説明

車載システム

【課題】使用燃料が最も少なく、エネルギーコストが良い走行ルートを確実に車両に配信することを課題とする。
【解決手段】センターは、車両の種別に対応付けて、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを記憶するエネルギーコスト記憶DBを有し、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を車両から取得する。そして、センターは、取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、取得された車両の種別に対応付けてエネルギーコスト記憶DBに記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する。その後、車載装置は、算出された総エネルギーコストが最も少ない走行ルートを用いて、車両に走行案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される車載装置と車載装置に接続されるセンターとを有する車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センターが現在発生している事故情報や渋滞情報などを走行している車両に配信し、車両それぞれがカーナビゲーション装置のディスプレイに受信した情報を表示することが行われている。
【0003】
最近では、車両のカーナビゲーション装置から現在位置と目的地とを取得して、最も燃料使用量が少ない走行ルートを探索して車両に通知することも行われている。具体的には、センターは、全国の道路を交差点など一定の区間で区切り、区切った区間ごとに、その区間を走行した車両からその区間で使用した燃料使用量を取得する。そうして、センターは、各区間(各道路)と燃料使用量とを対応付けた燃費データベースを作成する。
【0004】
このようなセンターは、車両から現在位置と目的地とを取得すると、現在位置から目的地に到達する複数の走行ルートを特定する。そして、センターは、燃料使用量データベースを参照して、特定した走行ルートで最も燃料使用量が少ない(加算結果が少ない)走行ルートを車両に通知する。
【0005】
例えば、センターは、「道路、燃料使用量」として「道路A、10L」、「道路B、5L」、「道路C、20L」、「道路D、8L」と記憶しており、道路Aと道路Bとを通る走行ルートXと、道路Cと道路Dとを通る走行ルートYとを特定したとする。この場合、センターは、走行ルートXの燃料使用量として「道路Aの10L+道路Bの5L=15L」と計算し、走行ルートYの燃料使用量として「道路Cの20L+道路Dの8L=28L」と計算する。その結果、センターは、燃料使用量が少ない走行ルートXを車両に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−251698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車に上記した従来の技術を適用した場合、センターから配信される走行ルートが、必ずしもエネルギー使用量が最も少なく、エネルギー使用に係る費用(エネルギーコスト)が少ない走行ルートになるとは限らないという課題があった。これでは、ユーザに対して、有益な情報を提供できず、信頼性の低い製品を提供してしまうという問題が発生する。
【0008】
具体的には、従来技術では、ガソリン車から得られた燃料使用量に基づいて燃費データベースを作成し、その燃料使用量データベースの情報から燃料使用量の少ない走行ルートを探索して車両に配信している。そのため、ガソリン以外をエネルギーとするハイブリット車やプラグインハイブリッド車、電気自動車などにとっては、探索された走行ルートが必ずしもエネルギー使用量(ガソリンまたは、ガソリンと電力、電力のみ)の最も少ない走行ルートではない可能性が高い。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、使用エネルギー量が最も少なく、エネルギー使用に係る費用が少ない走行ルートを確実に車両に配信することが可能である車載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両に搭載される車載装置と前記車載装置に接続されるセンターとを有する車載システムであって、前記車両の種別に対応付けて、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを記憶するコスト記憶手段と、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を前記車両から取得する車両情報取得手段と、前記車両情報取得手段により取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、前記車両情報取得手段により取得された車両の種別に対応付けて前記コスト記憶手段に記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する消費量算出手段と、前記消費量算出手段により算出された総エネルギーコストが最も少ない走行ルートを用いて、前記車両に走行案内を行うルート案内手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用エネルギー量(ガソリンや電力など)が最も少なく、エネルギー使用に係る費用が少ない走行ルートを確実に車両に配信することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る車載システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施例1に係るセンターの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、エネルギーコストDBに記憶される情報の例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に係る車載システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6−1】図6−1は、特異点ごとにエネルギー消費量を送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6−2】図6−2は、特異点ごとにエネルギーコストを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6−3】図6−3は、特異点ごとに平均エネルギーコストを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、車載装置が複数の走行ルートデータから自車両に適した走行ルートを特定してルート案内を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8−1】図8−1は、車両のエネルギー残量(ほぼ満タン)を示す図である。
【図8−2】図8−2は、車両のエネルギー残量(ほぼ空)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車載システムの実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
[車載システムの全体構成]
最初に、図1を用いて、実施例1に係る車載システムの全体構成について説明する。図1は、実施例1に係る車載システムの全体構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、実施例1に係る車載システムは、車両に搭載される車載装置とセンターとが通信により情報を送受信するように構成される。車載装置とセンターとの接続形態としては、コンピュータ装置に利用される無線通信を用いてもよいし、専用の無線通信機器を用いるなど様々な手法を用いることができる。
【0016】
例えば、センターを管理する管理会社から識別子(例えば、車両ID)が割り与えられた無線通信機を車載装置と連携させ、車載装置は、この識別子が割り与えられた無線通信機を用いてセンターと通信するようにすることもできる。このような手法を用いることで、センターでは、無線通信を行った車両(車載装置)を一意に識別することができ、さらには、ユーザ登録を条件に無線通信機を割り与えることで、ユーザ(運転者)の情報も取得することができる。また、センターは、メモリなどに地図情報を格納しておくことで、現在地と目的地とから走行ルートを特定することができる。
【0017】
このような車載システムでは、使用エネルギー量が最も少なく、エネルギー使用に係る費用が少ない走行ルート、すなわち、エネルギーコストが少ない走行ルートを確実に車両に配信することが可能である。具体的には、図1に示すように、車載システムのセンターは、車両の種別に対応付けて、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを記憶するエネルギーコストDBを有する。例えば、センターは、「道路名、道路種別、エネルギーコスト(ガソリン、電気、HV)」として「道路A、一般道路(30Km/時制限)、10、5、6」、「道路B、高速道路(80Km/時制限)、5、11、7」、「道路C、一般道路(50Km/時制限)、7、7、9」などを記憶している。
【0018】
つまり、センターは、「道路A」ではエネルギーとして電気を使った場合が最もコストがよく、「道路B」では、エネルギーとしてガソリンを使った場合が最もコストがよく、「道路C」では、ガソリン又は電気が最もコストがよいことを記憶している。また、ここで記憶されるエネルギーコストは、単なるエネルギー使用量でも良く、ガソリン1Lあたりの料金や電気1Wあたりの電気代などの料金(コスト)であってもよい。なお、エネルギーコストとは、車両が駆動に要するエネルギー(ガソリンや電気など)を使用した場合のコスト(料金)を示している。
【0019】
このような状態において、実施例1に係る車載システムは、使用燃料が最も少なく、エネルギーコストが良い走行ルートを確実に車両に配信できることを、ガソリンをエネルギーとして用いるガソリン車、ガソリンと電気との両方をエネルギーとして用いるHV車(ハイブリッド車)、電気をエネルギーとして用いるEV車(電気自動車)のそれぞれが同じ現在地から同じ目的地までの走行ルートを案内する例を用いて説明する。なお、現在地から目的地までは、図1の(a)に示すように、道路Aを走行した後、道路B又は道路Cを走行することで到達することができる。
【0020】
まず、センターは、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を車両から取得する(図1の(1)参照)。具体的には、センターは、車両がガソリン車なのかHV車なのかEV車なのかを示す車両種別と、カーナビなどに設定されている現在位置と目的地とを車載装置から取得する。
【0021】
そして、センターは、取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、取得された車両の種別に対応付けてエネルギーコストDBに記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する(図1の(2)参照)。
【0022】
上記した例で具体的に説明すると、センターは、ガソリン車については、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路B(5)=15」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路C(7)=17」と算出する。同様に、センターは、HV車については、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(6)+道路B(7)=13」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(6)+道路C(9)=15」と算出する。同様に、センターは、EV車については、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(5)+道路B(11)=16」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(5)+道路C(7)=12」と算出する。
【0023】
その後、センターは、算出された総エネルギーコストが最も少ない走行ルートを車載装置に送信し、車載装置は、受信した走行ルートで車両に走行案内を行う(図1の(3)参照)。上記した例で具体的に説明すると、センターは、ガソリン車については、「総エネルギーコスト=15」である「道路A(10)+道路B(5)」を走行ルートとして決定して車載装置に送信する。同様に、センターは、HV車については、「総エネルギーコスト=13」である「道路A(6)+道路B(7)」を走行ルートとして決定して車載装置に送信する。また、センターは、EV車については、「総エネルギーコスト=12」である「道路A(5)+道路C(7)」を走行ルートとして決定して車載装置に送信する。そして、それぞれの車載装置は、受信した走行ルートで車両に走行案内を行う。
【0024】
このように、実施例1に係る車載システムは、車両の種別など車両が走行に用いるエネルギーごとにエネルギーコストを算出して、最もエネルギーコストが少ない走行ルートを特定することができる。その結果、使用エネルギー量が最も少なく、エネルギー使用に係る費用が少ない走行ルートを確実に車両に配信することが可能である
【0025】
[車載システムの構成]
次に、図2〜図5を用いて、図1に示した車載システムの構成を説明する。ここでは、図1に示した車載システムにおいて車両に搭載される車載装置10の構成と、センター50の構成とのそれぞれについて説明する。
【0026】
(車載装置の構成)
まず、図2を用いて、図1に示した車載システムにおいて車両に搭載される車載装置の構成について説明する。図2は、実施例1に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、車載装置10は、無線通信部11と、ドライブレコーダ12と、GPS受信機13と、VICS(Vehicle Information and Communication System)受信部14と、スピーカー15と、ディスプレイ16と、各種センサ類17と、制御部20とを有する。
【0028】
無線通信部11は、後述する制御部20などに接続され、センター50や他車両の車載装置と無線通信を行う無線通信機やハンズフリーフォン、又は、本願が開示する車載システム専用の通信機などである。例えば、センターを管理する管理会社から識別子(例えば、ID)が割り与えられた無線通信機などを用いてもよく、センター50では、無線通信を行った車両(車載装置)を一意に識別することができる。さらには、ユーザ登録を条件に無線通信機を割り与えることで、ユーザ(運転者)の情報も取得することができる。このような無線通信部11は、制御部20から送信された情報の宛先となる装置(例えば、センター50や他の車載装置など)に送信したり、外部の装置(例えば、センター50や他の車載装置など)から受信した情報を制御部20に出力したりする。
【0029】
ドライブレコーダ12は、制御部20、GPS受信機13、各種センサ類17などに接続され、走行データを取得してメモリなどに格納する。具体的には、ドライブレコーダ12は、車速、加速度、ブレーキ情報、方向指示器など各種センサの情報、車両外部の画像情報、車両の位置情報などを対応付けた走行データを連続して取得し、メモリなどに格納する。
【0030】
GPS受信機13は、GPS(Global Positioning System)人工衛星と通信して特定した自車両の位置情報を取得し、接続されるドライブレコーダ12、制御部20の各機能部などに出力する。
【0031】
VICS受信部14は、VICSセンターにより送信された渋滞情報、所要時間、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報などを受信して、エネルギーコスト算出/送信部21やナビ制御部25に出力する。
【0032】
スピーカー15は、後述するナビ制御部25などに接続され、音声信号を車両内に出力する。具体的には、スピーカー15は、車両内に複数設置され、ナビ制御部25により出力されたルート案内音声を出力したりする。
【0033】
ディスプレイ16は、後述するナビ制御部25などに接続され、タッチパネルや液晶などを有し、ナビ制御部25により出力された地図情報や走行ルート案内を表示する。また、ディスプレイ16は、VICS受信部14により受信された各種情報を表示出力する。
【0034】
各種センサ類17は、アクセル開度を検知するアクセルセンサ、車速を検知する車速センサ、ブレーキ情報を取得するブレーキセンサ、ステアリングの位置を取得するステアリングセンサ、シフトレバーの位置を取得するシフトレバーセンサなど各種センサを有し、各種センサから取得した情報をドライブレコーダ12などに出力する。なお、ここで記載したセンサは、あくまで例示であり、例えば、雨を検知する雨滴センサなど車両に関する情報を取得する様々なセンサを有していてもよい。
【0035】
制御部20は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するためのメモリを有するとともに、特に、エネルギーコスト算出/送信部21と、車両情報取得部22と、車両情報送信部23と、ルート/コスト情報受信部24と、ナビ制御部25と、運転制御部26とを有し、これらによって種々の処理を実行する。
【0036】
エネルギーコスト算出/送信部21は、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを、ドライブレコーダ12が取得した走行データなどに基づいて算出し、「車両種別、道路、エネルギー使用量」をセンター50に送信する。例えば、エネルギーコスト算出/送信部21は、交差点ごとなど予め区切られた道路を走行するのに使用したエネルギー使用量として、「ガソリン車、道路A、ガソリン3L」や「EV車、道路B、電気10W」などをセンター50に送信する。
【0037】
また、例えば、エネルギーコスト算出/送信部21は、当該車両の所在地におけるガソリン料金又は電気料金をセンター50などから取得する。そして、エネルギーコスト算出/送信部21は、交差点ごとなど予め区切られた道路を走行するのに使用したエネルギー使用量とセンター50などから取得した料金とを用いてエネルギーコストを算出し、算出したエネルギーコストをセンター50に送信するようにしてもよい。上記した例で説明すると、エネルギーコスト算出/送信部21は、ガソリン1L=100円、電気1W=50円であった場合、「道路A、ガソリン3L=300(エネルギーコスト)」や「道路B、電気10W=500(エネルギーコスト)」をセンター50に送信する。
【0038】
また、エネルギーコスト算出/送信部21は、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストとして、その区間における平均的な燃費を送信してもよい。上記した例で説明すると、エネルギーコスト算出/送信部21は、道路A=30km、道路B=20kmであった場合、「道路A、距離、燃費(30km/ガソリン3L=10)」や「道路B、距離、燃費(20km/電気10W=2)」をセンター50に送信する。
【0039】
さらに、エネルギーコスト算出/送信部21は、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコスト(使用量)からエアコンなどの使用量を差し引いて、車両が走行のみに使用した使用量を算出してセンター50に送信するようにしてもよい。なお、送信する契機としては、予め区切られた道路を走行するたびに送るようにすることもでき、送信契機は任意に設定することができる。
【0040】
車両情報取得部22は、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を各種制御部から取得する。具体的には、車両情報取得部22は、車載装置10に予め設定されている情報やナビ制御部25、ドライブレコーダ12などから自車両がガソリン車、HV車、EV車のいずれであるかを示す車両種別を取得する。また、車両情報取得部22は、GPS受信機13から自車両の位置情報を取得し、ナビ制御部25から現在位置や目的地を取得する。そして、車両情報取得部22は、取得したこれらの情報を車両情報送信部23に出力する。なお、取得する契機としては、カーナビゲーションの目的地が設定された段階で取得してもよく、目的地が変更された場合に取得してもよく、運転者などユーザ操作によって取得してもよく、取得契機は任意に設定することができる。
【0041】
車両情報送信部23は、自車両がガソリン車、HV車、EV車のいずれであるかを示す車両種別、自車両の位置情報、現在位置や目的地を車両情報取得部22から受信すると、受信したこれらの情報をセンター50に送信する。
【0042】
ルート/コスト情報受信部24は、現在位置から目的地までの走行ルートにおいて総エネルギーコストが最も少ない走行ルートをセンター50から受信する。例えば、ルート/コスト情報受信部24は、「総エネルギーコスト=15」である「道路A(10)+道路B(5)」を通る走行ルートをセンター50から受信した場合、この走行ルートに基づいてルート案内を実行するようにナビ制御部25に指示を出力する。
【0043】
また、例えば、自車両がHV車の場合など、ルート/コスト情報受信部24は、ガソリンのみで走行した場合の最小エネルギーコストと走行ルート、電気のみで走行した場合の最小エネルギーコストと走行ルート、両方を用いた場合の最小エネルギーコストと走行ルートのそれぞれを受信する。そして、ルート/コスト情報受信部24は、残ガソリン量、残電気量、走行ルートの起伏などを考慮し、最も有効な走行ルート(例えば、エネルギー使用量(例えば、ガソリン使用量+電気使用量(回生で使用量が減ることもある)が最も少ない走行ルート)を選択するようにしてもよい。その場合、ルート/コスト情報受信部24は、走行道路において、走行する道路ごとにどのエネルギーを用いればよいかなどのアドバイスを報知したり、使用エネルギーの強制的切替を実行したりする指示をナビ制御部25や運転制御部26に出力する。
【0044】
ナビ制御部25は、高精度な地図情報を有し、ユーザにより設定された目的地と車両の現在位置とに基づいて案内ルートを特定し、ディスプレイ16に画像表示したりスピーカー15から音声出力したりして、ルート案内を実行する。また、ナビ制御部25は、ルート/コスト情報受信部24から受信した上記アドバイス(例えば、道路Aはガソリンが有効です)をディスプレイ16に画像表示したりスピーカー15から音声出力したりする。
【0045】
運転制御部26は、各種センサ類17が有するアクセルセンサ、車速センサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、シフトレバーセンサなどを運転者の位置とは関係なく強制的に操作する。また、運転制御部26は、ルート/コスト情報受信部24から受信した情報に基づいて、各種センサ類17を制御して使用エネルギーの強制的切替を実行する。
【0046】
(センターの構成)
次に、図3を用いて、図1に示した車載システムにおいてセンターの構成について説明する。図3は、実施例1に係るセンターの構成を示すブロック図である。図3に示すように、センター50は、無線通信部51と、エネルギーコストDB52と、制御部53とを有する。
【0047】
無線通信部51は、他のセンターや車両に搭載される車載装置との間で実施される無線通信を制御する。具体的には、無線通信部51は、気象庁のサーバやインターネット上に存在する各種サーバから各地の天気情報やガソリン料金、電気料金などを受信したり、車載装置10からエネルギーコスト情報を受信したりする。また、無線通信部51は、車載装置10に対して、エネルギーコストと走行ルートとが対応付けられたルート情報や、最もエネルギーコストが少ない走行ルートを送信する。
【0048】
エネルギーコストDB52は、車両の種別に対応付けて、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを記憶する。例えば、エネルギーコストDB52は、図4に示すように、「道路名、道路種別、エネルギーコスト(ガソリン、電気、HV)」として「道路A、一般道路(30Km/時制限)、10、5、6」、「道路B、高速道路(80Km/時制限)、5、11、7」、「道路C、一般道路(50Km/時制限)、7、7、9」などを記憶している。
【0049】
つまり、「道路A」ではエネルギーとして電気を使った場合が最もコストがよく、「道路B」では、エネルギーとしてガソリンを使った場合が最もコストがよく、「道路C」では、ガソリン又は電気が最もコストがよいことを記憶している。また、ここで記憶されるエネルギーコストは、単なるエネルギー使用量や燃費でも良く、さらには、ガソリン1Lあたりの料金や電気1Wあたりの電気代などの料金(コスト)であってもよい。なお、図4は、エネルギーコストDBに記憶される情報の例を示す図である。
【0050】
制御部53は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データ、地図情報を格納するための内部メモリを有する。また、制御部53は、エネルギーコスト受信部54と、エネルギーコスト格納部55と、車両情報受信部56と、ルート特定/エネルギーコスト算出部57と、ルート配信部58とを有し、これらによって種々の処理を実行する。
【0051】
エネルギーコスト受信部54は、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストと当該道路とが対応付けられたデータを車載装置10から受信する。例えば、エネルギーコスト受信部54は、「道路名、距離、燃費」、「道路名、距離、エネルギーコスト」、「道路名、距離、エネルギー使用量」などの情報を受信し、後述するエネルギーコスト格納部55に出力する。
【0052】
エネルギーコスト格納部55は、エネルギーコスト受信部54により受信されたエネルギーコストと当該道路とが対応付けられたデータを、エネルギーコストDB52に格納する。具体的には、エネルギーコスト格納部55は、エネルギーコスト受信部54により受信された「道路名、距離、燃費」、「道路名、エネルギーコスト」、「道路名、エネルギー使用量」などの情報を、エネルギーコストDB52に格納されているデータの形式に変換して格納する。
【0053】
例えば、エネルギーコスト格納部55は、エネルギーコストDB52に「道路名、エネルギーコスト」が記憶されている場合に、エネルギーコスト受信部54により「道路名、距離、燃費」や「道路名、エネルギー使用量」などが受信されたとする。この場合、エネルギーコスト格納部55は、無線通信部51により受信されたガソリン料金(100円/L)や電気料金(50円/W)などを用いて、「道路名(道路A)、距離(10km)、燃費(5km/L)」については「道路名(道路A)、エネルギーコスト(10/5×100=200)」に変換する。
【0054】
また、エネルギーコスト格納部55は、「道路名(道路B)、エネルギー使用量(3W)」については「道路名(道路B)、エネルギーコスト(3×50=150)」に変換する。そして、エネルギーコスト格納部55は、変換した「道路名(道路A)、エネルギーコスト(200)」や「道路名(道路B)、エネルギーコスト(150)」をエネルギーコストDB52に格納する。
【0055】
車両情報受信部56は、車両がガソリン車、HV車、EV車のいずれであるかを示す車両種別、車両の位置情報、現在位置や目的地を車載装置10から受信し、後述するルート特定/エネルギーコスト算出部57に出力する。なお、車両情報受信部56は、位置情報や目的地などを受信した際の通信情報(例えば、セッション情報や暗号化情報、無線通信機に割り与えられた識別子)などによって、車載装置10を一意に識別および特定することができる。
【0056】
ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両情報受信部56により受信された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、車両情報受信部56により受信された車両の種別に対応付けてエネルギーコストDB52に記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する。また、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、制御部53の内部メモリなどに記憶される地図情報を参照することで、現在地と目的地とから走行ルートを特定することができる。
【0057】
上記した例で具体的に説明すると、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両がガソリン車である場合には、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路B(5)=15」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路C(7)=17」と算出する。
【0058】
同様に、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両がHV車については、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(6)+道路B(7)=13」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(6)+道路C(9)=15」と算出する。
【0059】
同様に、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両がEV車である場合には、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(5)+道路B(11)=16」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(5)+道路C(7)=12」と算出する。
【0060】
そして、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、このように算出された総エネルギーコストからエネルギーコストが最も少ない走行ルートを特定する。上記した例で説明すると、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、ガソリン車については、「総エネルギーコスト=15」である「道路A(10)+道路B(5)」を走行ルートとして決定する。同様に、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、HV車については、HV車については、「総エネルギーコスト=13」である「道路A(6)+道路B(7)」を走行ルートと決定し、EV車については、「総エネルギーコスト=12」である「道路A(5)+道路C(7)」を走行ルートとして決定する。また、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、このようにして決定した走行ルート、エネルギーコストをルート配信部58に出力する。
【0061】
ルート配信部58は、ルート特定/エネルギーコスト算出部57によって決定された走行ルートと、その走行ルートでのエネルギーコストとを無線通信部51を介して、車両情報受信部56により特定される車載装置10に送信する。
【0062】
なお、ルート配信部58は、ルート特定/エネルギーコスト算出部57によって決定された走行ルートとエネルギーコストとを送信するだけでなく、ルート特定/エネルギーコスト算出部57によって算出された走行ルートとエネルギーコストとの組み合わせ全てを車載装置10に送信するようにしてもよい。
【0063】
[車載システムによる処理]
次に、図5を用いて、車載システムによる処理を説明する。図5は、実施例1に係る車載システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【0064】
図5に示すように、車載装置10の車両情報取得部22は、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を取得し(ステップS101肯定)、車載装置10の車両情報送信部23は、取得された車両情報をセンター50に送信する(ステップS102)。
【0065】
そして、センター50の車両情報受信部56は、車載装置10から車両情報を受信し、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両情報に含まれる現在位置と目的地とに基づいて候補ルートを特定する(ステップS103)。
【0066】
続いて、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、車両情報受信部56により受信された車両情報に含まれる車両種別に対応付けてエネルギーコストDB52に記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する(ステップS104)。さらに、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、算出された総エネルギーコストからエネルギーコストが最も少ない走行ルートを特定して車載装置10に送信する(ステップS105)。
【0067】
そして、車載装置10のルート/コスト情報受信部24は、現在位置から目的地までの走行ルートにおいて総エネルギーコストが最も少ない走行ルートをセンター50から受信し、ナビ制御部25は、ルート/コスト情報受信部24により受信された走行ルートでルート案内を開始する(ステップS106)。
【0068】
その後、車載装置10のナビ制御部25は、自車両が目的地に到着したことを検出すると(ステップS107肯定)、ルート案内を終了する(ステップS108)。一方、自車両が目的地に到着する前に(ステップS107否定)、目的地が変更されたことを検出すると(ステップS109肯定)、車載装置10は、ステップS102に戻って以降の処理を実行する。
【0069】
[実施例1による効果]
このように、実施例1に係る車載システムは、車両の種別など車両が走行に用いるエネルギーごとにエネルギーコストを算出して、最もエネルギーコストが少ない走行ルートを特定することができる。その結果、使用エネルギー量が最も少なく、エネルギー使用に係る費用が少ない走行ルートを確実に車両に配信することが可能である。
【0070】
また、エネルギーコストを車載装置に送信できるので、運転者は、効率的にガソリン補給や充電を行うことができる。普段通らない新規開拓道路であっても、走行データやエネルギーコストを車両から取得してDB化できるので、短期間でのサービス反映が可能である。
【実施例2】
【0071】
ところで、センター50は、車載装置10から受信した走行データやエネルギーコストなどを用いてエネルギーコストDB52を作成しているが、車載装置10は、様々な手法で、これらの情報をセンター50に送信することができる。
【0072】
そこで、実施例2では、図6−1から図6−3を用いて、車載装置が走行データやエネルギーコストをセンター50に送信する手法として、(特異点ごとにエネルギー消費量を送信する手法)、(特異点ごとにエネルギーコストを送信する手法)、(特異点ごとに平均エネルギーコストを送信する手法)のそれぞれについて説明する。
【0073】
(特異点ごとにエネルギー消費量を送信する手法)
まず、図6−1を用いて、特異点ごとにエネルギー消費量を送信する手法について説明する。図6−1は、特異点ごとにエネルギー消費量を送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
図6−1に示すように、車載装置10のエネルギーコスト算出/送信部21は、センター50への送信契機に到達すると(ステップS201肯定)、ドライブレコーダ12が取得した走行データを用いて、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)に当該道路を走行するのに必要としたエネルギー消費量を算出する(ステップS202)。そして、エネルギーコスト算出/送信部21は、前回の送信契機で送信した以降のデータ(道路(特異点)、エネルギー消費量)をセンター50へ送信する(ステップS203)。このようにすることで、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)のエネルギー消費量を送信することができる。
【0075】
(特異点ごとにエネルギーコストを送信する手法)
次に、図6−2を用いて、特異点ごとにエネルギーコストを送信する手法について説明する。図6−2は、特異点ごとにエネルギーコストを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
図6−2に示すように、車載装置10のエネルギーコスト算出/送信部21は、センター50への送信契機に到達すると(ステップS301肯定)、ドライブレコーダ12が取得した走行データや車両の所在地におけるガソリン料金又は電気料金などを用いて、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)に当該道路を走行するのに必要としたエネルギー消費量からエネルギーコスト(料金)を算出する(ステップS302)。そして、エネルギーコスト算出/送信部21は、前回の送信契機で送信した以降のデータ(道路(特異点)、エネルギーコスト)をセンター50へ送信する(ステップS303)。このようにすることで、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)のエネルギーコストを送信することができる。
【0077】
(特異点ごとに平均エネルギーコストを送信する手法)
次に、図6−3を用いて、特異点ごとに平均エネルギーコストを送信する手法について説明する。図6−3は、特異点ごとに平均エネルギーコストを送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
図6−3に示すように、車載装置10のエネルギーコスト算出/送信部21は、センター50への送信契機に到達すると(ステップS401肯定)、ドライブレコーダ12が取得した走行データや車両の所在地におけるガソリン料金又は電気料金などを用いて、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)に当該道路を走行するのに必要としたエネルギー消費量からエネルギーコストを算出する(ステップS402)。
【0079】
続いて、車載装置10のエネルギーコスト算出/送信部21は、今回の契機で算出した道路(特異点)ごとのエネルギーコストと、過去に算出した同じ道路でのエネルギーコストを記憶部などから取得して平均を算出する(ステップS403)。そして、エネルギーコスト算出/送信部21は、算出した道路ごと(特異点ごと)の平均エネルギーコストをセンター50へ送信する(ステップS404)。このようにすることで、所定の区間で区切られた道路ごと(特異点ごと)のエネルギーコストを送信することができる。
【0080】
このようにすることで、例えば、自車両を初心者が運転してエネルギー使用量が多くなったことがあった場合でも、数回の平均エネルギーコストをセンター50に送信するので、より正確なエネルギーコストをセンター50に送信することができる。また、エネルギーコストはエアコンなどにも利用されるので、一年間での平均エネルギーコストをセンター50に送信するようにすることで、季節に関係なく、どのくらいエネルギーが使用されているかを大まかに算出してセンター50に送信することができる。これらの結果、1回のエネルギーコストに限定することなく、道路ごとのエネルギーコストを収集することができるので、使用燃料が最も少なく、エネルギーコストが良い走行ルートを確実に車両に配信できる。
【実施例3】
【0081】
ところで、実施例1では、センター50が、エネルギーコストが最も少ない走行ルートを特定して車載装置10に送信する例について説明したが、本願はこれに限定されるものではない。
【0082】
例えば、センター50が、車載装置から受信した現在地と目的地に基づいて、複数の走行ルートを特定し、特定した複数の走行ルートそれぞれを走行した場合のエネルギーコストを算出する。そして、センター50は、走行ルートとエネルギーコストを対応付けた複数の走行ルートデータを車載装置に送信する。その後、車載装置は、センター50から受信した複数の走行ルートデータから自車両に適した走行ルートを特定してルート案内開始をすることもできる。
【0083】
そこで、実施例3では、図7を用いて、車載装置がセンター50から受信した複数の走行ルートデータから自車両に適した走行ルートを特定してルート案内を行う場合について説明する。図7は、車載装置が複数の走行ルートデータから自車両に適した走行ルートを特定してルート案内を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0084】
図7に示すように、車載装置10の車両情報取得部22は、少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を取得し(ステップS501肯定)、車載装置10の車両情報送信部23は、取得された車両情報をセンター50に送信する(ステップS502)。
【0085】
そして、センター50の車両情報受信部56は、車載装置10から車両情報を受信し、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、車両情報に含まれる現在位置と目的地とに基づいて、複数の候補ルートを特定する(ステップS503)。
【0086】
続いて、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、特定した複数の候補ルートそれぞれについて、走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、車両情報受信部56により受信された車両情報に含まれる車両種別に対応付けてエネルギーコストDB52に記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する(ステップS504)。その後、ルート特定/エネルギーコスト算出部57は、特定した複数の候補ルートそれぞれとエネルギーコストとを対応付けた走行ルートデータを車載装置10に送信する(ステップS505)。
【0087】
そして、車載装置10のルート/コスト情報受信部24は、複数の候補ルートそれぞれとエネルギーコストとを対応付けた走行ルートデータをセンター50から受信し、自車両に適した走行ルートを特定する(ステップS506)。例えば、ルート/コスト情報受信部24は、自車両の種別、残ガソリン量、残電気量、走行ルートの起伏などを考慮して、エネルギー使用量が最も少ない走行ルートなどを特定する。
【0088】
車載装置10のナビ制御部25は、ルート/コスト情報受信部24により特定された走行ルートでルート案内を開始する(ステップS507)。
【0089】
その後、ナビ制御部25は、自車両が目的地に到着したことを検出すると(ステップS508肯定)、ルート案内を終了する(ステップS509)。一方、自車両が目的地に到着する前に(ステップS508否定)、目的地が変更されたことを検出すると(ステップS510肯定)、車載装置10は、ステップS502に戻って以降の処理を実行する。
【0090】
このようにすることで、センター50側の処理負荷を軽減することができるので、より迅速に案内ルートとエネルギーコストとを車載装置10に配信することができる。
【実施例4】
【0091】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)回生量の考慮、(2)排気ガス量の考慮、(3)HV車、プラグインHV車、EV車のガソリン換算、(4)アドバイス、(5)システム構成等、(6)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0092】
(1)回生量の考慮
例えば、本願が開示する車載システムは、ルート配信先がHV車の場合には、車両からエネルギー残量を取得し、単にエネルギーコストが最も低い走行ルートを車両に送信するだけでなく、回生によって充電できることを考慮した走行ルートを送信することもできる。
【0093】
例を挙げると、車両のエネルギー残量が図8−1に示すように、蓄電量が多い(満タン近辺)、充電可能な量が少ない場合には、充電ができない。従って、経路の前半に下り坂の多い走行ルートは避けるような走行ルートを特定する。つまり、電力を消費して充電が可能となった時点で下り坂が混じるような走行ルートを優先的に選択する。一方で、車両のエネルギー残量が図8−2に示すように、蓄電量が少ない場合は、エネルギーコストの低い(ガソリン使用が基本)走行ルートとし、前半で回生が行える(下り坂の多い)走行ルートの方を選択する方が望ましい(ガソリン使用による充電は効率が悪いため)。また、プラグインHVの場合は、家庭での充電が低コストなので、自宅到着時には蓄電量が0になるようにルート決定及びルート案内を行うことが好ましい。
【0094】
また、上記した回生量を考慮したルート選択は、実施例1や2のように、センター10側で実行されていてもよく、実施例3のように、車載装置10側で実行されてもよい。
【0095】
例を挙げると、車載装置は、電力消費量の正(消費)/負(回生)が変化する毎に、走行した道路(各変化間の道路)について電力消費量を検出し、その単位で道路識別データ(始点と終点)と電力消費量のデータ、車種データ等をセンターに送信する。
【0096】
そして、センターは、受信した上記データを統計処理して消費電力道路地図データを生成/蓄積する(表1)。以下の表に示した「道路リンクID」とは、交差点など所定の区間で区切った道路を特定する情報(道路特性データ)であり、「始点ノード位置」とは、道路リンクIDによって特定される道路の開始位置であり、「終点ノード位置」とは、道路リンクIDによって特定される道路の終了位置である。また、「リンク長」とは、始点ノード位置から終点ノード位置までの長さ(距離)を示す情報であり、「基準電力量」とは、道路リンクIDによって特定される道路を走行するのに必要となる電力量であり、回生で電力が得られる場合は「+電力量」で示し、回生で電力が得られない(消費するだけ)場合は「−電力量」で示している。尚、交差点等、道路の端部を示すのがノード(道路位置データ)で、ノード間を結んだ線がリンク(距離や道路の特性を示す道路特性データ)で、ノードは経路探索、描画が適切に行われるように設計者によって設定される。
【0097】
【表1】

【0098】
このように、センターは、車載装置から受信した情報を統計処理して記憶しておくことで、車載装置から「現在地、目的地、蓄電量」などを受信した場合に、上述したように、車両の蓄電量を考慮した適切なルート案内を車両に提供することができる。
【0099】
(2)排気ガス量の考慮
また、例えば、実施例1〜3では、燃費、エネルギー使用量、エネルギーコストなどを用いて、エネルギーコストが最も低い走行ルートを特定して車両に送信する例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0100】
例えば、車載装置10は、道路ごとに、道路を走行したときのアクセル開度などから排気ガス量を算出し、「道路」と「排気ガス量」とを対応付けたデータをセンター50に送信し、センター50は、「道路」と「排気ガス量」との対応付けをデータベース化する。そして、センター50は、車載装置10から車両情報を受信し、車両情報に含まれる現在位置と目的地とに基づいて候補ルートを特定する。続いて、センター50は、特定した走行ルートを走行するのに排出される排気ガス量を用いて算出して、算出された排気ガス量が最も少ない走行ルートを特定して車載装置10に送信する。そうして、車載装置10は、現在位置から目的地までの走行ルートにおいて排気ガス量が最も少ない走行ルートでルート案内を実行する。
【0101】
このようにすることで、使用燃料が最も少なく、エネルギーコストもよく、環境にもやさしい走行ルートを確実に車両に配信できる。
【0102】
(3)HV車、プラグインHV車、EV車のガソリン換算
また、実施例1では、ハイブリッド車(HV車)は、ガソリン又は電気のいずれかを選択することができることを念頭にして説明したが、ガソリン車、HV車、プラグインHV車、EV車それぞれのエネルギーコストを計算する場合に、使用エネルギーを全てガソリンに換算するようにしてもよい。
【0103】
例えば、ガソリン車=係数(1)、HV車=係数(1/2)、プラグインHV車=係数(1/3)、EV車=係数(1/5)などのように、電気を用いた方がよりエネルギーコストが良いように、係数を割り与える。センター50は、車載装置10から取得した現在位置と目的地とに基づいて走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、車両の種別に対応付けてエネルギーコストDB52に記憶される道路ごとのガソリンのエネルギーコストと車両の種別の係数とを用いて算出する。
【0104】
実施例1に示した例で説明すると、車両がプラグインHV車である場合には、センター50は、道路A+道路Bで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路B(5)=15、係数を考慮して15×1/3=5」と算出し、道路A+道路Cで目的地まで行く走行ルートの「総エネルギーコスト」を「道路A(10)+道路C(7)=17、係数を考慮して17×1/3=5.67」と算出する。そして、センター50は、エネルギーコストが少ない「道路A+道路B」の走行ルートを車載装置10に送信する。
【0105】
(4)アドバイス
また、本願が開示する車載システムは、走行する道路ごとにどのエネルギーを用いればよいかなどのアドバイスを報知したり、使用エネルギーをより削減できるように、使用するエネルギーを強制的に切替えたりすることもできる。また、本願が開示する車載システムは、走行ルートにおいて、最もエネルギーコストが低くなるようなシフトレバーの操作をアドバイスしたり、強制的に切替えるようにしてもよい。
【0106】
(5)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図3など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0107】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、車両情報取得部22と車両情報送信部23とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0108】
(6)プログラム
なお、本実施例で説明した案内ルート送信方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明に係る車載システムは、車両に搭載される車載装置と車載装置に接続されるセンターとを有する車載システムに有用であり、特に、使用燃料が最も少なく、エネルギーコストが良い走行ルートを確実に車両に配信することに適する。
【符号の説明】
【0110】
10 車載装置
11 無線通信部
12 ドライブレコーダ
13 GPS受信機
14 VICS受信部
15 スピーカー
16 ディスプレイ
17 各種センサ類
20 制御部
21 エネルギーコスト算出/送信部
22 車両情報取得部
23 車両情報送信部
24 ルート/コスト情報受信部
25 ナビ制御部
26 運転制御部
50 センター
51 無線通信部
52 エネルギーコストDB
53 制御部
54 エネルギーコスト受信部
55 エネルギーコスト格納部
56 車両情報受信部
57 ルート特定/エネルギーコスト算出部
58 ルート配信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置と前記車載装置に接続されるセンターとを有する車載システムであって、
前記車両の種別に対応付けて、所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行するのに必要とするエネルギーコストを記憶するコスト記憶手段と、
少なくとも車両の種別、現在位置、目的地を含む車両情報を前記車両から取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段により取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを、前記車両情報取得手段により取得された車両の種別に対応付けて前記コスト記憶手段に記憶される道路ごとのエネルギーコストを用いて算出する消費量算出手段と、
前記消費量算出手段により算出された総エネルギーコストが最も少ない走行ルートを用いて、前記車両に走行案内を行うルート案内手段と、
を有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
前記コスト記憶手段は、ガソリンをエネルギーとして使用した場合のエネルギーコストを記憶するものであって、
前記消費量算出手段は、前記車両が電気をエネルギーとして使用する場合には、前記コスト記憶手段に記憶される道路ごとのエネルギーコストに、前記車両の種別によって予め定めた所定係数を乗算し、前記車両情報取得手段により取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを走行するのに必要となる総エネルギーコストを算出することを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
【請求項3】
前記車両は電気をエネルギーとして使用する車両であって、
前記ルート案内手段は、前記車両の電気蓄電量が多い場合には、前記消費量算出手段により算出された総エネルギーコストが最も少ない走行ルートを用いて、前記車両に走行案内を行い、前記車両の電気蓄電量が少ない場合には、前記消費量算出手段により特定された走行ルートのうち、下り坂道の距離が長い走行ルートを用いて、前記車両に走行案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
【請求項4】
前記コスト記憶手段は、前記エネルギーコストの他に、前記所定の区間で区切られた道路ごとに当該道路を走行した場合の排気ガス量を記憶するものであって、
前記消費量算出手段は、前記車両情報取得手段により取得された現在位置から目的地に到達する走行ルートを特定し、特定した走行ルートを走行するのに必要となる総排気ガス量を、前記車両情報取得手段により取得された車両の種別に対応付けて前記コスト記憶手段に記憶される道路ごとの排気ガス量を用いて算出することを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
【請求項5】
前記ルート案内手段によって走行案内が行われているルート上で、よりエネルギーコストが低くなるような走行手段をアドバイス、又は、よりエネルギーコストが低くなるような走行手段に強制的に切替える運転制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載システム。
【請求項6】
前記所定の区間で区切られた道路ごとに、当該道路の距離、使用されたエネルギー量および車両の種別を所定の間隔で前記車両から取得し、取得された道路の距離と使用したエネルギー量とから前記エネルギーコストを算出し、取得された車両の種別と道路とに対応付けて前記コスト記憶手段に格納するコスト格納手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車載システム。
【請求項7】
前記所定の区間で区切られた道路ごとに、使用されたエネルギーコストおよび車両の種別を所定の間隔で前記車両から取得し、取得された車両の種別と道路とエネルギーコストとを対応付けて前記コスト記憶手段に格納するコスト格納手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車載システム。
【請求項8】
前記コスト格納手段は、前記所定の区間で区切られた道路ごとに、前記車両の種別と道路とエネルギーコストとを複数の車両から取得した場合、又は、前記道路のエネルギーコストを過去に取得していた場合、エネルギーコストの平均を算出し、前記車両の種別と道路と平均エネルギーコストとを対応付けて前記コスト記憶手段に格納することを特徴とする請求項7に記載の車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2010−237182(P2010−237182A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88466(P2009−88466)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】