説明

車載地図表示装置

【課題】推奨経路に従って走行している車両においても使いやすいように、不要な部分を覆い隠して地図を表示する。
【解決手段】推奨経路22の部分と、推奨経路22における誘導交差点の周囲とを強調範囲に設定し、その強調範囲を除いた部分の地図をマスク表示する。これにより、強調範囲では地図が明るくはっきりと見えるが、強調範囲から離れるに従って徐々に地図が黒いマスクで覆われて見えなくなるような地図画面を表示する。さらに、設定された強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばナビゲーション装置など、車両に搭載されて地図を表示する車載地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の位置を中心に円形または扇形の範囲を設定し、その設定範囲以外の部分を覆い隠して車両周辺の地図を表示する地図表示装置が知られている(特許文献1参照)。このように、不要な部分を覆い隠して地図を表示することで、車両から地図上の各地点までの距離感をユーザが容易に把握できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−317417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される地図表示装置では、車両の位置を中心とする範囲において地図が表示され、それ以外の部分では地図が覆い隠される。そのため、目的地までの推奨経路が設定されており、その推奨経路に従って車両が走行している場合は、推奨経路を地図上で十分に確認することができない。このように、不要な部分を覆い隠して地図を表示する従来の地図表示装置では、推奨経路に従って走行している車両において使いやすい地図を表示することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、地図を表示モニタに表示する地図表示手段と、その地図において車両が走行すべき推奨経路の周囲に所定の強調範囲を設定する強調範囲設定手段と、強調範囲設定手段により設定された強調範囲を除いて、地図を覆い隠すためのマスクを表示モニタに表示するマスキング手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載地図表示装置において、強調範囲設定手段は、さらに推奨経路において車両が曲がるべき誘導交差点の周囲にも強調範囲を設定するものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の車載地図表示装置において、強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更する強調範囲変更手段をさらに備えるものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3いずれか一項の車載地図表示装置において、マスクの有無に関わらず、ユーザが指定した施設種類についての施設アイコンを地図上に同じ表示形態で表示する施設アイコン表示手段をさらに備えるものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、マスキング手段は、マスクの表示形態を時間帯に応じて変化させることとするものである。
請求項6の発明は、請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、マスキング手段は、予め定められた特定の時間帯にのみマスクを表示することとするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、推奨経路に従って走行している車両においても使いやすいように、不要な部分を覆い隠して地図を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、ユーザによって目的地が設定されると、目的地までの推奨経路を探索し、その推奨経路を地図上に表示する。そして、地図上に表示された推奨経路にしたがって車両を目的地まで誘導する。このとき、通常の地図表示を行う通常地図表示モードと、不要な部分を覆い隠して地図表示を行うフォーカス地図表示モードのいずれかをユーザが選択できるようにしたものである。
【0008】
図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を備えている。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11により、DVD−ROM19に記録された地図データに基づいて、たとえば地図の表示や、目的地の設定、設定された目的地までの推奨経路の探索など、様々な処理が行われる。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置マークを地図上に示したりすることができる。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、後述するような各種の地図画面などが表示モニタ16に表示される。
【0012】
表示モニタ16にはタッチパネル16aが組み合わされており、ユーザの指などによって表示モニタ16上のいずれかの位置がタッチされると、そのタッチ位置を示す情報がタッチパネル16aから制御回路11へ出力される。このタッチ位置情報に基づいて、そのとき表示モニタ16に表示されていた画像のどの部分がタッチされたか制御回路11によって判断される。ナビゲーション装置1は、このようにしてタッチパネル16aによりユーザからのタッチパネル操作を検出し、そのタッチパネル操作の内容を制御回路11により判断することで、様々な処理を実行することができる。
【0013】
入力装置17は、車両の目的地や経由地をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有しており、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、入力装置17を操作して、住所や電話番号、施設名称を入力したり、地図上の特定の地点を指定したり、予め登録された登録地のいずれかを選択したりすることにより、目的地を設定することができる。
【0014】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より、地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状を表す。背景データは、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す。
【0015】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。
【0016】
なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスク、メモリーカードなどから地図データを読み出すこととしてもよい。あるいは、外部より携帯電話回線などを介して送信される地図データを受信し、その地図データを用いることとしてもよい。すなわち、地図データの取得にはどのような方法を用いてもよい。
【0017】
ユーザに目的地が設定されると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。このルート探索により、車両が走行すべき推奨経路が求められる。こうして求められた推奨経路は、前述の通常地図表示モードでは、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。もう一方のフォーカス地図表示モードでは、さらに推奨経路の周囲以外の部分が覆い隠されて地図が表示される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。
【0018】
上記のようにして推奨経路が探索されて地図上に表示されると、その推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向の指示を行う。これにより、自車両を目的地まで誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0019】
次に、ナビゲーション装置1において表示される地図について具体的に説明する。ナビゲーション装置1は前述のように、通常地図表示モードとフォーカス地図表示モードのいずれかをユーザが選択できるようになっている。なお、これらの地図表示モードの選択は、ユーザがタッチパネル16aや入力装置17を用いて所定の操作をナビゲーション装置1に対して入力することによって行われる。
【0020】
通常地図表示モードが選択された場合は、図2に示すような地図画面が表示モニタ16において表示される。この地図画面では、表示モニタ16の表示領域の全体に地図が表示されている。なお、符号20に示す自車位置マークは、自車両の位置を表している。このように通常地図表示モードでは、地図が覆い隠されることなく表示される。
【0021】
一方、フォーカス地図表示モードが選択された場合は、図3に示すような地図画面が表示モニタ16において表示される。この地図画面では、自車位置マーク20の付近では地図が明るくはっきりと見えるが、自車位置マーク20から離れると、それに従って徐々に地図が黒いマスクにより覆われて見えなくなる。なお、ここでいうマスクとは、地図の不要な部分を覆い隠すために地図に重畳して表示されるものである。これにより、図3の地図画面において、マスク表示されていない自車両を中心とする所定の範囲にフォーカスを合わせて地図を強調表示したような視覚効果が生じている。
【0022】
フォーカス地図表示モードでは、以上説明したような地図画面が表示モニタ16において表示される。以降の説明では、フォーカス地図表示モードにおいてマスク表示されずに明るく強調表示される地図範囲のことを、強調範囲と称する。また、強調範囲を除いた地図範囲、すなわちマスク表示される地図範囲のことを、マスク範囲と称する。
【0023】
なお、図3は、推奨経路が設定されていない場合にフォーカス地図表示モードにおいて表示される地図画面の例を示している。目的地が設定されており、その目的地までの推奨経路が設定されている場合には、図3とは異なる地図画面が表示される。その場合の具体的な地図画面の内容については、後で詳しく説明する。
【0024】
図3の地図画面では、コンビニエンスストアの所在位置に対応して、店舗の種類ごとに形態の異なる様々な施設アイコンが地図上に表示されている。この施設アイコンは、図3の地図画面において示されるように、前述のマスクの有無に関わらず、強調範囲とマスク範囲のいずれにおいても同じ表示形態で表示されている。なお、施設アイコンを表示する施設種類はコンビニエンスストアに限らず、ユーザが任意に指定することができる。すなわちユーザは、コンビニエンスストア以外にも、たとえばレストランやガソリンスタンドなどの様々な施設種類について、施設アイコンを表示するように指定することができる。こうしてユーザが指定した施設種類について、強調範囲とマスク範囲において同じ表示形態の施設アイコンが地図上に表示される。これにより、ユーザが必要とする地図情報については、マスク範囲においても目立つように地図上に表示される。
【0025】
なお、フォーカス地図表示モードのときに表示される地図画面において、マスク表示されない強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更することができる。これを図4、5および6の地図画面例により説明する。図4は、強調範囲を小さくしたときの地図画面例を示している。この地図画面では、画面下部に表示されたスライダ21がその移動可能範囲の左端付近に位置している。このときスライダ21の位置は、ユーザのタッチパネル操作に応じて移動可能である。
【0026】
図4の地図画面においてユーザがスライダ21を右方向へ移動させると、強調範囲が中程度の大きさとなり、図5のような地図画面が表示モニタ16において表示される。さらにスライダ21を右方向へ移動させて強調範囲を大きくすると、図6のような地図画面が表示モニタ16において表示される。このように、ユーザがスライダ21を右方向へ移動させるほど、それに応じて強調範囲が大きくなり、反対にユーザがスライダ21を左方向へ移動させるほど、それに応じて強調範囲が小さくなることが分かる。こうして強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更することにより、ユーザは自分にとって見やすいように強調範囲の大きさを自由に変更することができる。
【0027】
なお、以上説明した図3〜6の地図画面は、いずれも推奨経路が設定されていない場合にフォーカス地図表示モードにおいて表示される地図画面の例である。次に、推奨経路が設定されている場合にフォーカス地図表示モードにおいて表示される地図画面について説明する。
【0028】
推奨経路が設定されている場合にフォーカス地図表示モードが選択されると、図7に示すような地図画面が表示モニタ16において表示される。この地図画面において強調表示されている符号22に示す線は、前述のようなルート探索によって出発地から目的地までの間に設定された推奨経路を表している。このように目的地までの推奨経路が設定されている場合には、自車両の周囲ではなく、推奨経路の部分が強調範囲として設定される。
【0029】
なお、図7の地図画面では推奨経路の部分を強調表示している例を示しているが、推奨経路の部分に限らず、推奨経路を含む所定の範囲を強調範囲に設定することもできる。さらにこのとき、図4〜6において説明したのと同様の方法により、その強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更することとしてもよい。
【0030】
また図7の地図画面では、推奨経路の部分だけでなく、推奨経路における誘導交差点の周囲にも強調範囲が設定されており、その範囲の地図が強調表示されている。なお、ここでいう誘導交差点とは、推奨経路に従って自車両が走行するときに自車両が曲がるべき交差点のことである。さらに、誘導交差点名称やその交差点までの距離、曲がる方向などをその交差点を指し示しているような事がわかる表示をする。このように、推奨経路と誘導交差点の周囲を強調範囲に設定し、それ以外の部分をマスク範囲に設定してマスク表示することにより、車両が推奨経路に従って走行する際にユーザにとって分かりやすい地図情報を提供している。
【0031】
なお、目的地までの推奨経路が設定されている場合であっても、誘導交差点が地図画面の範囲内にない場合は、図8に示すように、推奨経路の部分のみが強調表示されている地図画面が表示される。この図8の地図画面では、符号23に示すような音楽再生パネルが地図の左側に表示されている。この音楽再生パネルには、再生中の音楽のCDジャケット画像などが表示される。なお、音楽再生パネルの表示の有無は、ユーザの操作に応じて切り替えることができる。音楽再生パネルは一例であり、この他ユーザの好みに応じて表示したい項目を変える事が可能である。
【0032】
次に、立体的に表示した地図画面においてフォーカス地図表示モードを選択した場合の例を図9に示す。この地図画面では、地図が全体的にマスクされており、通常よりもトーンダウンされた立体地図が表示されている。さらにこの地図画面では、自車両の進行方向における方面案内看板と各レーンの進行方向の情報が符号24に示すように表示される。なお、方面案内看板とは、交差点において進行方向ごとの行き先を車両の運転者に知らせるための案内板であり、交差点前方の道路上方など交差点の付近に設置されているものである。
【0033】
図9の地図画面では、ユーザが進行方向を判断する際の手助けとなるように、方面案内看板に表された地域について、観光施設などに関する付加情報を合わせて表示することとしてもよい。図9の地図画面では、方面案内看板に表された地域のうち「小田原」についての付加情報として、代表的な観光施設である「小田原城」の写真を符号25に示すように表示した例を示している。なお、このような観光施設の写真以外にも、たとえばその地域のお勧め店や名物料理の紹介など、様々な付加情報を提供することができる。
【0034】
ところで、以上説明したフォーカス地図表示モードでは、マスクの表示形態が時間帯に応じて変化する。この点について、以下に説明する。
【0035】
前述の図3〜9の地図画面では、いずれも夜の時間帯において表示される地図画面の例を示していた。これに対して昼間の時間帯では、図10および11に示すような地図画面が表示される。図10の地図画面は、推奨経路が設定されていない場合にフォーカス地図表示モードにおいて表示される地図画面の例を示している。この地図画面では、図3の地図画面と比べて全体的に明るい色合いのマスクで地図が覆い隠されている。また、図11の地図画面は、推奨経路が設定されている場合にフォーカス地図表示モードにおいて表示される地図画面の例を示している。この地図画面も同様に、図7の地図画面と比べて全体的に明るい色合いのマスクで地図が覆い隠されている。
【0036】
以上説明したように、マスクの表示形態を時間帯に応じて変化させることにより、車両から見た実際の周囲の明るさを模擬した地図画面を表示することができる。その結果、ユーザにとって一層見やすい地図画面とすることができる。なお上記の説明では、昼間と夜間でマスクの表示形態を2種類に変化させる例を説明したが、さらに細かく表示形態を変化させるようにしてもよい。たとえば、朝、昼間、夕方および夜の時間帯で、それぞれ異なる4種類の表示形態のマスクを使い分けるようにしてもよい。または、時間とは無関係に、ユーザの好みに応じて、予め用意されたマスク色を設定してもよい。
【0037】
あるいは、予め定められた特定の時間帯においてのみ、マスクを表示することとしてもよい。たとえば、昼間の時間帯では、マスク表示をせずに図2に示すような通常の地図画面を表示する。しかし、夜間になると自動的にフォーカス地図表示モードを選択することで、強調範囲以外の部分にマスク表示を行って図3に示すような地図画面を表示する。このようにしても、車両から見た実際の周囲の明るさを模擬した地図画面を表示することができる。
【0038】
以上説明したような地図画面を表示するときに制御回路11において実行されるフローチャートを図12および13に示す。図12のステップS10では、地図画面の表示を行う。これにより、図2のようなマスク表示されていない通常の地図が表示モニタ16に表示される。次のステップS20では、ステップS10で表示した地図画面上に、ユーザが指定した施設種類について施設アイコンの表示を行う。この施設アイコンは、前述のようにマスクの有無に関わらず同じ表示形態で地図上に表示される。
【0039】
ステップS30では、フォーカス地図表示モードがユーザの操作によって選択されたか否かを判定する。フォーカス地図表示モードが選択されるまではステップS30に留まり、通常の地図画面の表示を続ける。フォーカス地図表示モードが選択されると次のステップS40へ進む。
【0040】
ステップS40では、現在の時間帯が昼間と夜間のどちらであるか判定する。昼間である場合はステップS50へ進み、ステップS50において昼間用のマスク色を選択する。一方、夜間である場合はステップS60へ進み、ステップS60において夜間用のマスク色を選択する。ここで選択された昼間用または夜間用いずれかのマスク色により、後で説明するステップS80およびS170においてマスクの表示が行われる。ステップS50またはS60を実行したら、ステップS70へ進む。
【0041】
ステップS70では、現在表示している地図が立体地図であるか否かを判定する。立体地図である場合はステップS80へ進み、立体地図でない場合は図13のステップS120へ進む。以下、ステップS80へ進んだ場合から先に説明する。
【0042】
ステップS80へ進んだ場合、ステップS80では、表示中の立体地図に対して、その地図全体を覆い隠すマスクを表示モニタ16に表示する。このとき、ステップS50またはS60のいずれかで選択された昼間用または夜間用のマスク色が用いられる。次のステップS90では、自車両の進行方向における方面案内看板、レーン進行方向および付加情報を表示する。これにより、図9のような地図画面が表示される。
【0043】
ステップS100では、音楽再生中であるか否かを判定する。音楽再生中である場合はステップS110へ進み、ステップS110において、図8の符号23に示したような音楽再生パネルを表示する。この音楽再生パネルは、図9のような立体的な地図画面において地図の左側に表示される。なお、このときユーザの操作に応じて音楽再生パネルを表示するか否かを切り替えるようにしてもよい。ステップS110を実行したら、ステップS40へ戻る。一方、ステップS100において音楽再生中ではないと判定した場合は、ステップS110を実行せずにステップS40へ戻る。
【0044】
次にステップS70から図13のステップS120へ進んだ場合について説明する。ステップS120では、推奨経路が設定されているか否かを判定する。目的地まで推奨経路が設定されている場合はステップS130へ進み、推奨経路が設定されていない場合はステップS160へ進む。
【0045】
ステップS120からステップS130へ進んだ場合、ステップS130では、設定されている推奨経路の周囲に強調範囲を設定する。次のステップS140では、現在表示されている地図の範囲内に誘導交差点があるか否かを判定する。地図範囲内に誘導交差点がある場合はステップS150へ進み、ステップS150において、その誘導交差点の周囲に強調範囲を設定する。ステップS150を実行したらステップS170へ進む。一方、地図範囲内に誘導交差点がない場合は、ステップS150を実行せずにステップS170へ進む。
【0046】
また、ステップS120からステップS160へ進んだ場合、ステップS160では、自車位置の範囲に強調範囲を設定する。ステップS160を実行したらステップS170へ進む。
【0047】
ステップS170では、ステップS130、S150またはS160において設定された強調範囲を除いて、表示している地図を覆い隠すためのマスクを表示モニタ16に表示する。このとき、ステップS50またはS60のいずれかで選択された昼間用または夜間用のマスク色が用いられる。これにより、ステップS160において自車位置の範囲に強調範囲が設定された場合は、夜間であれば図3のような地図画面が表示され、昼間であれば図10のような地図画面が表示される。また、ステップS130およびS150において推奨経路と誘導交差点の周囲に強調範囲が設定された場合は、夜間であれば図7のような地図画面が表示され、昼間であれば図11のような地図画面が表示される。ステップS130において推奨経路の周囲にのみ強調範囲が設定された場合は、夜間であれば図8のような地図画面が表示される。
【0048】
ステップS180では、強調範囲の大きさを変更するか否かを判定する。ユーザが所定の操作を行うことによって強調範囲の大きさを変更するようナビゲーション装置1に対して指示した場合は、ステップS190へ進む。一方、ステップS180において強調範囲の大きさを変更しないと判定した場合は、ステップS190〜S220の処理を実行せずにステップS230へ進む。
【0049】
ステップS190では、図4に示すようなスライダ21を表示モニタ16において画面の下部に表示する。このスライダ21は、前述のようにユーザの操作に応じて左右に移動される。次のステップS200では、ステップS190で表示したスライダ21の位置を検出する。その次のステップS210では、ステップS200で検出したスライダ位置に応じて、ステップS130、S150またはS160において設定された強調範囲の大きさを変更する。このとき図4〜6で説明したように、スライダ21の位置が右側にあるほど強調範囲が大きくなるようにする。これにより、強調範囲の大きさがユーザの操作に応じて変更される。
【0050】
ステップS220では、強調範囲の大きさの変更を終了するか否かを判定する。ユーザが所定の操作を行うことによって強調範囲の大きさの変更を終了するようナビゲーション装置1に対して指示した場合は、ステップS230へ進む。一方、このような指示をユーザが行っておらず、強調範囲の大きさの変更を続ける場合は、ステップS190へ戻って上記のような処理を繰り返す。
【0051】
ステップS230では、音楽再生中であるか否かを判定する。音楽再生中である場合はステップS240へ進み、ステップS240において、図8の符号23に示したような音楽再生パネルを地図の左側に表示する。なお、このときユーザの操作に応じて音楽再生パネルを表示するか否かを切り替えるようにしてもよい。ステップS240を実行したら、図12のステップS40へ戻る。一方、ステップS230において音楽再生中ではないと判定した場合は、ステップS240を実行せずにステップS40へ戻る。
【0052】
以上説明したような処理が実行されることにより、図2〜11に示したような様々な地図画面が表示モニタ16において表示される。
【0053】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)地図を表示モニタ16に表示し(ステップS10)、その地図において車両が走行すべき推奨経路の周囲に強調範囲を設定する(ステップS130)。こうして設定された強調範囲を除いて、地図を覆い隠すためのマスクを表示モニタ16に表示する(ステップS170)こととした。このようにしたので、推奨経路に従って走行している車両においても使いやすいように、不要な部分を覆い隠して地図を表示することができる。
【0054】
(2)さらに、推奨経路における誘導交差点の周囲にも強調範囲を設定する(ステップS150)こととしたので、車両が推奨経路に従って走行する際に、ユーザにとってより一層分かりやすい地図を提供することができる。
【0055】
(3)強調範囲の大きさを変更する場合、ユーザの操作に応じて移動可能なスライダ21を画面上に表示し(ステップS190)、そのスライダ21の位置を検出する(ステップS200)。こうして検出されたスライダ21の位置に応じて強調範囲の大きさを変更する(ステップS210)ことにより、強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更することとした。このようにしたので、ユーザは自分にとって見やすいように強調範囲の大きさを自由に変更することができる。
【0056】
(4)マスクの有無に関わらず、ユーザが指定した施設種類についての施設アイコンを、地図上に同じ表示形態で表示する(ステップS20)こととした。このようにしたので、ユーザが必要とする地図情報については、マスク表示される範囲においても目立つように地図上に表示することができる。
【0057】
(5)昼間と夜間のどちらであるかを判定し(ステップS40)、その判定結果に応じて昼間用または夜間用のマスク色を選択する(ステップS50、S60)。これにより、ステップS80またはS170においてマスクを表示する際に、そのマスクの表示形態を時間帯に応じて変化させることとした。このようにしたので、車両から見た実際の周囲の明るさを模擬した地図画面を表示することができる。その結果、ユーザにとって一層見やすい地図画面とすることができる。
【0058】
(6)あるいは、予め定められた特定の時間帯においてマスクを表示することとしてもよい。このようにしても、車両から見た実際の周囲の明るさを模擬した地図画面を表示することができるため、ユーザにとって一層見やすい地図画面とすることができる。
【0059】
なお、上記に説明したような地図の表示方法は、車両用のナビゲーション装置以外にも、地図を表示する様々な車載装置について適用可能である。すなわち本発明は、不要な部分を覆い隠して地図を表示する各種の車載地図表示装置について適用することができる。
【0060】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0061】
上記の実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を制御回路11の処理によってそれぞれ実現することとした。具体的には、地図表示手段をステップS10、強調範囲設定手段をステップS130またはS150、マスキング手段をステップS170、強調範囲変更手段をステップS210、施設アイコン表示手段をステップS20によってそれぞれ実現している。しかし、これはあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】通常の地図画面の例である。
【図3】推奨経路が設定されていない場合に不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図4】不要な部分をマスクした地図画面において強調範囲を小さくしたときの例である。
【図5】不要な部分をマスクした地図画面において強調範囲を中程度の大きさとしたときの例である。
【図6】不要な部分をマスクした地図画面において強調範囲大きくしたときの例である。
【図7】推奨経路が設定されている場合に不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図8】誘導交差点が地図画面の範囲内にない場合に不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図9】立体的に表示した地図画面において不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図10】昼間の時間帯において、推奨経路が設定されていない場合に不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図11】昼間の時間帯において、推奨経路が設定されている場合に不要な部分をマスクした地図画面の例である。
【図12】地図画面を表示するときのフローチャートである。
【図13】図12と同じく地図画面を表示するときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示モニタに表示する地図表示手段と、
前記地図において車両が走行すべき推奨経路の周囲に強調範囲を設定する強調範囲設定手段と、
前記強調範囲設定手段により設定された強調範囲を除いて、前記地図を覆い隠すためのマスクを前記表示モニタに表示するマスキング手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1の車載地図表示装置において、
前記強調範囲設定手段は、さらに前記推奨経路において車両が曲がるべき誘導交差点の周囲にも強調範囲を設定することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2の車載地図表示装置において、
前記強調範囲の大きさをユーザの操作に応じて変更する強調範囲変更手段をさらに備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記マスクの有無に関わらず、ユーザが指定した施設種類についての施設アイコンを前記地図上に同じ表示形態で表示する施設アイコン表示手段をさらに備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記マスキング手段は、前記マスクの表示形態を時間帯に応じて変化させることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記マスキング手段は、予め定められた特定の時間帯にのみ前記マスクを表示することを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−51538(P2008−51538A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225421(P2006−225421)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】