説明

車体表示制御装置

【課題】 他の車両とコミュニケーションを図るための表示を可能とする車体表示制御装置を提供すること。
【解決手段】 制御センタ20は、ユーザが利用する車両10に関連する要件を登録している。そして、制御センタ20は、登録された要件のうち、一の車両10のユーザによって登録されてこの一の車両10に関連する所定の要件と一致する要件に関連付けられている他の車両10を検索して、一の車両10に関連する所定の要件を満たす関係にある他の車両10を抽出する。又、制御センタ20は、一の車両10の現在位置を取得するとともに、抽出した他の車両10の現在位置を取得し、一の車両10の現在位置に対して他の車両10の現在位置が所定の距離以内であるときに、一の車両10に搭載された車体表示部11に所定の画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の観察者に視認させる種々の車体表示の表示態様を制御する車体表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているような車両間情報通信システムは知られている。この従来の車両間情報通信システムでは、グループ化された各車両の情報がグループリストとして通信センタにグループ登録されるようになっている。又、このようにグループ登録された車両のそれぞれの位置情報が通信ネットワークを介して通信センタに送信されるようになっている。そして、通信センタからグループ登録された車両すべての位置情報が送られて、ナビゲーション装置の表示画面に表示されるようになっている。これにより、ナビゲーション装置の画面に表示された車両をタッチパネルによって選択して直接指定すると、選択した車両と通話又はメッセージの送信をすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−286557号公報
【発明の概要】
【0004】
上記従来の車両間情報通信システムにおいては、予めグループ化されている、言い換えれば、特定されている車両間で直接的に通話又はメッセージの送信をすることができる。従って、特定されていない車両間では、通話又はメッセージの送信をすることができないため、コミュニケーションを図ることが難しい。
【0005】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、他車両とコミュニケーションを図るための表示を可能とする車体表示制御装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両に搭載されてこの車両の外方に向けて種々の画像を表示する車体表示部の表示作動を制御する車体表示制御装置であって、一の車両に関連する所定の要件を満たす関係にある他の車両を抽出し、前記一の車両の現在位置を取得するとともに、前記抽出した他の車両の現在位置を取得し、前記一の車両の現在位置に対して前記他の車両の現在位置が所定の距離以内であるときに、前記一の車両に搭載された前記車体表示部に所定の画像を表示させることにある。この場合、前記他の車両は、前記一の車両のユーザがコミュニケーションを図りたいユーザが利用する車両であるとよい。更に、この場合、前記車体表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられるとよい。
【0007】
尚、前記車体表示制御装置は、前記一の車両に関連する所定の要件を満たす関係にある他の車両を抽出する車両抽出手段と、前記一の車両の現在位置及び前記車両抽出手段によって抽出された前記他の車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記現在位置取得手段によって取得された前記一の車両の現在位置に対して前記他の車両の現在位置が所定の距離以内であるか否かを判定する距離判定手段と、前記距離判定手段によって所定の距離以内であると判定されたとき、前記一の車両に搭載された前記車体表示部に所定の画像を表示させる画像表示指示手段とを備えることが可能である。
【0008】
この場合、前記車体表示制御装置において、ユーザが利用する車両に関連する要件は登録されるものであり、前記登録された要件のうち、前記一の車両のユーザによって登録されて前記一の車両に関連する前記所定の要件と一致する要件に関連付けられている前記他の車両を検索して、前記一の車両に関連する前記所定の要件を満たす関係にある前記他の車両を抽出することができる。尚、この場合、前記車両抽出手段が、ユーザが利用する車両に関連する登録された要件のうち、前記一の車両のユーザによって登録されて前記一の車両に関連する前記所定の要件と一致する要件に関連付けられている前記他の車両を検索する車両検索手段を有することができる。
【0009】
そして、これらの場合、前記所定の要件は、例えば、前記一の車両の目的地及び前記一の車両のユーザの目的のうちの少なくとも一方の要件とすることができる。この場合、前記車体表示部が表示する所定の画像を、前記所定の要件に関する画像とすることができる。
【0010】
又、前記車体表示制御装置が、更に、前記一の車両のユーザと前記他の車両のユーザとの間で音声による通話を確立することができる。又、前記車体表示制御装置が、更に、前記他の車両の現在位置を前記一の車両のユーザに提示することができる。
【0011】
これらによれば、例えば、車両の外板の外表面上に設けられて車両の外方に向けて種々の画像を表示する車体表示部を用いて、コミュニケーションを図りたい他の車両(他の車両のユーザ)に対して、一の車両と他の車両との間の距離が所定の距離以下となったときに所定の画像を表示することができる。すなわち、一の車両のユーザが登録する所定の要件として一の車両の目的地や一の車両のユーザの目的と一致する要件に関連付けられた他の車両のユーザとコミュニケーションを図りたい場合、一の車両と他の車両との間の距離が所定の距離以下となったときに、一の車両に搭載された車体表示部に所定の要件に関する画像を他の車両(ユーザ)に向けて表示することができる。これにより、例えば、一の車両と他の車両とが予め特定されておらずグループ化されていなくても、車体表示部に互いに共感できる画像を表示することによって、容易にコミュニケーションを図ることができる。
【0012】
具体的に、例えば、一の車両のユーザが目的地と目的を所定の要件として登録しており、他の車両のユーザが同一の目的地及び同一の目的を要件として登録した場合、車体表示制御装置は、所定の要件と同一の目的地及び目的を有して移動している(走行している)他の車両を抽出し、一の車両と抽出した他の車両とのそれぞれの現在位置に基づいて所定の距離以下(例えば、互いに目視が可能な距離)まで接近したときに、一の車両の車体表示部に対して目的地及び目的に関する(連想させる)所定の画像を表示させる。これにより、他の車両のユーザは、一の車両に搭載された車体表示部に表示された所定の画像を視認することによって、一の車両が自身と同一の目的地及び目的を持って移動していることを認識するすなわち表示された所定の画像を介してコミュニケーションを図ることができる。そして、この場合、必要に応じて、更に、音声通話等によって直接的なコミュニケーションを図ることもできる。すなわち、見ず知らずのユーザ同士であっても、共感できる画像を視認することによって、極めて容易にコミュニケーションを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係り、車両(車体表示部)及び制御センタからなる制御システムを示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2の車体表示部を車両の外板の外表面上に設けた状態を説明するための概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係り、図1の制御センタの構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係り、図4の制御センタにおける制御サーバによる制御処理内容を概略的に示すフローチャートである。
【図6】車体表示部に表示される所定の要件に関する画像を説明するための概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る車体表示制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車体表示制御装置を有する制御システムを概略的に示した概略ブロック図である。この制御システムは、図1に示すように、複数の車両10と、ある車両10(一の車両)と所定の要件を満たす関係にある車両10(他の車両)のそれぞれに搭載された車体表示部11に対して所定の画像(映像)を表示させる車体表示制御装置としての制御センタ20とを備えている。そして、この制御システムを構成することにより、一の車両10のユーザ(乗員)は、他の車両10のユーザ(乗員)に対して、車体表示部11を利用することによってコミュニケーションを図ることができる。
【0015】
車両10は、図2に概略的に示すように、車両10の外方に向けて画像(映像)やメッセージ等を表示する車体表示部11を備えている。車体表示部11は、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライトを有する液晶表示パネル等)を備えるとともに、これら表示パネルを作動させるための周知の駆動回路(図示省略)を備えている。
【0016】
ここで、車体表示部11は、車両10の外方に向けて画像(映像)を表示するものである。このため、本実施形態における車体表示部11は、車両10の外板の外表面上に、例えば、上述した薄板状の自発光型表示パネルや透過光型表示パネルを貼付するように設けられる。具体的には、図3に概略的に示すように、車両10の外形を形成するフード(ボンネット)、左右のサイドパネル(フェンダやドアパネル、ピラー等)、ルーフやトランクリッド(リアゲート)、或いは、必要な透明性を確保できる場合にはフロント、リア及びサイドガラスに対して、薄板状に形成された車体表示部11を貼付するとともにこの貼付した車体表示部11の外表面に透明な保護層(例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料)を設ける。これにより、貼付された車体表示部11は、種々の画像(映像)やメッセージを車両10の外方に向けて表示(再生)することができる。
【0017】
又、車両10は、図2に示すように、電子制御ユニット12、通信ユニット13、記憶ユニット14及び位置検出ユニット15を備えている。
【0018】
電子制御ユニット12は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、各種プログラムを実行することにより、車両10(より詳しくは車体表示部11)の作動を統括的に制御する。このため、電子制御ユニット12に対して、通信ユニット13、記憶ユニット14及び位置検出ユニット15がそれぞれ電気的に通信可能に接続されている。
【0019】
通信ユニット13は、他の車両10や制御センタ20等の外部との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット13による通信方法自体は、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用した近距離通信、通信基地局を含む携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、例えば、後述するように電子制御ユニット12が通信ユニット13を利用して制御センタ20に車両10の現在位置情報や画像(映像)データ等を送受信したり、他の車両10と通信したりすることができる。
【0020】
記憶ユニット14は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット12が車両10(より詳しくは、車体表示部11)の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。ここで、記憶ユニット14に記憶される各種データとしては、例えば、後述するように制御センタ20から提供される画像(映像)データや表示完了情報、表示に関する輝度等の情報が書き込まれた情報テーブル等がある。
【0021】
位置検出ユニット15は、車両10の現在位置を検出するものである。このため、位置検出ユニット15は、例えば、3つ以上のGPS(Global Positioning System)衛星からそれぞれ送出されるGPS信号を取得し、これらのGPS信号に基づいて車両10の現在位置を検出したり、通信ユニット13と協働して携帯電話回線用の通信基地局からの送信信号を取得し、この送信信号に基づいて車両10の現在位置を検出したり、或いは、GPS衛星からのGPS信号と通信基地局からの送信信号の両方に基づいて車両10の現在位置を検出する。そして、位置検出ユニット15は、検出した現在位置を表す現在位置情報を電子制御ユニット12に出力するようになっている。
【0022】
制御センタ20は、一の車両10に関連する所定の要件を満たす関係にある他の車両10のユーザ(乗員)に向けて、コミュニケーションを図るために、前記一の車両10に搭載されている車体表示部11に所定の画像(映像)やメッセージを表示させる表示作動を制御するためのものである。
【0023】
このため、制御センタ20は、図4に示すように、制御サーバ21と、通信ユニット22と、記憶ユニット23とを備えている。制御サーバ21は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、制御センタ20を統括的に制御する。このため、制御サーバ21に対して、通信ユニット22及び記憶ユニット23がそれぞれ電気的に通信可能に接続されている。
【0024】
通信ユニット22は、複数の車両10や、車両10のユーザ(乗員)が利用する情報端末装置(例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、パソコン等)との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット22による通信方法自体も、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、通信基地局を含む携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、後述するように、車両10に対して画像(映像)データを送信したり、所定の要件を満たす車両10に対して表示完了情報を送信したり、ユーザから提供される画像(映像)データや、車両及びユーザの識別情報、車両のユーザが予め登録する要件(所定の要件を含む)を表す自己情報等を受信したりすることができる。
【0025】
記憶ユニット23は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、制御サーバ21が制御センタ20や車両10(より詳しくは、車体表示部11)の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。そして、記憶ユニット23の所定記憶位置には、車両10の車体表示部11に表示すべき画像(映像)データが検索可能に記憶されている。ここで、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶される画像(映像)データは、予め記憶されている特定の画像(映像)データであったり、ネットワーク(例えば、インターネット回線網等)を介して通信可能に接続されたユーザの情報端末装置等から提供される更新可能な画像(映像)データである。更に、記憶ユニット23の所定記憶位置には、車両及びユーザの識別情報、自己情報等が更新可能かつ検索可能に記憶されている。ここで、車両及びユーザの識別情報としては、車両の登録番号や通信ユニット13に割り当てられた固有情報、ユーザID、ユーザが利用する携帯電話の番号等である。又、自己情報としては、それぞれのユーザが車両10を利用して移動する目的地や車両10を利用して移動する目的、行動日時等である。そして、他の車両10のユーザとコミュニケーションを図りたいとき、一の車両10のユーザは、所定の要件として、例えば、「軽井沢」を目的地に設定して記憶(登録)し、「野鳥観察」を移動する目的に設定して記憶(登録)することができる。
【0026】
次に、上記のように構成した制御システムに適用される車両10(より詳しくは、車体表示部11)及び制御センタ20の作動を図5を用いて説明する。
【0027】
まず、車両10のユーザは、例えば、自身が所有する情報端末装置を利用して、要件として今後のスケジュールを制御センタ20に送信して登録しておく。具体的に説明すると、ユーザは、自身が利用している車両10及びユーザを識別するための識別情報とともに今後のスケジュールである車両10を利用した目的地や目的、日時等(以下、スケジュール情報と称呼する)を制御センタ20に自己情報として送信する。制御センタ20においては、制御サーバ21が通信ユニット22を介して情報端末装置から送信された識別情報及びスケジュール情報を受信して取得する。続いて、制御サーバ21は、取得した識別情報及びスケジュール情報を互いに関連付けて、記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。
【0028】
この状態において、他の車両10とコミュニケーションを図りたいユーザ、すなわち、一の車両10のユーザは、例えば、情報端末装置を利用して、自身の識別情報とともに、所定の要件を表す自己情報を送信する。具体的には、一の車両10のユーザは、自身が利用する車両10の識別情報とともに、例えば、目的地として「軽井沢」及び目的として「野鳥観察」、コミュニケーション希望情報等を自己情報として制御センタ20に送信する。制御センタ20においては、制御サーバ21が、通信ユニット22を介して、一の車両10のユーザによって送信された識別情報及び自己情報を受信して取得する。そして、制御サーバ21は、取得した識別情報及び自己情報を互いに関連付けて、一時的に記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶する。
【0029】
次に、制御センタ20の制御サーバ21は、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶したスケジュール情報(要件)すなわち「目的地」及び「目的」のうち、一の車両10のユーザによって送信された自己情報(所定の要件)すなわち「目的地」及び「目的」と一致するスケジュール情報を検索して抽出する。言い換えれば、制御サーバ21は、一の車両10に関連する所定の要件を満たす他の車両10を抽出する。具体的に、例えば、一の車両10のユーザにより、目的地として「軽井沢」及び目的として「野鳥観察」が所定の要件(自己情報)として送信されていれば、制御サーバ21は、記憶されているスケジュール情報のうち、目的地として「軽井沢」及び目的として「野鳥観察」が登録されているスケジュール情報を検索する。そして、制御サーバ21は、検索して取得したスケジュール情報に関連付けて所定記憶位置に記憶している識別情報を検索し、この識別情報に対応する車両10を他の車両10として抽出する。
【0030】
次に、制御サーバ21は、一の車両10に対して現在位置情報の送信を要求するとともに、他の車両10に対して現在位置情報の送信を要求する。すなわち、制御サーバ21は、通信ユニット22を介して、一の車両10及び他の車両10の識別情報(例えば、通信ユニット13の固有情報)に基づいて、現在位置情報の送信を要求する要求情報を送信する。一の車両10においては、電子制御ユニット12が、通信ユニット13を介して要求情報を取得する。そして、一の車両10の電子制御ユニット12は、位置検出ユニット15によって検出された現在位置情報を取得し、自車両の識別情報とともに現在位置情報を通信ユニット13を介して制御センタ20に送信する。又、他の車両10においては、電子制御ユニット12が、通信ユニット13を介して要求情報を取得する。そして、他の車両10の電子制御ユニット12は、位置検出ユニット15によって検出された現在位置情報を取得し、自車両の識別情報とともに現在位置情報を通信ユニット13を介して制御センタ20に送信する。制御センタ20においては、制御サーバ21が、通信ユニット22を介して、一の車両10及び他の車両10から送信されたそれぞれの識別情報及び現在位置情報を取得し、記憶ユニット23の所定記憶位置に取得した識別情報及び現在位置情報を関連付けて一時的に記憶する。
【0031】
次に、制御センタ20の制御サーバ21は、前記取得して一時的に記憶した一の車両10の現在位置情報によって表される現在位置に対して、前記取得して一時的に記憶した他の車両10の現在位置情報によって表される現在位置が予め設定された所定の距離(例えば、他の車両10のユーザが一の車両10を目視可能な距離)以内であるか否かを判定する。すなわち、制御サーバ21は、一の車両10の現在位置と少なくとも一台の他の車両10の現在位置との間の距離が所定の距離以下となっている状況が生じていれば、一の車両10に搭載されている車体表示部11に所定の画像を表示させる。
【0032】
具体的に、制御サーバ21は、一の車両10の現在位置と他の車両10の現在位置との間の距離が所定の距離以下となっている状況が生じると、記憶ユニット22の所定記憶位置に記憶されている画像(映像)データのうち、例えば、予め他の車両10(詳しくは、ユーザ)に対して提示するように設定されている所定の画像(映像)データを取得する。そして、制御サーバ21は、通信ユニット22を介して、一の車両10の電子制御ユニット12に対し、取得した画像(映像)データとともに車体表示部11に画像(映像)データに基づく表示を行うことを指示する指示情報を送信する。
【0033】
一の車両10においては、電子制御ユニット12が、通信ユニット13を介して、制御センタ20の制御サーバ21から送信された所定の画像(映像)データ及び指示情報を取得し、取得した所定の画像(映像)データ及び指示情報を記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶する。そして、電子制御ユニット12は、取得した指示情報によって表される表示指示に従い、取得した所定の画像(映像)データを車体表示部11上に種々の画像(映像)やメッセージを表示又は再生する。具体的に、電子制御ユニット12は、記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶されている所定の画像(映像)データを取得し、この取得した画像(映像)データを車体表示部11に供給する。これにより、車体表示部11は、図6に概略的に示すように、電子制御ユニット12から供給された画像(映像)データによって表される画像(映像)やメッセージ、すなわち、一の車両10のユーザによって送信された自己情報(所定の要件)に関する画像(映像)やメッセージである「鳥」を車両の外部に存在する他の車両10に向けて表示する。尚、一の車両10の電子制御ユニット12は、前記表示指示に従って車体表示部11に画像(映像)やメッセージを表示させると、画像の表示が完了したことを表す表示完了情報を、通信ユニット13を介して制御センタ20に送信する。
【0034】
続いて、制御センタ20においては、制御サーバ21が、上述したように、一の車両10の電子制御ユニット21によって送信された表示完了情報を通信ユニット22を介して取得すると、他の車両10に対して、一の車両10に画像(映像)やメッセージが表示されていることを報知する報知情報を送信する。これにより、他の車両10においては、電子制御ユニット12が、通信ユニット13を介して、報知情報を取得する。そして、電子制御ユニット12は、車両10の搭載されている図示省略の報知手段(例えば、ディスプレイやスピーカ等)を利用して、他の車両10を利用して移動しているユーザの要件に関連する(或いは、ユーザの要件を連想させる)画像(映像)やメッセージが目視可能な一の車両10の車体表示部11に表示されていることを報知する。従って、他の車両10のユーザは、例えば、見ず知らずの一の車両10が車体表示部11を介して表示している画像(映像)やメッセージを視認することにより、一の車両10のユーザも同一の目的地(軽井沢)に同一の目的(野鳥観察)で移動していることを把握する、すなわち、コミュニケーションを図ることができる。
【0035】
そして、他の車両10のユーザにおいては、一の車両10のユーザと更なるコミュニケーションを図りたいときには、例えば、自身が利用している車両10(他の車両10)の電子制御ユニット12に対して、前記一の車両10(車体表示部11)に表示された画像(映像)やメッセージに応答するための所定の画像(映像)やメッセージを車体表示部11に表示するように指示することができる。これにより、車両10に搭載されている車体表示部11を利用して、極めて容易にコミュニケーションを図ることができる。
【0036】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、一の車両10の外板の外表面上に設けられて車両10の外方に向けて種々の画像(映像)やメッセージを表示する車体表示部11を用いて、コミュニケーションを図りたい他の車両10(他の車両10のユーザ)に対して、一の車両10と他の車両10との間の距離が所定の距離以下となったときに所定の画像(映像)やメッセージを表示してアピールすることができる。すなわち、一の車両10のユーザが登録する所定の要件としての自己情報、具体的に、一の車両10の目的地や一の車両10のユーザの目的と一致する要件に関連付けられた他の車両10のユーザとコミュニケーションを図りたい場合、一の車両10と他の車両10との間の距離が所定の距離以下となったときに、一の車両10に搭載された車体表示部11に所定の要件に関する画像(映像)やメッセージを他の車両10(ユーザ)に向けて表示することができる。これにより、一の車両10と他の車両10とが予め特定されておらず又グループ化されておらず、例えば、一の車両10のユーザと他の車両10のユーザとが見ず知らずであっても、容易にコミュニケーションを図ることができる。
【0037】
ここで、上記実施形態においては、一の車両10に搭載されている車体表示部11に所定の画像(映像)やメッセージ等を表示することによって、他の車両10とコミュニケーションを図るように実施した。この場合、更なるコミュニケーションを図るために、例えば、一の車両10のユーザによって、一の車両10に関する情報(具体的に、識別情報や自己情報、現在位置情報等)の提供が許可された場合、或いは、予め提供が許可されている場合には、制御センタ20の制御サーバ21が他の車両10に対して前記一の車両10に関する情報を送信するように実施することも可能である。これにより、他の車両10においては、ユーザが、電子制御ユニット12に対して、例えば、取得した情報に基づいて一の車両10のユーザと音声による通話を確立させたり、車両10に搭載されているナビゲーション装置のディスプレイ上に一の車両10の現在位置を表示させたりすることが可能である。このように、音声による通話が確立されることによって、他の車両10のユーザは一の車両10のユーザと音声によるコミュニケーションを図ることができる。又、一の車両10の現在位置が表示(提示)されることによって、他の車両10のユーザは位置の車両10の現在位置を容易に把握することができ、その結果、より確実に一の車両10(車体表示部1)に表示される画像(映像)やメッセージを視認することができる。
【0038】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、別途設けた制御センタ20が一の車両10と他の車両10との間の位置関係を把握し、所定の距離以下であるときに一の車両10に画像(映像)データを送信するとともに車体表示部11による表示を指示するように実施した。しかし、車両10(一の車両10)と制御センタ20とを別体として設けることに限定されるものではなく、例えば、一の車両10の電子制御ユニット12が上述した制御センタ20によって発揮される機能を有するように構成して実施可能であることは言うまでもない。このように、車両10(一の車両10)に対して制御センタ20の機能を一体的に設けて実施する場合であっても、制御センタ20の機能が一体的に設けられた車両10(一の車両10)の電子制御ユニット12が上記実施形態の図5に従うことによって、上記実施形態と同様の効果が期待できる。尚、この場合、より具体的には、制御センタ20の機能が一体的に設けられた車両10(一の車両10)の電子制御ユニット12は、別途外部に登録された各車両10(ユーザ)の自己情報を取得するように実施することができる。
【0040】
更に、上記実施形態においては、薄板状とされた周知の自発光型表示パネルや透過光型表示パネル等からなる車体表示部11を車両10の外板の外表面上に設置(貼付)するように実施した。この場合、車両10の外方に位置する観察者に対して見やすい画像(映像)やメッセージを提示可能であれば、如何なるものを採用して車体表示部11を構成し、実施可能であることは言うまでもない。このような車体表示部11としては、例えば、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライトを有する液晶表示パネル等)からなる所謂筐体を有するディスプレイ装置を採用することができる。或いは、上記実施形態においては、車両に車体表示部11を設けて実施したが、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末やノートパソコン等の表示部を3次元的に並べて実施することも可能である。これらの場合においても、図4に示した制御プログラムを実行することによって上記実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
10…車両、11…車体表示部、12…電子制御ユニット、13…通信ユニット、14…記憶ユニット、15…位置検出ユニット、20…制御センタ、21…制御サーバ、22…通信ユニット、23…記憶ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されてこの車両の外方に向けて種々の画像を表示する車体表示部の表示作動を制御する車体表示制御装置であって、
一の車両に関連する所定の要件を満たす関係にある他の車両を抽出し、
前記一の車両の現在位置を取得するとともに、前記抽出した他の車両の現在位置を取得し、
前記一の車両の現在位置に対して前記他の車両の現在位置が所定の距離以内であるときに、前記一の車両に搭載された前記車体表示部に所定の画像を表示させることを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車体表示制御装置において、
ユーザが利用する車両に関連する要件は登録されるものであり、
前記登録された要件のうち、前記一の車両のユーザによって登録されて前記一の車両に関連する前記所定の要件と一致する要件に関連付けられている前記他の車両を検索して、
前記一の車両に関連する前記所定の要件を満たす関係にある前記他の車両を抽出することを特徴とする車体表示制御装置
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した車体表示制御装置において、
前記所定の要件は、
前記一の車両の目的地及び前記一の車両のユーザの目的のうちの少なくとも一方の要件であることを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載した車体表示制御装置において、
前記車体表示部が表示する所定の画像は、
前記所定の要件に関する画像であることを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した車体表示制御装置において、
前記他の車両は、前記一の車両のユーザがコミュニケーションを図りたいユーザが利用する車両であることを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載した車体表示制御装置において、
更に、前記一の車両のユーザと前記他の車両のユーザとの間で音声による通話を確立することを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載した車体表示制御装置において、
更に、前記他の車両の現在位置を前記一の車両のユーザに提示することを特徴とする車体表示制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか一つに記載した車体表示制御装置において、
前記車体表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられたことを特徴とする車体表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−89095(P2013−89095A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230272(P2011−230272)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】