説明

車載装置、車載用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】全域分の高高地判定エリアデータのうち、必要な一部分のデータのみを記憶装置へ読み込むことで、この記憶装置へ読み込んだ高高地判定エリアデータを用いて現在位置が高高地であるか否かを判定可能にするための技術を提供する。
【解決手段】車両の移動に伴い、ハードディスクドライブから必要な範囲の高高地判定エリアデータを外部メモリへ読み込み、この外部メモリ内の高高地判定エリアデータに基づいて高高地判定を行う。このとき、現在位置周辺に高高地エリアが存在すれば(S120:YES)、そこから連続する高高地エリア全域を含む高高地判定エリアデータを外部メモリへ読み込む(S140,150)。現在位置周辺に高高地エリアが存在しなければ(S120:NO)、現在位置を中心とした所定の最小範囲の高高地判定エリアデータを外部メモリへ読み込む(S130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブを有する車載用ナビゲーション装置等の車載装置に関し、特に、標高の高い地域でのハードディスクドライブへのアクセス制限を行うための高高地判定用のデータの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図データに基づいて現在位置周辺の地図をディスプレイに表示したり、目的地までの最適な経路を計算して走行案内を行う車載用ナビゲーション装置等の車載装置において、地図データ等を記憶するための記憶媒体としてハードディスクドライブを用いたものが広く普及している。また、ハードディスクドライブの大量な記憶容量を利用して、地図データだけでなく、車載用ナビゲーション装置が作動するためのアプリケーションソフトウェアや、車載用ナビゲーション装置に一体化されたオーディオ機能で利用するための音楽データや映像データ等をハードディスクドライブに記憶させるものがある。
【0003】
ハードディスクドライブは、磁性体を塗布した記憶媒体であるディスクに磁気ヘッドを用いて情報を記録又は読み出す記憶装置である。ハードディスクドライブの作動時においては、高速で回転するディスクと共に回転する空気の圧力によってディスク上方に位置する磁気ヘッドがディスクから極わずかだけ浮き上がる構造となっている。よって、周辺の気圧が著しく低下している環境下でハードディスクドライブが作動すると、磁気ヘッドを浮上させる空気圧の低下によりディスクと磁気ヘッドとの間隔を適正な状態に維持できなくなる。その結果、ディスクと磁気ヘッドが衝突することでディスクを損傷してしまうおそれがある。そして、気圧は高度が上昇するにつれて低下するため、ハードディスクドライブには高度による使用限界がある。一般的には、ハードディスクドライブの高度に対する動作保証は、高度3000m(約0.7気圧)〜5000m(約0.5気圧)程度までとなっている。
【0004】
したがって、ハードディスクドライブを搭載した車載装置においては、ハードディスクドライブの作動が保証されている高度を超えるような高高地(例えば、3000m級、あるいは4000〜5000m級の道路)での使用が想定される場合、ハードディスクドライブの破損を防止するための対策が必要となる。
【0005】
そこで、車両が所定の高度(例えば3000m)以上に到達したときに、ハードディスクドライブに記憶されている地図データの一部を外部メモリに記憶した後、ハードディスクドライブを停止し、3000m以上の高高地を走行中には外部メモリに記憶されている地図データに基づいて経路案内を行う技術が案出されている(例えば、特許文献1参照)。このような技術により、高高地においてハードディスクドライブを停止させることでハードディスクドライブの破損を防止しながらも、経路案内を継続可能にすることを実現している。
【特許文献1】特開2004−317385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の現在位置が高高地であるか否かを判定する高高地判定の方法として、高高地判定用のデータを予め用意しておき、この高高地判定用のデータに現在位置を照らし合わせて現在位置が高高地であるか否かを判定する方法がある。
【0007】
このような高高地判定の方法には、例えば、地図あるいはこれに準ずる地図座標平面を所定間隔の緯度・経度で区切った分割エリアに対して、個々の分割エリアが所定の高度以上の地域を含む高高地であるか否かを定義する情報を付加した高高地判定用のデータ(以下、これに類するものを高高地判定エリアデータとも称する)を用いる。この高高地判定エリアデータに現在位置の位置座標を照らし合わせることで、現在位置が高高地であるか否かを判定することができる。
【0008】
この高高地判定エリアデータを用いて高高地判定を行う場合、高高地内でハードディスクドライブが停止することを考慮して、ハードディスクドライブが停止中であっても高高地判定エリアデータを用いて高高地判定ができるようにする必要がある。そのためには、高高地判定エリアデータを予めハードディスクドライブ以外の記憶装置に格納しておくことが肝要である。しかしながら、国内規模、大陸や大州規模、あるいは地球規模等の地図全域に対応する高高地判定エリアデータを記憶しようとする場合、それ自体がかなりのデータ量を有するものであるため、これを全て記憶するには大量の記憶容量を確保しなければならないという問題がある。また、高高地判定エリアデータが更新されることによりデータ量が増加する場合、それに応じて記憶容量を増やさなければならないといった問題もある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされており、全域分の高高地判定エリアデータのうち、必要な一部分のデータのみを記憶装置へ読み込むことで、この記憶装置へ読み込んだ高高地判定エリアデータを用いて現在位置が高高地であるか否かを判定可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載装置は、次のような特徴を有する。
外部記憶装置としてハードディスクドライブを備え、このハードディスクドライブから読み出したデータに基づいて所定の処理を行い、さらに、車両の現在位置を検出する位置検出手段を備え、この位置検出手段により検出された現在位置が所定の高度以上の地域を含む高高地エリアであると判定した場合、ハードディスクドライブの作動を禁止する機能を有する車載装置であって、記憶手段と、高高地判定エリアデータ記録手段と、高高地判定手段とを備える。
【0011】
ハードディスクドライブは、高高地判定エリアデータを記憶している。この高高地判定エリアデータは、位置検出手段により検出される位置座標に対応する座標平面を所定区域ごとに区切った各分割エリアに対して、個々の分割エリアが高高地エリアであるか否かを定義するものである。記憶手段は、ハードディスクドライブに記憶されている全分割エリア分の高高地判定エリアデータのうち、一部の分割エリアに対応する高高地判定エリアデータを記憶する。
【0012】
そして、高高地判定エリアデータ記録手段は、車両の現在位置が記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した場合、ハードディスクドライブに記憶されている全分割エリアの高高地判定エリアデータのうち、現在位置に該当する分割エリアから、この分割エリアの直近の高高地エリアから連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアまでを少なくとも含む範囲の高高地判定エリアデータをハードディスクドライブから読み出し、これを記憶手段に記録する。高高地判定手段は、位置検出手段により検出された位置座標を記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータに照らし合わせることで現在位置が高高地エリアであるか否かを判定する。
【0013】
なお、ここでいう所定の高高度とは、例えばハードディスクドライブの作動が保証されている高度の上限値、あるいは、ハードディスクドライブの作動が保証される気圧の下限値に到達する高度とすることが考えられる。
【0014】
このように構成された車載装置によれば、ハードディスクドライブに記憶されている全域分の高高地判定エリアデータのうち、車両の現在位置を基準とする必要な一部分のみを記憶手段に記憶するため、高高地判定に用いる高高地判定エリアデータを記憶するための記憶容量を小さく抑えることができる。また、記憶手段に保持している高高地判定エリアデータの範囲から脱した際に、車両の現在位置を基準とする次の高高地判定エリアデータを記憶手段へ読み込むので、常に高高地判定エリアデータを利用できる状態を維持できる。
【0015】
さらに、記憶手段に読み込む高高地判定エリアデータの範囲には、現在位置に該当する分割エリアから、この分割エリアの直近の連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアまでが含まれる。これにより、車両が当該高高地エリアへ進入してハードディスクドライブが停止した場合においても、その間、記憶手段に記憶されている範囲の高高地判定エリアデータで高高地判定を継続することができ、十分に必要な範囲の高高地判定エリアデータを確保しているといえる。
【0016】
ところで、車両の現在位置が記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した際、現在位置近傍における高高地エリアの有無によって、記憶手段に読み込む高高地判定エリアデータの範囲をさらに減縮するようにしてもよい。具体的には、請求項2に記載のように、車両の現在位置が記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した場合、現在位置に該当する分割エリアを中心とする周辺の所定範囲内に高高地エリアに該当する分割エリアが存在しなければ、現在位置に該当する分割エリアを中心とする所定の最小範囲に該当する高高地判定エリアデータをハードディスクドライブから読み出し、これを記憶手段に記録する。なお、現在位置が記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱したときに、現在位置に該当する分割エリアを中心とする周辺の所定範囲内に高高地エリアが存在する場合は、この直近の高高地エリアから連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアを含む範囲の高高地判定エリアデータを記憶手段に記憶すればよい。
【0017】
現在位置近傍に高高地エリアが存在しなければ、自車両が直ちに高高地エリアへ進入することはない。したがって、そのような場合は自車両周辺のごく限られた範囲の高高地判定エリアデータさえ確保しておけば十分に事足りる。そして、自車両近傍にまで高高地エリアが接近してから、この高高地エリアを含む範囲の高高地判定エリアデータを確保すればよいのである。このようにすることで、記憶手段に記憶する高高地判定エリアデータの範囲内に、高高地エリアでない分割エリアを極力含まないようにすることができる。その結果、記憶手段に記憶する高高地判定エリアデータの範囲が減縮され、データ量が低減するため、高高地判定エリアデータを記憶するための記憶容量を更に節約することが可能である。
【0018】
ところで、上述した車載装置の一例としては、請求項3に記載のように、ハードディスクドライブから読み出した地図データに基づいて目的地までの経路案内を行う車載用ナビゲーション装置が挙げられる。このような車載用ナビゲーション装置に本発明の機能を適用することで、車載用ナビゲーション装置の性能が向上する。
【0019】
以上で説明したような車載装置における高高地判定エリアデータ記録手段をコンピュータシステムで実現するには、請求項4に記載のようにコンピュータシステム上で稼動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば磁気/光/光磁気ディスク、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータにて読取可能な記憶媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上記各手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[1.車載用ナビゲーション装置の構成の説明]
図1は、実施形態の車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、車載用ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、地図データや高高地判定エリアデータ等を記憶する大容量記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)23と、各種情報を記憶する外部メモリ24と、地図表示画面等の各種表示を行うための表示装置25と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置26と、制御部29とを備えている。
【0022】
位置検出器21は、GPS用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置座標を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ21bと、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0023】
操作スイッチ群22は、表示装置25と一体に構成され表示面上に設置されるタッチパネル及び表示装置25の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。
ハードディスクドライブ23は、情報を記憶するハードディスクと、ハードディスクに対して情報を読み書きするための磁気ヘッド、駆動部、制御部等からなるコントローラとが一体となった記憶装置である。ハードディスクドライブ23は、制御部29からの制御に基づいてハードディスクからデータを読み出し、これを制御部29へ入力する。ハードディスクドライブ23が記憶しているデータは、マップマッチング、経路探索、経路誘導等に用いる道路データ、地図表示に必要な各種データからなる描画データ等からなる地図データや、経路案内用データ、車載用ナビゲーション装置1の作動のためのプログラム、高高地判定エリアデータ等を含む各種データである。なお、このハードディスクドライブ23は、高度5000m以下、又は0.5気圧以上での使用環境において正常な作動が保証されているものと想定する。
【0024】
ここで、ハードディスクドライブ23に格納されている高高地判定エリアデータについて、図2に基づき説明する。図2は、高高地判定エリアデータの概要を模式的に示す説明図である。高高地判定エリアデータは、地図座標平面を所定の緯度・経度ごとに区切ったメッシュ状の分割エリアに対して、それぞれ高高地エリアであるか否かを識別するための符号を割り当てたデータである。
【0025】
例えば、図2(a)に示すように、緯度・経度の座標(X1,Y1),(X2,Y1),(X1,Y2),(X2,Y2)を頂点とする地図座標領域の中央付近において、高度5000m以上の高高度地域が斑状に分布すると仮定する。この地図座標領域に対応する高高地判定エリアデータを作成する場合、この地図座標領域をさらに細かく分割した分割エリアを定義する。そして、図3(b)に示すように、高度5000m以上の高高度地域が一部でも含まれる分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリアである旨を示す「1」の符号を割り当てる。一方、高度5000m以上の高高度地域が含まれない分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリア以外である旨を示す「0」の符号を割り当てる。このようにして定義される高高地判定エリアデータは、ハードディスクドライブ23に格納されている地図データで示される国内規模、大陸や大州規模、あるいは地球規模等の地図座標領域の全域について、この地図座標領域を分割した個々の分割エリアごとに高高地エリアであるか否かを定義するテーブルデータとして作成されている。
【0026】
図1の説明に戻る。外部メモリ24は、ハードディスクドライブ23に格納されている高高地判定エリアデータのうちの一部を記憶するためのものである。この外部メモリ24には、電気的又は磁気的に記憶内容を書き換え可能で、かつ、電源を切っても記憶内容を保持できる記憶装置(例えば、不揮発性半導体メモリ等)を用いる。
【0027】
表示装置25は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置である。表示装置25は、制御部29からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示面に表示可能である。例えば、車両が走行中においては、ナビゲーション画面として位置検出器21にて検出した車両の現在位置とハードディスクドライブ23等から入力された地図データとから特定した現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種ランドマークのシンボル等の付加データとが重ねて表示される。
【0028】
音声出力装置26は、各種情報を音声にてユーザに報知できるように構成されている。これによって、表示装置25による表示と音声出力装置26からの音声出力との両方でユーザに対してルート案内等の各種案内をすることができる。
【0029】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMやハードディスクドライブ23、外部メモリ24等から読み込んだプログラムや各種データに従って種々の処理を実行する。
【0030】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各検出信号に基づいて車両の現在位置を算出し、ハードディスクドライブ23から読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置25に表示する処理である。また、経路案内処理は、ハードディスクドライブ23に格納された地点データと、操作スイッチ群22等の操作に従って設定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路である目的地経路を算出し、現在位置と目的地経路との関係を考慮して目的までの走行案内を行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0031】
また、車載用ナビゲーション装置1は、ハードディスクドライブ23の正常な作動が保証されている高度の上限(5000m)を超える地域での使用が想定されている。そのため、制御部29は、車両の走行中に高度5000m以上の地域を含む高高地エリアへ進入した場合、ハードディスクドライブ23の作動を禁止し、高度5000m以上の地域でハードディスクドライブ23を作動させることによる破損を防止する。
【0032】
現在位置が高高地エリアであるか否かを判定する高高地判定には、高高地判定エリアデータを用いる。つまり、高高地判定エリアデータから位置検出器21により検出した現在位置の座標に該当する分割エリアの部分を参照し、この分割エリアに割り当てられた符号(「1」,「0」)を読み取る。そして、高高地判定エリアデータを参照した結果に基づき、現在位置が高高地エリアに該当するか否かを判定する。このようにして、現在位置の位置座標を高高地判定エリアデータ照らし合わせることで、現在位置が高高地であるか否かを判定することができる。
【0033】
なお、この高高地判定エリアデータを用いて高高地判定を行う場合、高高地エリア内でハードディスクドライブ23が停止中であっても高高地判定エリアデータを用いて高高地判定ができるようにする必要がある。そこで、制御部29は、本発明の特徴的な処理として、次のような「高高地判定エリアデータ制御処理」を実行する。
【0034】
制御部29は、車両の移動に伴って、ハードディスクドライブ23に格納されている全域分の高高地判定エリアデータのうち、現在位置を基準とする必要な範囲に相当する高高地判定エリアデータを外部メモリ24へ読み込む。このとき、現在位置に該当する分割エリア周辺に高高地エリアに該当する分割エリアが存在すれば、その高高地エリアから連続する高高地エリア全域を含む高高地判定エリアデータを外部メモリ24へ読み込む。一方、現在位置に該当する分割エリア周辺に高高地エリアに該当する分割エリアが存在しなければ、自車両の現在位置を中心とした所定の最小範囲の高高地判定エリアデータを外部メモリ24へ読み込む。そして、この外部メモリ24に記録された高高地判定エリアデータに基づいて高高地判定を行う。なお、この「高高地判定エリアデータ制御処理」の詳細な内容については後述する。
【0035】
以上、車載用ナビゲーション装置1の概略構成について説明したが、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1の構成と特許請求の範囲に記載した構成との対応は次のとおりである。本実施形態における車載用ナビゲーション装置1の位置検出器21が、特許請求の範囲における位置検出手段に相当する。また、外部メモリ24が記憶手段に相当する。また、制御部29が、高高地判定エリアデータ記録手段、及び高高地判定手段に相当する。
【0036】
[2.「高高地判定エリアデータ制御処理」の説明]
以下、制御部29が実行する上述の「高高地判定エリアデータ制御処理」の詳細な内容について、図3のフローチャート及び図4,5の説明図に基づいて説明する。
【0037】
図3は、制御部29が実行する「高高地判定エリアデータ制御処理」の手順を示すフローチャートである。この処理は、車両の走行中において上述の地図表示処理や経路案内処理等と並行して、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0038】
制御部29は、まず、位置検出器21からの入力信号に基づいて車両の現在位置を検出する(S100)。そして、この検出した現在位置が、外部メモリ24に記憶されている高高地判定エリアデータの地理的範囲から脱しているか否かを判定する(S110)。ここで、現在位置が外部メモリ24内の高高地判定エリアデータの地理的範囲から脱していないと判定した場合(S110:NO)、S100の処理へ戻る。
【0039】
一方、現在位置が外部メモリ24内の高高地判定エリアデータの地理的範囲から脱したと判定した場合(S110:YES)、ハードディスクドライブ23内の高高地判定エリアデータを参照し、現在位置が存在する分割エリアと、この分割エリアに近接する周囲8区画分の分割エリアとを含む周辺範囲内に高高地エリアに該当する分割エリアが存在するか否かを判定する(S120)。ここで、前記周辺範囲内に高高地エリアに該当する分割エリアが存在しないと判定した場合(S120:NO)、現在位置が存在する分割エリアを中心とする最小の範囲の高高地判定エリアデータをハードディスクドライブ23から読み出し、これを外部メモリ24に保持されている従前の高高地判定エリアデータに換えて新たに外部メモリ24へ記録する(130)。なお、ここでいう最小の範囲とは、現在位置が存在する分割エリアと、この分割エリアに近接する周囲8区画分の分割エリアとを含む縦横3×3の計9区画分の範囲を指す。
【0040】
ここで、上述のS120及びS130における一連の処理の流れを、図4に基づいて具体的に説明する。図4は、ハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込むべき高高地判定エリアデータの範囲を決定する方法の一例を模式的に示す説明図である。
【0041】
まず、図4(a)に示すように、現在位置が外部メモリ24の保持している高高地判定エリアデータの範囲から脱してAの分割エリアへ進入した場合、現在位置に該当するAの分割エリアと、このAの分割エリアに近接する周囲8区画分を含む縦横3×3の計9区画分の範囲内における高高地エリアの有無を判定する。
【0042】
そして、図4(b)に示すように、現在位置に該当するAの分割エリアと、このAの分割エリアに近接する周囲8区画分を含む縦横3×3の計9区画分の範囲内に高高度エリアが存在しない場合、図4(c)に示すように、この範囲に該当する高高地判定エリアデータをハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込む。
【0043】
図3のフローチャートの説明に戻る。一方、S120で、前記周辺範囲内に高高地エリアに該当する分割エリアが存在すると判定した場合(S120:YES)、現在位置に該当する分割エリアと、当該高高地エリアから連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアとを含む方形の範囲を、ハードディスクドライブ23から取得する高高地判定エリアデータの範囲として特定する(S140)。そして、この特定した範囲に該当する高高地判定エリアデータをハードディスクドライブ23から読み出し、これを外部メモリ24に保持されている従前の高高地判定エリアデータに換えて新たに外部メモリ24へ記録する(S150)。
【0044】
ここで、上述のS120、S140、S150における一連の処理の流れを、図5に基づいて具体的に説明する。図5は、ハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込むべき高高地判定エリアデータの範囲を決定する方法の一例を模式的に示す説明図である。
【0045】
まず、図5(a)に示すように、現在位置が外部メモリ24の保持している高高地判定エリアデータの範囲から脱してAの分割エリアへ進入した場合、現在位置に該当するAの分割エリアと、このAの分割エリアに近接する周囲8区画分を含む縦横3×3の計9区画分の範囲内における高高地エリアの有無を判定する。
【0046】
そして、図5(b)に示すように、現在位置に該当するAの分割エリアと、このAの分割エリアに近接する周囲8区画分を含む縦横3×3の計9区画分の範囲内に高高度エリアに該当する分割エリアBが存在する場合、図5(c)に示すように、現在位置に該当するAの分割エリアと、高高地エリアに該当するBの分割エリアから連続する高高地エリア全域とを含む方形範囲に該当する高高地判定エリアデータをハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込む。
【0047】
[3.効果]
実施形態の車載用ナビゲーション装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ハードディスクドライブ23に記憶されている全域分の高高地判定エリアデータのうち、車両の現在位置を基準とする必要な一部分のみを外部メモリ24に記憶するため、高高地判定に用いる高高地判定エリアデータを記憶するための記憶容量を小さく抑えることができる。また、外部メモリ24に保持している高高地判定エリアデータの範囲から脱した際に、車両の現在位置を基準とする次の高高地判定エリアデータを外部メモリへ読み込むので、常に高高地判定エリアデータを利用できる状態を維持できる。
【0048】
(2)ハードディスクドライブ23から外部メモリ24に読み込む高高地判定エリアデータの範囲には、現在位置に該当する分割エリアから、この分割エリアに近接する高高地エリアから連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアまでが含まれる。これにより、車両が当該高高地エリアへ進入してハードディスクドライブ23が停止した場合においても、その間、外部メモリ24に記憶されている範囲の高高地判定エリアデータで高高地判定を継続することができ、十分に必要な範囲の高高地判定エリアデータを確保しているといえる。
【0049】
(3)車両の現在位置が外部メモリ24に保持されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した際、現在位置周辺における高高地エリアの有無によって、外部メモリ24に読み込む高高地判定エリアデータの範囲を減縮する。このようにすることで、外部メモリ24に記憶する高高地判定エリアデータの範囲内に、高高地エリアでない分割エリアを極力含まないようにすることができる。その結果、外部メモリ24に記憶する高高地判定エリアデータの範囲が減縮され、データ量が低減するため、高高地判定エリアデータを記憶するための記憶容量を更に節約することが可能である。
【0050】
[4.別実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な態様にて実施することが可能である。例えば、本発明は、上記実施形態の車載用ナビゲーション装置1に限らず、ハードディスクドライブを外部記憶装置として用いるカーオーディオ等の車載装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態の車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】高高地判定エリアデータの概要を模式的に示す説明図である。
【図3】「高高地判定エリアデータ制御処理」の手順を示すフローチャートである。
【図4】ハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込むべき高高地判定エリアデータの範囲を決定する方法の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】ハードディスクドライブ23から外部メモリ24へ読み込むべき高高地判定エリアデータの範囲を決定する方法の一例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1…車載用ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…車速センサ、22…操作スイッチ群、23…ハードディスクドライブ、24…外部メモリ、25…表示装置、26…音声出力装置、29…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置としてハードディスクドライブを備え、このハードディスクドライブから読み出したデータに基づいて所定の処理を行い、さらに、車両の現在位置を検出する位置検出手段を備え、この位置検出手段により検出された現在位置が所定の高高度以上の地域を含む高高地エリアであると判定した場合、前記ハードディスクドライブの作動を禁止する機能を有する車載装置であって、
前記ハードディスクドライブは、前記位置検出手段により検出される位置座標に対応する座標平面を所定区域ごとに区切った各分割エリアに対して、個々の分割エリアが前記高高地エリアであるか否かを定義する高高地判定エリアデータを記憶しており、
前記ハードディスクドライブに記憶されている全分割エリア分の高高地判定エリアデータのうち、一部の分割エリアに対応する高高地判定エリアデータを記憶する記憶手段と、
車両の現在位置が前記記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した場合、前記ハードディスクドライブに記憶されている全分割エリアの高高地判定エリアデータのうち、現在位置に該当する分割エリアから、この分割エリアの直近の高高地エリアから連続する高高地エリア全域に該当する分割エリアまでを少なくとも含む範囲の前記高高地判定エリアデータを前記ハードディスクドライブから読み出し、これを前記記憶手段に記録する高高地判定エリアデータ記録手段と、
前記位置検出手段により検出された位置座標を、前記記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータに照らし合わせることで現在位置が前記高高地エリアであるか否かを判定する高高地判定手段とを備えること
を特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置において、
前記高高地判定エリアデータ記録手段は、車両の現在位置が前記記憶手段に記憶されている高高地判定エリアデータの範囲から脱した場合、現在位置に該当する分割エリアを中心とする周辺の所定範囲内に前記高高地エリアに該当する分割エリアが存在しなければ、現在位置に該当する分割エリアを中心とする所定の最小範囲に該当する前記高高地判定エリアデータを前記ハードディスクドライブから読み出し、これを前記記憶手段に記録すること
を特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載装置であって、
前記ハードディスクドライブは地図データを記憶しており、このハードディスクドライブから読み出した地図データに基づいて目的地までの経路案内を行う車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車載装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記高高地判定エリアデータ記録手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−80039(P2009−80039A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250006(P2007−250006)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】