説明

追跡ロボット装置、追跡ロボット制御方法、追跡ロボット制御プログラム、ホモグラフィー行列取得装置、ホモグラフィー行列取得方法、およびホモグラフィー行列取得プログラム

【課題】リアルタイム性を確保し且つ安定性の高いトラッキングを行う。
【解決手段】ホモグラフィー行列取得装置30は、撮像装置11が出力する画像データを取り込む。ホモグラフィー行列取得装置30は、画像データごとに局所的ホモグラフィー行列を計算し、また、その計算レートよりも低いレートで、大域的ホモグラフィー行列を計算する。ホモグラフィー行列取得装置30は、画像データごとに、局所的ホモグラフィー行列を用いて画像データを変換し、参照画像との相関を求める。相関が高い場合は、当該画像データに対応して計算した局所的ホモグラフィー行列が読み出されるように制御する一方、相関が低い場合は、最新の大域的ホモグラフィー行列が読み出されるように制御する。ロボット制御装置45は、ホモグラフィー行列取得装置30からホモグラフィー行列データを読み込んでロボット本体12の姿勢を計算し動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追跡ロボット装置、追跡ロボット制御方法、追跡ロボット制御プログラム、ホモグラフィー行列取得装置、ホモグラフィー行列取得方法、およびホモグラフィー行列取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンド部に撮像装置を取り付けたマニピュレーターを制御し、撮像装置の位置および向きを自在に動かして検査対象物体を撮像し、その撮像画像に基づいて外観検査を行う検査システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ロボットのアームに取り付けられたカメラがあらかじめ検査対象物体を撮影して得た参照画像を記憶しておき、当該ロボットが、実際の検査対象物体の撮像画像と参照画像とに基づく視覚フィードバック制御に基づいて、アームの姿勢を制御し検査対象物体を追跡する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−302345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の検査システムにおいては、トラッキングのリアルタイム性と安定性とはトレードオフの関係にある。すなわち、トラッキングの処理速度を速くしてリアルタイム性を確保しようとすると、検査対象物体の誤検出数が多くなる一方、トラッキングの処理時間に余裕をもたせると、検査対象物体の誤検出数は少なくなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リアルタイム性を確保し且つ安定性の高いトラッキングを行うことのできる、追跡ロボット装置、追跡ロボット制御方法、追跡ロボット制御プログラム、ホモグラフィー行列取得装置、ホモグラフィー行列取得方法、およびホモグラフィー行列取得プログラム、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である追跡ロボット装置は、可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体と、前記ハンド部に設けられ、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像部と、前記検査対象物体の参照画像データを記憶する参照画像記憶部と、前記撮像部が出力した画像データを取り込む画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、前記ホモグラフィー行列転送部から、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御部と、を備えることを特徴とする。
[2]上記[1]記載の追跡ロボット装置において、前記画像相関分析部は、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求めることを特徴とする。
[3]上記[2]記載の追跡ロボット装置において、前記局所的ホモグラフィー行列取得部は、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算することを特徴とする。
【0007】
[4]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である追跡ロボット制御方法は、可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体の前記ハンド部に設けられた撮像部が、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像ステップと、前記撮像ステップにおいて出力した画像データを取り込む画像データ取得ステップと、前記画像データ取得ステップにおいて取り込んだ第1の画像データと参照画像記憶部に記憶された参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得ステップと、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換ステップと、前記画像データ変換ステップにおいて生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析ステップと、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が閾値を超える場合に、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶部に記憶し、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が前記閾値以下である場合に、前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された参照画像データとの画像の特徴点の相対位置に基づいて計算されて記憶された第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで前記記憶部に記憶するホモグラフィー行列転送ステップと、前記ホモグラフィー行列転送ステップにおいて前記記憶部に記憶した、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして前記記憶部から読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御ステップと、を有することを特徴とする。
[5]上記[4]記載の追跡ロボット制御方法において、前記画像相関分析ステップは、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求めることを特徴とする。
[6]上記[5]記載の追跡ロボット制御方法において、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップは、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算することを特徴とする。
【0008】
[7]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である追跡ロボット制御プログラムは、可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体と、前記ハンド部に設けられ、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像部とを制御するための、前記検査対象物体の参照画像データを記憶する参照画像記憶部を備えたコンピューターを、前記撮像部が出力した画像データを取り込む画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、前記ホモグラフィー行列転送部から、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御部と、として機能させる。
[8]上記[7]記載の追跡ロボット制御プログラムにおいて、前記画像相関分析部は、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求める。
[9]上記[8]記載の追跡ロボット制御プログラムにおいて、前記局所的ホモグラフィー行列取得部は、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する。
【0009】
[10]上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるホモグラフィー行列取得装置は、参照画像データを記憶する参照画像記憶部と、画像データを取り込む画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
[11]上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるホモグラフィー行列取得方法は、画像データを取り込む画像データ取得ステップと、前記画像データ取得ステップにおいて取り込んだ第1の画像データと参照画像記憶部に記憶された参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得ステップと、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換ステップと、前記画像データ変換ステップにおいて生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析ステップと、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が閾値を超える場合に、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶部に記憶し、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が前記閾値以下である場合に、前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された参照画像データとの画像の特徴点の相対位置に基づいて計算されて記憶された第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで前記記憶部に記憶するホモグラフィー行列転送ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
[12]上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるホモグラフィー行列取得プログラムは、参照画像データを記憶する参照画像記憶部を備えたコンピューターを、画像データを取り込む画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、として機能させる。
【0012】
ここで、第1の画像データは現在のフレーム画像データであり、第2の画像データは第1の画像データよりも1フレーム前に該当するフレーム画像データである。なお、第2の画像データは第1の画像データよりも2フレーム以上前に該当するフレーム画像データであってもよい。
局所的ホモグラフィー行列は、並進が少なく且つ回転が小さい場合に有効なホモグラフィー行列である。また、大域的ホモグラフィー行列は、並進が多いかまたは回転が大きい場合、または並進が多く回転も大きい場合に用いられるロバストなホモグラフィー行列である。
第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列と第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列とのいずれのホモグラフィー行列を最終段に記憶するかは、第1の画像データをホモグラフィー行列変換した変換画像と参照画像との類似度に応じて決定する。つまり、変換画像と参照画像との画像相関が高い場合は第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を最終段に記憶し、変換画像と参照画像との画像相関が低い場合は第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を最終段に記憶する。
【0013】
一般的に、変換行列を計算してホモグラフィー行列を求める処理は、画像の特徴点を抽出して特徴点の相対位置を計算しこれら特徴点の相対位置によってホモグラフィー行列を求める処理よりもトラッキングの安定性(精度)が低い一方、処理負荷が大幅に軽い。また、変換行列の計算精度は、変換行列を計算するための空間領域が狭い(並進が少なく且つ回転が小さい)ほど高い。
よって、変換行列を計算しホモグラフィー行列を求めて記憶する処理を、変換画像と参照画像との画像相関が高い場合に限ることにより、トラッキングの高い安定性(高い精度)を確保することができる。
【0014】
したがって、本発明の一態様である追跡ロボット装置、追跡ロボット制御方法、追跡ロボット制御プログラム、ホモグラフィー行列取得装置、ホモグラフィー行列取得方法、およびホモグラフィー行列取得プログラムでは、変換画像と参照画像との画像相関が高い場合は、比較的処理負荷の軽い計算処理による局所的ホモグラフィー行列を最終段に記憶し、変換画と参照画像との画像相関が低い場合は、比較的処理負荷の重い大域的ホモグラフィー行列を最終段に記憶するようにした。
【0015】
このように構成したことにより、処理負荷が軽く且つ安定性の高いトラッキングを行うことができる。言い換えると、リアルタイム性を確保し且つ精度の高いトラッキングを行うことができる。これは、例えば、追跡ロボット装置において、検査対象物体の外観検査時間を短くするためにロボット本体の移動速度を速くした場合でも、トラッキングの誤認識が発生せず信頼性の高い外観検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態において、外観検査装置に含まれる検査ロボット装置の概略の外観図である。
【図2】外観検査装置の概略の機能構成を表すブロック図である。
【図3】ホモグラフィー行列取得装置の機能構成を表すブロック図である。
【図4】ホモグラフィー行列取得装置の、局所的ホモグラフィー行列の計算処理を含む処理の手順を表すフローチャートである。
【図5】ホモグラフィー行列取得装置の、大域的ホモグラフィー行列の計算処理の手順を表すフローチャートである。
【図6】ロボット制御装置の処理手順を表すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態の第1変形例であるビデオカメラ装置の概略の機能構成を表すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態の第2変形例であるビデオカメラ装置の概略の機能構成を表すブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の一実施形態において用いられるホモグラフィー行列について説明する。三次元空間における撮像装置の座標系をFとし、この撮像装置が任意の点Aを撮像して得る画像における点Aの像をp(ボールド体)=[u 1]とする。なお、“(ボールド体)”との記載は、その記載の直前の文字がボールド体であることを表し、その文字がベクトルまたは行列であることを示す。前記の撮像装置を移動し、その移動先における撮像装置の座標系をFとし、この撮像装置が前記の点Aを撮像して得る画像における点Aの像をp(ボールド体)=[u v 1]とする。また、FとFとの相対距離を表す並進ベクトルをt(ボールド体)とし、姿勢変化を表す回転ベクトルをR(ボールド体)とする。
【0018】
点Aが平面π上に存在するとき、点p(ボールド体)と点p(ボールド体)との関係を表す式として下記の式(1)が成立する場合を考える。ただし、sは、点Aと2つの座標系FとFとの距離の割合で決まる値である。G(ボールド体)は、ホモグラフィー行列である。
【0019】
【数1】

【0020】
ホモグラフィー行列G(ボールド体)は、3行3列の行列であり、下記の式(2)のように表される。
【0021】
【数2】

【0022】
また、ホモグラフィー行列G(ボールド体)は、下記の式(3)のように表すことができる。ただし、dは、撮像装置と平面πとの間の距離、n(ボールド体)は、平面πの法線ベクトルである。
【0023】
【数3】

【0024】
ホモグラフィー行列G(ボールド体)を推定することができれば、並進ベクトルt(ボールド体)、回転ベクトルR(ボールド体)、平面πの法線ベクトルn(ボールド体)、および撮像装置と平面πとの間の距離dを計算することができる。
【0025】
平面π上に存在する全ての点における、各点の撮像画像への投影点の座標の組を、式(1)を用いて表すと以下のようになる。まず、値sを下記の式(4)のように定義する。
【0026】
【数4】

【0027】
式(1)および式(4)により、下記の式(5)が成立する。ただし、w(ボールド体)は、ホモグラフィー行列G(ボールド体)の関数であり、透視投影変換行列である。この透視投影変換行列を用いて点p(ボールド体)を対応する点p(ボールド体)に変換することを、透視投影変換と呼ぶ。
【0028】
【数5】

【0029】
式(5)によれば、平面π上に存在する点については、その平面πのホモグラフィー行列が既知であれば、一方の撮像画像上の点に対して他方の撮像画像上の対応する点を一意に求めることができる。
したがって、ホモグラフィー行列を求めることにより、元画像に対して、注目画像がどれだけ並進し、またどれだけ回転しているかを求める、言い換えると、注目領域のトラッキングを行うことができる。
【0030】
次に、本実施形態であるホモグラフィー行列取得装置を適用した追跡ロボット装置を含む外観検査装置について説明する。
図1は、本実施形態において、外観検査装置に含まれる検査ロボット装置の概略の外観図である。同図に示すように、検査ロボット装置10は、ロボット本体12に撮像装置11が取り付けられて構成される。
ロボット本体12は、地面に固定された支持台12aと、旋回および屈伸動作が可能なアーム部12bと、回転および首振り動作が可能なハンド部12cとを含んで構成される。ロボット本体12は、支持台12aとアーム部12bとハンド部12cとの組み合わせによって6軸の自由度を有し、撮像部11の位置および向きを自在に変更することができる。
なお、ロボット本体12の自由度は6軸に限られない。また、支持台12aは、壁や天井等、地面に対して固定された場所に設置してもよい。
【0031】
図2は、外観検査装置の概略の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、外観検査装置1は、検査ロボット装置10と、画像解析装置20と、ホモグラフィー行列取得装置30と、ロボット制御装置45とを備える。
検査ロボット装置10は、図1にも示したように、撮像装置11とロボット本体12とを備える。撮像装置11は、検査対象物体を撮像してその画像データを出力する。撮像装置11は、例えば120フレーム/秒(fps;frame per second)のフレームレートで画像データを出力するビデオカメラ装置である。ロボット本体12は、上述したように、取り付けた撮像装置11を自由空間中で自在に移動させるためのロボット(マニピュレーター)である。
【0032】
画像解析装置20は、検査ロボット装置10の撮像装置11が連続して出力する画像データを順次取り込む。そして、画像解析装置20は、取り込んだ画像データごとに、その画像に含まれる検査対象物体の外観の画像と、あらかじめ記憶したテンプレート画像データのテンプレート画像との比較を行って、検査対象物体の形状の不良等に関する検査結果データを出力する。テンプレート画像は、検査対象物体のリファレンス(例えば、検査対象物体の良品サンプル)を所望の方向から撮像して得られる画像である。
【0033】
ホモグラフィー行列取得装置30は、撮像装置11が連続して出力する画像データを順次取り込む。そして、ホモグラフィー行列取得装置30は、取り込んだ画像データごとに局所的ホモグラフィー行列を計算する。また、ホモグラフィー行列取得装置30は、局所的ホモグラフィー行列を計算するレートよりも低いレートで、大域的ホモグラフィー行列を計算する。
【0034】
局所的ホモグラフィー行列の局所的とは、この局所的ホモグラフィー行列を計算するために必要な空間領域が比較的狭いことを意味する。つまり、局所的ホモグラフィー行列は、並進が少なく且つ回転が小さい場合に有効なホモグラフィー行列である。画像データの注目領域と局所的ホモグラフィー行列とに基づいてトラッキングする場合、高い精度のトラッキングを行うことができる。
また、大域的ホモグラフィー行列の大域的とは、この大域的ホモグラフィー行列を計算するために必要な空間領域が比較的広いことを意味する。つまり、大域的ホモグラフィー行列は、並進が多いかまたは回転が大きい場合、または並進が多く回転も大きい場合に用いられるロバストなホモグラフィー行列である。
【0035】
ホモグラフィー行列取得装置30は、撮像装置11から画像データを取り込むごとに、局所的ホモグラフィー行列を計算する。そして、ホモグラフィー行列取得装置30は、その計算した局所的ホモグラフィー行列を用いて画像データを変換し、この変換した画像データの画像(変換画像)と参照画像との相関を求める。そして、相関が高い場合は、当該画像データに対応して計算した局所的ホモグラフィー行列が読み出されるように制御する一方、相関が低い場合は、当該画像データに対応して計算した局所的ホモグラフィー行列の読み出しを禁止し、最新の大域的ホモグラフィー行列が読み出されるように制御する。ホモグラフィー行列取得装置30は、このようにして計算した局所的ホモグラフィー行列または大域的ホモグラフィー行列をホモグラフィー行列データとして出力可能に記憶する。
【0036】
ロボット制御装置45は、ホモグラフィー行列取得装置30からホモグラフィー行列データを取り込み、そのホモグラフィー行列データに基づいて、ロボット本体12の姿勢を制御する。
【0037】
外観検査装置1において、追跡ロボット装置は、検査ロボット装置10とホモグラフィー行列取得装置30とロボット制御装置45とを含むものである。
【0038】
図3は、ホモグラフィー行列取得装置30の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、ホモグラフィー行列取得装置30は、画像データ取得部31と、画像相関分析部32と、画像データ変換部33と、局所的ホモグラフィー行列計算部34と、局所的ホモグラフィー行列記憶部35と、ホモグラフィー行列転送部36と、大域的ホモグラフィー行列記憶部37と、参照画像記憶部38と、特徴点抽出部39と、大域的ホモグラフィー行列計算部40とを備える。
【0039】
参照画像記憶部38は、検査対象物体のリファレンス(例えば、検査対象物体の良品サンプル)を所望の方向から撮像して得られる参照画像データを記憶する。参照画像記憶部38は、例えばメモリーで実現される。
【0040】
画像データ取得部31は、検査ロボット装置10の撮像装置11が連続して出力する画像データを順次取り込む。画像データ取得部31は、撮像装置11から画像データ(現在の画像データ;第1の画像データ)を取り込むごとに、この現在の画像データを局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給する。また、画像データ取得部31は、局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給するレートよりも低いレートで、撮像装置11から取り込んだ画像データ(現在の画像データ)を特徴点抽出部39に供給する。
例えば、撮像装置11が120フレーム/秒のフレームレートで画像データを出力する場合、画像データ取得部31は、そのフレームレートで画像データを順次取り込んで局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給する。また、画像データ取得部31は、局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給するレートよりも低いレート(例えば、20フレーム/秒または30フレーム/秒)で、撮像装置11から取り込んだ画像データを特徴点抽出部39に供給する。
【0041】
画像データ取得部31は、局所的ホモグラフィー行列計算部34と画像データ変換部33と画像相関分析部32とが実行する処理の時間よりも長い時間の間隔に対応するレートで、現在の画像データを局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給する。
また、画像データ取得部31は、特徴点抽出部39と大域的ホモグラフィー行列計算部40とが大域的ホモグラフィー行列を計算することのできる時間よりも長い時間の間隔に対応するレートで、現在の画像データを特徴点抽出部39に供給する。
【0042】
画像データ変換部33は、局所的ホモグラフィー行列計算部34から供給される現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列と、画像データ取得部31から供給される現在の画像データとを取り込む。画像データ変換部33は、取り込んだ現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて現在の画像データを変換して変換画像データを生成し、この変換画像データを画像相関分析部32に供給する。
【0043】
画像相関分析部32は、画像データ変換部33から供給される変換画像データと、参照画像記憶部38から読み出す参照画像データとを取り込む。画像相関分析部32は、変換画像データの画像(変換画像)と参照画像データの画像(参照画像)との画像相関を計算(分析)して、変換画像と参照画像との類似度を求める。画像相関分析部32は、画像相関の計算方法として、例えば正規化相互相関(Normalized Cross−Correlation)を適用して類似度を求める。
正規化相互相関によって類似度を計算する式は、例えば、下記の式(6)により表される。ただし、RNCCは類似度、T(i,j)は参照画像の輝度値、I(i,j)は変換画像の輝度値である。
【0044】
【数6】

【0045】
本実施形態において適用する式(6)によれば、類似度RNCCは、0以上1以下の範囲内の値であり、画像の相関が高いほど1に近い値となる。類似度RNCCが1である場合は、変換画像と参照画像とは一致していることとなる。
【0046】
なお、画像相関分析部32は、正規化相互相関以外にも、SSD(Sum of Squared Difference)やSAD(Sum of Absolute Difference)等の計算によって類似度を求めてもよい。
【0047】
画像相関分析部32は、計算した類似度に応じて局所的ホモグラフィー行列の転送制御と、大域的ホモグラフィー行列の転送制御とを切り替える。具体的には、画像相関分析部32は、例えば正規化相互相関を計算して得た類似度RNCCと、あらかじめ記憶した閾値とを比較し、類似度RNCCが閾値よりも大きいと判定した場合は、局所的ホモグラフィー行列の転送制御指示をホモグラフィー行列転送部36に供給する。一方、画像相関分析部32は、類似度RNCCが閾値以下であると判定した場合は、局所的ホモグラフィー行列計算部34が計算した変換行列の精度が比較的低いと判断し、大域的ホモグラフィー行列の転送制御指示をホモグラフィー行列転送部36に供給する。
【0048】
画像相関分析部32が正規化相互相関を計算する場合、画像相関分析部32は、例えば、類似度RNCCが取り得る値の範囲(0≦RNCC≦1)の中間値である0.5を、閾値として記憶する。ただし、閾値の最適値は、検査対象物体の画質や画像データ取得部31が取り込む画像データのフレームレート等によって変わることがある。よって、画像相関分析部32は、例えば実験的に試行して決定した閾値を記憶する。
【0049】
なお、画像相関分析部32は、画像データの画像全体を用いて画像相関を計算するのではなく、任意の注目領域のみを用いて画像相関を計算してもよい。例えば、画像データの画像の中央付近に任意の大きさの矩形領域を設定し、その矩形領域を画像相関の計算対象領域とする。このように画像相関の計算対象領域を絞ることにより、処理の負荷を軽減することができる。
【0050】
局所的ホモグラフィー行列計算部34は、画像データ取得部31から供給される現在の画像データを取り込むと、参照画像記憶部38から参照画像データを読み込むとともに、ホモグラフィー行列転送部36から過去の画像データ(第2の画像データ)に対応する局所的ホモグラフィー行列を取り込む。そして、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、過去の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列に基づいて現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を求めるための変換行列を計算する。
【0051】
ここで、局所的ホモグラフィー行列計算部34が実行する変換行列の計算の例について以下説明する。
参照画像データの画素数をqとし、参照画像データのi番目の画素をp(ボールド体)とし、画素P(ボールド体)の輝度をI(p(ボールド体))とする。
【0052】
局所的ホモグラフィー行列を想定するため、現在の画像データにおける画像の領域は、過去の画像データにおける画像の領域の近傍に存在すると仮定できる。よって、現在の画像データにおける画像の領域と、過去の画像データにおける画像の領域との光量の変化は少ないと仮定でき、下記の式(7)の近似式を用いることができる。ただし、G(ボールド体)(オーバーバー)は、現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列であり、G(ボールド体)(ハット)は、過去の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列であり、G(ボールド体)(x(ボールド体))は、変換行列である。
【0053】
【数7】

【0054】
変換行列G(ボールド体)(x(ボールド体))におけるx(ボールド体)は、変換行列G(ボールド体)(x(ボールド体))のパラメータであり、下記の式(8)のように表される。
【0055】
【数8】

【0056】
変換行列G(ボールド体)(x(ボールド体))はリー群に属し、単位行列I(ボールド体)の近傍に存在する。ここで、行列A(ボールド体)から行列A(ボールド体)までを下記の式(9)のとおりとする。
【0057】
【数9】

【0058】
式(9)における行列A(ボールド体)から行列A(ボールド体)までは、リー代数の基底である。これら行列A(ボールド体)から行列A(ボールド体)までを用いて、リー代数に属する零行列の近傍に存在する行列A(ボールド体)(x(ボールド体))を下記の式(10)のように表す。
【0059】
【数10】

【0060】
リー群に属する単位行列I(ボールド体)の近傍に存在する変換行列G(ボールド体)(x(ボールド体))と、リー代数に属する零行列の近傍に存在する行列A(ボールド体)(x(ボールド体))との関係は、指数関数を用いて下記の式(11)として表すことができる。
【0061】
【数11】

【0062】
現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列G(ボールド体)(オーバーバー)を用いて画素P(ボールド体)を透視投影変換する。すなわち、画素P(ボールド体)に対応する画素P(ボールド体)の輝度は、前記の式(5)および式(7)により、下記の式(12)のように表される。
【0063】
【数12】

【0064】
よって、対応する画素同士の輝度の差y(x(ボールド体))は、下記の式(13)のように表される。
【0065】
【数13】

【0066】
過去および現在の画像データにおける全ての画素同士の輝度の差をまとめて、下記の式(14)のように表す。
【0067】
【数14】

【0068】
局所的ホモグラフィー行列計算部34は、式(14)において、x(ボールド体)=x(ボールド体)のときにy(ボールド体)(x(ボールド体))が下記の式(15)となるx(ボールド体)を計算する。局所的ホモグラフィー行列計算部34は、x(ボールド体)をフィードバックさせて繰り返し計算して収束させる。この収束方法として、例えば、公知のESM(Efficient Second−order Minimization Method)を適用できる。
【0069】
【数15】

【0070】
局所的ホモグラフィー行列計算部34は、計算したx(ボールド体)を代入した変換行列G(ボールド体)(x(ボールド体))と、過去の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とを用いて、式(7)を適用して現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する。そして、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、この計算した現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を、画像データ変換部33に供給するとともに局所的ホモグラフィー行列記憶部35に記憶させる。
【0071】
局所的ホモグラフィー行列記憶部35は、局所的ホモグラフィー行列計算部34から供給される現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する。局所的ホモグラフィー行列記憶部35は、例えば書き込み可能なメモリーで実現される。
【0072】
特徴点抽出部39は、画像データ取得部31から供給される現在の画像データを取り込むとともに、参照画像記憶部38から参照画像データを読み込む。そして、特徴点抽出部39は、現在の画像データと参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、現在画像と参照画像との特徴点の相対位置を計算する。特徴点抽出部39は、例えば、画像の画素の輝度の変化率が所定値を超える箇所を特徴点として抽出する。また、特徴点抽出部39は、複数の画素を含む小領域ごとに輝度のガウス分布の状態を調べ、SIFT(Scale−Invariant Feature Transform)特徴量を求めて特徴点を抽出してもよい。
特徴量抽出部39は、計算した相対位置の情報を大域的ホモグラフィー行列計算部40に供給する。
【0073】
大域的ホモグラフィー行列計算部40は、特徴点抽出部39から供給される、現在画像と参照画像との特徴点の相対位置の情報を取り込む。大域的ホモグラフィー行列計算部40は、これら現在画像と参照画像との特徴点の相対位置の情報に基づいて、現在の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この大域的ホモグラフィー行列を大域的ホモグラフィー行列記憶部37に記憶させる。
【0074】
大域的ホモグラフィー行列記憶部37は、大域的ホモグラフィー行列計算部40から供給される現在の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する。大域的ホモグラフィー行列記憶部37は、例えば書き込み可能なメモリーで実現される。
【0075】
ホモグラフィー行列転送部36は、画像相関分析部32の切り替え制御に応じて、局所的ホモグラフィー行列記憶部35に記憶された現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列と、大域的ホモグラフィー行列記憶部37に記憶された最新の大域的ホモグラフィー行列とのいずれかを読み込んで、外部に出力可能に保持する。具体的には、ホモグラフィー行列転送部36は、画像相関分析部32から供給される、局所的ホモグラフィー行列の転送制御指示を取り込むと、局所的ホモグラフィー行列記憶部35に記憶された現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込む。また、ホモグラフィー行列転送部36は、大域的ホモグラフィー行列の転送制御指示を取り込むと、大域的ホモグラフィー行列記憶部37に記憶された、最新の大域的ホモグラフィー行列を読み込む。ホモグラフィー行列転送部36は、読み込んだ現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または最新の大域的ホモグラフィー行列を、局所的ホモグラフィー行列データとして外部に出力可能に保持する。
【0076】
ホモグラフィー行列取得装置30において、局所的ホモグラフィー行列計算部34と局所的ホモグラフィー行列記憶部35とは、局所的ホモグラフィー行列取得部である。また、大域的ホモグラフィー行列計算部40と大域的ホモグラフィー行列記憶部37とは、大域的ホモグラフィー行列取得部である。
【0077】
次に、ホモグラフィー行列取得装置30の動作について説明する。
図4は、ホモグラフィー行列取得装置30の、局所的ホモグラフィー行列の計算処理を含む処理の手順を表すフローチャートである。また、図5は、ホモグラフィー行列取得装置30の、大域的ホモグラフィー行列の計算処理の手順を表すフローチャートである。本実施形態では、ホモグラフィー行列取得装置30は、図4のフローチャートに示される処理と、図5のフローチャートに示される処理とを、それぞれ独立したスレッドで並列に実行する。
【0078】
まず、図4のフローチャートについて説明する。ステップS101において、画像データ取得部31は、検査ロボット装置10の撮像装置11が出力する画像データ(現在の画像データ;第1の画像データ)を取り込むと、この取り込んだ現在の画像データを局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給する。
【0079】
次に、ステップS102において、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、画像データ取得部31から供給される現在の画像データを取り込むと、参照画像記憶部38から参照画像データを読み込むとともに、ホモグラフィー行列転送部36から過去の画像データ(第2の画像データ)に対応する局所的ホモグラフィー行列を取り込む。
【0080】
次に、ステップS103において、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、過去の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列に基づいて現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を求めるための変換行列を計算する。次に、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、計算した変換行列と過去の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とを用いて現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する。次に、局所的ホモグラフィー行列計算部34は、この計算した局所的ホモグラフィー行列を、画像データ変換部33に供給するとともに局所的ホモグラフィー行列記憶部35に記憶させる。
【0081】
次に、ステップS104において、画像データ変換部33は、局所的ホモグラフィー行列計算部34から供給された現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列と、画像データ取得部31から供給された現在の画像データとを取り込む。次に、画像データ変換部33は、現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて現在の画像データを変換して変換画像データを生成し、この変換画像データを画像相関分析部32に供給する。次に、画像相関分析部32は、画像データ変換部33から供給された変換画像データと、参照画像記憶部38から読み出した参照画像データとを取り込む。次に、画像相関分析部32は、変換画像データの画像(変換画像)と参照画像データの画像(参照画像)との画像相関を、例えば正規化相互相関により計算し、変換画像と参照画像との類似度を求める。
【0082】
次に、ステップS105において、画像相関分析部32は、画像相関を計算して得た類似度と、あらかじめ記憶した閾値とを比較し、類似度が閾値よりも大きいと判定した場合は、局所的ホモグラフィー行列の転送制御指示をホモグラフィー行列転送部36に供給してステップS106の処理に移る(S105:YES)。一方、画像相関分析部32は、類似度が閾値以下であると判定した場合は、大域的ホモグラフィー行列の転送制御指示をホモグラフィー行列転送部36に供給してステップS107の処理に移る(S105:NO)。
【0083】
ステップS106において、ホモグラフィー行列転送部36は、画像相関分析部32から供給される、局所的ホモグラフィー行列の転送制御指示を取り込む。次に、ホモグラフィー行列転送部36は、局所的ホモグラフィー行列記憶部35に記憶された現在の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで外部に出力可能に保持する。
ステップS106の処理が終了するとステップS101の処理に戻る。
【0084】
一方、ステップS107において、ホモグラフィー行列転送部36は、画像相関分析部32から供給される、大域的ホモグラフィー行列の転送制御指示を取り込む。次に、ホモグラフィー行列転送部36は、大域的ホモグラフィー行列記憶部37から最新の大域的ホモグラフィー行列を読み込む。
【0085】
次に、ステップS108において、ホモグラフィー行列転送部36は、読み込んだ最新の大域的ホモグラフィー行列を外部に出力可能に保持する。
ステップS108の処理が終了するとステップS101の処理に戻る。
【0086】
次に、図5のフローチャートについて説明する。ステップS201において、画像データ取得部31は、図4のステップS101の処理において局所的ホモグラフィー行列計算部34および画像データ変換部33に供給するレートよりも低いレートで、検査ロボット装置10の撮像装置11が出力する画像データ(現在の画像データ)を取り込むと、その現在の画像データを特徴点抽出部39に供給する。
【0087】
次に、ステップS202において、特徴点抽出部39は、画像データ取得部31から供給される現在の画像データを取り込むとともに、参照画像記憶部38から参照画像データを読み込む。次に、特徴点抽出部39は、現在の画像データと参照画像データとから画像の特徴点を抽出して現在画像と参照画像との特徴点の相対位置を計算し、これら特徴点の相対位置の情報を大域的ホモグラフィー行列計算部40に供給する。
【0088】
次に、ステップS203において、大域的ホモグラフィー行列計算部40は、特徴点抽出部39から供給される、現在画像と参照画像との特徴点の相対位置の情報を取り込む。次に、大域的ホモグラフィー行列計算部40は、これら現在画像と参照画像との特徴点の相対位置の情報に基づいて、現在の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算する。
【0089】
次に、ステップS204において、大域的ホモグラフィー行列計算部40は、計算した大域的ホモグラフィー行列を、大域的ホモグラフィー行列記憶部37に記憶させる。
ステップS204の処理が終了するとステップS201の処理に戻る。
【0090】
図4のフローチャートにおいて、ホモグラフィー行列取得装置30がステップS101からステップS106までを繰り返す処理は、例えば、撮像装置11から供給される画像データのフレームレートが120フレーム/秒である場合、そのフレームレートと同一のレートで処理する。一方、図5のフローチャートにおいて、ホモグラフィー行列取得装置30がステップS201からステップS204までを繰り返す処理は、120フレーム/秒のフレームレートよりも低いレート(例えば、20フレーム/秒または30フレーム/秒)で処理する。
【0091】
よって、ホモグラフィー行列転送部36が、大域的ホモグラフィー行列記憶部37から現在の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶する処理(図4のステップS107およびステップS108の処理)を実行することにより、時間的には若干遅れた大域的ホモグラフィー行列が記憶されることになる。しかし、この若干の時間遅れは、トラッキングのリアルタイム性に影響を及ぼすものではない。
【0092】
次に、ロボット制御装置45の動作について説明する。図6は、ロボット制御装置45の処理手順を表すフローチャートである。同図のフローチャートの処理は、例えば、図4のステップS106およびステップS108の処理の次(ステップS101に戻る前)に実行されるものである。
まず、ステップS301において、ロボット制御装置45は、ホモグラフィー行列取得装置30から現在の画像データに対応するホモグラフィー行列データ、言い換えると、最新のホモグラフィー行列データを取り込む。
【0093】
次に、ステップS302において、ロボット制御装置45は、取り込んだホモグラフィー行列に基づいて検査ロボット装置10のアーム先端の移動速度、つまり撮像装置11の移動速度を計算する。
移動速度は、次のようにして計算することができる。三次元空間における撮像装置11の座標系Fと移動先における撮像装置11の座標系Fとにおける、並進ベクトルの差分e(ボールド体)νと、回転ベクトルの差分e(ボールド体)ωとは、下記の式(16)のように表される。
【0094】
【数16】

【0095】
式(16)により、差分を無くす方向に検査ロボット装置10のアーム先端を移動させればよいため、撮像装置11の移動速度は、下記の式(17)のように表される。ただし、νは並進の速度、ωは回転の速度である。
【0096】
【数17】

【0097】
次に、ステップS303において、ロボット制御装置45は、撮像装置11の速度に基づいて、ロボット本体12の各関節の移動速度(並進速度および回転速度)を計算する。関節とは、支持台12aとアーム部12bとの連結部分、アーム部12b同士の連結部分、およびアーム部12bとハンド部12cとの連結部分である。
ロボット本体12の各関節の移動速度は、ヤコビ行列を用いて下記の式(18)を計算することにより求めることができる。ただし、J(ボールド体)(ハット)−1は、ヤコビ行列J(ボールド体)(ハット)の逆行列である。
【0098】
【数18】

【0099】
つぎに、ステップS304において、ロボット制御装置45は、ロボット本体12の各関節の移動速度(並進速度および回転速度)に基づいてロボット本体12のアーム部12bおよびハンド部12cを制御して動作させる。
【0100】
一般的に、変換行列を計算してホモグラフィー行列を求める処理は、画像の特徴点を抽出して特徴点の相対位置を計算しこれら特徴点の相対位置によってホモグラフィー行列を求める処理よりもトラッキングの安定性(精度)が低い一方、処理負荷が大幅に軽い。また、変換行列の計算精度は、変換行列を計算するための空間領域が狭い(並進が少なく且つ回転が小さい)ほど高い。
よって、変換行列を計算しホモグラフィー行列を求めて記憶する処理を、変換画像と参照画像との画像相関が高い場合に限ることにより、トラッキングの高い安定性(高い精度)を確保することができる。
したがって、本実施形態では、変換画像と参照画像との画像相関が高い場合は、比較的処理負荷の軽い計算処理による局所的ホモグラフィー行列を出力可能に記憶し、変換画像と参照画像との画像相関が低い場合は、比較的処理負荷の重い大域的ホモグラフィー行列を出力可能に記憶するようにした。
【0101】
以上により、本実施形態によれば、処理負荷が軽く且つ安定性の高いトラッキングを行うことができる。言い換えると、リアルタイム性を確保し且つ精度の高いトラッキングを行うことができる。よって、追跡ロボット装置において、検査対象物体の外観検査時間を短くするためにロボット本体12の移動速度を速くした場合でも、トラッキングの誤認識が発生せず信頼性の高い外観検査を行うことができる。
【0102】
[実施形態の第1の変形例]
上述した実施形態の第1変形例について説明する。本第1変形例は、ホモグラフィー行列取得装置30をハンディータイプのビデオカメラ装置に適用した例である。このビデオカメラ装置は、撮影中にフレーム画像から人物の顔の領域を検出し、その顔領域にピントを自動で合わせる機能を有するものである。
【0103】
図7は、本第1変形例であるビデオカメラ装置の概略の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、ビデオカメラ装置2は、ホモグラフィー行列取得装置30と、レンズ光学系50と、撮像部60と、ピント調節量計算部70と、ピント調節部80と、画像記録奉90とを備える。
【0104】
レンズ光学系50は、被写体から到来する光束を集光する。レンズ光学系50は、対物レンズや集束レンズ等のレンズ群を含んで構成される。
撮像部60は、固体撮像素子を備え、レンズ光学系50を通して集光された光束をその固体撮像素子で撮像する。固体撮像素子は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。撮像部60は、例えば120フレーム/秒のフレームレートで動画を撮像し、画像データを連続的にホモグラフィー行列取得装置30および画像記録部90それぞれに供給する。
画像記録部90は、撮像部60が出力する画像データを、例えば、磁気ハードディスクやメモリーカード等の記録媒体に記録する。
【0105】
ホモグラフィー行列取得装置30は、前述した一実施形態によるものと同様のものである。ただし、本第1変形例においては、ホモグラフィー行列取得装置30の参照画像記憶部38には、図7には図示しない顔検出処理部が画像データから検出した人物の顔画像データが記憶される。また、ホモグラフィー行列取得装置30の画像相関分析部32は、画像データにおける人物の顔が含まれる小領域(例えば、矩形領域)を用いて画像相関を計算する。ホモグラフィー行列取得装置30は、参照画像記憶部38に記憶された人物の顔画像データと、画像データにおける矩形領域の顔画像データとに基づいて、局所的ホモグラフィー行列および大域的ホモグラフィー行列を計算して記憶する。
【0106】
ピント調節量計算部70は、ホモグラフィー行列取得装置30からホモグラフィー行列データを取り込む。そして、ピント調節量計算部70は、取り込んだホモグラフィー行列データに基づいてピントを調節すべき画像領域(矩形領域)を特定し、その画像領域に対応する被写体の部位に対するピント調節量を計算する。このピント調節量の計算方法は、公知のオートフォーカス技術による。ピント調節量計算部70は、計算したピント調節量データをピント調節部80に供給する。
ピント調節部80は、ピント調節量計算部70から供給されるピント調節量データに基づいて、ピントを調節すべき画像領域に対応する被写体の部位(人物の顔)に対するピントを調整する。
【0107】
以上により、本第1の変形例によれば、処理負荷が軽く且つ安定性の高いトラッキングを行うことができる。言い換えると、リアルタイム性を確保し且つ精度の高いトラッキングを行うことができる。よって、ハンディータイプのビデオカメラ装置において、人物の顔が速く移動した場合でも、トラッキングの誤認識が発生せず信頼性の高い自動ピント調節を行うことができる。
【0108】
[実施形態の第2の変形例]
前述した実施形態の第2変形例について説明する。本第2変形例は、ホモグラフィー行列取得装置30を自動姿勢調整可能なビデオカメラ装置に適用した例である。このビデオカメラ装置は、例えばコンピューターのディスプレイ装置上またはその付近に設置されて使用されるものである。このように設置されて使用された場合、ビデオカメラ装置は、撮影中にフレーム画像からコンピューターの操作者である人物の顔の領域を検出し、その顔領域が画像フレームから外れないように当該ビデオカメラ装置の姿勢を調整する機能を有するものである。
【0109】
図8は、本第2変形例であるビデオカメラ装置の概略の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、ビデオカメラ装置3は、撮像システム100と、ホモグラフィー行列取得装置30と、姿勢調節量計算部110とを備える。
【0110】
撮像システム100は、上述したように、被写体となる人物の顔を撮像可能なように設置される。撮像システム100は、その機能構成として、撮像装置101と、姿勢調節部102とを備える。
撮像装置101は、例えば120フレーム/秒のフレームレートで動画を撮像し、撮像データである画像データを連続的にホモグラフィー行列取得装置30に供給するとともに、外部(例えば、コンピューター)に供給する。
姿勢調節部102は、姿勢調節量計算部110から供給される姿勢調節量データに基づいて、撮像装置101の姿勢、つまり撮像方向を調節する。
【0111】
ホモグラフィー行列取得装置30は、前述した一実施形態によるものと同様のものである。ただし、本第1変形例においては、ホモグラフィー行列取得装置30の参照画像記憶部38には、図8には図示しない顔検出処理部が画像データから検出した人物の顔画像データが記憶される。ホモグラフィー行列取得装置30は、参照画像記憶部38に記憶された人物の顔画像データと、撮像装置101から取り込む画像データとに基づいて、局所的ホモグラフィー行列および大域的ホモグラフィー行列を計算して記憶する。
【0112】
姿勢調節量計算部110は、ホモグラフィー行列取得装置30からホモグラフィー行列データを取り込む。そして、姿勢調節量計算部70は、取り込んだホモグラフィー行列データに基づいて、人物の顔の位置をフレーム画像の中央に一致させるようにフレーム画像の移動方向を特定し、その方向にフレーム画像が移動するように撮像装置101の姿勢の調節量を計算する。姿勢調節量計算部110は、計算した姿勢調節量データを撮像システム100の姿勢調節部102に供給する。
【0113】
以上により、本第2の変形例によれば、処理負荷が軽く且つ安定性の高いトラッキングを行うことができる。言い換えると、リアルタイム性を確保し且つ精度の高いトラッキングを行うことができる。よって、自動姿勢調整可能なビデオカメラ装置において、人物の顔が速く移動した場合でも、トラッキングの誤認識が発生せず信頼性の高いビデオカメラ装置の姿勢制御を行うことができる。
【0114】
なお、上述した一実施形態である追跡ロボット装置の一部、例えば、ホモグラフィー行列取得装置30およびロボット制御装置45の機能をコンピューターで実現するようにしてもよい。この場合、その制御機能を実現するための追跡ロボット制御プログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された追跡ロボット制御プログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0115】
また、同様に、ホモグラフィー行列取得装置30のみの機能をコンピューターで実現するようにしてもよい。この場合、その制御機能を実現するためのホモグラフィー行列取得プログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたホモグラフィー行列取得プログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0116】
なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺装置のハードウェアを含むものである。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリーカード等の可搬型記録媒体、コンピューターシステムに内蔵される磁気ハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバー装置やクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0117】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1 外観検査装置
10 検査ロボット装置
11 撮像装置
12 ロボット本体
12a 支持台
12b アーム部
12c ハンド部
20 画像解析装置
30 ホモグラフィー行列取得装置
31 画像データ取得部
32 画像相関分析部
33 変換行列計算部
34 局所的ホモグラフィー行列計算部
35 局所的ホモグラフィー行列記憶部
36 ホモグラフィー行列転送部
37 大域的穂葎フィー行列記憶部
38 参照画像記憶部
39 特徴点抽出部
40 大域的ホモグラフィー行列計算部
45 ロボット制御装置
50 レンズ光学系
60 撮像部
70 ピント調節量計算部
80 ピント調節部
90 画像記録部
100 撮像システム
101 撮像装置
102 姿勢調節部
110 姿勢調節量計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体と、
前記ハンド部に設けられ、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像部と、
前記検査対象物体の参照画像データを記憶する参照画像記憶部と、
前記撮像部が出力した画像データを取り込む画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、
前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、
前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、
前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、
前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、
前記ホモグラフィー行列転送部から、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御部と、
を備えることを特徴とする追跡ロボット装置。
【請求項2】
前記画像相関分析部は、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求める
ことを特徴とする請求項1記載の追跡ロボット装置。
【請求項3】
前記局所的ホモグラフィー行列取得部は、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する
ことを特徴とする請求項2記載の追跡ロボット装置。
【請求項4】
可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体の前記ハンド部に設けられた撮像部が、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて出力した画像データを取り込む画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップにおいて取り込んだ第1の画像データと参照画像記憶部に記憶された参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得ステップと、
前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換ステップと、
前記画像データ変換ステップにおいて生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析ステップと、
前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が閾値を超える場合に、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶部に記憶し、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が前記閾値以下である場合に、前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された参照画像データとの画像の特徴点の相対位置に基づいて計算されて記憶された第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで前記記憶部に記憶するホモグラフィー行列転送ステップと、
前記ホモグラフィー行列転送ステップにおいて前記記憶部に記憶した、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして前記記憶部から読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御ステップと、
を有することを特徴とする追跡ロボット制御方法。
【請求項5】
前記画像相関分析ステップは、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求める
ことを特徴とする請求項4記載の追跡ロボット制御方法。
【請求項6】
前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップは、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する
ことを特徴とする請求項5記載の追跡ロボット制御方法。
【請求項7】
可動のアーム部とこのアーム部に可動に設けられるハンド部とを備えるロボット本体と、前記ハンド部に設けられ、検査対象物体を撮像して画像データを出力する撮像部とを制御するための、前記検査対象物体の参照画像データを記憶する参照画像記憶部を備えたコンピューターを、
前記撮像部が出力した画像データを取り込む画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、
前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、
前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、
前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、
前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、
前記ホモグラフィー行列転送部から、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列または前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を、ホモグラフィー行列データとして読み出し、この読み出したホモグラフィー行列データに基づいて前記ロボット本体の姿勢を計算して、前記ロボット本体の前記アーム部と前記ハンド部との少なくともいずれかの動作を制御するロボット制御部と、
として機能させる追跡ロボット制御プログラム。
【請求項8】
前記画像相関分析部は、前記変換画像データと前記参照画像データとの画像の相関として、正規化相互相関を計算して前記類似度を求める
請求項7記載の追跡ロボット制御プログラム。
【請求項9】
前記局所的ホモグラフィー行列取得部は、前記第1の画像データと前記参照画像データと該局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて、前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算するための変換行列を計算し、この計算した変換行列と前記第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算する
請求項8記載の追跡ロボット制御プログラム。
【請求項10】
参照画像データを記憶する参照画像記憶部と、
画像データを取り込む画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、
前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、
前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、
前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、
前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、
を備えることを特徴とするホモグラフィー行列取得装置。
【請求項11】
画像データを取り込む画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップにおいて取り込んだ第1の画像データと参照画像記憶部に記憶された参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得ステップと、
前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換ステップと、
前記画像データ変換ステップにおいて生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析ステップと、
前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が閾値を超える場合に、前記局所的ホモグラフィー行列取得ステップにおいて記憶した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶部に記憶し、前記画像相関分析ステップにおいて計算した前記類似度が前記閾値以下である場合に、前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された参照画像データとの画像の特徴点の相対位置に基づいて計算されて記憶された第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで前記記憶部に記憶するホモグラフィー行列転送ステップと、
を有することを特徴とするホモグラフィー行列取得方法。
【請求項12】
参照画像データを記憶する参照画像記憶部を備えたコンピューターを、
画像データを取り込む画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データと前記第1の画像データよりも過去の画像データである第2の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列とに基づいて第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を記憶する局所的ホモグラフィー行列取得部と、
前記局所的ホモグラフィー行列取得部が計算した前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を用いて、前記第1の画像データを変換して変換画像データを生成する画像データ変換部と、
前記画像データ変換部が生成した前記変換画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとの画像の相関を分析して類似度を計算する画像相関分析部と、
前記画像データ取得部が取り込んだ前記第1の画像データと前記参照画像記憶部に記憶された前記参照画像データとから画像の特徴点を抽出し、これら特徴点の相対位置を計算する特徴点抽出部と、
前記特徴点抽出部が計算した前記特徴点の相対位置に基づいて第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を計算し、この計算した第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を記憶する大域的ホモグラフィー行列取得部と、
前記画像相関分析部が計算した前記類似度が閾値を超える場合には、前記局所的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する局所的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶し、前記画像相関分析部が計算した前記類似度が前記閾値以下である場合には、前記大域的ホモグラフィー行列取得部に記憶された前記第1の画像データに対応する大域的ホモグラフィー行列を読み込んで記憶するホモグラフィー行列転送部と、
として機能させるホモグラフィー行列取得プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−86285(P2012−86285A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232961(P2010−232961)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り The 5th International Conference on the Advanced Mechatronics(ICAM2010),Osaka University,Suita,Osaka,Japan October 4−6,2010
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】