説明

車両用制御装置

【課題】 車両種別毎に異なる制御処理モードに対応可能であって、しかも車両用種別間の電子制御ユニットの完全共通仕様化(ひいては同一品番化)を図ることができ、しかも工場での車両種別特定情報の書込も不要となる車両用制御装置を提供する。
【解決手段】 電源制御ユニット13は、エンジン制御部14から受信した車両種別特定情報EDによりエンジンタイプを特定し、また、トランスミッション制御部15から受信した車両種別特定情報EDによりトランスミッションタイプを特定する。そして、その特定された車両種別に対応する実行モードを選択・設定して、各車両種別に共通の汎用制御プログラム51を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平5−14233号公報
【0003】
近年、自動車の車両種別(エンジンタイプ、トランスミッション等)はますます多様化する傾向にあり、車両に搭載する電子制御ユニット(ECU)の開発を効率化する観点から、ECUのハードウェアないしソフトウェア(プログラム)の共用化を図ることが求められている。この場合、ECUには、各車両種別に固有となる複数の固有モジュール部分と残余の共通モジュール部分とからなる汎用制御プログラムを搭載することが行なわれている。具体的には、ECU上に記憶されている車両種別特定情報を参照して、当該汎用制御プログラムに含まれる複数の固有モジュール部分のうち、特定された車両種別に対応するものを選択して実行することにより、車両種別毎に特有のモードによる制御処理が可能となる。
【0004】
この場合、固有モジュール部分を選択するための車両種別情報は、ECU上に搭載された不揮発性メモリ(EEPROM)に予め固定記憶しておく方式が採用されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の方式では、車両種別情報をECU上の不揮発性メモリに予め書き込んでおかなければならず、車両種別毎にECU品番を固有化することができない。すなわち、ECUのハードウェアとしての仕様が同じであり、汎用プログラムの内容も同じであるが、唯一不揮発性メモリの記憶内容は車両種別毎に相違するので、結局はECU全体として同一仕様であるとはいえず、別個の品番を付与して管理しなければならないのである。この場合、車両出荷後もディーラーは、故障対応やメンテナンス用に各車両種別のECU基板を部品在庫として保管する必要があり、車両種別毎にECU品番が異なるので、保管コストがかさむ問題がある。また、車両メーカー側では、ECUの組み付け工場やECUサプライヤーの出荷工場で車両種別特定情報を不揮発性メモリに書き込む工程が必要であり、工数増加を招くのもネックである。
【0006】
本発明の課題は、車両種別毎に異なる制御処理モードに対応可能であって、しかも車両用種別間の電子制御ユニットの完全共通仕様化(ひいては同一品番化)を図ることができ、しかも工場での車両種別特定情報の書込も不要となる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用制御装置は、
車両種別に応じて制御処理内容の異なる複数の処理モードのいずれかを選択的に設定可能な汎用制御プログラムを搭載し、設定された処理モードにて汎用制御プログラムを実行することにより車両電子制御処理を行なう主電子制御ユニットと、
主電子制御ユニットに通信ラインを介して接続され、主電子制御ユニットとは制御対象の異なる電子制御処理を行なうとともに、車両種別を一義的に特定可能な車両種別特定情報を、通信線を介して主電子制御ユニットに送信する副電子制御ユニットとを備え、
主電子制御ユニットに、副電子制御ユニットから受信する車両種別特定情報の内容に基づいて制御対象車両の種別を特定し、特定された車両種別に対応する実行モードを選択して汎用制御プログラムに設定する処理モード選択設定手段が設けられてなることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の車両用制御装置の構成によると、その主電子制御ユニットは、車両種別に応じて制御処理内容の異なる複数の処理モードのいずれかを選択的に設定可能な汎用制御プログラムを搭載している。そして、車両種別特定情報を、その主電子制御ユニット上に予め記憶しておくのではなく、通信ラインを介して接続された副電子制御ユニットから通信取得し、車両種別に対応した処理モードの選択設定を行なう。汎用制御プログラムの搭載により、車両種別毎に異なる制御処理モードに対応可能となり、しかも主電子制御ユニット自体には車両種別特定情報が予め書き込まれないので、車両用種別間の電子制御ユニットの完全共通仕様化(ひいては同一品番化)を図ることができ、工場での車両種別特定情報の書込も不要となる。
【0009】
汎用制御プログラムは、車両種別に応じて分岐先の異なる車両種別判断ステップと、該車両種別判断ステップの車両種別毎の分岐先として用意された複数の分岐先ルーチンとを備え、選択される分岐先ルーチンに応じて異なる処理モードとなるものとして構成できる。処理モード選択設定手段は、特定された車両種別に対応する分岐先ルーチンを車両種別判断ステップにおける分岐先として選択するものとできる。車両種別毎の処理モードを、対応する分岐先ルーチンへの分岐処理により実現でき、プログラム構造の簡略化を図ることができる。
【0010】
副電子制御ユニットは、例えばエンジン制御ユニットであり、車両種別をガソリン車とハイブリッド車とのいずれかに特定可能な車両種別特定情報を主電子制御ユニットに送信するものとすることができる。ガソリン車とハイブリッド車とは明らかに異なるエンジン制御処理が必要であり、これに付随して対応するエンジン制御ユニットから、エンジンタイプ(ガソリン/ハイブリッド)を特定する情報を車両種別特定情報として送信するようにすれば、主電子制御ユニット側での対応する処理モード切り替えもスムーズに行なうことができる。
【0011】
また、副電子制御ユニットをトランスミッション制御ユニットとし、車両種別をオートマチックトランスミッション車とマニュアルトランスミッション車とのいずれかに特定可能な車両種別特定情報を主電子制御ユニットに送信するものとできる。オートマチックトランスミッション車とマニュアルトランスミッション車とは、当然のことながら、ミッション切り替え制御形態に大きな差異がある。そこで、これに付随して対応するトランスミッション制御ユニットから、トランスミッションタイプ(オートマチック/マニュアル)を特定する情報を車両種別特定情報として送信するようにすれば、主電子制御ユニット側での対応する処理モード切り替えもスムーズに行なうことができる。
【0012】
そして、主電子制御ユニットは、車両に搭載されたエンジン電装系負荷及びアクセサリ系負荷に対する車載バッテリーからの受電状態を切り替えるための電源スイッチを、汎用制御プログラムの実行に基づいて、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷のいずれにも供給されないオフ位置と、同じくアクセサリ系負荷にのみ供給されるアクセサリ・オン位置と、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷との双方に供給されるイグニッション・オン位置との間で切り替える電源切替制御を行なう電源制御ユニットとすることができる。該電源制御ユニットは、より具体的には、エンジン始動のためにユーザーが押圧操作するプッシュスイッチの操作状態と、ユーザーがブレーキペダルを踏下したことを検知するブレーキセンサの検知状態とに基づいて、電源スイッチをオフ位置とアクセサリ・オン位置とイグニッション・オン位置との間で切り替える、いわゆるスマートプッシュスタート方式の車両用電源制御ユニットとすることができる。スマートプッシュスタート方式では、旧来の車両のごとく、ユーザーがキー回転操作により電源スイッチ位置を手動切り替えするのではなく、プッシュスイッチの操作状態と、ブレーキペダルの踏下状態とにより電源制御ユニット側で自動切り替えを行なう(例えば、ブレーキペダルを踏んでプッシュスイッチを押すと、オフ位置からアクセサリ・オン位置を経てイグニッション・オン位置まで推移し、ブレーキペダルを踏まずにプッシュスイッチを押すと、アクセサリ・オン位置で停止する、など)。車両種別(例えば、エンジンタイプやトランスミッション種別)が異なれば、エンジン始動時の電源スイッチ切り替えのシーケンス(制御処理モード)も異なるので、電源制御ユニットに汎用制御プログラムを搭載し、処理モードを適宜切り替えて実行することによる、ユニットの車両種別間での共用化に係る波及効果が特に大きい。
【0013】
そして、副電子制御ユニットは、電源スイッチがイグニッション・オン位置に切り替わるに伴い車両種別特定情報を電源制御ユニットに送信開始するものとできる。例えば、前述のエンジン制御ユニットやトランスミッション制御ユニットは、イグニッション・オン位置に切り替わるに伴い電源受電状態となり、動作を開始するので、これに合わせて車両種別特定情報を電源制御ユニットに送信開始することができ、電源制御ユニット側ではこれを受信して処理モード切り替えを的確に実行することができる。
【0014】
この場合、電源スイッチがイグニッション・オン位置に切り替わるまでは車両種別特定情報の未受信期間が生じ、車両種別の特定が短期間ではあるが不能となる場合がある。そこで、処理モード選択設定手段は、汎用制御プログラムを適用可能な全ての車両種別において、電源スイッチのイグニッション・オン位置への移行制御が可能なデフォルト分岐先ルーチンを車両種別判断ステップにおける分岐先として選択するものとできる。上記未受信期間にて、このようなデフォルト分岐先ルーチンに分岐することで、車両種別特定情報が受信可能となるイグニッション・オン位置への移行制御が車両種別と無関係に確実に実行され、車両種別に対応する分岐先ルーチンの選択に速やかに導くことができる。
【0015】
次に、電源制御ユニットは、電源スイッチの制御位置とは無関係に記憶内容を保持可能な車両種別特定情報記憶部を有するものとして構成できる。処理モード選択設定手段は、電源スイッチがイグニッション・オン位置に切り替わるに伴い、受信した車両種別特定情報を該電源制御ユニット内の車両種別特定情報記憶部に記憶するとともに、その後、電源スイッチがイグニッション・オフ位置となり、再びイグニッション・オン位置となった場合に、車両種別特定情報記憶部に記憶されている車両種別特定情報を読み出して制御対象車両の種別を特定するものとできる。つまり、初回始動時は副電子制御ユニットから車両種別特定情報を受信するが、2回目以降の始動時は車両種別特定情報記憶部に記憶されている車両種別特定情報を読み出せばよいので、ノイズ等の影響を受ける可能性がある通信手順を踏まずとも、車両種別を確実に特定することができるようになる。この場合、電源制御ユニットは、電源スイッチの制御位置とは無関係に車載バッテリーから電源電圧を常時受電するマイコンにより構成でき、車両種別特定情報記憶部は該マイコンのワークメモリとなるRAM内に形成することができる。車両種別特定情報記憶部を通常のRAMで構成することで、不揮発性メモリをもっぱら用いる場合と比較して、車両種別特定情報の書込シーケンスの大幅な簡略化を図ることができ、副電子制御ユニットからの車両種別特定情報の受信周期が短くなっても十分に対応することができる。
【0016】
なお、電源制御ユニットを構成するマイコンは、RAMとは別に設けられた不揮発性メモリからなるバックアップ用記憶部を有するものとできる。処理モード選択設定手段は、受信した車両種別特定情報をRAM内の車両種別特定情報記憶部とともにバックアップ用記憶部にも記憶するものであり、RAMがリセットされた場合に、該バックアップ用記憶部の記憶内容に基づいてRAM内に形成された車両種別特定情報記憶部の車両種別特定情報の記憶状態を復元するよう構成することができる。車両種別特定情報は、本発明では、副電子制御ユニットを送信源とする形でその都度読み取って使用する、形式的には動的な情報としての取り扱いを受けるが、車両種別毎に本来不変の情報であり、確かな情報を一度受信してしまえば、不揮発性メモリで構成されたバックアップ用記憶部に保存することが可能である。そして、車両種別特定情報記憶部をなすRAMがリセットされたときの復元にこれを使用することで、突発的なリセットが生じた場合でも問題なく車両種別特定情報の読み取りを行なうことができる。
【0017】
副電子制御ユニットは、車両種別特定情報を主電子制御ユニットに定期的に繰り返し送信するものとできる。処理モード選択設定手段は、RAM内に形成された車両種別特定情報記憶部の記憶内容を、車両種別特定情報を受信する毎に当該受信内容にてリフレッシュ更新する車両種別特定情報リフレッシュ手段を有するものとして構成できる。車両種別特定情報を定期的に受信し、車両種別特定情報記憶部をなすRAMの内容をその受信情報によりその都度リフレッシュすることで、不測の要因によりRAMの記憶内容に異常が生じた場合も、該リフレッシュにより速やかに修復することができる。なお、車両種別特定情報リフレッシュ手段は、車両種別特定情報の受信状態がノイズないし通信途絶に由来する予め定められた異常受信状態となった場合に、車両種別特定情報記憶部の記憶内容の該受信内容に基づくリフレッシュ更新を行なわず、前回のリフレッシュ更新内容を保持する車両種別特定情報保持手段を有するものとして構成することができる。これにより、異常受信状態となった場合も車両種別特定情報記憶部が誤った記憶内容に書き換えられることがなく、信頼性を向上することができる。
【0018】
また、RAM内の車両種別特定情報記憶部は、車両種別特定情報を受信する毎に該車両種別特定情報の受信内容を確定記憶させる受信確定用記憶部と、該受信確定用記憶部の車両種別特定情報の確定記憶内容がその都度転送され、該転送内容により上書き更新する形で車両種別特定情報を受信確定用記憶部とともに冗長化して記憶し、その記憶内容が処理モード選択設定手段による制御対象車両の種別特定処理の参照先として使用される参照用記憶部とを有するものとして構成することも可能である。この場合、受信確定用記憶部の記憶内容にデータ異常が発生した場合に、受信確定用記憶部から参照用記憶部への記憶内容の転送・上書きを行なわず、該参照用記憶部の前回の記憶内容を保持する車両種別特定情報保持手段を設けることができる。車両種別特定情報を受信確定用記憶部と参照用記憶部とに冗長化して記憶することで、車両種別特定情報の受信に失敗した場合でも、前回受信時の参照用記憶部の内容から車両種別特定情報の内容を特定できる。また、受信確定用記憶部の記憶内容にデータ異常が発生した場合は、受信確定用記憶部から参照用記憶部への記憶内容の転送・上書きを行なわず、参照用記憶部の前回の記憶内容を保持することで、該データ異常による影響を排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の車両用制御装置の一例をなすエンジン始動制御システム1の電気的な構成を示すブロック図である。該エンジン始動制御システム1は、ユーザーが自由に持ち運び可能な無線通信携帯器(スマートキー(セキュリティーキー))2と、自動車側に搭載されたイモビライザ制御部5とを備えている。イモビライザ制御部5は送受信部6を備え、該送受信部6からリクエスト信号を間欠的に車内に出力させる。そして、無線通信携帯器2は車内の所定の領域に入り込んでリクエスト信号を受け取ると、無線通信携帯器2が持つ認証IDを自動車側に自動で無線送信する。
【0020】
エンジン始動制御システム1には、電源制御部13、エンジン制御部14及びトランスミッション制御部15が設けられている。該自動車はプッシュスイッチ21を押圧操作することにより、エンジン16A、16Bの始動・停止が行なえるワンプッシュ式エンジン作動システムを備えている。プッシュスイッチ21は車内のコックピットパネル脇など、自動車内にて運転車の手の届くところに配設され、ブレーキペダルを踏みながら押圧操作することで、エンジン始動が可能となる。ブレーキペダルの踏下はブレーキスイッチ(ブレーキセンサ)101が検出する。プッシュスイッチ21とブレーキスイッチ101は、いずれも電源制御部13に接続される。
【0021】
イモビライザ制御部5は、携帯器2からのユーザー認証IDを、送受信部6を介して受信し、その認証IDと自動車3に予め登録されたマスターID(図示しない照合メモリ内に書き込まれている)とを照合する。そして、イモビライザ制御部5は2つのIDが一致すればドアロックを解錠する。一方、イモビライザ制御部5はドアロックが解錠された状態で無線通信携帯器2からの認証IDを受信しなくなるとドアロックを施錠する。このため、ユーザーが自動車に近づけば自動でドアロックが解錠され、自動車から離れれば自動でドアロックが施錠される。
【0022】
イモビライザ制御部5、電源制御部(電源制御ユニット)13、エンジン制御部(エンジン制御ユニット)14及びトランスミッション制御部15は、それぞれCPU、ROM(個々の機能実現を司る制御プログラムが搭載されている)、RAM及び入出力部(I/Oポート)がバス接続された周知のマイコンハードウェアからなる電子制御装置(ECU)として構成され、互いにシリアル通信バス35を介してネットワーク接続されたものである。図2では、電源制御部13にて代表させる形で、ECUの内部構造を図示している(CPU13A、ROM13B、RAM13C及び入出力部13Dがバス接続され、シリアルインターフェース13Iを介してシリアル通信バス35に接続される)。なお、電源制御部13には不揮発性メモリとしてのEEPROM13Fと、後述の汎用制御プログラム51とダイアグ記録52とを格納するフラッシュメモリ13Eとが設けられている。
【0023】
また、エンジン制御部14には、制御対象系として、ガソリンエンジン16Bとハイブリッド駆動系(ガソリンエンジン+モータ)16Aとのいずれかが接続される。そのどちらが接続されるかに応じて、エンジン制御部14に搭載される制御プログラムの内容も相違する。また、トランスミッション制御部15には、制御対象系として、オートマチックトランスミッション装置47Aとマニュアルトランスミッション装置47Bとのいずれかが接続される。そのどちらが接続されるかに応じて、ランスミッション制御部15に搭載される制御プログラムの内容も相違する。
【0024】
電源制御部(電源制御ユニット)13は主電子制御ユニットを構成するものであり(以下、主電子制御ユニット13ともいう)、車両種別に応じて制御処理内容の異なる複数の処理モードのいずれかを選択的に設定可能な汎用制御プログラム51を搭載している。そして、その設定された処理モードにて汎用制御プログラム51を実行することにより、車両の電源制御処理を行なう。
【0025】
また、エンジン制御部14とトランスミッション制御部15とは副電子制御ユニットを構成するものであり(以下、副電子制御ユニット14,15ともいう)、エンジン制御ないしトランスミッション制御(つまり、主電子制御ユニット13とは制御対象の異なる電子制御処理)を行なう。本実施形態では、制御対象となる車両の種別を、エンジンタイプ(その車両がガソリンエンジン車とハイブリッド車とのいずれであるか)、及びトランスミッションタイプ(その車両がオートマチック車とマニュアル車とのいずれであるか)により区別する。そして、エンジン制御部14は、当該の車両のエンジンタイプを一義的に特定可能な車両種別特定情報EDを、シリアル通信バス35を介して主電子制御ユニット13に送信する。また、トランスミッション制御部15は、当該の車両のトランスミッションタイプを一義的に特定可能な車両種別特定情報EDを、シリアル通信バス35を介して主電子制御ユニット13に送信する。主電子制御ユニット(電源制御部(電源制御ユニット))13は、これらの副電子制御ユニット14,15から受信する車両種別特定情報ED,TDの内容に基づいて制御対象車両の種別を特定し、特定された車両種別に対応する実行モードを選択して汎用制御プログラム51に設定する(処理モード選択設定手段)。
【0026】
主電子制御ユニット(電源制御部)13の入出力部13Dには、車両に搭載されたエンジン電装系負荷(セルモータ、点火プラグ等)及びアクセサリ系負荷(カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、パワーウィンドウなど)に対する車載バッテリーからの受電状態を切り替えるための電源スイッチ(本実施形態ではリレースイッチである)22が接続されている。この電源スイッチ22は、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷のいずれにも供給されないオフ位置(OFF)と、同じくアクセサリ系負荷にのみ供給されるアクセサリ・オン位置(ACC−ON)と、アクセサリ系負荷とエンジン電装系負荷との双方に供給されるイグニッション・オン位置(IG−ON)とを、この順で相互に切り替えるためのものである。
【0027】
電源制御ユニット13は、エンジン始動のためにユーザーが押圧操作するプッシュスイッチ21の操作状態と、ユーザーがブレーキペダルを踏下したことを検知するブレーキセンサ101の検知状態とに基づいて、電源スイッチ22をオフ位置(OFF)とアクセサリ・オン位置(ACC−ON)とイグニッション・オン位置(IG−ON)との間で切り替えるものであり、例えば、ブレーキペダルを踏んでプッシュスイッチ21を押すと、オフ位置(OFF)からアクセサリ・オン位置(ACC−ON)を経てイグニッション・オン位置(IG−ON)まで推移し、ブレーキペダルを踏まずにプッシュスイッチ21を押すと、アクセサリ・オン位置(ACC−ON)で停止する。
【0028】
そして、車両種別、具体的にはエンジンタイプやトランスミッション種別が異なれば、エンジン始動時の電源スイッチ22の切り替えのシーケンス(制御処理モード)も異なる。電源制御ユニット13は、エンジン制御部14から受信した車両種別特定情報EDによりエンジンタイプを特定し、また、トランスミッション制御部15から受信した車両種別特定情報EDによりトランスミッションタイプを特定し、その特定された車両種別に対応する実行モードを選択・設定して、車両種別に共通の汎用制御プログラム51を実行する。
【0029】
副電子制御ユニット14,15をなすエンジン制御部14及びトランスミッション制御部15は、電源スイッチ22がイグニッション・オン位置(IG−ON)に切り替わるに伴い車両種別特定情報ED,TDを電源制御ユニット13に送信開始する。電源制御ユニット13では、図2のS101において、まず、電源スイッチ22がイグニッション・オン位置であるか否かを確認する。イグニッション・オン位置であれば、エンジン制御部14及びトランスミッション制御部15はいずれも車両種別特定情報ED,TDの送信を開始しているので、S103において、受信した情報を読み取る。
【0030】
S104では、車両種別特定情報EDの内容に基づき、エンジンタイプの判定がなされる。判定結果がハイブリッド車であればS104に進んでハイブリッド車用の分岐先ルーチンHが選択され、ガソリン車であればS105に進んでガソリン車用の分岐先ルーチンCが選択される。また、S106では、車両種別特定情報TDの内容に基づき、トランスミッションタイプの判定がなされる。判定結果がオートマチックトランスミッションであればS104に進んでオートマチック用の分岐先ルーチンAが選択され、マニュアルトランスミッションであればS105に進んでマニュアル用の分岐先ルーチンMが選択される。この処理は周期的に繰り返し実行される。
【0031】
それぞれの分岐先ルーチンの処理内容は、ハイブリッド車/ガソリン車及びオートマチック/マニュアルの固有の、始動時における電源スイッチ22の制御シーケンスを反映したものであり、個別には周知の内容である。例えば、ハイブリッド車/ガソリン車では、エンジンスタート信号の出力保持時間に相違がある。ガソリン車では、IG−ON後は直ちにセルモータが回転しエンジンがスタートするので、IG−ON後はエンジンスタートが確認されると速やかにエンジンスタート信号の出力状態は解除される。
【0032】
しかしハイブリッド車では、エンジンのアイドリングを停止した状態でモータのみで始動することもあり、この場合は、電源スイッチ22がIG−ON位置となってもエンジン回転数はゼロのままである。ただし、車速が上がった場合はいつでもエンジン始動できる準備状態にシステムを遷移させておく必要がある。当該遷移状態への移行指令は例えば「READY」信号を用いてなされ、逆に該「READY」信号の付勢状態を参照すれば、システムがエンジン始動準備状態であるか否かを判断することができる。そして、エンジン始動準備状態であると判断された場合には、IG−ON後も、停止しているエンジンがスタートするまでエンジンスタート信号の出力状態を保持する必要がある。分岐先ルーチンH,Cの処理内容は、このような電源スイッチ22の制御に関与する信号出力シーケンスの、ハイブリッド車とガソリン車とにそれぞれ固有の相違点が反映されたものとなっている。
【0033】
また、オートマチック車とマニュアル車との間では、例えば、オートマチック車の場合はシフトレバーがパーキング以外のポジションに入っている場合は、OFF位置への移行そのものが禁止される制御がなされるが、マニュアル車の場合はそのような制約的な制御はなされない。分岐先ルーチンA,Mの処理内容は、このような電源スイッチ22の制御に関与する信号出力シーケンスの、ハイブリッド車とガソリン車とにそれぞれ固有の相違点が反映されたものとなっている。
【0034】
なお、電源スイッチ22がイグニッション・オン位置(IG−ON)に切り替わるまでは車両種別特定情報ED,TDの未受信期間が生じ、車両種別の特定が短期間ではあるが不能となる場合がある。そこで、S101でIG−ON位置となっておらず、かつ、初回始動時(後述の車両種別特定情報記憶部DM(図1:RAM13C内)に車両種別特定情報ED,TDが記憶されているかどうかで判定できる)である場合は、汎用制御プログラム51を適用可能な全ての車両種別において、電源スイッチ22のイグニッション・オン位置(IG−ON)への移行制御が可能なデフォルト分岐先ルーチンDが車両種別判断ステップS103,S106における分岐先として選択される。初回始動時にデフォルト分岐先ルーチンDへ分岐することで、車両種別特定情報ED,TDが受信可能となるイグニッション・オン位置(IG−ON)への移行制御が車両種別と無関係に実行される。その結果、次回の処理周期以降は、すでにイグニッション・オン位置(IG−ON)へ移行しており、車両種別特定情報ED,TDを受信するので、個々の車両種別に対応する分岐先ルーチンH,C,A,Mへ確実に導くことができる。
【0035】
次に、図1において電源制御ユニット13は、電源スイッチ22の制御位置とは無関係に記憶内容を保持可能な車両種別特定情報記憶部DMを有する。具体的には、電源制御ユニット13は、電源スイッチ22の制御位置とは無関係に車載バッテリーから電源電圧を常時受電するマイコンにより構成され、車両種別特定情報記憶部DMは該マイコンのワークメモリとなるRAM13C内に形成されている。該車両種別特定情報記憶部DMは、受信確定用記憶部DC1,DC2と処理参照用記憶部DF1,DF2とを有する。受信確定用記憶部DC1,DC2は、車両種別特定情報ED,TDを受信する毎に該車両種別特定情報ED,TDの受信内容を確定記憶させるためのものである。また、処理参照用記憶部DF1,DF2には、受信確定用記憶部DC1,DC2の車両種別特定情報ED,TDの確定記憶内容がその都度転送され、該転送内容により上書き更新する形で車両種別特定情報ED,TDが受信確定用記憶部DC1,DC2とともに冗長化して記憶される。汎用制御プログラム51(処理モード選択設定手段)が、制御対象車両の種別特定処理の参照先として直接使用するのは、該処理参照用記憶部DF1,DF2の記憶内容である。他方、RAM13Cとは別に、不揮発性メモリ(本実施形態では、EEPROM13F)からなるバックアップ用記憶部DB1,DB2が設けられている。
【0036】
以下、ハイブリッド車/ガソリン車を識別する場合で代表させ、車両種別特定情報EDの記憶/読出しシーケンスの具体例について説明する。図3は、該シーケンスの第一例を、その電源制御の流れと対応付けて示すタイミング図である。基本的には、対応電源スイッチ22がイグニッション・オン位置(IG−ON)に切り替わるに伴い、受信した車両種別特定情報EDは該電源制御ユニット13内の車両種別特定情報記憶部DMに記憶される。そして、その後、電源スイッチ22がイグニッション・オフ位置(OFF)となり、再びイグニッション・オン位置(IG−ON)となった場合に、車両種別特定情報記憶部DMに記憶されている車両種別特定情報EDが読み出され、制御対象車両の種別が特定される。
【0037】
副電子制御ユニット14は、車両種別特定情報EDを主電子制御ユニット13に定期的に繰り返し送信する。RAM13C内に形成された車両種別特定情報記憶部DMの記憶内容、具体的には受信確定用記憶部DC1の記憶内容は、車両種別特定情報ED(図3では、ガソリン車用の分岐先ルーチンCを指定する内容になっている)を受信する毎に当該受信内容にてリフレッシュ更新される(車両種別特定情報リフレッシュ手段)。車両種別特定情報EDの受信状態がノイズないし通信途絶により異常受信状態となった場合は、受信確定用記憶部DC1の記憶内容は、その異常受信内容でリフレッシュ更新することは行なわれず、他方、処理参照用記憶部DF1は前回のリフレッシュ更新内容を保持する(車両種別特定情報保持手段)。これにより、異常受信状態となった場合も処理参照用記憶部DF1は誤った記憶内容に書き換えられることがない。例えば、ノイズにより車両種別特定情報EDが異常値となった容易に識別できるようにするには、識別対象となる車両種別間で、車両種別特定情報EDの内容を、一定の規則にて互いに結びつけておくことが有効であり、その規則性に逸脱した情報内容となった場合は異常と判定することができる。一例として、車両種別特定情報のビット列を前半部分と後半部分とに区切り、第一車両種別を示す情報(例えば、0xA5)と第二車両種別を示す情報(例えば、0x5A)との一方の前半部分と後半部分とを交換することで、他方と一致するように定めることができる。また、別の例として、第一車両種別を示す情報と第二車両種別を示す情報とを、互いにビット反転させた関係となるように定めておくこともできる。
【0038】
また、受信した車両種別特定情報EDは、RAM13C内の車両種別特定情報記憶部DMとともにバックアップ用記憶部DB1にも記憶される。RAM13Cがリセットされた場合に、該バックアップ用記憶部DB1の記憶内容に基づいてRAM13C内に形成された車両種別特定情報記憶部DMの車両種別特定情報EDの記憶状態が復元される。具体的には、リセットに伴いRAM13Cはクリアされ、その後リセット復帰すると、バックアップ用記憶部DB1の記憶内容が読み出され、処理参照用記憶部DF1にセットされる。そして、処理参照用記憶部DF1にセットされた記憶内容は、さらに受信確定用記憶部DC1にも転送される。なお、バックアップ用記憶部DB1は、車両種別特定情報EDの内容変更(例えば、デフォルト分岐先ルーチンD→ガソリン車用分岐先ルーチンC)が発生するときにのみ昇圧・記憶内容書き換えがなされ、それ以外のタイミングでは記憶内容変更がなされない。
【0039】
次に、図4は、前記シーケンスの第二例を、その電源制御の流れと対応付けて示すタイミング図である。この例では、受信確定用記憶部DC1の記憶内容にデータ異常が発生した場合に、受信確定用記憶部DC1から処理参照用記憶部DF1への記憶内容の転送・上書きを行なわず、該処理参照用記憶部DF1の前回の記憶内容を保持するようにしている(車両種別特定情報保持手段)。また、図3の処理では、イグニッション・オフとなった場合、次回始動時は未受信期間の発生に伴い、デフォルト分岐先ルーチンDへの切り替えがなされるので、バックアップ用記憶部DB1の記憶内容も更新されていたが、図4の処理では、イグニッション・オフとなってもバックアップ用記憶部DB1の記憶内容が保持さて、次回始動時の未受信期間においてもデフォルト分岐先ルーチンDへの切り替えはなされていない。また、イグニッション・オフ期間中にデータ異常が発生した場合に、受信確定用記憶部DC1の記憶内容は、次回イグニッション・オン後、車両種別特定情報EDの受信が再開されるに伴い正常復帰するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の車両用制御装置の一例たるエンジン始動制御システムのブロック図。
【図2】図1のシステムの電源制御部における、車両種別に応じた処理ルーチン切り替えの流れを示すフローチャート。
【図3】車両種別特定情報の記憶/読出しシーケンスの第一例を示すタイミング図。
【図4】同じく第二例を示すタイミング図。
【符号の説明】
【0041】
1 エンジン始動制御システム(車両用制御装置)
13 電源制御部(主電子制御ユニット)
14 エンジン制御部(副電子制御ユニット)
21 プッシュスイッチ
22 電源スイッチ
47 トランスミッション制御部(副電子制御ユニット)
51 汎用制御プログラム
101 ブレーキスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両種別に応じて制御処理内容の異なる複数の処理モードのいずれかを選択的に設定可能な汎用制御プログラムを搭載し、設定された処理モードにて前記汎用制御プログラムを実行することにより車両電子制御処理を行なう主電子制御ユニットと、
前記主電子制御ユニットに通信ラインを介して接続され、前記主電子制御ユニットとは制御対象の異なる電子制御処理を行なうとともに、前記車両種別を一義的に特定可能な車両種別特定情報を、前記通信線を介して前記主電子制御ユニットに送信する副電子制御ユニットとを備え、
前記主電子制御ユニットに、前記副電子制御ユニットから受信する前記車両種別特定情報の内容に基づいて前記制御対象車両の種別を特定し、特定された車両種別に対応する実行モードを選択して前記汎用制御プログラムに設定する処理モード選択設定手段が設けられてなることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記汎用制御プログラムは、前記車両種別に応じて分岐先の異なる車両種別判断ステップと、該車両種別判断ステップの前記車両種別毎の分岐先として用意された複数の分岐先ルーチンとを備え、選択される分岐先ルーチンに応じて異なる処理モードとなるものであり、
前記処理モード選択設定手段は、特定された前記車両種別に対応する分岐先ルーチンを前記車両種別判断ステップにおける分岐先として選択するものである請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記副電子制御ユニットがエンジン制御ユニットであり、前記車両種別をガソリン車とハイブリッド車とのいずれかに特定可能な車両種別特定情報を前記主電子制御ユニットに送信するものである請求項1又は請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記副電子制御ユニットがトランスミッション制御ユニットであり、前記車両種別をオートマチックトランスミッション車とマニュアルトランスミッション車とのいずれかに特定可能な車両種別特定情報を前記主電子制御ユニットに送信するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記主電子制御ユニットは、前記車両に搭載されたエンジン電装系負荷及びアクセサリ系負荷に対する車載バッテリーからの受電状態を切り替えるための電源スイッチを、前記汎用制御プログラムの実行に基づいて、前記アクセサリ系負荷と前記エンジン電装系負荷のいずれにも供給されないオフ位置と、同じく前記アクセサリ系負荷にのみ供給されるアクセサリ・オン位置と、前記アクセサリ系負荷と前記エンジン電装系負荷との双方に供給されるイグニッション・オン位置との間で切り替える電源切替制御を行なう電源制御ユニットとされてなる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記電源制御ユニットは、エンジン始動のためにユーザーが押圧操作するプッシュスイッチの操作状態と、前記ユーザーがブレーキペダルを踏下したことを検知するブレーキセンサの検知状態とに基づいて、前記電源スイッチを前記オフ位置と前記アクセサリ・オン位置と前記イグニッション・オン位置との間で切り替えるものである請求項5記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記副電子制御ユニットは、前記電源スイッチが前記イグニッション・オン位置に切り替わるに伴い前記車両種別特定情報を前記電源制御ユニットに送信開始するものである請求項5又は請求項6に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の要件を備え、
前記電源スイッチが前記イグニッション・オン位置に切り替わるまでの、前記車両種別特定情報の未受信期間において、前記処理モード選択設定手段は、前記汎用制御プログラムを適用可能な全ての車両種別において、前記電源スイッチの前記イグニッション・オン位置への移行制御が可能なデフォルト分岐先ルーチンを前記車両種別判断ステップにおける分岐先として選択するものである請求項7記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記電源制御ユニットは、前記電源スイッチの制御位置とは無関係に記憶内容を保持可能な車両種別特定情報記憶部を有し、
前記処理モード選択設定手段は、前記電源スイッチが前記イグニッション・オン位置に切り替わるに伴い、受信した前記車両種別特定情報を該電源制御ユニット内の車両種別特定情報記憶部に記憶するとともに、その後、前記電源スイッチが前記イグニッション・オフ位置となり、再び前記イグニッション・オン位置となった場合に、前記車両種別特定情報記憶部に記憶されている前記車両種別特定情報を読み出して前記制御対象車両の種別を特定するものである請求項7又は請求項8に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記電源制御ユニットは、前記電源スイッチの制御位置とは無関係に前記車載バッテリーから電源電圧を常時受電するマイコンにより構成され、前記車両種別特定情報記憶部は該マイコンのワークメモリとなるRAM内に形成されてなる請求項9記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記電源制御ユニットを構成する前記マイコンは、前記RAMとは別に設けられた不揮発性メモリからなるバックアップ用記憶部を有し、前記処理モード選択設定手段は、受信した前記車両種別特定情報を前記RAM内の前記車両種別特定情報記憶部とともに前記バックアップ用記憶部にも記憶するものであり、前記RAMがリセットされた場合に、該バックアップ用記憶部の記憶内容に基づいて前記RAM内に形成された前記車両種別特定情報記憶部の車両種別特定情報の記憶状態を復元する請求項10記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記副電子制御ユニットは前記車両種別特定情報を前記主電子制御ユニットに定期的に繰り返し送信するものであり、
前記処理モード選択設定手段は、前記RAM内に形成された前記車両種別特定情報記憶部の記憶内容を、前記車両種別特定情報を受信する毎に当該受信内容にてリフレッシュ更新する車両種別特定情報リフレッシュ手段を有してなる請求項10又は請求項11に記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記車両種別特定情報リフレッシュ手段は、前記車両種別特定情報の受信状態がノイズないし通信途絶に由来する予め定められた異常受信状態となった場合に、前記車両種別特定情報記憶部の記憶内容の該受信内容に基づくリフレッシュ更新を行なわず、前回のリフレッシュ更新内容を保持する車両種別特定情報保持手段を有する請求項12記載の車両用制御装置。
【請求項14】
前記副電子制御ユニットは前記車両種別特定情報を前記主電子制御ユニットに定期的に繰り返し送信するものであり、
前記RAM内の前記車両種別特定情報記憶部が、前記車両種別特定情報を受信する毎に該車両種別特定情報の受信内容を確定記憶させる受信確定用記憶部と、該受信確定用記憶部の前記車両種別特定情報の確定記憶内容がその都度転送され、該転送内容により上書き更新する形で前記車両種別特定情報を前記受信確定用記憶部とともに冗長化して記憶し、その記憶内容が前記処理モード選択設定手段による前記制御対象車両の種別特定処理の参照先として使用される参照用記憶部とを有し、さらに、
前記受信確定用記憶部の記憶内容にデータ異常が発生した場合に、前記受信確定用記憶部から前記参照用記憶部への前記記憶内容の転送・上書きを行なわず、該参照用記憶部の前回の記憶内容を保持する車両種別特定情報保持手段を有する請求項10記載の車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−185788(P2009−185788A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29508(P2008−29508)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】