説明

車両用減速制御装置及びその方法

【課題】分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施する。
【解決手段】車両用減速制御装置は、ナビゲーション装置14で地図情報の作成に使用するノード点を複数個用いて、車両前方の走行路の旋回半径を算出するナビゲーション情報処理部43と、ナビゲーション情報処理部43が算出した旋回半径を基に、自車両を減速制御する制駆動力コントロールユニット8と、分岐点判定部61が自車両が走行する走路が分岐路であると判断したとき、該分岐路の所定範囲内のノード点の密度が小さくなるほど、減速制御のための目標減速度の抑制度合いを大きく補正する目標車速補正部62と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前方のカーブに対して車両を減速制御する車両用減速制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両前方のカーブの状態を検出し、その検出した車両前方のカーブの状態を基に減速制御をする技術がある。特許文献1に開示の装置では、ナビゲーションシステムが提供する複数のノード点を利用して、前方カーブにおける目標車速を算出し、その算出した目標車速及び自車速を基に目標減速度を算出している。そして、この装置では、算出した目標減速度が所定値を達したときに、減速制御を作動させている。
【特許文献1】特開平6−36187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーションシステムが提供するノード点は、カーブ路では密に設けてあるが、それ以外の道路では一般的に粗く設けてある。そのため、特許文献1の装置のように複数のノード点を利用してカーブを特定する場合、分岐点近傍のノード点間の関係によっては、実際の曲率よりも小さな曲率のカーブとして検出し、実際のカーブの曲率とは異なる減速制御が作動するため、その減速制御が運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
本発明の課題は、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明は、車両前方の分岐点の所定範囲内のノード点の密度を基に、目標減速度を補正する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、車両前方の分岐点の所定範囲内のノード点の密度を基に目標減速度の抑制度合いを補正することで、分岐点での道路形状を適切に評価でき、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
第1の実施形態は、本発明に係る車両用減速制御装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、本実施形態を示す概略構成図である。同図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバである。通常、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で制動流体圧を昇圧し、昇圧した制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7を介装している。
【0007】
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御する。そして、制動流体圧制御部7は、単独でその制動流体圧を制御できる。また、制動流体圧制御部7は、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力された場合には、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御することもできる。例えば、液圧供給系にアクチュエータを含んで制動流体圧制御部7を構成している。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
【0008】
また、この車両は、駆動トルクコントロールユニット12を搭載している。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することもできる。また、駆動トルクコントロールユニット12は、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値が入力された場合には、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御することもできる。駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
【0009】
また、この車両は、先行車検知用の外界認識センサ13を搭載している。外界認識センサ13は、ミリ波レーダ13a及びミリ波レーダコントローラ13bを備える。外界認識センサ13は、ミリ波レーダコントローラ13bがミリ波レーダ13aの検出結果を基に、先行車両までの車間距離Lxを検出する。外界認識センサ13は、車間距離Lxを制駆動力コントロールユニット8に出力する。
【0010】
また、この車両は、ナビゲーション装置14を搭載している。ナビゲーション装置14は、GPS(Global Positioning System)で計測した自車両位置(X0,Y0)と地図情報(電子地図)とに基づいて自車両の前方道路情報を検索する。ここで、自車両の前方道路情報は、いわゆるノード点情報である。ノード点情報は、Xj、Yj、Lj、Branchj(j=1〜n、nは整数)からなる。Xj、Yjは、ノード点Njの位置情報である。Ljは、自車両位置(X0,Y0)から任意のノード点Njの位置(Xj,Yj)までの距離である。Branchjは、分岐点であるか否かを示す情報である。各ノード点Njの間の関係は、jの値が大きいほど、そのノード点Njが自車両の位置(X0,Y0)から遠くなる。ナビゲーション装置14は、このようなノード点情報(Xj、Yj、Lj、Branchj)等を基に、モニタ等の出力部に地図表示と現在の自車両位置等を出力している。なお、カーブ手前に設置したインフラ施設から路車間通信により同様の情報を取得することもできる。
【0011】
また、この車両は、警告用モニタ15を搭載している。警告用モニタ15は、音声やブザー音を発生するためのスピーカを内蔵している。制駆動力コントロールユニット8が、警告用モニタ15の動作を制御する。
また、この車両は、前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出する加速度センサ16、ヨーレイトφ´を検出するヨーレイトセンサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角δを検出する操舵角センサ19、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ20、各車輪5FL〜5RRの回転速度、及び所謂車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RRを搭載している。これらセンサ等は、検出した検出信号等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
【0012】
また、この車両は、ACC(adaptive cruise control)用のACCスイッチ23を搭載している。例えば、ステアリングホイール又は車体にACCスイッチ23を取り付けている。ACCスイッチ23は、メインスイッチ(MAIN SW)、リセットスイッチ(RES SW)及びセットスイッチ(SET SW)等の複数のスイッチからなる。例えば、ACCスイッチ23は、メインスイッチがセットされた状態で、セットスイッチが押されると、その時の自車速を設定車速として出力する。設定車速は、定速走行を行うための車速である。
【0013】
図2は、制駆動力コントロールユニット8の構成例を示す。同図に示すように、制駆動力コントロールユニット8は、車速演算部41、目標車速演算部42、ナビゲーション情報処理部43、目標減速度演算部44、目標車速指令値演算部45、警報制御部46、車速設定部47、車速指令値演算部48、車速サーボ演算部49及びトルク配分制御演算部50を備える。また、トルク配分制御演算部50は、ブレーキ液圧演算部51及びエンジントルク演算部52を備える。制駆動力コントロールユニット8は、これら構成部を例えばソフトウェアの形態として備えることもできる。
【0014】
図3は、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理の処理手順を示す。同図を用いて、前記図2に示す各構成部の処理内容と併せて、処理手順の説明をする。制駆動力コントロールユニット8は、この演算処理を例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行する。なお、演算処理によって得た情報を随時記憶装置に更新記憶すると共に、必要な情報を随時記憶装置から読み出す。
【0015】
図3に示すように、処理を開始すると、先ずステップS1において、制駆動力コントロールユニット8は、前記各センサやコントローラ、コントロールユニット等から各種データを読み込む。具体的には、ナビゲーション装置14が得たノード点情報(Xj、Yj、Lj、Branchj)(j=1〜n)を読み込む。また、各センサ等が検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θt、マスタシリンダ液圧Pm、駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTwを読み込む。また、ACCスイッチ23から設定車速を読み込む。
【0016】
続いてステップS2において、車速演算部41は、車速Vを算出する。具体的には、車速演算部41は、前記ステップS1で読み込んだ車輪速度Vwiを基に、下記(1)式により車速Vを算出する。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度である。Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
【0017】
また、このように算出した車速Vは好ましくは通常走行時に用いる。また、ABS(Anti-lock Brake System)制御等が作動している場合には、そのABS制御内で推定している推定車体速度を前記車速Vとして用いることもできる。また、ナビゲーション装置14でナビゲーション情報に利用している値を前記車速Vとして用いることもできる。
続いてステップS3において、ナビゲーション情報処理部43は、自車両前方の各ノード点の旋回半径を算出する。具体的には、ナビゲーション情報処理部43は、前記ステップS1で読み込んだ前方道路のノード点情報である各ノード点の座標(Xj,Yj)(j=1〜n)を基に、各ノード点の旋回半径を算出する。旋回半径の算出方法についてはいくつか挙げることができる。本実施形態では、下記(2)式により、連続する3つのノード点の座標(Xj-1,Yj-1)、(Xj,Yj)、(Xj+1,Yj+1)から、旋回半径Rjを算出する。
j=f1(Xj-1,Yj-1,Xj,Yj,Xj+1,Yj+1) ・・・(2)
【0018】
図4に示すように、連続するノード点Nj-1(Xj-1,Yj-1)、ノード点Nj(Xj,Yj)、ノード点Nj+1(Xj+1,Yj+1)を基に、旋回半径Rjを算出する。ここで、関数f1は、3つのノード点の座標から旋回半径を算出するための関数である。旋回半径Rjが負値の場合、左旋回を示し、旋回半径Rjが正値の場合、右旋回を示す。例えば、図5に示すように、各ノード点Nj(ノード点番号)について、旋回半径Rj(図中●印)を得ることができる。
【0019】
ここでは、3点の座標(Xj-1,Yj-1)、(Xj,Yj)、(Xj+1,Yj+1)から旋回半径を算出する方法を示した。しかし、前後するノード点を結ぶ直線のなす角度を用いて、旋回半径を算出することもできる。また、ここでは、各ノード点の座標に基づいて旋回半径を算出している。しかし、地図データ内のノード点情報として各ノード点の旋回半径を記憶させておいて、このステップS3でその値を検索することもできる。また、各ノード点を通過するように、各ノード点の間を等間隔に区分する補完点を作成し、その作成した補完点毎に旋回半径を算出することもできる。
【0020】
続いてステップS4において、目標車速演算部42は、各ノード点での目標車速を算出する。具体的には、目標車速演算部42は、前記ステップS3で算出した各ノード点の旋回半径Rj及び許容横加速度Yglimtを用いて、下記(3)式により目標車速Vrjを算出する。
Vrj=√(Yglimt・|Rj|) ・・・(3)
ここで、許容横加速度Yglimtは所定値であり、例えば0.3gである。また、運転者が選択切り替えスイッチにより許容横加速度Yglimtを設定することもできる。この(5)式によれば、許容横加速度Yglimtが大きくなるほど、目標車速Vrjは大きくなる。また、各ノード点を通過するように、各ノード点の間を等間隔に区分する補完点を作成し、その作成した補完点毎に目標車速を算出することもできる。
【0021】
続いてステップS5において、目標減速度演算部44は、目標減速度を算出する。具体的には、目標減速度演算部44は、前記ステップS2で算出した車速V、前記ステップS4で算出した目標車速Vrj及びナビゲーション装置14で得た現在位置からノード点までの距離Ljを用いて、下記(4)式により目標減速度Xgsjを算出する。
Xgsj=(V2−Vrj2)/(2・Lnj
=(V2−Yglmit・|Rj|)/(2・Lj) ・・・(4)
【0022】
ここで、目標減速度Xgsjは、減速となる場合、負値として与え(小さくなり)、加速となる場合、正値として与える(大きくなる)。また、目標減速度Xgsjを算出するうえで、旋回半径Rj、距離Lj及び目標車速Vrjは、車両前方のカーブの状態を示す値になる。この(4)式によれば、目標車速Vrjが小さくなるほど、目標減速度Xgsjは小さくなる(絶対値では大きくなる)。すなわち、目標車速Vrjが小さくなるほど、大きな減速度(絶対値)が必要になる。又は、自車速Vが大きくなるほど、目標減速度Xgsjは小さくなる(絶対値では大きくなる)。又は、許容横加速度Yglimtが小さくなるほど、目標減速度Xgsjは小さくなる。又は、旋回半径の絶対値|Rj|が小さくなるほど、目標減速度Xgsjは小さくなる。又は、距離Ljが短くなるほど、目標減速度Xgsjは小さくなる。また、各ノード点を通過するように、各ノード点の間を等間隔に区分する補完点を作成し、その作成した補完点毎に目標減速度を算出することもできる。
【0023】
続いてステップS6において、目標減速度演算部44は、各ノード点での目標減速度Xgsjから、最小値の目標減速度を検出する。具体的には、目標減速度演算部44は、下記(5)式により、目標減速度の最小値(以下、最小目標減速度という。)Xgsminを検出する。
Xgsmin=min(Xgsj) ・・・(5)
ここで、関数minは、各ノード点での目標減速度Xgsjから、最小値の目標減速度Xgsjを抽出するための関数である。この(5)式により、制御対象となるノード点(目標ノード点)を検出するための最小目標減速度Xgsminを得ることができる。
【0024】
続いてステップS7において、目標車速指令値演算部45は、目標車速指令値を算出する。具体的には、目標車速指令値演算部45は、前記ステップS6で検出した最小目標減速度Xgsminを用いて、下記(6)式により目標車速指令値Vrrを算出する。
Vrr=f2(Xgsmin)・t ・・・(6)
ここで、関数f2は、最小目標減速度Xgsminの変化を制限する関数である。例えば、変化を制限する変化量リミッタを例えば0.01G/secとする。また、関数f2は、Xgsminが大きくなるほど、目標車速指令値Vrrを大きくする。tは時間(サンプリングタイム)を示す。この(6)式によれば、目標車速指令値Vrrは、変化量リミッタと時間tに応じた分だけ変化する。すなわち、この(6)式により、減速度の変化量リミッタを付加した目標車速指令値を算出する。
【0025】
続いてステップS8において、警報制御部46は、警報作動開始判断を行う。警報制御部46は、例えば併有する機能(警報の作動開始を判断する機能)により、警報作動開始判断を行う。具体的には、警報制御部46は、前記ステップS6で算出した最小目標減速度Xgsminが警報作動判断用しきい値Xgsth1未満になったとき(Xgsmin<Xgsth1)、警報を作動開始させる判断を行う。警報制御部46は、警報を作動させる判断をした場合、警報作動フラグflg1を1に設定する(flg1=1)。例えば、警報作動判断用しきい値Xgsth1は、実験値、経験値又は理論値である。
【0026】
図6は、最小目標減速度Xgsminと警報作動フラグflg1との関係を示す。同図に示すように、最小目標減速度Xgsminが警報作動判断用しきい値Xgsth1未満になったとき(Xgsmin<Xgsth1)、警報作動フラグflg1は1になる(flg1=1)。
続いてステップS9において、車速指令値演算部48は、減速制御作動開始判断を行う。車速指令値演算部48は、例えば併有する機能(減速制御の作動開始を判断する機能)により、減速制御作動開始判断を行う。具体的には、車速指令値演算部48は、前記ステップS6で算出した最小目標減速度Xgsminが減速制御作動判断用しきい値Xgsth2未満になったとき(Xgsmin<Xgsth2)、減速制御を作動開始させる判断を行う。車速指令値演算部48は、減速制御を作動させる判断をしたとき、減速制御作動フラグflg2を1に設定する(flg2=1)。例えば、減速制御作動判断用しきい値Xgsth2は、実験値、経験値又は理論値である。
【0027】
また、該減速制御作動判断用しきい値Xgsth2を前述の警報の作動開始判断のための警報作動判断用しきい値Xgsth1よりも小さい値に設定することで(Xgsth2<Xgsth1)、最小目標減速度Xgsminが小さくなっていくときに、先ず、警報を作動させる判断をし、その後、減速制御を作動させる判断をするようになる。
【0028】
図7は、最小目標減速度Xgsminと減速制御作動フラグflg2との関係を示す。同図に示すように、最小目標減速度Xgsminが減速制御作動フラグflg2未満になったとき(Xgsmin<Xgsth2)、減速制御作動フラグflg2は1になる(flg2=1)。すなわち、目標車速Vrjが小さくなるほど、又は距離Ljが短くなるほど、最小目標減速度Xgsminが小さくなるから(前記(4)式、(5)式参照)、減速制御作動フラグflg2は1になり易くなる。
【0029】
続いてステップS10において、車速サーボ演算部49は、目標加減速度を算出する。目標加減速度は、前記ステップS7で算出した目標車速指令値Vrrを達成するための制御量になる。具体的には、車速サーボ演算部49は、減速制御作動フラグflg2が1になったとき、すなわち減速制御を作動させると判断したとき、目標車速指令値Vrrを達成するために、目標加減速度を算出する。例えば、目標車速指令値Vrrと自車速Vとの差分値として目標加減速度を算出する。
続いてステップS11において、トルク配分制御演算部50は、トルク配分を算出する。具体的には、トルク配分制御演算部50は、前記ステップS10で算出した目標加減速度をブレーキトルクとエンジントルクとで実現するように、ブレーキトルクとエンジントルクのトルク配分を算出する。詳しくは、次のように算出する。
【0030】
ブレーキトルクを実現するため、ブレーキ液圧演算部51が、各輪の目標制動液圧を算出する。具体的には、ブレーキ液圧演算部51は、減速制御を開始する判断をした場合(flg2=1)に、前記ステップS10で算出した目標加減速度を用いて目標制御液圧を算出する。例えば、ブレーキ液圧演算部51は、目標加減速度Xg*を用いて、下記(7)式により制御目標液圧Psを算出する。
Ps=Kb・Xg* ・・・(7)
ここで、Kbはブレーキ諸元等より定まる定数である。この(7)式によれば、目標加減速度Xg*が大きくなるほど、制御目標液圧Psが大きくなる。そして、この制御目標液圧Pcを前後輪用の各目標制動液圧Psfr,Psrrにより実現する(例えば、Psfr=Psrr=Ps/2)。
【0031】
また、エンジントルクを実現するために、エンジントルク演算部52が、駆動輪の駆動力を算出する。具体的には、エンジントルク演算部52は、減速制御を開始する判断をした場合(flg2=1)に、制御目標液圧Ps及びアクセル開度Accを用いて、下記(8)式により目標駆動トルクTrqdsを算出する。
Trqds=f3(Acc)−f4(Ps) ・・・(8)
ここで、関数f3(Acc)は、アクセル開度Accに応じて目標駆動トルクTrqdsを算出するための関数である。f4(Ps)は、制御目標液圧Pcにより発生が予想させる制動トルクを算出するための関数である。
【0032】
なお、減速制御を実施しない場合には(flg2=0)、下記(9)式により目標駆動トルクTrqdsを算出する。
Trqds=f3(Acc) ・・・(9)
以上より、自動減速制御が作動している場合、アクセル開度Accと自動減速制御の制御量f4(Ps)に応じて、目標駆動トルクTrqdsを算出する((8)式)。これにより、自動減速制御の作動中に運転者がアクセル操作してもエンジン出力を絞って加速できなくしている。また、自動減速制御が作動していない場合、アクセル開度Accに応じて、目標駆動トルクTrqdsを算出する((9)式)。
【0033】
続いてステップS12において、警報及び減速制御を実施する。警報については、警報制御部46は、警報を作動させる判断をしたタイミングで(flg1が1になったとき)、警報用モニタ15を作動させる。例えば、警報用モニタ15から警報音を出力し、警報表示をする。これに限らず、HUD(Head-up Display)、ナビゲーションシステムからの音声発話、ナビ画面表示やメータ表示により、警報を実施することもできる。減速制御については、ブレーキ液圧演算部51及びエンジントルク演算部52は、減速制御を作動させる判断をしたタイミングで(flg2が1になったとき)、前記ステップS11で算出した目標制動液圧Psi(Psfr、Psrr)及び目標駆動トルクTrqdsを基に、制動流体圧制御部7及び駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力する。これにより、制動力及び駆動力を制御する。これにより、車両は、制動力及び駆動力に応じて減速するようになる。
【0034】
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う具体的な演算処理の処理手順を説明する。図8は、その具体的な処理手順を示す。同図に示すように、この処理では、前記図3に示す処理に対して、ステップS21及びステップS22の処理を新たに設けている。具体的には、前記ステップS1の処理とステップS2の処理との間にステップS21の処理を設ける。前記ステップS4の処理とステップS5の処理との間にステップS22の処理を設ける。そして、制駆動力コントロールユニット8は、これらの処理を実現するために、図9に示すように、分岐点判定部61及び目標車速補正部62を備える。なお、分岐点判定部61をナビゲーション情報処理部43内の構成として備えることもできる。
【0035】
ここで、図8に示す処理において、前記図3の処理に付してある符号(ステップ番号)と同一の符号(ステップ番号)を付してある処理については、特に言及しない限りは該図3の処理と同一である。また、図9において、前記図2の構成部に付してある符号と同一の符号を付してある構成部の処理については、特に言及しない限りは該図2の構成部の処理と同一である。
【0036】
ステップS21では、分岐点判定部61は、分岐点を判定する。具体的には、先ず、分岐点判定部61は、その前段の処理で得たノード点情報(Xj、Yj、Lj、Branchj)を基に、前方の走行路上に分岐点が存在するか否かを判定する。分岐点判定部61は、前方の走行路上に分岐点が存在する場合、分岐点フラグflgbを1に設定する(flgb=1)。分岐点判定部61は、そうでない場合、分岐点フラグflgbを零に設定する(flgb=0)。
【0037】
続いて、分岐点判定部61は、前方の走行路上に分岐点を確認できた場合(flgb=1)、自車両が走行することとなる走路が、分岐路になるか否かを判定する。例えば、分岐点判定部61は、ナビゲーション装置14からのノード点情報を基に、自車両が走行することとなる走路が分岐路になるか否かを判定する。例えば、ノード点とノード点を結ぶ線(リンク)に走行路の種別が対応付けられている。例えば、本線、連絡路、ジャンクション等の種別が対応付けられている。分岐点判定部61は、このような情報を基に、自車両が走行することとなる走路が分岐路(本線から分岐する走路)か否を判定する。
【0038】
そして、分岐点判定部61は、以上のような判定により、走行路上に分岐点があり(flgb=1)、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、その分岐点前後のノード点の密度(以下、単にノード点密度という。)Dnodeを算出する。具体的には、分岐点判定部61は、下記(10)式により、ノード点密度Dnodeを算出する。
Dnode=Nk/L_branch ・・・(10)
ここで、Nk(k=p〜q、p及びqは整数)は、分岐点を含んだノード点Npからノード点Nqまでの間にあるノード点の個数である。L_branchは、分岐点前後の距離である。距離L_branchは所定値である。例えば、距離L_branchは100mである。
【0039】
ステップS22では、目標車速補正部62は、その前段の算出処理で得た目標車速Vrjを補正する。具体的には、目標車速補正部62は、前記ステップS21でノード点密度Dnodeを算出した場合には、その算出したノード点密度Dnodeを基に、目標車速Vrjを補正する。すなわち、目標車速補正部62は、走行路上に分岐点があり(flgb=1)、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるとき、目標車速Vrjを補正する。具体的には、目標車速補正部62は、下記(11)式により、目標車速Vrjを補正する。
Vrj=f5(Vrj) ・・・(11)
【0040】
ここで、関数f5は、Vrjを増加させる関数である。具体的には、下記(12)式により、目標車速Vrjを補正する。
Vrj=Vrj+Kvr ・・・(12)
ここで、Kvrはオフセット値(所定値)である。オフセット値Kvrは、下記(13)式に示すように、ノード点密度Dnodeを変数とする値である。
Kvr=f6(Dnode) ・・・(13)
【0041】
図10は、ノード点密度Dnodeとオフセット値Kvrとの関係の一例を示す。同図に示すように、ノード点密度Dnodeが高い領域では、オフセット値Kvrは一定の大きい値になる。そして、ノード点密度Dnodeがある値よりも高くなったとき、ノード点密度Dnodeが高くなるほど、オフセット値Kvrは小さくなる。そして、ノード点密度Dnodeがさらに高くなったとき、ノード点密度Dnodeにかかわらず、オフセット値Kvrは一定の小さい値になる。このような関係となるように、ノード点密度Dnodeを基にオフセット値Kvrを得る(前記(13)式)。すなわち、概略として、ノード点密度Dnodeが高くなるほど(ノード点が多くなるほど)、オフセット値Kvrを小さくする。
【0042】
そして、目標車速補正部62は、前記(11)式により、オフセット値Kvrを、所定時間維持(保持)し、その後減少させていく。具体的には、目標車速補正部62は、下記(14)式により、オフセット値Kvrを減少させる。
Kvr=Kvr−Δkvr1 ・・・(14)
ここで、Δkvr1は所定量である。この(14)式によれば、オフセット値Kvrは、図8の演算処理の繰り返し回数に応じて徐々に減少していく。すなわち、補正前の目標車速Vrjに徐々に戻る(前記(3)式参照)。また、所定時間は、分岐点前後でカーブを検出したときの、そのカーブ区間の長さに応じて設定する。ここで、分岐点前後で検出できるカーブとは、自車両の走行路上(分岐路)にあり、自車両からみて分岐点の向こう側に存在するカーブである。
【0043】
図11は、分岐点前後で検出したカーブのカーブ区間の長さと所定時間との関係の一例を示す。同図に示すように、カーブ区間が長い領域では、所定時間は一定の大きい値になる。そして、カーブ区間がある値よりも長くなったとき、カーブ区間が長くなるほど、所定時間は短くなる。そして、カーブ区間長さがさらに長くなったとき、カーブ区間長さにかかわらず、所定時間は一定の小さい値になる。このような特性図を用いて、カーブ区間長さを基に所定時間を得る。すなわち、概略として、カーブ区間が長くなるほど、所定時間を小さくする。
そして、以降の処理では、補正後の目標車速Vrjを用いて処理を行う。すなわち、前記ステップS5では、補正後の目標車速Vrjを用いて目標減速度Xgsjを算出する(前記(4)式参照)。目標車速Vrjを補正することで、目標減速度Xgsjは、補正前の値よりも大きくなる。
【0044】
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。
先ず、図3に示す処理により、車両走行中、車両用減速制御装置は、各種データを読み込み(前記ステップS1)、車速Vを算出する(前記ステップS2)。また、車両用減速制御装置は、自車両前方の各ノード点の旋回半径Rjを算出し、その算出した各ノード点の旋回半径Rjを基に、各ノード点での目標車速Vrjを算出する(前記ステップS3、ステップS4)。さらに、車両用減速制御装置は、各ノード点での目標車速Vrjを基に、各ノード点での目標減速度Xgsjを算出する(前記ステップS5)。そして、車両用減速制御装置は、各ノード点での目標減速度Xgsjから最小値の目標減速度Xgsminを検出し、その検出した最小目標減速度Xgsminを基に、目標車速指令値Vrrを算出する(前記ステップS6、ステップS7)。さらに、車両用減速制御装置は、目標車速指令値Vrrを基に目標加減速度Xg*を算出し、その算出した目標加減速度Xg*を基に、ブレーキトルクとエンジントルクのトルク配分(Ps,Trqds)を算出する(前記ステップS10、ステップS11)。一方、車両用減速制御装置は、最小目標減速度Xgsminを基に、警報作動開始判断及び減速制御作動開始判断を行う(前記ステップS8、ステップS9)。そして、車両用減速制御装置は、警報作動開始判断及び減速制御作動開始判断の判断結果(flg1及びflg2の状態)を基に、警報及び減速制御を実施する(前記ステップS12)。
【0045】
これに対して、図8に示す処理により、車両用減速制御装置は、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、その分岐点前後のノード点密度Dnodeを算出する(前記ステップS21)。そして、車両用減速制御装置は、その算出したノード点密度Dnodeを基に、目標車速Vrjを補正する(前記ステップS22)。具体的には、車両用減速制御装置は、概略として、ノード点密度Dnodeが高くなるほど、オフセット値Kvrを小さくしている(前記図10参照)。
【0046】
図12は、目標車速Vrjと分岐点フラグflgbとの関係を示す。同図に示すように、分岐点フラグflgbが1になると(さらに自車両が走行することとなる走路が分岐路になると判定すると)、目標車速Vrjをオフセット値Kvrだけ増加させる補正を行う。そして、オフセット値Kvrを所定時間維持して(同図に示すA区間)、その後、オフセット値Kvrを減少させる(同図に示すB区間)。ここで、同図に示すA区間の後半では、補正後の目標車速Vrjは、オフセット値Kvr分だけ大きくなるものの、補正前の目標車速Vrjが減少するため(同図に示す点線の値)、減少するようになる。このように目標車速Vrjを大きくする補正をすることで、目標減速度Xgsj(最小目標減速度Xgsmin)が大きくなり、減速制御が介入し難くなる。さらに、減速制御が介入したとしても、目標減速度Xgsj(最小目標減速度Xgsmin)が大きくなっていることで、目標車速指令値Vrrも大きくなり、その減速度が通常(補正前)のものと比較して抑制されたものとなる。
【0047】
図13は、目標車速Vrjと分岐点フラグflgbとの関係の他の例を示す。同図に示すように、オフセット値Kvrを小さくしたり、値を維持するための所定時間(同図に示すA区間)を短くしたりすることで、目標車速Vrjを補正前の値に戻り易くすることもできる。
図14は、道路200の形状とナビゲーション装置14から得られるノード点情報との一般的な関係を示す。同図に示すように、ノード点情報はカーブ路200cでは密である。すなわち、カーブ路200cではノード点の数が多くなる。これに対して、ノード点情報は直線路200aでは粗である。すなわち、直線路200aではノード点の数が少なくなる。通常、分岐路200bでも同様に、ノード点の数が少ないままである。このような場合に、自車両100が分岐路200bを走行路として選択した場合を考える。
【0048】
この場合において、図15に示すように、分岐点付近のノード点が、旋回半径を算出するための計算対象として選択されるときがある。すなわち、前記(2)式により、連続する3つのノード点の座標から旋回半径を算出することがある。しかし、分岐点付近では、ナビゲーション装置14から得られるノード点の数が少なく、算出される旋回半径もその影響を受ける。すなわち、同図に示すような3点のノード点を用いると、単に分岐しているのだけなのに、カーブ路を示すような旋回半径を算出してしまう。そして、その旋回半径を基に減速制御を作動させてしまうと、必要以上に減速してしまい、運転者に違和感を与えてしまう。
【0049】
これに対して、車両用減速制御装置は、走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、そのときに算出したノード点密度Dnodeが低くなるほどオフセット値Kvrを大きくし、目標車速Vrjを大きくする補正をしている。これにより、ノード点密度Dnodeが低くなるほど、最小目標減速度Xgsminを大きくし、減速制御の介入タイミングが遅くなるようにしている。すなわち、減速制御を介入し難くしている。さらに、減速制御が介入したとしても、ノード点密度Dnodeが低くなるほど最小目標減速度Xgsminが大きくなるから、その減速度も通常のものと比較して抑制されたものとなる。つまり、減速制御の制御内容を補正することとして、減速制御の介入タイミングが遅くしたり、減速度を小さくしたりしている。このように、車両用減速制御装置は、分岐点での分岐路の形状を適切に評価し、その道路形状に適合させて減速制御を作動させている。これにより、車両用減速制御装置は、カーブに対して実施する減速制御が分岐点で不用意に作動してしまうのを防止している。
【0050】
また、前記図13を用いて説明したように、オフセット値Kvrを小さくしたり、値を維持するための所定時間(同図に示すA区間)を短くしたりすることで、分岐路が減速制御が必要なカーブ路であると判明したような場合に(カーブ路である可能性が高い場合に)、カーブ路となる分岐点で減速制御を適切に実施できるようになる。
【0051】
なお、この第1の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、この第1の実施形態では、目標車速Vrjを補正している。これに対して、許容横加速度Yglimtを補正することもできる。すなわち例えば、前述のように、許容横加速度Yglimtにオフセット値を加算する等して、許容横加速度Yglimtを補正する。このようにすることでも、目標車速Vrjを補正した場合と同様な効果を得ることができる。
【0052】
また、この第1の実施形態では、ノード点密度Dnodeを基に、オフセット値Kvrを算出している。これに対して、分岐点前後のノード点の平均距離を基に、オフセット値Kvrを算出することもできる。この場合、例えば、下記(15)式により、分岐点前後のノード点の平均距離(以下、単にノード点間平均距離という。)Lnodeを算出する。
Lnode=Lk/K ・・・(15)
ここで、Lk(k=p〜q、p及びqは整数)は、分岐点を含んだノード点Npからノード点Nqまでの距離(ノード点間距離)である。Kはその距離Lk内のノード点の個数になる。
そして、下記(16)式に示すように、このノード点間平均距離Lnodeを変数として、オフセット値Kvrを算出する。
Kvr=f6(Lnode) ・・・(16)
【0053】
図16は、ノード点間平均距離Lnodeとオフセット値Kvrとの関係の一例を示す。同図に示すように、ノード点間平均距離Lnodeが長い領域では、オフセット値Kvrは一定の小さい値になる。そして、ノード点間平均距離Lnodeがある値よりも長くなったとき、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど、オフセット値Kvrは大きくなる。そして、ノード点間平均距離Lnodeがさらに長くなったとき、ノード点間平均距離Lnodeにかかわらず、オフセット値Kvrは一定の大きい値になる。このような関係となるように、ノード点間平均距離Lnodeを基にオフセット値Kvrを得る(前記(16)式)。すなわち、概略として、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど(ノード点が多くなるほど)、オフセット値Kvrを大きくする。
【0054】
また、この第1の実施形態では、ナビゲーション装置14から得た情報を基に、分岐点を検出している。これに対して、他の手段により分岐点を検出することもできる。すなわち例えば、カメラにより車両前方を撮像して、その撮像画像を基に、分岐点を検出することもできる。
また、この第1の実施形態では、分岐点を検出し、その検出した分岐点について行う減速制御を抑制している。これに対して、合流点を検出し、その検出した合流点について行う減速制御を抑制することもできる。
また、この第1の実施形態では、自車両が走行することとなる走路が分岐路であることを要件に、減速制御の制御内容を補正している。これに対して、分岐点を検出できれば、自車両が走行することとなる走路が分岐路であることを要件とすることなく、減速制御の制御内容を補正することもできる。
【0055】
また、この第1の実施形態では、オフセット値Kvrを維持する所定時間をカーブ区間の長さを基に得ている。これに対して、他の値を基に所定時間を得ることもできる。例えば、分岐点通過からカーブに到達するまでの到達時間、該カーブの旋回半径、該カーブ通過時の目標車速を基に、所定時間を算出することもできる。例えば、到達時間が短くなるほど、所定時間を短くする。又は、カーブの旋回半径が小さくなるほど、所定時間を短くする。又は、分岐点通過時の目標車速とその先のカーブの目標車速との差分を基に、所定時間を算出する。例えば、その差分が大きくなるほど、所定時間を短くする。さらに、これらの到達時間、旋回半径等の値等の値の組み合わせから、所定時間を得ることもできる。例えば、カーブ区間長さ、到達時間、旋回半径等の値等の値から得た各所定時間に重み付けをして、最終的な所定時間を決定する。
【0056】
また、この第1の実施形態では、オフセット値Kvrを減少させるためのΔkvr1を所定量(固定値)としている。これに対して、他の値を基にΔkvr1を得ることもできる。例えば、カーブ区間長さ、分岐点通過からカーブに到達するまでの到達時間、該カーブの旋回半径、該カーブ通過時の目標車速を基に、Δkvr1を算出することもできる。例えば、到達時間が短くなるほど、Δkvr1を大きくする。又は、カーブの旋回半径が小さくなるほど、Δkvr1を大きくする。又は、分岐点通過時の目標車速とその先のカーブの目標車速との差分を基に、Δkvr1を算出する。例えば、その差分が大きくなるほど、Δkvr1を大きくする。さらに、これらのカーブ区間長さ、到達時間、旋回半径等の値等の値の組み合わせから、Δkvr1を得ることもできる。例えば、到達時間、旋回半径等の値等の値から得た各Δkvr1に重み付けをして、最終的なΔkvr1を決定する。
【0057】
また、この第1の実施形態では、最小目標減速度Xgsminを基に警報作動開始判断や減速制御作動開始判断を行っている。これに対して、他の判断基準により警報作動開始判断や減速制御作動開始判断を行うこともできる。すなわち例えば、目標車速指令値Vrrを用いて警報作動開始判断や減速制御作動開始判断を行うこともできる。
【0058】
図17は、目標車速指令値Vrrを用いて警報作動開始判断を行った場合の処理を示す。同図に示すように、警報制御部46は、設定車速Vset、自車速V及び目標車速指令値Vrrを用いて警報作動開始判断を行う。設定車速Vsetについては、車速設定部47が、ACCスイッチ23の操作信号に応じて、設定車速Vsetを警報制御部46に出力している。この警報作動開始判断では、例えば、警報制御部46は、設定車速Vsetと自車速Vとが等しい場合に(Vset=V)、目標車速指令値Vrrが設定車速Vset(自車速V)未満となったとき(Vrr<Vset)、警報作動フラグflg1を1に設定する(flg1=1)。これにより、警報作動フラグflg1が1になったとき、警報が作動するようになる。
【0059】
図18は、目標車速指令値Vrrを用いて減速制御作動開始判断を行った場合の処理を示す。同図に示すように、車速指令値演算部48は、設定車速Vset、自車速V及び目標車速指令値Vrrを用いて警報作動開始判断を行う。設定車速Vsetについては、車速設定部47が、ACCスイッチ23の操作信号に応じて、設定車速Vsetを車速指令値演算部48に出力している。この減速制御作動開始判断では、例えば、車速指令値演算部48は、設定車速Vsetと自車速Vとが等しい場合に(Vset=V)、目標車速指令値Vrrが設定車速Vset(自車速V)未満となったとき(Vrr<Vset)、減速制御作動フラグflg2を1に設定する(flg2=1)。これにより、減速制御作動フラグflg2が1になったとき、減速制御が作動するようになる(制動液圧が立ち上がる)。
【0060】
なお、この第1の実施形態では、ナビゲーション情報処理部43は、ナビゲーション装置で地図情報の作成に使用するノード点を複数個用いて、車両前方の走行路の旋回半径を算出する旋回半径算出手段を実現している。また、目標減速度演算部44は、前記旋回半径算出手段が算出した旋回半径を基に、自車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段を実現している。また、目標減速度演算部44、目標車速指令値演算部45、警報制御部46、車速指令値演算部48、車速サーボ演算部49、トルク配分制御演算部50、ブレーキ液圧演算部51及びエンジントルク演算部52は、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度を基に、前記車両を減速制御する減速制御手段を実現している。また、分岐点判定部61は、車両前方の分岐点を検出する分岐点検出手段、及び前記自車両が走行することとなる走路が分岐路か否か判断する分岐路走行判断手段を実現している。また、目標車速補正部62は、前記分岐路走行判断手段が前記自車両が走行する走路が分岐路であると判断したとき、前記分岐路の所定範囲内の前記ノード点の密度を算出し、その値が小さくなるほど、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正する補正手段を実現している。
【0061】
また、この第1の実施形態では、車速演算部41、目標車速演算部42、目標減速度演算部44、目標車速指令値演算部45、警報制御部46、車速指令値演算部48、車速サーボ演算部49、トルク配分制御演算部50、ブレーキ液圧演算部51及びエンジントルク演算部52は、前記旋回半径算出手段が算出した旋回半径を基に、前記自車両を減速制御する車速制御手段を実現している。また、分岐点判定部61は、車両前方の分岐点又は合流点を検出する分岐合流点検出手段を実現している。また、目標車速補正部62は、前記分岐合流点検出手段が検出した分岐点又は合流点の所定範囲内の前記ノード点の数を基に、前記車速制御手段の減速制御の制御内容を補正する補正手段を実現している。
また、この第1の実施形態では、車両前方の分岐点の所定範囲内に存在する、ナビゲーション装置で地図情報の作成に使用するノード点の密度を基に、該分岐点での減速制御を行う車両用減速制御方法を実現している。
【0062】
(効果)
第1の実施形態における効果は次のようになる。
(1)ノード点密度Dnodeが低くなるほど、すなわちノード点の数が少なくなるほど、減速制御の抑制度合いを高くしている。具体的には、目標減速度の抑制度合いを高くしている。これにより、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施できる。
(2)ノード点密度Dnodeが低くなるほど、減速制御の減速度を小さくしている。これにより、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施できる。
(3)ノード点密度Dnodeが低くなるほど、減速制御の介入タイミングを遅くしている。これにより、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御を実施できる。
【0063】
(4)最小目標減速度Xgsminが減速制御作動判断用しきい値Xgsth2未満になったとき、該最小目標減速度Xgsminを実現するように、減速制御を実施している。目標車速Vrjが大きくなるほど、最小目標減速度Xgsminが大きくなるから(前記(4)式参照)、この処理は、目標車速Vrjが所定のしきい値未満(以下でも良い。)になったときに、該目標車速Vrjになるように減速制御を実施していることと等価である。そして、この実施形態では、オフセット値Kvにより目標車速Vrjを大きい値に補正することで、最小目標減速度Xgsminを大きくしている。これにより、減速制御の介入タイミングが遅くなり、介入後の減速制御の減速度が小さくなる。このように、目標車速Vrjを補正するだけで、減速制御の介入タイミングを遅くし、介入後の減速制御の減速度を小さくできる。
【0064】
(5)ノード点密度Dnodeが低くなるほど、目標車速Vrjを大きくしている。これにより、分岐点でのカーブの状態に適合させて、減速制御の介入タイミングを遅くし、介入後の減速制御の減速度を小さくできる。
(6)補正した目標車速Vrjを所定時間維持している。これにより、その所定時間を走行状況等に応じて設定することで、分岐点での減速制御を、走行状況等に適合させることができる。
【0065】
(7)カーブの区間長さ、分岐点からカーブに到達するまでの時間、カーブの旋回半径、分岐点について算出した目標車速Vrjとカーブについて算出した目標車速Vrjとの差分の少なくとも何れかを基に、所定時間を決めている。これにより、分岐点での減速制御を、その分岐点通過後に再び制御対象とするカーブの状況に適合させることができ、次の減速制御に、より適切に繋げることができる。
【0066】
(8)所定時間経過後、オフセット値Kvrを徐々に減少させている。これにより、所定時間経過後、補正した目標車速Vrjを該補正前の目標車速Vrjまで徐々に減少させている(いわば徐々に加速させている)。これにより、分岐点での減速制御を、その分岐点通過後に再び制御対象とするカーブに対して実施する減速制御に適合させることができる。すなわち例えば、最初の減速制御(分岐点に対する減速制御)を、その終了後の加速を抑えることで、次の減速制御(分岐点通過後のカーブに対する減速制御)に円滑に繋げることができる。
【0067】
(9)カーブの区間長さ、分岐点からカーブに到達するまでの時間、カーブの旋回半径、分岐点について算出した目標車速Vrjとカーブについて算出した目標車速Vrjとの差分の少なくとも何れかを基に、補正した目標車速Vrjを該補正前の目標車速Vrjまで徐々に減少させている。これにより、分岐点での減速制御を、その分岐点通過後に再び制御対象とするカーブの状況に適合させることができ、次の減速制御に、より適切に繋げることができる。
(10)所定範囲内に存在する各ノード点間の平均距離を基に、減速制御の制御内容を変更している。これにより、簡単に所定範囲内のノードの数を算出し、その算出値を基に、減速制御の制御内容を補正することもできる。
【0068】
(第2の実施形態)
(構成)
第2の実施形態は、本発明に係る車両用減速制御装置を搭載した後輪駆動車両である。第2の実施形態では、前記第1の実施形態におけるステップS22の処理内容を変更している。すなわち、関数f5をVrjを増加させる関数としているが、その具体的な内容が異なっている。具体的には、第2の実施形態では、下記(17)式に示すように、目標車速Vrjを所定値(置換値)Vr1に置き換えることで補正している。
Vrj=Vr1 ・・・(17)
所定値Vr1は、補正前の目標車速(当初目標車速)Vrj以上の値である。具体的には、下記(18)式に示すように、ノード点密度Dnodeを変数として、所定値Vr1を算出する。
Vr1=f7(Dnode) ・・・(18)
【0069】
図19は、ノード点密度Dnodeと所定値Vr1との関係の一例を示す。同図に示すように、ノード点密度Dnodeが高い領域では、所定値Vr1は一定の大きい値になる。そして、ノード点密度Dnodeがある値よりも高くなったとき、ノード点密度Dnodeが高くなるほど、所定値Vr1は小さくなる。そして、ノード点密度Dnodeがさらに高くなったとき、ノード点密度Dnodeにかかわらず、所定値Vr1は一定の小さい値になる。このような関係となるように、ノード点密度Dnodeを基に所定値Vr1を得る(前記(18)式)。すなわち、概略として、ノード点密度Dnodeが高くなるほど(ノード点が多くなるほど)、所定値Vr1を小さくする。
【0070】
そして、目標車速補正部62は、前記(17)式により補正した目標車速Vrjを、所定時間維持して、その後、減少させていく。具体的には、目標車速補正部62は、下記(19)式により、所定値Vr1(目標車速Vrj)を減少させる。
Vr1=Vr1−Δkvr2 ・・・(19)
ここで、Δkvr2は定数である。この(19)式によれば、所定値Vr1(目標車速Vrj)は、前記図8の演算処理の繰り返し回数に応じて徐々に減少していく。また、所定時間は、前記第1の実施形態と同様に、分岐点前後でカーブを検出したときの、そのカーブ区間の長さに応じて得る(前記図11参照)。
【0071】
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。特に第2の実施形態では、車両用減速制御装置は、ノード点密度Dnodeが高くなるほど、所定値Vr1(目標車速Vrj)を小さくしている(前記図19参照)。
図20は、目標車速Vrjと分岐点フラグflgbとの関係を示す。同図に示すように、分岐点フラグflgbが1になると(さらに自車両が走行することとなる走路が分岐路になると判定すると)、目標車速Vrjを所定値Vr1に置き換えることで補正を行う。そして、所定値Vr1を所定時間維持して(同図に示すA区間)、その後、所定値Vr1を減少させる(同図に示すB区間)。このように目標車速Vrjを大きくする補正をすることで、目標減速度Xgsj(最小目標減速度Xgsmin)が大きくなり、減速制御が介入し難くなる。さらに、減速制御が介入したとしても、目標減速度Xgsj(最小目標減速度Xgsmin)が大きくなっていることで、目標車速指令値Vrrも大きくなり、その減速度が通常のものと比較して抑制されたものとなる。
図21は、目標車速Vrjと分岐点フラグflgbとの関係の他の例を示す。同図に示すように、所定値Vr1を小さくしたり、値を維持するための所定時間(同図に示すA区間)を短くしたりすることで、目標車速Vrjを補正前の値に戻り易くすることもできる。
【0072】
以上のように、車両用減速制御装置は、走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、そのときに算出したノード点密度Dnodeが低くなるほど、目標車速Vrjを大きくする補正をしている。これにより、ノード点密度Dnodeが低くなるほど、最小目標減速度Xgsminを大きくし、減速制御の介入タイミングが遅くなるようにしている。さらに、減速制御が介入したとしても、ノード点密度Dnodeが低くなるほど最小目標減速度Xgsminが大きくなるから、その減速度も通常のものと比較して抑制されたものとなる。このように、車両用減速制御装置は、分岐点での分岐路の形状を適切に評価し、その道路形状に適合させて減速制御を作動させている。これにより、車両用減速制御装置は、カーブに対して実施する減速制御が分岐点で不用意に作動してしまうのを防止している。
【0073】
また、前記図21を用いて説明したように、所定値Vr1を小さくしたり、値を維持するための所定時間(同図に示すA区間)を短くしたりすることで、分岐路が減速制御が必要なカーブ路であると判明したような場合に(カーブ路である可能性が高い場合に)、カーブ路となる分岐点で適切に減速制御を実施できるようになる。
なお、この第2の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、この第2の実施形態では、ノード点密度Dnodeを基に、所定値Vr1を算出している。これに対して、分岐点前後のノード点の平均距離を基に、所定値Vr1を算出することもできる。この場合、前記(15)式により算出したノード点間平均距離Lnodeを基に、所定値Vr1を算出する。
【0074】
図22は、ノード点間平均距離Lnodeと所定値Vr1との関係の一例を示す。同図に示すように、ノード点間平均距離Lnodeが長い領域では、所定値Vr1は一定の小さい値になる。そして、ノード点間平均距離Lnodeがある値よりも長くなったとき、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど、所定値Vr1は大きくなる。そして、ノード点間平均距離Lnodeがさらに長くなったとき、ノード点間平均距離Lnodeにかかわらず、所定値Vr1は一定の大きい値になる。このような関係となるように、ノード点間平均距離Lnodeを基に所定値Vr1を得る。すなわち、概略として、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど(ノード点が多くなるほど)、所定値Vr1を大きくする。
【0075】
また、この第2の実施形態では、所定値Vr1(補正後の目標車速Vrj)を維持す所定時間をカーブ区間の長さを基に得ている。これに対して、他の値を基に所定時間を得ることもできる。例えば、前記第1の実施形態の場合と同様に、分岐点通過からカーブに到達するまでの到達時間、該カーブの旋回半径、該カーブ通過時の目標車速を基に、所定時間を算出することもできる。例えば、到達時間が短くなるほど、所定時間を短くする。又は、カーブの旋回半径が小さくなるほど、所定時間を小さくする。又は、分岐点通過時の目標車速とその先のカーブの目標車速との差分を基に、所定時間を算出する。例えば、その差分が大きくなるほど、所定時間を短くする。
【0076】
また、この第2の実施形態では、所定値Vr1(補正後の目標車速Vrj)を減少させるためのΔkvr2を所定量(固定値)としている。これに対して、他の値を基にΔkvr2を得ることもできる。例えば、前記第1の実施形態の場合と同様に、カーブ区間長さ、分岐点通過からカーブに到達するまでの到達時間、該カーブの旋回半径、該カーブ通過時の目標車速を基に、Δkvr2を算出することもできる。例えば、到達時間が短くなるほど、Δkvr2を大きくする。又は、カーブの旋回半径が小さくなるほど、Δkvr2を大きくする。又は、分岐点通過時の目標車速とその先のカーブの目標車速との差分を基に、Δkvr2を算出する。例えば、その差分が大きくなるほど、Δkvr2を大きくする。
【0077】
(効果)
第2の実施形態における効果は次のようになる。
(1)最小目標減速度Xgsminが減速制御作動判断用しきい値Xgsth2未満になったとき、該最小目標減速度Xgsminを実現するように、減速制御を実施している。目標車速Vrjが大きくなるほど、最小目標減速度Xgsminが大きくなるから(前記(4)式参照)、この処理は、目標車速Vrjが所定のしきい値未満(以下でも良い。)になったときに、該目標車速になるように減速制御を実施していることと等価である。そして、実施形態では、目標車速Vrjを所定値Vr1に置き換えることで、大きい値に補正し、最小目標減速度Xgsminを大きくしている。これにより、減速制御の介入タイミングが遅くなり、介入後の減速制御の減速度が小さくなる。このように、目標車速Vrjを補正するだけで、減速制御の介入タイミングを遅くし、介入後の減速制御の減速度を小さくできる。
(2)目標車速Vrjを所定値Vr1に置き換えて、大きい値に補正している。これにより、補正前の目標車速Vrjにかかわらず、補正後の目標車速Vrjを所望の値にすることができる。
【0078】
(第3の実施形態)
(構成)
第3の実施形態は、本発明に係る車両用減速制御装置を搭載した後輪駆動車両である。第3の実施形態の車両の構成は、前記第1の実施形態と同様に、前記図1に示す構成になる。図23は、第3の実施形態における処理手順を示す。同図に示すように、第3の実施形態では、前記第1の実施形態の場合と同様に、基本的な処理については、前記図3に示した処理と同様である。しかし、第3の実施形態では、前記ステップS1の処理とステップS2の処理との間にステップS31の処理を設けている。さらに、第3の実施形態では、ステップS32にて、前記ステップS3の旋回半径の算出方法を変更している。そして、制駆動力コントロールユニット8は、これらの処理を実現するために、図24に示すように、分岐点判定部61を備える。なお、分岐点判定部61をナビゲーション情報処理部43内の構成として備えることもできる。
【0079】
ここで、図23に示す処理において、前記図3の演算処理に付してある符号(ステップ番号)と同一の符号(ステップ番号)を付してある処理については、特に言及しない限りは該図3の演算処理と同一である。
ステップS31では、分岐点判定部61は、前記第1の実施形態と同様にして、分岐点を判定する(前記ステップS21参照)。すなわち、分岐点判定部61は、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、その分岐点前後のノード点密度Dnodeを算出する。
【0080】
そして、ステップS32では、ナビゲーション情報処理部43は、旋回半径を算出するときのフィルタ定数の変更し、各ノード点の旋回半径を算出する。具体的には、ナビゲーション情報処理部43は、前記ステップS31で自車両の走行路上に分岐点があると判定され(flgb=1)、さらに自車両の走行路も分岐方向に設定されている場合、フィルタ定数を変更する。所定距離は、例えば50mである。
【0081】
ここで、前記ステップS31で算出したノード点密度Dnode(前記(10)式参照)を基に、フィルタ定数を変更する。具体的には、ノード点密度Dnodeが低くなるほど、フィルタの時定数を大きくする。例えば、ノード点密度Dnodeが所定値以下の場合、フィルタ定数を変更する(フィルタの時定数を大きくする)。このような変更は、カーブ(分岐点前後のノード点に基づくカーブ)を検出しなくなるようにするためのものである。この結果、例えば前記(2)式で算出される旋回半径Rjは、通常算出する値(変更前の値)と比較して大きくなる。一方、ノード点密度Dnodeが所定値よりも大きい場合、フィルタ定数を基に戻す(フィルタの時定数を小さくする)。この変更は、カーブ(分岐点前後のノード点に基づくカーブ)を検出するようにするためのものである。
【0082】
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。特に第3の実施形態では、図23に示す処理により、車両用減速制御装置は、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、その分岐点前後のノード点密度Dnodeを算出する(前記ステップS31)。そして、車両用減速制御装置は、その算出したノード点密度Dnodeを基に、フィルタ定数を変更する(前記ステップS32)。さらに、車両用減速制御装置は、変更したフィルタ定数の下、旋回半径Rjを算出する。そして、車両用減速制御装置は、以降の処理で、その算出した旋回半径Rjを用いて処理を行う。すなわち例えば、車両用減速制御装置は、旋回半径Rjを用いて、目標車速Vrjを算出する(前記ステップS4、前記(3)式参照)。
【0083】
図25は、フィルタ定数の設定に応じて算出される旋回半径Rjのイメージを示す。同図に示すように、カーブを検出しない方向にフィルタ定数を設定すると(時定数を大きくすると)、旋回半径Rjが大きくなる(同図に示す点線のようなイメージ)。一方、カーブを検出する方向にフィルタ定数を設定すると(時定数を小さくする、又は時定数を戻すと)、旋回半径Rjが小さくなる(同図に示す実線のようなイメージ)。
【0084】
以上のように、車両用減速制御装置は、走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには、そのときに算出したノード点密度Dnodeが低くなるほど、カーブを検出しない方向にフィルタ定数を設定している。これにより、ノード点密度Dnodeが低くなるほど、旋回半径Rjが大きくなるため、目標車速Vrjが大きくなる(前記(3)式参照)。この結果、前記第1及び第2の実施形態と同様に、ノード点密度Dnodeが低くなるほど、最小目標減速度Xgsminを大きくなり、減速制御の介入タイミングが遅くなる。さらに、減速制御が介入したとしても、ノード点密度Dnodeが低くなるほど最小目標減速度Xgsminが大きくなるから、その減速度も通常のものと比較して抑制されたものとなる。このように、車両用減速制御装置は、分岐点での分岐路の形状を適切に評価し、その道路形状に適合させて減速制御を作動させている。これにより、車両用減速制御装置は、カーブに対して実施する減速制御が分岐点で不用意に作動してしまうのを防止している。
【0085】
なお、この第3の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、この第3の実施形態では、ノード点密度Dnodeを基に、フィルタ定数を変更している。これに対して、ノード点間平均距離Lnode(前記(15)式参照)を基に、フィルタ定数を変更することもできる。この場合、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど、フィルタの時定数を大きくする。例えば、ノード点間平均距離Lnodeが所定値(例えば30m)以上の場合、フィルタ定数を変更する(フィルタの時定数を大きくする)。この結果、例えば前記(2)式で算出される旋回半径Rjは、通常算出する値と比較して大きくなる。一方、ノード点間平均距離Lnodeが所定値未満の場合、フィルタ定数を基に戻す(フィルタの時定数を小さくする)。
【0086】
(効果)
第3の実施形態における効果は次のようになる。
(1)ナビゲーション情報処理部43による演算処理内容を変更して、算出する旋回半径Rjを補正し、目標車速Vrjを補正している。これにより、目標車速Vrjを簡単に補正でき、減速制御の制御内容を簡単に補正できる。
(2)フィルタ定数を変更し、算出する旋回半径Rjを補正している。これにより、補正後の旋回半径Rjを連続した値として出力でき、旋回半径Rjを補正後の減速制御を、変動を抑制しつつ、実施できる。
【0087】
(第4の実施形態)
(構成)
第4の実施形態は、本発明に係る車両用減速制御装置を搭載した後輪駆動車両である。第4の実施形態では、前記第3の実施形態におけるステップS32の処理内容を変更している。すなわち、第4の実施形態では、前記第3の実施形態と異なる方法で旋回半径の算出方法を変更している。
すなわち、第4の実施形態におけるステップS32では、ナビゲーション情報処理部43は、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になると判定した場合(前記ステップS31)、分岐点前後の所定距離内に存在するノード点を排除する。例えば、図26に示すように、所定距離L内のノード点として、分岐点を示すノード点を含みその先のノード点(1点)を排除する。所定距離は、例えば50mである。このとき、同図に示すように、分岐点を中心として分岐路がなす角度(ノード点角度)θを基に、排除するノード点を決めることもできる。例えば、ノード点角度θが所定値以上の場合、分岐点に対応するノード点を排除することもできる。所定値は、例えば60°である。そして、ナビゲーション情報処理部43は、このようにノード点を排除し、残りのノード点を基に、旋回半径Rjを算出する(前記(2)式参照)。
【0088】
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。特に第4の実施形態では、車両用減速制御装置は、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるときには(前記ステップS31)、分岐点前後の所定距離内に存在するノード点を排除する(前記ステップS32)。さらに、車両用減速制御装置は、残りのノード点を基に、旋回半径Rjを算出する。そして、車両用減速制御装置は、以降の処理で、その算出した旋回半径Rjを用いて処理を行う。すなわち例えば、車両用減速制御装置は、旋回半径Rj(適宜ノード点を排除して算出した旋回半径Rj)を用いて、目標車速Vrjを算出する(前記ステップS4、前記(3)式参照)。
【0089】
以上のように、車両用減速制御装置は、ノード点を排除することで、分岐点で算出される旋回半径Rjを大きくし、目標車速Vrjを大きくしている(前記(3)式参照)。これにより、前記第1〜第3の実施形態と同様に、最小目標減速度Xgsminを大きくなり、減速制御の介入タイミングが遅くなる。さらに、減速制御が介入したとしても、最小目標減速度Xgsminが大きくなるから、その減速度も通常のものと比較して抑制されたものとなる。このように、車両用減速制御装置は、分岐点での分岐路の形状を適切に評価し、その道路形状に適合させて減速制御を作動させている。これにより、車両用減速制御装置は、カーブに対して実施する減速制御が分岐点で不用意に作動してしまうのを防止している。
また、ノード点角度θが所定値以上の場合に、分岐点のノード点を排除している。これにより、ノード点を不必要に排除してしまうのを防止でき、適切に減速制御を行うことができるようになる。
【0090】
なお、この第4の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
この第4の実施形態では、前方の走行路上に分岐点があり、かつ自車両が走行することとなる走路が分岐路になるとき、さらにはノード点角度θが所定値以上になるとき、ノード点を排除している。これに対して、ノード点密度Dnode(前記(10)式参照)やノード点間平均距離Lnode(前記(15)式参照)を基に、ノード点を排除することもできる。この場合、例えば、ノード点間平均距離Lnodeが所定値以下の場合、又はノード点間平均距離Lnodeが所定値以上の場合、ノード点を排除する。さらには、ノード点角度、ノード点密度Dnodeやノード点間平均距離Lnodeに応じて、排除するノード点の数を決めることもできる。例えば、ノード点角度が大きくなるほど、排除するノード点の数を多くする。又は、ノード点密度Dnodeが高くなるほど、排除するノード点の数を多くする。又は、ノード点間平均距離Lnodeが長くなるほど、排除するノード点の数を多くする。
【0091】
(効果)
第4の実施形態における効果は次のようになる。
(1)ナビゲーション情報処理部43による演算処理内容を変更して、算出する旋回半径Rjを補正し、目標車速Vrjを補正している。これにより、目標車速Vrjを簡単に補正でき、減速制御の制御内容を簡単に補正できる。
(2)分岐点のノード点近傍のノード点で、旋回半径Rjの算出に用いるノード点を除くことで、旋回半径Rjを補正している。これにより、ノード点を除くといった簡単な処理により、旋回半径Rjを補正できる。
【0092】
(第5の実施形態)
(構成)
第5の実施形態は、本発明に係る車両用減速制御装置を搭載した後輪駆動車両である。第5の実施形態の車両の構成は、前記第1の実施形態と同様に、前記図1に示す構成になる。また、第5の実施形態では、前記第1の実施形態で説明した前記図3と同様な処理を行う。しかし、第5の実施形態では、分岐点通過後の前方道路の状態に応じた走行制御を行う。そのため、第5の実施形態では、図27に示すように、加速抑制処理部71を備える。
【0093】
図28は、加速抑制処理部71の処理手順を示す。同図に示すように、先ずステップS41において、加速抑制処理部71は、分岐点で減速制御を作動させたか否か(作動させているか否か)を判定する。すなわち、加速抑制処理部71は、前記図3の処理により、減速制御が作動したか否かを判定する。加速抑制処理部71は、分岐点で減速制御を作動させていれば、ステップS42に進む。また、加速抑制処理部71は、分岐点で減速制御を作動させていなければ、該図28に示す処理を終了する。
【0094】
ステップS42では、加速抑制処理部71は、分岐点を通過したか否かを判定する。加速抑制処理部71は、分岐点を通過していれば、ステップS43に進む。また、加速抑制処理部71は、分岐点を通過していなければ、該図28に示す処理を終了する。
ステップS43では、加速抑制処理部71は、先のノード点に対して減速制御を作動させるか否かを判定する。すなわち、加速抑制処理部71は、前記図3に示す処理により、減速制御を作動させるか否かを判定する。加速抑制処理部71は、先のノード点に対して減速制御を作動させるときには、ステップS44に進む。また、加速抑制処理部71は、先のノード点に対して減速制御を作動させないときには、該図28に示す処理を終了する。
【0095】
ステップS44では、加速抑制処理部71は、加速を抑制する処理を行う。具体的には、加速抑制処理部71は、加速度の増加を抑制したり、加速そのものを禁止したりする。前記ステップS41及びステップS42の処理によれば、このステップS44に進む場合とは、分岐点で既に減速制御を作動させて、その分岐点を通過した場合となる。このようなことから、ステップS44では、加速抑制処理部71は、分岐点通過後の該分岐点で作動させた減速制御の終了に係る加速を抑制している。また、加速抑制処理部71は、その加速を時間に限って抑制する。ここで、時間(所定時間)は、例えば3秒である。また、到達時間を基に、所定時間を設定することもできる。到達時間は、分岐点通過から制御対象となるカーブ(先のノード点)に到達するまでの時間である。
【0096】
図29は、到達時間と所定時間との関係を示す。同図に示すように、到達時間が短い領域では、保持時間を一定の大きい値にする。そして、到達時間がある値よりも大きくなったとき、到達時間が長くなるほど、所定時間を短くする。そして、到達時間がさらに長くなったとき、到達時間にかかわらず、所定時間を一定の小さい値にする。すなわち、概略として、到達時間が長くなるほど、所定時間を短くする。
【0097】
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。
車両用減速制御装置は、分岐点で減速制御を作動させており、かつその分岐点を通過し、さらに、先のノード点に対して減速制御を作動させるときには、加速を抑制する処理を行う(前記ステップS41〜ステップS44)。すなわち、車両用減速制御装置は、分岐点を通過したことで、加速する(減速度を減少させる)ような状況であると判定し、さらに、車両前方のカーブを減速制御の制御対象としたことで、再度減速制御が作動する状況であると判定した場合、その加速を抑制する処理を行う。具体的には、車両用減速制御装置は、時間を限って加速を抑制する。
【0098】
図30は、分岐点前後での最小目標減速度Xgsminの変化を示す。同図に示すように、分岐点に対応して、最小目標減速度Xgsminが小さくなる。すなわち、分岐点について算出した旋回半径Rが小さくなったことで、最小目標減速度Xgsminが小さくなる。これにより、最小目標減速度Xgsminがある程度小さくなると(Xgsmin<Xgsth2)、減速制御が作動するようになる。このとき、前記第1〜第4の実施形態のように、ノード点密度Dnodeに応じて目標車速Vrjを補正等することで、分岐点での減速制御の作動を抑制できる。そして、その後、分岐点を通過したことで、減速制御を終了させて加速するようなときに、再度、制御対象となるカーブを検出したときには、その加速を抑制する。このようにすることで、分岐点通過前後で、車両に加減速度の変動が生じてしまうのを防止できる。これにより、減速制御が運転者に違和感を与えてしまうのを防止できる。
【0099】
なお、この第5の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、この第5の実施形態では、到達時間を基に、加速を抑制する所定時間を得ている。これに対して、他の指標を基に、所定時間を得ることもできる。例えば、分岐点から次のカーブまでの距離や、自車両の設定車速と車両前方のカーブに対する目標車速との差分を基に、所定時間を決めることもできる。
また、この第5の実施形態では、到達時間を基に所定時間を決めて、その所定時間をもって加速を抑制している。これに対して、加速を抑制する処理として、分岐点から次のカーブまでの距離や到達時間等を基に、加速そのものを抑制することもできる。例えば、距離が長くなるほど、又は到達時間が長くなるほど、加速度を大きくする。
【0100】
なお、この第5の実施形態では、ナビゲーション装置14は、車両前方のカーブを検出する前方走行路検出手段を実現している。また、車速演算部41、目標車速演算部42、ナビゲーション情報処理部43、目標減速度演算部44、目標車速指令値演算部45、警報制御部46、車速指令値演算部48、車速サーボ演算部49、トルク配分制御演算部50、ブレーキ液圧演算部51及びエンジントルク演算部52は、前記前方走行路検出手段が検出した車両前方のカーブに対して前記車両を減速制御する減速制御手段を実現している。また、加速抑制処理部71は、車両前方の分岐点又は合流点を検出する分岐合流点検出手段、及び前記分岐合流点検出手段が検出した分岐点又は合流点の通過後に前記減速制御の対象となるカーブが存在するときには、該分岐点又は合流点において実施する前記減速制御の作動終了に係る加速を抑制する加速抑制手段とを実現している。
また、この第5の実施形態では、分岐点の通過後に減速制御の対象となるカーブが存在するときには、該分岐点において実施する減速制御の作動終了に係る加速を抑制する車両用減速制御方法を実現している。
【0101】
(効果)
第5の実施形態における効果は次のようになる。
(1)分岐点の通過後に減速制御の対象となるカーブが存在するときには、分岐点で実施する減速制御の作動終了に係る加速を抑制している。これにより、後の減速制御で再び減速するのにもかかわらず、先の減速制御の作動終了により必要以上に加速してしまうのを防止できる。すなわち、車速が不必要に変動してしまうのを防止できる。
(2)分岐点から次のカーブまでの距離を基に、分岐点について実施する減速制御の作動終了に係る加速を抑制している。具体的には、到達時間を基に、加速を抑制している。これにより、分岐点と次のカーブとの関係に応じて、先の減速制御の作動終了による加速を適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施形態の車両の構成を示す図である。
【図2】制駆動力コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】制駆動力コントロールユニットで行う演算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】連続する3点のノード点Nj-1、Nj、Nj+1を基に旋回半径Rjを算出する説明に使用した図である。
【図5】各ノード点Nj(ノード点番号)の旋回半径Rj(図中●印)を示す図である。
【図6】最小目標減速度Xgsminと警報作動フラグflg1との関係を示す特性図である。
【図7】最小目標減速度Xgsminと減速制御作動フラグflg2との関係を示す特性図である。
【図8】制駆動力コントロールユニットで行う具体的な演算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図8の処理を実現するための制駆動力コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図10】ノード点密度Dnodeとオフセット値Kvrとの関係を示す特性図である。
【図11】カーブ区間の長さと所定時間との関係を示す特性図である。
【図12】オフセット値Kvrにより補正した目標車速Vrjの説明に使用した図である。
【図13】小さいオフセット値Kvrにより補正した目標車速Vrjの説明に使用した図である。
【図14】道路形状とナビゲーション装置から得られるノード点情報との関係の説明に使用した図である。
【図15】分岐点付近のノード点を、旋回半径を算出するための計算対象として選択したときの説明に使用し図である。
【図16】ノード点間平均距離Lnodeとオフセット値Kvrとの関係を示す特性図である。
【図17】目標車速指令値Vrrを用いて警報作動開始判断を行った場合の処理の説明に使用した図である。
【図18】目標車速指令値Vrrを用いて減速制御作動開始判断を行った場合の処理の説明に使用した図である。
【図19】第2の実施形態における、ノード点密度Dnodeと所定値Vr1との関係を示す特性図である。
【図20】所定値Vr1に置き換えて補正した目標車速Vrjの説明に使用した図である。
【図21】小さい所定値Vr1に置き換えた目標車速Vrjの説明に使用した図である。
【図22】ノード点間平均距離Lnodeと所定値Vr1との関係を示す特性図である。
【図23】第3の実施形態における、制駆動力コントロールユニットで行う演算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】図23の処理を実現するための制駆動力コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図25】フィルタ定数の設定に応じて算出される旋回半径Rjのイメージを示す図である。
【図26】第4の実施形態において、ノード点を排除する説明に使用した図である。
【図27】第5の実施形態における制駆動力コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図28】制駆動力コントロールユニットの加速抑制処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図29】到達時間と加速を抑制する所定時間との関係を示す特性図である。
【図30】分岐点前後での最小目標減速度Xgsminの変化の説明に使用した図である。
【符号の説明】
【0103】
8 制駆動力コントロールユニット、14 ナビゲーション装置、41 車速演算部、42 目標車速演算部、43 ナビゲーション情報処理部、44 目標減速度演算部、45 目標車速指令値演算部、46 警報制御部、47 車速設定部、48 車速指令値演算部、49 車速サーボ演算部、50 トルク配分制御演算部、51 ブレーキ液圧演算部、52 エンジントルク演算部、61 分岐点判定部、62 目標車速補正部、71 加速抑制処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置で地図情報の作成に使用するノード点を複数個用いて、車両前方の走行路の旋回半径を算出する旋回半径算出手段と、
前記旋回半径算出手段が算出した旋回半径を基に、自車両の目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度を基に、前記自車両を減速制御する減速制御手段と、
を備える車両用減速制御装置において、
車両前方の分岐点を検出する分岐点検出手段と、
前記自車両が走行することとなる走路が分岐路か否か判断する分岐路走行判断手段と、
前記分岐路走行判断手段が前記自車両が走行する走路が分岐路であると判断したとき、前記分岐路の所定範囲内の前記ノード点の密度を算出し、その値が小さくなるほど、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする車両用減速制御装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記ノード点の密度が低くなるほど、前記目標減速度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用減速制御装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記ノード点の密度が低くなるほど、前記減速制御の介入タイミングを遅くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用減速制御装置。
【請求項4】
前記旋回半径算出手段が算出した旋回半径を基に、目標車速を算出する目標車速算出手段を備え、
前記減速度算出手段は、前記目標車速算出手段が算出した目標車速が所定のしきい値未満になったときに、該目標車速を基に得た前記目標減速度に基づいて、前記減速制御を開始し、
前記補正手段は、前記目標車速手段が算出した目標車速を大きい値に補正することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記ノード点の密度が低くなるほど、前記目標車速を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の車両用減速制御装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記補正した目標車速を所定時間維持することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用減速制御装置。
【請求項7】
車両から見て前記分岐点の向こう側にさらに前記減速制御の対象となるカーブが存在するときには、該カーブの区間の長さ、前記分岐点から該カーブに到達するまでの時間、該カーブの旋回半径、前記分岐点について算出した目標車速と該カーブについて算出した目標車速との差分の少なくとも何れかを基に、前記所定時間を決めることを特徴とする請求項6に記載の車両用減速制御装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記所定時間経過後、前記補正した目標車速を該補正前の目標車速まで徐々に減少させることを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用減速制御装置。
【請求項9】
前記補正手段は、車両から見て前記分岐点の向こう側にさらに前記減速制御の対象となるカーブが存在するときには、前記所定時間経過後に、該カーブの区間の長さ、前記分岐点から該カーブに到達するまでの時間、該カーブの旋回半径、前記分岐点について算出した目標車速と該カーブについて算出した目標車速との差分の少なくとも何れかを基に、前記補正した目標車速を該補正前の目標車速まで徐々に減少させることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項10】
前記補正手段は、前記旋回半径算出手段による演算処理内容を補正して、算出する旋回半径を補正することで、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項11】
前記補正手段は、前記旋回半径算出手段のフィルタ定数を補正することで、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項12】
前記補正手段は、前記分岐合流点検出手段が検出した分岐点のノード点近傍のノード点で、前記旋回半径算出手段が前記旋回半径の算出に用いるノード点を除くことで、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項13】
前記補正手段は、所定範囲内に存在する各ノード点間の平均距離を基に、前記目標減速度算出手段が算出した目標減速度の抑制度合いを大きく補正することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項14】
前記分岐点の通過後に前記減速制御の対象となるカーブが存在するときには、前記分岐点において実施する前記減速制御の作動終了に係る加速を抑制する加速抑制手段を備えることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の車両用減速制御装置。
【請求項15】
車両前方のカーブを検出する前方走行路検出手段と、
前記前方走行路検出手段が検出した車両前方のカーブに対して前記車両を減速制御する減速制御手段と、
車両前方の分岐点を検出する分岐点検出手段と、
前記分岐点検出手段が検出した分岐点の通過後に前記減速制御の対象となるカーブが存在するときには、該分岐点において実施する前記減速制御の作動終了に係る加速を抑制する加速抑制手段と、
を備えることを特徴とする車両用減速制御装置。
【請求項16】
前記加速抑制手段は、前記分岐点から前記減速制御の対象となるカーブまでの距離を基に、前記加速を抑制することを特徴とする請求項15に記載の車両用減速制御装置。
【請求項17】
車両前方の分岐点の所定範囲内に存在する、ナビゲーション装置で地図情報の作成に使用するノード点の密度を基に、該分岐点での減速制御を行うことを特徴とする車両用減速制御方法。
【請求項18】
分岐点の通過後に減速制御の対象となるカーブが存在するときには、該分岐点において実施する減速制御の作動終了に係る加速を抑制することを特徴とする車両用減速制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−298264(P2009−298264A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154078(P2008−154078)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】