説明

軸受、現像装置、及び画像形成装置

【課題】現像剤が軸受から漏れ出したことを早期に把握可能とし、漏れ出した現像剤が用紙に付着して画像品質の低下を招いたり、歯車を摩耗させてしまうようなことを簡単なメンテナンスで防止できる軸受と、該軸受を有する現像装置、及び該現像装置を有する高生産性の画像形成装置の提供。
【解決手段】軸方向の一方の端部に位置するフランジと、粉体が回転軸との間隙から漏れ出すことを抑制するシール部材と、軸方向の他方の端部に開口を有し該シール部材を収容する収容部と、を有する軸受において、
前記収容部は、前記シール部材の前記軸方向の厚さに2を乗じた寸法以上の深さの穴であり、
単一の前記シール部材が前記収容部に収容してあることを特徴とする軸受。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受、軸受を有する現像装置、及び該現像装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、微少な粉体である現像剤として例えば磁性体であるキャリアと非磁性体であるトナーを有する2成分現像剤を用いる現像方式のものがある。
【0003】
このような方式の現像装置として、固定磁石を内部に配置し、外周を非磁性の回転するローラで構成した現像ローラの表面に、現像剤を付着させて担持、搬送し、現像ローラに対向して配置された感光体の表面に、現像剤中のトナーを移行、付着させてトナー像を形成しているものが知られている。
【0004】
現像剤は現像装置等でスクリュウによって攪拌・搬送され、これによりトナーはキャリアと接触することにより摩擦帯電し、現像ローラの表面に付着する。
【0005】
微少な粉体の現像剤を用いる現像装置は、現像装置からの現像剤の漏れを防止するためスクリュウを回転可能に支持する軸受を有し、この軸受にGシールを使用したもの(例えば特許文献1参照。)、
又、軸受に2重のGシールを使用したもの(例えば特許文献2参照。)、が従来知られている。
【特許文献1】特開2003−316154号公報
【特許文献2】特開2001−125374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された軸受では現像剤が微少な粉体であるため現像剤が軸受のシール部分に侵入することを100%は阻止できず、長期間の稼働に対しては現像剤がシール部に堆積し、堆積した現像剤がシール材や軸に傷を生じさせ、現像装置から現像剤が漏れ出し用紙に付着して画像品質を低下させ、又、歯車などに付着すると歯車を摩耗させてしまう可能性があり、
メンテナンスにより漏れ対策を行うには、軸受や軸を交換する以外になくその間画像形成が不能となり生産性を低下させてしまうという問題点があった。
【0007】
また特許文献2に記載の現像装置においても同様な問題点があった。
【0008】
本願発明は上記問題点に鑑み、現像剤が軸受から漏れ出したことを早期に把握可能とし、漏れ出した現像剤が用紙に付着して画像品質の低下を招いたり、歯車を摩耗させてしまうようなことを簡単なメンテナンスで防止できる軸受と、該軸受を有する現像装置、及び該現像装置を有する高生産性の画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0010】
1.軸方向の一方の端部に位置するフランジと、粉体が回転軸との間隙から漏れ出すことを抑制するシール部材と、軸方向の他方の端部に開口を有し該シール部材を収容する収容部と、を有する軸受において、
前記収容部は、前記シール部材の前記軸方向の厚さに2を乗じた寸法以上の深さの穴であり、
単一の前記シール部材が前記収容部に収容してあることを特徴とする軸受。
【0011】
2.前記収容部は、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の深さを有していることを特徴とする前記1項に記載の軸受。
【0012】
3.前記シール部材は、収容部内を前記軸方向に移動可能に収容されていることを特徴とする前記1又は2項に記載の軸受。
【0013】
4.前記収容部の内壁は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の寸法毎に、異なる色に着色され、又は異なる記号が付され、
又は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の位置毎に、内側に突き出た突起を有していることを特徴とする前記3項に記載の軸受。
【0014】
5.前記シール部材は、開口側の端面が、前記他方の端部と同位置となるように収容されていることを特徴とする前記1又は2項に記載の軸受。
【0015】
6.前記シール部材は、開口側の端面が、前記他方の端部から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の寸法だけフランジ側に移動した位置となるように収容されていることを特徴とする前記1又は2項に記載の軸受。
【0016】
7.前記1〜6の何れか1項に記載の軸受を有することを特徴とする現像装置。
【0017】
8.前記粉体は現像剤であり、前記回転軸は前記現像剤を撹拌するスクリュウの回転軸で有ることを特徴とする前記7項に記載の現像装置。
【0018】
9.前記8項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回転軸等に傷が発生しても、シール部材の取り付け位置が異なる軸受に容易に交換可能としたことによって、漏れ出した現像剤が用紙に付着して画像品質の低下を招いたり、歯車を摩耗させてしまうようなことを簡単に防止できる軸受と、該軸受を有する現像装置、及び該現像装置を有する高生産性の画像形成装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明の構成は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内において適宜変更可能である。
【0021】
また、本発明の軸受は必ずしも画像形成装置に用いられるものではなく、後述するような微細な粉体を扱う軸受に好適に用いられるもので、以下に画像形成装置を例に取り説明する。
【0022】
又、同様な粉体が混合されたような液体を扱う軸受、及び装置にも適応可能である。
【0023】
なお、同一部材であれば、各図共通して同一の部番を付してある。
【0024】
図1は、現像装置を有する画像形成装置の一形態を示す断面図である。
【0025】
画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2と画像読取部3と画像形成部4と現像剤補給部5と現像装置6と定着装置7と給紙部8とを有している。
【0026】
原稿は自動原稿搬送装置2の原稿給紙台21上に載置されており、送り出しローラ22の作動により一枚ずつ送り出される。
【0027】
送り出された原稿はレジストローラ23により先端が整えられた後、搬送ドラム24に搬送され、搬送ドラム面と一体に回転する過程で画像読取手段としての画像読取部3により画像面の読取が行われ、しかる後ドラム面より分岐し排紙台25に排出される。
【0028】
画像読取部3においては光源331が搬送ドラム24の直下の位置で、通過する原稿を順次照明する。
【0029】
そして、原稿の移動方向に直交するよう配置した、ミラー332を備える第1ミラーユニット33及びミラー341とミラー342を備える第2ミラーユニット34により原稿画像を反射し、結像レンズ35を介してライン状の撮像素子36に結像させ、原稿画像を読み取る。
【0030】
また、プラテンガラス27に原稿を載置して画像情報を読み取る場合には、第1ミラーユニット33及び第2ミラーユニット34が移動して、結像レンズ35を介してライン状の撮像素子36に原稿画像を結像させる。
【0031】
画像読取部3において読取られた原稿の画像情報は図示しない画像処理部にて画像処理が行われデジタル画像データとして一旦メモリに格納される。
【0032】
画像形成のスタートにより画像形成手段である画像形成部4が作動開始し、前記のデジタル画像データがメモリより呼び出されて画像書込部43に入力される。
【0033】
画像書込部43では、レーザ発光器(不図示)からデジタル画像データに従って投射されたレーザビームがポリゴンミラーにより感光体ドラム41に対して副走査が行われ、原稿画像の静電潜像を形成する。
【0034】
前記の静電潜像は現像装置6により反転現像されてトナー像とされる。
【0035】
これに並行して記録紙を収容する給紙部8の各給紙カセット81、82、83の何れか、又は手差し給紙部85が作動して記録紙が供給される。
【0036】
供給された記録紙は搬送ローラ93、94により搬送され、停止したレジストローラ95に突き当てられ、この突き当てにより用紙の曲がり等が補正される。
【0037】
その後、用紙は感光体ドラム41上のトナー像に同期して転写ニップ部96に給送され、転写器45によってトナー像の転写を受ける。
【0038】
転写によりトナー像を担持した記録紙は除電器46において除電されて感光体ドラム41より分離される。
【0039】
そして、トナー像を担持した記録紙は搬送ベルトにより定着装置7に搬送される。
【0040】
次いで、定着ローラ71と圧着ローラ72の圧着加熱により記録紙上のトナーが定着され、トナーが定着した記録紙は排紙トレイ97に排出される。
【0041】
一方、記録紙を分離した感光体ドラム41は残留電位を除去したあとクリーニング装置47において残留トナーを除去清掃されて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0042】
このようにして画像形成が行われ、消費されたトナーは現像剤補給部5を経由して現像装置6へ補給される。
【0043】
図2は、画像形成部を示す構成図である。
【0044】
図3は、現像装置を上から見た断面図である。
【0045】
以下、図2と図3を参照して現像装置6について説明する。
【0046】
図2において、現像装置6は、現像剤Gを一時的に収容する現像剤収容部61と、
現像剤収容部61内の現像剤Gを攪拌しながら搬送する第1のスクリュウ62と第2のスクリュウ63と、
第2のスクリュウ63で搬送された現像剤Gを現像ローラ65に向けて送り出すパドル64と、
感光体ドラム41に対向して回転する現像ローラ65と、これらを内装する筐体60とを有している。
【0047】
そして、第1のスクリュウ62の回転軸621及び第2のスクリュウ63の回転軸631より若干上側に現像剤Gの上側表面が来るように、現像剤補給部5から現像装置6に向けてトナーが補給されている。
【0048】
そして、第1のスクリュウ62と第2のスクリュウ63とにより現像剤Gは撹拌、搬送されトナーとキャリアが混合され、摩擦帯電により電荷が付与される。
【0049】
図3において、第1のスクリュウ62は、回転軸621を中心に直径方向に延びる螺旋状の羽根である螺旋羽根622を有し、軸受623により回転可能に支持されている。
【0050】
第1のスクリュウ62は回転によって現像剤Gを攪拌しながら矢印a方向に搬送する。
【0051】
第2のスクリュウ63は、回転軸631を中心に直径方向に延びる螺旋状の羽根である螺旋羽根632を有し、軸受633により回転可能に支持されている。
【0052】
第2のスクリュウ63は回転によって現像剤Gを攪拌しながら矢印b方向に搬送する。
【0053】
そして、第1のスクリュウ62により矢印a方向に搬送される現像剤Gは、筐体60の一方の切り欠きC1を乗り越えて第2のスクリュウ63により矢印b方向に搬送され、筐体60の他方の切り欠きC2を乗り越えて再び第1のスクリュウ62により矢印a方向に搬送される。
【0054】
なお、第2のスクリュウ63により搬送される現像剤Gの一部はパドル64に向けて送り出される。
【0055】
パドル64は、回転軸641に平行な複数の羽642を有し、回転軸641を回転させることで現像剤Gを現像ローラ65に向けて送り出す。
【0056】
現像ローラ65は、固定された磁石651を内装し、回転可能な非磁性の現像ローラ652を有している。
【0057】
これにより、現像ローラ652の表面に、現像剤Gを付着させて担持、搬送し、現像ローラに対向して配置された感光体41の表面に、現像剤中のトナーを移行、付着させてトナー像を形成するようになっている。
【0058】
なお、これらの駆動は不図示の駆動モータMにより行われ、モータから各回転部材への動力伝達は、例えば歯車(図番無し)からなる動力伝達系により行われる。
【0059】
ここで、使用する現像剤Gとしては例えば2成分現像剤が挙げられる。
【0060】
2成分現像剤においては、非磁性トナーとしては、体積平均粒径が3〜9μmの重合トナーを用い、キャリアとしては、体積平均粒径が30〜65μmで磁化量が20〜70emu/gの磁性粒子からなるフェライトコアのキャリアを用いることが好ましい。
【0061】
重合トナーを用いることにより、高解像力であり、濃度が安定し、かぶりの発生が極めて少ない画像形成装置が可能となる。
【0062】
キャリアは30μmよりも粒径が小さいとキャリア付着が生じやすくなる。また、65μmよりも粒径が大きいと均一な濃度の画像が形成されない場合が生じうる。
【0063】
このように、現像剤は微少な非磁性トナーとキャリアとが混合された粉体を用いる。
【0064】
勿論、1成分現像剤を用いることもできることは言うまでもない。
【0065】
現像剤G(不図示)を攪拌・搬送する第1のスクリュウ62と第2のスクリュウ63と、パドル64のうち、特に回転軸が現像剤Gに没してしまうことが多い第1のスクリュウ62と、第2のスクリュウ63とにおいては、
現像剤Gが上述したように微少な粉体であるために、回転軸621と軸受623との間、又、回転軸631と軸受633との間、(又、回転軸641とその軸受との間)に現像剤が侵入してしまう場合がある。
【0066】
回転軸631と軸受633との間等に長期にわたって現像剤が侵入し、例えば固化してしまったような場合は回転軸の回転により軸受及び回転軸に傷が生じ、現像装置から現像剤が漏れ出し、漏れ出した現像剤が用紙に付着し画像品質を劣化させたり、歯車等に付着した場合は歯車を摩耗してしまうという問題点を生じていた。
【0067】
本発明は、長期間稼働したような場合には現像剤が回転軸と軸受との間に侵入してしまうことを前提とし、
現像剤の侵入により仮に回転軸等に傷が生じたような事態となっても、僅かなメンテナンスにより現像剤の現像装置からの外部漏れ出しを修復可能とするものである。
【0068】
なお図3は、後述するシール部材が軸受のシール部材収容部の一番奥側に収容されている場合を図示している。
【0069】
発明の理解を容易にするため、先ず従来の軸と軸受の関係について説明する。
【0070】
図4は、従来の軸受に関する説明図である。
【0071】
図4(a)は、軸受からの現像剤の漏れ出しのない、正常な状態の軸及び軸受の説明図で、図4(b)は現像剤により軸に傷ができてしまい、軸受からの現像剤の漏れ出しのある状態の説明図である。
【0072】
図4(a)において、軸101(回転軸621、回転軸631に相当)は、軸受102(軸受623、軸受633に相当)のシール部材103を介して筐体104及び軸受102に対して回転可能に取り付けられている。
【0073】
また、シール部材103は軸受102の段部105に突き当てられるように設置されている。
【0074】
軸受102は軸101との間隙部106を有し、シール部材103のリップ107と軸101との間から漏れ出した現像剤を貯留可能となっている。
【0075】
また、間隙部106で貯留された現像剤は、間隙部106から外部に向かって貫通する貫通穴108を通って外部に漏れ出すことができるようになっている。
【0076】
図4(b)は、長期の稼働により、シール部材103のリップ107と軸101との間に現像剤Gが侵入して、シール部材103と軸101との表面に傷109を作ってしまったような場合を示している。
【0077】
そして、このような状態になったことは、例えば現像剤Gが貫通穴108を通って外部に漏れ出してしまうことで把握できるようになっている。
【0078】
シール部材103と軸101との表面に傷109ができてしまったような場合は、より容易に現像剤が現像装置6の外部に漏れ出しやすくなり、漏れ出した現像剤が用紙に付着し画像品質を劣化させたり、歯車等に付着した場合は歯車を摩耗してしまうという問題点を生じていた。
【0079】
また、修復にはシール部材103と軸101(スクリュウ)との双方を交換せねばならず多くの時間を必要とし、その間装置を停止させるため、生産性を大幅に悪化させてしまっていた。
【0080】
以下に、(課題を解決するための手段)1項、2項、5項及び6項に記した、軸受けを交換して(回転軸621に対して異なる位置にシール部材103が収納された軸受)傷等による現像剤の漏れ出し防止を図る構成と方法について図5を参照して説明する。
【0081】
図5は、第1〜第3の形態の軸受に関する説明図である。
【0082】
軸受623と軸受633、及び回転軸621(第1のスクリュウ62)と回転軸631(第2のスクリュウ63)は同じ構成をしているので、以下軸受623と回転軸631について説明する。
【0083】
図5(a)は、第1の形態の軸及び軸受の説明図である。
【0084】
(課題を解決するための手段)第2項に記した、第1の形態の軸受623は、現像剤により軸に傷ができてしまう前に好適に用いることができる。
【0085】
図5(b)は、第2の形態の軸及び軸受の説明図である。
【0086】
第2の形態の軸受623’は、第1の形態の軸受で、現像剤により軸に傷ができてしまった後に好適に用いることができる。
【0087】
図5(c)は、第3の形態の軸及び軸受の説明図である。
【0088】
第3の形態の軸受623”は、第1及び第2の形態の軸受で、現像剤により軸に傷ができてしまった後に好適に用いることができる。
【0089】
図5(a)において、筐体60に軸受623(633)が圧入されている。
【0090】
軸受623は、現像剤をシールする単一のシール部材103を収容する収容部623a、と軸受623と回転軸621との間隙部623bと、間隙部623bに貯留した現像剤を外部に排出する貫通穴23cと、を有している。
【0091】
なお、収容部623aは段部623eを境に、収容部623aより直径が小さい間隙部623bに連通している。
【0092】
そして、軸受623は軸方向の一方の端部にフランジ623dを有し、他方の端部に収容部623aの開口を有している。
【0093】
収容部623aは、回転軸621の軸心を中心とし、軸心に直交した断面が円形の穴で、シール部材103の外経d1より僅かに(例えば0.1〜0.5mm)小さい内径d2で、深さdPはシール部材103の厚さtの2倍以上(2倍〜5倍)の深さを有している。
【0094】
そして、第1の形態においては、収容部623aには単一のシール部材103が収容され、単一のシール部材103は、軸受の開口側の端面zが、軸受の開口側の端面Zと、略同位置となるように収容(固定)してある。
【0095】
なお、内径d2は、シール部材103の物性(例えば剛性等)に応じて決まる寸法で、リップ107が外経d1に摺動可能に密接して、現像剤の漏れを効率的に抑制し、且つ無理なく回転軸621が回転でき、且つ回転軸621の回転等により容易にシール部材103が軸方向に移動してしまわない寸法であればよい。
【0096】
また、深さはdPは、2倍以上であればいくつであっても良いが、メンテナンス回数と現像装置の物理的な大きさを考慮して2〜3倍程度の整数倍が好ましい。
【0097】
収容部623aは最奥部が間隙部623bと連通している。
【0098】
間隙部623bは、収容部623aの内径より小さい内径を有し、シール部材103のリップ107と回転軸621との間から漏れ出した現像剤を貯留可能となっている。
【0099】
間隙部623bで貯留された現像剤は、間隙部623bから外部に向かって貫通する貫通穴623cを通って外部に漏れ出すことができるようになっている。
【0100】
また、軸受623の収容部623aを、軸受623のフランジ623dと反対側に開口させたことにより、シール部材103を軸受623に装着時及びフランジ623d側の所定の位置に押し込む時に、シール部材103を回転軸621についた傷に触れることを無くすことができ2次故障の発生を防止できるようになっている。
【0101】
以下、第2、第3の形態について説明する。
【0102】
なお、第2、第3の形態の軸受けは、第1の形態の軸受に対してシール部材103の取り付け位置が異なるのみで、他は変わらないので、取り付け位置以外については説明を省略する。
【0103】
図5(b)において、シール部材103’は、第1の形態における取り付け位置に取り付けられたシール部材を示し、傷109はシール部材103’により付けられた傷を示している。
【0104】
また、シール部材103は第2の形態における取り付け位置に取り付けられたシール部材を示している。
【0105】
第2の形態において、シール部材103は、軸受の開口側の端面z1が、軸受の開口側の端面Zから、シール部材103の軸方向の厚さtの1倍の寸法だけフランジ623d側に移動した位置に収容(固定)されている。
【0106】
軸受を第1の形態の軸受623に対して、第2の形態の軸受623’に交換することにより、
傷の付いていない部分にシール部材が位置した軸受に交換可能となっている。
【0107】
図5(c)において、傷109は第1及び第2の形態の軸受けにより付けられた傷を示している。
【0108】
また、シール部材103は第3の形態における取り付け位置に取り付けられたシール部材を示している。
【0109】
第3の形態において、シール部材103は、軸受の開口側の端面z2が、軸受の開口側の端面Zから、シール部材103の軸方向の厚さtの2倍の寸法だけフランジ623d側に移動した位置に収容(固定)されている。
【0110】
軸受を、第1の形態の軸受623及び第2の形態の軸受623’に対して、第3の形態の軸受623”に交換することにより、
傷の付いていない部分にシール部材が位置した軸受に交換可能となっている。
【0111】
以上説明したように、シール部材103の厚さの整数倍の深さを有する収容部623aの、異なる位置にシール部材103を配設した軸受により、回転軸621に傷が発生しても、シール部材103の位置が異なる(よりフランジ側の)軸受に交換することによって、現像剤の現像装置からの漏れを抑制可能となった。
【0112】
ここで、参考のためメンテナンスマンが行う軸受623の交換作業について説明する。
【0113】
メンテナンスマンは貫通穴623cから現像剤が漏れ出すことにより、シール部材103又は回転軸621の異常を把握できる。
【0114】
回転軸621から回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を抜き、所定の治工具で、筐体60に圧入されている軸受623を引き抜く。
【0115】
次いで、回転軸621に何処まで傷が付いているかを確認し、
予め準備しておいた第2の形態の軸受623’又は第3の形態の軸受623”のうち傷に応じた軸受を回転軸621に挿入し、所定の治工具で筐体60に圧入し、回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を回転軸621に挿入する。
【0116】
シール部材の収容部の奥行き寸法をシール部材の厚さの整数倍(例えば3倍)としたことにより、回転軸621に傷が発生しても、シール部材103の取り付け位置が異なる軸受に交換可能とでき、現像剤の現像装置からの漏れを抑制可能となった。
【0117】
以上、軸受を交換する構成と、方法について説明したが、
以下に、(課題を解決するための手段)1項、2項、3項及び4項に記した、回転軸621に対するシール部材103の位置を移動させて、傷等による現像剤の漏れ出し防止を図る、第4の形態の軸受の構成と方法について図5を参照して説明する。
【0118】
軸、軸受及びシール部材については、図5(a)を参照して説明した前述の回転軸621とシール部材103と軸受623とほぼ同様な構成を有している。
【0119】
このため、シール部材103の移動に関する構成について説明する。
【0120】
収容部623aはシール部材の厚さの整数倍(例えば3倍)の奥行きを有し、収容部623aの中には単一のシール部材103が軸方向に移動可能に収容されている。
【0121】
また、収容部623aの内壁は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の寸法毎に、異なる色に着色(不図示)され、又は異なる記号(不図示)が付され、
又は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の位置毎に、内側に突き出た突起(不図示)を有している。
【0122】
そして、単一のシール部材103は、軸受の開口側の端面zが、軸受の開口側の端面Zと、略同位置となるように収容してある。
【0123】
本形態においては、単一のシール部材103が収容部623aの内部を軸方向に移動可能としたため、現像剤によって回転軸621に傷が発生したような場合、メンテナンスマンは単一のシール部材を回転軸621に沿って、回転軸621に傷がない部分まで移動可能となっている。
【0124】
参考のためメンテナンスマンが行うシール部材103の移動作業について説明する。
【0125】
メンテナンスマンは貫通穴623cから現像剤が漏れ出すことにより、シール部材103又は回転軸621の異常を把握できる。
【0126】
回転軸621から回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を抜き、所定の治工具で、筐体60に圧入されている軸受623を引き抜く。
【0127】
次いで、軸受623内壁に開口側の端面Zから、シール部材103の軸方向の厚さtの整数倍の寸法毎に着色された、異なる色の帯、又は異なる記号(例えば矢印等)、又は開口側の端面Zから、シール部材103の軸方向の厚さtの整数倍の位置毎に、内側に突き出た高さ0.1〜0.3mm程度のリング状の突起(不図示)を目印として、
例えばシール部材103を図5(a)に示した位置から、図5(b)に示した位置に移動する。
【0128】
更に、傷の発生に応じてシール部材103を図5(b)に示した位置から、図5(c)に示す位置に移動させることは言うまでもない。
【0129】
次いで、軸受623を回転軸621に挿入し、所定の治工具で筐体60に圧入する。
【0130】
そして、回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を回転軸621に挿入する。
【0131】
以上説明したように、シール部材の収容部の奥行き寸法をシール部材の厚さの整数倍(例えば3倍)とし、且つシール部材の軸方向の厚さの整数倍の位置毎に目印を設けたことにより、回転軸621に傷が発生しても、シール部材103を容易且つ確実に順次フランジ623d側に移動可能とでき、現像剤の現像装置からの漏れを抑制可能となる。
【0132】
又、シール部材を当初開口側に配設することにより、傷が発生する毎にシール部材をシール部材の厚さ分奥側(フランジ側)に移動可能となり、軸の傷によって移動時にシール部材を傷つける2次故障を防止することも可能となる。
【0133】
図6は、第5の形態の軸受に関する説明図である。
【0134】
以下、図6を参照して軸方向にシール部材の取り付け位置が異なる軸受と、軸について説明する。
【0135】
軸受623’(633’)は、図4で説明した従来の軸受100の使用中に現像剤の漏れが発生した場合に、好適に用いられる軸受であり、
回転軸621とシール部材103は、図5で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0136】
なお、図4に示した従来の軸受100は、シール部材103の収容部の深さがシール部材103の厚さと略同一寸法で、このため、フランジと反対側の軸受の端面と、シール部材103の端面が略一致している。
【0137】
図6(a)は、回転軸621に対するシール部材103の取り付け位置が、図4に示す従来の軸受におけるシール部材103の取り付け位置より、よりフランジ623d’に近い位置に取り付けられた軸受で、
図6(b)は、図6(a)に示す軸受におけるシール部材103の取り付け位置より、更にフランジ623d’に近い位置にシール部材103が取り付けられた軸受である。
【0138】
図6(a)において、第5の形態の軸受623’(633’)は、現像剤をシールするシール部材103を収容する収容部623a’と、軸受623’と回転軸621との間隙部623b’と、間隙部623b’に貯留した現像剤を外部に排出する貫通穴23c’と、を有している。
【0139】
収容部623a’は、軸受623’のフランジ623d’と反対側を開口として、軸受623’の軸心を中心とした断面が円形の、フランジ623d’側に向かう穴で、シール部材103の外経d1より僅かに小さい内径d2’で、深さdP’はシール部材103の厚さtの2倍以上(2倍〜5倍)の深さを有している。
【0140】
なお、内径d2’は、シール部材103の物性(例えば剛性等)に応じて決まる寸法で、リップ107が外経d1に摺動可能に密接して、現像剤の漏れを効率的に抑制し、且つ無理なく回転軸621が回転できる寸法であればよい。
【0141】
また、深さはdP’は、2倍以上であればいくつであっても良いが、メンテナンス回数と現像装置の物理的な大きさを考慮して2〜3倍程度が好ましい。
【0142】
収容部623a’は最奥部がシール部材103を突き当てる段部623e’となり、シール部材103は段部623e’に突き当てて配設されている。
【0143】
又、段部623e’と連通している間隙部623b’はシール部材103のリップ107と回転軸621との間から漏れ出した現像剤を貯留可能となっている。
【0144】
間隙部623b’で貯留された現像剤は、間隙部623b’から外部に向かって貫通する貫通穴623c’を通って外部に漏れ出すことができるようになっている。
【0145】
ここで、参考のためメンテナンスマンが行う軸受の交換作業について説明する。
【0146】
回転軸621から回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を抜き、所定の治工具で、筐体60に圧入されている軸受623を引き抜く。
【0147】
次いで、回転軸621に何処まで傷が付いているかを確認し、
予め準備しておいた第5の形態の軸受を回転軸621に挿入し、所定の治工具で筐体60に圧入し、回転軸を駆動する歯車(不図示)とEリング623f等を回転軸621に挿入する。
【0148】
シール部材の収容部の奥行き寸法をシール部材の厚さの整数倍としたことにより、回転軸621に傷が発生しても、シール部材103の取り付け位置が異なる軸受に交換可能とでき、現像剤の現像装置からの漏れを抑制可能となった。
【0149】
図7は、第6の形態の軸受に関する説明図である。
【0150】
第6の形態の軸受624は図5を参照して説明した軸受と、軸を回転可能に支持する構成が異なるのみで、他は同様なため、軸を回転可能に支持する構成以外は説明を省略する。
【0151】
図5を参照して説明した軸受は軸受623の収容部623aに配設したシール部材103を介して回転軸621を回転可能に支持していたのに対して、
第6の形態の軸受624は、軸受624のフランジ624d側に配設したベアリング624gを介して回転軸621を回転可能に支持している。
【0152】
ベアリング624gを介して回転軸621を回転可能に支持することにより、シール部材103で回転軸621の支持機能を負わす必要がなくなるため剛性が小さくでき、シール部材103の選定が容易になると共に、摺動による発熱が小さくでき、回転軸621を駆動する駆動部の駆動力を小さくでき発熱も低減可能となる。
【0153】
以上説明した軸受により、現像剤が軸受から漏れ出したことを早期に把握可能とし、漏れ出した現像剤が用紙に付着して画像品質の低下を招いたり、歯車を摩耗させてしまうようなことを簡単なメンテナンスで防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】現像装置を有する画像形成装置の一形態を示す断面図である。
【図2】画像形成部を示す構成図である。
【図3】現像装置を上から見た断面図である。
【図4】従来の軸受に関する説明図である。
【図5】第1〜第3の形態の軸受に関する説明図である。
【図6】第4の形態の軸受に関する説明図である。
【図7】第5の形態の軸受に関する説明図である。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成装置
6 現像装置
61 現像剤収容部
62 第1のスクリュウ
63 第2のスクリュウ
621 回転軸
623 軸受
623a 収容部
623d フランジ
624 軸受
624a 収容部
624d フランジ
624g ベアリング
631 回転軸
633 軸受
dP 深さ
t 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方の端部に位置するフランジと、粉体が回転軸との間隙から漏れ出すことを抑制するシール部材と、軸方向の他方の端部に開口を有し該シール部材を収容する収容部と、を有する軸受において、
前記収容部は、前記シール部材の前記軸方向の厚さに2を乗じた寸法以上の深さの穴であり、
単一の前記シール部材が前記収容部に収容してあることを特徴とする軸受。
【請求項2】
前記収容部は、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の深さを有していることを特徴とする請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
前記シール部材は、収容部内を前記軸方向に移動可能に収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受。
【請求項4】
前記収容部の内壁は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の寸法毎に、異なる色に着色され、又は異なる記号が付され、
又は、開口側の端面から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の位置毎に、内側に突き出た突起を有していることを特徴とする前記3項に記載の軸受。
【請求項5】
前記シール部材は、開口側の端面が、前記他方の端部と同位置となるように収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受。
【請求項6】
前記シール部材は、開口側の端面が、前記他方の端部から、前記シール部材の前記軸方向の厚さの整数倍の寸法だけフランジ側に移動した位置となるように収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の軸受を有することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
前記粉体は現像剤であり、前記回転軸は前記現像剤を撹拌するスクリュウの回転軸で有ることを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−44153(P2010−44153A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206801(P2008−206801)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】