説明

車両用サスペンション取り付け構造

【課題】車体前部において車体前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、これらのフロントフレームを車幅方向に連結し、サスペンションが取り付けられるサスペンションクロスメンバとを有する車両用サスペンション取り付け構造において、フロントフレームの断面を拡大し、かつサスペンションの取り付け自由度を向上可能な車両用サスペンションの取り付け構造を提供する。
【解決手段】フロントフレーム13に、サスペンションクロスメンバ31の端部が取り付けられる部位において屈曲部13bを設けると共に、前記サスペンションクロスメンバ31の端部31dを、前記屈曲部13bにより形成される凹部13cに嵌る形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンションがサスペンションクロスメンバに取り付けられる車両用サスペンション取り付け構造に関し、車両用サスペンションの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
車両用サスペンションの取り付け構造として、例えば、特許文献1〜3には、車体前部において車体前後方向に延びる左右一対のフロントフレームを車幅方向に連結するサスペンションクロスメンバを設け、該サスペンションクロスメンバにサスペンションを取り付けたものが開示されている。特許文献4には、その構造がより詳しく開示されており、該文献によれば、サスペンションクロスメンバは、車幅方向両端部がフロントフレームの下面に取り付けられ、これらの端部に、サスペンションアームの車幅方向内端部が取り付けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−326981号公報
【特許文献2】特開2005−028911号公報
【特許文献3】特開2005−029057号公報
【特許文献4】特開2003−118630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フロントフレームは、前部側がフロアパネルよりも高い位置に配置され、後部側が下方にキックダウンして、フロアパネル下面に設けられた左右一対のフロアフレームに接続される場合があるが、フロントフレームに衝撃荷重が作用したときのことを想定すると、前記キックダウンによる段差が小さく、かつフロントフレームの断面積が大きいのが好ましい。
【0005】
しかし、フロントフレームの直下方には、前述のようにサスペンションクロスメンバへのサスペンションアームの取り付け部が設けられており、フロントフレームの前部側を低くすると、この取り付け位置が低くなって、上下方向取り付け位置範囲が狭くなり自由度が制限されると共に、サスペンションアームの地上高を十分確保できなくなる虞がある。すなわち、フロントフレームの前部側を低くするのは限度がある。
【0006】
そこで、本発明は、フロントフレームの断面を拡大し、かつサスペンションの取り付け位置の自由度を向上可能な車両用サスペンションの取り付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体前部において車体前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、これらのフロントフレームを車幅方向に連結し、サスペンションが取り付けられるサスペンションクロスメンバとを有する車両用サスペンション取り付け構造であって、前記フロントフレームには、サスペンションクロスメンバの端部が取り付けられる部位において屈曲部が設けられていると共に、前記サスペンションクロスメンバの端部は、前記屈曲部により形成される凹部に嵌る形状とされていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、前記フロントフレームの屈曲部は、上方に屈曲していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、前記フロントフレームの屈曲部は、車幅方向内方に屈曲していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、前記フロントフレームの屈曲部により形成される凹部は側面視で台形状とされていると共に、前記サスペンションクロスメンバの端部はこの凹部に対応する台形状とされていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記左右のフロントフレームを、その前端部において連結する第1クロスメンバが設けられていると共に、前記サスペンションクロスメンバは、左右のフロントフレームの下部間を連結しており、前記左右のフロントフレームの上部間を、平面視でサスペンションクロスメンバと重なる位置において車幅方向に連結する第2クロスメンバが設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、前記サスペンションは、車幅方向に延びて、車幅方向外端部が車輪に連結され、車幅方向内端部がサスペンションクロスメンバに連結されるアッパーアーム及びロアアームを有するダブルウィッシュボーン式のものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
次に、本発明の効果について説明する。
【0015】
まず、請求項1に記載の発明によれば、前記フロントフレームには、サスペンションクロスメンバの端部が取り付けられる部位において屈曲部が設けられていると共に、前記サスペンションクロスメンバの端部は、前記屈曲部により形成される凹部に嵌る形状とされているから、サスペンションクロスメンバの端部は、フロントフレームの一部とみなすことができる。したがって、屈曲部が設けられている部位においては、フロントフレームの断面積がサスペンションクロスメンバの分、実質的に拡大することとなる。
【0016】
また、サスペンションクロスメンバの端部がフロントフレームの凹部と同じ高さに設けられることとなるが、この端部にサスペンションの取り付け部を設ければ、フロントフレームの上下位置が従来と同じでも、取り付け部の位置を従来よりも上方に位置させることができる。したがって、サスペンションの取り付け位置の自由度が向上する。
【0017】
一方、サスペンションの取り付け部の上下位置が従来と同等でよいときは、フロントフレームの上下位置を従来よりも低くすることができる。したがって、フロントフレームにキックアップ部が設けられているような場合には、キックアップ部の段差を少なくすることができる。また、この位置と従来位置との中間の高さにフロントフレームを設ければ、取り付け部の位置を従来よりも上方に位置させつつ、キックアップ部の段差を少なくすることができる
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記フロントフレームの屈曲部は、上方に屈曲しているから、フロントフレームの断面が、上下方向にサスペンションクロスメンバの分、実質的に拡大することとなる。そして、車幅に影響を与えることなく、請求項1に記載の効果を得ることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記フロントフレームの屈曲部は、車幅方向内方に屈曲しているから、フロントフレームの断面が、車幅方向にサスペンションクロスメンバの分、実質的に拡大することとなる。そして、車高に影響を与えることなく、請求項1に記載の効果を得ることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記フロントフレームの屈曲部により形成される凹部は側面視で台形状とされていると共に、前記サスペンションクロスメンバの端部はこの凹部に対応する台形状とされているから、サスペンションクロスメンバを車体の下方から取り付ける場合、台形状の凹部内に、サスペンションクロスメンバの端部を誘導することができ、組み付け性が向上する。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記左右のフロントフレームを、その前端部において連結する第1クロスメンバが設けられているから、車体前端部の車幅方向剛性が向上することとなる。加えて、前記サスペンションクロスメンバは、左右のフロントフレームの下部間を連結しており、前記左右のフロントフレームの上部間を、平面視でサスペンションクロスメンバと重なる位置において車幅方向に連結する第2クロスメンバが設けられているから、車両正面視で枠状の構造が形成されることとなり、車体における左右のサスペンション取り付け部周辺、ひいては車体前部の車幅方向剛性が向上する。したがって、設定されたサスペンション・ジオメトリによる走行特性を確実に発揮させることができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明によれば、前記サスペンションは、車幅方向に延びて、車幅方向外端部が車輪に連結され、車幅方向内端部がサスペンションクロスメンバに連結されるアッパーアーム及びロアアームを有するダブルウィッシュボーン式のものであるから、ストラット式等と比べて、車輪のキャンバ変化やロールセンタ等、サスペンション・ジオメトリの設定自由度を良好に確保することができる。その場合に、前述のように、サスペンションの取り付け位置を従来よりも上方に位置させることができる、例えばアッパーアームとロアアームとの上下間隔を大きくすることができるので、サスペンション・ジオメトリの設定自由度が一層向上することとなり、例えばキャンバの変化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る車両用サスペンション取り付け構造について説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る車両の車体前部の要部の側面図、図2は同平面図、図3は同正面図である。本車両1は、車体前部に設けられたエンジンルーム2内に配置されたエンジン3により変速機4及び動力伝達機構5を介して後輪(図示せず)を駆動するFRタイプの車両であり、また、エンジン5が前輪6の軸心6aよりも後方に位置するフロントミッドシップタイプの車両として構成されている。
【0025】
この車両1の車体前部には、エンジンルーム2と車室7とを仕切るダッシュパネル11が設けられていると共に、該ダッシュパネル11の下端から後方に延び、車体の床面を構成するフロアパネル12が設けられている。ダッシュパネル11の下部側及びフロアパネル12には、車体前後方向に延び、かつ上方に膨出するトンネル部12aが形成されている。そして、前記エンジン3の後部側、変速機4、及び動力伝達機構5は、このトンネル部12a内に収容されている。
【0026】
ダッシュパネル11の前方には、車体前後方向に延びる左右一対のフロントフレーム13,13が設けられている。フロントフレーム13は、車体前後方向に延びる略四角形の閉断面を形成している。また、フロントフレーム13の前部側は、フロアパネル12よりも高い位置で車体前後方向に延びており、該フロントフレーム13の後部には、ダッシュパネル11の下部及びフロアパネル12の前部の湾曲部12bに沿うように、キックアップ部13aが設けられている。そして、その後端部は、フロアパネル12の下面側において車体前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム14,14に接続されている。
【0027】
左右のフロントフレーム13,13の前端部の間には、第1クロスメンバ30が設けられている。
【0028】
左右のフロントフレーム13,13の前後方向略中間部の間には、前輪6,6用フロントサスペンション20,20が取り付けられるサスペンションクロスメンバ31が設けられている。
【0029】
その場合に、各フロントフレーム13には、サスペンションクロスメンバ31の端部が取り付けられる部位において上方への屈曲部13bが設けられている。フロントフレーム13の屈曲部13bにより形成される凹部13cは側面視で台形状とされている。
【0030】
サスペンションクロスメンバ31は、車幅方向に延びる車幅方向延設部31aと、該車幅方向延設部31aの左右の端部から後方に延び、後端部がフロアパネル12に固定される後方延設部31b,31bと、車幅方向延設部31aの左右の端部から上方に延びる上方延設部31c,31cと、該上方延設部31c,31cの車幅方向外側に形成された前後方向延設部31d,31dとを有し、左右のフロントフレーム13,13の下部間を連結している。
【0031】
前後方向延設部31d,31dは、側面視で前記フロントフレーム13の屈曲部13bにより形成される凹部13cに対応する台形状とされていると共に、フロントフレーム13に沿って前後に延びる閉断面を有しており、フロントフレーム13の屈曲部13bの上面部13dと前後方向延設部31dの下面部31e間を上下に貫通するボルト32A,32Aと、ナット32B,32Bとにより、フロントフレーム13に固定されている。
【0032】
また、左右のフロントフレーム13,13を、平面視で車幅方向延設部31aと重なる位置において連結する第2クロスメンバ33が設けられている。これによれば、サスペンションクロスメンバ31とで、車両正面視で枠状の構造が形成される。
【0033】
フロントサスペンション20は、ダブルウィッシュボーン式のものであり、前輪6を回転自在に支持するホイールサポート21と、上下に離間して配置され、サスペンションクロスメンバ31とホイールサポート21とを連結するアッパーアーム22及びロアアーム23と、緩衝装置24とを有している。
【0034】
アッパーアーム22は、V字状形状をしており、車幅方向内端部22a,22aが、サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部31dの外側面部31fに、車体前後方向に延びる軸部材25を中心として回動可能に取り付けられている。なお、軸部材25は、頭部とは反対の端部側にナット26螺合用のねじ部が形成されたボルトにより構成されている。一方、車幅方向外端部22bは、ホイールサポート21に形成された上方延設部21aの上端部にボールジョイントを介して取り付けられている。
【0035】
ロアアーム23は、アッパーアーム22同様、V字状形状をしており、車幅方向内端部23a,23aが、サスペンションクロスメンバ31の上方延設部31cの下端部に、車体前後方向に延びる軸部材27を中心として回動可能に取り付けられている。なお、軸部材27は、頭部とは反対の端部側にナット28螺合用のねじ部が形成されたボルトにより構成されている。一方、車幅方向外端部23bは、ホイールサポート21に形成された下方延長部21bの下端部にボールジョイントを介して取り付けられている。
【0036】
緩衝装置24は、ダンパやコイルスプリング等で構成される一般的なものであり、図示しないが、例えば、これらの上端部が車体に固定され、ダンパの下端部がロアアーム23に取り付けられ、コイルスプリングの下端部がダンパの側面に固定されている。
【0037】
次に、本実施の形態に係る車両のサスペンション構造の作用、効果について説明する。
【0038】
まず、フロントフレーム13には、サスペンションクロスメンバ13の前後方向延設部13d(端部)が取り付けられる部位において屈曲部13bが設けられていると共に、サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部31dは、屈曲部13bにより形成される凹部13cに嵌る形状とされているから、該サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部13dは、フロントフレーム13の一部とみなすことができる。したがって、屈曲部13bが設けられている部位において、フロントフレーム13の断面積がサスペンションクロスメンバ13の前後方向延設部13dの分、上下方向に実質的に拡大することとなる。したがって、フロントフレーム13に衝撃荷重が作用したときの耐力を向上させることができる。
【0039】
また、フロントフレーム13の屈曲部13bは上方に屈曲しているから、フロントフレーム13の前部側の高さが従来と同じとすれば、図4に示すように、サスペンション20のアッパーアーム22を従来よりも上方に設けることができる。その場合に、本実施の形態に係るサスペンション20は、前述のように上下に離間して配置されたアッパーアーム22とロアアーム23とを有するダブルウィッシュボーン式のものであり、ストラット式等と比べて、もともとサスペンションジオメトリの設定自由度は比較的大きいが、本実施の形態によれば、アッパーアーム22を従来よりも前述のように上方に位置させて、アッパーアーム22とロアアーム23との上下間隔を大きくすることができるので、前輪6のキャンバ変化やロールセンタ等、サスペンション・ジオメトリの設定自由度が一層向上することとなり、例えばキャンバの変化を抑制したり、ロールセンタを低くしたりすることができる。
【0040】
また、フロントフレーム13の屈曲部13bにより形成される凹部13cは側面視で台形状とされていると共に、サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部31d(端部)は、凹部13cに対応した台形状とされているから、具体的には、図5に示すように、サスペンションクロスメンバ31を(サスペンションクロスメンバ31にサスペンション20が取り付けられた状態で)フロントフレーム13に車体の下方から取り付ける場合に、フロントフレーム13の凹部13cの下辺の前後長Xは、サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部31dの上辺の前後長Yよりも大きいから、サスペンションクロスメンバ31の前後方向延設部31d(端部)を凹部31c内に下方から容易にはめ込み、かつ所定の取り付け位置に誘導することができる。したがって、組み付け性が向上する。
【0041】
また、左右のフロントフレーム13を、その前端部において連結する第1クロスメンバ30が設けられているから、車体前端部の車幅方向剛性が向上することとなる。加えて、サスペンションクロスメンバ31は、左右のフロントフレーム13,13の下部間を連結していると共に、該左右のフロントフレーム13,13を、平面視でサスペンションクロスメンバ31と重なる位置において車幅方向に連結する第2クロスメンバ33が設けられているから、車両正面視で枠状の構造が形成されることとなり、車体における左右のサスペンション取り付け部周辺、ひいては車体前部の車幅方向剛性が向上する。したがって、設定されたサスペンション・ジオメトリによる走行特性を確実に発揮させることができる。
【0042】
なお、サスペンションのアッパーアーム取り付けの上下位置が従来と同等でよいときは、フロントフレームの上下位置を従来よりも低くすることができる。したがって、フロントフレームにキックアップ部が設けられているような場合には、キックアップ部の段差を少なくすることができる。また、この位置と従来位置との中間の高さにフロントフレームを設ければ、取り付け部の位置を従来よりも上方に位置させつつ、キックアップ部の段差を少なくすることができる
【0043】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0044】
すなわち、図6〜図8に示すように、各フロントフレーム13′には、サスペンションクロスメンバ31′の端部が取り付けられる部位において車幅方向内方への屈曲部13b′が設けられている。
【0045】
サスペンションクロスメンバ31′は、車幅方向に延びる車幅方向延設部31a′と、該車幅方向延設部31a′の左右の端部から後方に延び、後端部がフロアパネル12′に固定される後方延設部31b′,31b′と、車幅方向延設部31a′の左右の端部から上方に延びる上方延設部31c′,31c′と、該上方延設部31c′,31c′の上方で前後に延びる前後方向延設部31d′,31d′とを有し、左右のフロントフレーム13′,13′の下部間を連結している。
【0046】
前後方向延設部31d′,31d′は、平面視で前記フロントフレーム13′の屈曲部13b′により形成される凹部13c′に嵌る形状とされていると共に、フロントフレーム13′に沿って前後に延びる閉断面を有しており、前後方向延設部31d′の外側面部31e′とフロントフレーム13′の内側面部13d′と間を車幅方向に貫通するボルト32A′,32A′と、ナット32B′,32B′とにより、フロントフレーム13′に固定されている。
【0047】
また、左右のフロントフレーム13′,13′を、平面視で車幅方向延設部31a′と重なる位置において連結する第2クロスメンバ33′が設けられている。これによれば、サスペンションクロスメンバ31′とで、車両正面視で枠状の構造が形成される。
【0048】
フロントサスペンション20′は、アッパーアーム22′の車幅方向内端部22a′,22a′が、サスペンションクロスメンバ31′の前後方向延設部31d′の外側面部31e′に取り付けられている。なお、それ以外の点は、第1の実施の形態と同様の構成であり、説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態によれば、屈曲部13b′が設けられている部位において、フロントフレーム13′の断面積がサスペンションクロスメンバ13′の前後方向延設部13d′の分、車幅方向に実質的に拡大することとなる。したがって、第1の実施の形態同様、衝撃荷重等に対する耐力が向上することとなる。
【0050】
また、サスペンション20′は、ダブルウィッシュボーン式のものであり、もともとサスペンションジオメトリの設定自由度は比較的大きいが、第2実施の形態においても、第1の実施の形態同様、アッパーアーム22′を従来よりも上方に位置させて、ロアアーム23′と離間させることができ、前輪6′のキャンバ変化やロールセンタ等、サスペンション・ジオメトリについての設定自由度がより一層向上することとなる。
【0051】
また、第2クロスメンバ33′とサスペンションクロスメンバ31′とによる枠状構造により、第1の実施の形態同様の効果が得られることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る車両用サスペンション取り付け構造によれば、フロントフレームの断面を拡大し、かつサスペンションの取り付け位置の自由度を向上させることができ、車両産業に広く利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両の車体前部の要部の側面図である。
【図2】同平面図である(便宜上ロアアームは省略している)。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】効果の説明図である。
【図5】サスペンションクロスメンバの組み付けの説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る車両の車体前部の要部の側面図である。
【図7】同平面図である(便宜上ロアアームは省略している)。
【図8】図7のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1,1′ 車両
6,6′ 車輪
13,13′ フロントフレーム
13a キックアップ部
13b,13b′ 屈曲部
13c,13c′ 凹部
20,20′ サスペンション
21 ホイールサポート
22,22′ アッパーアーム
22a,22a,22a′,22a′ 車幅方向内端部
30 第1クロスメンバ
31,31′ サスペンションクロスメンバ
31d,31d′ 前後方向延設部(端部)
33,33′ 第2クロスメンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部において車体前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、これらのフロントフレームを車幅方向に連結し、サスペンションが取り付けられるサスペンションクロスメンバとを有する車両用サスペンション取り付け構造であって、
前記フロントフレームには、サスペンションクロスメンバの端部が取り付けられる部位において屈曲部が設けられていると共に、
前記サスペンションクロスメンバの端部は、前記屈曲部により形成される凹部に嵌る形状とされていることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、
前記フロントフレームの屈曲部は、上方に屈曲していることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。
【請求項3】
前記請求項2に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、
前記フロントフレームの屈曲部は、車幅方向内方に屈曲していることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。
【請求項4】
前記請求項2に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、
前記フロントフレームの屈曲部により形成される凹部は側面視で台形状とされていると共に、前記サスペンションクロスメンバの端部はこの凹部に対応する台形状とされていることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、
前記左右のフロントフレームを、その前端部において連結する第1クロスメンバが設けられていると共に、
前記サスペンションクロスメンバは、左右のフロントフレームの下部間を連結しており、
前記左右のフロントフレームの上部間を、平面視でサスペンションクロスメンバと重なる位置において車幅方向に連結する第2クロスメンバが設けられていることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用サスペンション取り付け構造において、
前記サスペンションは、車幅方向に延びて、車幅方向外端部が車輪に連結され、車幅方向内端部がサスペンションクロスメンバに連結されるアッパーアーム及びロアアームを有するダブルウィッシュボーン式のものであることを特徴とする車両用サスペンション取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−113647(P2009−113647A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289242(P2007−289242)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】