車両周辺監視装置
【課題】本発明は、適切な位置に配置された表示画像生成用カメラと物標認識用カメラを備える車両周辺監視装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明による車両周辺監視装置は、車室内に配置され、表示部に映す画像を取得する近赤外線カメラ20と、車室内に配置される物標認識用カメラ10とを備え、近赤外線カメラ20が物標認識用カメラ10よりも運転席側に配置されることを特徴とする。近赤外線カメラ20は、好ましくは、車両幅方向で表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置される。
【解決手段】本発明による車両周辺監視装置は、車室内に配置され、表示部に映す画像を取得する近赤外線カメラ20と、車室内に配置される物標認識用カメラ10とを備え、近赤外線カメラ20が物標認識用カメラ10よりも運転席側に配置されることを特徴とする。近赤外線カメラ20は、好ましくは、車両幅方向で表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の用途の異なるカメラを備える車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線ステレオカメラと可視光ステレオカメラを有し、赤外線ステレオカメラにより障害物を検出し、可視光ステレオカメラにより白線を検出する障害物検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この障害物検出装置では、赤外線ステレオカメラを車両前方の車室外に配置し、可視光ステレオカメラを車室内に配置している。また、この障害物検出装置では、可視光ステレオカメラ及び赤外線ステレオカメラにより撮像される画像が表示装置に表示されることはなく、赤外線ステレオカメラによる障害物の検出された障害物の方向に前照灯の照射方向を切換えることで、運転者に実際の障害物を目視により認識させている。
【特許文献1】特開2000−318513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明のように、赤外線ステレオカメラを車室外に配置すると、赤外線ステレオカメラが、温度変化の激しい環境に晒されることになるので、赤外線ステレオカメラで撮像される画像の信頼性が低下する虞がある。
【0004】
ところで、近年では、例えば夜間の運転者の視覚を支援するために、表示画像生成用近赤外線カメラ(表示画像生成用カメラ)を搭載して、近赤外線カメラにより撮像される画像をウインドシールドガラス上に表示させるヘッドアップディスプレイが提案されている。また、車線認識用カメラ(物標認識用カメラ)を搭載して、車両の車線に対する逸脱の防止を支援するレーンキープアシスト制御が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの表示画像生成用カメラと物標認識用カメラは、それぞれ用途が異なるが故に、共通の1つのカメラで構成するのは困難である。従って、表示画像生成用カメラと物標認識用カメラをそれぞれ別のカメラで構成する必要があるが、かかる場合には、それぞれのカメラを適切に配置する必要がある。特に、車両においては、デザイン上の制約、スペース上の制約、運転者の視界を妨げないようにする必要性から生ずる制約、カメラを熱等から保護する必要性から生ずる制約等を考慮しつつ、表示画像生成用カメラの表示画像の見易さ、物標認識用カメラによる物標認識精度等を考慮する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、適切な位置に配置された表示画像生成用カメラと物標認識用カメラを備える車両周辺監視装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車両周辺監視装置は、車室内に配置される表示画像生成用カメラと、
車室内に配置される物標認識用カメラとを備え、
前記表示画像生成用カメラが前記物標認識用カメラよりも運転席側に配置されることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る車両周辺監視装置において、
車室内に配置され、前記表示画像生成用カメラにより撮像された画像を表示する表示部を更に備え、
前記表示画像生成用カメラが、車両幅方向で前記表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置されることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のウインドシールドガラスの上端側に配置されることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のインナミラーの下端位置よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置よりも上方に配置されることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第3の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置されることを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1〜5のうちのいずれかの発明に係る車両周辺監視装置において、
前記物標認識用カメラに接続され、前記物標認識用カメラにより撮像された画像内に含まれうる所定の物標の画像を画像認識する画像処理手段と、
前記画像処理手段に接続され、前記画像処理手段の画像認識結果に基づいて、警報制御又は車両の走行状態の制御を行う制御手段とを更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適切な位置に配置された表示画像生成用カメラと物標認識用カメラを備える車両周辺監視装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0015】
図1は、本発明による車両周辺監視装置1の一実施例を示すシステム構成図である。
【0016】
本実施例の車両周辺監視装置1は、物標認識システム2及びナイトビューシステム3を備える。
【0017】
物標認識システム2は、車室内に配置される物標認識用カメラ10と、画像処理装置12とを備え、本例では、更に、レーンキープアシストECU14と、EPS・ECU16とを備える。物標認識用カメラ10には、画像処理装置12が接続され、画像処理装置12にはレーンキープアシストECU14が接続され、レーンキープアシストECU14には、EPS・ECU16が接続されている。尚、これらの接続態様は、必ずしも有線による接続態様である必要はなく、無線通信可能な態様であってもよい。
【0018】
物標認識用カメラ10は、レンズとCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子により、車両前方の路面を含む前方環境画像を取得する。物標認識用カメラ10は、車両走行中にリアルタイムに前方環境画像を取得し、所定のフレーム周期のストリーム形式で画像処理装置12に供給するものであってよい。物標認識用カメラ10の配置態様については後に詳説する。
【0019】
画像処理装置12は、物標認識用カメラ10から得られる前方環境画像を画像処理して、車両前方の環境に存在する物標を画像認識し、物標情報を生成する。物標情報は、典型的には、道路区画線の位置や障害物の位置等のような、物標の位置情報であるが、物標の方位や速度等に関する情報を含んでよい。本例では、画像処理装置12は、例えばレーンキープアシストECU14からのレーン認識指令に応答して動作し、物標認識用カメラ10の撮像画像を受信及び処理することにより、車両の走行道路における車両両側の道路区画線を検出・認識する。この種の道路区画線の画像認識方法は、多種多様でありえ、任意の適切な方法が採用されてよい。例えば、撮像画像の所定領域を画像処理対象領域としてエッジ処理を行い、パターンマッチングやモルフォロジー演算等を用いて、道路区画線を認識してよい。画像処理装置12によるレーンの検出結果(道路区画線認識結果)は、レーンキープアシストECU14に供給される。
【0020】
レーンキープアシストECU14は、画像処理装置12から得られる物標情報(本例では道路区画線認識結果)に基づいて、車両が車線(レーン)を適切に維持できるように支援する制御(レーンキープアシスト制御)を実行する。レーンキープアシスト制御は、パワーステアリング装置を制御するEPS・ECU16を介して、操舵トルクを制御することで実現されてよい。レーンキープアシスト制御は、例えばユーザからの指示(スイッチ操作)があった場合に開始される。かかる指示が入力されると、レーンキープアシストECU14は、画像処理装置12に対してレーン認識指令を送信する。
【0021】
ナイトビューシステム3は、車室内に配置される近赤外線ないし赤外線カメラ(表示画像生成用カメラの一例)20と、ナイトビューコントローラ22と、ヘッドアップディスプレイ30とを備える。近赤外線カメラ20には、ナイトビューコントローラ22が接続され、ナイトビューコントローラ22には、ヘッドアップディスプレイ30が接続されている。尚、これらの接続態様は、必ずしも有線による接続態様である必要はなく、無線通信可能な態様であってもよい。
【0022】
近赤外線カメラ20は、レンズと近赤外線ないし赤外線感応型のCCDやCMOS等の撮像素子により、車両前方の環境の近赤外画像を取得する。近赤外線カメラ20は、ナイトビューコントローラ22からのオン指令に応答して動作し、動作時にリアルタイムに近赤外画像を取得し、例えばNTSC方式の映像信号としてナイトビューコントローラ22に供給するものであってよい。近赤外線カメラ20の配置態様については後に詳説する。
【0023】
ナイトビューコントローラ22は、ヘッドアップディスプレイ30を制御して、ヘッドアップディスプレイ30上に近赤外画像を表示させる。ナイトビューコントローラ22は、例えばユーザからの指示(スイッチ操作)があった場合に、ヘッドライトに内蔵された近赤外線投光器38(図2参照)をオンにし、近赤外線カメラ20に対してオン指令を送信する。尚、ナイトビューコントローラ22は、その他、ユーザからの指示に応じて、ヘッドアップディスプレイ30の液晶ディスプレイ32(図2参照)の輝度等を調整してもよい。
【0024】
図2は、ヘッドアップディスプレイ30を含むナイトビューシステム3の概要を車両の側面視の断面で示す図である。
【0025】
ヘッドアップディスプレイ30は、主要な構成要素として、インストルメントパネル内に設けられる液晶ディスプレイ32及び凹面鏡34と、ウインドシールドガラスに設けられるコンバイナー36とを有する。液晶ディスプレイ32には、近赤外線カメラ20からNTSC方式の映像信号が入力され、近赤外画像が表示される。液晶ディスプレイ32上に表示された近赤外画像は、凹面鏡34で反射してコンバイナー36に映される。コンバイナー36に反射した光(近赤外画像)は運転者の目に届き、あたかもウインドシールドガラスの外にあるかのような虚像として近赤外画像が認識される。
【0026】
ところで、上述の物標認識システム2及びナイトビューシステム3は、互いに特性が異なるシステムであるので、並設することが可能である。これらのシステム2,3を並設した場合には、上述の如く、2つのカメラ(物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20)を搭載しなければならないが、これら2つのカメラ10,20は、特性や用途等が異なるので、車両における各種制約の下で適切に配置することが重要となる。特に車両においては、先ず、カメラ10,20を熱や温度変化から保護する必要性を考慮する必要がある。また、カメラ10,20の存在が運転者の視界を妨げないようにする必要性を考慮する必要がある。また、物標認識用カメラ10と物標認識用カメラ10の目的ないし用途の相違を考慮する必要がある。例えば、物標認識用カメラ10は、上述の如く車両外部の環境内のランダムな位置に存在しうる物標を確実に捕らえる必要があり、物標認識用カメラ10の搭載位置を決定する際には、かかる点を考慮する必要がある。一方、近赤外線カメラ20の撮像画像は、ヘッドアップディスプレイ30上で運転者に違和感の無い態様で表示される必要があり、近赤外線カメラ20の搭載位置を決定する際には、かかる点を考慮する必要がある。また、2つのカメラ10,20を車室内に搭載する場合には、スペース上の制約や、デザイン上の制約が増えるので、かかる点を考慮する必要がある。
【0027】
以下では、このような制約や必要性を考慮した適切な物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置態様について説明していく。尚、以下では、右ハンドル車を例にして説明するが、左ハンドル車に関しては左右対称に考えればよい。
【0028】
図3は、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の好ましい配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図3において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、ステアリングホイール(ハンドル)の中心部の横位置(車両幅方向の位置)を示す線が一点鎖線C2で示されており、後方視界を反射させて映すインナミラーの下端位置を示す線が一点鎖線H1で示されており、運転席側のサンバイザー(展開時)の下端位置を示す線が一点鎖線H2で示されている。尚、一点鎖線C2は、実質的には、運転席(又はそこに座る運転者)に車両幅方向の中心部の横位置を表す。図4は、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20のその他の好ましい配置例を示す図である。図5は、図3のインナミラーの下端位置H1とサンバイザーの下端位置H2の説明図である。
【0029】
本実施例では、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、車室内、即ちウインドシールドガラスで保護された空間内に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20を外部環境から保護することができ、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の信頼性を確保することができる。
【0030】
また、本実施例では、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)よりも運転席側に配置される。これにより、近赤外線カメラ20は、運転者の視線方向に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。この観点から、好ましくは、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、ステアリングホイールの中心部の横位置(図中のC2参照)と、車両の幅方向の中心位置との間に配置される。
【0031】
また、本実施例では、物標認識用カメラ10は、車両の幅方向の中心位置付近に配置される。これにより、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0032】
但し、物標認識用カメラ10の撮像画像は表示用でなく物標認識用であることから、物標認識用カメラ10の搭載位置は、近赤外線カメラ20の搭載位置を優先して決定される。これは、物標認識用カメラ10が車両の幅方向の中心位置から外れた位置に搭載されても、データの補正が容易であるからでもある。例えば、図4に示すように、近赤外線カメラ20が車両の幅方向の中心位置付近に配置される場合には、物標認識用カメラ10は、近赤外線カメラ20よりも助手席側で、スペース上の制約及びデザイン上の制約が許す限り、できるだけ車両の幅方向の中心位置付近となるような位置に配置されればよい。
【0033】
また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近(上端側)に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20を、インパネ(インストルメントパネルの略)からの熱から保護することができる。また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20が比較的車両から遠距離の領域まで撮像することができる。また、物標認識用カメラ10が比較的車両から近距離の領域を撮像する場合に物標認識用カメラ10に車両のボンネット(フードパネル)が映りこんでしまうことを防止することができる。また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの下縁(インパネ上)に配置した場合には、インパネのデザインによっては、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20が運転者の視界に入ってしまう虞があるが、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置すれば、運転者の視界が阻害される虞も無くなる。
【0034】
また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5も参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5も参照)よりも上方に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置した場合でも、これらのカメラ10,20が運転者の視界を阻害してしまうことを最小限に抑えることができる。この際、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置されてもよい。
【0035】
次に、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の更なるその他の好ましい配置例を複数説明する。
【0036】
図6及び図7は、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図6及び図7において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、コンバイナー36の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C3で示されている。
【0037】
図6に示す例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部、即ちコンバイナー36が車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図6に示すように、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。物標認識用カメラ10は、車両の幅方向の中心位置付近に配置され、近赤外線カメラ20の助手席側端部に隣接して配置されてよい。
【0038】
図7に示す例では、コンバイナー36が車両の幅方向の中心位置よりも運転席側に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図7に示すように、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。尚、物標認識用カメラ10は、好ましくは、車両の幅方向の中心位置に配置されるが、車両幅方向で近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されていればよい。
【0039】
尚、図6及び図7に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0040】
図6及び図7に示す例によれば、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36の位置に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。これにより、運転者は、近赤外画像内の情報を的確に把握しやすくなる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0041】
図8乃至図10は、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図8乃至図10において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、図10において、運転席側のサンバイザー(展開時)の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C4で示されている。尚、以下の図8乃至図10では、インナミラーの裏側に、物標認識用カメラ10や近赤外線カメラ20を搭載するだけの十分なスペースが存在せず、物標認識用カメラ10等をインナミラーの裏側の空間に(即ち車両の幅方向の中心位置に)配置できない場合を想定している。また、以下の図10では、運転席側のサンバイザーの可動範囲(展開時の位置)との関係で、近赤外線カメラ20等をサンバイザーの車両幅方向両端間に配置できない場合を想定している。
【0042】
図8に示す例では、近赤外線カメラ20は、インナミラーの運転席側に配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。即ち、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10は、インナミラーの両脇に、インナミラーを挟んでそれぞれ運転席側及び助手席側に配置されている。
【0043】
図9に示す例では、近赤外線カメラ20は、インナミラーの運転席側に、インナミラーと一体的に配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に、インナミラーと一体的に配置されている。このように、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10は、インナミラーの両脇に、インナミラーを挟んでそれぞれ運転席側及び助手席側に一体的に配置されてもよい。尚、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10のいずれか一方だけがインナミラーに一体的に設けられてもよい。
【0044】
図10に示す例では、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。尚、図10に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0045】
尚、図8乃至図10に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0046】
図8乃至図10に示す例によっても、近赤外線カメラ20は、運転者の視線方向に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。また、図10に示す例では、近赤外線カメラ20を運転席側のサンバイザーやインナミラーの下端位置よりも上方に配置した場合でも、運転席側のサンバイザーの可動範囲が近赤外線カメラ20により制限されることが無くなる。
【0047】
図11及び図12は、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図11及び図12において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、ステアリングホイール(ハンドル)の中心部の横位置(車両幅方向の位置)を示す線が一点鎖線C2で示されており、コンバイナー36の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C3で示されており、運転席側のサンバイザー(展開時)の横位置を示す線が一点鎖線C4で示されている。ここでも、物標認識用カメラ10等をインナミラーの裏側の空間に(即ち車両の幅方向の中心位置に)配置できない場合を想定しており、運転席側のサンバイザーの可動範囲(展開時の位置)との関係で、近赤外線カメラ20等をサンバイザーの車両幅方向両端間に配置できない場合を想定している。
【0048】
図11に示す例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部、即ちコンバイナー36が車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)に配置されている。近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側で、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。尚、図11に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0049】
図12に示す例では、コンバイナー36が車両の幅方向の中心位置よりも運転席側に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図12に示すように、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。尚、図12に示す例では、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36と略同一の横位置に配置されているので、近赤外線カメラ20は、運転者にとってより違和感の無い近赤外画像を取得することができる。また、物標認識用カメラ10は、近赤外線カメラ20に対してインナミラーを挟んで助手席側に配置されている。尚、図12に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、同様に、図中の点線で仮想的に示すように、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0050】
尚、図11及び図12に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0051】
図11及び図12に示す例によれば、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36の位置に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。これにより、運転者は、近赤外画像内の情報を的確に把握しやすくなる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、上述した実施例では、好ましい実施例として、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20がウインドシールドガラスの上縁付近に配置されているが、物標認識用カメラ10及び/又は近赤外線カメラ20がウインドシールドガラスの下縁付近に配置されてもよい。例えば、近赤外線カメラ20は、物標認識用カメラ10よりも遠距離の領域を撮像するのが用途上好適であるので、近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置しつつ、物標認識用カメラ10を、ウインドシールドガラスの下縁付近に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置してもよい。
【0054】
また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20を用いて得られる近赤外画像を運転者に向けて表示しているが、近赤外線カメラ20に代えて、可視光カメラで得られる画像(例えば運転者の死角となる外部の環境の画像)を、表示部に表示させてもよい。この場合、表示部は、コンバイナー36ではなく、液晶ディスプレイ等のディスプレイそのものとなる。このディスプレイは、インパネ等に配置される液晶ディスプレイであって、ナビゲーション装置の地図やTV等を表示する液晶ディスプレイであってよい。また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部は、ウインドシールドガラスに配置されているが、メータ内に配置されてもよい。これは、可視光カメラで得られる画像を、表示部に表示させる場合も同様である。いずれの場合も、表示部と物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20との位置関係は、図6等に示した位置関係であればよい。例えば、メータ内に表示部がある場合には、図7や図12に示した位置関係が好ましい。
【0055】
また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20を用いて得られる近赤外画像を、直接的に表示しているが、本発明はこれに限られない。例えば、可視光カメラで得られる画像(例えば運転者の死角となる外部の環境の画像)を、表示部に表示させる構成においては、例えば鳥瞰表示画像を生成するために、可視光カメラで得られる画像データを加工した上で表示部に表示させてもよい。
【0056】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10を介して取得された白線等の道路区画線に関する物標情報は、レーンキープアシスト制御に用いられているが、他の制御等に利用されてもよい。例えば、物標情報は、物標の位置に応じてヘッドライトの光軸を変化させる制御や、ナビゲーションシステム(図示せず)から得られる自車位置情報の補正に利用されてもよいし、走行車線判定等に用いられてもよい。
【0057】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10は、白線等の道路区画線を物標として認識するためのカメラであったが、車両との関係で衝突の危険性のある障害物(歩行者等の人を含む。)を物標として認識するためのカメラであってもよい。この場合、例えば物標認識用カメラ10を用いて取得される障害物に関する情報は、障害物と車両の衝突前に乗員を保護するためのプリクラッシュ制御に用いられてよい。プリクラッシュ制御は、障害物との衝突前に、警報を出力したり、シートベルトの張力を高めたり、バンパの高さを適切な高さまで駆動したり、ブレーキ力を発生させたりする等の制御を含む。
【0058】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10は、白線等の道路区画線を物標として認識するためのカメラであったが、道路区画線以外の道路標識や、道路に設置された看板や、信号機及びその点灯色や、駐車支援に用いる駐車枠線等を、物標として認識するためのカメラであってもよい。
【0059】
また、上述した実施例において、物標認識用カメラ10や近赤外線カメラ20は、少なくともレンズと撮像素子を含むユニット(筐体)として構成されたものであってよいし、或いは、更に信号処理回路等を含むユニットとして構成されたものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による車両周辺監視装置1の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】ヘッドアップディスプレイ30を含むナイトビューシステムの概要を示す図である。
【図3】物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の好ましい配置例を示す図である。
【図4】物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20のその他の好ましい配置例を示す図である。
【図5】図3のインナミラーの下端位置H1とサンバイザーの下端位置H2の説明図である。
【図6】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図7】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図8】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図9】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図10】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図11】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図12】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車両周辺監視装置
2 物標認識システム
3 ナイトビューシステム
10 物標認識用カメラ
12 画像処理装置
14 レーンキープアシストECU
16 EPS・ECU
20 近赤外線カメラ
22 ナイトビューコントローラ
30 ヘッドアップディスプレイ
32 液晶ディスプレイ
34 凹面鏡
36 コンバイナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の用途の異なるカメラを備える車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線ステレオカメラと可視光ステレオカメラを有し、赤外線ステレオカメラにより障害物を検出し、可視光ステレオカメラにより白線を検出する障害物検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この障害物検出装置では、赤外線ステレオカメラを車両前方の車室外に配置し、可視光ステレオカメラを車室内に配置している。また、この障害物検出装置では、可視光ステレオカメラ及び赤外線ステレオカメラにより撮像される画像が表示装置に表示されることはなく、赤外線ステレオカメラによる障害物の検出された障害物の方向に前照灯の照射方向を切換えることで、運転者に実際の障害物を目視により認識させている。
【特許文献1】特開2000−318513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明のように、赤外線ステレオカメラを車室外に配置すると、赤外線ステレオカメラが、温度変化の激しい環境に晒されることになるので、赤外線ステレオカメラで撮像される画像の信頼性が低下する虞がある。
【0004】
ところで、近年では、例えば夜間の運転者の視覚を支援するために、表示画像生成用近赤外線カメラ(表示画像生成用カメラ)を搭載して、近赤外線カメラにより撮像される画像をウインドシールドガラス上に表示させるヘッドアップディスプレイが提案されている。また、車線認識用カメラ(物標認識用カメラ)を搭載して、車両の車線に対する逸脱の防止を支援するレーンキープアシスト制御が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの表示画像生成用カメラと物標認識用カメラは、それぞれ用途が異なるが故に、共通の1つのカメラで構成するのは困難である。従って、表示画像生成用カメラと物標認識用カメラをそれぞれ別のカメラで構成する必要があるが、かかる場合には、それぞれのカメラを適切に配置する必要がある。特に、車両においては、デザイン上の制約、スペース上の制約、運転者の視界を妨げないようにする必要性から生ずる制約、カメラを熱等から保護する必要性から生ずる制約等を考慮しつつ、表示画像生成用カメラの表示画像の見易さ、物標認識用カメラによる物標認識精度等を考慮する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、適切な位置に配置された表示画像生成用カメラと物標認識用カメラを備える車両周辺監視装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車両周辺監視装置は、車室内に配置される表示画像生成用カメラと、
車室内に配置される物標認識用カメラとを備え、
前記表示画像生成用カメラが前記物標認識用カメラよりも運転席側に配置されることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る車両周辺監視装置において、
車室内に配置され、前記表示画像生成用カメラにより撮像された画像を表示する表示部を更に備え、
前記表示画像生成用カメラが、車両幅方向で前記表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置されることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のウインドシールドガラスの上端側に配置されることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のインナミラーの下端位置よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置よりも上方に配置されることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第3の発明に係る車両周辺監視装置において、
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置されることを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1〜5のうちのいずれかの発明に係る車両周辺監視装置において、
前記物標認識用カメラに接続され、前記物標認識用カメラにより撮像された画像内に含まれうる所定の物標の画像を画像認識する画像処理手段と、
前記画像処理手段に接続され、前記画像処理手段の画像認識結果に基づいて、警報制御又は車両の走行状態の制御を行う制御手段とを更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適切な位置に配置された表示画像生成用カメラと物標認識用カメラを備える車両周辺監視装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0015】
図1は、本発明による車両周辺監視装置1の一実施例を示すシステム構成図である。
【0016】
本実施例の車両周辺監視装置1は、物標認識システム2及びナイトビューシステム3を備える。
【0017】
物標認識システム2は、車室内に配置される物標認識用カメラ10と、画像処理装置12とを備え、本例では、更に、レーンキープアシストECU14と、EPS・ECU16とを備える。物標認識用カメラ10には、画像処理装置12が接続され、画像処理装置12にはレーンキープアシストECU14が接続され、レーンキープアシストECU14には、EPS・ECU16が接続されている。尚、これらの接続態様は、必ずしも有線による接続態様である必要はなく、無線通信可能な態様であってもよい。
【0018】
物標認識用カメラ10は、レンズとCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子により、車両前方の路面を含む前方環境画像を取得する。物標認識用カメラ10は、車両走行中にリアルタイムに前方環境画像を取得し、所定のフレーム周期のストリーム形式で画像処理装置12に供給するものであってよい。物標認識用カメラ10の配置態様については後に詳説する。
【0019】
画像処理装置12は、物標認識用カメラ10から得られる前方環境画像を画像処理して、車両前方の環境に存在する物標を画像認識し、物標情報を生成する。物標情報は、典型的には、道路区画線の位置や障害物の位置等のような、物標の位置情報であるが、物標の方位や速度等に関する情報を含んでよい。本例では、画像処理装置12は、例えばレーンキープアシストECU14からのレーン認識指令に応答して動作し、物標認識用カメラ10の撮像画像を受信及び処理することにより、車両の走行道路における車両両側の道路区画線を検出・認識する。この種の道路区画線の画像認識方法は、多種多様でありえ、任意の適切な方法が採用されてよい。例えば、撮像画像の所定領域を画像処理対象領域としてエッジ処理を行い、パターンマッチングやモルフォロジー演算等を用いて、道路区画線を認識してよい。画像処理装置12によるレーンの検出結果(道路区画線認識結果)は、レーンキープアシストECU14に供給される。
【0020】
レーンキープアシストECU14は、画像処理装置12から得られる物標情報(本例では道路区画線認識結果)に基づいて、車両が車線(レーン)を適切に維持できるように支援する制御(レーンキープアシスト制御)を実行する。レーンキープアシスト制御は、パワーステアリング装置を制御するEPS・ECU16を介して、操舵トルクを制御することで実現されてよい。レーンキープアシスト制御は、例えばユーザからの指示(スイッチ操作)があった場合に開始される。かかる指示が入力されると、レーンキープアシストECU14は、画像処理装置12に対してレーン認識指令を送信する。
【0021】
ナイトビューシステム3は、車室内に配置される近赤外線ないし赤外線カメラ(表示画像生成用カメラの一例)20と、ナイトビューコントローラ22と、ヘッドアップディスプレイ30とを備える。近赤外線カメラ20には、ナイトビューコントローラ22が接続され、ナイトビューコントローラ22には、ヘッドアップディスプレイ30が接続されている。尚、これらの接続態様は、必ずしも有線による接続態様である必要はなく、無線通信可能な態様であってもよい。
【0022】
近赤外線カメラ20は、レンズと近赤外線ないし赤外線感応型のCCDやCMOS等の撮像素子により、車両前方の環境の近赤外画像を取得する。近赤外線カメラ20は、ナイトビューコントローラ22からのオン指令に応答して動作し、動作時にリアルタイムに近赤外画像を取得し、例えばNTSC方式の映像信号としてナイトビューコントローラ22に供給するものであってよい。近赤外線カメラ20の配置態様については後に詳説する。
【0023】
ナイトビューコントローラ22は、ヘッドアップディスプレイ30を制御して、ヘッドアップディスプレイ30上に近赤外画像を表示させる。ナイトビューコントローラ22は、例えばユーザからの指示(スイッチ操作)があった場合に、ヘッドライトに内蔵された近赤外線投光器38(図2参照)をオンにし、近赤外線カメラ20に対してオン指令を送信する。尚、ナイトビューコントローラ22は、その他、ユーザからの指示に応じて、ヘッドアップディスプレイ30の液晶ディスプレイ32(図2参照)の輝度等を調整してもよい。
【0024】
図2は、ヘッドアップディスプレイ30を含むナイトビューシステム3の概要を車両の側面視の断面で示す図である。
【0025】
ヘッドアップディスプレイ30は、主要な構成要素として、インストルメントパネル内に設けられる液晶ディスプレイ32及び凹面鏡34と、ウインドシールドガラスに設けられるコンバイナー36とを有する。液晶ディスプレイ32には、近赤外線カメラ20からNTSC方式の映像信号が入力され、近赤外画像が表示される。液晶ディスプレイ32上に表示された近赤外画像は、凹面鏡34で反射してコンバイナー36に映される。コンバイナー36に反射した光(近赤外画像)は運転者の目に届き、あたかもウインドシールドガラスの外にあるかのような虚像として近赤外画像が認識される。
【0026】
ところで、上述の物標認識システム2及びナイトビューシステム3は、互いに特性が異なるシステムであるので、並設することが可能である。これらのシステム2,3を並設した場合には、上述の如く、2つのカメラ(物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20)を搭載しなければならないが、これら2つのカメラ10,20は、特性や用途等が異なるので、車両における各種制約の下で適切に配置することが重要となる。特に車両においては、先ず、カメラ10,20を熱や温度変化から保護する必要性を考慮する必要がある。また、カメラ10,20の存在が運転者の視界を妨げないようにする必要性を考慮する必要がある。また、物標認識用カメラ10と物標認識用カメラ10の目的ないし用途の相違を考慮する必要がある。例えば、物標認識用カメラ10は、上述の如く車両外部の環境内のランダムな位置に存在しうる物標を確実に捕らえる必要があり、物標認識用カメラ10の搭載位置を決定する際には、かかる点を考慮する必要がある。一方、近赤外線カメラ20の撮像画像は、ヘッドアップディスプレイ30上で運転者に違和感の無い態様で表示される必要があり、近赤外線カメラ20の搭載位置を決定する際には、かかる点を考慮する必要がある。また、2つのカメラ10,20を車室内に搭載する場合には、スペース上の制約や、デザイン上の制約が増えるので、かかる点を考慮する必要がある。
【0027】
以下では、このような制約や必要性を考慮した適切な物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置態様について説明していく。尚、以下では、右ハンドル車を例にして説明するが、左ハンドル車に関しては左右対称に考えればよい。
【0028】
図3は、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の好ましい配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図3において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、ステアリングホイール(ハンドル)の中心部の横位置(車両幅方向の位置)を示す線が一点鎖線C2で示されており、後方視界を反射させて映すインナミラーの下端位置を示す線が一点鎖線H1で示されており、運転席側のサンバイザー(展開時)の下端位置を示す線が一点鎖線H2で示されている。尚、一点鎖線C2は、実質的には、運転席(又はそこに座る運転者)に車両幅方向の中心部の横位置を表す。図4は、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20のその他の好ましい配置例を示す図である。図5は、図3のインナミラーの下端位置H1とサンバイザーの下端位置H2の説明図である。
【0029】
本実施例では、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、車室内、即ちウインドシールドガラスで保護された空間内に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20を外部環境から保護することができ、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の信頼性を確保することができる。
【0030】
また、本実施例では、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)よりも運転席側に配置される。これにより、近赤外線カメラ20は、運転者の視線方向に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。この観点から、好ましくは、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、ステアリングホイールの中心部の横位置(図中のC2参照)と、車両の幅方向の中心位置との間に配置される。
【0031】
また、本実施例では、物標認識用カメラ10は、車両の幅方向の中心位置付近に配置される。これにより、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0032】
但し、物標認識用カメラ10の撮像画像は表示用でなく物標認識用であることから、物標認識用カメラ10の搭載位置は、近赤外線カメラ20の搭載位置を優先して決定される。これは、物標認識用カメラ10が車両の幅方向の中心位置から外れた位置に搭載されても、データの補正が容易であるからでもある。例えば、図4に示すように、近赤外線カメラ20が車両の幅方向の中心位置付近に配置される場合には、物標認識用カメラ10は、近赤外線カメラ20よりも助手席側で、スペース上の制約及びデザイン上の制約が許す限り、できるだけ車両の幅方向の中心位置付近となるような位置に配置されればよい。
【0033】
また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近(上端側)に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20を、インパネ(インストルメントパネルの略)からの熱から保護することができる。また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20が比較的車両から遠距離の領域まで撮像することができる。また、物標認識用カメラ10が比較的車両から近距離の領域を撮像する場合に物標認識用カメラ10に車両のボンネット(フードパネル)が映りこんでしまうことを防止することができる。また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの下縁(インパネ上)に配置した場合には、インパネのデザインによっては、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20が運転者の視界に入ってしまう虞があるが、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置すれば、運転者の視界が阻害される虞も無くなる。
【0034】
また、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5も参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5も参照)よりも上方に配置される。これにより、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置した場合でも、これらのカメラ10,20が運転者の視界を阻害してしまうことを最小限に抑えることができる。この際、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置されてもよい。
【0035】
次に、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の更なるその他の好ましい配置例を複数説明する。
【0036】
図6及び図7は、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図6及び図7において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、コンバイナー36の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C3で示されている。
【0037】
図6に示す例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部、即ちコンバイナー36が車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図6に示すように、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。物標認識用カメラ10は、車両の幅方向の中心位置付近に配置され、近赤外線カメラ20の助手席側端部に隣接して配置されてよい。
【0038】
図7に示す例では、コンバイナー36が車両の幅方向の中心位置よりも運転席側に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図7に示すように、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。尚、物標認識用カメラ10は、好ましくは、車両の幅方向の中心位置に配置されるが、車両幅方向で近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されていればよい。
【0039】
尚、図6及び図7に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0040】
図6及び図7に示す例によれば、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36の位置に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。これにより、運転者は、近赤外画像内の情報を的確に把握しやすくなる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0041】
図8乃至図10は、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図8乃至図10において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、図10において、運転席側のサンバイザー(展開時)の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C4で示されている。尚、以下の図8乃至図10では、インナミラーの裏側に、物標認識用カメラ10や近赤外線カメラ20を搭載するだけの十分なスペースが存在せず、物標認識用カメラ10等をインナミラーの裏側の空間に(即ち車両の幅方向の中心位置に)配置できない場合を想定している。また、以下の図10では、運転席側のサンバイザーの可動範囲(展開時の位置)との関係で、近赤外線カメラ20等をサンバイザーの車両幅方向両端間に配置できない場合を想定している。
【0042】
図8に示す例では、近赤外線カメラ20は、インナミラーの運転席側に配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。即ち、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10は、インナミラーの両脇に、インナミラーを挟んでそれぞれ運転席側及び助手席側に配置されている。
【0043】
図9に示す例では、近赤外線カメラ20は、インナミラーの運転席側に、インナミラーと一体的に配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に、インナミラーと一体的に配置されている。このように、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10は、インナミラーの両脇に、インナミラーを挟んでそれぞれ運転席側及び助手席側に一体的に配置されてもよい。尚、近赤外線カメラ20及び物標認識用カメラ10のいずれか一方だけがインナミラーに一体的に設けられてもよい。
【0044】
図10に示す例では、近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。尚、図10に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0045】
尚、図8乃至図10に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0046】
図8乃至図10に示す例によっても、近赤外線カメラ20は、運転者の視線方向に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。また、図10に示す例では、近赤外線カメラ20を運転席側のサンバイザーやインナミラーの下端位置よりも上方に配置した場合でも、運転席側のサンバイザーの可動範囲が近赤外線カメラ20により制限されることが無くなる。
【0047】
図11及び図12は、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図であり、車両前方側からを斜め下方向に視た車両の正面図である。図11及び図12において、車両の幅方向の中心線が一点鎖線C1で示されており、ステアリングホイール(ハンドル)の中心部の横位置(車両幅方向の位置)を示す線が一点鎖線C2で示されており、コンバイナー36の助手席側端部の横位置を示す線が一点鎖線C3で示されており、運転席側のサンバイザー(展開時)の横位置を示す線が一点鎖線C4で示されている。ここでも、物標認識用カメラ10等をインナミラーの裏側の空間に(即ち車両の幅方向の中心位置に)配置できない場合を想定しており、運転席側のサンバイザーの可動範囲(展開時の位置)との関係で、近赤外線カメラ20等をサンバイザーの車両幅方向両端間に配置できない場合を想定している。
【0048】
図11に示す例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部、即ちコンバイナー36が車両の幅方向の中心位置(図中のC1参照)に配置されている。近赤外線カメラ20は、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側で、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、配置されている。また、物標認識用カメラ10は、インナミラーの助手席側に配置されている。尚、図11に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0049】
図12に示す例では、コンバイナー36が車両の幅方向の中心位置よりも運転席側に配置されている。かかるコンバイナー36の配置に対しては、近赤外線カメラ20は、図12に示すように、車両幅方向で、コンバイナー36の助手席側端部の位置(図中のC3参照)よりも運転席側に配置される。尚、図12に示す例では、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36と略同一の横位置に配置されているので、近赤外線カメラ20は、運転者にとってより違和感の無い近赤外画像を取得することができる。また、物標認識用カメラ10は、近赤外線カメラ20に対してインナミラーを挟んで助手席側に配置されている。尚、図12に示す例において、車幅方向で近赤外線カメラ20とインナミラーとの間に十分な空間がある場合には、物標認識用カメラ10は、同様に、図中の点線で仮想的に示すように、インナミラーの運転席側端部と、運転席側のサンバイザーの助手席側端部の位置(図中のC4参照)との間に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置されてもよい。
【0050】
尚、図11及び図12に示す例においても、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20は、好ましくは、ウインドシールドガラスの上縁付近で、インナミラーの下端位置H1(図5参照)よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置H2(図5参照)よりも上方に配置される。
【0051】
図11及び図12に示す例によれば、近赤外線カメラ20は、コンバイナー36の位置に適合した光軸方向で違和感の無い近赤外画像を取得することができる。これにより、運転者は、近赤外画像内の情報を的確に把握しやすくなる。また、物標認識用カメラ10は、車両前方の環境を左右均等な範囲で捕捉することができ、ひいては物標の認識精度が向上する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、上述した実施例では、好ましい実施例として、物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20がウインドシールドガラスの上縁付近に配置されているが、物標認識用カメラ10及び/又は近赤外線カメラ20がウインドシールドガラスの下縁付近に配置されてもよい。例えば、近赤外線カメラ20は、物標認識用カメラ10よりも遠距離の領域を撮像するのが用途上好適であるので、近赤外線カメラ20をウインドシールドガラスの上縁付近に配置しつつ、物標認識用カメラ10を、ウインドシールドガラスの下縁付近に、近赤外線カメラ20よりも助手席側に配置してもよい。
【0054】
また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20を用いて得られる近赤外画像を運転者に向けて表示しているが、近赤外線カメラ20に代えて、可視光カメラで得られる画像(例えば運転者の死角となる外部の環境の画像)を、表示部に表示させてもよい。この場合、表示部は、コンバイナー36ではなく、液晶ディスプレイ等のディスプレイそのものとなる。このディスプレイは、インパネ等に配置される液晶ディスプレイであって、ナビゲーション装置の地図やTV等を表示する液晶ディスプレイであってよい。また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部は、ウインドシールドガラスに配置されているが、メータ内に配置されてもよい。これは、可視光カメラで得られる画像を、表示部に表示させる場合も同様である。いずれの場合も、表示部と物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20との位置関係は、図6等に示した位置関係であればよい。例えば、メータ内に表示部がある場合には、図7や図12に示した位置関係が好ましい。
【0055】
また、上述した実施例では、近赤外線カメラ20を用いて得られる近赤外画像を、直接的に表示しているが、本発明はこれに限られない。例えば、可視光カメラで得られる画像(例えば運転者の死角となる外部の環境の画像)を、表示部に表示させる構成においては、例えば鳥瞰表示画像を生成するために、可視光カメラで得られる画像データを加工した上で表示部に表示させてもよい。
【0056】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10を介して取得された白線等の道路区画線に関する物標情報は、レーンキープアシスト制御に用いられているが、他の制御等に利用されてもよい。例えば、物標情報は、物標の位置に応じてヘッドライトの光軸を変化させる制御や、ナビゲーションシステム(図示せず)から得られる自車位置情報の補正に利用されてもよいし、走行車線判定等に用いられてもよい。
【0057】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10は、白線等の道路区画線を物標として認識するためのカメラであったが、車両との関係で衝突の危険性のある障害物(歩行者等の人を含む。)を物標として認識するためのカメラであってもよい。この場合、例えば物標認識用カメラ10を用いて取得される障害物に関する情報は、障害物と車両の衝突前に乗員を保護するためのプリクラッシュ制御に用いられてよい。プリクラッシュ制御は、障害物との衝突前に、警報を出力したり、シートベルトの張力を高めたり、バンパの高さを適切な高さまで駆動したり、ブレーキ力を発生させたりする等の制御を含む。
【0058】
また、上述した実施例では、物標認識用カメラ10は、白線等の道路区画線を物標として認識するためのカメラであったが、道路区画線以外の道路標識や、道路に設置された看板や、信号機及びその点灯色や、駐車支援に用いる駐車枠線等を、物標として認識するためのカメラであってもよい。
【0059】
また、上述した実施例において、物標認識用カメラ10や近赤外線カメラ20は、少なくともレンズと撮像素子を含むユニット(筐体)として構成されたものであってよいし、或いは、更に信号処理回路等を含むユニットとして構成されたものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による車両周辺監視装置1の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】ヘッドアップディスプレイ30を含むナイトビューシステムの概要を示す図である。
【図3】物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の好ましい配置例を示す図である。
【図4】物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20のその他の好ましい配置例を示す図である。
【図5】図3のインナミラーの下端位置H1とサンバイザーの下端位置H2の説明図である。
【図6】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図7】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部との関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図8】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図9】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図10】インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図11】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【図12】近赤外線カメラ20の近赤外画像の表示部と、インナミラーやサンバイザーとの関係で好ましい物標認識用カメラ10及び近赤外線カメラ20の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 車両周辺監視装置
2 物標認識システム
3 ナイトビューシステム
10 物標認識用カメラ
12 画像処理装置
14 レーンキープアシストECU
16 EPS・ECU
20 近赤外線カメラ
22 ナイトビューコントローラ
30 ヘッドアップディスプレイ
32 液晶ディスプレイ
34 凹面鏡
36 コンバイナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置される表示画像生成用カメラと、
車室内に配置される物標認識用カメラとを備え、
前記表示画像生成用カメラが前記物標認識用カメラよりも運転席側に配置されることを特徴とする、車両周辺監視装置。
【請求項2】
車室内に配置され、前記表示画像生成用カメラにより撮像された画像を表示する表示部を更に備え、
前記表示画像生成用カメラが、車両幅方向で前記表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置される、請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のウインドシールドガラスの上端側に配置される、請求項1又は2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のインナミラーの下端位置よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置よりも上方に配置される、請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置される、請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
前記物標認識用カメラに接続され、前記物標認識用カメラにより撮像された画像内に含まれうる所定の物標の画像を画像認識する画像処理手段と、
前記画像処理手段に接続され、前記画像処理手段の画像認識結果に基づいて、警報制御又は車両の走行状態の制御を行う制御手段とを更に備える、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項1】
車室内に配置される表示画像生成用カメラと、
車室内に配置される物標認識用カメラとを備え、
前記表示画像生成用カメラが前記物標認識用カメラよりも運転席側に配置されることを特徴とする、車両周辺監視装置。
【請求項2】
車室内に配置され、前記表示画像生成用カメラにより撮像された画像を表示する表示部を更に備え、
前記表示画像生成用カメラが、車両幅方向で前記表示部の助手席側端部の位置よりも運転席側に配置される、請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のウインドシールドガラスの上端側に配置される、請求項1又は2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両のインナミラーの下端位置よりも上方、又は、展開時のサンバイザーの下端位置よりも上方に配置される、請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記表示画像生成用カメラ及び前記物標認識用カメラが、車両幅方向に沿った略水平の直線上に配置される、請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
前記物標認識用カメラに接続され、前記物標認識用カメラにより撮像された画像内に含まれうる所定の物標の画像を画像認識する画像処理手段と、
前記画像処理手段に接続され、前記画像処理手段の画像認識結果に基づいて、警報制御又は車両の走行状態の制御を行う制御手段とを更に備える、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−195229(P2008−195229A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32500(P2007−32500)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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