説明

車両の車体前部構造

【課題】衝突時のパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させ前輪を強制的に転舵させ、前輪がサイドシル前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保し、特に、直接前輪を転舵操作する部材を衝突時に押圧することで、前輪変向の効率がよく、左右の両前輪を同時に変向させ得る車両の車体前部構造を提供する。
【解決手段】サブフレーム16にステアリングラック機構21を取付け、パワートレインユニット29からステアリングラック機構21の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニット29の後退によりステアリングラック機構21を車体後方に押圧する押圧部材62,63を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームに取付けられフロントサスペンションを支持するサブフレームを備えたような車両の車体前部構造に関し、特に、車両の前面衝突時にタイヤとサイドシルとの干渉を回避して車体前部のクラッシュスペースを確保するような車両の車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、前輪が直進方向に操舵された状態下において、車両が前面衝突すると、前輪がその後方に位置する車体としてのサイドシルの前端と衝突し、この前輪が衝突物とサイドシル前端との間で挟まれるので、充分なクラッシュが阻害され、車体前部のクラッシュスペースが低下するので、減速度(いわゆるG)が高くなり、乗員へのダメージが大きくなる。
このような問題点を解決するために、特許文献1に開示された車両の車体前部構造が既に発明されている。
【0003】
すなわち、図11に底面図で示すように、フロントサスペンションを支持するサブフレーム91を設け、このサブフレーム91に、車両前後方向に延びてその前端部がフロントサイドフレーム92,92の先端側に取付けられた延出部91aと、この延出部91aの後端を折曲げて車体後方斜め側方に延びると共に、後端部が車体側に取付けられた傾斜部91bとを備え、上記延出部91aにフロントサスペンションの一部を構成するロアアーム93を取付けたものである。なお、図11において、矢印Fは車両前方を示す。
【0004】
この従来構造によれば、車両の前面衝突時に、フロントサイドフレーム92の車体後方への変形に伴って、サブフレーム91の延出部91aおよび傾斜部91bが、図11に仮想線で示すように、車体内方へ回動変位し、これにより、延出部91aに取付けたロアアーム93も同方向へ移動するので、前輪94の後方が内向きになるように変向して、前輪94が剛性の高いサイドシル95の前端に衝突するのを防止して、車体前部のクラッシュスペース低下を防止することができる利点がある。
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来構造においては、衝突時に、サブフレーム91の変形により、ロアアーム93を介して間接的に前輪94の後方を内向きに変向させるものであるから、前輪94の変向に関する効率が悪い問題点があった。
【特許文献1】特開2004−114813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、フロントサスペンションを支持するサブフレームにステアリングラック機構を取付け、パワートレインユニットから上記ステアリングラック機構の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニットの後退により上記ステアリングラック機構を車体後方に押圧する押圧部材を設けることで、車両の前面衝突時のパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させて前輪を強制的に転舵させ、前輪がサイドシル前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができ、特に、直接前輪を転舵操作する部材(ステアリングラック機構)を衝突時に押圧部材にて押圧することで、前輪変向の効率がよく、また、左右の両前輪を同時に変向させることができる車両の車体前部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両の車体前部構造は、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームに取付けられフロントサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の車体前部構造であって、上記サブフレームにステアリングラック機構が取付けられ、パワートレインユニットから上記ステアリングラック機構の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニットの後退により上記ステアリングラック機構を車体後方に押圧する押圧部材を設けたものである。
上記構成によれば、パワートレインユニットからステアリングラック機構の前部位置まで延びる押圧部材を設けたので、車両の前面衝突時にパワートレインユニットが後退した際、このパワートレインユニットと共に上記押圧部材が後方へ移動する。
【0008】
押圧部材が後方に移動すると、ステアリングラック機構を後退させるので、タイロッドを介して前輪を強制的に転舵させ、これにより、該前輪がサイドシルの前端に衝突するのを回避できるので、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
特に、前輪を直接転舵する部材としてのステアリングラック機構を、車両衝突時に上記押圧部材にて押圧するので、前輪変向の効率がよく、また、左右の両前輪を同時に変向させることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記ステアリングラック機構に連結されるタイロッドの外端ピボット点を前輪の転舵中心よりも後方に設定したものである。
上記構成によれば、タイロッドの外端ピボット点を転舵中心より後方に設定したので、前輪をその後方が内向きになるように転舵させて、前輪とサイドシル前端との衝突を回避することができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記ステアリングラック機構に連結されるタイロッドの外端ピボット点を前輪の転舵中心よりも前方に設定したものである。
上記構成によれば、タイロッドの外端ピボット点を転舵中心より前方に設定したので、前輪をその後方が外向きになるように転舵させて、前輪とサイドシル前端との衝突を回避することができ、特に、前輪の後方車外側には車体部材が存在しないので、前輪の後方を内向きに転舵させる構造と比較して、前輪とサイドシル前端との衝突、干渉をより一層確実に回避することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記左右のフロントサイドフレーム間に、上記パワートレインユニットを構成するエンジンと変速機とが横置きに配設され、上記パワートレインユニットの後方に間隔を隔てて上記ステアリングラック機構が設けられ、上記パワートレインユニットの車幅方向左右2箇所に上記押圧部材が設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)横置きタイプの車両において、衝突時のパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させて、前輪を転舵し、該前輪がサイドシル前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
また、押圧部材をパワートレインユニットの車幅方向左右2箇所に設けられたので、必要最小限の押圧部材でステアリングラック機構を車体後方に押圧することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記押圧部材の一方が変速機のデフケースから後方に延設されたものである。
上記構成によれば、後方に突出しているデフケースを有効利用して、押圧部材の小型化を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記押圧部材の他方は前輪駆動用のドライブシャフトを支持するブラケットから後方に延設されたものである。
上記構成によれば、ドライブシャフトを支持するブラケットで押圧部材を兼ねることができ、部品点数の増加を招くことなく、押圧部材を構成することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記左右のフロントサイドフレーム間に上記パワートレインユニットを構成するエンジンと変速機とが縦置きに配設され、上記エンジンの下方に上記ステアリングラック機構が設けられ、上記エンジン下方のステアリングラック機構の前方位置で車幅方向左右2箇所に上記押圧部材が設けられたものである。
【0016】
上記構成によれば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)縦置きタイプの車両において、衝突時のパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させて、前輪を転舵し、該前輪がサイドシル前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
また、押圧部材を車幅方向左右2箇所に設けたので、必要最小限の押圧部材でステアリングラック機構を車体後方に押圧することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記エンジンのオイルパンがその後方位置で下方に膨出する膨出部を有しており、該膨出部の前方に上記ステアリングラック機構および押圧部材が設けられたものである。
上記構成によれば、エンジンのオイルパンの膨出部前方のスペースを有効利用して、上述のステアリングラック機構および押圧部材を配設することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、フロントサスペンションを支持するサブフレームにステアリングラック機構を取付け、パワートレインユニットから上記ステアリングラック機構の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニットの後退により上記ステアリングラック機構を車体後方に押圧する押圧部材を設けたので、車両の前面衝突時のパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させて前輪を強制的に転舵させ、前輪がサイドシル前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができ、特に、直接前輪を転舵操作する部材(ステアリングラック機構)を衝突時に押圧部材にて押圧するので、前輪変向の効率がよく、また、左右の両前輪を同時に変向させることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
衝突時にパワートレインユニットの後退によりステアリングラック機構を後退させ、前輪を転舵して、該前輪がサイドシル前端に衝突することを回避し、車体前部のクラッシュスペースを確保するという目的を、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレームに取付けられフロントサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の車体前部構造において、上記サブフレームにステアリングラック機構が取付けられ、パワートレインユニットから上記ステアリングラック機構の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインの後退により上記ステアリングラック機構を車体後方に押圧する押圧部材を設けるという構成にて実現した。
【実施例1】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の車体前部構造を示し、図1、図2において、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設け、このダッシュロアパネル3の下部には、車体床面を構成し後方に向けて略水平に延びるフロアパネル4を一体または一体的に連設形成している。
【0021】
上述のフロアパネル4の車幅方向中央部には、車室2内に突出して車両の前後方向に延びるトンネル部(いわゆるフロアトンネル)5を形成している。このトンネル部5は車体剛性の中心となるものである。
【0022】
上述のダッシュロアパネル3の上部には、ダッシュアッパパネル6、カウルパネル7、カウルフロントパネル8、カウルフロントレインフォースメント9から成り、車幅方向に延びるオープンカウル構造のカウル部10を設けている。
【0023】
一方、図2に底面図で示すように、フロアパネル4の左右両サイドには、サイドシルインナ11と、サイドシルアウタ12とから成り車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた左右のサイドシル13を連結固定している。
このサイドシル13は車両の前後方向に延びる車体剛性部材であり、必要に応じてサイドシルインナ11とサイドシルアウタ12との間にはサイドシルレインフォースメントが接合される。
【0024】
また、フロアパネル4の下部において、中央のトンネル部5と、左右両サイドのサイドシル13との間には、車両の前後方向に延びるフロアフレーム14を接合固定し、フロアパネル4の下面と、車体剛性部材としてのフロアフレーム14との間には車両の前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0025】
さらに、車体前部において上述のエンジンルーム1の左右に設けられて車両の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム15,15を設け、このフロントサイドフレーム15の後部には、ダッシュロアパネル3の前面に沿うキックアップ部15aを一体的に形成し、このキックアップ部15aの下部後側を上述のフロアフレーム14に連結して、フロントサイドフレーム15とフロアフレーム14とが車両の前後方向に連続するように構成している。
【0026】
一方、上述のフロントサイドフレーム15に取付けられ後述するフロントサスペンション17を支持するサブフレーム16(サスペンションクロスメンバと同意)を設けている。
このサブフレーム16はエンジンルーム1の下方に位置すると共に、該サブフレーム16は、車幅方向に延びるサブフレームフロント16Fと、車両の前後方向に延びる左右のサブフレームサイド16S,16Sと、車幅方向に延びるサブフレームリヤ16Rとを備え、サブフレームサイド16Sには、フロントサスペンション17の一部を構成するロアアーム18の車体側支持部を揺動可能に支持している。
【0027】
ここで、上述のサブフレームフロント16Fと、左右のサブフレームサイド16S,16Sとは平面視でコの字状になるように一体形成されている。また、上述のフロントサスペンション17はロアアーム18と、アッパアーム19と、図示しないストラットダンパ等を備えている。
【0028】
上述のサブフレーム16におけるサブフレームフロント16Fの上部には、衝突時にその衝撃力で取付けが外れる複数の取付け部材20を介して車幅方向に延びるステアリングラック機構21を取付けている。
このステアリングラック機構21の車幅方向車外側には左右一対のタイロッド22,23を連結し、これら左右一対のタイロッド22,22の先端を、ステアリングナックル23に一体形成されたナックルアーム24に取付けている。
【0029】
上述のステアリングラック機構21およびタイロッド22は、ナックルアーム24およびステアリングナックル23を介して前輪25(いわゆるタイヤ)を転舵(操舵)するものであって、この実施例では、タイロッド22の外端ピボット点26は前輪25の転舵中心よりも前方に設定されている。
【0030】
ところで、エンジンルーム1内において、左右のフロントサイドフレーム15,15間には、エンジン27(この実施例ではレシプロエンジン)とトランスミッション28とから成るパワートレインユニット29が縦置きに配設されている。トランスミッション28はトンネル部5の車外側つまり下方部に配設される一方、トランスミッション出力軸30にはユニバーサルジョイント31を介してプロペラシャフト32を連結し、プロペラシャフト32の後部にはリヤディファレンシャル装置およびリヤアクスルシャフト(後車軸)を介して後輪(図示せず)を連結し、フロントエンジン・リヤドライブ・タイプ(FRタイプ)の車両と成している。
【0031】
図1、図2から明らかなように、上述のステアリングラック機構21はパワートレインユニット29を構成するエンジン27の下方に設けられたものである。
また、上述のエンジン27は、シリンダブロック33と、シリンダヘッド34と、シリンダヘッドカバー35とを有し、シリンダブロック33の下部にはオイルパン36を取付けている。
【0032】
図1に示すように、上述のオイルパン36は前部が浅く、後部が深くなるように形成されている。すなわち、該オイルパン36はその後方位置で下方に膨出する膨出部36aを有するものである。
【0033】
上述のステアリングラック機構21は、オイルパン36の膨出部36aの前方で、かつ該膨出部36aの底面よりも上方に、その余剰スペースを有効利用して設けられたものである。
しかも、図1、図2に示すように、該ステアリングラック機構21の前方位置には、車両の前面衝突時に上述のステアリングラック機構21を車体後方に押圧する押圧部材37(いわゆるステアリングラックプッシャー)を設けている。この押圧部材37および上述のステアリングラック機構21は、オイルパン36の膨出部36aの前方に設けられたものである。
【0034】
図2に示すように、上述の押圧部材37は車幅方向に所定の間隔を隔てて左右2箇所に設けられると共に、これら左右2箇所の押圧部材37,37を一体的に支持する支持部材38を設けて、該支持部材38を剛性が高いエンジン27のシリンダブロック33の下部に直接取付けている。
すなわち、上述の押圧部材37はパワートレインユニット29を構成するエンジン27のシリンダブロック33から上述のステアリングラック機構21の前部位置まで延設されたものである。
【0035】
この実施例では、図3に示すように、上述の各押圧部材37,37は取付け座39を介して支持部材38に取付け固定される一方、支持部材38を閉断面構造体で形成し、この支持部材38には上下方向に対向する取付け孔40…を複数形成し、ボルト41を用いて、この支持部材38をシリンダブロック33の下部に直接取付けるように構成している。
【0036】
また、押圧部材37の後端部には、ステアリングラック機構21に対応した側面視で略半円形状の凹部37aが形成されていて、この凹部37aがステアリングラック機構21に当接または対向係止されている。ここで上述の凹部37aをステアリングラック機構21と離間させる場合には、両者37a,21間に異音発生防止部材を設けなくてもよいが、凹部37aをステアリングラック機構21と当接させる場合には、両者37a,21間に適宜の異音発生防止部材を設けるとよい。
なお、図2において、42はアウトリガーであり、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0037】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
車両が前面衝突した時、パワートレインユニット29のエンジン27が後退し、このエンジン27のシリンダブロック33に直接取付けた支持部材38を介して、左右2箇所の押圧部材37,37がエンジン27下方のステアリングラック機構21車体後方に押圧する。
【0038】
ステアリングラック機構21をサブフレーム16のサブフレームフロント16Fに取付けていた取付け部材20のボルトはその衝撃力により破断され、その取付けが外れるので、前輪25を操舵する手段としてのステアリングラック機構21がサブフレーム16から外れて後退移動する。
このステアリングラック機構21の後退と同時に、該ステアリングラック機構21に連結した左右のタイロッド22,22も後退するので、前輪25はその前方が内向きに、後方が外向きになるように強制的に転舵されて、図2に仮想線βで示すように変向し、これにより、前輪25と車体としてのサイドシル13前端との衝突、干渉(衝突物とサイドシル13との間へのタイヤの挟み込み)が回避され、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
【0039】
特に、図2に仮想線βで示すように、左右の前輪25,25は後方が外方に広がる平面視ハの字状に変向されるので、後方が内向きに変向する構造のものと比較して、前輪25の後部の変向を制約する車体部材が存在しないので、前輪25の適切な変向が確保でき、車体前部のクラッシュスペースを良好に確保することができる。
【0040】
このように図1〜図3で示した実施例の車両の車体前部構造(請求項1、3、7、8に相当)は、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレーム15と、該フロントサイドフレーム15に取付けられフロントサスペンション17を支持するサブフレーム16とを備えた車両の車体前部構造であって、上記サブフレーム16にステアリングラック機構21が取付けられ、パワートレインユニット29から上記ステアリングラック機構21の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニット29の後退により上記ステアリングラック機構21を車体後方に押圧する押圧部材37を設けたものである(図2参照)。
【0041】
この構成によれば、パワートレインユニット29からステアリングラック機構21の前部位置まで延びる押圧部材37を設けたので、車両の前面衝突時にパワートレインユニット29が後退した際、このパワートレインユニット29と共に上記押圧部材37が後方へ移動する。
【0042】
押圧部材37が後方に移動すると、ステアリングラック機構21を後退させるので、タイロッド22を介して前輪25を強制的に転舵させ、該前輪25がサイドシル13の前端に衝突するのを回避できるので、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
特に、前輪25を直接転舵する部材としてのステアリングラック機構21を、車両衝突時に上記押圧部材37にて押圧するので、前輪25の変向の効率がよく、また、左右の両前輪25を同時に変向させることができる。
【0043】
また、上記ステアリングラック機構21に連結されるタイロッド22の外端ピボット26点を前輪25の転舵中心よりも前方に設定したものである(図2参照)。
この構成によれば、タイロッド22の外端ピボット点26を転舵中心より前方に設定したので、前輪25をその後方が外向きになるように転舵させて、前輪25とサイドシル13前端との衝突を回避することができ、特に、前輪25の後方車外側には車体部材が存在しないので、前輪25の後方を内向きに転舵させる構造と比較して、前輪25とサイドシル13前端との衝突、干渉をより一層確実に回避することができる。
【0044】
さらに、上記左右のフロントサイドフレーム15,15間に上記パワートレインユニット29を構成するエンジン27とトランスミッション28とが縦置きに配設され、上記エンジン27の下方に上記ステアリングラック機構21が設けられ、上記エンジン27下方のステアリングラック機構21の前方位置で車幅方向左右2箇所に上記押圧部材37が設けられたものである(図2参照)。
【0045】
この構成によれば、FR(前部機関後輪駆動)縦置きタイプの車両において、衝突時のパワートレインユニット29の後退によりステアリングラック機構21を後退させて、前輪25を転舵し、該前輪25がサイドシル13前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
また、押圧部材37を車幅方向左右2箇所に設けたので、必要最小限の押圧部材37,37でステアリングラック機構21を車体後方に押圧することができる。
【0046】
加えて、上記エンジン27のオイルパン36がその後方位置で下方に膨出する膨出部36aを有しており、該膨出部36aの前方に上記ステアリングラック機構21および押圧部材37が設けられたものである(図1参照)。
この構成によれば、エンジン27のオイルパン36の膨出部36a前方のスペースを有効利用して、上述のステアリングラック機構21および押圧部材37を配設することができる。
【0047】
また、実施例で開示したように、上記左右2箇所の押圧部材37,37を一体的に支持する支持部材38を設け、該支持部材38をエンジン27のシリンダブロック33下部に直接取付けたものである(図1、図2参照)。
この構成によれば、支持部材38を剛性が高いシリンダブロック33に直接取付けたので、衝突時におけるエンジン37の後退動作を効率よく押圧部材37に伝達し、この押圧部材37でステアリングラック機構21を確実に後方へ押圧することができる。
【0048】
図4、図5は車両の車体前部構造の他の実施例を示し、この実施例では、ハイドロフォーム成形品等により側面視略L字状の押圧部材43を形成し、この押圧部材43の前部上面に取付け座44を一体的に固定している。
【0049】
また、上述の取付け座44には複数の取付け孔45を形成し、ボルト46を用いて、取付け座44および押圧部材43を、エンジン27の剛性が高いシリンダブロック33に直接取付けるように構成したものである。
さらに、この実施例においても、上述の押圧部材43の後端部には、ステアリングラック機構21に対応した側面視で略半円形状の凹部43aが形成されていて、この凹部43aがステアリングラック機構21に当接または対向係止されている。
【0050】
また、上述の押圧部材43は、ステアリングラック機構21の前方位置に設けられると共に、車幅方向に間隔を隔てて左右2箇所に設けられており、上述のステアリングラック機構21および押圧部材43はオイルパン36の膨出部36aの前方で、かつ該膨出部36aの底面よりも上方に配設されている。
このように構成すると、図1〜図3の実施例に対して、部品点数の低減を図ることができる。
【0051】
なお、図4、図5で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様であるから、図4、図5において前図と同一の部分には、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【実施例2】
【0052】
図6〜図9は車両の車体前部構造のさらに他の実施例を示す。図1〜図5で示した先の各実施例においてはFR縦置きタイプの車両を例示したが、図6〜図9で示すこの実施例においてはFF横置きタイプの車両を例示している。但し、この実施例2において先の実施例1と同一の部分には同一符号を付している。
【0053】
図6に平面図で、図7に側面図で、図8に斜視図でそれぞれ示すように、この実施例においても、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレーム15,15と、これら左右のフロントサイドフレーム15,15に取付けられフロントサスペンション17(例えば、ダブル・ウイッシュボーン形式のサスペンション)を支持するサブフレーム16とを備えている。
また、左右のフロントサイドフレーム15,15間には、パワートレインユニット29を構成するエンジン27(この実施例ではレシプロエンジンを例示)とトランスミッション28とが横置きに配設されている。
【0054】
さらに、FF横置きタイプの車両であるため上述のパワートレインユニット29は、フロントディファレンシャル装置50を備えており、図7に示すように、そのデフケース51は後方に突出している。
上述のフロントディファレンシャル装置50は、前輪駆動用のドライブシャフト52を介して左右の駆動輪(前輪25)にトランスミッション28出力を差動伝達する。このドライブシャフト52は、エンジン27のシリンダブロック33に固定されたブラケット53と、デフケース51とで支持されている。
【0055】
一方、図6に示すように、パワートレインユニット29の後方には、間隔を隔ててステアリングラック機構21が設けられている。このステアリングラック機構21は車幅方向に延びると共に、サブフレーム16のサブフレームリヤ16R上部に取付けられており、このステアリングラック機構21に連結された左右のタイロッド22,22の外端ピボット点26は前輪25の転舵中心よりも後方に設定されている。
ここで、上述のステアリングラック機構21はボルト54,55,56,57などの複数の取付け部材を用いて、サブフレームリヤ16Rに取付けられており、車両の前面衝突時にはその衝撃力にて、取付けが外れるものである。
【0056】
図9は図6のA−A線に沿う要部の矢視断面図であって、サブフレームリヤ16Rは、アッパプレート58とロアプレート59とを接合固定して構成されており、上述のボルト55と対応してアッパプレート58の下面には予めナット60が溶接固定されており、ボルト55をナット60に締結することで、取付け部61を介してステアリングラック機構21が支持されている。なお、図9では、ボルト55に相当する部分の取付け構造についてのみ図示したが、その他のボルト54,56,57に相当する部分の取付け構造も図9とほぼ同様である。
【0057】
しかも、図6、図7、図8に示すように、パワートレインユニット29から上述のステアリングラック機構21の前部位置まで延設され車両の前面衝突時のパワートレインユニット29の後退により該ステアリングラック機構21を車体後方に押圧する押圧部材62,63(いわゆるステアリングラックプッシャー)を設けている。
【0058】
図6に平面図で示すように、これらの各押圧部材62,63は、パワートレインユニット29の車幅方向に所定の間隔を隔てて左右2箇所に設けられたものであって、図8に斜視図で示すように、押圧部材62,63の一方(押圧部材62参照)は変速機のデフケース、詳しくは、フロントディファレンシャル装置50のデフケース51から後方に延設されており、押圧部材62,63の他方(押圧部材63参照)は前輪駆動用のドライブシャフト52を支持するブラケット53から後方に延設されている。
【0059】
さらに詳しくは、この実施例においては、一方の押圧部材62はデフケース51と一体形成されており、他方の押圧部材63は上記ブラケット53と一体形成されていて、これらの各押圧部材62,63がステアリングラック機構21の前部位置まで延設されている。
【0060】
また、上述の各押圧部材62,63の後端部には、衝突時のパワートレインユニット29の後退によりステアリングラック機構21を係合して、該機構21を車体後方に押圧すべく、該ステアリングラック機構21の外径よりも大きい凹部62a,63aが形成されている。この実施例では、上述の凹部62a,63aはステアリングラック機構21の外部から若干前方に離間しているが、上述の凹部62a,63aはステアリングラック機構21と当接させてもよい。
【0061】
なお、図6〜図8において、64はフロントサスペンション17の一部を構成するダンパスプリング、65は左右のフロントサイドフレーム15,15間に横架されたフロントクロスメンバ、66はクランクプーリ、67はウオータポンププーリ、68はアイドルプーリ、69はオルタネータ用のプーリ、70はオルタネータ(発電機)、74はオートテンショナ、72は吸気系、73は排気系である。また、図中、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0062】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
車両が前面衝突した時、パワートレインユニット29が後退し、このパワートレインユニット29のデフケース51に一体形成された押圧部材62と、ドライブシャフト52を支持するブラケット53に一体形成された押圧部材63とが、ステアリングラック機構21を車幅方向の左右2箇所で車体後方に押圧する。
【0063】
ステアリングラック機構21をサブフレーム16のサブフレームリヤ16Rに取付けていたボルト54〜57はその衝撃力により破断され、その取付けが外れるので、前輪25を操舵する手段としてのステアリングラック機構21がサブフレーム16から外れて後退移動する。
【0064】
このステアリングラック機構21の後退と同時に、該ステアリングラック機構21に連結した左右のタイロッド22,22も後退するので、前輪25はその前方が外向きに、後方が内向きになるように強制的に転舵されて、図6に仮想線αで示すように変向し、これにより前輪25と車体としてのサイドシル13前端との衝突、干渉(衝突物とサイドシル13との間へのタイヤの挟み込み)が回避され、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
【0065】
このように、図6〜図9で示した実施例の車両の車体前部構造(請求項1、2、4〜6に相当)は、車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレーム15と、該フロントサイドフレーム15に取付けられフロントサスペンション17を支持するサブフレーム16とを備えた車両の車体前部構造であって、上記サブフレーム16にステアリングラック機構21が取付けられ、パワートレインユニット29から上記ステアリングラック機構21の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニット29の後退により上記ステアリングラック機構21を車体後方に押圧する押圧部材62,63を設けたものである(図6参照)。
【0066】
この構成によれば、パワートレインユニット29からステアリングラック機構21の前部位置まで延びる押圧部材62,63を設けたので、車両の前面衝突時にパワートレインユニット29が後退した際、このパワートレインユニット29と共に上記押圧部材62,63が後方へ移動する。
【0067】
押圧部材62,63が後方に移動すると、ステアリングラック機構21を後退させるので、タイロッド22を介して前輪25を強制的に転舵させ、これにより、該前輪25がサイドシル13の前端に衝突するのを回避できるので、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
特に、前輪25を直接転舵する部材としてのステアリングラック機構21を、車両衝突時に上記押圧部材62,63にて押圧するので、前輪変向の効率がよく、また、左右の両前輪25,25を同時に変向させることができる。
【0068】
また、上記ステアリングラック機構21に連結されるタイロッド22の外端ピボット点26を前輪25の転舵中心よりも後方に設定したものである(図6参照)。
この構成によれば、タイロッド22の外端ピボット点26を転舵中心より後方に設定したので、前輪25をその後方が内向きになるように転舵(図6の仮想線α参照)させて、前輪25とサイドシル13前端との衝突を回避することができる。
【0069】
さらに、上記左右のフロントサイドフレーム15,15間に、上記パワートレインユニット29を構成するエンジン27とトランスミッション28とが横置きに配設され、上記パワートレインユニット29の後方に間隔を隔てて上記ステアリングラック機構21が設けられ、上記パワートレインユニット29の車幅方向左右2箇所に上記押圧部材62,63が設けられたものである(図6参照)。
【0070】
この構成によれば、FF(前部機関前輪駆動)横置きタイプの車両において、衝突時のパワートレインユニット29の後退によりステアリングラック機構21を後退させて、前輪25を転舵し、該前輪25がサイドシル13前端に衝突することを回避して、車体前部のクラッシュスペースを確保することができる。
また、押圧部材62,63をパワートレインユニット29の車幅方向左右2箇所に設けられたので、必要最小限の押圧部材62,63でステアリングラック機構21を車体後方に押圧することができる。
【0071】
加えて、上記押圧部材の一方(押圧部材62参照)が変速機のデフケース(フロントディファレンシャル装置50のデフケース51参照)から後方に延設されたものである(図8参照)。
この構成によれば、後方に突出しているデフケース51を有効利用して、押圧部材62の小型化を図ることができる。
【0072】
また、上記押圧部材の他方(押圧部材63参照)は前輪駆動用のドライブシャフト52を支持するブラケット53から後方に延設されたものである(図7、図8参照)。
この構成によれば、ドライブシャフト52を支持するブラケット53で押圧部材63を兼ねることができ、部品点数の増加を招くことなく、押圧部材63を構成することができる。
【0073】
図10は車両の車体前部構造の他の実施例を示し、ステアリングラック機構21の取付け部61を、ボルト55、ナット60を用いてサブフレームリヤ16Rに取付けた構成において、予めナット60が溶接固定されるアッパプレートの隆起部58aの背部側(リヤ側)に、車両衝突時にボルト55をリヤ側に逃がすスリット58bが形成されたものである。このスリット58bを合計4本のボルト54,55,56,57のうち、2本のボルト55,56に対応して形成すると、押圧部材62,63でステアリングラック機構21を車両後方に押圧する時、該ステアリングラック機構21をより一層容易にサブフレーム16から離脱させることができる。
【0074】
なお、図10において、その他の構成、作用、効果については、図6〜図9の実施例と同様であるから、図10において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0075】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の変速機は、実施例のトランスミッション28に対応し、
以下同様に、
変速機のデフケースは、フロントディファレンシャル装置50のデフケース51に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0076】
例えば、実施例1においてはFR縦置きタイプの車両において、タイロッド22の外端ピボット点26を前輪25の転舵中心よりも前方に設定したが、ステアリングラック機構21の位置はそのままで、上述のタイロッド22の外端ピボット点26を前輪25の転舵中心よりも後方に設定すべく構成してもよい。
また、実施例2においてはFF横置きタイプの車両において、タイロッド22の外端ピボット点26を前輪25の転舵中心よりも後方に設定したが、ステアリングラック機構21の位置はそのままで、上述のタイロッド22の外端ピボット点26を前輪25の転舵中心よりも前方に設定すべく構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】FR縦置きタイプの車両の車体前部構造を示す側面図
【図2】図1の底面図
【図3】押圧部材の斜視図
【図4】FR縦置きタイプの車両の車体前部構造の他の実施例を示す側面図
【図5】押圧部材の斜視図
【図6】FF横置きタイプの車両の車体前部構造を示す平面図
【図7】図6の要部側面図
【図8】図7の要部斜視図
【図9】図6の矢印A−A線に沿う部分拡大断面図
【図10】ステアリングラック機構の取付け構造の他の実施例を示す側面図
【図11】従来の車両の車体前部構造を示す底面図
【符号の説明】
【0078】
15…フロントサイドフレーム
16…サブフレーム
17…フロントサスペンション
21…ステアリングラック機構
22…タイロッド前輪
25…前輪
26…外端ピボット点
27…エンジン
28…トランスミッション(変速機)
29…パワートレインユニット
36…オイルパン
36a…膨出部
37,43,62,63…押圧部材
51…デフケース
52…ドライブシャフト
53…ブラケット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部の左右に設けられたフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームに取付けられフロントサスペンションを支持するサブフレームとを備えた車両の車体前部構造であって、
上記サブフレームにステアリングラック機構が取付けられ、
パワートレインユニットから上記ステアリングラック機構の前部位置まで延設され衝突時のパワートレインユニットの後退により上記ステアリングラック機構を車体後方に押圧する押圧部材を設けた
車両の車体前部構造。
【請求項2】
上記ステアリングラック機構に連結されるタイロッドの外端ピボット点を前輪の転舵中心よりも後方に設定した
請求項1記載の車両の車体前部構造。
【請求項3】
上記ステアリングラック機構に連結されるタイロッドの外端ピボット点を前輪の転舵中心よりも前方に設定した
請求項1記載の車両の車体前部構造。
【請求項4】
上記左右のフロントサイドフレーム間に、上記パワートレインユニットを構成するエンジンと変速機とが横置きに配設され、
上記パワートレインユニットの後方に間隔を隔てて上記ステアリングラック機構が設けられ、
上記パワートレインユニットの車幅方向左右2箇所に上記押圧部材が設けられた
請求項2記載の車両の車体前部構造。
【請求項5】
上記押圧部材の一方が変速機のデフケースから後方に延設された
請求項4記載の車両の車体前部構造。
【請求項6】
上記押圧部材の他方は前輪駆動用のドライブシャフトを支持するブラケットから後方に延設された
請求項4または5記載の車両の車体前部構造。
【請求項7】
上記左右のフロントサイドフレーム間に上記パワートレインユニットを構成するエンジンと変速機とが縦置きに配設され、
上記エンジンの下方に上記ステアリングラック機構が設けられ、
上記エンジン下方のステアリングラック機構の前方位置で車幅方向左右2箇所に上記押圧部材が設けられた
請求項3記載の車両の車体前部構造。
【請求項8】
上記エンジンのオイルパンがその後方位置で下方に膨出する膨出部を有しており、
該膨出部の前方に上記ステアリングラック機構および押圧部材が設けられた
請求項7記載の車両の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−101810(P2009−101810A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274629(P2007−274629)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】