説明

車載情報端末システム、移動局通信装置、およびカーナビゲーション装置

【課題】認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムを提供することにある。
【解決手段】狭域無線通信手段を介して基地局側装置が送信する配信情報を受信し、再生出力する配信情報処理手段を備えた車載情報端末システムにおいて、基地局の正当性を確認あるいは受信した配信情報の正当性を確認するための認証処理手段と、車両の走行速度を検出する車両状態判別手段を備え、前記配信情報処理手段は、前記認証処理手段にて正当性が確認された場合に、前記配信情報を再生出力し、また前記認証処理手段にて正当性が確認されない場合には、前記車両状態判別手段にて車両が予め定められた所定の速度以下である場合に、前記配信情報を再生出力するよう動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置された車載装置と路上に設置された基地局装置との間で無線通信を行う狭域通信システム、または、基地局装置から配信された情報を車載装置にて表示等の出力を行なう車載情報端末システムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、路上に設置された基地局装置と、車両に搭載された車載情報端末装置との間で無線通信により高速道路等の有料道路における料金支払いを自動的に行う自動料金支払いシステム(以下ETC:Electronic Toll Collection System と呼ぶ)が運用されている。上記ETCシステムでは比較的通信領域が限定された狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)と呼ばれる通信方式を用いて、有料道路の入口及び出口において入場履歴や料金支払いに関する情報のやり取りを行うことにより、ノンストップで料金所を通過できるサービスを実現している。
【0003】
このETCで用いられている狭域通信を用いて、走行中の車両に対して事故・渋滞等の交通情報等の車両の安全な走行に関係する情報を配信するシステムが、例えば特許文献1にて開示されている。
【0004】
また、狭域通信を用いて車載情報端末に対して利用者の利便性を向上させるための各種情報、例えば駐車場または商業施設等での施設に関する情報の提供や、あるいは広告情報を配信し表示させるシステムが、例えば特許文献2にて開示さされている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−264548号公報
【特許文献2】特開2002−269607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術によれば、例えば上記特許文献1の場合には、配信される情報が走行中の車両の安全に係る情報であるため、配信元の基地局側の装置が正当なものであること、或いは情報内容の正当性を確かめた上で、車載情報端末にて情報を表示することが望ましい。そのため情報の正当性を認証する等のセキュリティの仕組みを組み込むことが提案されている。
【0007】
一方、上記特許文献2の場合のように、広告配信等の車両走行の安全とは直接関係しない情報を提供する場合には、情報配信の際のセキュリティ対策が必ずしも必要ではなく、基地局側装置のシステムの複雑化や設備コストの上昇を招かない為には、セキュリティ対策を講じなくとも情報の配信を行なえる事が望まれる。
【0008】
上記のようにセキュリティに対応した基地局装置と、対応していない基地局が並立した場合に、一台の車載情報端末ではセキュリティの講じられた基地局からの情報と、そうでない情報を受信することとなる。安全に係る情報と広告等の情報の双方とも利用者にとっては有益な情報でありいずれも利用者に対して情報を表示することが望まれるが、情報の正当性を確認して表示を行なう場合と、そうでない場合の両方が存在する。そのため車載情報端末にとってはセキュリティの有無にのみで、表示するしないを判断することできず、その判別が困難となることが想定される。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の状況に鑑み、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明では、 車両に搭載され、基地局側装置との間で狭域通信による無線通信を行なう無線通信手段と、前記無線通信手段を介して基地局側装置が送信する配信情報を受信し、再生出力する配信情報処理手段を備えた車載情報端末システムにおいて、基地局の正当性を確認あるいは受信した配信情報の正当性を確認するための認証処理手段と、車両の走行速度を検出する車両状態判別手段、あるいは車両の位置を検出する車両位置判別手段の少なくともいずれか一つを備え、前記配信情報処理手段は、前記認証処理手段にて正当性が確認された場合に、前記配信情報を再生出力し、また前記認証処理手段にて正当性が確認されない場合には、前記車両状態判別手段にて車両が予め定められた所定の速度以下であるか、あるいは前記車両位置判別手段にて車両位置が予め定められた所定の位置である場合に、前記配信情報を再生出力するよう動作する。
【0011】
また本発明では有料道路の料金支払いに関する処理を行う自動料金支払い処理手段とを備え、前記車両位置判別手段は、自動料金支払い処理を行う際の情報から、車両が有料道路を走行中か否かを判別する。
【0012】
また本発明では前記認証処理手段において正当性が確認された基地局の位置情報を記憶する基地局情報記録手段を備え、前記前記車両位置判別手段は車両の現在位置と前記基地局情報記録手段に記録された基地局の位置情報から、車両が道路上にあるか否かを判別する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりもより信頼性を向上させた車載情報端末システムを提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例に付き図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1、図2、図3は本発明の実施例の説明図である。図1は本発明の実施例の車載情報端末システムの構成図である。図2は図1に記載の車載情報端末システムの動作説明図である。図3は図1に記載の車載情報端末システムにおける表示出力の一例である。
【0016】
図1において、101は車両に搭載されたETCおよび情報配信の受信に対応した車載情報端末システム、102は無線通信を行なうためのアンテナ、103は路上の基地局側装置と無線通信を行なう為の無線通信部、104はETCあるいは情報配信等の通信の処理を行なう通信制御手段、105はETCの料金収受の処理を行うETC処理処理手段、106は料金決済の為のICカードを装着するICカードリーダライタ、107は基地局側装置の正当性を確認するための認証処理手段、108は認証処理手段での認証結果を保持する認証結果保持部、109は配信情報の受信処理を行う配信情報処理手段、110は配信された情報を格納し保持するための配信情報保持手段、111は車両の走行状態を判別するための車両状態判定手段、112は配信情報を再生、出力するための情報出力部である。
【0017】
なお、上記の配信情報処理手段109における情報処理として、情報出力部112にて行われる配信情報の再生、出力する情報処理を行うものとしても良い。車載情報端末システム101で用いる通信方式としては、例えば社団法人 電波産業会にて定められた標準規格「狭域通信システム標準規格ARIB STD−T75」に準拠しており、通信可能な領域が数mから数十m程度の比較的狭い範囲内で、基地局との通信が可能な狭域通信方式(DSRC:Dedicated Short Range Communication)を用いている。このDSRCの通信を用いることにより、ETCの処理の場合には料金所に設置された基地局側装置との間で、料金所の限定された通信領域内で無線通信を行い料金の収受処理をおこなう。また道路上を走行時には路上に設置された基地局側装置から交通情報等の情報配信を行い、限られた車線を走行中の車両に対して情報提供が行なわれる。また、例えば駐車場等の入口付近にては、入場車両に限定した情報提供が実施される。
【0018】
ETC処理手段105では、ETC料金所に設置された基地局側装置との通信により、ICカードリーダライタ106に装着されたETC用のICカード(図示せず)に対してデータの読み出し或いは書込み操作を行い、前記ICカードのデータを基地局側装置との間で通信制御手段104及び無線通信部103を介して送受信することにより、料金の支払いに関する処理を行う。
【0019】
認証処理手段107は、セキュリティ対策が講じられた基地局側装置との通信時に、通信相手の基地局の正当性を確認する認証処理を行い、その認証処理結果を認証結果保持部108にて保持する。認証の方法としては、正しい基地局のみが有する情報、例えば基地局の鍵情報を確認するような手段であって、双方向の通信を行なう方式であっても、受信した情報のみから確認する方式の何れの方式であっても良い。また直接基地局を認証せずとも、基地局が送信する情報配信の情報に含まれる認証情報、例えば情報内容の改竄防止の為の情報を確認する手段であっても良い。認証結果保持部108に保持された認証結果は、通信中の基地局にとってのみ有効な情報であるため、新たな基地局との通信を開始する毎に、あるいは基地局の通信を終了する毎に初期化する。
【0020】
配信情報処理手段109は情報配信の基地局側装置から送信された情報を受信した際に、認証結果保持部108から認証結果を取得し、正しく認証がなされていた場合には、情報出力部112にて配信された情報を表示する。情報出力部112としては文字、画像、映像等の情報を表示する表示装置である。あるいは音声、楽曲などの音データの再生装置であっても良い。
【0021】
また配信情報処理手段109は認証結果保持部108から取得した認証結果として、認証がなされていない、あるいは認証に不成功の場合であっても、車両情報判定手段111から取得した車両の状態が、停止中あるいは所定の速度以下の場合には、車両の走行の安全を損なわない状況であるため、配信情報を情報出力部112にて再生する。
【0022】
車両情報判定手段111は例えば車速パルス等の車両速度の情報や、パーキングブレーキの作動情報等を取得することにより、自車両が停車中であるか否か、あるいは所定の速度以下の低速な状態であるかの判定を行いし、配信情報処理手段109に提供する。前記の所定の速度とは、概ね時速20Km以下程度の一般的に低速あるいは徐行運転と考えられる速度である。
【0023】
次に図2を用いて上記した車載情報端末システムの情報受信時の動作に付いて説明する。車載情報端末システム101を搭載した車両が、基地局の通信領域に進入すると、基地局からの送信情報が無線通信部103および通信制御手段104にて受信される(ステップS201)。
【0024】
通信制御手段104では受信した情報を判別し(ステップS202)、ETCの情報である場合にはETC処理手段105にて料金収受の処理を行なう(ステップS203)。ETC以外の情報である場合には認証情報であるか否かを判別し(ステップS204)、認証情報である場合には認証処理手段にて基地局側装置の正当性を確認し(ステップS205)、その確認結果を認証結果保持部108に保持する(ステップS206)。
【0025】
また認証処理した時点で配信情報が既に受信されているか否かを配信情報保持手段110から確認し(ステップS207)、配信情報が存在する場合には認証結果保持部108を確認し(ステップS208)、正しく認証されていた場合には配信された情報を情報出力部112にて情報を出力し再生する(ステップS209)。またステップS204にて認証以外の情報であった場合には情報配信の情報であるかを確認し(ステップS210)、情報配信以外の場合には、それに応じた処理を実施する(ステップS211)。
【0026】
また情報配信であった場合には、認証結果保持部108に保持された認証結果を確認し、(ステップS212)、正しく認証されていた場合には、配信された情報を情報出力部112にて再生出力する(ステップS214)。また、正しく認証されなかった場合或いは認証がなされていなかった場合には、配信情報処理手段109にて車両状態判定手段111から車両の走行状態を取得し、所定の速度以下あるいは停車中であるかを確認し(ステップS213)、所定速度以下或いは停車中である場合には配信された情報を情報出力部112にて再生出力する(ステップS214)。
【0027】
一方、所定速度以上で走行中で認証がなされていない場合には、配信された情報を配信情報保持手段110に格納する(ステップS215)。格納された情報は、ステップS209にて示すように後刻認証がなされた際に再生出力される。
【0028】
上記した実施例の説明では、認証がなされない場合に、配信された情報は一旦配信情報保持手段110に保持する(ステップS215)ように説明を行なったが、狭域通信で配信される情報は、その場所に限定された情報であることが多いため情報を保持していてもその場所から離れると意味をなさない為、正しく認証がなされるまでは配信された情報を破棄する、あるいは受信しないように構成してもかまわない。
【0029】
図3は情報出力部112における再生出力の一例である。301は道路上において車両の安全な走行を支援するための情報を表示した場合の表示画面の例である。走行中の車両に対する情報の提供となるため、正しく認証がなされた場合にその表示が行なわれる。302は正しく認証された結果表示されたことを利用者に示すための表示である。これにより利用者は表示画面301の内容が信頼できるものであることを確認することができる。303は例えば駐車場の入口付近において利用者への案内情報を表示した場合の表示画面である。この場合には駐車場の入口付近では一旦停車するため、認証処理を実施せずとも表示が行なわれる。304は認証処理を行っていないことを利用者に示すための表示である。これにより利用者は表示された画面303の内容に万が一不信な点があった場合に、認証されていない基地局からの情報であることを認識できるため、慎重な対応を取ることが可能となる。
【0030】
なお、繰り返しの説明となるが、認証処理手段によって、正当性の確認を行い、その認証結果が、正しい場合には、「○認証あり情報」302の表示を行うことを図3の(a)にて図示している。
【0031】
一方、認証処理手段によって、認証処理を行っていない場合には、「△認証なし情報」304の表示を行うことを図3の(b)にて図示している。ここで、認証処理手段によって、正当性の確認を行ったが、その認証結果が、正しくない場合にも、図3の(b)の「△認証なし情報」304の表示を行うものとしても良い。但し、認証処理を行っていない場合と、認証結果が正しくない場合を区別して表示する為に、図3では図示していないが、認証結果が正しくない場合には、例えば「認証不成功情報」のような異なる表示を行っても良い。
【0032】
上記したごとく、本実施例では車載情報端末システムにおいて、セキュリティ対策の講じられていない基地局側装置からの配信情報の再生は、走行の安全性を損なわない状況で行なわれ、それにより、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムの安全な利用が可能となる。
【0033】
また、配信情報の表示の際に認証結果を同時に表示することにより、利用者が提供された配信情報の内容が認証された基地局からのものか否かを確認することができる。
【実施例2】
【0034】
図4は本発明の第2の実施例を示す車載情報端末システムの構成図である。本実施例では、車両速度やパーキングブレーキの情報を取得できない場合に、それに代わる手段を用いて、有料道路走行中には、正しく認証がなされた場合に配信情報の出力・再生を行なう場合の例である。
【0035】
図4において、401は有料道路を走行中であるか否かを判定するための走行道路判定手段、402はETCの基地局に関する情報を格納したETC基地局情報記録部である。その他図1に示す実施例と同様の動作をするものについては同じ符号を付してある。
【0036】
ETC基地局情報記憶部402は、ETCの処理を行った場合に、通信を行なった基地局側装置の識別情報から、有料道路の入口を通過したのか或いは出口を通過したかを判別する為に、基地局毎の出入り口の種別情報を格納したデータベースである。走行道路判定手段401はETC処理105にてETCの料金収受に関する処理を行った際に、通信制御手段104から基地局側装置の識別情報を取得する。基地局の識別情報とは、例えば、基地局毎の付番された一意に識別するための情報等である。さらに取得した基地局の識別情報から、ETC基地局情報記憶部402を参照し、その基地局が有料道路の入口であるか、出口であるかの種別情報を取得する。それにより自車両が有料道路上を走行中か否かを判定し、配信情報処理手段に提供する。
【0037】
本第2の実施例の動作は図2に示した第1の実施例の動作説明図によるものと同様に動作し、情報配信の受信、及び再生動作がなされる。ただし、認証が行なわれていない場合の車両の走行状態の確認処理(ステップS213)では、走行道路判定手段401から自車両が有料道路を走行中か否かを確認し、有料道路を走行中であれば、配信情報を保持し(ステップS215)、有料道路以外であれば配信情報を再生出力する(ステップS214)よう動作する。
【0038】
上記したごとく、本発明の実施例では車速情報やパーキングブレーキ等の情報が取得できない場合であっても、有料道路を走行中か否かを判別し、少なくとも有料道路を走行中の場合には正しく認証がなされた場合に配信情報を再生することで、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムの安全な利用が可能となる。また、車速情報やパーキングブレーキ等の情報を必要としないため、装置の車両への設置が容易となる。
【実施例3】
【0039】
図5、図6は本発明の第3の実施例の説明図である。本実施例は、車載情報端末システムを移動局通信装置とカーナビゲーション装置から構成した場合の例である。
【0040】
図5は本発明の第3の実施例を示す車載情報端末システムの構成図である。同図において、501は車載情報端末システムを構成する移動局通信装置、502は車載情報端末システムを構成するカーナビゲーション装置、503は車両が道路上にあるか否かを判別する車両位置判別手段、504はGPS等による緯度経度上の位置を検出する位置検出部、505は地図情報を格納した地図情報記憶部、506は操作入力部である。その他図1に示す実施例と同様の動作をするものについては同じ符号を付してある。
【0041】
移動局通信装置501およびカーナビゲーション装置502は、図1に示す第1の実施例の構成を各々別体の装置にて構成した例であり、図1に示すものと同様の要素から構成されており、以下に説明する構成要素が追加されたものとなっている。
【0042】
車両位置判定手段503は位置検出部504から自車両位置の緯度経度等の情報を取得し、さらに地図情報記憶部505に格納された地図情報と照合することにより、自車両の位置を判定し、例えば公共の道路上にあるか否かを判定し、配信情報処理手段に提供する。あるいは、一般道路上であるか、高速道路上であるか、交差点付近であるか、駐車場などの商用施設であるか等の判定も可能である。操作入力部506はカーナビゲーション装置502を利用者が操作するための入力部であり、リモコン、操作スイッチ、タッチパネル、音声認識入力等の何れの入力手段であっても良い。
【0043】
本第3の実施例の動作は図2に示した第1の実施例の動作説明図によるものと同様に動作し、情報配信の受信、及び再生動作がなされる。ただし、認証が行なわれていない場合の車両の走行状態の確認処理(ステップS213)では、車両状態判定手段111から車両の走行状態を取得し、所定の速度以下あるいは停車中であるかを確認しするとともに、車両位置判別手段503にて車両が道路上にあるか否かを確認する。所定速度以下で走行中或いは停車中であるか、または道路以外の場所である場合には配信情報を再生出力し(ステップS214)する。
【0044】
一方、道路上を所定速度以上で走行していた場合には、再生は行なわず配信された情報を配信情報保持手段110に格納する(ステップS215)よう動作する。前記ステップ213の判定処理の際に、車両位置判別手段にて車両が有料道路上或いは高速道路にある場合等のように、再生する条件を変更することも可能である。変更操作は操作入力部506にて利用者に応じた設定が可能である。
【0045】
また認証しない状態で情報配信の情報を受信した場合の処理としては、配信された情報を配信情報保持手段110に保持する(ステップS215)以外にも、利用者に対して表示を行なうか否かを問合せ、その結果として表示を行なうことも可能である。図6に示す表示画面601は、問合せを行なう場合の画面表示の一例である。認証を行なっていないことを示す表示602とともに、表示を行なうか否かの利用者の意思確認を行なう。利用者は操作入力部506にて表示の可否の選択を行なうことができる。
【0046】
また、移動局通信装置501は情報配信の情報を受信した際に、正しく認証行なわれる以前に受信した情報をカーナビゲーション装置502に送信せずに破棄しても良い。その場合には、移動局通信装置501とカーナビゲーション装置502間の接続部における不要な情報送信を抑制することができ、システムの動作不可を抑えることができる。
【0047】
上記したごとく、本発明の実施例では、車載情報端末システムの一部をカーナビゲーション装置で構成することにより、システムの構築が容易となる。またカーナビゲーション装置が備える、位置検出部および地図情報を用いることにより車両が道路上あるか否か等の判別が可能となる。それにより、例えば、道路上以外の施設内では、走行中であってもセキュリティ対策を講じない基地局からの配信情報の受信が可能とするようにしても良く、より高い利便性を得られるようにも出来る。
【実施例4】
【0048】
図7、図8は本発明の第4の実施例の説明図である。本実施例は、以前に情報配信を受信した基地局の情報を記録し蓄積することにより、地図情報には無い新たな道路が開通した場合にも、対応可能な車載情報端末システムの例である。
【0049】
図7は図5に示した実施例のカーナビゲーション装置502の他の構成例を示す構成図である。同図において、701は第2の車両位置判別手段、702は情報配信を受信した際の基地局の情報を記録し蓄積するための基地局情報記録部である。その他、図5に示す実施例と同様の動作をするものについては同じ符号を付してある。
【0050】
基地局情報記録部702は、基地局の緯度経度等の位置情報および、認証が正しく行なわれたか否かの認証有無情報を、情報配信を受信した際に格納する。また、正しく認証がなされた基地局が存在する場所であれば、道路上である可能性が高いため、第2の車両位置判別手段701は、基地局情報記録部702に格納された情報を参照することにより、位置検出部504にて検出した位置が以前に情報配信の基地局が存在した場所であり、かつその基地局との通信において認証処理が正しく行われた場合にはその付近の場所が道路であると判断し、自車両が道路上にあるか否かを判別する。
【0051】
次に図8を用いて、上記カーナビゲーション装置の情報受信時の動作について説明する。カーナビゲーション装置502は、移動局通信装置501が基地局からの情報配信の情報を受信した場合に、その情報を移動局通信装置501から受信する(ステップS801)。配信情報処理手段109は第2の車両位置情報判別手段701に対して、認証結果保持部110に保持された認証結果とともに基地局情報の記録を指示する。第2の車両位置判別手段701は記録指示を受けて、位置検出部504から取得した自車両の緯度経度等の位置情報と認証結果を、基地局情報記録部702に記録する(ステップS802)。
【0052】
次に配信情報処理手段109は認証結果保持部から認証結果を確認し(ステップS803)、正しく認証されている場合には情報出力部112にて再生出力を行う(ステップS803)。またステップS803の確認の結果、認証がなされていない場合には、車両状態判定手段111から車両の走行状態を取得し、所定の速度以下あるいは停車中であるかを確認する(ステップS805)。停車中あるいは所定の速度以下の低速走行の場合には配信情報を情報出力部112にて再生出力を行う(ステップS804)。所定以上の速度にて走行中の場合には、車両位置判別手段503により位置検出部504の検出結果と地図情報記憶部505に記録された地図情報から道路上を走行中か否かを確認し(ステップS806)、道路上を走行中の場合には配信情報を配信情報保持手110に保持し(ステップS808)処理を終了する。道路以外の場所を走行中の場合には、第2の車両位置判別手段701にて位置情報検出部504の検出結果と基地局情報記録部702に記録された情報から認証が正しくなされた基地局付近すなわち道路上であるか否かを判別し(ステップS807)、道路上で無い場合には配信情報を情報出力部112にて再生出力し(ステップS804)、道路上の場合には配信情報を配信情報保持手110に保持し(ステップS808)処理を終了する。
【0053】
上記したごとく、本発明の実施例では基地局との通信時の認証有無の履歴を保存し、認証が正しくなされた基地局付近は道路上であると判別することにより、地図情報に無い新たに開通した道路であっても、道路上であるか否かを判別する。それによる地図に無い道路上であった場合であっても、正しく認証がなされた場合に配信情報を再生することで、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムの安全な利用が可能となる。
【0054】
上述の本発明の実施例の車載情報端末システムでは、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムを提供することが可能となる。
【0055】
これらの点については、繰り返しとなるが、本発明の実施例についての効果を以下に説明する。
【0056】
本発明の実施例の車載情報端末システムにより、基地局側の装置の正等性あるいは配信された情報の正当性が確認された際には車載情報端末システムにて情報の再生を行い、一方それら正当性の確認がなされない場合であっても、車両が停止或いは所定速度以下あるは道路・交差点以外の場所である場合には走行の安全性を損なわない状況と判断して情報の再生出力を行なう。これにより、セキュリティ対策の講じられていない基地局側装置からの配信情報の再生は、走行の安全性を損なわない状況で行なわれることとなる。それにより、認証等のセキュリティ対策が講じられた情報配信と、セキュリティ対策が講じられていない情報配信の双方に対応した、車載情報端末システムの利用が可能となる。
【0057】
また本発明の実施例の車載情報端末システムにより、ETC(自動料金支払いシステム)料金所の通過情報を元に有料道路上であるか否かを判別し、それにより有料道路上ではセキュリティ対策の講じられていない情報配信の受信・再生を禁止することにより、地図情報等を持たない簡易な構成であっても、走行の安全性を損なう恐れのある走行場所でのセキュリティ対策が講じられていない情報の再生を抑止できる。
【0058】
また本発明の実施例の車載情報端末システムにより、情報配信を受信した際の基地局の情報を記録保存することにより、自装置の地図情報に存在しない新たな道路上で情報配信を受信した場合に、以前にセキュリティ対策を講じられた情報配信を受信していた場合には、新たな道路が敷設されたと判断できる。それにより、その付近ではキュリティ対策の講じられていない情報配信を禁止することにより、走行の安全性を損なう恐れのある走行場所でのセキュリティ対策が講じられていない情報の再生を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例の車載情報端末システムの構成図である。
【図2】図1の車載情報端末システムの動作説明図である。
【図3】本発明の実施例の車載情報端末システムの表示例を示す図である。
【図4】本発明の実施例の車載情報端末システムの構成図である。
【図5】本発明の実施例の車載情報端末システムの構成図である。
【図6】本発明の実施例の車載情報端末システムの表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施例の車載情報端末システムを構成するカーナビゲーション装置の構成図である。
【図8】図7のカーナビゲーション装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0060】
101…車載情報端末システム、
102…アンテナ、
103…無線通信部、
104…通信制御手段、
105…ETC処理手段、
106…ICカードリーダライタ、
107…認証処理手段、
108…認証結果保持部、
109…配信情報処理手段、
110…配信情報保持手段、
111…車両状態判定手段、
112…情報出力部、
501…移動局通信装置、
502…カーナビゲーション装置、
503…車両位置判別手段、
504…位置検出部、
505…地図情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と狭域通信による無線通信を行なう無線通信手段と、
前記無線通信手段を介して基地局が送信する配信情報を受信し、再生出力する配信情報処理手段と
を備えた車載情報端末システムにおいて、
車両の走行速度を検出する車両状態判別手段、あるいは車両の位置を検出する車両位置判別手段の少なくともいずれか一方の手段と、
前記基地局の正当性の確認あるいは受信した配信情報の正当性の確認をする認証処理手段と
を備え、
前記認証処理手段にて正当性が確認された場合に、前記配信情報が再生出力され、
また前記認証処理手段にて正当性が確認されない場合には、前記車両状態判別手段にて車両が予め定められた所定の速度以下であるか、あるいは前記車両位置判別手段にて車両位置が予め定められた所定の位置である場合に、前記配信情報が再生出力されることを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報端末システムにおいて、
予め定められた所定の速度以下の範囲には、停止中であることも含むことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記車両位置判別手段は所定の位置として道路上以外の場所であることを判別し、
前記情報配信手段は、前記認証処理手段にて正当性が確認されない場合には、前記車両位置判別手段にて車両が道路上以外の場所にある場合に、前記配信情報が再生出力されることを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項4】
請求項1に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報の再生出力として、前記認証処理手段での認証結果が正しいことを示す表示を行うことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項5】
請求項1に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報の再生出力として、前記認証処理手段での認証処理を行っていないことを示す表示を行うことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項6】
基地局と狭域通信による無線通信を行なう無線通信手段と、
基地局の正当性の確認あるいは受信した配信情報の正当性の確認をする認証処理手段とを備えた移動局通信装置と、
車両の走行速度を検出する車両状態判別手段、あるいは車両の位置を検出する車両位置判別手段の少なくともいずれか一方と、
前記移動局通信装置を介して基地局側装置が送信する配信情報を受信し、再生出力する配信情報処理手段とを備えたカーナビゲーション装置と
を有する車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報処理手段は、前記認証処理手段の認証結果と、前記基地局からの配信情報を受信し、
前記認証結果が正当性を示す場合に、前記配信情報が再生出力され、
また前記認証結果が正当性を示さない場合には、前記車両状態判別手段にて車両が予め定められた所定の速度以下であることを検出されるか、あるいは前記車両位置判別手段にて車両位置が予め定められた所定の位置であることを検出された場合に、前記配信情報が再生出力されることを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車載情報端末システムにおいて、
予め定められた所定の速度以下の範囲には、停止中であることも含むことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項8】
請求項6に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記移動局通信装置は、前記基地局からの配信情報を受信した場合に、該配信情報を前記カーナビゲーション装置に送信し、
また前記認証結果を前記カーナビゲーション装置に通知することを特徴とする移動局通信装置。
【請求項9】
請求項6に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報の再生出力として、前記認証処理手段での認証結果が正しいことを示す表示を行うことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項10】
請求項6に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報の再生出力として、前記認証処理手段での認証処理を行っていないことを示す表示を行うことを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項11】
請求項6に記載の車載情報端末システムにおいて、
前記カーナビゲーション装置は、前記配信情報と、前記認証結果を受信し、
前記認証結果が正当性を示す場合に、前記配信情報を再生出力し、
また前記認証結果が正当性を示さない場合には、前記車両状態判別手段にて車両が予め定められた所定の速度以下であることを検出されるか、あるいは前記車両位置判別手段にて車両位置が予め定められた所定の位置であることを検出された場合に、前記配信情報が再生出力されることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1または請求項6のいずれかに記載の車載情報端末システムにおいて、
有料道路の料金支払いに関する処理を行う自動料金支払い処理手段とを備え、
前記車両位置判別手段は、自動料金支払い処理を行う際の情報から、車両が有料道路を走行中か否かを判別することを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項13】
請求項1または請求項6のいずれかに記載の車載情報端末システムにおいて、
前記認証結果が正当性を示す基地局の位置情報を記憶する基地局情報記録手段を備え、
前記車両位置判別手段は、車両の現在位置と前記基地局情報記録手段の基地局の位置情報から、車両が道路上にあるか否かを判別することを特徴とする車載情報端末システム。
【請求項14】
請求項1または請求項6のいずれかに記載の車載情報端末システムにおいて、
前記配信情報の再生出力として、前記認証処理手段での認証結果が正しくないことを示す表示を行うことを特徴とする車載情報端末システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−271457(P2008−271457A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114997(P2007−114997)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】