説明

車両運転支援装置

【課題】交通量が多くかつ信号機の設置されていない交差点を右折する場合に、安全性を向上させることができる「車両運転支援装置」を提供する。
【解決手段】車両運転支援装置100は、レーダ手段(33、34)と、情報提供手段(41、43)と、前記レーダ手段(33、34)及び情報提供手段(41、43)に動作可能に接続された制御手段30とを有する。前記制御手段30は、自車が右折待機状態であるときに前記レーダ手段(33、34)のレーダビームを広角にし(34)、自車位置から所定の距離だけ離れた地点を他車両が通過する毎に、前記情報提供手段(41、43)を介してその旨を通知する。前記情報提供手段(41、43)は、所定の音声を出力する音声出力手段41であってもよく、前記情報提供手段は、所定の情報を表示する表示手段43であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置に関し、特に、右折時の安全性を向上させるよう適応された車両運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の負担を軽減し、安全運転を支援するための装置が開発され実用化されてきている。このような先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)に係る運転を支援する装置として、例えば、走行中、前方に障害物があるときに警報を発する装置や、前方の走行車両との車間距離を一定に保つようにする装置がある。
【0003】
先行車両との距離の測定には、レーダが使用されている。具体的には、先行車両に向けて、車両前方に設置したレーダ装置から特定の周波数のレーダを放射し、先行車両に反射して返ってくるレーダを受信して、先行車両との距離を計測する。そして、自車の走行速度から安全な車間距離を求め、計測した先行車両との間隔が安全な車間距離よりも狭くなっているときに、警告を発したり、速度を落とすような制御を行っている。
【0004】
また、ASVに関する技術として、特許文献1には、交差点や踏み切りを安全に通行できるように、自車が入るスペースがあるか否かを予測してユーザに運転の支援をする装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−165643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、自車が走行している道路上の障害物や他車両を検出して運転者に注意を喚起することによって運転を支援する装置が開発されている。
【0006】
このように自車が走行している道路上に限らず、安全な走行のためには対向車線を走行中の車両の情報が必要な場合がある。例えば、信号機が設置されていない交差点を右折する場合に、対向車線の交通量が多いと、停車位置から離れた位置での対向車両の車両同士の間隔を把握することが困難である。そのため、安全に右折できる機会をつかめず、緊急時には無理な右折をして安全走行に支障をきたすおそれがある。
【0007】
また、上記したように、ASVに係る運転支援装置では、走行車両の周囲の状況を把握する手段として、カメラやレーダを車両に搭載している。このレーダとしては、赤外線領域のレーザ光を応用したレーザレーダや、マイクロ波やミリ波を使用した電波式のレーダが用いられているが、通常、車両用レーダは電波ビーム幅(指向性)の狭いレーダが使用されている。従って、自車と自車の前方あるいは後方の車両との距離を測定する等、自車と同一走行車線上にある対象物を検知する場合には、レーダの指向性が狭くても特に問題はない。
【0008】
しかし、車両が右折待機中のときに指向性の狭い車両用レーダを使用すると、停車している車両の向きによってレーダの照射範囲が異なり、停車している車両から所定の距離の地点を通過する対向車を検知できるか否かが車両の向きに依存することになる。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、交通量が多くかつ信号機の設置されていない交差点を右折する場合に、安全性を向上させることができる車両運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の一形態によれば、レーダ手段と、情報提供手段と、前記レーダ手段及び情報提供手段に動作可能に接続された制御手段とを有し、前記制御手段は、自車が右折待機状態であるときに前記レーダ手段のレーダビームを広角にし、自車位置と所定の距離だけ離れた地点を他車両が通過する毎に、前記情報提供手段を介してその旨を通知することを特徴とする車両運転支援装置が提供される。
【0011】
この形態に係る車両運転支援装置においては、右折待機時に、自車が停車している地点から所定の距離離れた地点を対向車両が通過する毎にその旨を運転者に通知するようにしている。
【0012】
これにより、運転者は予め対向車両の走行車両間隔を知ることができ、安全に右折できるタイミングを予測することが可能となる。
【0013】
また、上記形態に係る車両運転支援装置において、前記情報提供手段は、所定の音声を出力する音声出力手段であってもよい。
【0014】
また、上記形態に係る車両運転支援装置において、前記情報提供手段は、所定の情報を可視表示する表示手段であり、前記制御手段は、前記自車位置から所定の距離だけ離れた地点を通過する連続する2台の他車両間の距離を計測し、該計測した距離を前記表示手段の表示画面に表示させてもよいし、前記制御手段は、前記自車位置から所定の距離だけ離れた地点を通過する連続する2台の他車両間の距離を計測し、該計測した距離に応じて該2台の他車両間の道路の表示態様を変えて前記表示手段の表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0015】
これにより、対向車両の車両間隔を音で判断したり、地図上の表示画面で判断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0017】
(車両運転支援装置の構成)
図1は本発明の一実施形態に係る車両運転支援装置100の構成を示すブロック図である。
【0018】
車両運転支援装置100は、制御部30、狭角レーダ33、広角レーダ34、カメラ35、画像処理部42、音声処理部40、表示部43、スピーカ41、停車情報取得部38、方向指示情報取得部37、記憶部39及びナビゲーション装置10を有する。
【0019】
制御部30は、マイクロコンピュータで構成され、右折待機検出部31、対向車両検出部32を有する。このうち、右折待機検出部31は、方向指示情報取得部37から右折情報および車両が停止する情報を取得して、車両が右折待機状態か否かを検出する。右折待機状態か否かの判定の際には、ナビゲーション装置10から自車が走行する経路や交差点を含む地図情報を取得し、右折地点に到達したか否かの情報も含めてもよい。
【0020】
対向車両検出部32は、自車の位置情報を取得するとともに、予め設定した距離だけ自車から離れた位置の対向車線を通過する車両の情報を取得する。対向車線を通過する車両を検出するために、車両が右折待機状態になったときには、指向性の広い広角レーダ34を使用するように制御する。
【0021】
方向指示情報取得部37は、運転者が右左折を行う際に操作した方向指示器の情報(車両が右折するか否か)を取得する。この情報を示す信号は、制御部30において自車が交差点において右折するか否かを判定する際に使用される。
【0022】
停車情報取得部38は、運転者がブレーキペダルを操作したか否かの情報を取得する。ブレーキペダルが操作された旨の信号を制御部30が取得すると、制御部30は車両が停車すると判定し、方向指示情報と共に右折待機状態であるか否かを判定する際に使用される。
【0023】
カメラ35は、自車の前方の所定範囲を撮影するものであり、撮影画像を電気信号に変換した画像信号を出力する。カメラ35は、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用い、左右一組のカメラによって構成され、車両の前方に設置される。
【0024】
レーダ(33、34)は、赤外線領域のレーザ光を応用したレーザレーダ又はマイクロ波やミリ波を用いた電波式のレーダを使用する。また、指向性の狭い狭角レーダ33と指向性の広い広角レーダ34を用意し、自車が右折する際には広角レーダ34を使用するようにする。
【0025】
画像処理部42は、カメラ35で撮影され記憶部39に保存された画像を解析し、対向車線を走行する車両の色等の情報を地図画像に合成して表示部43に表示させる。
【0026】
音声処理部40は、制御部30からの信号に基づいて音声信号を合成し、その音声信号をスピーカ41に供給する。
【0027】
(ナビゲーション装置の構成)
図2はナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
図中、1は地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてDVD(DVD−ROM)を使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点(ノード)の座標集合として記憶されている。地図データは、(1)道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、(2)地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【0029】
また、2はナビゲーション装置本体10を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部2にリモコン送信機及びリモコン受信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体10を操作することもできる。
【0030】
また、5は複数のGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度値等のGPSデータを生成して出力するGPS受信機を示す。6は自立航法センサを示す。この自立航法センサ6は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサ6aと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサ6bとにより構成されている。
【0031】
また、7は液晶パネル等の表示装置であり、ナビゲーション装置本体10は、この表示装置7に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。8は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【0032】
ナビゲーション装置本体10は以下のものから構成されている。11はDVD1からの地図データの読み取りを制御するDVDコントローラである。12はDVD1から読み出した地図データを一時的に記憶するバッファメモリである。13は操作部2と接続されるインタフェース、16はGPS受信機5と接続されるインタフェース、17は自立航法センサ6と接続されるインタフェースである。
【0033】
18はマイクロコンピュータにより構成される制御部である。制御部18は、インタフェース16、17から入力される情報を基に車両の現在位置を検出したり、DVDコントローラ11を介してDVD1から所定の地図データをバッファメモリ12に読み出したり、バッファメモリ12に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導経路を探索するなど、種々の処理を実行する。
【0034】
19はバッファメモリ12に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、20は動作状況に応じた各種メニュー画面(操作画面)や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【0035】
21は制御部18で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、22は誘導経路を描画する誘導経路描画部である。誘導経路記憶部21には、制御部18によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部22は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部21から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【0036】
23は画像合成部であり、地図描画部19で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部20で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部22で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示装置7に表示させる。
【0037】
24は音声出力部であり、制御部18からの信号に基づいて音声信号をスピーカー8に供給する。
【0038】
このように構成された車両運転支援装置100において、右折をするために方向指示器による右折指示をして停車すると、制御部30は車両に設置した広角レーダ34に切り替えて放射する。ここで、広角レーダのレーダ幅は、例えば、120度である。右折待機中の車両から所定の距離の地点を対向車両が通過したことを検出する毎に、その旨を運転者に通知する。この通知は、音による通知でも良いし、表示画面に対向車両の車両間隔が分かるように表示させるようにしても良い。
【0039】
図3は本実施形態の車両運転支援装置100が作動する状況を概念的に示した図である。図3(a)は、車両が信号機の設置されていない交差点50を右折しようとしている状況を示した図である。車両が右折待機状態になると、ビーム幅52の広い広角レーダ34に切り替えて放射する。対向車両の通過をカウントする通過カウントエリア55を停車している車両から50mとすると、ビーム幅を広くしているため、当該地点はビームの放射範囲内(53、54)となる。図3(b)は、対向車両の通過カウントエリア55を車両が通過したときに発生させる音のタイミングを示したタイミング図である。車両A(56a)が通過カウントエリア55を通過したときに、t-3のタイミングで音を発生させる。続いて車両B(56b)が通過カウントエリア55を通過したときに、t-2のタイミングで音を発生させる。同様に、車両C(56c)が通過カウントエリア55を通過したときに、t-1のタイミングで音を発生させる。図3に示す現在時点t0は車両C(56c)が通過カウントエリア55を通過した後、後続の車両D(56d)がまだ通過カウントエリア55を通過していない状況である。この後、車両D(56d)及び車両E(56e)が通過カウントエリア55を通過すれば、同様に、t1及びt2のタイミングで音を発生させる。
【0040】
右折待機中の車両は、車両A(56a)から車両C(56c)が交差点50に接近することを予め通過カウントエリア55を通過したことを知らせる音によって知ることが出来る。しかも、対向車両が通過カウントエリア55を通過する毎に音により通知をするため、対向車両の車両間隔を予め把握することも可能である。図3の時点では、予め通知された車両A(56a)等が右折待機車両の近傍を通過する状況である。この場合、予め車両A,B,Cの間の車間距離は音により把握できるため、右折ができる状況ではないと判断できる。その後、車両C(56c)と車両D(56d)との間隔は広いと判断できることから、車間距離が広くとられており、安全に右折できる可能性が高いことを予測することができる。
【0041】
本実施形態に係る車両運転支援装置100において、車両が右折する際には広角レーダ34を使用している。この場合に、対象とする地点を通過する車両だけでなく、それより自車に近い位置の車両を検出することもありうる。また、対向車線を走行する車両だけでなく、自車の走行車線を走行している車両を検出することもありうる。このような場合であっても、自車からの距離と車両の走行速度とを考慮することにより、以下に示すように対向車線を走行する車両だけを検出するようにしている。
【0042】
右折待機地点から所定の距離の対象物であることを判定するためには、レーダを発射してから反射するレーダを受信するまでの時間によって特定することができる。対象物までの距離rと、反射波が帰ってくる時間tとの間には、t=(2×r)/cの関係がある。ここで、cは電波の空気中の伝搬速度であり、一般的に3×108m/sとして計算する。例えば、右折待機地点から50mの地点を通過する車両を対象とすると、レーダを発射してから反射レーダを受信するまでの時間は約0.33μsとなる。従って、反射レーダを受信するまでの時間が0.33μsでなければ目標とする対向車両ではないものとしている。
【0043】
また、対向車両か自車が待機している走行車線を走行している車両かの判定は、車両の走行速度及び走行方向を求めることによって判断できる。レーダを移動する物体に向けて発射すると、その反射波は物体の移動速度に比例した周波数偏移を受けて戻ってくる。偏移量をΔf、移動する車両の速度をv、発射するレーダの周波数をf0とすると、Δf=f0×v/(3×108)になる。これを基に、移動する車両の速度及び走行方向(右折待機車両に近づいてくるか、遠ざかるか)を求め、対向車線を走行している車両か否かを判定する。
【0044】
本実施形態に係る車両運転支援装置100は、その基本的な特徴として、右折待機時に広角レーダ34を使用して所定の距離離れた対向車両の通過状況を運転者に通知するようにしている。所定の地点(通過カウントエリア)を対向車両が通過する毎に、音声で通知したり、対向車両の車間距離がわかるように表示している。かかる処理を行うことで、右折待機時に予め対向車両の走行状況を把握することが可能となる。これにより、ユーザは右折できるタイミングを予測することができ、走行の安全性に寄与することができる。
【0045】
例えば、対向車両の速度が60km/hの場合で、通過カウントエリアを右折待機車両の位置から50mとした場合に、対向車両がほぼ一定の速度で走行すれば、右折待機地点に対向車両が到達する約3秒前に安全に右折できる可能性があるか否かを知ることが可能となる。
【0046】
(右折時の車両運転支援処理)
以下、本実施形態に係る車両運転支援装置100が行う右折時の運転支援処理について、その処理フローの一例を示す図4を参照しながら説明する。
【0047】
以下の説明では、対向車両が自車からどの程度離れているときに通知をするかが予め決定されているものとする。ここでは、50mとする。
【0048】
まず、ステップS11において、制御部30は自車が右折待機状態であるか否かを判定する。自車が右折待機中であることは、方向指示器が起動され、かつ車両が停止状態になっていることから判断する。また、予め設定した誘導経路の情報を基に、自車位置が右折地点に到達し、自車が停止状態になっていることから判断してもよい。自車が右折待機状態であると判定すればステップS12に移行する。
【0049】
次のステップS12では、レーダのビームを広角ビームに切り替える処理を行う。通常の走行では前方を走行する車両や前方の障害物を検出するために指向性の狭いビームを使用している。右折時には対向車線を走行する車両を検出するため、ビームを広角にする必要がある。本実施形態では、狭角レーダ33と広角レーダ34とを用意し、自車が右折待機状態になったときに広角ビーム34に切り替えるようにしているが、これに限らず、ビームを広角にすることができればよい。
【0050】
次のステップS13では、広角レーダのビームを放射する。このとき、自車の走行車線上を走行する他の車両を検出しないように、ビームの角度を調整するようにしてもよい。
【0051】
次のステップS14では、予め設定した通過カウントエリアを対向車が通過したか否かを判定する。自車から所定の距離だけ離れた通過カウントエリアを通過する車両が存在することは、レーダを放射してから車両に反射して返ってくる反射レーダを受信するまでの時間によって特定する。通過カウントエリアを対向車が通過すればステップS15に移行し、通過車両がなければステップS16に移行する。
【0052】
次のステップS15では、情報提供手段を介して通過カウントエリアを対向車両が通過したことを運転者に通知する。情報提供手段としては、音を出力する音声出力手段であって、例えば、対向車が所定のポイントを通過したときに、音声処理部40が「ぴっ」という音を合成し、スピーカ41から出力させるようにしてもよい。また、対向車両の混雑状況に応じて出力する音の形態を変えるようにしてもよい。例えば、車間距離が狭く連続して対向車両が走行している場合には、運転者に注意を喚起するために、「ぴっ」という音を数回連続して出力するようにしてもよいし、出力する音の高さを高くするようにしてもよい。
【0053】
次のステップS16では、自車が右折をしたか否かを判定する。右折をしたときは、ステップS17に移行する。右折をしていないときは、ステップS13に戻り、レーダの放射を継続する。
【0054】
次のステップS17では、レーダのビームを通常の走行で使用する狭角に切り替えて、本右折時運転支援処理は終了する。
【0055】
(その他の情報提供形態)
本実施形態では、交通量が多くかつ信号機が設置されていない交差点を右折する際の運転支援をすることを目的としている。そのために、自車が停車している近傍の対向車両ではなく、自車から所定の距離離れた地点での対向車両の走行状況を予め把握できるようにしている。従って、この目的を達成するために、上記した音による情報提供だけでなく、種々の形態で情報提供を行うようにしても良い。以下にその例を示す。
【0056】
図5は、対向車両の車両間隔を表示画面に数値表示している例である。自車61が交差点60で右折待機中に所定の通過カウントエリア55を通過した対向車両(62a、62b、62c)の車両間の距離を数値で表示している(63a、63b)。対向車両の車両間の距離は、通過カウントエリア55の通過時間及び通過車両の速度を基に求め、表示画面に表示する。
【0057】
また、前後する対向車両間の車間距離を計算した結果、車が右折をする安全な距離である場合には、表示態様を変えて対向車線を走行する車両と車両の間の道路を表示するようにしてもよい。例えば、対向車両の車間距離が安全である場合には、その車両と車両の間の道路を地図上に緑色で表示するようにする。右折をするのに安全な距離は予め設定しておく。
【0058】
図6は、自車71が交差点70を右折のために待機している場合であって、対向車両(72a、72b、72c)の車間距離を長さによって色分けして表示する例である。車両間隔が予め安全であると設定した距離以上のときには、道路地図の対応する部分に重ねて、例えば緑色の線を表示するようにする(73)。なお、右折待機地点の周囲の地図情報は、ナビゲーション装置10から取得する。
【0059】
このように、対向車両の車間距離を数字で表示したり、色分けして表示することにより、運転者は安全に右折できるタイミングを予め知ることができ、安全走行の支援をすることが可能になる。
【0060】
なお、上記した対向車両の車間距離の表示は、時間の経過とともに、車間距離と車速とを反映しながら移動して表示される。
【0061】
また、図5や図6のように対向車両を地図画面上に表示する場合に、対向車両の特定を容易にするため、実際の車両の車体の色で表示するようにしてもよい。実際に走行している対向車両はカメラ35で撮影し、画像処理部42において、画像を解析して車両の色情報を取得し、地図画面上に表示する対応する車両に色情報を合成する。
【0062】
また、音で対向車両の通過カウントエリア55の通過情報を通知する場合、右折を指示する方向指示器のリレー音が大きいと通過情報の把握がしづらくなる可能性がある。これに対処するために、車両運転支援装置100のスピーカ41から方向指示器の音声信号の位相を反転させた信号を出力するようにして、方向指示器のリレー音を消去するようにしてもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る車両運転支援装置においては、交通量が多くかつ信号機が設置されていない交差点を右折する際に、自車が停車している位置から所定の距離離れた地点を通過する対向車両を音声等によって運転者に通知するようにしている。これにより、予め対向車両がどの程度の車間距離で走行しているかを把握することができる。そのため、右折できるタイミングを予測することが可能になり、安全走行に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は右折待機状態を示す図であり、図3(b)は対向車両の通過を知らせる音の発生タイミングを示す図である。
【図4】図1の車両運転支援装置が行う右折支援処理の一例を示すフロー図である。
【図5】対向車両の車両間隔を表示する一例を示す図(その1)である。
【図6】対向車両の車両間隔を表示する一例を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0065】
10…ナビゲーション装置本体、
100…車両運転支援装置、
30…制御部(車両運転支援装置)、
31…右折待機検出部、
32…対向車両検出部、
33…狭角レーダ、
34…広角レーダ、
35…カメラ、
37…方向指示情報取得部、
38…停車情報取得部、
39…記憶部、
40…音声処理部、
41…スピーカ(情報提供手段)、
42…画像処理部、
43…表示部(情報提供手段)、
50、60、70…交差点、
51、61、71…自車、
52…レーダ放射範囲、
53、54…レーダ放射方向、
55…通過カウントエリア、
56、62、72…対向車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ手段と、
情報提供手段と、
前記レーダ手段及び情報提供手段に動作可能に接続された制御手段とを有し、
前記制御手段は、自車が右折待機状態であるときに前記レーダ手段のレーダビームを広角にし、自車位置から所定の距離だけ離れた地点を他車両が通過する毎に、前記情報提供手段を介してその旨を通知することを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項2】
更に、方向指示情報取得手段と、停車情報取得手段とを有し、
前記制御手段は、方向指示情報取得手段から右折する旨の情報を取得し、かつ停車情報取得手段から自車が停止する旨の情報を取得したときに、自車が右折待機状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両運転支援装置。
【請求項3】
前記情報提供手段は、所定の音声を出力する音声出力手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、所定の情報を可視表示する表示手段であり、
前記制御手段は、前記自車位置から所定の距離だけ離れた地点を通過する連続する2台の他車両間の距離を計測し、該計測した距離を前記表示手段の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記情報提供手段は、所定の情報を可視表示する表示手段であり、
前記制御手段は、前記自車位置から所定の距離だけ離れた地点を通過する連続する2台の他車両間の距離を計測し、該計測した距離に応じて該2台の他車両間の道路の表示態様を変えて前記表示手段の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−128300(P2007−128300A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320700(P2005−320700)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】