説明

車両モニタシステム

【課題】後続車両が走行している車線を素早く判断することのできる「車両モニタシステム」を提供することである。
【解決手段】車両の後方を撮影する撮影手段21(22、23)と、該撮影手段にて得られた撮影画像に基づいて後方画像を生成する処理手段10と、車室内に設けられ、前記処理手段にて得られる後方画像を表示する表示手段31(32、33)とを有する車両モニタシステムであって、前記処理手段10は、前記後方画像において車線画像部分を検出する車線検出手段(S4)と、検出された車線画像部分から当該車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分を特定する走行車線特定手段(S7)と、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わす車線描画処理手段(S10)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方を撮影して得られる後方画像を車室内の表示手段に表示させるようにした車両モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後方をカメラで撮影して得られる後方画像を車室内のルームミラー本体に埋め込んだバックライト方式の液晶ディスプレイに表示させる車両用監視装置が提案されている(特許文献1参照)。このような車両用監視装置では、車両後方の状態を表わす後方画像がルームミラー内の液晶ディスプレイに表示されるようになるので、運転者に対して車両後方環境に関するより多くの情報を提供できるようになる。その結果、運転者が車両後方の状態をより的確に判断できるようになる。
【特許文献1】特開平11−78693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、片側に複数の車線が存在する道路のいずれかの車線を車両が走行する場合、前述した車両用監視装置の液晶ディスプレイに表示される後方画像から、後続車両がどの車線を走行しているかを素早く判断し難い場合がある。このような場合、走行車線を変更するに際して、運転者は後続車両の動向を特に注意しなければならない。このことは、車線の数が多くなるほど顕著になる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、後続車両が走行している車線を素早く判断することのできる車両モニタシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両モニタシステムは、車両の後方を撮影する撮影手段と、該撮影手段にて得られた撮影画像に基づいて後方画像を生成する処理手段と、車室内に設けられ、前記処理手段にて得られる後方画像を表示する表示手段とを有する車両モニタシステムであって、前記処理手段は、前記後方画像において車線画像部分を検出する車線検出手段と、検出された車線画像部分から当該車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分を特定する走行車線特定手段と、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わす車線描画処理手段とを有する構成となる。
【0006】
このような構成により、車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分と他の車線に対応した車線画像部分とが異なった色にて表わされた後方画像が表示手段に表示されるようになる。これにより、表示手段に表示される後方画像において、後続車両画像部分が位置する車線画像部分の色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができるようになる。
【0007】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線描画処理手段は、前記走行車線画像部分を前記撮影画像に現われる色と異なる色にて表わすように構成することができる。
【0008】
このような構成により、走行車線画像部分以外の車線画像部分を撮影画像に現われる色と同じにしても、走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わすことができるようになるので、描画処理をより簡単にすることができる。
【0009】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線描画処理手段は、前記他の車線画像部分を前記撮影画像に表れる色と異なる色にて表わすように構成することができる。
【0010】
このような構成により、走行車線画像部分を撮影画像に現れる色と同じにしても、走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わすことができるようになるので、描画処理をより簡単にすることができるようになる。
【0011】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線描画処理手段は、前記走行車線画像部分とそれに隣接する車線画像部分とを前記撮影画像に現われる色と異なる色にて表わすように構成することができる。
【0012】
このような構成により、走行車線画像部分とそれに隣接する車線画像部分とを撮影画像に現われる色と異なるより見易い色にて表わすことができるようになる。
【0013】
更に、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線描画処理手段は、当該車両が進行する方向と同じ方向の車両走行に割当てられた全ての車線に対応した車線画像部分を異なる色にて表わすように構成することができる。
【0014】
このような構成により、当該車両が進行する方向と同じ方向の車両走行に割当てられたどの車線を後続車両が走行していても、表示手段に表示される後方画像からその後続車両が走行する車線を色にて直感的に判断することができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、前記処理手段は、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判定されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とが異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思がある場合、即ち、後続車両に特に注意すべき車線変更時に、表示手段に表示される後方画像において当該車両の走行車線画像部分と他の車線画像部分とが異なる色にて表わされるようになる。
【0017】
更に、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記処理手段は、前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表す後方車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、前記後方車両画像部分が検出されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とが異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、注意すべき後続車両がある場合に、表示手段に表示される後方画像において当該車両の走行車線画像と他の車線画像とが異なる色にて表わされるようになる。
【0019】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、前記処理手段は、前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表す後方車両画像部分を検出する後続車両手段と、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判定され、かつ、前記後方画像において後方車両画像部分が検出されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思がある場合、即ち、後続車両に特に注意すべき車線変更時であって、実際に注意すべき後続車両がある場合に、表示手段に表示される後方画像において当該車両の走行車線画像と他の車線画像とが異なる色にて表わされるようになる。
【0021】
更に、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線変更意思検出手段は、方向指示器の操作がなされたか否かに基づいて運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定するように構成することができる。
【0022】
このような構成により、車両の方向指示器が操作されたときに、表示手段に表示される後方画像において当該車両の走行車線画像と他の車線画像とが異なる色にて表わされるようになる。
【0023】
また、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記処理手段は、前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表わす後続車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、前記車線描画処理手段が前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線部分とを異なる色にて表わすに際して、前記後続車両検出手段にて検出される前記後続車両画像部分を指示する指示マークを前記後方画像に重ねて表示させる指示マーク描画手段とを有する構成とすることができる。
【0024】
このような構成により、車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分と他の車線に対応した車線画像部分とが異なった色にて表わされた後方画像が表示手段に表示されている状態において、後続車両がある場合には、後続車両画像部分を示す指示マークが前記後方画像に重ねて表示される。これにより、表示手段に表示される後方画像において、指示マークによって明確に特定され得る後続車両画像部分が位置する車線画像部分の色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができるようになる。
【0025】
本発明に係る車両モニタシステムは、車両の後方を撮影する撮影手段と、該撮影手段にて得られた撮影画像に基づいて後方画像を生成する処理手段と、車室内に設けられ、前記処理手段にて得られる後方画像を表示する表示手段とを有する車両モニタシステムであって、前記処理手段は、前記後方画像において車線画像部分を検出する車線検出手段と、検出された車線画像部分から当該車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分を特定する走行車線特定手段と、前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表わす後続車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、検出される後続車両画像部分を指示する指示マークを前記後方画像に重ねて表示させる指示マーク描画手段とを有し、該指示マーク描画手段は、走行車線画像部分に位置する後続車両画像部分を指示する指示マークと走行車線画像部分以外の車線画像部分に位置する後続車両画像部分を指示する指示マークとを異なる色にて表わす構成となる。
【0026】
このような構成により、表示手段に表示された後方画像において、当該車両の後方に位置する車両を表わす後続車両画像部分を指示する指示マークが、その後続車両の走行する車線が当該車両の走行車線か他の車線かに応じて異なった色にて表示される。これにより、表示手段に表示される後方画像において、指示マークの色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができるようになる。
【0027】
前記指示マークは、後続車両画像部分を指示するものであれば特に限定されず、後続画像部分を囲む枠、矢印などの図形であっても、後続車両画像部分を着色するものであってもよい。
【0028】
また、本発明に係る車両モニタシステムでは、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、処理手段は、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判断されたときに、前記指示マークが前記後方画像に重ねて表示されるように前記指示マーク描画手段を制御する手段を有するように構成することができる。
【0029】
このような構成により、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思がある場合、即ち、後続車両に特に注意すべき車線変更時に、表示手段に表示される後方画像において、前記後続車両画像部分を指示する指示マークが、その後続車両の走行する車線が当該車両の走行車線か他の車線かに応じて異なった色にて表示される。
【0030】
更に、本発明に係る車両モニタシステムにおいて、前記車線変更意思検出手段は、方向指示器の操作がなされたか否かに基づいて運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定するように構成することができる。
【0031】
このような構成により、車両の方向指示器が操作されたときに、表示手段に表示される後方画像において、前記後続車両画像部分を指示する指示マークが、その後続車両の走行する車線が当該車両の走行車線か他の車線かに応じて異なった色にて表示される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、表示手段に表示される後方画像において、後続車両画像部分が位置する車線画像部分の色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができ、また、指示マークの色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができるようになるので、後続車両が走行している車線を素早く判断することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0034】
本発明の実施の一形態に係る車両モニタシステムでは、車両に3つのカメラユニットが図1に示すように設けられている。即ち、車体100の後端部の所定の高さにおける左右方向略中央位置に後方カメラユニット21、右ドアミラー101の上に右カメラユニット22、左ドアミラー102の上に左カメラユニット23がそれぞれ設けられている。後方カメラユニット21、右カメラユニット22及び左カメラユニット33のそれぞれは、略180°の撮影角度範囲を有する広角カメラユニットである。後方カメラユニット21は、車体100(車両)後方の前記撮影角度範囲180°に対応する領域を撮影する。右カメラユニット22は、車体100(車両)の右側方の前記撮影角度範囲180°に対応する領域(右側前方から右側後方に至る領域)を撮影する。左カメラユニット23は、車体100(車両)の左側方の前記撮影角度範囲180°に対応する領域(左側前方から左側後方に至る領域)を撮影する。
【0035】
また、この車両モニタシステムでは、図2に示すように、車室内における天井のフロントウィンドウとの境界部分の運転席側の所定位置(従来のバックミラーの設置位置と略同じ位置)に後方モニタ部31が設けられ、右ドアミラー101に近いインストルメントパネルの右端部に右モニタ部32が設けられ、左ドアミラー102に近いインストルメントパネルの左端部に左モニタ部33が設けられている。後方カメラユニット21により得られた撮影画像に基づく後方画像IBが後方モニタ部31に表示され、右カメラユニット22により得られた撮影画像に基づく右側方画像IRが右モニタ部32に表示され、左カメラユニット23により得られた撮影画像に基づく左側方画像ILが左モニタ部33に表示される。
【0036】
なお、インストルメントパネルの略中央部にAVN(Audio Video Navigation)機器の主モニタ11が設けられており、音楽、ビデオ映像、ナビゲーションのための地図等が主モニタ11に表示される。
【0037】
この車両モニタシステムの処理系は、例えば、図3に示すように、AVN機器とともに構成されている。図3において、処理ユニット10には、車両ナビゲーションに必要な情報を提供するためのGPSユニット12、センサ類13(ジャイロセンサ、加速度センサ)及び地図情報(車線数を含む)を保存している記憶ユニット17(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。車室内に設けられた主モニタ部11、後方モニタ部31、右モニタ部32及び左モニタ部33(図2参照)は、表示制御回路14を介して処理ユニット10に接続されている。処理ユニット10は、GPSユニット12及びセンサ類13からの各種情報及び記憶ユニット17から読み出した地図情報に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行し、主モニタ部11にナビゲーションに係る地図とともに車両位置マーク及び案内経路等を表示させる。
【0038】
また、処理ユニット10には、前述した後方カメラユニット21、右カメラユニット22及び左カメラユニット23が接続されている。処理ユニット10は、後方カメラユニット21から得られる撮影画像に基づいて乗員に提供すべき後方画像IBを生成して後方モニタ部31に表示させ、右カメラユニット22から得られる撮影画像に基づいて乗員に提供すべき右側方画像IRを生成して右モニタ部32に表示させ、更に、左カメラユニット23から得られる撮影画像に基づいて乗員に提供すべき左側方画像ILを生成して左モニタ部33に表示させるように表示制御回路14を制御する。
【0039】
なお、車室にはスピーカ35が設置されており、このスピーカ35が音声出力回路16を介して処理ユニット10に接続されている。処理ユニット10での制御のもと、音声出力回路16がスピーカ35からメッセージを音声にて出力させるようになっている。
【0040】
処理ユニット10は、画像表示に係る処理を図4に示す手順に従って実行する。
【0041】
図4において、処理ユニット10は、後方カメラユニット21からの撮影画像を取得すると(S1)、該撮影画像に基づいてバックミラーに映る風景のように構成された後方画像IBを生成し、その後方画像IBを後方モニタ部31に表示させる(S2)。処理ユニット10は、前記後方画像IBを所定方向に走査して濃度変化の大きい部分であるエッジ部分を抽出する(S3)。そして、処理ユニット10は、後方画像IBから抽出したエッジ部分に基づいて車線を区画する白線を表す白線画像部分を検出することにより、車線を表わす車線画像部分を検出する(S4)。なお、この車線検出の具体的な処理は公知の手法に従って行うことができる(例えば、特開昭63−142478号公報等)。
【0042】
続いて、処理ユニット10は、記憶ユニット17から地図情報(車線数を含む)を取得し(S5)、GPSユニット12からの検出信号に基づいて当該車両の走行位置を算出する(S6)。そして、処理ユニット10は、前記地図情報と走行位置の情報とに基づいて当該車両が走行する車線の位置を判定し(S7)、前記検出した車線画像部分において当該車両の走行車線を表わす走行車線画像部分を特定する。
【0043】
前記後方画像IBを後方モニタ部31に表示させるとともに該後方画像IBにおいて走行車線画像部分を特定する処理(S1〜S7)と並行して、処理ユニット10は、後方画像IBから抽出したエッジ部分に基づいて当該車両の後方に位置する車両に対応する後続車両画像部分を検出するための処理(S8)を実行する。なお、この後続車両検出の具体的な処理は公知の手法に従って行うことができる(例えば、特開平8−320999号公報等)。
【0044】
その後、処理ユニット10は、方向指示器のオン操作がなされたか否かを判定し(S9)、オン操作がなされていなければ(S8でNO)、即ち、運転者に車両を他の車線に移動させる意思がないと判断し得る場合には、前述した処理(S1〜S7、S8)を繰り返し実行する。このような処理により、後方モニタ31に例えば図5に示すような後方画像IBが表示される。この後方画像IBには、左白線画像部分WLLと右白線画像部分WLRとで区画された走行車線画像部分LCと、左白線画像部分WLLと左路肩画像部分との間の左側車線画像部分LLと、右白線画像部分WLRと右路肩画像部分との間の右側車線画像部分LRとが現われ、更に、左側車線画像部分LLに位置する後続車両画像部分Veが現われている。後方モニタ部31に表示されるこのような後方画像IBにより、車両の運転者は、自車が走行する車線の左隣の車線を後続の車両が走行していることを認識することができる。
【0045】
前述したような処理の過程で、処理ユニット10は、右及び左のいずれかの方向指示器のオン操作がなされたと判定すると(S9でYES)、即ち、運転者に車両を他の車線に移動させる意思があると判断し得る場合には、後方画像IBにおいて走行車線画像部分LCを撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)に着色し、また、検出されている後続車両画像部分Veを指定する指定マークを当該後方画像IBに重ねて表示するための描画処理を行う(S10)。このような処理により、例えば、図5に示す後方画像IBが図6に示すように変わる。図6に示す後方画像IBにおいて、走行車線画像部分LCが撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)にて表され、右側車線画像部分LR及び左側車線画像部分LLが撮影画像に現われる色そのままにて表される。即ち、後方画像IBにおいて、走行車線画像部分LCと他の車線画像部分LR、LLとが異なった色にて表わされる。また、左車線画像部分LLに位置する後続車両画像部分Veを指示する指示枠ML(指示マーク)が当該後続車両画像部分Veを囲むように後方画像IBに重ねて表示される。
【0046】
以後、方向指示器がオン状態である間、前述した処理(S1〜S7、S8、S9〜S10)が繰り返し実行され、走行車線画像部分LCが撮影画像に現われる色と異なる色に着色されるとともに後続車両画像部分Veを囲む指示枠MLの現われた後方画像IBが後方モニタ31に表示された状態が維持される。なお、処理ユニット10は、方向指示器のオン操作時における後続車両画像部分Veの検出に基づいて、後続車両の存在を表わす警報メッセージをスピーカ35から音声出力させる。
【0047】
車線変更を行おうとしている運転者は、スピーカ35からの警報メッセージにより、後続車両に対する注意が喚起されるとともに、後方モニタ31に表示される前記後方画像IBにおいて、指示枠MLによって囲まれて明確に特定される後続車両画像部分Veが位置する車線画像部分の色が走行車線画像部分LCの色(例えば、緑色)と異なることに基づいて、自車の走行車線以外の車線を後続車両が走行していることを直感的に判断することができる。その結果、後続車両が走行している車線を素早く判断することができるようになり、車線変更の運転操作を比較的余裕をもって行うことができるようになる。
【0048】
前述した処理の例(図4参照)では、方向指示器のオン操作がなされたときに、後方モニタ31に表示される後方画像IBにおいて走行車線画像部分LCが撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)に着色されるものであったが、方向指示器の操作にかかわらず、常に走行車線画像部分LCが前記色に着色されるものであってもよい。この場合、通常運転時においても、後方モニタ31に表示される後方画像IBの後続車両画像部分Veが位置する車線画像部分の色に基づいて、後続車両の走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に把握することができる。その結果、運転者は比較的余裕をもって運転操作を行うことができるようになる。
【0049】
なお、走行車線画像部分LCを撮影画像に現われる色と同じにし、他の車線画像部分LL、LRを撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、オレンジ色や青色)にしてもよい。この場合であっても、後方モニタ31に表示される後方画像IBにおいて、走行車線画像部分LCの色と他の走行車線画像部分LL、LCの色とが異なるので、後続車両画像部分Veが位置する車線画像部分の色に基づいて、後続車両が走行している車線が当該車両の走行車線であるか他の車線であるかを直感的に判断することができるようになる。
【0050】
また、後方画像IBにおいて走行車線画像部分LCの色と他の車線画像部分LL、LRの色とが異なるように表わされるものであるならば、特に、後続車両画像部分Veを指定する指示枠ML(指示マーク)を表示させなくてもよい。ただし、指示枠MLを表示させることは、後続車両画像部分Ve自体を後方画像IBにおいてより直感的に把握できるという点で好ましい。
【0051】
処理ユニット10は、図7に示す手順に従って処理を行うことができる。図7において、判定ステップS91に係る手順以外の処理手順は、図4に示す処理手順と同じである。
【0052】
図7に示す手順での処理では、方向指示器のオン操作がなされた場合(S9でYES)であっても、後方画像IBにおいて後続車両画像部分Veが検出されていなければ(S91でNO)、描画処理(S10)、即ち、走行車線部分LC等を着色する処理(車線描画処理)、及び後続車両画像部分Veを指示する指示マークを表示させる処理(指示マーク描画処理)は行われない。方向指示器のオン操作がなされ(S9でYES)、かつ、後方画像IBにおいて後続車両画像部分Veが検出された場合(S91でYES)に限り、前記描画処理(S10)がなされる。
【0053】
このような処理により、運転者に車線変更の意思があり、かつ、実際に後続車両が存在する場合に限って、後方画像IBにおける車線画像部分の色づけ及び後続車両画像部分Veに対する指示マークの表示がなされるようになり、熟練した運転者では感ずる可能性のある、後続車両が存在しない場合の当該車両モニタシステムによる後方監視支援のおせっかい感をなくすことができるようになる。
【0054】
前述した描画処理(S10)によれば、後方画像IBの走行車線画像部分LCが撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)にて表わされるものであったが、車両が進行する方向と同じ方向の車両走行に割当てられた全ての車線に対応した車線画像部分を異なる色にて着色するような描画処理を行うこともできる。この場合、図8に示すように、後方モニタ31に表示される後方画像IBにおいて、走行車線を含む片側3車線全てに対応した車線画像部分LC、LL、LRが異なる色にて表わされる。例えば、走行車線画像部分LCが緑色、右車線画像部分LRが青色、左車線画像部分LLがオレンジ色にて表わされる。そして、左車線画像部分LLに位置する後続車両画像部分Veを囲む指示枠ELが後方画像IBに重ねて表示される。
【0055】
この場合、当該車両が進行する方向と同じ方向の車両走行に割当てられたどの車線を後続車両が走行していても、後方モニタ31に表示される後方画像IBからその後続車両が走行する車線を色(緑色、青色、オレンジ色)によって直感的、かつ、より明確に判断することができるようになる。
【0056】
処理ユニット10は、前述したような後方カメラユニット21からの撮影画像に基づいた後方画像IBの生成及び表示の処理のほか、右カメラユニット22からの撮影画像に基づいて、右ドアミラー101に映る風景のように構成された右側方画像IRを生成し、左カメラユニット23からの撮影画像に基づいて、左ドアミラー102に映る風景のように構成された左側方画像ILを生成する。そして、処理ユニット10は、右側方画像IRを右モニタ部32に表示させ、左側方画像ILを左モニタ部33に表示させる。
【0057】
処理ユニット10は、右カメラユニット22からの撮影画像及び左カメラユニット23からの撮影画像それぞれに対して図4または図7に示す手順での処理を実行することができる。この場合、例えば、右方向指示器のON操作が行われた場合(S9でYES)、右側方画像IRに対して前述した描画処理(S10)がなされる。その結果、右モニタ部32には、例えば、図9に示すような右側方画像IRが表示される。この右側方画像IRにおいて、当該車両が走行する走行車線に対応した走行車線画像部分LCは、撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)にて表わされる。
【0058】
また、左方向指示器のON操作が行われた場合(S9でYES)、左側方画像ILに対して前述した描画処理(S10)がなされる。その結果、左モニタ部33には、例えば、図10に示すような左側方画像ILが表示される。この左側方画像ILにおいて、当該車両が走行する走行車線に対応した走行車線画像部分LCは、撮影画像に現われる色と異なる色(例えば、緑色)に表わされる。図10に示す左側方画像ILにおいては、当該車両の後方を走行する車両に対応した後続車両画像部分Veが左車線画像部分LLに位置するように表わされている。そして、後続車両画像部分Veを囲む指示枠MLが左側方画像ILに重ねて表示される。このような左側方画像ILにおいて指示枠MLにて特定される後続車両画像部分Veの位置する車線画像部分LLが走行車線画像部分LCの色(例えば、緑色)と異なるので、後続車両が走行車線と異なる車線、即ち、走行車線の左側に隣接した車線を走行していることを直感的に把握することができる。
【0059】
処理ユニット10は、前述した描画処理(図4及び図7におけるS10)において、後方画像IBの走行画像車線部分LCを撮影画像に表れる色と異なる色にて表わす処理に代えて、後続車両画像部分Veを指示する指示マーク(指示枠)を着色する処理を行うことができる。
【0060】
この場合、図11に示すような後方画像IBが後方モニタ部31に表示される。この後方画像IBには、走行車線画像部分LCに位置する後続車両画像部分VeC、左車線画像部分LLに位置する左後続車両画像部分VeL、及び右車線画像部分LRに位置する右後続車両画像部分VeRが表されている。そして、後続車両画像部分VeCを指示する指示枠MCが当該後続車両画像部分VeCを囲むように、左後続車両画像部分VeLを指示する指示枠MLが当該左後続車両画像部分VeLを囲むように、右後続車両画像部分VeRを指示する指示枠MRが当該右後続車両画像部分VeRを囲むように、それぞれ後方画像IBに重ねて表示されている。更に、各指示枠MC、ML及びMRの色が異なるように、具体的には、指示枠MCが緑色、指示枠MLがオレンジ色、指示枠MRが青色にて表示される。
【0061】
このような後方画像IBによれば、指示枠(指示マーク)の色に基づいて、その指示枠にて指示される後続車両画像部分Veが位置する車線画像部分を直感的に判断することができ、結果として、後続車両がどの車線を走行しているかを直感的に判断することができる。よって、車線画像部分を着色した場合と同様に、後続車両が走行している車線を素早く判断することができるようになり、車線変更の運転操作を比較的余裕をもって行うことができるようになる。
【0062】
図11に示す例では、後方画像IBにおいて全ての車線画像部分LC、LL、LRに位置する後続車両画像部分VeC、VeL、VeRを囲む指示枠MC、ML、MRの色を異なる色にしたが、走行車線画像部分LCに位置する後続車両画像部分VeCを囲む指示枠MCと、他の車線画像部分LL、LRに位置する後続車両画像部分VeL、VeRを囲む指示枠ML、MRとを異なる色にて表わすものであってもよい。この場合、後方画像IBに重ねて表示される指示枠の色に基づいて、少なくとも後続車両が当該車両の走行車線を走行しているか他の車線を走行しているかを直感的に判断することができるようになるので、後続車両が走行している車線を素早く判断することのできるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る車両モニタシステムは、後続車両が走行している車線を素早く判断することができるようになるという効果を有し、車両の後方を撮影して得られる後方画像を車室内の表示手段に表示させるようにした車両モニタシステムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両モニタシステムに用いられる複数のカメラユニットの配置例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両モニタシステムに用いられる複数のモニタ部の配置例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両モニタシステムの処理系の構成を表わすブロック図である。
【図4】図3に示す処理系における処理ユニットでの処理手順の第1の例を示すフローチャートである。
【図5】方向指示器のオン操作がなされる前の後方画像IBの表示例を示す図である。
【図6】方向指示器のオン操作がなされた後の後方画像IBの表示例を示す図である。
【図7】図3に示す処理系における処理ユニットでの処理手順の第2の例を示すフローチャートである。
【図8】後方画像IBの他の表示例を示す図である。
【図9】右側方画像IRの表示例を示す図である。
【図10】左側方画像ILの表示例を示す図である。
【図11】後方画像IBの更に他の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10 処理ユニット
11 主モニタ部
12 GPSユニット
13 センサ類
14 表示制御回路
16 音声出力回路
17 記憶ユニット
21 後方カメラ
22 右カメラユニット
23 左カメラユニット
31 後方モニタ部
32 右モニタ部
33 左モニタ部
35 スピーカ
100 車体
101 右ドアミラー
102 左ドアミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮影する撮影手段と、
該撮影手段にて得られた撮影画像に基づいて後方画像を生成する処理手段と、
車室内に設けられ、前記処理手段にて得られる後方画像を表示する表示手段とを有する車両モニタシステムであって、
前記処理手段は、
前記後方画像において車線画像部分を検出する車線検出手段と、
検出された車線画像部分から当該車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分を特定する走行車線特定手段と、
前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わす車線描画処理手段とを有する車両モニタシステム。
【請求項2】
前記車線描画処理手段は、前記走行車線画像部分を前記撮影画像に現われる色と異なる色にて表わす請求項1記載の車両モニタシステム。
【請求項3】
前記車線描画処理手段は、前記他の車線画像部分を前記撮影画像に表れる色と異なる色にて表わす請求項1記載の車両モニタシステム。
【請求項4】
前記車線描画処理手段は、前記走行車線画像部分とそれに隣接する車線画像部分とを前記撮影画像に現われる色と異なる色にて表わす請求項1記載の車両モニタシステム。
【請求項5】
前記車線描画処理手段は、当該車両が進行する方向と同じ方向の車両走行に割当てられた全ての車線に対応した車線画像部分を異なる色にて表わす請求項1記載の車両モニタシステム。
【請求項6】
運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、
前記処理手段は、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判定されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とが異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の車両モニタシステム。
【請求項7】
前記処理手段は、
前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表す後方車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、
前記後方車両画像部分が検出されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とが異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の車両モニタシステム。
【請求項8】
運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、
前記処理手段は、
前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表す後方車両画像部分を検出する後続車両手段と、
運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判定され、かつ、前記後方画像において後方車両画像部分が検出されたときに、前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線画像部分とを異なる色にて表わされるように前記車線描画処理手段を制御する手段とを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の車両モニタシステム。
【請求項9】
前記車線変更意思検出手段は、方向指示器の操作がなされたか否かに基づいて運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する請求項6及び8のいずれかに記載の車両モニタシステム。
【請求項10】
前記処理手段は、
前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表わす後続車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、
前記車線描画処理手段が前記後方画像において前記走行車線画像部分と他の車線部分とを異なる色にて表わすに際して、前記後続車両検出手段にて検出される前記後続車両画像部分を指示する指示マークを前記後方画像に重ねて表示させる指示マーク描画手段とを有する請求項1乃至9のいずれかに記載の車両モニタシステム。
【請求項11】
車両の後方を撮影する撮影手段と、
該撮影手段にて得られた撮影画像に基づいて後方画像を生成する処理手段と、
車室内に設けられ、前記処理手段にて得られる後方画像を表示する表示手段とを有する車両モニタシステムであって、
前記処理手段は、
前記後方画像において車線画像部分を検出する車線検出手段と、
検出された車線画像部分から当該車両が走行している車線に対応した走行車線画像部分を特定する走行車線特定手段と、
前記後方画像において当該車両の後方に位置する車両を表わす後続車両画像部分を検出する後続車両検出手段と、
検出される後続車両画像部分を指示する指示マークを前記後方画像に重ねて表示させる指示マーク描画手段とを有し、
該指示マーク描画手段は、走行車線画像部分に位置する後続車両画像部分を指示する指示マークと走行車線画像部分以外の車線画像部分に位置する後続車両画像部分を指示する指示マークとを異なる色にて表わす車両モニタシステム。
【請求項12】
運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する車線変更意思判定手段を有し、
処理手段は、運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があると判断されたときに、前記指示マークが前記後方画像に重ねて表示されるように前記指示マーク描画手段を制御する手段を有する請求項11記載の車両モニタシステム。
【請求項13】
前記車線変更意思検出手段は、方向指示器の操作がなされたか否かに基づいて運転者に当該車両を他の車線に移動させる意思があるか否かを判定する請求項12記載の車両モニタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−146136(P2010−146136A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320401(P2008−320401)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】