車両位置認識装置及び車両位置認識方法
【課題】 車両に搭載された撮像装置により撮像した画像情報に加えて、地図情報や車両情報等を用いることにより、走行中の道路の中における車両の位置をより詳細に特定することを可能とする車両位置認識装置及び車両位置認識方法を提供する。
【解決手段】 車両に搭載された撮像装置2により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段3と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段9と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段10と、道路特徴情報取得手段9により取得された前記道路特徴情報と、画像情報認識手段10により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段17と、を備える。
【解決手段】 車両に搭載された撮像装置2により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段3と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段9と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段10と、道路特徴情報取得手段9により取得された前記道路特徴情報と、画像情報認識手段10により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載され、道路上で撮像した画像情報の中に含まれる所定の認識対象物の画像を認識し、車両の道路幅方向の位置を特定する処理を行う車両位置認識装置及び車両位置認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばナビゲーション装置等において、走行中の車両の位置を特定するために、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)からの電波信号を用いた位置特定の方法が広く用いられている。しかし、このGPSによる車両の位置特定の精度は、数十m程度の誤差を含んでおり、それ以上の精度での詳細な位置特定を行うことは困難であった。そこで、このGPSによる位置特定の精度の悪さを補うために、これまでにも様々な技術が提案されている。
【0003】
このような技術として、例えば、下記の特許文献1には、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報について、認識部が画像の輝度等に基づいて区画線を認識し、それにより車両が走行中の道路が一般道か高速道かを判定する技術が開示されている。
【0004】
すなわち、この技術では、撮像した画像中の一定の広さを有するウィンドウ内の輝度が一定の基準を超えている部分を区画線の画像として認識し、或いは、撮像した画像に対して微分処理を行い、エッジに囲まれた部分を区画線の画像として認識する。これにより認識された区画線は、その長さ、区画線間の空白部分の長さ、区画線の繰り返しピッチといった特徴抽出データとして判定部に出力される。そして、判定部では、一般道と高速道とでそれぞれ規格化された区画線の設置基準に基づいて、走行中の道路が一般道か高速道かを判定する処理を行う。
【0005】
【特許文献1】実開平5−23298号公報(第6−8頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術によれば、例えば一般道と高速道とが隣接して設けられている場合等において、車両が一般道と高速道のいずれを走行しているかを判別することができるので、GPSによる位置特定の誤差により、車両が一般道を走行中であるのに高速道を走行していると判定し、或いは逆に高速道を走行中であるのに一般道を走行していると判定することを防止することが可能となる。したがって、車両が走行中の道路が一般道か高速道かに応じて、車両の速度制御等を行うことができる。
【0007】
しかしながら、上記の技術では、車両が走行している道路が一般道か高速道かということの判定は可能であるが、走行中の道路の中における車両の位置、例えば、走行方向に複数の車線がある道路を車両が走行中である場合において、車両がどの車線を走行しているか等のように、走行中の道路の中における車両の道路幅方向の位置を特定することは不可能である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載された撮像装置により道路上で撮像した画像情報に加えて、地図情報や車両情報等を用いることにより、走行中の道路の中における車両の位置をより詳細に特定することを可能とする車両位置認識装置及び車両位置認識方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る車両位置認識装置の特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0010】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、地図情報から取得した画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を用いることにより、画像情報認識手段により認識された前記地物に対応する認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報とを対比することができ、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0011】
ここで、前記車両位置特定手段は、前記画像情報認識手段により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記道路特徴情報に含まれる前記1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、前記車両の道路幅方向の位置を特定する構成とすると好適である。
【0012】
これにより、特定の認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報に含まれる当該特定の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、撮像装置による道路幅方向の撮像位置、すなわち車両の道路幅方向の位置を高い精度で特定することができる。
【0013】
また、前記画像情報認識手段は、前記画像情報から前記認識対象物の画像候補を抽出して前記道路特徴情報と対比し、前記道路特徴情報との整合性が高い前記画像候補を前記認識対象物の画像として認識する構成とすると好適である。
【0014】
これにより、地図情報から取得される道路特徴情報との整合性が高い画像候補を認識対象物の画像として認識するので、認識対象物と誤認し易い画像的な特徴を有する物が撮像された画像情報に含まれる場合等であっても認識対象物の認識率を高めることができ、車両の道路幅方向の位置を高い精度で特定することが可能となる。
【0015】
本発明に係る車両位置認識装置の更なる特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0016】
この特徴構成によれば、地図情報から取得した道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に基づいて画像情報認識手段により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と対比し、整合性が高い道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、車両の道路幅方向の位置として特定することにより、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができるとともに、その特定のための演算処理を、各位置毎の道路特徴情報と画像情報認識手段の認識結果との整合性の高さを判断する処理とすることができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の際の装置の負荷を軽減することができる。
【0017】
ここで、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、前記車両位置特定手段は、前記車両位置推測手段による推測結果に基づいて、前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報の対比の順序を決定する構成とすると好適である。
【0018】
これにより、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果に基づいて、整合する可能性が高い道路の幅方向の位置を基準とする道路特徴情報から先に画像情報認識手段の認識結果と対比することができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の速度を速くすることができるとともに、その演算処理の際の装置の負荷を更に軽減することができる。
【0019】
また、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、前記車両位置特定手段は、前記車両の道路幅方向の位置の特定に、前記車両位置推測手段による推測結果を用いる構成とすると好適である。
【0020】
これにより、車両の道路幅方向の位置の特定のための情報に、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果を更に加えるので、車両の道路幅方向の位置をより高い精度で特定することが可能となる。
【0021】
また、前記道路特徴情報が、前記地物に関する位置情報と、形状情報及び色彩情報の少なくとも一方とを含む構成とすれば、道路特徴情報を、画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と容易に対比可能な形で取得することができる。
【0022】
また、前記車両位置特定手段は、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路長手方向の位置を特定する構成とすると更に好適である。
【0023】
これにより、車両の道路幅方向の位置の特定のための処理と同様の処理により、車両の道路長手方向の位置も特定することができる。したがって、走行中の道路の中における車両の位置をより詳細に特定することができる。
【0024】
また、前記道路特徴情報取得手段は、ナビゲーション装置を構成する地図情報データベースが有する地図情報から、前記撮像装置による前記画像情報の撮像時に、前記ナビゲーション装置を構成する位置情報取得手段により取得された位置周辺の前記道路特徴情報を取得する構成とすること好適である。
【0025】
これにより、ナビゲーション装置に必須の機能を利用して道路特徴情報を容易に取得することができる。したがって、車両位置認識装置の専用の構成として道路特徴情報を有する地図情報のデータベース及び画像情報の撮像位置の認識装置等を設ける必要がなく、車両位置認識装置を安価に構成することができる。
【0026】
本発明に係る車両位置認識装置のもう一つの特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測手段による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0027】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果を用いることにより、画像情報認識手段により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と車両位置推測手段による推測結果との両方を用いて、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0028】
ここで、前記地物としては、例えば、道路の路面に設けられた区画線や進行方向別通行区分表示等のペイント表示が含まれる。
【0029】
また、前記画像情報取得手段は、車両に搭載した撮像装置により撮像した画像情報を所定の時間間隔で取り込む構成とすること好適である。
【0030】
これにより、車両位置認識装置による車両の道路幅方向の位置を特定する処理を、車両が走行するのに従ってリアルタイムで行うことができる。
【0031】
本発明に係る車両位置認識方法の特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、を有する点にある。
【0032】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、地図情報から取得した画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を用いることにより、画像情報認識工程により認識された前記地物に対応する認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報とを対比することができ、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0033】
本発明に係る車両位置認識方法の更なる特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定工程と、を有する点にある。
【0034】
この特徴構成によれば、地図情報から取得した道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に基づいて画像情報認識工程により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と対比し、整合性が高い道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、車両の道路幅方向の位置として特定することにより、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができるとともに、その特定のための演算処理を、各位置毎の道路特徴情報と画像情報認識工程による認識結果との整合性の高さを判断する処理とすることができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の際の負荷を軽減することができる。
【0035】
本発明に係る車両位置認識装置のもう一つの特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得工程及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得工程の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測工程と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測工程による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する点にある。
【0036】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測肯定による推測結果を用いることにより、画像情報認識工程により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と車両位置推測肯定による推測結果との両方を用いて、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両位置認識装置1のハードウエア構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態に係る車両位置認識装置1は、撮像装置2により撮像された画像情報の認識結果と地図情報から取得した道路特徴情報Cとに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置、すなわち道路幅方向及び道路長手方向の詳細な位置を特定する処理を行う。
【0038】
この図1に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、主たる構成として、車両M(図2参照)に搭載された撮像装置2からの画像情報Gを取り込む画像情報取得部3と、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機4、方位センサ5及び距離センサ6からの出力に基づいて撮像装置2による概略の撮像位置を特定するための演算を行う概略位置特定演算部7と、地図情報データベース8に格納されている地図情報から撮像装置2による概略の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得するための演算を行う道路特徴情報取得演算部9と、取得された道路特徴情報Cを用いて画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識するための演算を行う画像情報認識演算部10と、道路特徴情報取得演算部9で取得された道路特徴情報Cと、画像情報認識演算部10で認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する車両位置特定演算部17と、を備えている。
ここで、概略位置特定演算部7、GPS受信機4、方位センサ5、距離センサ6、及び地図情報データベース8は、車両に搭載され、車両の経路案内等を行うためのナビゲーション装置の構成を利用することができる。この場合、位置特定演算部7、GPS受信機4、方位センサ5、距離センサ6等が、本発明における「位置情報取得手段」に相当する。
【0039】
撮像装置2は、例えばCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子と、この撮像素子に光を導くための光学系を構成するレンズ等を有して構成される。この撮像装置2は、車両Mの、例えば図2のQ1〜Q3で示す位置に前方や後方に向けて配置され、車両Mが走行する道路11の少なくとも路面が撮影され、更にここではその道路11の周囲も撮影されるように設けられる。このような撮像装置2としては、車両Mの前方や後方等の映像を撮像するためにこれまでにも設けられている車載カメラ等が好適に用いられる。
【0040】
画像情報取得部3は、撮像装置2と接続するためのインターフェース回路12と、撮像装置2からの画像情報Gに対して前処理を行う画像前処理回路13と、前処理後の画像情報Gを格納する画像メモリ14とを有している。インターフェース回路12は、アナログ/デジタル・コンバータ等を備えており、撮像装置2により撮像したアナログの画像情報Gを所定の時間間隔で取り込み、デジタル信号に変換して画像前処理回路13へ出力する。このインターフェース回路12による画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部3は、車両Mが走行中の道路11の画像情報をほぼ連続的に取得することができる。画像前処理回路13は、ここでは画像情報Gに対する前処理として二値化処理、エッジ検出処理等の画像情報認識
演算部10による画像認識を容易にするための処理を行う。そして、このような前処理後の画像情報Gが画像メモリ14に格納される。
また、インターフェース回路12は、画像前処理回路13へ送る画像情報Gとは別に、直接画像メモリ14へも画像情報Gを出力する。したがって、画像メモリ14には、画像前処理回路13により前処理を行った後の画像情報G2と、前処理を行っていないそのままの画像情報G1との両方が格納されることになる。
本実施形態においては、この画像情報取得部3が、本発明における「画像情報取得手段」を構成する。
【0041】
概略位置特定演算部7は、本実施形態においては、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6と接続さている。ここで、GPS受信機4は、GPS衛星からの信号を受信する装置であり、GPS受信機4の位置(緯度及び経度)や移動速度など様々な情報を得ることができる。方位センサ5は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成され、車両Mの進行方向を検知することができる。距離センサ6は、車輪の回転数を検知する車速センサや車両Mの加速度を検知するヨー・Gセンサと、検知された加速度を2回積分する回路との組み合わせ等により構成され、車両Mの移動距離を検知することができる。そして、概略位置特定演算部7は、これらのGPS受信機4、方位センサ5及び距離センサ6からの出力に基づいて、車両Mの現在の概略位置を特定する演算を行う。こうして演算された車両Mの位置が撮像装置2の位置となる。
【0042】
この概略位置特定演算部7により特定することができる車両の概略位置の精度は、GPS受信機の精度に大きく影響を受ける。このため、現状では、数十m程度の誤差を含んでいる。よって、この概略位置特定演算部7において、車両Mの道路幅方向及び道路長手方向の詳細な位置を特定することはできない。
【0043】
また、概略位置特定演算部7は、画像情報取得部3のインターフェース回路12とも接続されている。このインターフェース回路12は、撮像装置2による撮像のタイミングで概略位置特定演算部7に対して信号の出力を行う。したがって、概略位置特定演算部7は、このインターフェース回路12からの信号の入力を受けたタイミングでの撮像装置2の位置を演算することにより、画像情報Gの概略の撮像位置を特定することができる。このようにして概略位置特定演算部7により特定された画像情報Gの概略の撮像位置は緯度及び経度の情報により表され、道路特徴情報取得演算部9に出力される。
この概略位置特定演算部7は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
【0044】
道路特徴情報取得演算部9は、概略位置特定演算部7及び地図情報データベース8と接続されている。
図3は、地図情報データベース8に格納されている地図情報の内容を示す説明図である。この図に示すように、本実施形態に係る地図情報データベース8には、地図情報として、道路ネットワークレイヤL1、道路形状レイヤL2、地物レイヤL3が格納されている。
道路ネットワークレイヤL1は、道路11間の接続情報を示すレイヤである。具体的には、緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数のノードNの情報と、2つのノードNを連結して道路11を構成する多数のリンクLの情報とを有して構成されている。また、各リンクLは、そのリンク情報として、道路11の種別(高速道路、有料道路、国道、県道等の種別)やリンク長さ等の情報を有している。
道路形状レイヤL2は、道路ネットワークレイヤL1に関連付けられて格納され、道路11の形状を示すレイヤである。具体的には、2つのノードNの間(リンクL上)に配置されて緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数の道路形状補完点Sの情報と、各道路形状補完点Sにおける道路幅Wの情報とを有して構成されている。
【0045】
地物レイヤL3は、道路ネットワークレイヤL1及び道路形状レイヤL2に関連付けられて格納され、道路11上及び道路11の周辺に設けられた各種地物の情報を示すレイヤである。この地物レイヤL3に格納する地物情報としては、少なくともこの車両位置認識装置1において認識対象物となり得る地物に関する位置、形状、色彩等の情報が格納されている。本実施形態においては、具体的には、道路11の路面に設けられたペイント表示P、道路11に隣接する走行不可能領域I、道路11上に設けられた各種の標識15や信号機16等の各種地物について、道路形状補完点S又はノードNを基準とした地図上の位置、並びに形状及び色彩等の地物情報を有して構成されている。ここで、ペイント表示Pには、例えば、車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の区画線の種類の情報も含む。)、ゼブラゾーン、各レーンの進行方向を指定する進行方向別通行区分表示、停止線、横断歩道、速度表示等が含まれる。また、正確にはペイントによるものではないが、同じく道路11の路面に設けられるマンホールもここではペイント表示Pに含めることとする。走行不可能領域Iには、例えば、道路11に隣接する路肩、歩道、分離帯等が含まれる。
なお、地図情報データベース8は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウエア構成として備えている。
【0046】
そして、道路特徴情報取得演算部9は、概略位置特定演算部7により特定された画像情報Gの撮像位置を示す緯度及び経度の情報に基づいて、地図情報データベース8に格納されている地図情報から、画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得するための演算を行う。ここでは、道路特徴情報取得演算部9は、画像情報Gの撮像位置周辺の、少なくとも撮像装置2による撮像領域を含む領域内に含まれる地物の位置、形状、色彩等の地物情報を、道路特徴情報Cとして地図情報データベース8の地物レイヤL3から抽出する演算処理を行う。
【0047】
この道路特徴情報取得演算部9は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この道路特徴情報取得演算部9が、本発明における「道路特徴情報取得手段」を構成する。
【0048】
画像情報認識演算部10は、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる認識対象物の画像を認識するための演算を行う。本実施形態においては、画像情報認識演算部10は、画像情報取得部3の画像メモリ14及び道路特徴情報取得演算部9と接続されており、道路特徴情報取得演算部9により取得された道路特徴情報Cを用いて画像情報Gの認識処理を行う。
また、画像情報認識演算部10において画像認識を行う認識対象物は、上述したペイント表示P、走行不可能領域I、及び各種の標識15や信号機16等の地物レイヤL3に地物情報として格納されている地物に対応するものとする。
【0049】
この画像情報認識演算部10は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この画像情報認識演算部10が、本発明における「画像情報認識手段」を構成する。
【0050】
画像情報認識演算部10における道路特徴情報Cを用いた画像情報Gの認識処理の具体的方法として、この車両位置認識装置1では、以下の2つの方法をそれぞれ単独で或いはこれらを組み合わせて用いる。
第一の画像認識処理方法は、画像情報Gから認識対象物の画像候補を抽出して道路特徴情報Cと対比し、道路特徴情報Cとの整合性が高い画像候補を認識対象物の画像として認識する処理方法である。
また、第二の画像認識処理方法は、道路特徴情報Cに基づいて画像情報G中における認識対象物の画像が存在する領域を推測し、その推測結果に基づいて、認識対象物の画像が存在すると推測される領域内では認識対象物であるか否かの判断基準が他の領域より低くなるように認識アルゴリズムを調整して、画像情報Gの中から認識対象物の画像を認識する処理方法である。
本実施形態においては、後にフローチャートを用いて説明するように、画像情報認識演算部10は、これらの第一及び第二の画像認識処理方法を組み合わせて、道路11の路面に設けられたペイント表示Pと、道路11に隣接する走行不可能領域Iとを認識する処理を行う。そのため、この画像情報認識演算部10は、ペイント表示認識演算部10a、道路特徴情報照合部10b、領域推測部10c、及び走行不可能領域認識部10dを備えている。
【0051】
車両位置特定演算部17は、道路特徴情報取得演算部9で取得された道路特徴情報Cと、画像情報認識演算部10で認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定するための演算を行う。そのため、本実施形態においては、車両Mの道路幅方向と車両Mの道路長手方向との両方の詳細な位置を特定する演算処理を行う。
本実施形態においては、後にフローチャートを用いて説明するように、車両位置特定演算部17は、画像情報認識演算部10により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の画像情報G中の配置と、道路特徴情報Cに含まれる1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定することにより、車両Mの道路幅方向及び車両Mの道路長手方向の詳細な位置を特定する演算処理を行う。そのため、この車両位置特定演算部17は、配置情報抽出部17a、対比演算部17b、及び撮像位置特定部17cを備えている。
【0052】
この車両位置特定演算部17は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この車両位置特定演算部17が、本発明における「車両位置特定手段」を構成する。
【0053】
そこで、次に、撮像装置2により撮像された画像情報の認識結果と地図情報から取得した道路特徴情報Cとに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する処理の具体例について、図4〜6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0054】
図4に示すように、車両位置認識装置1は、まず、撮像装置2により撮像された画像情報Gを取り込む処理を行う(ステップ#01)。具体的には、車載カメラ等からなる撮像装置2により撮像した画像情報Gをインターフェース回路12を介して画像前処理回路13及び画像メモリ14に送る処理を行う。またこの際、インターフェース回路12は、撮像装置2からの画像情報Gの取り込みのタイミングで、すなわち撮像装置2による撮像のタイミングとほぼ同じタイミングで、概略位置特定演算部7に対して信号の出力を行う。この信号は概略位置特定演算部7に対して撮像のタイミングを知らせるための信号である。
【0055】
画像情報Gの入力を受けた画像前処理回路13では、画像情報Gに対する前処理を行う(ステップ#02)。ここで行う前処理としては、例えば、二値化処理やエッジ検出処理等の画像情報認識演算部10による画像認識を容易にするための各種の処理を行う。図7(a)は、撮像装置2により撮像された画像情報G(G1)の一例であり、図7(b)は、(a)に示された画像情報Gに対して前処理を行った後の画像情報G(G2)の一例である。この図7(b)に示す例では、エッジ検出処理により画像情報Gとして撮像された物の輪郭を示す画像が抽出されている。そして、このステップ#02において前処理が行われた後の画像情報G2、及びインターフェース回路12から直接送られてきた画像情報G1を画像メモリ14に格納する(ステップ#03)。
【0056】
また、ステップ#02及び#03の処理と並行して、概略位置特定演算部7では、画像情報Gの概略の撮像位置を特定する処理を行う(ステップ#04)。具体的には、インターフェース回路12から画像情報Gの取り込みのタイミングを示す信号が出力された時に、それを撮像装置2による撮像のタイミングとして、GPS受信機4、方位センサ5及び距離センサ6に基づいて車両Mの概略の現在位置を特定する演算を行う。そして、これにより特定された車両Mの概略の現在位置を画像情報Gの概略の撮像位置とする。ここで特定された概略の撮像位置の情報は、緯度及び経度の情報として道路特徴情報取得演算部9に送られる。
【0057】
次に、道路特徴情報取得演算部9において、地図情報データベース8に格納されている地図情報から画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得する処理を行う(ステップ#05)。この際、道路特徴情報取得演算部9は、地図情報データベース8に格納されている広範囲の地図情報の中から、ステップ#04において特定された概略の撮像位置の周辺の一定範囲R内の道路特徴情報Cを抽出して取得する。ここで、概略の撮像位置周辺の一定範囲Rとしては、撮像装置2により画像情報Gとして撮像される領域を少なくとも含むように設定すると好適である。
【0058】
図8は、道路特徴情報取得演算部9により取得された道路特徴情報Cの一例を図形化して示したものである。本例では、道路特徴情報Cに含まれる地物としては、ペイント表示Pとして、片側3車線の道路11の車道の外縁を示す2本の実線の区画線P1a、P1bと、3車線の間を区切る2本の破線の区画線P2a、P2bと、3車線のうちの左側車線に設けられたマンホールP3とがある。また、走行不可能領域Iとして、道路11の左側に隣接する歩道I1と、道路11の右側に隣接する中央分離帯I2とがある。なお、この図8は単なる一例であり、画像情報Gの撮像位置によって様々な地物が道路特徴情報Cに含まれることになる。
【0059】
そして、この道路特徴情報Cの内容は、これらの各地物の位置情報、形状情報及び色彩情報により構成されている。ここで、各地物の位置情報は、道路形状補完点S(交差点等のノードNが存在する場所ではノードN(図3参照)も含む。)を基準とする位置情報により表される。すなわち、例えば、ペイント表示Pのうちの実線の区画線P1a、P1bや破線の区画線P2a、P2b、或いは走行不可能領域Iの歩道I1や中央分離帯I2等の道路11に沿って設けられている地物については、道路形状補完点S(又はノードN)からの距離(オフセット量)のみにより表される。一方、例えば、道路11に沿って設けられないマンホールP3や、停止線、標識等の地物については、特定の道路形状補完点S(又はノードN)からの距離及び方向により位置情報を表される。
また、各地物の形状情報は、上記位置情報により特定される位置を基準として縦、横、高さ方向にそれぞれどれだけの大きさを有し、どのような形状(シルエット)を備えているか等の情報を有する。この形状情報は、画像情報Gとの対比が容易となるように簡略化して表された情報とすると好適である。
各地物の色彩情報は、例えば道路標識等の一様な色彩でない地物の場合には、上記形状情報の中の領域毎に色彩情報が格納された情報とすると好適である。
【0060】
次に、画像情報認識演算部10において、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる認識対象物の画像を認識する処理を行う(ステップ#06)。本実施形態においては、画像情報Gに含まれる地物の画像の中で、ペイント表示Pと走行不可能領域Iを認識対象物としている。そして、この認識対象物の画像認識処理として、認識が比較的容易なペイント表示Pの画像認識を行った後、それに基づいて認識アルゴリズムを調整して、ペイント表示Pより認識が困難な走行不可能領域Iの画像認識を行う処理としている。このような画像情報Gの認識処理の具体例を図5のフローチャートに示す。
なお、走行不可能領域Iの画像認識がペイント表示Pの画像認識より困難であるのは、ペイント表示Pは、道路11の路面との輝度や色彩の差が大きく画像認識が比較的容易であるのに対して、路肩、歩道、分離帯等の走行不可能領域Iは、道路11やその周囲との輝度や色彩の差が小さいためにエッジ検出等によっても輪郭を特定することが困難な場合が多いからである。
【0061】
この画像情報Gの認識処理では、図5に示すように、まず、画像情報認識演算部10のペイント表示認識演算部10aにおいて、画像情報Gの中に含まれるペイント表示Pの可能性がある画像候補を抽出する処理を行う(ステップ#61)。具体的には、図7(b)に示されるようにエッジ検出処理等の前処理を行った後の画像情報G2の中から、区画線やマンホール等のペイント表示Pの特徴を表すテンプレート等の予め規定された特徴データと整合性が高い画像を抽出し、それをペイント表示Pの画像候補とする処理を行う。図7に示す例では、前方を走行する車両の画像GS及びそれと重なっている右側の破線の区画線の画像GP2bは除外され、それ以外の画像、すなわち、左側の破線の区画線の画像GP2a、左側の実線の区画線の画像GP1a、その外側にある歩道の縁石の画像GI1a、右側の実線の区画線の画像GP1b、及びマンホールの画像GP3がペイント表示Pの画像候補として抽出される。
【0062】
その後、画像情報認識演算部10の道路特徴情報照合部10bにおいて、ステップ#61で抽出されたペイント表示Pの画像候補と、ステップ#05で取得された道路特徴情報Cの中のペイント表示Pに関する情報とを対比する(ステップ#62)。そして、この対比の結果、位置関係、形状、及び色彩や輝度等の各情報についての整合性が高い画像候補を抽出し、抽出された画像候補をペイント表示Pの画像と認識する(ステップ#63)。図8に示す例では、ペイント表示Pに関する道路特徴情報Cに基づいて、実線及び破線の区画線P1a、P1b、P2a、P2bの位置関係(間隔)、これらの区画線P1a、P1b、P2a、P2bとマンホールP3との位置関係、並びにこれらの区画線P1a、P1b、P2a、P2b及びマンホールP3の形状及び色彩や輝度等がわかる。したがって、これらの道路特徴情報Cと整合性が高い画像情報G中のペイント表示Pの画像候補を抽出することで、ペイント表示Pの可能性が高い画像候補のみを抽出することができる。図7に示す例の場合、このステップ#63の処理により、左側の実線の区画線の画像GP1aの外側にある歩道の縁石の画像GI1aが除外される。そして、このように抽出された画像候補をペイント表示Pの画像と認識する。なお、ペイント表示Pの画像候補の色彩や輝度等の情報は、画像メモリ14に格納されている前処理が行われていない画像情報Gから取得することができる。
図9(a)は、画像情報Gからステップ#63の処理により抽出されたペイント表示Pの画像のみを表した図である。なお、右側の破線の区画線の画像GP2bは、車両の画像GSとともにペイント表示Pの画像候補から除外されているので、ここで抽出されたペイント表示Pの画像には含まれない(なお、図9(a)においては点線で示している)。
【0063】
次に、認識されたペイント表示Pの画像を基準として、画像情報Gと道路特徴情報Cとの照合を行う(ステップ#64)。すなわち、画像情報G中における認識されたペイント表示Pの画像の位置と、道路特徴情報Cに含まれるペイント表示Pの位置とが合致するように対応付けることにより、道路特徴情報Cに含まれる各地物の情報と画像情報Gに含まれる画像とを対応付けることが可能になる。この際、道路11に沿って設けられている区画線GP1a、GP2a等の地物を基準とすることにより道路11の幅方向の位置関係を正確に対応付けることができ、道路11に沿って設けられないマンホールP3や、図示しない停止線、標識等の地物を基準とすることにより道路11に沿った方向の位置関係を正確に対応付けることができる。
【0064】
その後、画像情報認識演算部10の領域推測部10cにおいて、ステップ#64における道路特徴情報Cと画像情報Gとの照合結果に基づいて、画像情報G中における走行不可能領域Iの画像が存在する領域を推測する処理を行う(ステップ#65)。すなわち、上記のステップ#64における画像情報Gと道路特徴情報Cとの照合結果に基づけば、画像情報Gの中におけるペイント表示Pや走行不可能領域Iを含む各地物の画像の配置が推測可能である。そこで、道路特徴情報Cに含まれる走行不可能領域Iの位置及び形状に対応する画像情報G中の領域を、ステップ#07における照合結果から推測する演算を行う。そして、このステップ#08の処理の結果として演算される領域を、走行不可能領域Iの画像が存在する領域と推測する。
【0065】
本実施形態においては、図9(b)に示すように、画像情報Gとして撮像された画像範囲を、ステップ#63の処理により認識されたペイント表示Pの中の区画線P1a、P1b、P2aに基づいて、区画線P1a、P1b、P2aのそれぞれが属する領域A1〜A3と、これらの領域A1〜A3により挟まれた領域A4〜A7とに簡易的に区分している。そして、それぞれの領域A4〜A7が走行不可能領域Iを含むか否かという判断をステップ#64における照合結果に基づいて行うことにより、走行不可能領域Iの画像が存在する領域を推測する処理を行う。ここでは、図8に示されるように、道路特徴情報Cに基づいて、道路11の両側の実線の区画線P1a、P1bの外側にそれぞれ走行不可能領域Iが存在していると判断することができるので、当該道路11の両側の実線の区画線P1a、P1bが属する領域A1及びA3の外側の領域A4及びA7内に走行不可能領域Iの画像が存在と推測できる。
【0066】
次に、ステップ#65の推測結果に基づいて、画像情報認識演算部10の走行不可能領域認識部10dにおける認識アルゴリズムを調整し(ステップ#66)、画像情報Gの中に含まれる走行不可能領域Iの画像の認識を行う(ステップ#67)。
本実施形態においては、ステップ#08において走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内について、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域(ここでは領域A5及びA6)よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整する。すなわち、上述のとおり、歩道I1、分離帯I2、路肩等の走行不可能領域Iは、道路11やその周囲との輝度や色彩の差が小さいためにエッジ検出等によっても輪郭を特定することが困難な場合が多く、ペイント表示Pよりも画像認識が一般的に困難である。そこで、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7について、他の領域よりも走行不可能領域Iと認識しやすくする方向に認識アルゴリズムを調整することにより、走行不可能領域Iの認識率を高めることができる。
なお、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整するためには、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7における判断基準を他の領域に対して低くする方法の他に、他の領域の判断基準を領域A4及びA7に対して高くする方法や、領域A4及びA7における判断基準を他の領域に対して低くするとともに他の領域の判断基準を領域A4及びA7に対して高くする方法等がある。この認識アルゴリズムの具体的な調整方法は、走行不可能領域Iの認識方法に応じた方法とする。
【0067】
例えば、本実施形態においては、走行不可能領域Iの画像の認識アルゴリズムとして、画像情報Gに対してエッジ検出処理を行い、道路11の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出し、このエッジ点数が所定のしきい値以上となっている場所が走行不可能領域Iであると認識するアルゴリズムとしている。そして、この際のしきい値として、図10に示すように、低い値に設定された第一しきい値t1と、高い値に設定された第二しきい値t2とを用いている。すなわち、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内では第一しきい値t1を用い、それ以外の領域A5及びA6内では第二しきい値t2を用いることにより、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内について、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域A5及びA6よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整している。
【0068】
図10は、図7に示す画像情報Gについて、道路11の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出した結果を示すグラフである。この図に示すように、領域A1〜A3は、区画線P1a、P1b、P2aが存在するのでエッジ点数は多くなっていが、これらの領域A1〜A3は走行不可能領域Iの画像認識の対象とはならない。領域A5は、マンホールP3が存在する位置以外はアスファルトの路面のみであるので全体的にエッジ点数は少なくなっている。
一方、領域A4、A6、及びA7は、エッジ点数はある程度多くなっている。結論からいうと、領域A4及びA7はそれぞれ歩道I1又は中央分離帯I2といった走行不可能領域Iが存在することによりエッジ点数が多くなっているのに対して、領域A6は前方の車両の画像Gs及びその車両の画像Gsに隠れた破線の区画線GP2bが存在することによりエッジ点数が多くなっている。しかし、エッジ点数のみからそれが走行不可能領域Iであるか否かを判断することは困難である。
【0069】
そこで、ステップ#65の推測結果に基づいて、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内については、走行不可能領域Iであると判断するしきい値を低い値に設定された第一しきい値t1とし、その他の領域A5及びA6内については、走行不可能領域Iであると判断するしきい値を高い値に設定された第二しきい値t2としている。これにより、ステップ#08の推測結果に基づいて、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内で走行不可能領域Iの検出漏れを減らすとともに、それ以外の領域A5及びA6内で走行不可能領域Iと誤検出することを防止できる。したがって、走行不可能領域Iの認識率を高めることができる。これらの第一しきい値t1及び第二しきい値t2の値は、実験的及び統計的に適切な値を求めるとよい。また、これらの第一しきい値t1及び第二しきい値t2の値を、画像情報Gから抽出される他の情報や車両Mに搭載された他のセンサからの信号等に基づいて変化する可変値とすることも好適な実施形態の一つである。
【0070】
以上のようにして、画像情報認識演算部10において画像情報Gの認識処理を行うことにより、画像情報G中に含まれる認識対象物としてのペイント表示Pと走行不可能領域Iの画像が認識される。図7に示す画像情報Gの例では、図11に示すように、区画線P1a、P1b、P2aの画像GP1a、GP1b、GP2a、マンホールP3の画像Gp3、区画線P1aの画像GP1aの左側の歩道I1の画像GI1、区画線P1bの画像GP1bの右側の中央分離帯I2の画像GI2がそれぞれ認識されることになる。
【0071】
次に、車両位置特定演算部17において、図4に示すように、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cと、ステップ#06により認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する処理を行う(ステップ#07)。本実施形態においては、ステップ#06により認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置と、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cに含まれる前記認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定することにより、車両Mの道路幅方向及び車両Mの道路長手方向の詳細な位置を特定する演算処理を行う。
【0072】
このような車両Mの詳細な位置を特定する処理の具体例を図6のフローチャートに示す。この処理では、まず、車両位置特定演算部17の配置情報抽出部17aにおいて、ステップ#06で認識された各認識対象物の画像情報G中の配置情報を抽出する(ステップ#71)。ここでは、認識対象物の画像情報G中の配置情報としては、各認識対象物の画像情報G中における位置の情報と、それに対応する各認識対象物の形状及び色彩等の情報とが含まれる。図7に示す画像情報Gの例では、図11に示すように、認識対象物として、区画線P1a、P1b、P2aの画像GP1a、GP1b、GP2a、マンホールP3の画像Gp3、歩道I1の画像GI1、中央分離帯I2の画像GI2が認識されているので、このステップ#71では、これらの認識対象物についての画像情報G中の配置情報が抽出される。
【0073】
次に、車両位置特定演算部17の対比演算部17bにおいて、ステップ#71により抽出された各認識対象物の画像情報G中の配置情報と、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cとを対比する処理を行う(ステップ#72)。ここでは、各認識対象物の画像情報G中の配置情報と、道路特徴情報C中に含まれる各地物の配置とを対比し、整合性が高い画像情報G中の認識対象物の画像と道路特徴情報C中の地物の情報とを対応付ける処理を行う。これにより、画像情報G中の各認識対象物の画像が、道路特徴情報C中のどの地物の画像であって、道路特徴情報Cにより表される道路11上のどの位置に配置されているかを特定することができる。
【0074】
その後、車両位置特定演算部17の撮像位置特定部17cにおいて、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定する処理を行う(ステップ#73)。図12は、この処理の手順を模式的に表した図である。すなわち、この撮像位置を詳細に特定する処理は、ステップ#72の対比結果に基づいて、画像情報G中の各認識対象物の画像の配置と整合する画像情報Gの撮像位置を、道路特徴情報C中の位置に対応させて、道路11の道路幅方向及び道路長手方向に詳細に特定することにより行う。
【0075】
そこで、図11に示す画像情報Gの認識結果に基づいて画像情報Gの撮像位置を特定する際の演算処理方法について具体的に説明する。まず道路幅方向の位置を特定する場合、画像情報G中の各認識対象物の画像の配置を解析すると、画像情報Gの中心から、右側に破線の区画線の画像GP2aがあり、左側に実線の区画線の画像GP1aがあることがわかる。また、この実線の区画線の画像GP1aの右側には歩道の画像GI1があり、更に、右側の破線の区画線の画像GP2aと左側の実線の区画線の画像GP1aとの間には、マンホールの画像GP3があることがわかる。これらの各認識対象物の画像は、ステップ#72の処理により道路特徴情報Cに含まれる各地物の情報と対応付けられているので、画像情報G中の上記の各認識対象物の画像の配置の解析結果に基づけば、道路幅方向の撮像位置は、図12に示されている道路特徴情報C中において、3車線の道路11の左側車線(B1位置が存在する車線)内に撮像位置があると特定することができる。また、実線の区画線の画像GP1a又は破線の区画線の画像GP2aの画像情報G中の配置、特に幅方向の配置に基づけば、左側車線内の右寄り又は左寄り等の更に詳細な位置も特定することが可能である。
【0076】
なお、例えば、画像情報Gの撮像位置が、図12のB2位置のように3車線の道路11の中央車線にある場合には、画像情報Gの中心から両側に破線の区画線P2a、P2bの画像が認識されることなる。また、例えば、画像情報Gの撮像位置が、図12のB3位置のように3車線の道路11の右側車線にある場合には、画像情報Gの中心から、左側に破線の区画線P2bの画像が、右側に実線の区画線P1bの画像がそれぞれ認識されることなる。
【0077】
また、道路長手方向の撮像位置を特定する場合は、区画線や歩道等とは異なり、道路11に沿って設けられないマンホール、停止線、標識、信号機等の認識対象物の画像を基準とすることにより道路11に沿った方向、すなわち道路長手方向の撮像位置を詳細に特定することができる。すなわち、画像情報G中における、これらの道路11に沿って設けられていない認識対象物の画像の配置を解析すると、図11に示す例では、マンホールの画像GP3があることがわかる。ここで、撮像装置2は車両Mに所定の高さで所定の撮像方向となるように固定されていることから、マンホールの画像GP3の画像情報G中の配置、特に高さ方向の配置に基づいて、撮像位置からマンホールP3までの距離Dを算出することができる。これにより、画像情報Gの撮像位置を道路長手方向にも詳細に特定することができる。図12に示す例では、この画像情報Gの撮像位置はB1位置と特定されている。
【0078】
以上の演算処理方法により、画像情報Gの撮像位置を道路幅方向及び道路長手方向の双方について詳細に特定することができる。そして、撮像装置2は、車両Mに搭載されているので、この特定された撮像位置を、車両Mの詳細な位置であると特定することができる(ステップ#74)。
【0079】
以上に説明したステップ#01〜#07の一連の処理工程は、所定の時間間隔で繰り返し行われる。これにより、走行中の車両Mの詳細な位置特定をリアルタイムで常時行うことができる。
【0080】
また、車両位置特定演算部17による詳細な車両位置の特定結果は、例えば、図示しない車両Mの走行制御装置やナビゲーション装置等へ出力され、レーンキープ等の車両Mの操舵や車速等の走行制御に用いられ、或いはナビゲーション装置における詳細な自車位置の表示等に用いられる。
【0081】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について図面に基づいて説明する。図13は、本実施形態に係る車両位置認識装置1のハードウエア構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態に係る車両位置認識装置1は、道路特徴情報取得演算部9において地図情報から画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを、道路11の車線毎に異なる複数の位置を基準とする車線別道路特徴情報C´として取得し、各車線別道路特徴情報C´のそれぞれについて、画像情報G中の前記地物に対応する認識対象物の配置と対比することにより、車両Mの車線位置を特定する点で、上記第一の実施形態とは異なる。
また、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、車両Mの進路に関する車両Mからの情報や車両Mの過去の走行経路に関する情報を取得して車両Mの車線位置を推測する車両位置推測演算部18を備え、これによる推測結果を用いて車両Mの車線位置の特定を行う点でも、上記第一の実施形態とは異なる。
【0082】
図13に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、主たる構成として、上記第一の実施形態において説明した構成に加えて、車両位置推測演算部18を更に備えている。この車両位置推測演算部18は、車両Mの進路に関する車両Mからの情報を取得する車両情報取得部19、及び車両Mの過去の走行経路に関する情報を取得して記憶している過去経路記憶部20と接続されており、これらの車両情報取得部19及び過去経路記憶部20からの情報に基づいて、車両Mの車線の位置を推測する演算処理を行う。そして、この車両位置推測演算部18による推測結果は、道路特徴情報取得演算部9に出力されて車線別道路特徴情報C´の取得のための処理に用いられる。
本実施形態においては、この車両位置推測演算部18が、本発明における「車両位置推測手段」を構成する。
【0083】
車両情報取得部19は、本実施形態においては、運転操作検知部21、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6と接続さている。ここで、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6は、既に説明した概略位置特定演算部7に接続されているものと共用しており、これらの出力が車両情報取得部19へも出力されるような構成としている。これにより、車両情報取得部19は、車両Mの移動方向、移動距離、ハンドル操作等の情報を取得することができる。
また、運転操作検知部21は、運転者による運転操作、例えば方向指示器の操作やハンドル操作(方位センサ5の構成として設けられている場合は重複するため除く。)、アクセル操作、ブレーキ操作等を検知するセンサ等により構成され、その検知結果も車両情報取得部19へ出力される。
【0084】
そして、車両情報取得部19は、これら車両の各部から取得した車両情報を総合して、車両Mの進路に関する情報を作成し、その情報を車両位置推測演算部18及び過去経路記憶部20へ出力する。この車両Mの進路に関する情報は、具体的には、車両Mの進路変更の有無及びその角度等の情報となる。
この車両情報取得部19は、このような演算処理を行うためのCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この車両情報取得部19が、本発明における「車両情報取得手段」を構成する。
【0085】
過去経路記憶部20は、車両情報取得部19から出力された車両Mの進路に関する情報を、車両Mの移動距離や移動時間等の情報と関連付けて車両Mの過去の走行経路に関する情報として記憶する処理を行う。そして、この過去経路記憶部20に記憶された車両Mの過去の走行経路に関する情報は、車両位置推測演算部18からの命令信号等に応じて、車両位置推測演算部18へ出力される。
この過去経路記憶部20は、このような演算処理を行うための演算処理装置及びその演算結果を記憶するメモリを中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この過去経路記憶部20が、本発明における「過去経路取得手段」を構成する。
【0086】
また、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、道路特徴情報取得演算部9が、車線情報取得部9a及び車線別道路特徴情報取得演算部9bを備えている点、並びに、車両位置特定演算部17が、配置情報抽出部17a及び撮像位置特定部17cを備えていない代わりに撮像車線特定部17dを備えている点でも、上記第一の実施形態とは異なる。これらの相違は、本実施形態に係る車両位置認識装置1による車両位置の認識処理が、上記第一の実施形態と異なることによるものである。よって、これらの各部により行う処理については、以下にフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0087】
図14は、本実施形態に係る車両位置認識装置1により車両Mの走行中の車線位置を特定する処理の具体例を示すフローチャートである。
この図に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、まず、撮像装置2により撮像された画像情報Gを取り込み(ステップ#101)、画像前処理回路13で画像情報Gに対する前処理を行う(ステップ#102)。そして、このステップ#102において前処理が行われた後の画像情報G2、及びインターフェース回路12から直接送られてきた画像情報G1を画像メモリ14に格納する(ステップ#103)。また、ステップ#012及び#103の処理と並行して、概略位置特定演算部7で画像情報Gの概略の撮像位置を特定する処理を行う(ステップ#104)。なお、これらのステップ#101〜#104の処理は、上記第一の実施形態についての図4のステップ#01〜#04と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
次に、車両位置推測演算部18において、車両Mが走行中の車線を推測する処理を行う(ステップ#105)。この車線を推測する処理は、車両情報取得部19及び過去経路記憶部20からの情報に基づいて行う。すなわち、車両情報取得部19は、車両Mの各部のセンサ等からの情報に基づいて車両Mの進路に関する情報を車両位置推測演算部18に出力する。また、過去経路記憶部20は、車両情報取得部19から出力された車両Mの進路に関する情報を、車両Mの移動距離や移動時間等の情報と関連付けて車両Mの過去の走行経路に関する情報として記憶している。したがって、車両位置推測演算部18は、車両情報取得部19及び過去経路記憶部20から、車両Mが過去に行った進路変更の回数や各進路変更の角度等の履歴及び現在の進路変更の有無の状況等の情報を得ることができる。また、車両位置推測演算部18は、車両Mが行った進路変更の角度や方向指示器の操作等から各進路変更が車線変更か否かを判断することが可能である。車両位置推測演算部18は、これらの情報に基づいて所定の判断アルゴリズムに従って走行中の車線を推測する。
【0089】
この判断アルゴリズムは、例えば以下のようにすることができる。すなわち、例えば、車両Mが走行を開始したときの車線は最も左側の車線であると推測する。また、その状態から車両Mが車線変更に該当する進路変更を右方向にn回行った場合には、左からn番目の車線にいると推測することができる(nは自然数)。更に、その状態から車両Mが車線変更に該当する進路変更を左方向にm回行った場合には、左から(n−m)番目の車線にいると推測することができる(mは自然数)。この際、(n−m)がゼロ又は負の値となった場合には、推測した車線が誤っていたことになるので、そのときの車線を最も左側の車線と推測するように修正を行う。
以上の判断アルゴリズムは単なる一例であり、車両位置推測演算部18における判断アルゴリズムはこれ以外にも、様々なアルゴリズムを用いることが可能である。
【0090】
その後、ステップ#105による推測結果に基づいて、道路特徴情報取得演算部9において車両Mが走行中と推測された車線についての車線別道路特徴情報C´を取得する処理を行う(ステップ#106)。ここでは、まず車線情報取得部9aにより、地図情報データベース8からステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の道路11の車線数を含む車線情報を取得し、次に、取得された車線情報に基づいて、ステップ#105による推測結果として推測された車線についての車線別道路特徴情報C´を、車線別道路特徴情報取得演算部9bにより取得する処理を行う。後述するステップ#108では、取得された車線別道路特徴情報C´について画像情報Gとの対比を行うので、車線別道路特徴情報C´を取得する順序をステップ#105による推測結果に基づいて決定することにより、車線別道路特徴情報C´の対比の順序も決定することになる。
【0091】
車線別道路特徴情報C´は、地図情報データベース8に格納されている広範囲の地図情報の中から、ステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の地物に関する道路特徴情報Cを、特定の車線を基準として抽出した情報である。図15は、この車線別道路特徴情報C´の一例を図形化して示した図である。この図に示すように、本例では、車線別道路特徴情報C´は、ステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の道路特徴情報Cを左側車線、中央車線、及び右側車線の3つの車線毎に、各車線を基準として、当該車線及びその両側の所定範囲内に存在する地物の情報までを含む範囲で抽出したものとしている。図15の(a)は左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1を、(b)は中央車線を基準とする車線別道路特徴情報C´2を、(c)は右側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´3をそれぞれ示している。なお、この図15に示す道路11の全体の地物の配置は図8に示す例と同じである。
【0092】
次に、画像情報認識演算部10において、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する処理を行う(ステップ#107)。この処理は、上記第一の実施形態についての図4のステップ#06と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
その後、車両位置特定演算部17の対比演算部17bにおいて、ステップ#107により認識された認識対象物の画像を含む画像情報Gと、ステップ#106により取得された車線別道路特徴情報C´とを対比する処理を行う(ステップ#108)。本実施形態においては、車線別道路特徴情報C´を、画像情報Gと対比可能な情報の形式に変換する処理を行い、変換後の車線別道路特徴情報C´と画像情報Gとを対比して整合性が高いか否かの判断を行うこととする。ここで、車線別道路特徴情報C´の変換処理として、ここでは、図16に示すように、車線別道路特徴情報C´を、その車線別道路特徴情報C´が基準とする車線のほぼ中央を撮像位置としたときに撮像されると考えられる画像情報に対応する配置となるように車線別道路特徴情報C´に含まれる各地物を配置したデータに変換する処理とする。図16に示す例では、(a)は図15(a)に示す左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1を変換したデータであり、(b)は図15(b)に示す中央車線を基準とする車線別道路特徴情報C´2を変換したデータであり、(c)は図15(c)に示す右側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´3を変換したデータである。
【0094】
このような変換処理を行うことにより、画像情報G中の認識対象物の画像の配置と、車線別道路特徴情報C´に含まれる当該認識対象物に対応する各地物の配置とを容易に対比することができる。この対比の処理は、具体的には、画像情報G中の各認識対象物の画像の位置並びに各認識対象物の画像の形状及び色彩等と、車線別道路特徴情報C´に含まれる前記認識対象物に対応する各地物の位置並びにその形状及び色彩等の情報とを対比して、整合性が高いか否かの判断を行う。例えば、画像情報Gが図7に示す例のとおりである場合には、図16(a)に示される左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1が、車線の両側の区画線P1a、P2a、マンホールP3、及び歩道I1の位置、形状及び色彩等について画像情報Gと整合する。
【0095】
そして、この対比演算部17bにおけるステップ#108の対比の結果、整合性が高い場合には(ステップ#109:YES)、車両位置特定演算部17の撮像車線特定部17bにおいて、その車線別道路特徴情報C´が基準とする車線を車両Mが走行中の車線として特定する(ステップ#110)。
【0096】
一方、この対比演算部17bにおけるステップ#108の対比の結果、整合性が低い場合には(ステップ#109:NO)、隣接する車線の車線別道路特徴情報C´を地図情報データベース8から取得する処理を行う(ステップ#106)。ここで、隣接する車線の車線別道路特徴情報C´を取得するのは、ステップ#105による推測結果が外れていた場合であっても、それに近い車線を車両Mが走行中である可能性が高いからである。この際、例えばステップ#108で最初に対比した車線別道路特徴情報C´が3車線のうちの中央車線を基準とするものであった場合等のように、ステップ#109の判断の結果、整合性が低い車線に隣接する、未だ対比の対象となっていない車線が両側にある場合には、例えば、右側の車線を先に対比する等のように、予め定め一定のアルゴリズムに従って決定することになる。
【0097】
そして、ステップ#110により取得された新たな車線別道路特徴情報C´について、ステップ#108以降の処理を再度行い、ステップ#109において整合性が高いと判断されて車両Mが走行中の車線が特定されるか、或いは、車両Mが走行中の道路11の全ての車線の車線別道路特徴情報C´についてステップ#108の対比処理が行われるまで、ステップ#108〜#110の処理を繰り返し行う。なお、図14のフローチャートには示していないが、車両Mが走行中の道路11の全ての車線の車線別道路特徴情報C´についてステップ#108の対比処理を行った結果、整合性が高い車線別道路特徴情報C´が存在しない場合には、車線位置は不明と判断し、次の画像情報Gについて、ステップ#101〜#111の処理を実行する。
以上の処理により、車両Mが走行中の車線を特定することができる。
【0098】
〔その他の実施形態〕
(1)上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両位置推測演算部18による推測結果は、道路特徴情報取得演算部9に出力されて車線別道路特徴情報C´を取得する際の順序を決定するためにのみ用いられる場合について説明した。しかし、この第二の実施形態に係る車両位置認識装置1において、車両位置推測演算部18による推測結果を車両位置特定演算部17にも出力し、車線位置の特定のための処理に用いる構成とすることも好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、図14のステップ#109の整合性の判断において、車両位置推測演算部18による推測結果との矛盾の有無等を判断の対象に加えると、更に、車線の特定の精度を高めることが可能となる。
同様に、上記第一の実施形態に係る車両位置認識装置1においても、車両位置推測演算部18等を設け、車両位置推測演算部18による推測結果を車両位置特定演算部17に出力し、車両Mの詳細な位置の特定のための処理に用いる構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0099】
(2)上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両Mの詳細な位置として、車両Mが走行中の車線位置を特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、道路11の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報Cとして、車線毎よりも更に細分化した位置毎に道路特徴情報Cを取得することにより、更に詳細な道路幅方向の位置を特定することが可能な構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0100】
(3)また、上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両Mの詳細な位置として、道路幅方向の車線位置を特定する構成について説明したが、上記第二の実施形態の構成において、上記第一の実施形態と同様に、道路11に沿って設けられないマンホール、停止線、標識、信号機等の認識対象物の画像を基準とすることにより、道路11に沿った方向、すなわち道路長手方向の撮像位置を詳細に特定することができる構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0101】
(4)上記の第一及び第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、いずれも、地図情報データベース8から道路特徴情報を取得して画像情報Gと対比することにより車両Mの詳細な位置を特定する処理を行う場合について説明した。しかし、本発明は、このような道路特徴情報を用いるものに限定されない。すなわち、上記の第二の実施形態に係る車両位置認識装置1において道路特徴情報取得演算部9及び地図情報データベース8を備えない構成とし、画像情報認識演算部10による画像情報に含まれる認識対象物の画像の認識結果と、車両位置推測演算部による車両の道路幅方向の位置の推測結果とに基づいて、車両Mの道路幅方向の詳細な位置を特定する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、画像情報Gと道路特徴情報Cとの対比の処理に代えて、画像情報Gと車両位置推測演算部18による推測結果との矛盾の有無の判断の処理を行う構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る車両位置認識装置及び車両位置認識方法は、道路上で撮像した画像情報を用いて、車両の道路幅方向や道路長手方向の詳細な位置を特定することができるので、レーンキープ等の車両Mの操舵や車速等の走行制御、或いはナビゲーション装置における詳細な自車位置の表示等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置のハードウエア構成の概略を示すブロック図
【図2】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における撮像装置の配置例を示す図
【図3】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における地図情報データベースに格納されている地図情報の内容を示す説明図
【図4】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における車両位置の認識処理の具体例を示すフローチャート
【図5】図4のステップ#06の処理の詳細を示すフローチャート
【図6】図4のステップ#07の処理の詳細を示すフローチャート
【図7】(a):撮像装置により撮像された画像情報の一例、(b):(a)に示された画像情報に対して前処理を行った後の画像情報の一例
【図8】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における道路特徴情報取得演算部により取得された道路特徴情報の一例を図形化して示した図
【図9】(a):画像情報からステップ#63の処理により抽出されたペイント表示の画像のみを表した図、(b):(a)に示された画像に基づいて区画線により領域を区分した状態を示す図
【図10】図7に示す画像情報について、道路の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出した結果を示すグラフ
【図11】本発明の第一の実施形態に係る画像認識装置の画像情報認識演算部において認識対象物として認識された画像を示す図
【図12】本発明の第一の実施形態に係る画像認識装置の車両位置特定演算部において、詳細な撮像位置を特定する方法の一例を説明するための説明図
【図13】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置のハードウエア構成の概略を示すブロック図
【図14】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置における車両位置の認識処理の具体例を示すフローチャート
【図15】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置における道路特徴情報取得演算部により取得された車線別道路特徴情報の一例を図形化して示した図
【図16】図15に示される車線別道路特徴情報を画像情報Gと対比可能な情報の形式に変換したデータを示す図
【符号の説明】
【0104】
1:車両位置認識装置
2:撮像装置
3:画像情報取得部(画像情報取得手段)
7:概略位置特定演算部
8:地図情報データベース
9:道路特徴情報取得演算部(道路特徴情報取得手段)
10:画像情報認識演算部(画像情報認識手段)
17:車両位置特定演算部(車両位置特定手段)
18:車両位置推測演算部(車両位置推測手段)
19:車両情報取得部(車両情報取得手段)
20:過去経路記憶部(過去経路取得手段)
G:画像情報
C:道路特徴情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載され、道路上で撮像した画像情報の中に含まれる所定の認識対象物の画像を認識し、車両の道路幅方向の位置を特定する処理を行う車両位置認識装置及び車両位置認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばナビゲーション装置等において、走行中の車両の位置を特定するために、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)からの電波信号を用いた位置特定の方法が広く用いられている。しかし、このGPSによる車両の位置特定の精度は、数十m程度の誤差を含んでおり、それ以上の精度での詳細な位置特定を行うことは困難であった。そこで、このGPSによる位置特定の精度の悪さを補うために、これまでにも様々な技術が提案されている。
【0003】
このような技術として、例えば、下記の特許文献1には、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報について、認識部が画像の輝度等に基づいて区画線を認識し、それにより車両が走行中の道路が一般道か高速道かを判定する技術が開示されている。
【0004】
すなわち、この技術では、撮像した画像中の一定の広さを有するウィンドウ内の輝度が一定の基準を超えている部分を区画線の画像として認識し、或いは、撮像した画像に対して微分処理を行い、エッジに囲まれた部分を区画線の画像として認識する。これにより認識された区画線は、その長さ、区画線間の空白部分の長さ、区画線の繰り返しピッチといった特徴抽出データとして判定部に出力される。そして、判定部では、一般道と高速道とでそれぞれ規格化された区画線の設置基準に基づいて、走行中の道路が一般道か高速道かを判定する処理を行う。
【0005】
【特許文献1】実開平5−23298号公報(第6−8頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術によれば、例えば一般道と高速道とが隣接して設けられている場合等において、車両が一般道と高速道のいずれを走行しているかを判別することができるので、GPSによる位置特定の誤差により、車両が一般道を走行中であるのに高速道を走行していると判定し、或いは逆に高速道を走行中であるのに一般道を走行していると判定することを防止することが可能となる。したがって、車両が走行中の道路が一般道か高速道かに応じて、車両の速度制御等を行うことができる。
【0007】
しかしながら、上記の技術では、車両が走行している道路が一般道か高速道かということの判定は可能であるが、走行中の道路の中における車両の位置、例えば、走行方向に複数の車線がある道路を車両が走行中である場合において、車両がどの車線を走行しているか等のように、走行中の道路の中における車両の道路幅方向の位置を特定することは不可能である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載された撮像装置により道路上で撮像した画像情報に加えて、地図情報や車両情報等を用いることにより、走行中の道路の中における車両の位置をより詳細に特定することを可能とする車両位置認識装置及び車両位置認識方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る車両位置認識装置の特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0010】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、地図情報から取得した画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を用いることにより、画像情報認識手段により認識された前記地物に対応する認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報とを対比することができ、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0011】
ここで、前記車両位置特定手段は、前記画像情報認識手段により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記道路特徴情報に含まれる前記1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、前記車両の道路幅方向の位置を特定する構成とすると好適である。
【0012】
これにより、特定の認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報に含まれる当該特定の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、撮像装置による道路幅方向の撮像位置、すなわち車両の道路幅方向の位置を高い精度で特定することができる。
【0013】
また、前記画像情報認識手段は、前記画像情報から前記認識対象物の画像候補を抽出して前記道路特徴情報と対比し、前記道路特徴情報との整合性が高い前記画像候補を前記認識対象物の画像として認識する構成とすると好適である。
【0014】
これにより、地図情報から取得される道路特徴情報との整合性が高い画像候補を認識対象物の画像として認識するので、認識対象物と誤認し易い画像的な特徴を有する物が撮像された画像情報に含まれる場合等であっても認識対象物の認識率を高めることができ、車両の道路幅方向の位置を高い精度で特定することが可能となる。
【0015】
本発明に係る車両位置認識装置の更なる特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0016】
この特徴構成によれば、地図情報から取得した道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に基づいて画像情報認識手段により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と対比し、整合性が高い道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、車両の道路幅方向の位置として特定することにより、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができるとともに、その特定のための演算処理を、各位置毎の道路特徴情報と画像情報認識手段の認識結果との整合性の高さを判断する処理とすることができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の際の装置の負荷を軽減することができる。
【0017】
ここで、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、前記車両位置特定手段は、前記車両位置推測手段による推測結果に基づいて、前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報の対比の順序を決定する構成とすると好適である。
【0018】
これにより、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果に基づいて、整合する可能性が高い道路の幅方向の位置を基準とする道路特徴情報から先に画像情報認識手段の認識結果と対比することができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の速度を速くすることができるとともに、その演算処理の際の装置の負荷を更に軽減することができる。
【0019】
また、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、前記車両位置特定手段は、前記車両の道路幅方向の位置の特定に、前記車両位置推測手段による推測結果を用いる構成とすると好適である。
【0020】
これにより、車両の道路幅方向の位置の特定のための情報に、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果を更に加えるので、車両の道路幅方向の位置をより高い精度で特定することが可能となる。
【0021】
また、前記道路特徴情報が、前記地物に関する位置情報と、形状情報及び色彩情報の少なくとも一方とを含む構成とすれば、道路特徴情報を、画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と容易に対比可能な形で取得することができる。
【0022】
また、前記車両位置特定手段は、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路長手方向の位置を特定する構成とすると更に好適である。
【0023】
これにより、車両の道路幅方向の位置の特定のための処理と同様の処理により、車両の道路長手方向の位置も特定することができる。したがって、走行中の道路の中における車両の位置をより詳細に特定することができる。
【0024】
また、前記道路特徴情報取得手段は、ナビゲーション装置を構成する地図情報データベースが有する地図情報から、前記撮像装置による前記画像情報の撮像時に、前記ナビゲーション装置を構成する位置情報取得手段により取得された位置周辺の前記道路特徴情報を取得する構成とすること好適である。
【0025】
これにより、ナビゲーション装置に必須の機能を利用して道路特徴情報を容易に取得することができる。したがって、車両位置認識装置の専用の構成として道路特徴情報を有する地図情報のデータベース及び画像情報の撮像位置の認識装置等を設ける必要がなく、車両位置認識装置を安価に構成することができる。
【0026】
本発明に係る車両位置認識装置のもう一つの特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測手段による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、を備える点にある。
【0027】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測手段による推測結果を用いることにより、画像情報認識手段により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と車両位置推測手段による推測結果との両方を用いて、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0028】
ここで、前記地物としては、例えば、道路の路面に設けられた区画線や進行方向別通行区分表示等のペイント表示が含まれる。
【0029】
また、前記画像情報取得手段は、車両に搭載した撮像装置により撮像した画像情報を所定の時間間隔で取り込む構成とすること好適である。
【0030】
これにより、車両位置認識装置による車両の道路幅方向の位置を特定する処理を、車両が走行するのに従ってリアルタイムで行うことができる。
【0031】
本発明に係る車両位置認識方法の特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、を有する点にある。
【0032】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、地図情報から取得した画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を用いることにより、画像情報認識工程により認識された前記地物に対応する認識対象物の画像の画像情報中の配置と、道路特徴情報とを対比することができ、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【0033】
本発明に係る車両位置認識方法の更なる特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定工程と、を有する点にある。
【0034】
この特徴構成によれば、地図情報から取得した道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に基づいて画像情報認識工程により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と対比し、整合性が高い道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、車両の道路幅方向の位置として特定することにより、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができるとともに、その特定のための演算処理を、各位置毎の道路特徴情報と画像情報認識工程による認識結果との整合性の高さを判断する処理とすることができるので、車両の道路幅方向の位置を特定するための演算処理の際の負荷を軽減することができる。
【0035】
本発明に係る車両位置認識装置のもう一つの特徴構成は、車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得工程及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得工程の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測工程と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測工程による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する点にある。
【0036】
この特徴構成によれば、車両に搭載された撮像装置により撮像された画像情報に加えて、車両の現在の状況や過去の走行経路等に基づく車両位置推測肯定による推測結果を用いることにより、画像情報認識工程により認識された認識対象物の画像の画像情報中の配置と車両位置推測肯定による推測結果との両方を用いて、走行中の道路における車両の道路幅方向の位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両位置認識装置1のハードウエア構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態に係る車両位置認識装置1は、撮像装置2により撮像された画像情報の認識結果と地図情報から取得した道路特徴情報Cとに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置、すなわち道路幅方向及び道路長手方向の詳細な位置を特定する処理を行う。
【0038】
この図1に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、主たる構成として、車両M(図2参照)に搭載された撮像装置2からの画像情報Gを取り込む画像情報取得部3と、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機4、方位センサ5及び距離センサ6からの出力に基づいて撮像装置2による概略の撮像位置を特定するための演算を行う概略位置特定演算部7と、地図情報データベース8に格納されている地図情報から撮像装置2による概略の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得するための演算を行う道路特徴情報取得演算部9と、取得された道路特徴情報Cを用いて画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識するための演算を行う画像情報認識演算部10と、道路特徴情報取得演算部9で取得された道路特徴情報Cと、画像情報認識演算部10で認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する車両位置特定演算部17と、を備えている。
ここで、概略位置特定演算部7、GPS受信機4、方位センサ5、距離センサ6、及び地図情報データベース8は、車両に搭載され、車両の経路案内等を行うためのナビゲーション装置の構成を利用することができる。この場合、位置特定演算部7、GPS受信機4、方位センサ5、距離センサ6等が、本発明における「位置情報取得手段」に相当する。
【0039】
撮像装置2は、例えばCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子と、この撮像素子に光を導くための光学系を構成するレンズ等を有して構成される。この撮像装置2は、車両Mの、例えば図2のQ1〜Q3で示す位置に前方や後方に向けて配置され、車両Mが走行する道路11の少なくとも路面が撮影され、更にここではその道路11の周囲も撮影されるように設けられる。このような撮像装置2としては、車両Mの前方や後方等の映像を撮像するためにこれまでにも設けられている車載カメラ等が好適に用いられる。
【0040】
画像情報取得部3は、撮像装置2と接続するためのインターフェース回路12と、撮像装置2からの画像情報Gに対して前処理を行う画像前処理回路13と、前処理後の画像情報Gを格納する画像メモリ14とを有している。インターフェース回路12は、アナログ/デジタル・コンバータ等を備えており、撮像装置2により撮像したアナログの画像情報Gを所定の時間間隔で取り込み、デジタル信号に変換して画像前処理回路13へ出力する。このインターフェース回路12による画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部3は、車両Mが走行中の道路11の画像情報をほぼ連続的に取得することができる。画像前処理回路13は、ここでは画像情報Gに対する前処理として二値化処理、エッジ検出処理等の画像情報認識
演算部10による画像認識を容易にするための処理を行う。そして、このような前処理後の画像情報Gが画像メモリ14に格納される。
また、インターフェース回路12は、画像前処理回路13へ送る画像情報Gとは別に、直接画像メモリ14へも画像情報Gを出力する。したがって、画像メモリ14には、画像前処理回路13により前処理を行った後の画像情報G2と、前処理を行っていないそのままの画像情報G1との両方が格納されることになる。
本実施形態においては、この画像情報取得部3が、本発明における「画像情報取得手段」を構成する。
【0041】
概略位置特定演算部7は、本実施形態においては、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6と接続さている。ここで、GPS受信機4は、GPS衛星からの信号を受信する装置であり、GPS受信機4の位置(緯度及び経度)や移動速度など様々な情報を得ることができる。方位センサ5は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成され、車両Mの進行方向を検知することができる。距離センサ6は、車輪の回転数を検知する車速センサや車両Mの加速度を検知するヨー・Gセンサと、検知された加速度を2回積分する回路との組み合わせ等により構成され、車両Mの移動距離を検知することができる。そして、概略位置特定演算部7は、これらのGPS受信機4、方位センサ5及び距離センサ6からの出力に基づいて、車両Mの現在の概略位置を特定する演算を行う。こうして演算された車両Mの位置が撮像装置2の位置となる。
【0042】
この概略位置特定演算部7により特定することができる車両の概略位置の精度は、GPS受信機の精度に大きく影響を受ける。このため、現状では、数十m程度の誤差を含んでいる。よって、この概略位置特定演算部7において、車両Mの道路幅方向及び道路長手方向の詳細な位置を特定することはできない。
【0043】
また、概略位置特定演算部7は、画像情報取得部3のインターフェース回路12とも接続されている。このインターフェース回路12は、撮像装置2による撮像のタイミングで概略位置特定演算部7に対して信号の出力を行う。したがって、概略位置特定演算部7は、このインターフェース回路12からの信号の入力を受けたタイミングでの撮像装置2の位置を演算することにより、画像情報Gの概略の撮像位置を特定することができる。このようにして概略位置特定演算部7により特定された画像情報Gの概略の撮像位置は緯度及び経度の情報により表され、道路特徴情報取得演算部9に出力される。
この概略位置特定演算部7は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
【0044】
道路特徴情報取得演算部9は、概略位置特定演算部7及び地図情報データベース8と接続されている。
図3は、地図情報データベース8に格納されている地図情報の内容を示す説明図である。この図に示すように、本実施形態に係る地図情報データベース8には、地図情報として、道路ネットワークレイヤL1、道路形状レイヤL2、地物レイヤL3が格納されている。
道路ネットワークレイヤL1は、道路11間の接続情報を示すレイヤである。具体的には、緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数のノードNの情報と、2つのノードNを連結して道路11を構成する多数のリンクLの情報とを有して構成されている。また、各リンクLは、そのリンク情報として、道路11の種別(高速道路、有料道路、国道、県道等の種別)やリンク長さ等の情報を有している。
道路形状レイヤL2は、道路ネットワークレイヤL1に関連付けられて格納され、道路11の形状を示すレイヤである。具体的には、2つのノードNの間(リンクL上)に配置されて緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数の道路形状補完点Sの情報と、各道路形状補完点Sにおける道路幅Wの情報とを有して構成されている。
【0045】
地物レイヤL3は、道路ネットワークレイヤL1及び道路形状レイヤL2に関連付けられて格納され、道路11上及び道路11の周辺に設けられた各種地物の情報を示すレイヤである。この地物レイヤL3に格納する地物情報としては、少なくともこの車両位置認識装置1において認識対象物となり得る地物に関する位置、形状、色彩等の情報が格納されている。本実施形態においては、具体的には、道路11の路面に設けられたペイント表示P、道路11に隣接する走行不可能領域I、道路11上に設けられた各種の標識15や信号機16等の各種地物について、道路形状補完点S又はノードNを基準とした地図上の位置、並びに形状及び色彩等の地物情報を有して構成されている。ここで、ペイント表示Pには、例えば、車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の区画線の種類の情報も含む。)、ゼブラゾーン、各レーンの進行方向を指定する進行方向別通行区分表示、停止線、横断歩道、速度表示等が含まれる。また、正確にはペイントによるものではないが、同じく道路11の路面に設けられるマンホールもここではペイント表示Pに含めることとする。走行不可能領域Iには、例えば、道路11に隣接する路肩、歩道、分離帯等が含まれる。
なお、地図情報データベース8は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウエア構成として備えている。
【0046】
そして、道路特徴情報取得演算部9は、概略位置特定演算部7により特定された画像情報Gの撮像位置を示す緯度及び経度の情報に基づいて、地図情報データベース8に格納されている地図情報から、画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得するための演算を行う。ここでは、道路特徴情報取得演算部9は、画像情報Gの撮像位置周辺の、少なくとも撮像装置2による撮像領域を含む領域内に含まれる地物の位置、形状、色彩等の地物情報を、道路特徴情報Cとして地図情報データベース8の地物レイヤL3から抽出する演算処理を行う。
【0047】
この道路特徴情報取得演算部9は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この道路特徴情報取得演算部9が、本発明における「道路特徴情報取得手段」を構成する。
【0048】
画像情報認識演算部10は、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる認識対象物の画像を認識するための演算を行う。本実施形態においては、画像情報認識演算部10は、画像情報取得部3の画像メモリ14及び道路特徴情報取得演算部9と接続されており、道路特徴情報取得演算部9により取得された道路特徴情報Cを用いて画像情報Gの認識処理を行う。
また、画像情報認識演算部10において画像認識を行う認識対象物は、上述したペイント表示P、走行不可能領域I、及び各種の標識15や信号機16等の地物レイヤL3に地物情報として格納されている地物に対応するものとする。
【0049】
この画像情報認識演算部10は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この画像情報認識演算部10が、本発明における「画像情報認識手段」を構成する。
【0050】
画像情報認識演算部10における道路特徴情報Cを用いた画像情報Gの認識処理の具体的方法として、この車両位置認識装置1では、以下の2つの方法をそれぞれ単独で或いはこれらを組み合わせて用いる。
第一の画像認識処理方法は、画像情報Gから認識対象物の画像候補を抽出して道路特徴情報Cと対比し、道路特徴情報Cとの整合性が高い画像候補を認識対象物の画像として認識する処理方法である。
また、第二の画像認識処理方法は、道路特徴情報Cに基づいて画像情報G中における認識対象物の画像が存在する領域を推測し、その推測結果に基づいて、認識対象物の画像が存在すると推測される領域内では認識対象物であるか否かの判断基準が他の領域より低くなるように認識アルゴリズムを調整して、画像情報Gの中から認識対象物の画像を認識する処理方法である。
本実施形態においては、後にフローチャートを用いて説明するように、画像情報認識演算部10は、これらの第一及び第二の画像認識処理方法を組み合わせて、道路11の路面に設けられたペイント表示Pと、道路11に隣接する走行不可能領域Iとを認識する処理を行う。そのため、この画像情報認識演算部10は、ペイント表示認識演算部10a、道路特徴情報照合部10b、領域推測部10c、及び走行不可能領域認識部10dを備えている。
【0051】
車両位置特定演算部17は、道路特徴情報取得演算部9で取得された道路特徴情報Cと、画像情報認識演算部10で認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定するための演算を行う。そのため、本実施形態においては、車両Mの道路幅方向と車両Mの道路長手方向との両方の詳細な位置を特定する演算処理を行う。
本実施形態においては、後にフローチャートを用いて説明するように、車両位置特定演算部17は、画像情報認識演算部10により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の画像情報G中の配置と、道路特徴情報Cに含まれる1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定することにより、車両Mの道路幅方向及び車両Mの道路長手方向の詳細な位置を特定する演算処理を行う。そのため、この車両位置特定演算部17は、配置情報抽出部17a、対比演算部17b、及び撮像位置特定部17cを備えている。
【0052】
この車両位置特定演算部17は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この車両位置特定演算部17が、本発明における「車両位置特定手段」を構成する。
【0053】
そこで、次に、撮像装置2により撮像された画像情報の認識結果と地図情報から取得した道路特徴情報Cとに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する処理の具体例について、図4〜6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0054】
図4に示すように、車両位置認識装置1は、まず、撮像装置2により撮像された画像情報Gを取り込む処理を行う(ステップ#01)。具体的には、車載カメラ等からなる撮像装置2により撮像した画像情報Gをインターフェース回路12を介して画像前処理回路13及び画像メモリ14に送る処理を行う。またこの際、インターフェース回路12は、撮像装置2からの画像情報Gの取り込みのタイミングで、すなわち撮像装置2による撮像のタイミングとほぼ同じタイミングで、概略位置特定演算部7に対して信号の出力を行う。この信号は概略位置特定演算部7に対して撮像のタイミングを知らせるための信号である。
【0055】
画像情報Gの入力を受けた画像前処理回路13では、画像情報Gに対する前処理を行う(ステップ#02)。ここで行う前処理としては、例えば、二値化処理やエッジ検出処理等の画像情報認識演算部10による画像認識を容易にするための各種の処理を行う。図7(a)は、撮像装置2により撮像された画像情報G(G1)の一例であり、図7(b)は、(a)に示された画像情報Gに対して前処理を行った後の画像情報G(G2)の一例である。この図7(b)に示す例では、エッジ検出処理により画像情報Gとして撮像された物の輪郭を示す画像が抽出されている。そして、このステップ#02において前処理が行われた後の画像情報G2、及びインターフェース回路12から直接送られてきた画像情報G1を画像メモリ14に格納する(ステップ#03)。
【0056】
また、ステップ#02及び#03の処理と並行して、概略位置特定演算部7では、画像情報Gの概略の撮像位置を特定する処理を行う(ステップ#04)。具体的には、インターフェース回路12から画像情報Gの取り込みのタイミングを示す信号が出力された時に、それを撮像装置2による撮像のタイミングとして、GPS受信機4、方位センサ5及び距離センサ6に基づいて車両Mの概略の現在位置を特定する演算を行う。そして、これにより特定された車両Mの概略の現在位置を画像情報Gの概略の撮像位置とする。ここで特定された概略の撮像位置の情報は、緯度及び経度の情報として道路特徴情報取得演算部9に送られる。
【0057】
次に、道路特徴情報取得演算部9において、地図情報データベース8に格納されている地図情報から画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを取得する処理を行う(ステップ#05)。この際、道路特徴情報取得演算部9は、地図情報データベース8に格納されている広範囲の地図情報の中から、ステップ#04において特定された概略の撮像位置の周辺の一定範囲R内の道路特徴情報Cを抽出して取得する。ここで、概略の撮像位置周辺の一定範囲Rとしては、撮像装置2により画像情報Gとして撮像される領域を少なくとも含むように設定すると好適である。
【0058】
図8は、道路特徴情報取得演算部9により取得された道路特徴情報Cの一例を図形化して示したものである。本例では、道路特徴情報Cに含まれる地物としては、ペイント表示Pとして、片側3車線の道路11の車道の外縁を示す2本の実線の区画線P1a、P1bと、3車線の間を区切る2本の破線の区画線P2a、P2bと、3車線のうちの左側車線に設けられたマンホールP3とがある。また、走行不可能領域Iとして、道路11の左側に隣接する歩道I1と、道路11の右側に隣接する中央分離帯I2とがある。なお、この図8は単なる一例であり、画像情報Gの撮像位置によって様々な地物が道路特徴情報Cに含まれることになる。
【0059】
そして、この道路特徴情報Cの内容は、これらの各地物の位置情報、形状情報及び色彩情報により構成されている。ここで、各地物の位置情報は、道路形状補完点S(交差点等のノードNが存在する場所ではノードN(図3参照)も含む。)を基準とする位置情報により表される。すなわち、例えば、ペイント表示Pのうちの実線の区画線P1a、P1bや破線の区画線P2a、P2b、或いは走行不可能領域Iの歩道I1や中央分離帯I2等の道路11に沿って設けられている地物については、道路形状補完点S(又はノードN)からの距離(オフセット量)のみにより表される。一方、例えば、道路11に沿って設けられないマンホールP3や、停止線、標識等の地物については、特定の道路形状補完点S(又はノードN)からの距離及び方向により位置情報を表される。
また、各地物の形状情報は、上記位置情報により特定される位置を基準として縦、横、高さ方向にそれぞれどれだけの大きさを有し、どのような形状(シルエット)を備えているか等の情報を有する。この形状情報は、画像情報Gとの対比が容易となるように簡略化して表された情報とすると好適である。
各地物の色彩情報は、例えば道路標識等の一様な色彩でない地物の場合には、上記形状情報の中の領域毎に色彩情報が格納された情報とすると好適である。
【0060】
次に、画像情報認識演算部10において、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる認識対象物の画像を認識する処理を行う(ステップ#06)。本実施形態においては、画像情報Gに含まれる地物の画像の中で、ペイント表示Pと走行不可能領域Iを認識対象物としている。そして、この認識対象物の画像認識処理として、認識が比較的容易なペイント表示Pの画像認識を行った後、それに基づいて認識アルゴリズムを調整して、ペイント表示Pより認識が困難な走行不可能領域Iの画像認識を行う処理としている。このような画像情報Gの認識処理の具体例を図5のフローチャートに示す。
なお、走行不可能領域Iの画像認識がペイント表示Pの画像認識より困難であるのは、ペイント表示Pは、道路11の路面との輝度や色彩の差が大きく画像認識が比較的容易であるのに対して、路肩、歩道、分離帯等の走行不可能領域Iは、道路11やその周囲との輝度や色彩の差が小さいためにエッジ検出等によっても輪郭を特定することが困難な場合が多いからである。
【0061】
この画像情報Gの認識処理では、図5に示すように、まず、画像情報認識演算部10のペイント表示認識演算部10aにおいて、画像情報Gの中に含まれるペイント表示Pの可能性がある画像候補を抽出する処理を行う(ステップ#61)。具体的には、図7(b)に示されるようにエッジ検出処理等の前処理を行った後の画像情報G2の中から、区画線やマンホール等のペイント表示Pの特徴を表すテンプレート等の予め規定された特徴データと整合性が高い画像を抽出し、それをペイント表示Pの画像候補とする処理を行う。図7に示す例では、前方を走行する車両の画像GS及びそれと重なっている右側の破線の区画線の画像GP2bは除外され、それ以外の画像、すなわち、左側の破線の区画線の画像GP2a、左側の実線の区画線の画像GP1a、その外側にある歩道の縁石の画像GI1a、右側の実線の区画線の画像GP1b、及びマンホールの画像GP3がペイント表示Pの画像候補として抽出される。
【0062】
その後、画像情報認識演算部10の道路特徴情報照合部10bにおいて、ステップ#61で抽出されたペイント表示Pの画像候補と、ステップ#05で取得された道路特徴情報Cの中のペイント表示Pに関する情報とを対比する(ステップ#62)。そして、この対比の結果、位置関係、形状、及び色彩や輝度等の各情報についての整合性が高い画像候補を抽出し、抽出された画像候補をペイント表示Pの画像と認識する(ステップ#63)。図8に示す例では、ペイント表示Pに関する道路特徴情報Cに基づいて、実線及び破線の区画線P1a、P1b、P2a、P2bの位置関係(間隔)、これらの区画線P1a、P1b、P2a、P2bとマンホールP3との位置関係、並びにこれらの区画線P1a、P1b、P2a、P2b及びマンホールP3の形状及び色彩や輝度等がわかる。したがって、これらの道路特徴情報Cと整合性が高い画像情報G中のペイント表示Pの画像候補を抽出することで、ペイント表示Pの可能性が高い画像候補のみを抽出することができる。図7に示す例の場合、このステップ#63の処理により、左側の実線の区画線の画像GP1aの外側にある歩道の縁石の画像GI1aが除外される。そして、このように抽出された画像候補をペイント表示Pの画像と認識する。なお、ペイント表示Pの画像候補の色彩や輝度等の情報は、画像メモリ14に格納されている前処理が行われていない画像情報Gから取得することができる。
図9(a)は、画像情報Gからステップ#63の処理により抽出されたペイント表示Pの画像のみを表した図である。なお、右側の破線の区画線の画像GP2bは、車両の画像GSとともにペイント表示Pの画像候補から除外されているので、ここで抽出されたペイント表示Pの画像には含まれない(なお、図9(a)においては点線で示している)。
【0063】
次に、認識されたペイント表示Pの画像を基準として、画像情報Gと道路特徴情報Cとの照合を行う(ステップ#64)。すなわち、画像情報G中における認識されたペイント表示Pの画像の位置と、道路特徴情報Cに含まれるペイント表示Pの位置とが合致するように対応付けることにより、道路特徴情報Cに含まれる各地物の情報と画像情報Gに含まれる画像とを対応付けることが可能になる。この際、道路11に沿って設けられている区画線GP1a、GP2a等の地物を基準とすることにより道路11の幅方向の位置関係を正確に対応付けることができ、道路11に沿って設けられないマンホールP3や、図示しない停止線、標識等の地物を基準とすることにより道路11に沿った方向の位置関係を正確に対応付けることができる。
【0064】
その後、画像情報認識演算部10の領域推測部10cにおいて、ステップ#64における道路特徴情報Cと画像情報Gとの照合結果に基づいて、画像情報G中における走行不可能領域Iの画像が存在する領域を推測する処理を行う(ステップ#65)。すなわち、上記のステップ#64における画像情報Gと道路特徴情報Cとの照合結果に基づけば、画像情報Gの中におけるペイント表示Pや走行不可能領域Iを含む各地物の画像の配置が推測可能である。そこで、道路特徴情報Cに含まれる走行不可能領域Iの位置及び形状に対応する画像情報G中の領域を、ステップ#07における照合結果から推測する演算を行う。そして、このステップ#08の処理の結果として演算される領域を、走行不可能領域Iの画像が存在する領域と推測する。
【0065】
本実施形態においては、図9(b)に示すように、画像情報Gとして撮像された画像範囲を、ステップ#63の処理により認識されたペイント表示Pの中の区画線P1a、P1b、P2aに基づいて、区画線P1a、P1b、P2aのそれぞれが属する領域A1〜A3と、これらの領域A1〜A3により挟まれた領域A4〜A7とに簡易的に区分している。そして、それぞれの領域A4〜A7が走行不可能領域Iを含むか否かという判断をステップ#64における照合結果に基づいて行うことにより、走行不可能領域Iの画像が存在する領域を推測する処理を行う。ここでは、図8に示されるように、道路特徴情報Cに基づいて、道路11の両側の実線の区画線P1a、P1bの外側にそれぞれ走行不可能領域Iが存在していると判断することができるので、当該道路11の両側の実線の区画線P1a、P1bが属する領域A1及びA3の外側の領域A4及びA7内に走行不可能領域Iの画像が存在と推測できる。
【0066】
次に、ステップ#65の推測結果に基づいて、画像情報認識演算部10の走行不可能領域認識部10dにおける認識アルゴリズムを調整し(ステップ#66)、画像情報Gの中に含まれる走行不可能領域Iの画像の認識を行う(ステップ#67)。
本実施形態においては、ステップ#08において走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内について、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域(ここでは領域A5及びA6)よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整する。すなわち、上述のとおり、歩道I1、分離帯I2、路肩等の走行不可能領域Iは、道路11やその周囲との輝度や色彩の差が小さいためにエッジ検出等によっても輪郭を特定することが困難な場合が多く、ペイント表示Pよりも画像認識が一般的に困難である。そこで、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7について、他の領域よりも走行不可能領域Iと認識しやすくする方向に認識アルゴリズムを調整することにより、走行不可能領域Iの認識率を高めることができる。
なお、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整するためには、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7における判断基準を他の領域に対して低くする方法の他に、他の領域の判断基準を領域A4及びA7に対して高くする方法や、領域A4及びA7における判断基準を他の領域に対して低くするとともに他の領域の判断基準を領域A4及びA7に対して高くする方法等がある。この認識アルゴリズムの具体的な調整方法は、走行不可能領域Iの認識方法に応じた方法とする。
【0067】
例えば、本実施形態においては、走行不可能領域Iの画像の認識アルゴリズムとして、画像情報Gに対してエッジ検出処理を行い、道路11の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出し、このエッジ点数が所定のしきい値以上となっている場所が走行不可能領域Iであると認識するアルゴリズムとしている。そして、この際のしきい値として、図10に示すように、低い値に設定された第一しきい値t1と、高い値に設定された第二しきい値t2とを用いている。すなわち、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内では第一しきい値t1を用い、それ以外の領域A5及びA6内では第二しきい値t2を用いることにより、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内について、走行不可能領域Iであるか否かの判断基準が他の領域A5及びA6よりも低くなるように認識アルゴリズムを調整している。
【0068】
図10は、図7に示す画像情報Gについて、道路11の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出した結果を示すグラフである。この図に示すように、領域A1〜A3は、区画線P1a、P1b、P2aが存在するのでエッジ点数は多くなっていが、これらの領域A1〜A3は走行不可能領域Iの画像認識の対象とはならない。領域A5は、マンホールP3が存在する位置以外はアスファルトの路面のみであるので全体的にエッジ点数は少なくなっている。
一方、領域A4、A6、及びA7は、エッジ点数はある程度多くなっている。結論からいうと、領域A4及びA7はそれぞれ歩道I1又は中央分離帯I2といった走行不可能領域Iが存在することによりエッジ点数が多くなっているのに対して、領域A6は前方の車両の画像Gs及びその車両の画像Gsに隠れた破線の区画線GP2bが存在することによりエッジ点数が多くなっている。しかし、エッジ点数のみからそれが走行不可能領域Iであるか否かを判断することは困難である。
【0069】
そこで、ステップ#65の推測結果に基づいて、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内については、走行不可能領域Iであると判断するしきい値を低い値に設定された第一しきい値t1とし、その他の領域A5及びA6内については、走行不可能領域Iであると判断するしきい値を高い値に設定された第二しきい値t2としている。これにより、ステップ#08の推測結果に基づいて、走行不可能領域Iの画像が存在すると推測された領域A4及びA7内で走行不可能領域Iの検出漏れを減らすとともに、それ以外の領域A5及びA6内で走行不可能領域Iと誤検出することを防止できる。したがって、走行不可能領域Iの認識率を高めることができる。これらの第一しきい値t1及び第二しきい値t2の値は、実験的及び統計的に適切な値を求めるとよい。また、これらの第一しきい値t1及び第二しきい値t2の値を、画像情報Gから抽出される他の情報や車両Mに搭載された他のセンサからの信号等に基づいて変化する可変値とすることも好適な実施形態の一つである。
【0070】
以上のようにして、画像情報認識演算部10において画像情報Gの認識処理を行うことにより、画像情報G中に含まれる認識対象物としてのペイント表示Pと走行不可能領域Iの画像が認識される。図7に示す画像情報Gの例では、図11に示すように、区画線P1a、P1b、P2aの画像GP1a、GP1b、GP2a、マンホールP3の画像Gp3、区画線P1aの画像GP1aの左側の歩道I1の画像GI1、区画線P1bの画像GP1bの右側の中央分離帯I2の画像GI2がそれぞれ認識されることになる。
【0071】
次に、車両位置特定演算部17において、図4に示すように、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cと、ステップ#06により認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置とに基づいて、車両Mの走行中の道路11内における詳細な位置を特定する処理を行う(ステップ#07)。本実施形態においては、ステップ#06により認識された認識対象物の画像の画像情報G中の配置と、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cに含まれる前記認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定することにより、車両Mの道路幅方向及び車両Mの道路長手方向の詳細な位置を特定する演算処理を行う。
【0072】
このような車両Mの詳細な位置を特定する処理の具体例を図6のフローチャートに示す。この処理では、まず、車両位置特定演算部17の配置情報抽出部17aにおいて、ステップ#06で認識された各認識対象物の画像情報G中の配置情報を抽出する(ステップ#71)。ここでは、認識対象物の画像情報G中の配置情報としては、各認識対象物の画像情報G中における位置の情報と、それに対応する各認識対象物の形状及び色彩等の情報とが含まれる。図7に示す画像情報Gの例では、図11に示すように、認識対象物として、区画線P1a、P1b、P2aの画像GP1a、GP1b、GP2a、マンホールP3の画像Gp3、歩道I1の画像GI1、中央分離帯I2の画像GI2が認識されているので、このステップ#71では、これらの認識対象物についての画像情報G中の配置情報が抽出される。
【0073】
次に、車両位置特定演算部17の対比演算部17bにおいて、ステップ#71により抽出された各認識対象物の画像情報G中の配置情報と、ステップ#05により取得された道路特徴情報Cとを対比する処理を行う(ステップ#72)。ここでは、各認識対象物の画像情報G中の配置情報と、道路特徴情報C中に含まれる各地物の配置とを対比し、整合性が高い画像情報G中の認識対象物の画像と道路特徴情報C中の地物の情報とを対応付ける処理を行う。これにより、画像情報G中の各認識対象物の画像が、道路特徴情報C中のどの地物の画像であって、道路特徴情報Cにより表される道路11上のどの位置に配置されているかを特定することができる。
【0074】
その後、車両位置特定演算部17の撮像位置特定部17cにおいて、画像情報Gの撮像位置を詳細に特定する処理を行う(ステップ#73)。図12は、この処理の手順を模式的に表した図である。すなわち、この撮像位置を詳細に特定する処理は、ステップ#72の対比結果に基づいて、画像情報G中の各認識対象物の画像の配置と整合する画像情報Gの撮像位置を、道路特徴情報C中の位置に対応させて、道路11の道路幅方向及び道路長手方向に詳細に特定することにより行う。
【0075】
そこで、図11に示す画像情報Gの認識結果に基づいて画像情報Gの撮像位置を特定する際の演算処理方法について具体的に説明する。まず道路幅方向の位置を特定する場合、画像情報G中の各認識対象物の画像の配置を解析すると、画像情報Gの中心から、右側に破線の区画線の画像GP2aがあり、左側に実線の区画線の画像GP1aがあることがわかる。また、この実線の区画線の画像GP1aの右側には歩道の画像GI1があり、更に、右側の破線の区画線の画像GP2aと左側の実線の区画線の画像GP1aとの間には、マンホールの画像GP3があることがわかる。これらの各認識対象物の画像は、ステップ#72の処理により道路特徴情報Cに含まれる各地物の情報と対応付けられているので、画像情報G中の上記の各認識対象物の画像の配置の解析結果に基づけば、道路幅方向の撮像位置は、図12に示されている道路特徴情報C中において、3車線の道路11の左側車線(B1位置が存在する車線)内に撮像位置があると特定することができる。また、実線の区画線の画像GP1a又は破線の区画線の画像GP2aの画像情報G中の配置、特に幅方向の配置に基づけば、左側車線内の右寄り又は左寄り等の更に詳細な位置も特定することが可能である。
【0076】
なお、例えば、画像情報Gの撮像位置が、図12のB2位置のように3車線の道路11の中央車線にある場合には、画像情報Gの中心から両側に破線の区画線P2a、P2bの画像が認識されることなる。また、例えば、画像情報Gの撮像位置が、図12のB3位置のように3車線の道路11の右側車線にある場合には、画像情報Gの中心から、左側に破線の区画線P2bの画像が、右側に実線の区画線P1bの画像がそれぞれ認識されることなる。
【0077】
また、道路長手方向の撮像位置を特定する場合は、区画線や歩道等とは異なり、道路11に沿って設けられないマンホール、停止線、標識、信号機等の認識対象物の画像を基準とすることにより道路11に沿った方向、すなわち道路長手方向の撮像位置を詳細に特定することができる。すなわち、画像情報G中における、これらの道路11に沿って設けられていない認識対象物の画像の配置を解析すると、図11に示す例では、マンホールの画像GP3があることがわかる。ここで、撮像装置2は車両Mに所定の高さで所定の撮像方向となるように固定されていることから、マンホールの画像GP3の画像情報G中の配置、特に高さ方向の配置に基づいて、撮像位置からマンホールP3までの距離Dを算出することができる。これにより、画像情報Gの撮像位置を道路長手方向にも詳細に特定することができる。図12に示す例では、この画像情報Gの撮像位置はB1位置と特定されている。
【0078】
以上の演算処理方法により、画像情報Gの撮像位置を道路幅方向及び道路長手方向の双方について詳細に特定することができる。そして、撮像装置2は、車両Mに搭載されているので、この特定された撮像位置を、車両Mの詳細な位置であると特定することができる(ステップ#74)。
【0079】
以上に説明したステップ#01〜#07の一連の処理工程は、所定の時間間隔で繰り返し行われる。これにより、走行中の車両Mの詳細な位置特定をリアルタイムで常時行うことができる。
【0080】
また、車両位置特定演算部17による詳細な車両位置の特定結果は、例えば、図示しない車両Mの走行制御装置やナビゲーション装置等へ出力され、レーンキープ等の車両Mの操舵や車速等の走行制御に用いられ、或いはナビゲーション装置における詳細な自車位置の表示等に用いられる。
【0081】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について図面に基づいて説明する。図13は、本実施形態に係る車両位置認識装置1のハードウエア構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態に係る車両位置認識装置1は、道路特徴情報取得演算部9において地図情報から画像情報Gの撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報Cを、道路11の車線毎に異なる複数の位置を基準とする車線別道路特徴情報C´として取得し、各車線別道路特徴情報C´のそれぞれについて、画像情報G中の前記地物に対応する認識対象物の配置と対比することにより、車両Mの車線位置を特定する点で、上記第一の実施形態とは異なる。
また、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、車両Mの進路に関する車両Mからの情報や車両Mの過去の走行経路に関する情報を取得して車両Mの車線位置を推測する車両位置推測演算部18を備え、これによる推測結果を用いて車両Mの車線位置の特定を行う点でも、上記第一の実施形態とは異なる。
【0082】
図13に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、主たる構成として、上記第一の実施形態において説明した構成に加えて、車両位置推測演算部18を更に備えている。この車両位置推測演算部18は、車両Mの進路に関する車両Mからの情報を取得する車両情報取得部19、及び車両Mの過去の走行経路に関する情報を取得して記憶している過去経路記憶部20と接続されており、これらの車両情報取得部19及び過去経路記憶部20からの情報に基づいて、車両Mの車線の位置を推測する演算処理を行う。そして、この車両位置推測演算部18による推測結果は、道路特徴情報取得演算部9に出力されて車線別道路特徴情報C´の取得のための処理に用いられる。
本実施形態においては、この車両位置推測演算部18が、本発明における「車両位置推測手段」を構成する。
【0083】
車両情報取得部19は、本実施形態においては、運転操作検知部21、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6と接続さている。ここで、GPS受信機4、方位センサ5、及び距離センサ6は、既に説明した概略位置特定演算部7に接続されているものと共用しており、これらの出力が車両情報取得部19へも出力されるような構成としている。これにより、車両情報取得部19は、車両Mの移動方向、移動距離、ハンドル操作等の情報を取得することができる。
また、運転操作検知部21は、運転者による運転操作、例えば方向指示器の操作やハンドル操作(方位センサ5の構成として設けられている場合は重複するため除く。)、アクセル操作、ブレーキ操作等を検知するセンサ等により構成され、その検知結果も車両情報取得部19へ出力される。
【0084】
そして、車両情報取得部19は、これら車両の各部から取得した車両情報を総合して、車両Mの進路に関する情報を作成し、その情報を車両位置推測演算部18及び過去経路記憶部20へ出力する。この車両Mの進路に関する情報は、具体的には、車両Mの進路変更の有無及びその角度等の情報となる。
この車両情報取得部19は、このような演算処理を行うためのCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この車両情報取得部19が、本発明における「車両情報取得手段」を構成する。
【0085】
過去経路記憶部20は、車両情報取得部19から出力された車両Mの進路に関する情報を、車両Mの移動距離や移動時間等の情報と関連付けて車両Mの過去の走行経路に関する情報として記憶する処理を行う。そして、この過去経路記憶部20に記憶された車両Mの過去の走行経路に関する情報は、車両位置推測演算部18からの命令信号等に応じて、車両位置推測演算部18へ出力される。
この過去経路記憶部20は、このような演算処理を行うための演算処理装置及びその演算結果を記憶するメモリを中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方で実装された構成を備えている。
本実施形態においては、この過去経路記憶部20が、本発明における「過去経路取得手段」を構成する。
【0086】
また、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、道路特徴情報取得演算部9が、車線情報取得部9a及び車線別道路特徴情報取得演算部9bを備えている点、並びに、車両位置特定演算部17が、配置情報抽出部17a及び撮像位置特定部17cを備えていない代わりに撮像車線特定部17dを備えている点でも、上記第一の実施形態とは異なる。これらの相違は、本実施形態に係る車両位置認識装置1による車両位置の認識処理が、上記第一の実施形態と異なることによるものである。よって、これらの各部により行う処理については、以下にフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0087】
図14は、本実施形態に係る車両位置認識装置1により車両Mの走行中の車線位置を特定する処理の具体例を示すフローチャートである。
この図に示すように、本実施形態に係る車両位置認識装置1は、まず、撮像装置2により撮像された画像情報Gを取り込み(ステップ#101)、画像前処理回路13で画像情報Gに対する前処理を行う(ステップ#102)。そして、このステップ#102において前処理が行われた後の画像情報G2、及びインターフェース回路12から直接送られてきた画像情報G1を画像メモリ14に格納する(ステップ#103)。また、ステップ#012及び#103の処理と並行して、概略位置特定演算部7で画像情報Gの概略の撮像位置を特定する処理を行う(ステップ#104)。なお、これらのステップ#101〜#104の処理は、上記第一の実施形態についての図4のステップ#01〜#04と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
次に、車両位置推測演算部18において、車両Mが走行中の車線を推測する処理を行う(ステップ#105)。この車線を推測する処理は、車両情報取得部19及び過去経路記憶部20からの情報に基づいて行う。すなわち、車両情報取得部19は、車両Mの各部のセンサ等からの情報に基づいて車両Mの進路に関する情報を車両位置推測演算部18に出力する。また、過去経路記憶部20は、車両情報取得部19から出力された車両Mの進路に関する情報を、車両Mの移動距離や移動時間等の情報と関連付けて車両Mの過去の走行経路に関する情報として記憶している。したがって、車両位置推測演算部18は、車両情報取得部19及び過去経路記憶部20から、車両Mが過去に行った進路変更の回数や各進路変更の角度等の履歴及び現在の進路変更の有無の状況等の情報を得ることができる。また、車両位置推測演算部18は、車両Mが行った進路変更の角度や方向指示器の操作等から各進路変更が車線変更か否かを判断することが可能である。車両位置推測演算部18は、これらの情報に基づいて所定の判断アルゴリズムに従って走行中の車線を推測する。
【0089】
この判断アルゴリズムは、例えば以下のようにすることができる。すなわち、例えば、車両Mが走行を開始したときの車線は最も左側の車線であると推測する。また、その状態から車両Mが車線変更に該当する進路変更を右方向にn回行った場合には、左からn番目の車線にいると推測することができる(nは自然数)。更に、その状態から車両Mが車線変更に該当する進路変更を左方向にm回行った場合には、左から(n−m)番目の車線にいると推測することができる(mは自然数)。この際、(n−m)がゼロ又は負の値となった場合には、推測した車線が誤っていたことになるので、そのときの車線を最も左側の車線と推測するように修正を行う。
以上の判断アルゴリズムは単なる一例であり、車両位置推測演算部18における判断アルゴリズムはこれ以外にも、様々なアルゴリズムを用いることが可能である。
【0090】
その後、ステップ#105による推測結果に基づいて、道路特徴情報取得演算部9において車両Mが走行中と推測された車線についての車線別道路特徴情報C´を取得する処理を行う(ステップ#106)。ここでは、まず車線情報取得部9aにより、地図情報データベース8からステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の道路11の車線数を含む車線情報を取得し、次に、取得された車線情報に基づいて、ステップ#105による推測結果として推測された車線についての車線別道路特徴情報C´を、車線別道路特徴情報取得演算部9bにより取得する処理を行う。後述するステップ#108では、取得された車線別道路特徴情報C´について画像情報Gとの対比を行うので、車線別道路特徴情報C´を取得する順序をステップ#105による推測結果に基づいて決定することにより、車線別道路特徴情報C´の対比の順序も決定することになる。
【0091】
車線別道路特徴情報C´は、地図情報データベース8に格納されている広範囲の地図情報の中から、ステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の地物に関する道路特徴情報Cを、特定の車線を基準として抽出した情報である。図15は、この車線別道路特徴情報C´の一例を図形化して示した図である。この図に示すように、本例では、車線別道路特徴情報C´は、ステップ#104において特定された概略の撮像位置の周辺の道路特徴情報Cを左側車線、中央車線、及び右側車線の3つの車線毎に、各車線を基準として、当該車線及びその両側の所定範囲内に存在する地物の情報までを含む範囲で抽出したものとしている。図15の(a)は左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1を、(b)は中央車線を基準とする車線別道路特徴情報C´2を、(c)は右側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´3をそれぞれ示している。なお、この図15に示す道路11の全体の地物の配置は図8に示す例と同じである。
【0092】
次に、画像情報認識演算部10において、画像情報Gの認識処理を行い、画像情報Gの中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する処理を行う(ステップ#107)。この処理は、上記第一の実施形態についての図4のステップ#06と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
その後、車両位置特定演算部17の対比演算部17bにおいて、ステップ#107により認識された認識対象物の画像を含む画像情報Gと、ステップ#106により取得された車線別道路特徴情報C´とを対比する処理を行う(ステップ#108)。本実施形態においては、車線別道路特徴情報C´を、画像情報Gと対比可能な情報の形式に変換する処理を行い、変換後の車線別道路特徴情報C´と画像情報Gとを対比して整合性が高いか否かの判断を行うこととする。ここで、車線別道路特徴情報C´の変換処理として、ここでは、図16に示すように、車線別道路特徴情報C´を、その車線別道路特徴情報C´が基準とする車線のほぼ中央を撮像位置としたときに撮像されると考えられる画像情報に対応する配置となるように車線別道路特徴情報C´に含まれる各地物を配置したデータに変換する処理とする。図16に示す例では、(a)は図15(a)に示す左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1を変換したデータであり、(b)は図15(b)に示す中央車線を基準とする車線別道路特徴情報C´2を変換したデータであり、(c)は図15(c)に示す右側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´3を変換したデータである。
【0094】
このような変換処理を行うことにより、画像情報G中の認識対象物の画像の配置と、車線別道路特徴情報C´に含まれる当該認識対象物に対応する各地物の配置とを容易に対比することができる。この対比の処理は、具体的には、画像情報G中の各認識対象物の画像の位置並びに各認識対象物の画像の形状及び色彩等と、車線別道路特徴情報C´に含まれる前記認識対象物に対応する各地物の位置並びにその形状及び色彩等の情報とを対比して、整合性が高いか否かの判断を行う。例えば、画像情報Gが図7に示す例のとおりである場合には、図16(a)に示される左側車線を基準とする車線別道路特徴情報C´1が、車線の両側の区画線P1a、P2a、マンホールP3、及び歩道I1の位置、形状及び色彩等について画像情報Gと整合する。
【0095】
そして、この対比演算部17bにおけるステップ#108の対比の結果、整合性が高い場合には(ステップ#109:YES)、車両位置特定演算部17の撮像車線特定部17bにおいて、その車線別道路特徴情報C´が基準とする車線を車両Mが走行中の車線として特定する(ステップ#110)。
【0096】
一方、この対比演算部17bにおけるステップ#108の対比の結果、整合性が低い場合には(ステップ#109:NO)、隣接する車線の車線別道路特徴情報C´を地図情報データベース8から取得する処理を行う(ステップ#106)。ここで、隣接する車線の車線別道路特徴情報C´を取得するのは、ステップ#105による推測結果が外れていた場合であっても、それに近い車線を車両Mが走行中である可能性が高いからである。この際、例えばステップ#108で最初に対比した車線別道路特徴情報C´が3車線のうちの中央車線を基準とするものであった場合等のように、ステップ#109の判断の結果、整合性が低い車線に隣接する、未だ対比の対象となっていない車線が両側にある場合には、例えば、右側の車線を先に対比する等のように、予め定め一定のアルゴリズムに従って決定することになる。
【0097】
そして、ステップ#110により取得された新たな車線別道路特徴情報C´について、ステップ#108以降の処理を再度行い、ステップ#109において整合性が高いと判断されて車両Mが走行中の車線が特定されるか、或いは、車両Mが走行中の道路11の全ての車線の車線別道路特徴情報C´についてステップ#108の対比処理が行われるまで、ステップ#108〜#110の処理を繰り返し行う。なお、図14のフローチャートには示していないが、車両Mが走行中の道路11の全ての車線の車線別道路特徴情報C´についてステップ#108の対比処理を行った結果、整合性が高い車線別道路特徴情報C´が存在しない場合には、車線位置は不明と判断し、次の画像情報Gについて、ステップ#101〜#111の処理を実行する。
以上の処理により、車両Mが走行中の車線を特定することができる。
【0098】
〔その他の実施形態〕
(1)上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両位置推測演算部18による推測結果は、道路特徴情報取得演算部9に出力されて車線別道路特徴情報C´を取得する際の順序を決定するためにのみ用いられる場合について説明した。しかし、この第二の実施形態に係る車両位置認識装置1において、車両位置推測演算部18による推測結果を車両位置特定演算部17にも出力し、車線位置の特定のための処理に用いる構成とすることも好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、図14のステップ#109の整合性の判断において、車両位置推測演算部18による推測結果との矛盾の有無等を判断の対象に加えると、更に、車線の特定の精度を高めることが可能となる。
同様に、上記第一の実施形態に係る車両位置認識装置1においても、車両位置推測演算部18等を設け、車両位置推測演算部18による推測結果を車両位置特定演算部17に出力し、車両Mの詳細な位置の特定のための処理に用いる構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0099】
(2)上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両Mの詳細な位置として、車両Mが走行中の車線位置を特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、道路11の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の道路特徴情報Cとして、車線毎よりも更に細分化した位置毎に道路特徴情報Cを取得することにより、更に詳細な道路幅方向の位置を特定することが可能な構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0100】
(3)また、上記第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、車両Mの詳細な位置として、道路幅方向の車線位置を特定する構成について説明したが、上記第二の実施形態の構成において、上記第一の実施形態と同様に、道路11に沿って設けられないマンホール、停止線、標識、信号機等の認識対象物の画像を基準とすることにより、道路11に沿った方向、すなわち道路長手方向の撮像位置を詳細に特定することができる構成とすることも好適な実施形態の一つである。
【0101】
(4)上記の第一及び第二の実施形態に係る車両位置認識装置1では、いずれも、地図情報データベース8から道路特徴情報を取得して画像情報Gと対比することにより車両Mの詳細な位置を特定する処理を行う場合について説明した。しかし、本発明は、このような道路特徴情報を用いるものに限定されない。すなわち、上記の第二の実施形態に係る車両位置認識装置1において道路特徴情報取得演算部9及び地図情報データベース8を備えない構成とし、画像情報認識演算部10による画像情報に含まれる認識対象物の画像の認識結果と、車両位置推測演算部による車両の道路幅方向の位置の推測結果とに基づいて、車両Mの道路幅方向の詳細な位置を特定する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、画像情報Gと道路特徴情報Cとの対比の処理に代えて、画像情報Gと車両位置推測演算部18による推測結果との矛盾の有無の判断の処理を行う構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る車両位置認識装置及び車両位置認識方法は、道路上で撮像した画像情報を用いて、車両の道路幅方向や道路長手方向の詳細な位置を特定することができるので、レーンキープ等の車両Mの操舵や車速等の走行制御、或いはナビゲーション装置における詳細な自車位置の表示等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置のハードウエア構成の概略を示すブロック図
【図2】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における撮像装置の配置例を示す図
【図3】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における地図情報データベースに格納されている地図情報の内容を示す説明図
【図4】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における車両位置の認識処理の具体例を示すフローチャート
【図5】図4のステップ#06の処理の詳細を示すフローチャート
【図6】図4のステップ#07の処理の詳細を示すフローチャート
【図7】(a):撮像装置により撮像された画像情報の一例、(b):(a)に示された画像情報に対して前処理を行った後の画像情報の一例
【図8】本発明の第一の実施形態に係る車両位置認識装置における道路特徴情報取得演算部により取得された道路特徴情報の一例を図形化して示した図
【図9】(a):画像情報からステップ#63の処理により抽出されたペイント表示の画像のみを表した図、(b):(a)に示された画像に基づいて区画線により領域を区分した状態を示す図
【図10】図7に示す画像情報について、道路の幅方向の各位置におけるエッジ点数を検出した結果を示すグラフ
【図11】本発明の第一の実施形態に係る画像認識装置の画像情報認識演算部において認識対象物として認識された画像を示す図
【図12】本発明の第一の実施形態に係る画像認識装置の車両位置特定演算部において、詳細な撮像位置を特定する方法の一例を説明するための説明図
【図13】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置のハードウエア構成の概略を示すブロック図
【図14】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置における車両位置の認識処理の具体例を示すフローチャート
【図15】本発明の第二の実施形態に係る車両位置認識装置における道路特徴情報取得演算部により取得された車線別道路特徴情報の一例を図形化して示した図
【図16】図15に示される車線別道路特徴情報を画像情報Gと対比可能な情報の形式に変換したデータを示す図
【符号の説明】
【0104】
1:車両位置認識装置
2:撮像装置
3:画像情報取得部(画像情報取得手段)
7:概略位置特定演算部
8:地図情報データベース
9:道路特徴情報取得演算部(道路特徴情報取得手段)
10:画像情報認識演算部(画像情報認識手段)
17:車両位置特定演算部(車両位置特定手段)
18:車両位置推測演算部(車両位置推測手段)
19:車両情報取得部(車両情報取得手段)
20:過去経路記憶部(過去経路取得手段)
G:画像情報
C:道路特徴情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項2】
前記車両位置特定手段は、前記画像情報認識手段により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記道路特徴情報に含まれる前記1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、前記車両の道路幅方向の位置を特定する請求項1に記載の車両位置認識装置。
【請求項3】
前記画像情報認識手段は、前記画像情報から前記認識対象物の画像候補を抽出して前記道路特徴情報と対比し、前記道路特徴情報との整合性が高い前記画像候補を前記認識対象物の画像として認識する請求項1又は2に記載の車両位置認識装置。
【請求項4】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項5】
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、
前記車両位置特定手段は、前記車両位置推測手段による推測結果に基づいて、前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報の対比の順序を決定する請求項4に記載の車両位置認識装置。
【請求項6】
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、
前記車両位置特定手段は、前記車両の道路幅方向の位置の特定に、前記車両位置推測手段による推測結果を用いる請求項1から4の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項7】
前記道路特徴情報は、前記地物に関する位置情報と、形状情報及び色彩情報の少なくとも一方とを含む請求項1から6の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項8】
前記車両位置特定手段は、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路長手方向の位置を特定する請求項1から7の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項9】
前記道路特徴情報取得手段は、ナビゲーション装置を構成する地図情報データベースが有する地図情報から、前記撮像装置による前記画像情報の撮像時に、前記ナビゲーション装置を構成する位置情報取得手段により取得された位置周辺の前記道路特徴情報を取得する請求項1から8の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項10】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段と、
前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測手段による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項11】
前記地物として、道路の路面に設けられたペイント表示を含む請求項1から10の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項12】
前記画像情報取得手段は、車両に搭載した撮像装置により撮像した画像情報を所定の時間間隔で取り込む請求項1から11の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項13】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【請求項14】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【請求項15】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得工程及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得工程の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測工程と、
前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測工程による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項2】
前記車両位置特定手段は、前記画像情報認識手段により認識された1又は2以上の認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記道路特徴情報に含まれる前記1又は2以上の認識対象物に対応する物の位置情報とを対比して、前記車両の道路幅方向の位置を特定する請求項1に記載の車両位置認識装置。
【請求項3】
前記画像情報認識手段は、前記画像情報から前記認識対象物の画像候補を抽出して前記道路特徴情報と対比し、前記道路特徴情報との整合性が高い前記画像候補を前記認識対象物の画像として認識する請求項1又は2に記載の車両位置認識装置。
【請求項4】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項5】
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、
前記車両位置特定手段は、前記車両位置推測手段による推測結果に基づいて、前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報の対比の順序を決定する請求項4に記載の車両位置認識装置。
【請求項6】
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段を備え、
前記車両位置特定手段は、前記車両の道路幅方向の位置の特定に、前記車両位置推測手段による推測結果を用いる請求項1から4の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項7】
前記道路特徴情報は、前記地物に関する位置情報と、形状情報及び色彩情報の少なくとも一方とを含む請求項1から6の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項8】
前記車両位置特定手段は、前記道路特徴情報取得手段により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路長手方向の位置を特定する請求項1から7の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項9】
前記道路特徴情報取得手段は、ナビゲーション装置を構成する地図情報データベースが有する地図情報から、前記撮像装置による前記画像情報の撮像時に、前記ナビゲーション装置を構成する位置情報取得手段により取得された位置周辺の前記道路特徴情報を取得する請求項1から8の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項10】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得手段と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識手段と、
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得手段及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得手段の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測手段と、
前記画像情報認識手段により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測手段による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定手段と、
を備える車両位置認識装置。
【請求項11】
前記地物として、道路の路面に設けられたペイント表示を含む請求項1から10の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項12】
前記画像情報取得手段は、車両に搭載した撮像装置により撮像した画像情報を所定の時間間隔で取り込む請求項1から11の何れか一項に記載の車両位置認識装置。
【請求項13】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を取得する道路特徴情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路特徴情報と、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【請求項14】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
地図情報から前記画像情報の撮像位置周辺の地物に関する道路特徴情報を、前記道路の幅方向に異なる複数の位置を基準とする位置毎の情報として取得する道路特徴情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる前記地物に対応する認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記道路特徴情報取得工程により取得された前記道路幅方向の位置毎の道路特徴情報のそれぞれについて、前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と対比し、整合性が高い前記道路特徴情報が基準とする道路幅方向の位置を、前記車両の道路幅方向の位置として特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【請求項15】
車両に搭載された撮像装置により少なくとも道路の路面を撮像した画像情報を取り込む画像情報取得工程と、
前記画像情報の認識処理を行い、前記画像情報の中に含まれる認識対象物の画像を認識する画像情報認識工程と、
前記車両の進路に関する前記車両からの情報を取得する車両情報取得工程及び前記車両の過去の走行経路に関する情報を取得する過去経路取得工程の一方又は双方からの情報に基づいて前記車両の道路幅方向の位置を推測する車両位置推測工程と、
前記画像情報認識工程により認識された前記認識対象物の画像の前記画像情報中の配置と、前記車両位置推測工程による推測結果とに基づいて、前記車両の道路幅方向の位置を特定する車両位置特定工程と、
を有する車両位置認識方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−208223(P2006−208223A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21338(P2005−21338)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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