説明

運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラム

【課題】様々な車両状況においても利用できる正確な道路の滑り度合いを把握可能な運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】プローブカーである車両3がタイヤの滑りを検出した際に、滑り地点の情報とともに装着するタイヤの種別に関する情報をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報をタイヤの種別を考慮して統計処理することにより地図を構成する各リンクについて渋滞度合いを設定し、設定された渋滞度合いをプローブセンタ2から配信された車両3はリンクの渋滞度合いに基づいて運転支援を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の滑り度合いを設定する運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に道路の渋滞情報や事故情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがあった。これらのVICSやプローブカーシステムを用いることとすれば、利用者は車両を走行する際に渋滞を避けた適切なルートを選択することが可能となる。
【0004】
また、従来ではより快適に利用者に運転を行わせる為に、上記交通情報以外の様々な情報を提供することも行われている。そして、それらの情報の一つに道路の滑り度合いに関する情報がある。例えば特開2002−219957号公報には、車両のスリップ挙動を検出し、スリップ挙動を検出した地点をナビゲーション装置の地図情報に記憶し、次回に同じ地点を走行する際にスリップを防止する為の適当な車両の制御を行う技術について記載されている。
【特許文献1】特開2002−219957号公報(第4−6頁、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、スリップ挙動の検出に際して車両の装着しているタイヤの種別は考慮されていなかった。しかしながら、車両の装着するタイヤの種別には、例えばノーマルタイヤ等の夏タイヤとスタッドレスタイヤ等の冬タイヤがあり、両者ではスリップ挙動が大きく異なる。即ち、冬タイヤは夏タイヤと比べてタイヤに刻まれた溝が深く、ゴムの材質も柔らかい為に、凍結した路面でもスリップし難い構造となっている。従って、夏タイヤを装着した状態でスリップした地点が存在したとしても、その後、冬タイヤを装着した状態で同地点を走行する場合にはスリップする虞が無い場合もある。
以上より、道路の滑り度合いを正確に把握する為には、車両の装着するタイヤの種別についても考慮する必要があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両の装着するタイヤの種別を考慮して道路の滑り度合いを設定することにより、様々な車両状況に対応して利用できる正確な道路の滑り度合いを把握することが可能な運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る運転支援システム(1)は、車両(3)のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得手段(20)と、前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出手段(33)と、前記滑り検出手段によってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得手段(20)と、前記滑り地点取得手段により取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得手段により取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定手段(20)と、を有することを特徴とする。
尚、「道路の滑り度合い」とは、道路の路面に対する車両のタイヤの滑り易さの程度を示す情報である。
【0008】
また、請求項2に係る運転支援システム(1)は、請求項1に記載の運転支援システムであって、複数の車両(3)についての前記滑り地点と前記タイヤ種別を累積的に記憶する記憶手段(20)を有し、前記滑り度設定手段(20)は、前記記憶手段に記憶された累積情報に基づいて、道路毎且つ異なるタイヤ種別毎にその道路内で滑りを検出した車両の割合を算出する割合算出手段(20)を備え、前記割合算出手段の算出結果に基づいて道路の滑り度合いを設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る運転支援システム(1)は、請求項2に記載の運転支援システムであって、前記タイヤ種別は車両が装着するタイヤの種別を夏タイヤと冬タイヤのいずれかに特定する情報であり、前記滑り度設定手段(20)は、冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出した道路の滑り度合いを最も高い第1滑り度合いに設定し、冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出せず、且つ夏タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出した道路の滑り度合いを第1滑り度合いより低い第2滑り度合いに設定し、夏タイヤ及び冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出しない道路の滑り度合いを第2滑り度合いより低い第3滑り度合いに設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る運転支援システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システムであって、目的地までの経路を探索するナビゲーション装置(5)を有し、前記ナビゲーション装置は、前記滑り度設定手段(20)により設定された滑り度合いに基づいて、道路の探索コストを変更して経路の探索を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る運転支援システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の運転支援システムであって、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得手段(33)と、前記滑り度設定手段(20)により所定度合い以上の滑り度合いが設定された道路が車両の進行方向前方に位置する場合に警告を行う警告手段(20)と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る運転支援方法は、車両(3)のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得ステップ(S12)と、前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出ステップ(S3)と、前記滑り検出ステップによってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得ステップ(S12)と、前記滑り地点取得ステップにより取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得ステップにより取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定ステップ(S25、S27、S28)と、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項7に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両(3)のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得機能(S12)と、前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出機能(S3)と、前記滑り検出機能によってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得機能(S12)と、前記滑り地点取得機能により取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得機能により取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定機能(S25、S27、S28)と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の運転支援システムによれば、車両の装着するタイヤの種別を考慮して道路の滑り度合いを設定することにより、様々な車両状況に対応して利用できる正確な道路の滑り度合いを把握可能となる。そして、例えば把握した道路の滑り度合いをユーザに提供することにより、現在の車両に装着されているタイヤ種別に対応した正確な滑り度合いに基づく運転支援を行うことが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の運転支援システムによれば、タイヤの種別毎に該タイヤを装着する車両の挙動を統計処理することにより、各タイヤの特性の違いを考慮して道路の滑り度合いを設定することができる。従って、より正確で且つ利便性の高い道路の滑り度合いを把握可能となる。
【0016】
また、請求項3に記載の運転支援システムによれば、夏タイヤと冬タイヤのそれぞれにおいて装着する車両の挙動を統計処理することにより、夏タイヤと冬タイヤの滑り易さの違いを考慮して道路の滑り度合いを設定することができる。従って、より正確で且つ利便性の高い道路の滑り度合いを把握可能となる。
【0017】
また、請求項4に記載の運転支援システムによれば、例えば滑り易い道路を避けた経路に基づく経路案内を行うことができるので、スリップの発生を防止し、安全性が向上する。
【0018】
また、請求項5に記載の運転支援システムによれば、滑り易い道路に対して予め運転者に警告を行うことができるので、スリップの発生を事前に運転者に予測させることができ、安全性が向上する。
【0019】
また、請求項6に記載の運転支援方法によれば、車両の装着するタイヤの種別を考慮して道路の滑り度合いを設定することにより、様々な車両状況に対応して利用できる正確な道路の滑り度合いを把握可能となる。そして、把握した道路の滑り度合いをユーザに提供することにより、現在の車両に装着されているタイヤ種別に対応した正確な滑り度合いに基づく運転支援を行うことが可能となる。
【0020】
更に、請求項7に記載のコンピュータプログラムによれば、車両の装着するタイヤの種別を考慮して道路の滑り度合いを設定することにより、様々な車両状況に対応して利用できる正確な道路の滑り度合いを把握させることが可能となる。そして、把握した道路の滑り度合いをユーザに提供することにより、現在の車両に装着されているタイヤ種別に対応した正確な滑り度合いに基づく運転支援を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る運転支援システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る運転支援システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る運転支援システム1を示した概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、プローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報の作成・配信を行うプローブセンタ2と、プローブカーである車両3とから基本的に構成されている。
【0023】
ここで、プローブセンタ2は、全国各地を走行する各車両3から送信された滑り地点や装着するタイヤ種別等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報に対して統計処理を施すことにより地図を構成する各リンクに滑り度合いを設定し、設定された滑り度合いに関する情報(以下、滑り度合い情報という)を車両3に対して配信する情報配信センタである。
【0024】
また、車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとしてプローブセンタ2とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPS41の位置情報とともに予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール4(以下、単に通信モジュール4という)を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
ここで、本実施形態に係る運転支援システム1おいて車両3が取得し、プローブセンタ2に対して送信するプローブ情報としては、特に、車両3がタイヤの滑りを検出した滑り地点を含むリンクのリンク番号と、滑りを検出した時の気象と、滑りを検出した時刻と、車両3の装着するタイヤの種別とに関する情報が含まれる。そして、プローブセンタ2は車両3から送信された各情報に基づいて、地図を構成する各リンクの滑り度合いを設定する。
【0025】
更に、車両3にはナビゲーション装置5が設置されている。ナビゲーション装置5は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置5は、プローブセンタ2から受信した滑り度合い情報に基づいて滑り度合いの高い道路の注意案内をしたり、VICSセンタ(図示せず)から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。尚、ナビゲーション装置5の詳細な構成については後述する。
【0026】
続いて、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る運転支援システム1の構成を示したブロック図である。
【0027】
プローブセンタ2は、図2に示すようにサーバ(タイヤ種別取得手段、滑り地点取得手段、滑り度設定手段、記憶手段、割合算出手段)20と、サーバ20に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB24と、滑り度合い情報DB25と、センタ地図情報DB26と、センタ通信装置27とを備える。
【0028】
サーバ20は、各車両3からプローブ情報を収集するプローブ情報受信処理、蓄積されたプローブ情報に基づいて、地図を構成する各リンクに滑り度合いを設定する滑り度合い設定処理、設定した滑り度合いに関する情報を車両3に対して配信する情報配信処理等のプローブセンタ2における各種制御を行う制御部である。そして、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、各種制御プログラムのほか、後述のプローブ情報受信処理プログラム(図7)、滑り度合い設定処理プログラム(図8)、情報配信処理プログラム(図9)等が記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0029】
また、プローブ情報DB24は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に車両3がタイヤの滑りを検出した滑り地点を含むリンクのリンク番号と、滑りを検出した時の気象と、滑りを検出した時刻と、車両3の装着するタイヤの種別とに関する情報が含まれる。
【0030】
以下に、図3を用いてプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。図3はプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3に示すようにプローブ情報は、車両3がタイヤの滑りを検出した滑り地点を含むリンクのリンク番号と、滑りを検出した時点の気象(晴れ、雨、雪のいずれか)と、滑りを検出した時刻と、車両3の装着するタイヤの種別とから構成される。例えば、図3に示すプローブ情報は、夏タイヤを装着した車両3が2007年3月15日の15時2分20秒にリンク番号『1234』のリンクでタイヤの滑りを検出し、その際の気象が『雨』であったことが記録されている。そして、プローブ情報DB24には上記のプローブ情報が、各車両3から収集した数だけ累積的に記憶されている。
【0031】
一方、滑り度合い情報DB25は、サーバ20により設定される各リンクの滑り度合いに関する滑り度合い情報を記憶する記憶手段である。そして、本実施形態において滑り度合い情報は、後述するようにプローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報の統計処理に基づいて生成される。ここで、滑り度合い情報に含まれる情報としては、リンク番号、気象、滑り度合い等がある。尚、『滑り度合い』とは、路面の滑り易さの度合いを示した情報の一種であり、この滑り度合いには、滑り易さの程度の高い方から、『3』、『2』、『1』、『0』の4段階のデータがある。そして、この『滑り度合い』は、サーバ20によってリンク毎且つ気象(晴れ、雨、雪)毎に設定される。尚、滑り度合いの設定方法については後述する。
【0032】
以下に、図4を用いて滑り度合い情報DB25に記憶される滑り度合い情報についてより詳細に説明する。図4は滑り度合い情報DB25に記憶される滑り度合い情報の一例を示した図である。
図4に示すように滑り度合い情報は、リンクを識別するリンク番号と、気象と、気象毎に該リンクの滑り易さの程度を示した滑り度合いとから構成される。例えば、図4に示す滑り度合い情報は、リンク番号『1000』のリンクについて、気象が『晴れ』のときの滑り度合いが『0』で、気象が『雨』のときの滑り度合いが『1』で、気象が『雪』のときの滑り度合いが『2』であることを示している。そして、滑り度合い情報DB25には上記の滑り度合い情報が、プローブセンタ2及びナビゲーション装置5が有する地図を構成するリンク数分記憶されている。
【0033】
また、センタ地図情報DB26は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。そして、サーバ20は、車両3から取得した滑り地点の位置座標とセンタ地図情報DB26に記憶された地図情報とに基づいて車両3のタイヤの滑りが発生したリンクを特定するマップマッチング処理を行う。
【0034】
一方、センタ通信装置27は車両3とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置27を介してプローブ情報や滑り度合い情報を各車両3との間で送受信する。
【0035】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置5の概略構成について図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係るナビゲーション装置5の制御系を模式的に示すブロック図である。
図5に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置5は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(滑り検出手段、現在位置取得手段、警告手段)33と、操作者からの操作を受け付ける操作部34と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ2やVICSセンタとの間で通信を行う通信モジュール4と、から構成されている。また、ナビゲーションECU33には自車の走行速度を検出する車速センサ38が接続される。
【0036】
以下に、ナビゲーション装置5を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、地磁気センサ42、距離センサ43、ステアリングセンサ44、方位検出部としてのジャイロセンサ45、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位等を検出することが可能となっている。
【0037】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録されたナビ地図情報DB46やナビ滑り度合い情報DB47や車両情報DB48、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0038】
ここで、ナビ地図情報DB46は、基本的にプローブセンタ2の有するセンタ地図情報DB26と同様の構成を有しており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0039】
また、ナビ滑り度合い情報DB47は、プローブセンタ2から配信された滑り度合い情報を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU33はナビ滑り度合い情報DB47に記憶された滑り度合い情報を用いて、後述のように滑り度合いの高いリンクの走行を避ける為の探索経路の修正やスリップに対する注意案内を行う。
【0040】
また、車両情報DB48は、車両3に関する各種情報が記憶される記憶手段である。例えば、現在車両3が装着するタイヤの種別(夏タイヤ又は冬タイヤ)、タイヤの使用年数、走行距離、タイヤの製造メーカ、タイヤの銘柄、駆動方式(FF、FR、MR、RR、四輪駆動)等が記憶される。そして、ナビゲーションECU33は車両3のタイヤの滑りを検出した際に、滑り地点とともに車両情報(本実施形態ではタイヤの種別)についても併せてプローブセンタ2へと送信する。
【0041】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの誘導経路を設定する誘導経路設定処理、タイヤの滑りを検出した際に滑りを検出した位置等をプローブ情報としてプローブセンタ2に送信する滑り検出処理、プローブセンタ2から配信された滑り度合い情報に基づいて探索経路の再探索やスリップに対する注意案内を行う運転支援処理等のナビゲーション装置5の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の滑り検出処理プログラム(図6参照)、運転支援処理プログラム(図10参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0042】
続いて、前記構成を有する運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する滑り検出処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る滑り検出処理プログラムのフローチャートである。ここで、滑り検出処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、車両3においてタイヤの滑りを検出した際に滑り地点の位置を含むプローブ情報をプローブセンタ2へと送信するプログラムである。尚、以下の図6及び図10にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU33が備えているRAM52、ROM53等に記憶されており、CPU51により実行される。
【0043】
先ず、滑り検出処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は現在の気象に関する気象情報を取得する。尚、気象情報を取得する方法としては、通信モジュール4を介して外部のセンタ等から取得しても良いし、車両に設置された外気温センサや湿度センサの検出結果に基づいて気象を判定しても良い。また、ワイパーの作動状況から気象を判定しても良い。
【0044】
次に、S2においてCPU51は、自車の装着するタイヤの種別を車両情報DB48から取得する。尚、タイヤの種別は予めユーザが操作部34により入力操作を行うことにより車両情報DB48に記憶される。また、CPU51が転がり抵抗の変化等から装着されているタイヤの種別を自動的に判断することとしても良い。
【0045】
続いて、S3においてCPU51は、タイヤの滑りを検出したか否か判定する。ここで、タイヤの滑りの検出には、例えばVSC(Vehicle Stability Control)、TRC(Traction Control)、ABS(Antilock Brake System)、VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)の各システムが用いられる。そして、CPU51は例えばVSC、TRC、ABSの各システムの制御を開始したときにタイヤの滑りが発生したと検出する。また、CPU51はVDIMシステムにより検出した道路の滑り度合い度が所定の閾値を超えた場合にタイヤの滑りが発生したと検出することも可能である。尚、上記S3が滑り検出手段の処理に相当する。
【0046】
そして、前記S3の判定の結果、タイヤの滑りを検出したと判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。S4でCPU51は、滑りを検出した際の自車の現在位置(即ち、滑り地点)をGPS41により検出し、更に、マップマッチング処理を行うことにより滑り地点を含むリンクのリンク番号を特定する。そして、特定されたリンクのリンク番号に滑り地点を含むリンクであることを識別するフラグを付加する。その後、そのリンク番号及びフラグを前記S1及びS2で取得した気象とタイヤ種別に関する情報とともにプローブセンタ2へとプローブ情報として送信する。尚、前記S4で送信するプローブ情報は、自車のタイヤの滑りを検出したリンクを特定する情報となる。
【0047】
一方、前記S3の判定の結果、タイヤの滑りを検出しないと判定された場合(S3:NO)には、S5へと移行する。そして、S5でCPU51は、マップマッチング処理の結果に基づいて、自車がリンクを通過し、且つ通過したリンクの走行中に自車が一度もタイヤの滑りを検出しなかったか否か判定する。
【0048】
その結果、リンクを通過し、且つ通過したリンクの走行中に一度も自車のタイヤの滑りを検出しなかったと判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。S6においてCPU51は、通過したリンクのリンク番号に滑り地点を含まないリンクであることを識別するフラグを付加する。その後、そのリンク番号及びフラグを前記S1及びS2で取得した気象とタイヤ種別に関する情報とともにプローブセンタ2へとプローブ情報として送信する。尚、前記S6で送信するプローブ情報は、タイヤの滑りが一度も発生しなかったリンクを特定する情報となる。
【0049】
それに対して、リンクを通過していないと判定された場合、又は通過したリンクの走行中に一度でも自車のタイヤの滑りを検出したと判定された場合(S5:NO)には、当該滑り検出処理プログラムを終了する。
【0050】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行するプローブ情報受信処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブ情報受信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報を受信するプログラムである。尚、以下の図7乃至図9にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22、ROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0051】
先ず、プローブ情報受信処理プログラムでは、S11において、CPU21は全国を走行する各車両3からプローブ情報の送信があるか否か判定する。
【0052】
そして、プローブ情報の送信があると判定された場合(S11:YES)には、送信されるプローブ情報を受信する(S12)。そして、CPU21は受信したプローブ情報をプローブ情報DB24へと累積的に格納する(S13)。尚、前記S11で受信するプローブ情報としては、前記S4で送信される自車のタイヤの滑りを検出した地点を特定する情報(具体的には、滑りを検出した地点を含むリンクのリンク番号、気象、タイヤ種別)と、前記S6で送信される通過したリンクでタイヤの滑りが発生しなかったことを特定する情報(具体的には、走行中に一度も滑りを検出しなかったリンク番号、気象、タイヤ種別)がある。そして、前記S11でプローブ情報を受信することにより、プローブセンタ2は車両3がタイヤの滑りを検出した滑り地点と、滑りを検出した車両3のタイヤ種別を取得することができる。尚、上記S12がタイヤ種別取得手段及び滑り地点取得手段の処理に相当し、上記S13が記憶手段の処理に相当する。
【0053】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する滑り度合い設定処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る滑り度合い設定処理プログラムのフローチャートである。ここで、滑り度合い設定処理プログラムは前回プログラムを実行した時から所定期間(例えば半年)経過後に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報に基づいて地図を構成する各リンクの滑り度合いを設定するプログラムである。
【0054】
以下の、S21〜S28の処理はリンクの各気象(晴れ、雨、雪)単位でループして実行し、センタ地図情報DB26に記憶される地図を構成する全リンクに対する処理が終了するまで繰り返し行う。尚、全リンクを対象とするのではなく、対象として選択したエリア内のリンクのみについて処理を実行しても良い。選択される処理エリアは、例えばメッシュ単位や都道府県単位で選択される。
【0055】
先ず、S21でCPU21は、今回処理対象となるリンクの気象において、滑り地点が存在するか否か判定する。具体的には、プローブ情報DB24に格納されたプローブ情報(図3参照)の内、今回処理対象となるリンク内に滑り地点を有し、且つ気象が一致するプローブ情報がある場合に、滑り地点があると判定する。
【0056】
前記S21の判定の結果、滑り地点が無いと判定された場合(S21:NO)には、今回処理対象となるリンクの気象の滑り度合いを最も程度の低い『0』に設定する(S22)。その後、未処理のリンクの気象が残っている場合にはS21へと戻り、同様にしてS21〜S28の処理を行う。一方、全リンクの各気象に対するS21〜S28の処理が終了した場合には当該滑り度合い設定処理プログラムを終了する。
【0057】
一方、前記S21の判定の結果、滑り地点があると判定された場合(S21:YES)には、S23へと移行する。
【0058】
S23でCPU21は、先ず、今回処理対象となるリンクの気象に該当するプローブ情報であって、且つ所定期間内(例えば、前回プログラムを実行した時から現在まで)に車両3から送信されたプローブ情報をプローブ情報DB24から抽出する。その後、抽出したプローブ情報のうち、タイヤの種別が冬タイヤであるプローブ情報と、冬タイヤで滑りを検出したことを特定するプローブ情報(S4で送信される情報)の数をそれぞれ特定し、両者の数から冬タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合を算出する。同様にして、タイヤの種別が夏タイヤであるプローブ情報と、夏タイヤで滑りを検出したことを特定するプローブ情報(S4で送信される情報)の数をそれぞれ特定し、両者の数から夏タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合を算出する。尚、上記S23が割合算出手段の処理に相当する。
【0059】
続いて、S25でCPU21は、前記S23の統計結果に基づいて、冬タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%以上か否か判定する。その結果、冬タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%以上であると判定された場合(S24:YES)には、今回処理対象となるリンクの気象の滑り度合いを最も程度の高い『3(第1滑り度合い)』に設定する。その後、未処理のリンクの気象が残っている場合にはS21へと戻り、同様にしてS21〜S28の処理を行う。一方、全リンクの各気象に対するS21〜S28の処理が終了した場合には当該滑り度合い設定処理プログラムを終了する。
【0060】
それに対して、冬タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%未満であると判定された場合(S24:NO)には、夏タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%以上か否か判定する(S26)。
【0061】
その結果、夏タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%以上であると判定された場合(S26:YES)には、今回処理対象となるリンクの気象の滑り度合いを『2(第2滑り度合い)』に設定する。また、夏タイヤを装着した車両3が滑りを検出した割合が66%未満であると判定された場合(S26:NO)には、今回処理対象となるリンクの気象の滑り度合いを『1(第3滑り度合い)』に設定する。その後、未処理のリンクの気象が残っている場合にはS21へと戻り、同様にしてS21〜S28の処理を行う。一方、全リンクの各気象に対するS21〜S28の処理が終了した場合には当該滑り度合い設定処理プログラムを終了する。尚、上記S25、S27、S28が滑り度設定手段の処理に相当する。
【0062】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する情報配信処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報配信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、上記滑り度合い設定処理プログラム(図8)で設定された各リンクの滑り度合いに関する情報を各車両3に配信するプログラムである。
【0063】
先ず、情報配信処理プログラムでは、S31において、CPU21は全国を走行する各車両3から滑り度合い情報の配信要求があるか否か判定する。
【0064】
そして、滑り度合い情報の配信要求があると判定された場合(S31:YES)には、要求のあった車両3に要求のあったエリア内のリンクに関する滑り度合い情報を配信する(S32)。尚、滑り度合い情報を受信した車両3に搭載されたナビゲーション装置5は、受信した滑り度合い情報に基づいて後述の運転支援処理(図10)を行う。
【0065】
一方、滑り度合い情報の配信要求がないと判定された場合(S31:NO)には、当該情報配信処理プログラムを終了する。
【0066】
次に、運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する運転支援処理プログラムについて図10に基づき説明する。図10は本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、運転支援処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、プローブセンタ2から取得した各リンクの滑り度合いの情報に基づいて運転支援を行うプログラムである。
【0067】
先ず、運転支援処理プログラムでは、S41において自車の現在位置を取得する。具体的には、GPS41により自車の現在位置を検出するとともに、ナビ地図情報DB46に記憶された地図情報に基づいてマップマッチングを行い、地図上における自車位置を特定することにより行う。尚、上記S41が現在位置取得手段の処理に相当する。
【0068】
その後S42において、CPU51は現在の気象に関する気象情報を取得する。尚、気象情報を取得する方法については、前記S1と同様であるので省略する。
【0069】
次に、S43においてCPU51は、自車の装着するタイヤの種別を車両情報DB48から取得する。尚、タイヤの種別を取得する方法については、前記S2と同様であるので省略する。
【0070】
続いて、S44でCPU51は、プローブセンタ2に対して配信要求を送信し、自車の周辺リンクの滑り度合い情報を取得する。尚、自車の周辺リンクは自車の現在位置を中心とした所定距離内(例えば10km以内)に含まれるリンクでも良いし、自車が現在位置する2次メッシュ内に含まれるリンクでも良い。尚、取得した滑り度合い情報は、ナビ滑り度合い情報DB47に記憶される。
【0071】
その後、S45でCPU51は、自車の進行方向前方に現在の気象で滑り度合いの程度の高いリンク(例えば、自車が夏タイヤを装着している場合には滑り度合いが『2』又は『3』のリンク、冬タイヤを装着している場合には滑り度合いが『3』のリンク)があるか否か判定する。尚、ナビゲーション装置5で誘導経路が設定されている場合には、誘導経路に沿って進行方向が判定される。
【0072】
そして、自車の進行方向前方に現在の気象で滑り度合いの程度の高いリンクがあると判定された場合(S45:YES)にはS46へと移行する。一方、自車の進行方向前方に現在の気象で滑り度合いの程度の高いリンクが無いと判定された場合(S45:NO)には、運転支援を行うことなく当該運転支援処理を終了する。
【0073】
次に、S46においてCPU51は、ナビゲーション装置5において誘導経路が設定されているか否か判定する。その結果、誘導経路が設定されていると判定された場合(S46:YES)にはS47へと移行する。それに対して、誘導経路が設定されていないと判定された場合(S46:NO)には、S50へと移行する。
【0074】
S47でCPU51は、誘導経路の再探索を行うか否かの選択肢を液晶ディスプレイ35に表示し、その結果、ユーザによって誘導経路の再探索を行うことが選択されたか否か判定する。
【0075】
そして、ユーザによって誘導経路の再探索を行うことが選択されたと判定された場合(S47:YES)には、S48へと移行する。それに対して、誘導経路の再探索を行わないことが選択されたと判定された場合(S47:NO)には、S50へと移行する。
【0076】
S48でCPU51は、滑り度合いの程度の高いリンク(例えば、自車が夏タイヤを装着している場合には滑り度合いが『2』又は『3』のリンク、冬タイヤを装着している場合には滑り度合いが『3』のリンク)の探索コストを上げて、再度目的地までの経路探索を行う。
【0077】
その後、S49でCPU51は、前記S48の探索結果に基づいて新たに設定された誘導経路に従って、液晶ディスプレイ35及びスピーカ36を用いて経路案内を行う。
【0078】
一方、S50においてCPU51は、進行方向前方に滑り度の程度の高いリンクがあることを運転者に案内する。また、チェーンの装着を案内するようにしても良い。尚、上記S50が警告手段の処理に相当する。
【0079】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る運転支援システム1及び運転支援システム1による運転支援方法及び運転支援システム1で実行されるコンピュータプログラムでは、プローブカーである車両3がタイヤの滑りを検出した際に、滑り地点の情報とともに装着するタイヤの種別に関する情報をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し(S4、S6)、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報をタイヤの種別を考慮して統計処理することにより地図を構成する各リンクについて渋滞度合いを設定し(S25、S27、S28)、設定された渋滞度合いをプローブセンタ2から配信された車両3はリンクの渋滞度合いに基づいて運転支援を行う(S48〜S50)ので、車両3の装着するタイヤの種別を考慮して道路の滑り度合いを設定することができ、様々な車両状況に対応して利用できる正確な道路の滑り度合いを把握可能となる。そして、把握した道路の滑り度合いをユーザに提供することにより、現在の車両に装着されているタイヤ種別に対応した正確な滑り度合いに基づく運転支援を行うことが可能となる。
また、夏タイヤと冬タイヤのそれぞれにおいて装着する車両3の挙動を統計処理することにより、夏タイヤと冬タイヤの滑り易さの違いを考慮して道路の滑り度合いを設定することができる。従って、より正確で且つ利便性の高い道路の滑り度合いを把握可能となる。
また、高い滑り度合いが設定された道路の探索コストを上げて経路の探索を行うので、滑り易い道路を避けた経路に基づく経路案内を行う(S48、S49)ことができるので、スリップの発生を防止し、安全性が向上する。
更に、高い滑り度合いが設定された道路が車両の進行方向前方に位置する場合に警告を行う(S50)ので、滑り易い道路に対して予め運転者に警告を行うことができ、スリップの発生を事前に運転者に予測させることができる。
【0080】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではプローブ情報に滑り地点の情報とともに車両が装着するタイヤの種別に関する情報を含め、タイヤの種別を考慮してリンクの渋滞度合いを設定することとしているが、タイヤの種別以外にも、車両の駆動方式(FF、FR、MR、RR、四輪駆動)を考慮してリンクの渋滞度合いを設定することとしても良い。また、タイヤの使用年数を考慮してリンクの渋滞度合いを設定することとしても良い。また、車両の走行距離、タイヤの製造メーカ、タイヤの銘柄等を考慮してリンクの渋滞度合いを設定することとしても良い。
【0081】
また、本実施形態ではタイヤの種別として、夏タイヤと冬タイヤの2種類に区分しているが、チェーン装備タイヤを加えた3種類に区分することとしても良い。
【0082】
また、本実施形態ではリンクの滑り度合いの設定をプローブセンタ2が行うこととしているが、ナビゲーション装置5が滑り度合いの設定を行うこととしても良い。尚、その場合には自車の滑りの検出結果のみに基づいて滑り度合いの設定を行うように構成する。
【0083】
尚、本実施形態ではリンク毎にS21〜S28の滑り度合いの設定処理を行っているが、エリア単位(例えば二次メッシュ単位で)S21〜S28の滑り度合いの設定処理を行っても良い。その場合には、エリア単位で滑り度合いが設定される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る運転支援システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る運転支援システムの構成を示したブロック図である。
【図3】プローブ情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図4】滑り度合い情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る滑り検出処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る滑り度合い設定処理プログラムのフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 運転支援システム
2 プローブセンタ
3 車両
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
33 ナビゲーションECU
51 CPU
52 RAM
53 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得手段と、
前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出手段と、
前記滑り検出手段によってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得手段と、
前記滑り地点取得手段により取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得手段により取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定手段と、を有することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
複数の車両についての前記滑り地点と前記タイヤ種別を累積的に記憶する記憶手段を有し、
前記滑り度設定手段は、
前記記憶手段に記憶された累積情報に基づいて、道路毎且つ異なるタイヤ種別毎にその道路内で滑りを検出した車両の割合を算出する割合算出手段を備え、
前記割合算出手段の算出結果に基づいて道路の滑り度合いを設定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記タイヤ種別は車両が装着するタイヤの種別を夏タイヤと冬タイヤのいずれかに特定する情報であり、
前記滑り度設定手段は、
冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出した道路の滑り度合いを最も高い第1滑り度合いに設定し、
冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出せず、且つ夏タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出した道路の滑り度合いを第1滑り度合いより低い第2滑り度合いに設定し、
夏タイヤ及び冬タイヤを装着する車両が所定割合以上滑りを検出しない道路の滑り度合いを第2滑り度合いより低い第3滑り度合いに設定することを特徴とする請求項2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
目的地までの経路を探索するナビゲーション装置を有し、
前記ナビゲーション装置は、前記滑り度設定手段により設定された滑り度合いに基づいて、道路の探索コストを変更して経路の探索を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項5】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記滑り度設定手段により所定度合い以上の滑り度合いが設定された道路が車両の進行方向前方に位置する場合に警告を行う警告手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項6】
車両のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得ステップと、
前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出ステップと、
前記滑り検出ステップによってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得ステップと、
前記滑り地点取得ステップにより取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得ステップにより取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定ステップと、を有することを特徴とする運転支援方法。
【請求項7】
コンピュータに搭載され、
車両のタイヤ種別を取得するタイヤ種別取得機能と、
前記車両のタイヤの滑りを検出する滑り検出機能と、
前記滑り検出機能によってタイヤの滑りを検出した滑り地点を取得する滑り地点取得機能と、
前記滑り地点取得機能により取得した滑り地点と前記タイヤ種別取得機能により取得したタイヤ種別とに基づいて道路の滑り度合いを設定する滑り度設定機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−123153(P2009−123153A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299218(P2007−299218)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】