説明

車両の後部構造

【課題】簡単な構成で車両用補機を車両に安定して搭載できるようにする。
【解決手段】フロントフロアパネル11の後端部から上方に延びるキックアップ部12と、該キックアップ部12の上部から後方に延びるリヤフロアパネル13と、該リヤフロアパネル13上に設置された車両用シート15と、上記キックアップ部12の後方側において車幅方向に延びるように設置された前側クロスメンバ18と、上記リヤフロアパネル13の下方側、かつ上記車両用シート15の後方側において車幅方向に延びるように設置された後側クロスメンバ19とを有する車両の後部構造であって、上記前側クロスメンバ18と後側クロスメンバ19との間において車幅方向に延びるように設置された中間クロスメンバ20を有し、該中間クロスメンバ20によりバッテリ4等からなる車両用補機を支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフロアパネルの後端部から上方に延びるキックアップ部と、該キックアップ部の上部から後方に延びるリヤフロアパネルと、該リヤフロアパネル上に設置された車両用シートとを備えた車両の後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、バッテリ搭載に十分な強度を有し、フロントサイドメンバによるエネルギ吸収の安定化を可能とすることを目的として、フロントサイドメンバと、ダッシュロアクロスメンバと、左右サイドシルと、リヤシートクロスメンバと、左右リヤサイドフレームと、リヤクロスメンバとを有する車体下部構造において、フロントサイドメンバの後方にダッシュロアクロスメンバとリヤシートクロスメンバとを連結するエクステンションメンバを設けるとともに、車幅方向略中央位置に設けられダッシュロアクロスメンバとリヤシートクロスメンバとを連結するトンネルメンバを設け、リヤシートクロスメンバとリヤクロスメンバ間に複数のバッテリメンバからなるバッテリ取付フレームを設け、バッテリメンバの先端をそれぞれ前記エクステンションメンバ及びトンネルメンバの後端に突き当てるように結合するとともに、後端部を車体前後方向へ移動可能に取付けることが行われている。
【0003】
また、下記特許文献2に示されるように、バッテリを大型化することなく、側突に対する車体の剛性及び強度を向上することを目的として、フロアパネル上に載置されたバッテリの前後に、バッテリ固定手段となるフロントフロアクロスメンバと後側フレームとを車幅方向に沿って延びるように設置し、該フロントフロアクロスメンバと後側フレームとの各車幅方向両端部をロッカ(サイドメンバ)に固定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−32247号公報
【特許文献2】特開2003−170748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された車体下部構造では、リヤシートクロスメンバとリヤクロスメンバ間に、複雑な構造を有するバッテリ取付フレームを介して電気自動車用のバッテリからなる車両用補機を搭載するように構成されているため、該車両用補機の搭載部となる上記バッテリ取付フレームの組付作業が煩雑であるとともに、車体重量が増大することが避けられないという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されたバッテリ搭載構造では、バッテリをフロアパネル上に載置するように構成されているため、車室内の美観が損なわれるとともに、バッテリからなる車両用補機の保守点検または交換等を行う際に、作業者が車室内に入って交換作業等を行わなければならず、車室内が汚れたり、傷付けられたりし易いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で車両用補機を車両に安定して搭載することができる車両の後部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、フロントフロアパネルの後端部から上方に延びるキックアップ部と、該キックアップ部の上部から後方に延びるリヤフロアパネルと、該リヤフロアパネル上に設置された車両用シートと、上記キックアップ部の後方側において車幅方向に延びるように設置された前側クロスメンバと、上記リヤフロアパネルの下方側、かつ車両用シートの後方側において車幅方向に延びるように設置された後側クロスメンバとを有する車両の後部構造であって、上記前側クロスメンバと後側クロスメンバとの間において車幅方向に延びるように設置された中間クロスメンバを有し、該中間クロスメンバにより車両用補機を支持したものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両の後部構造において、上記中間クロスメンバの前方または後方に、内燃機関に供給される燃料を収容する燃料タンクを配設したものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両の後部構造において、発電用内燃機関と、該発電用内燃機関により駆動される発電機と、該発電機からの通電により充電可能なバッテリと、該バッテリから供給される電流により駆動輪を駆動するハイブリッド車両用の電動機とを有し、上記発電用内燃機関に供給される燃料を収容する燃料タンクおよび上記バッテリとを、中間クロスメンバの前後に配設したものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項3に記載の車両の後部構造において、上記中間クロスメンバの前方にバッテリを配設するとともに、上記中間クロスメンバの後方に燃料タンクを配設したものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項2〜4の何れか1項に記載の車両の後部構造において、上記中間クロスメンバと、前側クロスメンバあるいは後側クロスメンバとを連結する用に設置された金属製長尺部材により、上記燃料タンクを支持するように構成したものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項3〜5の何れか1項に記載の車両の後部構造において、上記バッテリが、バッテリケースに収容された状態で車両の下方から脱着可能に設置されたものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の後部構造において、後輪を支持するリヤサスペンションの取付部近傍に上記中間クロスメンバを配設したものである。
【0015】
請求項8に係る発明は、上記請求項1に記載の車両の後部構造において、上記中間クロスメンバの前後にバッテリをそれぞれ配設したものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、リヤフロアパネルの下方側において車幅方向に延びるように設置された前側クロスメンバと後側クロスメンバとの間に中間クロスメンバを配設し、該中間クロスメンバにより車両用補機を支持したため、車両の側突時および後突時等における車体剛性を確保しつつ、重量物等からなる車両用補機を安定して支持できるという利点がある。
【0017】
請求項2に係る発明では、中間クロスメンバの前方または後方に、内燃機関に供給される燃料を収容する燃料タンクからなる車両用補機を配設したため、該燃料タンクの支持部材として上記中間クロスメンバを利用することができ、リヤフロアパネルの下方空間内において所定の重量を有する上記燃料タンクを安定して支持できるという利点がある。
【0018】
請求項3に係る発明では、発電用内燃機関と、該発電用内燃機関により駆動される発電機と、該発電機からの通電により充電可能なバッテリと、該バッテリから供給される電力により駆動輪を駆動する電動機とを有するシリーズ式のハイブリッド車両において、リヤフロアパネルの下方空間を有効に利用して上記バッテリまたは燃料タンクをそれぞれ搭載できるという利点がある。
【0019】
請求項4に係る発明では、中間クロスメンバの前方にバッテリを配設するとともに、中間クロスメンバの後方に燃料タンクを配設したため、車体の後端部近傍に設置されることが多い燃料注入口と上記燃料タンクとが大きく離間した状態となるのを防止して、燃料タンク用の燃料注入管および空気放出管の全長を短くすることにより、その構造を簡略化できるという利点がある。
【0020】
請求項5に係る発明では、上記中間クロスメンバと前側クロスメンバあるいは後側クロスメンバとを連結するように設置された金属製長尺部材により、燃料タンクを支持するように構成したため、該燃料タンクをプラスチック材で形成して軽量化した場合においても、これをリヤフロアパネルの下方空間内に安定して支持させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、上記バッテリをバッテリケースに収容した状態で車両の下方から脱着可能に設置したため、複数個のバッテリを車体に搭載する作業、あるいは該バッテリを車体から取り外す作業等を容易に行うことができるとともに、複数個のバッテリを安定して車体に支持できるという利点がある。
【0022】
請求項7に係る発明では、後輪を支持するリヤサスペンションの取付部近傍に中間クロスメンバを配設したため、上記リヤサスペンションの車幅方向における支持剛性を上記中間クロスメンバにより効果的に向上させることができ、車両の走行時に上記リヤサスペンションから車体に入力された振動荷重を安定して支持できる等の利点がある。
【0023】
請求項8に係る発明では、上記中間クロスメンバの前後にバッテリをそれぞれ配設したため、大型の燃料タンクが不要である代わりに多量のバッテリを必要とする電気自動車等において、該バッテリをリヤフロアパネルの下方空間に効果的に搭載できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る車両の後部車体構造が適用される車両の概略構成を示す説明図である。
【図2】上記車両の全体構成を示す側面断面図である。
【図3】本発明に係る車両の後部車体構造の実施形態を示す側面断面図である。
【図4】上記後部車体構造の具体的構成を示す底面図である。
【図5】リヤサスペンションの具体的構成を示す斜視図である。
【図6】リヤサスペンションの取付状態を示す側面図である。
【図7】本発明に係る車両の後部車体構造の別の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】本発明に係る車両の後部車体構造のさらに別の実施形態を示す側面断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る車両の後部車体構造が適用される車両の概略構成を示している。該車両は、1気筒もしくは2気筒の小型レシプロエンジン、または1ロータもしくは2ロータの小型ロータリエンジン等からなる発電用内燃機関1(エンジンE)と、該発電用内燃機関1により駆動される発電機2(ジェネレータG)と、該発電機2からAC−DCインバータ3を介して通電されることにより充電可能なバッテリ4と、該バッテリ4からDC−ACインバータ5を介して供給される電流により駆動輪(前輪)6を回転駆動する電動機7(モータM)と、上記発電用内燃機関1に供給される燃料を収容する燃料タンク8とを備えたシリーズ式ハイブリッド車両である。
【0026】
また、上記車両には、家庭用電源等の外部電源を使用して上記バッテリ4の充電を行う充電器9が設けられている。そして、上記車両の近距離走行時等には、予めバッテリ4に充電された電力を使用して電動機7を駆動することにより走行し、車両の遠距離走行時等において、バッテリ4の電気容量が一定値以下に低下した時点で発電機2を駆動し、その発電電流をバッテリ4に供給して充電するように構成されている。また、上記車両の減速時等には、駆動輪6、電動機7およびDC−ACインバータ3を介して得られる回生電流がバッテリ4に供給されることにより充電が行われる。
【0027】
上記車両には、図2に示すように、車室の前方部に設置されたダッシュパネル10と、その下端部から車体の後方側に延びるように設置されたフロントフロアパネル11と、該フロントフロアパネル11の後端部から立ち上がるように設けられたキックアップ部12と、該キックアップ部12の上部から後方に延びるリヤフロアパネル13とを有している。そして、上記フロントフロアパネル11上には、運転席および助手席からなる前列の車両用シート(前列シート)14が設置され、かつその後方側のリヤフロアパネル13上には、後列の車両用シート(後列シート)15が設けられている。該車両用シート15の後方側には、リヤフロアパネル13を下方に凹入させることにより、サブトランクまたはタイヤパン等からなる収納部16が形成されている。
【0028】
図3および図4に示すように、上記キックアップ部12の後方側には、左右一対のリヤサイドフレーム17,17がリヤフロアパネル13の下面に沿って設置されている。上記両リヤサイドフレーム17,17間には、キックアップ部12の背面に接合されて車幅方向に延びる前側クロスメンバ18と、上記リヤフロアパネル13の下方側、かつ上記車両用シート15の後方側において車幅方向に延びる後側クロスメンバ19とが設置されている。また、上記前側クロスメンバ18と後側クロスメンバ19との間には、車幅方向に延びる中間クロスメンバ20がリヤフロアパネル13の下方に設置されている。
【0029】
上記中間クロスメンバ20は、リヤフロアパネル13の下面に溶接される等により固定される前後一対のフランジ部21,22と、相対向して設置された前壁部23および後壁部24と、その下端部間に配設された底壁部25とにより断面ハット型に形成されている。上記中間クロスメンバ20の前方には、車幅方向に配列された複数個のバッテリ4がバッテリケース26に収容された状態で設置されている。また、上記中間クロスメンバ20の後方には、燃料タンク8が配設されて左右一対の金属製長尺部材27,27により支持されている。
【0030】
上記バッテリケース26は、前側クロスメンバ18の下面と中間クロスメンバ20の下面との間を覆うように設置されて車幅方向に延びる底板28と、該底板28上に載置された複数個のバッテリ4を覆うカバー部材29とを有している。そして、上記バッテリ4がバッテリケース26内に収容された状態で、上記底板28の前辺部が前側クロスメンバ18の下面にボルト止めされるとともに、上記底板28の後辺部が後側クロスメンバ19の下面にボルト止めされることにより、上記前側クロスメンバ18と中間クロスメンバ20との間でリヤフロアパネル13の下方に形成された空間部内に、上記バッテリ4が車両の下方から脱着可能に設置されるようなっている。
【0031】
上記金属製長尺部材27は、上面に合成ゴム等からなる緩衝材(図示せず)が固着され金属ベルト等からなっている。そして、上記両金属製長尺部材27,27の前端部が中間クロスメンバ20の下面中央部に重ねられた状態でボルト止めされるとともに、両金属製長尺部材27,27の後端部が後側クロスメンバ19の下面左右側方部にそれぞれボルト止めされることにより、燃料タンク8を下方から支持するように構成されている。
【0032】
また、上記燃料タンク8の後部側面には、車体外面に設けられた燃料注入口31から注入された燃料を燃料タンク8に供給する燃料注入管32と、燃料タンク8内の空気を上記燃料注入口31の近傍に放出する空気放出管33との下端部が接続され、これらの燃料注入管32および空気放出管33が、後部車体の側方部に沿って略鉛直に延びるように設置されている。上記燃料タンク8の一側方部には、車室の前方に配設された発電用内燃機関1に接続された排気管34の後方部が車体の後方側に延びるように設置され、該排気管34に設けられたサイレンサー35が上記燃料タンク8の後方側に配設されている。
【0033】
上記リヤサイドフレーム17,17の前部下面には、左右の後輪36,36を支持するリヤサスペンション37の前部左右に設けられたマウント部が取り付けられている。上記リヤサスペンション37は、図5および図6に示すように、左右一対のトレーリングアーム38,38と、該両トレーリングアーム38,38を連結するように車幅方向に延びるすトーションビーム39と、上記トレーリングアーム38,38の後端部を懸架する左右一対のリヤショックアブソーバ40,40とにより構成されている。そして、上記リヤサイドフレーム17,17に対するリヤサスペンション37の取付部近傍、具体的には上記トレーリングアーム38の前端部近傍に、上記中間クロスメンバ20の左右両端部が配設されている。
【0034】
上記のようにフロントフロアパネル11の後端部から上方に延びるキックアップ部12と、該キックアップ部12の上部から後方に延びるリヤフロアパネル13と、該リヤフロアパネル13上に設置された車両用シート15と、上記キックアップ部12の後方側において車幅方向に延びるように設置された前側クロスメンバ18と、上記リヤフロアパネル13の下方側、かつ車両用シート15の後方側において車幅方向に延びるように設置された後側クロスメンバ19とを有する車両の後部構造であって、上記前側クロスメンバ18と後側クロスメンバ19との間において車幅方向に延びるように設置された中間クロスメンバ20を有し、該中間クロスメンバ20により燃料タンク8等からなる車両用補機を支持したため、車両の側突時および後突時等における車体剛性を確保しつつ、上記車両用補機を安定して支持できるという利点がある。
【0035】
すなわち、上記実施形態では、後列の車両用シート15が配設されたリヤフロアパネル13の下面に沿って前側クロスメンバ18、後側クロスメンバ19および中間クロスメンバ20からなる三本のクロスメンバを略平行に設置し、その側端部をリヤサイドフレーム17,17に連結することにより、リヤサイドフレーム17,17を効果的に補強することができるため、側突荷重および後突荷重に作用する衝撃荷重が上記車両用シート15の設置部に及ぶのを効果的に防ぐことができる。しかも、車両の走行時における後部車体の変形を効果的に抑制することができるため、走行安定性を効果的に向上できるという利点がある。
【0036】
そして、上記フロントフロアパネル11とリヤフロアパネル13との間に上記キックアップ部12を設けることにより上方に段上げされたリヤフロアパネル13上に上記後列の車両用シート15を設置することにより、その下方に形成された空間内に配設された上記中間クロスメンバ20の前方側または後方側に、バッテリ4または燃料タンク8からなる車両用補機を配設したため、該車両用補機の支持部材として上記中間クロスメンバ20を利用することができ、リヤフロアパネル13の下方空間内に所定の重量物からなる上記車両用補機を搭載できるという利点がある。
【0037】
また、上記実施形態では、発電用内燃機関1と、該発電用内燃機関1により駆動される発電機2と、該発電機2からの通電により充電可能なバッテリ4と、該バッテリ4から供給される電力により駆動輪6を駆動する電動機7とを有するシリーズ式のハイブリッド車両に本発明を適用したため、リヤフロアパネル13の下方空間を有効に利用して上記バッテリ4または燃料タンク8をそれぞれ設置できるという利点がある。すなわち、上記シリーズ式のハイブリッド車両は、バッテリ4の電力を使用する電動機7により駆動輪6を回転駆動するものであるため、通常のガソリン車両もしくはディーゼル車両に比べて上記内燃機関1およびその燃料タンク8等を小型化することができる。さらに、車両の遠距離走行時等にバッテリ4の電気容量が一定値以下に低下した場合には、発電用内燃機関1により発電機2を駆動してその発電電流をバッテリ4に供給して充電することができるため、通常の電気自動車に比べて上記バッテリ4を小容量化することが可能である。
【0038】
そして、上記のように容量を所定値に設定可能なバッテリ4および燃料タンク8を中間クロスメンバ20の前後に配設するように構成したため、リヤフロアパネル13の下方に形成された限られたスペースを有効に利用し、上記バッテリ4および燃料タンク8の両方をそれぞれ安定して支持することができる。しかも、上記実施形態のように、中間クロスメンバ20の前方にバッテリ4を配設するとともに、中間クロスメンバ20の後方に燃料タンク8を配設するように構成した場合には、車体の後端部近傍に設置されることが多い上記燃料注入口31と燃料タンク8とが大きく離間した状態となるのを防止することができる。したがって、上記燃料注入管32および空気放出管33の全長を短くしてその構造を簡略化できるという利点がある。
【0039】
また、上記中間クロスメンバ20と、前側クロスメンバ18あるいは後側クロスメンバ19とを連結するように設置された金属製長尺部材27,27により、燃料タンク8を支持した構成によれば、該燃料タンク8をプラスチック材で形成することにより軽量化した場合においても、これをリヤフロアパネル13の下方空間内に安定して支持させることができる。
【0040】
さらに、上記実施形態では、バッテリ4をバッテリケース26に収容した状態で車両の下方から脱着可能に設置したため、複数個のバッテリ4を車体に搭載する作業、あるいは該バッテリ4を車体から取り外す作業等を容易に行うことができるとともに、複数個のバッテリ4を安定して車体に支持できるという利点がある。
【0041】
また、上記実施形態に示すように、後輪36を支持するリヤサスペンション37の取付部近傍、具体的には上記リヤサイドフレーム17に取り付けられたリヤサスペンション37の前端部近傍に、上記中間クロスメンバ20を配設した構造によれば、上記リヤサスペンション37の車幅方向における支持剛性を上記中間クロスメンバ20により効果的に向上させることができ、車両の走行時に上記リヤサスペンション37から車体に入力された振動荷重等を安定して支持できるという利点がある。
【0042】
なお、上記バッテリ4と燃料タンク8とを中間クロスメンバ20の前後に分けて配設するように構成した上記実施形態に代え、図7に示すように、バッテリ4を前後一対のバッテリケース26,26内にそれぞれ収容した状態で、上記中間クロスメンバ20の前後に設置するように構成してもよい。この場合には、内燃機関用の燃料タンク8が不要である代わりに大容量のバッテリ4を必要とする電気自動車等において、該バッテリ4をリヤフロアパネル13の下方空間に効果的に搭載できるという利点がある。
【0043】
また、上記リヤフロアパネル13の下面に固定された前後一対のフランジ部21,22と、相対向して設置された前壁部23および後壁部24と、その下端部間に配設された底壁部25とからなる断面ハット型の中間クロスメンバ20を設けてなる上記実施形態に代え、図8および図9に示すように、丸パイプ材41または角パイプ材等からなる中間クロスメンバを、リヤフロアパネル13の下方側に設置された前側クロスメンバ18と後側クロスメンバ19との間において車幅方向に延びるように設置し、その側端部に設けられた取付プレート42を上記リヤサイドフレーム17の側面に固定した構造といてもよい。この場合には、上記丸パイプ材41等からなる中間クロスメンバの上方にハーネス43等の設置用スペースを確保できるという利点がある。
【符号の説明】
【0044】
1 発電用内燃機関
2 発電機
4 バッテリ
6 駆動輪
7 電動機
8 燃料タンク
11 フロントフロアパネル
12 キックアップ部
13 リヤフロアパネル
15 車両用シート
18 前側クロスメンバ
19 後側クロスメンバ
20 中間クロスメンバ
26 バッテリケース
27 金属製長尺部材
37 リヤサスペンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフロアパネルの後端部から上方に延びるキックアップ部と、該キックアップ部の上部から後方に延びるリヤフロアパネルと、該リヤフロアパネル上に設置された車両用シートと、上記キックアップ部の後方側において車幅方向に延びるように設置された前側クロスメンバと、上記リヤフロアパネルの下方側、かつ車両用シートの後方側において車幅方向に延びるように設置された後側クロスメンバとを有する車両の後部構造であって、上記前側クロスメンバと後側クロスメンバとの間において車幅方向に延びるように設置された中間クロスメンバを有し、該中間クロスメンバにより車両用補機を支持したことを特徴とする車両の後部構造。
【請求項2】
上記中間クロスメンバの前方または後方に、内燃機関に供給される燃料を収容する燃料タンクを配設したことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部構造。
【請求項3】
発電用内燃機関と、該発電用内燃機関により駆動される発電機と、該発電機からの通電により充電可能なバッテリと、該バッテリから供給される電流により駆動輪を駆動するハイブリッド車両用の電動機とを有し、上記発電用内燃機関に供給される燃料を収容する燃料タンクおよび上記バッテリとを、中間クロスメンバの前後に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部構造。
【請求項4】
上記中間クロスメンバの前方にバッテリを配設するとともに、上記中間クロスメンバの後方に燃料タンクを配設したことを特徴とする請求項3に記載の車両の後部構造。
【請求項5】
上記中間クロスメンバと、前側クロスメンバあるいは後側クロスメンバとを連結する用に設置された金属製長尺部材により、上記燃料タンクを支持するように構成したことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の車両の後部構造。
【請求項6】
上記バッテリは、バッテリケースに収容された状態で車両の下方から脱着可能に設置されたことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の車両の後部構造。
【請求項7】
後輪を支持するリヤサスペンションの取付部近傍に上記中間クロスメンバを配設したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の後部構造。
【請求項8】
上記中間クロスメンバの前後にバッテリをそれぞれ配設したことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−111124(P2011−111124A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271980(P2009−271980)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】