説明

車両用電動ブレーキ装置

【課題】モータケースの一部を構成する有底円筒状のヨークの開口端部に設けられるフランジ部とキャリパボディとの間に減速室を形成してキャリパボディおよびフランジ部との間に挟まれる樹脂製の蓋部材とが、複数のボルトによる共締めでキャリパボディに締結され、回転動力をブレーキピストンの軸方向進退作動に変換する運動変換機構が減速室に収容される減速機を介して電動モータに連結される車両用電動ブレーキ装置において、蓋部材の外周に凹部が形成されていても当該凹部に水が溜まり難くする。
【解決手段】蓋部材主部88aの外周面には、ボルト90を挿通させる円筒状のカラー94が埋設される複数のボス部88cと、各ボス部88c間にそれぞれ配置される凹部89とが形成され、蓋部材主部88aの半径方向に沿うボス部88cの内端部には、それらのボス部88cの両側の凹部89を相互に連通させる肉抜き連通孔104が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータが備えるモータケースの一部を構成する有底円筒状のヨークの開口端部にフランジ部が設けられ、ディスクブレーキのキャリパボディには前記電動モータ側に開口する収容凹部が設けられ、該収容凹部を閉じ得るようにして円板状に形成される蓋部材主部ならびに電動モータへの給電用として前記蓋部材主部から外側方に突出するカプラ部を一体に有するとともに前記蓋部材主部の外周の周方向に間隔をあけた複数箇所に凹部が形成される樹脂製の蓋部材が、前記キャリパボディとの間に減速室を形成して前記キャリパボディおよび前記フランジ部との間に挟まれ、複数のボルトによる共締めで前記フランジ部および前記蓋部材が前記キャリパボディに締結され、回転動力をブレーキピストンの軸方向進退作動に変換する運動変換機構が前記減速室に収容される減速機を介して前記電動モータに連結される車両用電動ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用電動ブレーキ装置は、特許文献1で知られており、このものでは、電動モータにおけるモータケースの一部を構成する有底円筒状のヨークのフランジ部と、ディスクブレーキのキャリパボディとの間に、電動モータへの給電用のカプラ部を一体に有すると合成樹脂製のブラシホルダが挟まれ、複数のボルトによる共締めで前記フランジ部および前記ブラシホルダが前記キャリパボディに締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−240869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるものでは、ヨークのフランジ部およびブラシホルダをキャリパボディに締結するためのボルトを挿通せしめる円筒状のカラーが、前記ブラシホルダの外周寄りの複数箇所に埋設されており、各カラーに対応する部分で前記ブラシホルダの外周には、カラーを埋設するようにしてしてブラシホルダを型成形する際にカラーの存在に起因して「ひけ」が生じてしまうことを防止するための凹部がそれぞれ形成されている。しかるに車両搭載時に上方位置となった凹部には外部からの水が溜まり易く、周囲の部品の錆発生の原因となったり、ブラシホルダの耐久性低下を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、キャリパボディとの間に減速室を形成してキャリパボディおよびヨーク間に挟持される樹脂製の蓋部材の外周に凹部が形成されていても当該凹部に水が溜まり難くした車両用電動ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、電動モータが備えるモータケースの一部を構成する有底円筒状のヨークの開口端部にフランジ部が設けられ、ディスクブレーキのキャリパボディには前記電動モータ側に開口する収容凹部が設けられ、該収容凹部を閉じ得るようにして円板状に形成される蓋部材主部ならびに電動モータへの給電用として前記蓋部材主部から外側方に突出するカプラ部を一体に有するとともに前記蓋部材主部の外周の周方向に間隔をあけた複数箇所に凹部が形成される樹脂製の蓋部材が、前記キャリパボディとの間に減速室を形成して前記キャリパボディおよび前記フランジ部との間に挟まれ、複数のボルトによる共締めで前記フランジ部および前記蓋部材が前記キャリパボディに締結され、回転動力をブレーキピストンの軸方向進退作動に変換する運動変換機構が前記減速室に収容される減速機を介して前記電動モータに連結される車両用電動ブレーキ装置において、前記蓋部材主部の外周面には、前記ボルトを挿通させる円筒状のカラーが埋設される複数のボス部と、それらのボス部間にそれぞれ配置される前記凹部とが形成され、前記蓋部材主部の半径方向に沿う前記ボス部の内端部には、それらのボス部の両側の前記凹部を相互に連通させる肉抜き連通孔が形成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記蓋部材主部の前記電動モータ側の面および前記減速機側の面のいずれかに、前記モータケース内に形成されるモータ室および前記減速室間に介在する断熱空間を形成する断熱空間用凹部が設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記蓋部材主部の外周に、前記凹部に複数ずつ配置されるリブが一体に設けられることをことを第3の特徴とする。
【0009】
なお実施の形態のねじ機構24が本発明の運動変換機構に対応する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、蓋部材における蓋部材主部の外周面に、カラーが埋設される複数のボス部と、それらのボス部間にそれぞれ配置される前記凹部とが形成されるので、蓋部材の軽量化および材料削減によるコストダウンを図ることができる。しかも蓋部材主部の半径方向に沿うボス部の内端部にその両側の凹部を相互に連通させる肉抜き連通孔が形成されるので、蓋部材の軽量化および材料削減によるコストダウンをより一層図ることができ、また車両搭載時に上方位置となった凹部に外部からの水が入っても肉抜き連通孔を介して下方の凹部側に水を流すことができ、凹部に水が溜まることを防止して、周囲の部品の錆発生の原因となることを回避することができるとともに蓋部材の耐久性低下を防止することができる。
【0011】
また本発明の第2の特徴によれば、減速室およびモータ室間に断熱空間が介在するので、電動モータから減速機側への熱伝達を抑えることができ、減速機を構成する部品が合成樹脂製であっても、その熱変形や強度低下を抑制することができる。しかも断熱空間が蓋部材主部の電動モータ側の面および前記減速機側の面のいずれかに設けられる断熱空間用凹部によって形成されるので、蓋部材の軽量化および材料削減による一層のコストダウンを図ることができる。
【0012】
さらに本発明の第3の特徴によれば、凹部に複数ずつ配置されるリブが蓋部材主部の外周に一体に設けられるので、凹部が形成されることによる蓋部材の強度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】車両用電動ブレーキ装置の縦断面図である。
【図2】車両用電動ブレーキ装置の要部側面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4矢示部拡大図である。
【図5】減速機の分解斜視図である。
【図6】図2の6矢示部拡大図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図1〜図7を参照しながら説明すると、先ず図1において、この車両用電動ブレーキ装置は、ディスクブレーキ21と、該ディスクブレーキ21のキャリパボディ26に取付けられる正逆回転自在の電動モータ22と、該電動モータ22に連結される減速機23と、減速機23から出力される回転運動を軸方向進退運動に変換させるようにして前記ディスクブレーキ21のブレーキピストン38および前記減速機23間に設けられる運動変換機構であるねじ機構24とを備える。
【0015】
ディスクブレーキ21は、液圧によるサービスブレーキ状態を得ることを可能とするとともに電動モータ22によって作動してパーキングブレーキ状態を得ることを可能としたものであり、図示しない車輪のホイールとともに回転するディスクロータ25と、キャリパボディ26と、ディスクロータ25の両側面に対向して配置されてディスクロータ25およびキャリパボディ26間に配置される一対の摩擦パッド27,28とを備える。
【0016】
図2を併せて参照して、前記キャリパボディ26は、車体側に取付けられたブラケット29で前記ディスクロータ25の軸線に沿う方向に摺動可能に支持されるハウジング部26aと、ハウジング部26aからディスクロータ25を跨いで反対側に延びる腕部26bとを備える。
【0017】
前記キャリパボディ26のハウジング部26a側でディスクロータ25の一側面に対向する摩擦パッド27は、ディスクロータ25に摺接して摩擦力を発揮し得るライニング30が裏金32に設けられて成り、前記キャリパボディ26の腕部26b側でディスクロータ25の他側面に対向する摩擦パッド28は、ディスクロータ25に摺接して摩擦力を発揮し得るライニング31が裏金33に設けられて成り、両摩擦パッド27,28は、ディスクロータ25の軸線に沿う方向に移動することを可能として前記ブラケット29に保持される。
【0018】
キャリパボディ26のハウジング部26aには、前記ディスクロータ25の軸線と平行な軸線を有して前記摩擦パッド27側に開放したシリンダ孔34と、前記摩擦パッド27とは反対側に開放した収容凹部35と、シリンダ孔34および収容凹部35間に介在する隔壁36とが設けられる。シリンダ孔34および収容凹部35は同一軸線上で円形断面を有するように形成されるものであり、前記隔壁36の中央部にはシリンダ孔34および収容凹部35を同軸に結ぶ貫通孔37が設けられる。
【0019】
シリンダ孔34には、前端を閉塞した有底円筒状に形成されるとともに前記隔壁36との間に液圧室39を形成するブレーキピストン38が軸方向スライド可能に収容され、該ブレーキピストン38の前端は、前記摩擦パッド27の裏金32に当接するとともにシリンダ孔34内での回転を阻止するために前記裏金32に係合される。
【0020】
またシリンダ孔34の内面には、キャリパボディ26およびブレーキピストン38間に介装される環状のピストンシール40が装着され、シリンダ孔34の開口端部およびブレーキピストン38間には環状のダストブーツ41が設けられ、ハウジング部26aには前記液圧室39に液圧を導く液圧路42が設けられる。
【0021】
ねじ機構24は、シリンダ孔34と同軸のねじ軸45と、相対回転を不能としてブレーキピストン38に係合されるとともに前記ねじ軸45に螺合されるナット46とを備え、ブレーキピストン38の背後に配置されるようにしてキャリパボディ26のハウジング部26a内に収容される。
【0022】
前記ブレーキピストン38とは反対側でねじ軸45の後端には、隔壁36の貫通孔37を回転自在に貫通する連結軸部45aが同軸にかつ一体に連設されるとともに、シリンダ孔34内で前記隔壁36に対向するようにして半径方向外方に張り出すフランジ部45bが一体に設けられ、前記隔壁36および連結軸部45a間にはOリング47が介装される。
【0023】
図3を併せて参照して、前記ねじ軸45は、前記ブレーキピストン38内で該ねじ軸45を囲繞するナット46に螺合される。このナット46は、前記ねじ軸45を同軸に囲繞する円筒部46a(図1参照)と、該円筒部46aの前端から半径方向外方に張り出す係合部46bと、該係合部46bの前端中央部から前方に突出して前記ブレーキピストン38の前端内面に当接する当接突部46cとを一体に有するものであり、前記ねじ軸45を螺合せしめるねじ孔48がナット46の軸方向全長にわたって設けられる。
【0024】
前記係合部46bの外周は、周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば8箇所に配置される突部49,49…を有して花びら状に形成されており、有底円筒状であるブレーキピストン38の前部内周の横断面形状は、2つずつの前記突部49,49…に対応した4つの平面部50…と、それらの平面部50…間を結ぶ4つの彎曲部51…とを有して非円形形状に形成される。これにより裏金32に係合することでシリンダ孔34内での回転を阻止されたブレーキピストン38に前記ナット46を挿入することで、ナット46の係合部46bがブレーキピストン38の前部に相対回転不能に係合されることになる。
【0025】
前記ナット46における係合部46bの外周の前記各突部49…相互間と、ブレーキピストン38の前部内周との間には、ブレーキ液の流通を許容する通路52…がそれぞれ形成され、前記ナット46の前端部の当接突部46cの前端面には、前記ねじ孔48から半径方向外方に延びて十字状に配置される4つの通路溝53…が設けられる。
【0026】
図4を併せて参照して、前記ねじ軸45のフランジ部45bおよび前記キャリパボディ26の隔壁36間には、滑り軸受54と、前記隔壁36および連結軸部45a間に介装されるOリング47の離脱を阻止する押さえ部材としての機能を果たしつつ前記滑り軸受54および隔壁36間に挟まれるワッシャ55とが介装され、滑り軸受54およびワッシャ55は平板のリング状に形成される。
【0027】
前記フランジ部45bの前記隔壁36に対向する面には、前記連結軸部45aの基部外周で内周が規定されるようにしたリング状の嵌合凹部56が形成されており、前記滑り軸受54は嵌合凹部56に嵌合される。而して前記嵌合凹部56の内周は、前記連結軸部45aの基部外周に彎曲面57を介して連なるものであり、前記滑り軸受54の内径は、前記彎曲面57との接触を回避するようにして前記連結軸部45aの基部外径よりも大きく設定される。
【0028】
このようなねじ機構24において、電動モータ22からの動力が減速機23で減速され、ねじ軸45にその一方向に回転する動力が伝達されると、ブレーキピストン38およびナット46の回転が阻止された状態でブレーキピストン38が軸方向前方にスライドすることによる作用および反作用によってディスクロータ25が摩擦パッド27,28で両側から挟圧され、それにより制動力が得られることになる。また前記ねじ軸45がその他方向に回転されることにより、ブレーキピストン38が軸方向後方にスライドして制動状態が解除される。
【0029】
図4に注目して、前記キャリパボディ26のハウジング部26aには、前記電動モータ22のモータケース83が、前記収容凹部35の開口端を閉じるようにして取付けられるものであり、前記モータケース83および前記キャリパボディ26で構成されるギヤケース60内には、収容凹部35で一部が形成される減速室59が形成され、この減速室59に前記減速機23が収容される。
【0030】
前記減速機23は、電動モータ22のモータ軸95と、前記ねじ機構24におけるねじ軸45の連結軸部45aとの間に、第1の遊星ギヤ機構61ならびに第2の遊星ギヤ機構62が設けられて成るものである。
【0031】
図5をさらに併せて参照して、第1の遊星ギヤ機構61は、前記モータ軸95に設けられた第1サンギヤ63と、前記ギヤケース60に固定されるリングギヤ64と、該リングギヤ64および第1サンギヤ63に噛合する複数個たとえば3個の第1遊星ギヤ65…を回転自在に支承する第1キャリア66とを備えており、第2の遊星ギヤ機構62は、第1キャリア66の内周に外周が噛合される第2サンギヤ67と、第1の遊星ギヤ機構61と共通な前記リングギヤ64と、該リングギヤ64および第2サンギヤ67に噛合する複数個たとえば3個の第2遊星ギヤ68…を回転自在に支承する第2キャリア69とを備える。
【0032】
第1および第2の遊星ギヤ機構61,62に共通である前記リングギヤ64は、前記収容凹部35の内径よりもわずかに小さな外径を有する円筒状に形成されて前記減速室59に挿入されるものであり、該リングギヤ64の前記電動モータ22とは反対側の端部は、該リングギヤ64の軸線まわりの回動を規制するために、前記キャリパボディ26のうち前記収容凹部35の内端壁を構成する前記隔壁36に凹凸係合される。この凹凸係合のために、この実施の形態では、前記電動モータ22とは反対側の前記リングギヤ64の端部の周方向複数箇所たとえば3箇所に前記隔壁36側に開放した係合スリット71…がそれぞれ設けられ、前記隔壁36に設けられてリングギヤ64の軸線と平行に延びる複数個たとえば3個の係合ピン72…が前記係合スリット71…にそれぞれ挿入される。而して前記各係合ピン72…は、前記隔壁36に設けられた有底のピン支持孔73…に一端部を嵌入することで前記隔壁36に設けられ、隔壁36から突出した各係合ピン72…の他端部が前記係合スリット71…に挿入される。
【0033】
しかも図6で明示するように、リングギヤ64の周方向に沿う前記係合スリット71の幅dが、リングギヤ64および係合ピン72間に間隙74が形成されるようにして、前記係合ピン72の外径Dよりもわずかに大きく設定されており、これにより前記リングギヤ64が収容凹部35の内周面に当接するまでの制限された範囲で、減速機23の軸線と直交する平面内での前記リングギヤ64の変位が許容されることになる。
【0034】
第1キャリア66は、平板のリング状に形成されるものであり、横断面形状が軸方向全長にわたって同一である第2サンギヤ67の前記電動モータ22側の半部外周が、第1キャリア66の内周に噛合され、第2サンギヤ67は第1キャリア66とともに回転する。
【0035】
この第1キャリア66において、その軸線を中心とする仮想円上で周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所には、第1キャリア66と平行な軸線を有する第1支持ピン75…の一端部がたとえば圧入によって固定され、各第1支持ピン75…の他端部は、第1遊星ギヤ65…にそれぞれ設けられた第1支持孔76…に挿通される。
【0036】
しかも第1遊星ギヤ65…には、前記ギヤケース60の一部を構成する前記モータケース83における蓋部材88の蓋部材主部88aが対向するのであるが、該蓋部材主部88aには、減速機23と反対側に凹む環状凹部91が前記各第1支持ピン75…の他端部に対向するようにして形成される。
【0037】
第2遊星ギヤ68…は、前記第2サンギヤ67の前記電動モータ22とは反対側の半部外周に噛合するものであり、平板のリング状に形成される第2キャリア69の周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所に一端部が圧入等で固定された第2支持ピン77…の他端部が、第2遊星ギヤ68…の中央部に設けられた第2支持孔78…にそれぞれ挿入される。
【0038】
前記ねじ機構24におけるねじ軸45に同軸かつ一体に連なる連結軸部45aの減速機23側の端部は、前記減速室59に突入されるものであり、この連結軸部45aの端部が、第2キャリア69の中央部に設けられた圧入孔79に直接圧入される。
【0039】
ところで前記電動モータ22を前記キャリパボディ26から取外して減速室59を開放したた状態では、減速室59の一部を構成するようにしてキャリパボディ26に設けられた収容凹部35が開口された状態となり、この状態では、ねじ機構24のねじ軸45に一体に連なる連結軸部45aが圧入された第2キャリア69を収容凹部35に残して減速機23を分解することが可能であり、取り残される第2キャリア69には、回転操作用工具を係合可能として横断面非円形に形成される複数の係合孔80…が設けられる。
【0040】
電動モータ22のモータケース83は、その内部にモータ室84を形成してキャリパボディ26のハウジング部26aに取付けられるものであり、半径方向外方に張り出すフランジ部86aを開口端部に一体に有して有底円筒状に形成される金属製のヨーク86と、該ヨーク86の開口端に配置される金属製の軸受ホルダ87と、前記フランジ部86aに外周部を当接させるようにして前記ヨーク86の開口端を閉じる樹脂製たとえば合成樹脂製の蓋部材88とで構成される。
【0041】
前記軸受ホルダ87は、金属板の曲げ成形によって形成されるものであり、円筒状の軸受ハウジング部87aと、該軸受ハウジング部87aから外側方に延びる円板部87bとを有し、円板部87bの外周部の複数箇所が、前記ヨーク86の開口端内周部にかしめ結合される。
【0042】
図7を併せて参照して、前記蓋部材88は、キャリパボディ26に設けられた収容凹部35を閉じ得るようにして円板状に形成されるとともにその外周の周方向に間隔をあけた複数箇所に凹部89…が形成される蓋部材主部88aと、電動モータ22への給電用として前記蓋部材主部88aから外側方に突出するカプラ部88bとを一体に有して合成樹脂によって形成されるものであり、キャリパボディ26との間に減速室59を形成して前記キャリパボディ26および前記フランジ部86aとの間に挟まれ、複数のボルト90…による共締めで前記フランジ部86aおよび前記蓋部材88が前記キャリパボディ26に締結される。
【0043】
しかも前記蓋部材主部88aの外周面には、前記ボルト90…を挿通させる円筒状のカラー94…が埋設される複数のボス部88c…と、それらのボス部88c…間にそれぞれ配置される前記凹部89…とが形成され、前記蓋部材主部88aの半径方向に沿う前記ボス部88c…の内端部には、それらのボス部88a…の両側の前記凹部89…を相互に連通させる肉抜き連通孔104…が形成される。
【0044】
また蓋部材主部88aの前記電動モータ22側の面および前記減速機23側の面のいずれか、この実施の形態では蓋部材主部88aの電動モータ22側の面に断熱空間用凹部106が設けられ、前記蓋部材主部88aの断熱空間用凹部106と、該断熱空間用凹部106を覆うようにしてヨーク86の開口端に配置される金属製の軸受ホルダ87とで、前記モータケース83内に形成されるモータ室84および前記減速室59間に介在する断熱空間105が形成される。
【0045】
また前記蓋部材主部88aの外周には、前記凹部89…に複数ずつ配置されるリブ107…が一体に設けられる。
【0046】
而してモータケース83が、キャリパボディ26のハウジング部26aに取付けられた状態で、キャリパボディ26における収容凹部35の開口端は、前記モータケース83の一部を構成する前記蓋部材88で閉じられることになり、減速機23におけるリングギヤ64の軸方向移動は、キャリパボディ26の隔壁36と、前記蓋部材88とで規制されることになり、キャリパボディ26の隔壁36に凹凸係合されることによってリングギヤ64の周方向移動が規制されているので、隔壁36および蓋部材88で軸方向移動が規制されることによってリングギヤ64がギヤケース60に実質的に固定されることになる。
【0047】
前記電動モータ22のモータ軸95は前記モータケース83で回転自在に支承されており、該モータ軸95の一端部は前記ヨーク86の閉塞端中央部に設けられる軸受ハウジング86bにボールベアリング96を介して回転自在に支承され、またモータ軸95の他端部は、軸受ホルダ87および蓋部材88を回転自在に貫通して減速室59に突入され、減速室59内でモータ軸95の他端部外周に第1サンギヤ63が刻設され、軸受ホルダ87の軸受ハウジング部87aおよびモータ軸95間には、減速室59からモータ室84へのグリースの流入を防止するためにシール付きとされたボールベアリング97が介装される。
【0048】
前記モータ室84内で前記モータ軸95には、コンミテータ98を有するアーマチュア99が設けられ、アーマチュア99に対応する部分で前記ヨーク139の内周には複数のマグネット100,100…が固着される。
【0049】
また前記軸受ホルダ140の内面側にはブラシホルダ101が固定的に支持され、該ブラシホルダ101でスライド可能に支持されるブラシ(図示せず)が前記コンミテータ98に摺接する。
【0050】
またキャリパボディ26のハウジング部26aおよび前記蓋部材88間には、前記収容凹部35の内周よりも大径である環状のシール部材92が介装され、ヨーク86のフランジ部86aおよび蓋部材88間には、ボルト90…の配置箇所よりも内方に位置する環状のシール部材93が介装されている。
【0051】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、ディスクブレーキ21のキャリパボディ26には、ブレーキピストン38を摺動自在に嵌合せしめるシリンダ孔34と、該シリンダ孔34と同軸の収容凹部35とが、相互間に隔壁36を介在させつつ相互に反対側に開放するように設けられており、収容凹部35に一部が収容される減速機23の出力部材である第2キャリア69に相対回転不能にかつ同軸に連なって隔壁36を回転自在に貫通するねじ軸45を有するねじ機構24が、該ねじ軸45の回転をブレーキピストン38の軸方向進退作動に変換するようにして減速機23およびブレーキピストン38間に設けられ、減速機23に回転動力を入力する電動モータ22がキャリパボディ26に取付けられ、シリンダ孔34内でねじ軸45に一体に設けられて隔壁36に対向するフランジ部45bと隔壁36との間には平板のリング状に形成される滑り軸受54が介装されるのであるが、フランジ部45bの隔壁36に対向する面には嵌合凹部56が形成され、前記滑り軸受54が嵌合凹部56に嵌合される。したがって組付けを容易とすべく滑り軸受54をフランジ部45bに装着しておくことができ、しかもねじ軸45のフランジ部45bと、キャリパボディ26の隔壁36との間の距離を短く設定することができ、電動ブレーキ装置の軸長短縮に寄与することができる。
【0052】
また減速機23は、前記ねじ軸45と同軸の第2キャリア69を備え、ねじ軸45が一体にかつ同軸に有する連結軸部45aの端部が第2キャリア69に同軸にかつ直接に圧入されるので、第2キャリア69に対するねじ軸45の軸ずれを防止することができ、ねじ軸45の端部外周すなわち連結軸部45aの外周を横断面非円形に形成する必要もないので加工工数を低減することができる。
【0053】
ところで減速機23は、電動モータ22のモータ軸95と前記ねじ機構24のねじ軸45との間に、第1および第2の遊星ギヤ機構61,62が設けられて成る2段遊星ギヤ式減速機であり、ギヤケース60に収容されるのであるが、第1の遊星ギヤ機構61が、前記モータ軸95に設けられる第1サンギヤ63と、前記ギヤケース60に固定されるリングギヤ64と、該リングギヤ64および第1サンギヤ63に噛合する複数の第1遊星ギヤ65…を回転自在に支承する第1キャリア66とを備え、第2の遊星ギヤ機構62が、第1キャリア66の内周に外周が噛合される第2サンギヤ67と、第1の遊星ギヤ機構61と共通なリングギヤ64と、該リングギヤ64および第2サンギヤ67に噛合する複数の第2遊星ギヤ68…を回転自在に支承する第2キャリア69とを備えるものである。
【0054】
このような減速機23によれば、第1および第2の遊星ギヤ機構61,62に共通であるリングギヤ64がギヤケース60に固定されるので、リングギヤ64およびギヤケース60間に軸受部材を介装する必要がなく、その分だけ、部品点数の低減およびギヤケース60の小型化を図ることができる。しかも第2の遊星ギヤ機構62における第2サンギヤ67の外周に、第1の遊星ギヤ機構61の第1キャリア66の内周が噛合されるので、第1キャリア66に第2サンギヤ67を圧入する場合に必要である圧入長さの確保が不要であり、2段遊星ギヤ式である減速機23の軸方向の大型化を回避することが可能となるだけでなく、圧入工程が不要となって組付け作業が容易となり、また第2サンギヤ67および第1キャリア66の噛合による自動調心作用で回転を安定させることも可能となる。さらに第2サンギヤ67の外周形状を、第1キャリア66への噛合部分と、第2遊星ギヤ68…への噛合部分とで同一として、第2サンギヤ67の加工を容易とすることができる。
【0055】
ところでディスクブレーキ21のキャリパボディ26に設けられる収容凹部35を閉じるようにして前記キャリパボディ26に取付けられる電動モータ22のモータケース83と、該モータケース83とともにギヤケース60を構成する前記キャリパボディ26との間に、減速機23を収容する減速室59が形成され、リングギヤ64が、前記モータケース83の一部を構成する蓋部材88およびキャリパボディ26で軸方向移動が阻止されるようにして減速室59に挿入され、リングギヤ64の前記電動モータ22とは反対側の端部が該リングギヤ64の軸線まわりの回動を規制するようにしてキャリパボディ26に凹凸係合されるので、第1および第2の遊星ギヤ機構61,62に共通であるリングギヤ64をギヤケース60の一部を構成するキャリパボディ26に実質的に固定することができる。
【0056】
しかもリングギヤ64の前記電動モータ22とは反対側の端部の周方向複数箇所に係合スリット71…が設けられ、それらの係合スリット71…にそれぞれ挿入される係合ピン72…がキャリパボディ26の隔壁36に設けられるので、リングギヤ64をキャリパボディ26に実質的に固定するための部品点数を少なくすることができ、またリングギヤ64を減速室59に挿入するだけで係合スリット71…に係合ピン72…が挿入されるのでリングギヤ64の組付けが容易となる。
【0057】
またリングギヤ64の周方向に沿う前記係合スリット71…の幅dおよび前記係合ピン72…の外径Dが、減速機23の軸線と直交する平面内で前記リングギヤ64が制限された範囲で変位することを許容するように設定されるので、係合スリット71…および係合ピン72…間に生じる間隙74…分だけリングギヤ64が軸に直交する平面内で移動することを可能とし、第1および第2の遊星ギヤ機構61,62の軸ずれを吸収することができ、減速機23での滑らかな回転動力伝達が可能となる。
【0058】
また前記モータケース83の一部を構成する蓋部材88と、キャリパボディ26との間に、収容凹部35の内周よりも大径である環状のシール部材92が介装されるので、最小限のシール部材92で減速室59内およびモータケース83内への水等の浸入を防止することができる。
【0059】
ところで第1の遊星ギヤ機構61において、第1キャリア66には複数の第1支持ピン75…の一端部が固定され、第1遊星ギヤ68…に設けられた第1支持孔76…に第1支持ピン75…の他端部が挿通されるのであるが、各第1支持ピン75…の他端部に対向する環状凹部91が、ギヤケース60の第1遊星ギヤ68…に対向する壁面、この実施の形態ではキャリパボディ26とともにギヤケース60を構成するモータケース83の一部である蓋部材88に形成されるので、第1遊星ギヤ68…に対する第1キャリア66の軸方向相対移動によって第1遊星ギヤ68…から突出した第1支持ピン75…の他端がギヤケース60の内面に接触してしまうことを防止しつつ第1支持ピン75…の長さを長く設定することができ、それによって第1遊星ギヤ68…への第1支持ピン75…のかかり代を大きくして第1遊星ギヤ68…の回転安定性を確保することができる。
【0060】
またキャリパボディ26に設けられる収容凹部35は、電動モータ22のキャリパボディ26への取り付け時には閉じられて減速室59の一部を構成し、電動モータ22のキャリパボディ26からの取り外し時には開放されるのであるが、減速機23は、12角ソケット80を係合することを可能としてねじ軸45に固着される出力部材70を有するとともに、収容凹部35の開放時には出力部材70を該収容凹部35内に残して分解することを可能として減速室59に収容されるので、電動モータ22を取り外すとともに減速機23の大部分を取り外した状態で、出力部材70に12角ソケット80を係合して回転操作することによってパーキングブレーキ状態を解除することが可能であり、ねじ機構24のねじ軸45に減速機23を介すことなく手動操作力を及ぼすことができるので、比較的小さな手動操作量でパーキングブレーキ状態を解除することができる。
【0061】
またキャリパボディ26に設けられる収容凹部35は、電動モータ22のキャリパボディ26への取り付け時には閉じられて減速室59の一部を構成し、電動モータ22のキャリパボディ26からの取り外し時には開放されるのであるが、減速機23は、回転操作用工具を係合可能な複数の係合孔80…が設けられるようにしてねじ軸45に固着される第2キャリア69を有するとともに、収容凹部35の開放時には第2キャリア69を該収容凹部35内に残して分解することを可能として減速室59に収容されるので、電動モータ22を取り外すとともに減速機23の大部分を取り外した状態で、第2キャリア69に回転操作用工具を係合して回転操作することによってパーキングブレーキ状態を解除することが可能であり、ねじ機構24のねじ軸45に減速機23を介すことなく手動操作力を及ぼすことができるので、パーキングブレーキ状態を比較的小さな手動操作量で解除することができる。
【0062】
また電動モータ22のモータケース83内に形成されるモータ室84と、キャリパボディ26に少なくとも一部が形成されるようにして減速機23を収容する減速室59との間に、断熱空間105が配置されるので、電動モータ22から減速機23側への熱伝達を抑えることができ、減速機23を構成する部品が合成樹脂製であっても、その熱変形や強度低下を抑制することができる。
【0063】
またモータケース83の一部を構成するとともに収容凹部35の開口端の周囲でキャリパボディ26に締結されるようにして前記モータ室84および前記減速室59間に介在する蓋部材88に、前記断熱空間105を形成するための断熱空間用凹部106が設けられるので、断熱空間105を形成しつつ蓋部材88ひいてはモータケース83の軽量化を図ることが可能となるとともに材料削減による一層のコストダウンを図ることができる。
【0064】
さらに蓋部材88は、キャリパボディ26に設けられた収容凹部35を閉じ得るようにして円板状に形成される蓋部材主部88aと、電動モータ22への給電用として前記蓋部材主部88aから外側方に突出するカプラ部88bを一体に有して合成樹脂により形成され、蓋部材主部88aの外周面には、ボルト90…を挿通させる円筒状のカラー94…が埋設される複数のボス部88c…と、それらのボス部88c…間にそれぞれ配置される凹部89…とが形成され、前記蓋部材主部88aの半径方向に沿う前記ボス部88c…の内端部には、それらのボス部88c…の両側の前記凹部89…を相互に連通させる肉抜き連通孔104…が形成されるので、蓋部材88の軽量化および材料削減によるコストダウンを図ることができる。しかも車両搭載時に上方位置となった凹部89…に外部からの水が入っても肉抜き連通孔104を介して下方の凹部89側に水を流すことができ、凹部89に水が溜まることを防止して、周囲の部品の錆発生の原因となることを回避することができるとともに蓋部材88の耐久性低下を防止することができる。
【0065】
しかも蓋部材主部88aの外周に、前記凹部89…に複数ずつ配置されるリブ107…が一体に設けられるので、凹部89…が形成されることによる蓋部材88の強度低下を防止することができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0067】
21・・・ディスクブレーキ
22・・・電動モータ
23・・・減速機
24・・・運動変換機構であるねじ機構
26・・・キャリパボディ
35・・・収容凹部
38・・・ブレーキピストン
59・・・減速室
83・・・モータケース
86・・・ヨーク
86a・・・フランジ部
88・・・蓋部材
88a・・・蓋部材主部
88b・・・カプラ部
88c・・・ボス部
89・・・凹部
90・・・ボルト
94・・・カラー
104・・・肉抜き連通孔
105・・・断熱空間
106・・・断熱空間用凹部
107・・・リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(22)が備えるモータケース(83)の一部を構成する有底円筒状のヨーク(86)の開口端部にフランジ部(86a)が設けられ、ディスクブレーキ(21)のキャリパボディ(26)には前記電動モータ(22)側に開口する収容凹部(35)が設けられ、該収容凹部(35)を閉じ得るようにして円板状に形成される蓋部材主部(88a)ならびに電動モータ(22)への給電用として前記蓋部材主部(88a)から外側方に突出するカプラ部(88b)を一体に有するとともに前記蓋部材主部(88a)の外周の周方向に間隔をあけた複数箇所に凹部(89)が形成される樹脂製の蓋部材(88)が、前記キャリパボディ(26)との間に減速室(59)を形成して前記キャリパボディ(26)および前記フランジ部(86a)との間に挟まれ、複数のボルト(90)による共締めで前記フランジ部(86a)および前記蓋部材(88)が前記キャリパボディ(26)に締結され、回転動力をブレーキピストン(38)の軸方向進退作動に変換する運動変換機構(24)が前記減速室(59)に収容される減速機(23)を介して前記電動モータ(22)に連結される車両用電動ブレーキ装置において、前記蓋部材主部(88a)の外周面には、前記ボルト(90)を挿通させる円筒状のカラー(94)が埋設される複数のボス部(88c)と、それらのボス部(88c)間にそれぞれ配置される前記凹部(89)とが形成され、前記蓋部材主部(88a)の半径方向に沿う前記ボス部(88c)の内端部には、それらのボス部(88c)の両側の前記凹部(89)を相互に連通させる肉抜き連通孔(104)が形成されることを特徴とする車両用電動ブレーキ装置。
【請求項2】
前記蓋部材主部(88a)の前記電動モータ(22)側の面および前記減速機(23)側の面のいずれかに、前記モータケース(83)内に形成されるモータ室(84)および前記減速室(59)間に介在する断熱空間(105)を形成する断熱空間用凹部(106)が設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用電動ブレーキ装置。
【請求項3】
前記蓋部材主部(88a)の外周に、前記凹部(89)に複数ずつ配置されるリブ(107)が一体に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用電動ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−179655(P2011−179655A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46604(P2010−46604)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】