内に設置されたトイレ内に乗客が移動していることを自動的に検知するセンサと、給湯器を備えている場合も乗客が移動していることを自動的に検知するセンサとを備え、これらのセンサの出力を運転席にある表示回路に表示している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−285398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バスにおいては、特に高齢者の乗客が、立席時やバスの車室内における動きにより、転倒するという負傷事故を防止する必要がある。
前記の運転者がミラーなどで目視確認している手段の場合には、死角部分や走行中の乗客の移動などにより、乗客のかかる状態を常時把握するのは困難である。
また、前記座席に圧力センサをつけて、乗客が座席に着いたのを確認するシステムは、乗客が座席に着いたのを確認できるが、かかる方法は、乗客の年齢等の識別信号によってリアルタイムでの前記識別信号に基づく処理によって、エンジン制御装置及びブレーキ制御装置を制御して、安全運転側に調整する、という段階までにはなっていない。
【0006】
また、特許文献1においては、前記のように、バスの車内に設置されたトイレ内に乗客が移動していることを自動的に検知するセンサと、給湯器を備えている場合も乗客が移動していることを自動的に検知するセンサを備え、これらのセンサの出力を、運転席にある表示回路に表示しているが、乗客の年齢等の識別信号によってリアルタイムでの前記識別信号に基づく処理は行っていない。
【0007】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、車室内における座席に着座していない乗員の状態を識別し、乗客の年齢等の識別信号によって、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知し、かかる識別信号に対応した運転制御ができる車両の乗客監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる目的を達成するもので、車両の車室内における乗員の動きを検知して、車両内の乗員の状況を監視する車両の乗客監視装置において、
前記車室内における乗員の状況を検知する乗員状態検知装置と、該乗員状態検知装置からの乗員状況検知信号を受信して該乗員状況検知信号から座席に着座していない乗員を識別すると、該乗員識別信号を表示警報装置を介して運転者に検知させるとともに、前記車室内の不安定状態を識別するとエンジン制御装置及びブレーキ制御装置をそれぞれ制御して前記車両の走行状態を加減する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、好ましくは、前記制御装置は、年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段と、前記座席に着座していない乗員の年代に対応した車両の走行状態を加減する車両情報判定手段とを備える。
【0010】
また、本発明は、好ましくは、前記乗員状態検知装置は、車室内における乗員の状況を複数のカメラで撮像して画像処理し、前記年代別情報提供手段からの年代別行動特性情報により、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両の車室内における乗員の動きを検知して、車両内の乗員の状況を監視する車両の乗客監視装置において、車室内における乗員の状況を検知する乗員状態検知装置と、該乗員状態検知装置からの乗員状況検知信号を受信して該乗員状況検知信号から座席に着座していない乗員を識別すると該乗員識別信号を表示警報装置を介して運転者に検知させるとともに、前記車内の不安定状態を識別するとエンジン制御装置及びブレーキ制御装置をそれぞれ制御して前記車両の走行状態を加減する制御装置を備えたので、
乗員状態検知装置により、リアルタイムで、複数のカメラによる撮像等により、車室内における乗員の座席に着座していない乗員の状態を識別して、この識別信号を制御装置に入力する。
【0012】
制御装置においては、前記識別信号から座席に着座していない乗員の状態を検知して表示警報装置に入力する。該表示警報装置においては前記識別信号を運転者に伝達し、運転者は、前記識別信号から座席に着座していない乗員の状態に応じて、エンジン制御装置及びブレーキ制御装置を作動させて、加減速制御、コーナーリング制御、車間距離制御等の制御を行う。
かかる、リアルタイムでの識別信号に基づいて、エンジン制御装置及びブレーキ制御装置の制御により安全運転がなされ、着座していない乗員は、かかる安全運転により転倒等の危険が回避される。
【0013】
また、本発明において、前記制御装置は、特徴サンプルを用いた年代別、男女の別、等の年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段と、前記座席に着座していない乗員の年代に対応した車両の走行状態を加減する車両情報判定手段とを備えているので、
年代別行動特性情報から座席に着座していない乗員が、年代別情報提供手段により高齢者か、あるいは幼児かの年代を区別をし、かかる年代別情報提供手段の判別結果に基づき、車両情報判定手段により座席に着座していない乗員が高齢者か、あるいは幼児かの年代に対応した、車両の走行状態を制御する。
従って、着座していない乗員の年代に対応して、車両の走行状態を制御するので、乗員の年代に対応した運転制御ができる。
【0014】
また、本発明において、前記乗員状態検知装置は、車室内における乗員の状況を複数のカメラで撮像して画像処理し、前記年代別情報提供手段からの年代別行動特性情報により、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知するように構成すれば、カメラでの撮像により、座席に着座していない乗員の年代が画像処理されたデータから目視で状態を確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0016】
図1は、本発明の実施例にかかるバスの乗客監視装置の全体構成図である。図2は前記バスの乗客監視装置の年代別制御ブロック図である。
図1において、バス(車両)1の中には、乗客が掛ける複数の座席3が配置されている。また車両1の前部には運転者2の席が配置されている。該車両1には、複数のカメラ3a,2bが配置され、該カメラ3a,2bで撮像した車内の乗員の状況が画像処理装置4a,4bで画像処理され、乗員状態検知装置5に送られる。
かかるカメラ3a,2bでの撮像により、座席3に着座していない乗員の年代が画像処理されたデータから目視で確認できる。
【0017】
乗員状態検知装置5は、車室1a内における乗員の状況を検知し、リアルタイムで、前記複数のカメラ3a,2bによる撮像により、車室1a内における座席に着座していない乗員の状態を、年代別、外見的特長、男女の別等により識別して、この識別信号を制御装置6に入力する。尚、前記カメラ3a,2bのほか、超音波センサ、レーザ等を用いることができる。
該制御装置6は、乗員の年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段6aと、前記座席に着座していない乗員の年代に対応した車両の走行状態を加減する車両情報判定手段6bとを備えている。
【0018】
また、前記制御装置6においては、前記乗員状態検知装置5の識別信号から、座席に着座していない乗員の状態を検知して、その結果を表示警報装置7に入力する。該表示警報装置7においては、前記識別信号を運転者2に伝達し、運転者2は、前記識別信号から座席に着座していない乗員の状態に応じて、エンジン10を制御するエンジン制御装置8及びブレーキ11を制御するブレーキ制御装置9を作動させて、加減速制御、コーナーリング制御、車間距離制御等の制御を行う。
【0019】
次に、図2のバス(車両)1の乗客監視装置の年代別制御ブロック図に、基づきかかる実施例の作用を説明する。
先ず乗員(乗客)の外見的特長、行動パターン等を認識する(ステップ(1))。次に乗員の年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段6aにより、乗客の年代別行動特性情報、つまり高齢者、幼児など(要支援対象者)と、その他のものとを判別する(ステップ(2))。
【0020】
高齢者、幼児など(要支援対象者)は、座席に着座していない状態のときは、運転者2にその識別信号を通知し(ステップ(3))、かかる識別信号の授受があったときは、運転者2は、エンジン制御装置8及びブレーキ制御装置9を作動させて、加減速制御、コーナーリング制御、車間距離制御等の制御を行い、車両の安定サイドの運転を行う(ステップ(4))。
また、その他のもの、つまり支援対象を必要としないものについては、運転者2に座席に着座していない状態のみを連絡する(ステップ(5))。
【0021】
以上の実施例によれば、乗員状態検知装置5により、リアルタイムで、複数のカメラ3a、2bによる撮像により、車室1a内における座席3に着座していない乗員の状態を識別して、この識別信号を制御装置6に入力する。
制御装置6においては、前記識別信号から座席3に着座していない乗員の状態を検知して表示警報装置7に入力する。
【0022】
該表示警報装置7においては前記識別信号を運転者2に伝達し、運転者2は、前記識別信号から座席3に着座していない乗員の状態に応じて、特に高齢者、幼児など(要支援対象者)が、座席3に着座していない状態のときは、運転者2にその識別信号を通知する。かかる識別信号の授受があったときは、運転者2は、エンジン制御装置8及びブレーキ制御装置9を作動させて、加減速制御、コーナーリング制御、車間距離制御等の制御を行い、車両の安定サイドの運転を行う。
このような、リアルタイムでの識別信号に基づくエンジン制御装置8及びブレーキ制御装置9の制御により安全運転がなされ、着座していない乗員のうち、高齢者、幼児など(要支援対象者)は安全運転により、転倒等の危険が回避される。
【0023】
また、本発明において、前記制御装置6は、年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段6aと、前記座席3に着座していない乗員の年代に対応した車両の走行状態を加減する車両情報判定手段6bとを備えているので、年代別行動特性情報から座席3に着座していない乗員が、年代別情報提供手段6aにより高齢者か、あるいは幼児かの区別をし、かかる年代別情報提供手段6aの判別結果に基づき、車両情報判定手段6bにより座席3に着座していない乗員が高齢者か、あるいは幼児かの年代に対応した、車両1の走行状態を制御する。
従って、着座していない乗員の年代に対応して、車両1の走行状態を制御するので、乗員の年代に対応した運転制御ができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、車室内における座席に着座していない乗員の状態を識別し、乗客の年齢等の識別信号によって、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知し、かかる識別信号に対応した運転制御ができる車両の乗客監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例にかかるバスの乗客監視装置の全体構成図である。
【図2】前記バスの乗客監視装置の年代別制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 バス(車両)
1a 車室
2 運転者
3 座席
3a,2b カメラ
5 乗員状態検知装置
6 制御装置
6a 年代別情報提供手段
6b 車両情報判定手段
7 表示警報装置
8 エンジン制御装置
9 ブレーキ制御装置
10 エンジン
11 ブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内における乗員の動きを検知して、車両内の乗員の状況を監視する車両の乗客監視装置において、
前記車室内における乗員の状況を検知する乗員状態検知装置と、
該乗員状態検知装置からの乗員状況検知信号を受信して該乗員状況検知信号から座席に着座していない乗員を識別すると該乗員識別信号を表示警報装置を介して運転者に検知させるとともに前記車室内の不安定状態を識別するとエンジン制御装置及びブレーキ制御装置をそれぞれ制御して前記車両の走行状態を加減する制御装置、とを備えたことを特徴とする車両の乗客監視装置。
【請求項2】
前記制御装置は、年代別行動特性情報を提供する年代別情報提供手段と、前記座席に着座していない乗員の年代に対応した車両の走行状態を加減する車両情報判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両の乗客監視装置。
【請求項3】
前記乗員状態検知装置は、車室内における乗員の状況を複数のカメラで撮像して画像処理し、前記年代別情報提供手段からの年代別行動特性情報により、座席に着座していない乗員の年代に対応した状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の車両の乗客監視装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−149767(P2010−149767A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331623(P2008−331623)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】