説明

車両の荷重伝達体

【課題】構成部材の肉厚増加を抑制しつつ、シートからの入力荷重を効率良く車体フロアに伝達することのできる車両の荷重伝達体を提供する。
【解決手段】車体前後方向に延出するコンソールボックス30の一対の側壁プレート31を閉断面構造の前部補強壁35によって連結する。前部補強壁35よりも車両後方側において、一対の側壁プレート31を閉断面構造の後部補強壁36によって連結する。側壁プレート31に、前後方向に延出する補強ビード37aを有する側部補強部材37を接合する。側部補強部材37によって前部補強壁35と後部補強壁36を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗員の着座するシートに車体側方から入力された衝撃荷重を車体フロアに伝達する車両の荷重伝達体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両側部に入力された衝撃荷重を、シートを介して車幅方向中央のフロアトンネルに伝達する車両構造が知られている。
【0003】
また、シートからフロアトンネルに側方荷重を伝達する荷重伝達体としては、シートの車幅方向内側に隣接して配置されるコンソールボックスを利用したものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1に記載の荷重伝達体は、コンソールボックスの内部に箱状の補強部材が取り付けられ、特許文献2の記載の荷重伝達体は、コンソールボックスの内側下方に車幅方向に延出する補強部材が取り付けられている。また、特許文献3に記載の荷重伝達体は、コンソールボックスの左右の側壁が車幅方向に延出するロッド状の補強部材によって連結されている。
また、特許文献4には、コンソールボックスを支持するフロアトンネルの内側部分に補強部材が取り付けられた構造が記載されている。
【特許文献1】特開昭62−210151号公報
【特許文献2】特開2005−335523号公報
【特許文献3】米国特許第5897155号明細書
【特許文献4】特開2001−105947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンソールボックスの内側に箱状の補強部材を設置した荷重伝達体(特許文献1に記載のものに相当。)においては、充分な剛性を確保するためには補強部材の肉厚を厚くせざるを得ず、製品コストや重量の増加を来たす原因となり易い。
【0006】
また、コンソールボックスの内側下方に車幅方向に延出する補強部材を取り付けた荷重構造体(特許文献2に記載のものに相当。)は、シートからの荷重入力部が高い位置に設定される車両においては充分な効果を発揮することがむずかしい。
【0007】
さらに、コンソールボックスの左右の側壁を車幅方向に延出するロッド状の補強部材によって連結した荷重構造体(特許文献3に記載のものに相当。)は、シートの前後方向の調整位置によっては、シートからの荷重入力位置と補強部材の設置位置がずれ、シートからの入力荷重を充分に受け止めることがむずかしくなる。
【0008】
そこで、この発明は、構成部材の肉厚増加を抑制しつつ、シートからの入力荷重を効率良く車体フロアに伝達することのできる車両の荷重伝達体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、乗員の着座するシートの車幅方向内側に隣接して配置され、前記シートに車体側方から入力された衝撃荷重を車体フロア(例えば、後述の実施形態における車体フロア9)に伝達する車両の荷重伝達体において、前記車体フロアに固定され、車両前後方向に延出する左右一対の側壁(例えば、後述の実施形態における側壁プレート31)と、車幅方向に延出して該一対の側壁を相互に連結する閉断面構造の前部補強壁(例えば、後述の実施形態における前部補強壁35)と、該前部補強壁よりも車両後方側に配置され、車幅方向に延出して前記一対の側壁を相互に連結する閉断面構造の後部補強壁(例えば、後述の実施形態における後部補強壁36)と、前記各側壁に配置され車両前後方向に延出して前記前部補強壁と後部補強壁を連結する側部補強部材(例えば、後述の実施形態における側部補強部材37)と、を設けたことを特徴とする。
【0010】
これにより、シートから一方の側壁に衝撃荷重が入力されると、その荷重は、側壁に配置されて車体前後方向に延出する側部補強部材を介して閉断面構造の前部補強壁と後部補強壁に伝達され、荷重伝達体全体で受け止められるようになる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、シートから側壁に入力された衝撃荷重を、側壁を補強する側部補強部材を介して前部補強壁と後部補強壁に伝達することができるため、構成部材の肉厚増加を招くことなく、シートからの入力荷重を効率良く車体フロアに伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車両の室内を前席側の車両用シート1の後方側から見た斜視図であり、図2は、車両用シート1の背面図である。なお、図面において、車両用シート1は骨格部材のみが示されている。
【0013】
車両用シート1は、乗員の臀部を支持するシートクッション2と、このシートクッション2の後端部に連結されて、乗員の腰部および胸部(背部)を支持するシートバック3と、このシートバック3の上部に支持されて、乗員の頭部および首部を支持するヘッドレスト4とを備えている。
【0014】
シートクッション2は、後端部に車幅方向に沿って延出する後部クロスメンバ6が取り付けられたクッションフレーム7を備え、そのクッションフレーム7がシートレール8,8を介して車体フロア9に前後方向にスライド可能に取り付けられている。なお、図中、10は、車体の下端側部に設けられたサイドシルであり、11は、車体側部のほぼ中央に立設されたセンターピラー、12は、車体フロア9上の車幅方向中央領域に上方に膨出して形成されたフロアトンネルである。フロアトンネル12上の前席の左右の車両用シート1,1の間には、上面側に収納部30aを有するコンソールボックス30が固定設置されている。この実施形態においては、このコンソールボックス30がこの発明に係る荷重伝達体を構成している。
【0015】
シートバック3は、上部フレーム13aと左右の側部フレーム13c,13dと下部連結プレート13bとから成る略矩形枠形状のシートバックフレーム13を備え、そのシートバックフレーム13の下端がクッションフレーム7の後端部に傾動可能にヒンジ結合されている。シートバックフレーム13の上部フレーム13aの幅方向中央位置には、ヘッドレスト4の支持フレームが昇降可能に取り付けられている。なお、この実施形態の場合、ヘッドレスト4は後面衝突時に乗員の鞭打ちを防止するためのアクティブヘッドレストが採用されている。
【0016】
シートバックフレーム13の背面側には正面視が略矩形状のプレート材14が取り付けられている。プレート材14は、稜線部aが車幅方向に延出する複数の凹凸部15を備え、この凹凸部15によって形成される波形断面が車体上下方向に連続している。プレート材14は、その上縁部に車体幅方向に延出するクロスメンバ16が固定され、このクロスメンバ16を介して両側の側部フレーム13c,13dに支持されるようになっている。クロスメンバ16は、シートに着座した乗員のほぼ胸部高さに設置されている。
【0017】
側部フレーム13c,13dの後面(車体後方側に向く面)には、凹凸部が車体上下方向に連続して形成されたブラケット18が溶接固定されており、このブラケット18の凹凸部の各頂部にプレート材14の側縁部が溶接固定されている。また、プレート材14の下縁部は下部連結プレート13bに溶接固定されている。
【0018】
クロスメンバ16は、側部フレーム13cよりも車幅方向外側に突出しており、その突出部分には、車体側部からの衝撃荷重をシートバック3に伝達するための荷重伝達ブロック21が取り付けられている。この荷重伝達ブロック21は、車幅方向に延出する複数の筒状断面が並列に配列されたハニカム構造とされ、全体が樹脂によって上下方向に長い直方体状に形成されている。荷重伝達ブロック21はクロスメンバ21と側部フレーム13cに支持固定されている。
【0019】
また、左右の側部フレーム13c,13dの下縁部の間は、シートクッション2とシートバック3を回動可能に連結するヒンジ軸を囲む図示しない下部クロスメンバによって連結されている。そして、下部クロスメンバの延長上に位置される側部フレーム13cの車幅方向外側の側面と、側部フレーム13dの車幅方向内側の側面には荷重伝達ブロック25,26がそれぞれ取り付けられている。この各荷重伝達ブロック25,26は、上部側の荷重伝達ブロック21と同様に、車幅方向に延出する複数の筒状断面が並列に配列されたハニカム構造とされている。また、側部フレーム13d側の荷重伝達ブロック26は、車幅方向中央のコンソールボックス30の側面に対向している。外側の荷重伝達ブロック25は、車体の下部側側面から衝撃荷重を直接受け止め、その荷重を、下部クロスメンバを通して側部フレーム13d側に伝達する。また、内側の荷重伝達ブロック26は、クッションフレーム7が車体側部から衝撃荷重を受けて車幅方向内側に移動したときにコンソールボックス30に当接し、その荷重を、コンソールボックス30を介してフロアトンネル12へと伝達する。
【0020】
図3〜図5は、フロアトンネル12上に設置されたコンソールボックス30の斜視図と断面図である。
コンソールボックス30は、フロアトンネル12の側壁に沿うように車体前後方向に延出する一対の側壁プレート31,31(側壁)が車幅方向に沿う複数の部材と結合され、これらの部材との間で複数の空間を形成している。この一対の側壁プレート31,31はフロアトンネル12の側壁に固定されている。
【0021】
側壁プレート31は、車両前部側が低位、車両後部側が高位となるように側面視が略L字状に形成されている。両側の側壁プレート31,31の低位部同士は前壁と上壁を成す断面略L字状の前部プレート32によって連結され、高位部の下半分同士は断面略コ字状の下部プレート33によって連結されている。下部プレート33は、側壁プレート31,31の高位部に対応する領域を上下に二分するとともに、コンソールボックス30の下部領域に前部プレート32とともに箱状の一対の支持ボックス部34a,34bを形成している。
【0022】
また、両側の側壁プレート31,31の高位部の上半部同士は、車体前後方向に離間して配置された前部補強壁35と後部補強壁36によって連結されている。前部補強壁35と後部補強壁36は、いずれも下方が開口した断面略コ字状に形成され、それぞれ下部プレート33の上壁に接合されて車幅方向に延出する閉断面を形成するようになっている。前部補強壁35と後部補強壁36は、下部プレート33の上壁とともに両側の側壁プレート31,31の間に上方が開口した空間部を形成し、この空間部が物品を内部に収容するためのコンソールボックス30の収納部30aを構成している。また、両側の側壁プレート31,31の収納部30a内に臨む面には、車体前後方向に延出する補強ビード37a,37bを有する側部補強部材37が接合されている。この各側部補強部材37の前端部と後端部はそれぞれ前部補強壁35と後部補強壁36に結合されている。
【0023】
コンソールボックス30の収納部30aの下方の支持ボックス34b内には、車幅方向に延出して側壁プレート31,31を相互に連結する断面略コ字状のボックスクロスメンバ38a,38bが設けられている。ボックスクロスメンバ38a,38bは車両前後方向に離間して配置され、各上壁が収納部30aに臨む下部プレート33の上壁に接合されている。また、前部側の支持ボックス34a内には、同様に車幅方向に延出して側壁プレート31,31を相互に連結する断面略コ字状のボックスクロスメンバ38cが設けられている。ボックスクロスメンバ38a,38bは下部プレート33の上壁下面とフロアトンネル12の上面に固定され、ボックスクロスメンバ38cは前部プレート32の上壁下面とフロアトンネル12の上面に固定されている。
【0024】
また、前部プレート32の前部下端と下部プレート33の後部下端には略L字状の接合フランジ39がそれぞれ設けられ、その各接合フランジ39がフロアトンネル12の上面に重ねられている。
【0025】
図6は、車室内のフロアトンネル12部分を上方から見た平面図である。
この図6と図4の断面図に示すように、フロアトンネル12内のシート1に隣接する位置には、車幅方向に延出する一対のクロスメンバ40a,40bが結合されている。各クロスメンバ40a,40bの上部には接合フランジが設けられ、各接合フランジがフロアトンネル12の上壁下面に接合されているが、前部側のクロスメンバ40aの後側の接合フランジ41の上方にはフロアトンネル12を挟んで前部プレート32の接合フランジ39が配置され、後部側のクロスメンバ40bの前側の接合フランジ42の上方にはフロアトンネル12を挟んで下部プレート33の接合フランジ39が配置されている。そして、前部プレート32の接合フランジ39は、フロアトンネル12とともに前部側のクロスメンバ40aの接合フランジ41にボルト43によって共締め固定され、同様に、下部プレート33の接合フランジ39は、フロアトンネル12とともに後部側のクロスメンバ40bの接合フランジ42にボルト43によって共締め固定されている。
【0026】
図7は、車両用シート1の内側の荷重伝達ブロック26とコンソールボックス30およびフロアトンネル12の位置関係を模式的に示したものである。
同図に示すように、荷重伝達ブロック26は、車両用シート1の下部クロスメンバ45の軸心oに対して上下に対称になるように設置されているのではなく、軸心oに対して下方側にオフセットするように配置されている。したがって、下部クロスメンバ45の軸心oに沿って衝撃荷重が伝達された場合にも、荷重伝達ブロック26からコンソールボックス30には、下部クロスメンバ45の軸心oよりも下方に下がった位置で荷重が伝達される。また、荷重伝達ブロック26は収納部30aと支持ボックス部34bの両方に対向して設けられ、車両用シート1から伝達された衝撃荷重は荷重伝達ブロック26を介してコンソールボックス30の側壁プレート31の全面に伝達される。
【0027】
図8は、荷重伝達ブロック26部分を縦断面にした車両用シート1の背面図である。
同図に示すように、車幅方向内側の荷重伝達ブロック26は、側部フレーム13dの下端のリクライニング用のスパイラルスプリング50を覆うように設置されている。荷重伝達ブロック26の内側にはスパイラルスプリング50との干渉を避けるために凹部51が形成され、この凹部51の内側にはスパイラルスプリング50の周囲と前面を覆う有底円筒状のカバー部材52が取り付けられている。このカバー部材52は、スパイラルスプリング50やその周囲の突起部分が衝撃荷重の入力時に荷重伝達ブロック26と直接接触するのを防止する。
【0028】
なお、図9に示すように、スパイラルスプリング50とシート側部材53の間には、衝突荷重の入力時にシート側からスパイラルスプリング50を通して荷重伝達ブロック26に確実に荷重を伝達し得るように、別の荷重伝達部材54を介装するようにしても良い。
【0029】
以上の構成において、車両の側部から衝撃荷重が入力されてセンターピラー11等の車体側壁がシートバック3方向に変形すると、その側壁からの荷重は上下の荷重伝達ブロック21,25の少なくともいずれか一方を介して側部フレーム13cに伝達される。
【0030】
下方の荷重伝達ブロック25に衝撃荷重が入力された場合には、シート全体の車幅方向内側方向への移動とともに、車幅方向内側下方の荷重伝達ブロック26がコンソールボックス30に当接し、このとき、シートバックフレーム13の下方の下部クロスメンバから荷重伝達ブロック26とコンソールボックス30を介してフロアトンネル12に荷重が伝達される。
【0031】
また、上方の荷重伝達ブロック21に衝撃荷重が入力された場合には、その荷重は側部フレーム13cに伝達されると同時に、クロスメンバ16を介してプレート材14にも入力される。
【0032】
クロスメンバ16に軸方向に沿って入力された衝撃荷重は、クロスメンバ16からプレート材14の上端部に入力され、プレート材14の各凹凸部15の稜線部aによって区画された複数の領域にせん断方向の応力を生じさせる。これにより、入力された衝撃荷重はプレート材14のほぼ全域において受け止められるようになる。
【0033】
こうして、側部プレート13cとプレート材14のほぼ全域に衝突荷重が分散して伝達されると、シート全体の車幅方向内側方向への移動とともに、荷重伝達ブロック26がコンソールボックス30に当接し、コンソールボックス30を介して荷重がフロアトンネル12へと伝達される。
【0034】
ところで、衝撃荷重の入力時に、荷重伝達ブロック26からコンソールボックス30に荷重が伝達される際には、荷重伝達ブロック26の端面が最初にコンソールボックス30の側部プレート31に当接し、このとき、荷重は、曲げ方向の剛性の高い側部補強部材37を介して前部補強壁35と後部補強壁36へと伝達される。そして、前部補強壁35と後部補強壁36に伝達された荷重は、ボックスクロスメンバ38a,38b,38cによって補強された前後の支持ボックス部34a,34bを介してフロアトンネル12との結合部へと伝達される。
【0035】
そして、コンソールボックス30とフロアトンネル12との接合部のうちでも、コンソールボックス30の前端部と後端部は、接合フランジ39を介してフロアトンネル12内のクロスメンバ40a,40bにも直接共締め固定されているため、伝達荷重がフロアトンネル12内の剛性の高い部位によって効率良く受け止められる。
【0036】
以上のように、この実施形態の車両に用いられるコンソールボックス30は、シート1の荷重伝達ブロック26から入力された衝撃荷重を、側壁プレート31の曲げ剛性を高めるように補強する側部補強部材37を介して、閉断面構造の前部補強壁35と後部補強壁36とに伝達することができるため、収納部30a回りの部材の肉厚増加を招くことなく、入力荷重を効率良くフロアトンネル12に伝達することができる。
【0037】
したがって、このコンソール30によれば、車両の重量増加や収納部30aのスペースの減少を招くことなく、車幅方向中央側のフロアトンネル12への衝撃荷重の速やかな伝達を実現することができる。
【0038】
特に、この実施形態の場合、コンソールボックス30の前部補強壁35と後部補強壁36の下方側には、複数のボックスクロスメンバ38a,38b,38cで補強された支持ボックス部34a,34bが設けられており、荷重伝達ブロック26が収納部30aと支持ボックス部34b(または34a)に対向して設けられているため、入力荷重をより効率良くフロアトンネル12に伝達することができる。
【0039】
そして、このコンソールボックス30は、上述のように側壁プレート31が、車体前後方向に延出して前部補強壁35と後部補強壁36に結合される側部補強部材37によって補強されているため、車体前後方向の全域において曲げ剛性が高く維持されている。このため、シート1の前後スライド位置が変更されても、側壁プレート31から前部補強部材35と後部補強部材36に常に効率良く荷重を伝達することができる。
【0040】
また、この実施形態の場合、シート1側の荷重伝達ブロック26の中心が下部クロスメンバ45の軸心oから下方にオフセットするように設定されているため、衝撃荷重の入力時におけるコンソールボックス30側の荷重入力位置を図7に示すように低くすることができる。したがって、コンソールボックス30を介してフロアトンネル12回りに作用するモーメントが小さくなることから、入力荷重をフロアトンネル12によって有利に受け止めることができる。
【0041】
さらに、この実施形態においては、コンソールボックス30の前端部と後端部がフロアトンネル12とともにクロスメンバ40a,40bに共締め固定されているため、コンソールボックス30に入力された荷重をフロアトンネル12とクロスメンバ40a,40bで高い剛性をもって受け止めることができる。
【0042】
また、この実施形態では、図8に示すように、スパイラルスプリング50を覆う荷重伝達ブロック26の内側の凹部51内にカバー部材52が配置されているため、シート1から荷重伝達ブロック26への衝突荷重の伝達時に、スパイラルスプリング50や周囲の突起部分が荷重伝達ブロック26と干渉して荷重伝達ブロック26を損傷させるのを防止することができる。
【0043】
さらに、図9に示すように、スパイラルスプリング50の背部とシート側部材53の間に荷重伝達部材54を介装するようにした場合には、シートに入力された衝撃荷重をスパイラルスプリング50を介して荷重伝達ブロック26に速やかに伝達することができる。
【0044】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の一実施形態を示すものであり、車両の室内を前席側の車両用シートの後方側から見た斜視図。
【図2】同実施形態の車両用シートの背面図。
【図3】同実施形態の車室内のコンソールボックス部分の斜視図。
【図4】同実施形態の図3のA−A断面に対応する断面図。
【図5】同実施形態の図3のB−B断面に対応する断面図。
【図6】同実施形態の車両の室内の上面図。
【図7】同実施形態の図3のB−B断面に対応する断面を模式的に示した図。
【図8】同実施形態の車両用シートの部分断面背面図。
【図9】同実施形態の変形例を示す車両用シートの部分断面背面図。
【符号の説明】
【0046】
9…車体フロア
30…コンソールボックス(荷重伝達体)
31…側壁プレート(側壁)
35…前部補強壁
36…後部補強壁
37…側部補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の着座するシートの車幅方向内側に隣接して配置され、前記シートに車体側方から入力された衝撃荷重を車体フロアに伝達する車両の荷重伝達体において、
前記車体フロアに固定され、車両前後方向に延出する左右一対の側壁と、
車幅方向に延出して該一対の側壁を相互に連結する閉断面構造の前部補強壁と、
該前部補強壁よりも車両後方側に配置され、車幅方向に延出して前記一対の側壁を相互に連結する閉断面構造の後部補強壁と、
前記各側壁に配置され車両前後方向に延出して前記前部補強壁と後部補強壁を連結する側部補強部材と、を設けたことを特徴とする車両の荷重伝達体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−18191(P2010−18191A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181438(P2008−181438)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】