説明

過硫酸供給システム

【課題】過硫酸を用いた洗浄システムなどに対し、高濃度の過硫酸イオンを含む溶液を安定して供給可能な過硫酸供給システムを提供する。
【解決手段】電解反応により溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成する電解反応装置(電解反応槽5、直流電源6)と、硫酸イオンを含む溶液を貯留する貯留槽1と、該貯留槽1から前記溶液を被電解液として前記電解反応装置へ移送し、前記電解反応装置から電解された溶液を前記貯留槽1へ移送する循環ライン(送り管2a、戻り管2b)と、前記電解反応装置で生成された過硫酸イオンを含む溶液を過硫酸使用側に供給する過硫酸供給ライン7と、電解反応装置に移送する前記被電解液を補給する補給ライン8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品洗浄用の洗浄液の生成・再生などに好適に用いられる過硫酸供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハ、液晶用ガラス基板、フォトマスク基板など電子材料基板を洗浄する技術において、レジストを剥離洗浄するプロセスでは、通常、濃硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)が用いられている。SPMによる洗浄効果は、過酸化水素が硫酸を酸化して生成する過硫酸の高い酸化分解能にあることが知られている。
【0003】
また、過硫酸イオンを生成する方法として、上記方法の他に、硫酸イオンを含む水溶液を電解槽で電解して過硫酸イオン溶解水を得て洗浄に供する方法(硫酸電解法)も知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2001−192874号公報
【特許文献2】特表2003−511555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、SPMでは、過酸化水素により発生する過硫酸が自己分解し酸化力が低下すると分解する分を補うため過酸化水素水の補給が必要である。しかし過酸化水素水の添加によって硫酸濃度が徐々に希釈されるため、液組成を一定に維持することが難しく、所定時間もしくは所定の処理量毎に洗浄液が廃棄され、更新されている。このため多量の薬品を保管・廃棄しなければならないという問題がある。またこの方法では、生成する過硫酸の濃度に限界があり、これが洗浄効果の限界につながっている。
【0005】
一方、硫酸電解法では、連続的に過硫酸を生成することはできるが、洗浄能力の高い高温高濃度硫酸を電解すると電解効率が悪く、高い過硫酸濃度にまで過硫酸を生成することができないという問題がある。また過硫酸溶液は80℃以上になると過硫酸の自己分解速度が非常に速くなるため、過硫酸濃度を高濃度に維持することが難しいという問題も有している。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、半導体ウエハなどのレジスト付着物を効果的に剥離除去および分解などすることができる過硫酸イオンを連続的、かつ高濃度に生成して供給することができる過硫酸供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の過硫酸供給システムのうち、請求項1記載の発明は、電解反応により溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成する電解反応装置と、硫酸イオンを含む溶液を貯留する貯留槽と、該貯留槽から前記溶液を被電解液として前記電解反応装置へ移送し、前記電解反応装置から電解された溶液を前記貯留槽へ移送する循環ラインと、前記電解反応装置で生成された過硫酸イオンを含む溶液を貯留槽又は循環ラインから過硫酸使用側に供給する過硫酸供給ラインと、電解反応装置に移送する前記被電解液を貯留槽又は循環ラインに補給する補給ラインとを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1記載の発明において、前記補給ラインは、前記過硫酸供給ラインにおける前記供給時に、供給される溶液と補給される溶液とが混合しないように、補給が停止されるか、又はまたはラインが互いに隔離されるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1記載の発明において、前記補給ラインは、前記過硫酸供給ラインにおける前記供給時に、供給される溶液と補給する溶液との混合により低下する過硫酸イオン濃度を電解反応装置による過硫酸イオン生成により補って、所定の過硫酸イオン濃度を有する溶液を前記過硫酸供給ラインにより供給可能な少量の被電解液を供給するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記補給ラインで供給される前記被電解液は、系外から新たに供給される硫酸イオンを含む溶液または前記過硫酸使用側で使用されて過硫酸イオン濃度が低下した後に回収される回収溶液もしくはこれらの混合溶液であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記電解反応装置に移送される前記被電解液又は、前記電解反応装置から移送される前記電解液を冷却する被電解液冷却手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記貯留槽を複数備え、前記過硫酸供給ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する過硫酸供給切り替え手段と、前記循環ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する循環切り替え手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項6記載の発明において、前記補給ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する補給切り替え手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項7記載の発明において、前記補給切り替え手段は、前記過硫酸供給切り替え手段で選択して切り替え接続されている貯留槽と異なる貯留槽を選択して切り替え接続するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項6〜8のいずれかに記載の発明において、前記過硫酸供給切り替え手段は、前記循環切り替え手段で選択して切り替え接続されている貯留槽と異なる貯留槽を選択して切り替え接続するものであることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記電解反応装置に移送される被電解液の硫酸濃度が2〜9Mであることを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、前記過硫酸使用側に供給される過硫酸イオンを含む溶液の硫酸濃度が10〜18Mであることを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の発明において、前記補給ラインには、前記回収溶液の一部が分配供給され、該一部の回収溶液が希釈冷却されて被電解液として電解され、前記回収液の残部が加熱されるとともに、該残部の回収液と前記電解液の一方または両方が濃縮され、これらが混合されて前記過硫酸使用側に供給されるものであることを特徴とする。
【0019】
請求項13記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の発明において、前記電解反応装置は、陽極と陰極との間が電解反応可能に区画されており、前記循環ラインは、前記で区画された陽極側に接続されていることを特徴とする。
【0020】
請求項14記載の過硫酸供給システムの発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の発明において、前記過硫酸使用側が、過硫酸を用いた洗浄システムであることを特徴とする。
【0021】
すなわち、本発明によれば、電解反応装置で陽極と陰極とを対にして電解がなされる。これら電極の材質は、本発明としては特定のものに限定はしない。しかし、電極として一般に広く利用されている白金を本発明の電解反応装置の陽極として使用した場合、過硫酸イオンを効率的に製造することができず、白金が溶出するという問題がある。これに対し、ダイヤモンド電極は、過硫酸イオンの生成を効率よく行えるとともに、電極の損耗が小さい。したがって、電解反応装置の電極のうち、少なくとも一つの電極、特には少なくとも過硫酸イオンの生成がなされる陽極をダイヤモンド電極で構成するのが望ましく、陽極、陰極ともにダイヤモンド電極で構成するのが一層望ましい。
【0022】
導電性ダイヤモンド電極は、シリコンウエハ等の半導体材料を基板とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させた後に、ウエハを溶解させたものや、基板を用いない条件で板状に析出合成した自立型導電性多結晶ダイヤモンドを挙げることができる。また、Nb,W,Tiなどの金属基板上に積層したものも利用できるが、電流密度を大きくした場合には、ダイヤモンド膜が基板から剥離するという問題が生じやすく、作用効果が短期間で消失するという問題がある。よって、基板上に析出させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極が望ましい。
【0023】
なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロン、窒素などの所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。すなわち、本発明としては、電極の形状や数は特に限定されるものではない。
【0024】
この導電性ダイヤモンド電極を用いて行う電解処理は、導電性ダイヤモンド電極表面の電流密度を10〜100,000A/mとし、硫酸イオンを含む溶液をダイヤモンド電極面と平行方向に、通液線速度を1〜10,000m/hrで接触処理させることが望ましい。
【0025】
上記電解反応装置では、循環ラインを通して貯留槽との間で溶液を循環させつつ電解を行うことにより、過硫酸イオン濃度を十分に高めることができ、被電解液として高濃度の硫酸を用いる場合にも、高い過硫酸イオン濃度を得ることが可能になる。この過硫酸イオンを含む溶液は、過硫酸供給ラインを通して適宜の過硫酸使用側に供給することができる。
【0026】
生成した過硫酸溶液が供給される使用側が、過硫酸溶液を洗浄液として使用した電子基板材料からのレジスト等有機物の除去である場合、過硫酸濃度だけではなく、溶液温度や硫酸濃度がレジスト除去効果に大きく影響する。レジスト等有機物の剥離・溶解効果は温度や硫酸濃度の低下に伴い低下する。そこで発明者らは種々実験を繰り返し、洗浄液の温度は100〜200℃の範囲が、同様に硫酸濃度は10〜18Mの範囲が洗浄効率の面から適切な濃度であることを見出した。
【0027】
上記条件のような高温・硫酸高濃度・過硫酸高濃度の洗浄液を製造するには、過硫酸が高温での寿命が極めて短いことから、例えば以下のような製造方法が考えられる。つまり(1)低温高濃度硫酸を電解して過硫酸濃度を高め、次に相対的に多量の高温高濃度硫酸と混合するという方法か、または(2)低温低濃度硫酸を電解して過硫酸濃度を高め、次に相対的に多量の高温高濃度硫酸と混合するという方法である。
【0028】
上記(1)の方法では、系内の硫酸濃度を高濃度に維持したまま運転するため、硫酸循環型のシステムに適している。ただし使用側にて過硫酸溶液を瞬間的に昇温するために、過硫酸溶液に対して多量かつ非常に高温の高濃度硫酸溶液を混合する必要がある。
なお、被電解液の硫酸濃度は2〜9M程度にすると電解による過硫酸イオン生成効率は大きくなるが、電解した溶液を洗浄液として使用する場合には硫酸濃度は電子材料基板からのレジスト等有機物の除去効果に大きく影響する。レジスト等有機物の剥離・溶解効果は硫酸濃度の低下に伴い低下する。そこで、発明者らは種々実験を繰り返し、硫酸濃度が10M〜18Mの範囲が、電解効率、洗浄効率を考慮して適切な濃度であることを見出している。
【0029】
一方、(2)に方法では、被電解液の硫酸濃度を低くすることにより、電解効率すなわち過硫酸生成効率の向上、過硫酸の延命化が可能となり、しかも使用側にて過硫酸溶液を瞬間的に昇温する際に、高濃度硫酸溶液を混合すると大きな希釈熱が生じ、希釈熱により加温されるので、混合前の過硫酸溶液や高濃度硫酸溶液の予備加熱温度を省略できるか、或いは低く設定できる。従って、非循環型のシステムに適しているが、以下のようにすれば硫酸循環型のシステムに適用することもできる。つまり使用後の硫酸溶液を分岐して一方を希釈・冷却して電解し、電解後に電解液を濃縮し、他方の硫酸溶液を加温し、両液を使用直前に混合するというシステムか、或いは、使用後の硫酸溶液を分岐して一方を希釈・冷却して電解し、他方の硫酸溶液を濃縮・加温し、両液を使用直前に混合するというシステムである。
【0030】
なお、硫酸から過硫酸を電解生成する技術は一般的に知られており、Balejらは白金電極を用いて硫酸濃度1〜13Mでの過硫酸生成における電流効率を調べ、電流密度にもよるがおよそ9M以上になると電流効率が低下すると報告している(Balej et.al, Chem.commun. vol44, 1979)。しかし、硫酸から過硫酸を生成するときの最適な硫酸濃度は示されていない。そこで本発明者らは硫酸から過硫酸を電解生成するときの最適な硫酸濃度を検討し、15〜60wt.%(2〜9M)の範囲、より好ましくは25〜40wt.%(3〜5M)であることが分かった。
また過硫酸寿命に関しては、硫酸濃度が高くなるに従って生成した過硫酸の過酸化水素への自己分解を促進してしまうため、できるだけ硫酸濃度が低い方が過硫酸の延命のためには好ましい。
希釈熱の観点では、硫酸濃度が高すぎると高濃度硫酸溶液と混合しても高い希釈熱が得られないため好ましくなく、また逆に硫酸濃度が低いと高濃度硫酸溶液と混合しても混合液の硫酸濃度が高くならず、この場合硫酸溶液の沸点が低いため希釈熱が生じても溶液が沸騰してしまい、所定の温度まで溶液を加温することができないため好ましくない。
従って全てを満たす被電解液の硫酸濃度としては2〜9M(好ましくは3〜5M)となる。
【0031】
さて電解工程において過硫酸濃度を高めるためには本発明のように循環型システムで電解することはもちろんのこと、電解反応装置についても特定の構成が好適に用いられる。例えば、陽極と陰極の間を陽イオン交換膜等の隔膜で区画し、上記被電解液を陽極側に通液することによって、陰極での還元反応が生じないため、隔膜で区画しない場合に比べて、より高い過硫酸イオン濃度を得ることができる。この場合、陰極側の電解液については循環利用したり廃棄するため、電解反応装置に悪影響(スケール付着など)を与えないような導電性のある溶液であれば特に限定されないが、過硫酸の使用目的が半導体洗浄である場合は、隔膜を通して陰極側のイオンが陽極側に漏出して洗浄液の品質を下げる恐れがあるので、陰極側の被電解液についても1〜10M程度の硫酸溶液を用いることが好ましい。ただし隔膜については、濃硫酸に対して耐酸化性を有する素材を使用する必要がある。なお、電解反応装置の区画は上記に限定をされるものではない。
【0032】
なお、電解反応装置における溶液の適温は10〜60℃である。上記温度範囲を超えると、電解効率が低下し、電極の損耗も大きくなる。また、電解の結果、溶液温度が昇温して過硫酸イオンの自己分解が早まってしまう。一方、上記温度を下回ると、電解液を洗浄液などに使用する際に、洗浄効果を高めるために加熱する際の熱エネルギーが莫大になり、実用的でない。なお、同様の理由により、下限を25℃、上限を45℃とするのが一層望ましい。
なお、貯留槽と電解反応装置を循環する溶液は、電解の結果、比較的高温になるので、電解反応装置に移送する際や貯留槽に移送する際に熱交換器などの冷却手段を設けて冷却するのが望ましい。
【0033】
また、上記システムでは、補給ラインを設けて電解反応装置に供給する被電解液を補給することができる。補給する溶液としては、系外から新たに供給される硫酸イオンを含む溶液または前記過硫酸使用側で使用されて過硫酸イオン濃度が低下した後に回収される回収溶液を用いることができる。補給溶液は、循環ラインや貯留槽または電解反応装置に直接供給することができる。この補給溶液が高温である場合には、上記冷却手段を介して溶液が冷却されるように構成するのが望ましい。なお、補給ラインによる補給では、上記過硫酸供給ラインから使用側に供給する溶液と補給溶液とが混合しないようにすることができる。これにより使用側に常に安定した高濃度の過硫酸イオンを供給することができる。上記混合の回避は、過硫酸供給時に補給ラインを停止したり、補給ラインと過硫酸供給ラインとを互いに隔離することにより行うことができる。また、補給ラインによる補給では、前記過硫酸供給ラインにおける前記供給時に、供給される溶液と補給する溶液とを混合することもできるが、その場合、混合により低下する過硫酸イオン濃度を電解反応装置による過硫酸イオン生成により補って、所定の過硫酸イオン濃度を有する溶液を供給できるように補給量を少量に限るのが望ましい。多量の補給を行うと、電解反応装置で補充できる過硫酸イオン生成量では間に合わず、供給溶液の過硫酸イオン濃度が次第に低下してしまい、安定した過硫酸イオン濃度で過硫酸使用側に供給することができない。
【0034】
なお、過硫酸使用側に効率的に過硫酸イオンを含む溶液を供給するために、複数の貯留槽を備えることができる。複数の貯留槽では、過硫酸イオンを含む溶液の供給、被電解液の循環および電解、被電解液の補給の役割などを順次切り替えることで、安定した過硫酸イオン濃度の溶液を効率的に過硫酸使用側に供給することができ、上記切り替えのタイミングによって連続的な供給が可能になる。上記した順次の切り替えは、過硫酸供給ラインと複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する過硫酸供給切り替え手段と、循環ラインと複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する循環切り替え手段とを備えることにより行うことができ、さらに、これに加えて補給ラインと複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する補給切り替え手段を備えることができる。上記各切り替え手段は、複数の電磁切替弁などにより構成することができ、要は、溶液が流れる経路を切り替えられるものであればよく、本発明としては特定のものに限定されない。
【0035】
なお、補給ラインによる補給は、上記貯留槽とは別に、補給用貯留槽を介して行うことも可能である。この場合、補給用貯留槽には、過硫酸イオンが流入しないようにすれば、過硫酸イオンに対し耐性を有することが必要とされず、安価な材料で槽を構成することができる。
【0036】
繰り返しの電解によって過硫酸イオンが十分に高くなった溶液は、種々の用途における過硫酸使用側に供給される。過硫酸使用側は、本発明としては特に限定をされるものではなく、過硫酸イオンを必要とする種々の用途への適用が可能である。好適な使用例は、前述したように、硫酸溶液に過硫酸イオンを生成することで半導体ウェハなどの洗浄に用いるものである。
【0037】
洗浄部では、過硫酸イオンを含む硫酸溶液で被洗浄材の洗浄を行うことで被洗浄材の効果的な洗浄がなされ、被洗浄材からレジストなどの汚染物が効果的に剥離・除去される。剥離除去された汚染物は硫酸溶液中に移行し、過硫酸イオンが自己分解する際の酸化力によって効果的に分解がなされる。洗浄部は枚葉式、バッチ式のいずれであってもよく、本発明としては使用側における構成は特定のものに限定されない。また、洗浄部では、洗浄槽に洗浄液を収容して被洗浄材を浸漬して洗浄を行うことも可能であり、さらに洗浄液またはその噴流を被洗浄材に当てて洗浄を行うこともできる。該噴流の形成は、洗浄液をそのまま又は洗浄液と気体とを混合させる噴流形成装置により行うことができる。前記気体としては、例えばエアや窒素、不活性ガスなどを用いることができる。噴流形成装置の具体的な構成は特定のものに限定されるものではなく、既知のものを用いることができる。上記噴流による洗浄によれば、必要とされる過硫酸溶液を少量のものとすることができ、剥離したレジストなどの再付着も防止される。この噴流による洗浄では、過硫酸イオン濃度が高い洗浄液を使用することによって、洗浄効果が顕著に向上する。
【0038】
洗浄部では、溶液中の過硫酸イオンが自己分解することにより過硫酸イオン濃度が次第に低下する。この過硫酸イオン含有溶液は、前記のように回収溶液として本発明の過硫酸供給システムに被電解液として戻すことで過硫酸イオンを生成することができる。また、洗浄に用いた溶液は、過硫酸供給システムに戻すことなく排液などの処理を行うことも可能である。
【0039】
また、硫酸溶液では、電子材料基板からのレジスト等の有機汚染物の除去は、液温度が高いほど短時間で処理できることが知られており、適宜の加熱手段により高温の状態にすることで洗浄部において優れた洗浄効果を発揮する。加熱手段は、前記したように過硫酸供給ラインに設けるものであってもよい。また、過硫酸は温度が高い程、自己分解速度が速くなり高い剥離洗浄作用が得られる。しかし、加温に3分以上時間がかかるとその加温中に過硫酸の自己分解によって発生した強酸化剤の多くが消滅してしまうので、加熱手段は液温をできるだけ短時間に昇温できるものが好ましい。例えば、溶液の加熱は、高温の溶液を混合することにより行うことも可能である。特に、溶液として高濃度硫酸を用いる場合、高温高濃度硫酸と過硫酸イオンを含む硫酸溶液とを混合することで、瞬時に温度を上げることができる。
洗浄液の適温としては、例えば100℃〜200℃を示すことができる。該温度範囲を下回ると、過硫酸による剥離洗浄効果が低下する。一方、200℃を超えると、過硫酸の自己分解速度が極めて大きくなり、レジストを十分に酸化できないので、洗浄液の適温は上記範囲内である。
【発明の効果】
【0040】
以上、説明したように本発明の過硫酸供給システムは、電解反応により溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成する電解反応装置と、硫酸イオンを含む溶液を貯留する貯留槽と、該貯留槽から前記溶液を被電解液として前記電解反応装置へ移送し、前記電解反応装置から電解された溶液を前記貯留槽へ移送する循環ラインと、前記電解反応装置で生成された過硫酸イオンを含む溶液を貯留槽又は循環ラインから過硫酸使用側に供給する過硫酸供給ラインと、電解反応装置に移送する前記被電解液を貯留槽又は循環ラインに補給する補給ラインとを備えるので、貯留槽と電解反応槽との間で被電解液を循環させつつ電解を行って、溶液中の過硫酸イオン濃度を十分に高くすることができ、この過硫酸イオンを含む溶液を使用側に供給することで、洗浄などの用途に効果的に過硫酸を用いることができる。特に、高温高濃度の硫酸溶液を電解する場合にも、効果的に過硫酸イオンを生成することができ、洗浄能力の高い洗浄液を供給することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(実施形態1)
以下に、本発明の一実施形態を図1(a)に基づいて説明する。
硫酸溶液を被電解液として収容する貯留槽1が備えられ、該貯留槽1に、循環ラインの送り管2a、戻り管2bが接続されており、該送り管2aには、被電解液を送液するための送液ポンプ3が介設されている。送液ポンプ3の下流側には、送液される被電解液を冷却するための冷却器4が冷却手段として介設されている。その下流側で、送り管2aが電解反応槽5の入口側に接続されている。なお、上記冷却器は、戻り管2b側に設けて電解反応槽5の出口側で送液される電解液を冷却するように構成してもよい。
【0042】
上記電解反応槽5には、陽極5aおよび陰極5bが配置され、さらに陽極5aと、陰極5bとの間にバイポーラ電極5cが配置されている。なお、本発明としてはバイポーラ式ではなく、陽極と陰極のみを電極として備えるものであってもよい。上記陽極5aおよび陰極5bには、直流電源6が接続されており、これにより電解反応槽5での直流電解が可能になっている。
【0043】
電解反応槽5では、上記電極間を溶液が通液するように構成されており、該電解反応槽5の出口側には前記戻り管2bが接続されている。この実施形態では、上記電極5a、5b、5cはダイヤモンド電極によって構成されている。該ダイヤモンド電極は、基板上にダイヤモンド薄膜を形成するとともに、該ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、好適には50〜20,000ppmの範囲でボロンをドープすることにより製造したものである。また、薄膜形成後に基板を取り去って自立型としたものであってもよい。
上記電解反応槽5、直流電源6によって、本発明の電解反応装置が構成されている。
【0044】
電解反応槽5の出口側に接続された戻り管2bは、前記貯留槽1に接続されており、送り管2aと戻り管2bとによって貯留槽1と電解反応槽5との間で溶液が循環するように構成されている。また、貯留槽1には、電解された溶液を過硫酸使用側(図示しない)に供給する過硫酸供給ライン7が接続されており、該過硫酸供給ライン7には開閉弁7aが介設されている。さらに貯留槽1には、電解反応槽5で電解がなされる被電解液を補給する補給ライン8が接続されており、該補給ライン8には開閉弁8aが介設されている。上記により本発明の過硫酸供給システム10aが構成されている。
【0045】
以下に、上記実施形態の作用について説明する。
貯留槽1内に、好適には10〜18Mの濃度とした硫酸溶液を収容する。該貯留槽1の溶液は送液ポンプ3によって送り管2aを通して順次、電解反応槽5に送液される。この際には、冷却器4によって溶液が好適には約40℃に冷却される。電解反応槽5では、直流電源6によって陽極5a、陰極5b間に通電がなされている。この通電によって、バイポーラ電極5cが分極し、陽極、陰極が出現する。電解反応槽5に送液される溶液は、これら電極間に通水される。この際に通液線速度が1〜10,000m/hrとなるように送液ポンプ3の出力を設定するのが望ましい。なお、上記通電では、ダイヤモンド電極表面での電流密度が10〜100,000A/mとなるように通電制御するのが望ましい。
【0046】
電解反応槽5で溶液に対し通電されると、溶液中の硫酸イオンが酸化反応して過硫酸イオンが生成され高濃度の過硫酸イオンを含む硫酸溶液が得られる。この過硫酸イオンを含む硫酸溶液は、戻り管2bを通して貯留槽1に貯留される。貯留槽1に貯留された過硫酸イオンを含む硫酸溶液は、上記電解によって50〜70℃に昇温しているものの、過硫酸イオンの自己分解が特に促進される温度には達していない。貯留槽1の溶液は、さらに、送り管2aを通してポンプ3で送液されつつ冷却器4で約40℃程度に冷却された後、再度電解反応槽5に導入され、前記と同様に電解されて過硫酸イオンが生成されて過硫酸イオン濃度が高まり、その後、戻り管2bを通して貯留槽1へと移送される。上記動作を繰り返すことで濃硫酸溶液の過硫酸イオン濃度は益々高まり、濃硫酸溶液において10〜150g/Lといった高い過硫酸イオン濃度を得ることが可能になる。
【0047】
過硫酸イオン濃度が十分に高くなった後は、送液ポンプ3による送液および電解反応槽5による電解を停止し、開閉弁7aを開いて過硫酸供給ライン7より所望の過硫酸使用側に過硫酸イオンを含む濃硫酸溶液を供給する。なお、本発明としては、電解を継続しながら過硫酸イオンを含む濃硫酸溶液の供給を行うことも可能である。貯留槽1に収容されている溶液は、電解によって50〜70℃に昇温しており、過硫酸使用側で加熱する際の加熱エネルギは小さくなる。上記供給の結果、貯留槽1での溶液量が不足した場合、必要に応じて、前記過硫酸供給ライン7による溶液供給を停止して開閉弁7aを閉じ、開閉弁8aを開いて補給ライン8より被電解液とする濃硫酸溶液を前記貯留槽1に補給する。また、本発明では、上記溶液を供給しつつ補給ライン8から被電解液を供給しても良い。その場合、電解を継続しつつ供給する溶液の過硫酸濃度が上記補給によって次第に低下しないように補給量を調整することが望ましい。
【0048】
なお、補給に用いられる濃硫酸溶液は、系外から新たに供給される濃硫酸溶液でもよく、また、過硫酸使用側で自己分解によって過硫酸イオンが低下した後に回収された回収溶液のいずれでもよい。また、補給ライン8は、貯留槽1に接続せず、または貯留槽1に加えて、電解反応槽5の入り口側に接続するものであってもよい。この場合、補給用貯留槽を別途介在させ、この補給用貯留槽に補給する被電解液を貯留し、該補給用貯留槽から前記送り管2aに被電解液を合流させるものであってもよい。また、前記貯留槽1に他の貯留槽を直列に接続し、この他の貯留槽に被電解液を補給するようにしてもよい。そして、この他の貯留槽より電解反応槽5に送り管2aを介して被電解液を送液するようにしてもよい。
【0049】
(実施形態2)
次に、本発明の別の実施形態を図1(b)に基づいて説明する。なお、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
この実施形態では、上記電解反応槽5と同様に陽極15a、陰極15b、バイポーラ電極15cを備える電解反応槽15が用いられ、各電極は、上記実施形態と同様にダイヤモンド電極によって構成されている。電解反応槽15には直流電源16が接続されて、本発明の電解反応装置が構成されている。
該電解反応槽15では、陽極と陰極の間を陽イオン交換膜9で分離している。なお、電解反応槽15では、バイポーラ電極15cを備えているため、電解に際し、分極する。したがって、陽極15aと、これに対し分極して陰極が出現する側のバイポーラ電極15cとの間に陽イオン交換膜9を配置して陽極側と陰極側に区画し、さらに陰極15bと、これに対し分極して陽極が出現する側のバイポーラ電極15cとの間にも陽イオン交換膜9を配置して陽極側と陰極側に区画している。
前記した送り管2aおよび戻り管2bは、それぞれ上記で区画された電解反応槽15の陽極側に接続されている。
【0050】
また、上記で区画された陰極側には、送り管12aと戻り管12bとが接続されており、送り管12aおよび戻り管12bの他端側は貯留槽11に接続されている。なお、送り管12aには、硫酸を送液するための送液ポンプ13が介設されており、該送液ポンプ13の上流に、送液される硫酸を冷却するための冷却器14が介設されている。
なお、貯留槽1には、好適には2〜9M(より好適には3〜5M)の濃度とした硫酸溶液を収容し、同様に貯留槽11内にも0.5〜9M程度の硫酸溶液を収容する。
上記により本発明の過硫酸供給システム10bが構成されている。
【0051】
以下に、上記形態の作用について説明する。
区画された上記陽極側では、上記実施形態1と同様に、高濃度過硫酸を生成するための硫酸溶液が貯留槽1との間で循環される。一方、上記陰極側では、送り管12aと戻り管12bを通して貯留槽11の間で送液ポンプ13によって硫酸溶液が循環される。
なお、陽極側、陰極側では、それぞれ硫酸の通液線速度が1〜10,000m/hとなるように送液ポンプ3および送液ポンプ13の出力を設定するのが望ましい。
【0052】
上記電解反応槽15で硫酸溶液に対し通電されると、陽極側の硫酸溶液中の硫酸イオンが酸化反応して過硫酸イオンが生成される。この過硫酸イオンは、陰イオンであるため、上記陽イオン交換膜9を透過せず、陽極側にとどまる。上記動作を繰り返すことで陽極側における硫酸溶液の過硫酸イオン濃度は益々高まり、50〜300g/Lといった高い過硫酸濃度を得ることが可能になる。
過硫酸供給システムで生成された過硫酸イオンを高濃度で含む硫酸溶液は、過硫酸使用側の直前において高温高濃度硫酸溶液と混合することができる。
【0053】
(実施形態3)
次に、上記過硫酸供給システム10aを洗浄システムに組み込んだ使用例を一実施形態として図2に基づいて説明する。
過硫酸供給システム10aの過硫酸供給ライン7は、送液ポンプ21を経由し、その下流側でヒータ22を介して洗浄槽20に接続されている。洗浄槽20内には、収容された洗浄液を加熱するヒータ28が設けられている。さらに洗浄槽20には、排液側にポンプ24を介設した送り管23が接続されており、該送り管23はポンプ24の下流側で分岐して、前記過硫酸供給システム10aの補給ライン8と環流管25とに接続されている。環流管25はヒータ26が介設されて、ヒータ22の下流側で前記過硫酸供給ライン7に合流している。また、補給ライン8には冷却器27が介設されている。
【0054】
この実施形態の作用について説明する。
過硫酸供給システム10aで生成された過硫酸イオンを高濃度で含む濃硫酸溶液は、送液ポンプ21によって過硫酸供給ライン7を通液し洗浄槽20側へと移送され、洗浄槽20に洗浄液として次第に蓄積される。この際に、溶液はヒータ22により好適には、過硫酸の自己分解速度が非常に高くならない温度、例えば50〜60℃に温度調整される。ただし、該加熱を省略することも可能である。洗浄槽20では、被洗浄材である半導体基板100を基板保持具101などで保持しつつ洗浄液中に浸漬する。過硫酸供給ライン7を通して移送される過硫酸イオンを含む溶液は、上記のようにヒータ22で加熱された後、還流管25で送液される高温の洗浄液と混合される。該洗浄液は、洗浄槽20に蓄積された過硫酸イオンを含む溶液であり、ポンプ24で送り管23を介して送液される。なお、送り管23を移送される洗浄液は、少量が補給ライン8に送液され、残部は還流管25に送られる。この洗浄液は、洗浄槽20内で、好適にはヒータ28の動作により130〜150℃に保持されており、ヒータ26によって好適には150〜170℃に加熱される。この高温の洗浄液と過硫酸イオンを含む溶液とが過硫酸供給ライン7で合流すると、溶液は瞬時に140〜160℃程度となって洗浄槽20内に導入される。
【0055】
洗浄槽20内では、過硫酸イオンを高濃度で含み、かつ高濃度、高温の硫酸溶液の作用によって半導体基板100表面のレジスト残渣などが剥離除去され、汚染物として硫酸溶液中に移行し、溶解する。溶解したレジストは、さらに自己分解をする過硫酸イオンの酸化力によって分解される。清浄化された洗浄液は、前記のように、順次、送り管23で移送される。
一方、補給ライン8に移送された少量の洗浄液は、冷却器27で40℃程度に冷却された後、被電解液として過硫酸供給システム10aの貯留槽1または電解反応槽5に直接供給される。この際に、電解反応槽5では電解が継続されて過硫酸イオンが補充されており、補給された被電解液の導入においても電解反応槽5内の溶液における過硫酸イオン濃度を所定値に維持することができる。
【0056】
なお、本発明としては、過硫酸供給ライン7によって過硫酸イオンを含む溶液を供給する間は、送り管23を移送される洗浄液の全量を還流管25に送り、補給ライン8への送液を停止しておくこともできる。その場合、洗浄槽20での洗浄を所定時間行った後、補給ライン8を通して高温の洗浄液を被電解液として過硫酸供給システム10aに補給する。
洗浄液は、洗浄槽20における高温での洗浄処理によって過硫酸イオンが自己分解して濃度が低下している。この洗浄液は、前記したように過硫酸供給ライン7から供給される溶液と混合しないように過硫酸供給システム10aに補給されて被電解液として電解されることで、再度過硫酸イオン濃度が高められて、過硫酸供給ライン7より洗浄槽20に供給されることになる。
【0057】
(実施形態4)
なお、上記実施形態では、洗浄部としてバッチ式の洗浄槽を備えるものについて説明をしたが、本発明では、洗浄液を枚葉式の洗浄部に適用するものであってもよい。以下に、一実施形態として噴流形成装置を備える洗浄システムについて図3に基づいて説明する。
【0058】
過硫酸供給システム10aの過硫酸供給ライン7には、送液ポンプ31、ヒータ32を経由し、その下流側で高温硫酸溶液供給管33と合流して洗浄部に接続されている。
洗浄部では、噴流形成装置としてノズル34を備えており、該ノズル34の先端側噴出部が洗浄槽30内に位置している。ノズル34は、過硫酸供給ライン7から供給される過硫酸イオンを含む濃硫酸溶液の噴流を下方に向けて噴出するように構成されている。
また、洗浄槽30内には、ノズル34の噴出方向に、基板載置台102が設置され、該基板載置台102に被洗浄材である半導体基板100が載置される。該基板載置台102またはノズル34は、半導体基板100の表面上に噴流がむらなく当たるように相対的に移動可能とするのが望ましい。
また、洗浄槽30の洗浄液排液部では、洗浄に用いた洗浄液は過硫酸供給システムに送液することなく排液されるように構成されている。
【0059】
次に、上記構成よりなる枚葉式洗浄システムの作用について説明する。
過硫酸供給ライン10aで生成された過硫酸イオンを高濃度で含む濃硫酸溶液は、送液ポンプ31によって過硫酸供給ライン7を通して洗浄槽30側へと移送され、ノズル34に供給される。この際に、溶液はヒータ32で過硫酸の自己分解速度が非常に高くならない温度、例えば50〜60℃に加熱される。ただし、この加熱のための構成は省略することもできる。さらに、過硫酸イオンを高濃度で含む濃硫酸溶液は、高温硫酸溶液供給管33から供給される高温高濃度硫酸溶液と混合されて、瞬時に170℃程度に加熱される。
【0060】
洗浄槽30では、ノズル34において過硫酸イオンを含む高温の濃硫酸溶液が噴流化されて一定時間噴出される。基板載置台102上には基板100を設置しておき、基板載置台102によって基板100を回転させる。前記噴流によって、回転する基板100の表面がむらなく洗浄され、レジストなどが剥離、除去がなされる。噴出された洗浄液は、基板100を洗浄した後、飛散・落下して、レジスト溶解物を分解しつつ洗浄槽30から次々と排出される。過硫酸供給システム10aでは、電解された過硫酸イオンを含む濃硫酸溶液が不足すると、必要に応じて、過硫酸供給ライン7で供給される溶液と混合しないように、又は、電解を継続しつつ、洗浄部に供給する過硫酸イオン濃度が次第に低下しないような少量で、新たな溶液である常温の高濃度硫酸溶液を被電解液として補給ライン8より補給する。この被電解液は、過硫酸供給システム10aに備える電解反応装置で電解されて、過硫酸供給ライン7より洗浄槽30に洗浄液として供給することができる。
【0061】
(実施形態5)
上記各実施形態では、被電解液を貯留する貯留槽を一つ備える過硫酸供給システムについて説明をした。ただし、本発明は、該貯留槽を複数備えることができ、この複数の貯留槽によって、より効率的に過硫酸イオンを含む溶液を供給することができる。
以下に、その一実施形態について図4に基づき説明する。
【0062】
この実施形態では、被電解液を貯留する貯留槽40、50、60を備え、それぞれ送り管42a、戻り管42b、送り管52a、戻り管52b、送り管62a、戻り管62bが接続されている。さらに、前記貯留槽40、50、60は、それぞれ過硫酸供給ライン47、補給ライン48、過硫酸供給ライン57、補給ライン58、過硫酸供給ライン67、補給ライン68が接続されている。
【0063】
貯留槽40の送り管42aは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VGの切り替えポートに接続され、貯留槽50の送り管52aは、前記電磁切替弁VGの他の切り替えポートに接続されている。貯留槽60の送り管62aは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VHの切り替えポートに接続されている。前記電磁切替弁VGの共通ポートは、連結ライン72aによって、前記電磁切替弁VHの他の切り替えポートに接続されている。該電磁切替弁VHの共通ポートは、送り管2aに接続されており、該送り管2aは、冷却器4を介して電解反応槽5の入口側に接続されている。上記電磁切替弁VG、VHの切り替え動作によって送り管42a、52a、62aの一つを送り管2aに切り替え接続することができる。
【0064】
また、貯留槽40の戻り管42bは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VEの切り替えポートに接続され、貯留槽50の戻り管52bは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VFの切り替えポートに接続されている。該電磁切替弁VFの共通ポートは、連結ライン72bによって、前記電磁切替弁VEの他の切り替えポートに接続されている。貯留槽60の戻り管62bは、前記電磁切替弁VFの他の切り替えポートに接続されている。前記電磁切替弁VEの共通ポートは、戻り管2bに接続されており、該送り管2bは、電解反応槽5の出口側に接続されている。上記電磁切替弁VE、VFの切り替え動作によって戻り管42b、52b、62bの一つを戻り管2bに切り替え接続することができる。
【0065】
さらに貯留槽40の過硫酸供給ライン47は、過硫酸供給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VAの切り替えポートに接続され、貯留槽50の過硫酸供給ライン57は、前記電磁切替弁VAの他の切り替えポートに接続され、貯留槽60の過硫酸供給ライン67は、過硫酸供給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VBの切り替えポートに接続されている。前記電磁切替弁VAの共通ポートは、連結ライン77によって前記電磁切替弁VBの他の切り替えポートに接続されており、前記電磁切替弁VBの共通ポートには、過硫酸供給ライン7が接続されている。上記電磁切替弁VA、VBの切り替え動作によって過硫酸供給ライン47、57、67の一つを過硫酸供給ライン7に切り替え接続することができる。
【0066】
さらに貯留槽40の補給ライン48は、補給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VCの切り替えポートに接続され、貯留槽50の補給ライン58は、前記電磁切替弁VCの他の切り替えポートに接続され、貯留槽60の補給ライン68は、補給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VDの切り替えポートに接続されている。前記電磁切替弁VCの共通ポートは、連結ライン78によって前記電磁切替弁VDの他の切り替えポートに接続されており、前記電磁切替弁VDの共通ポートには、補給ライン8が接続されている。上記電磁切替弁VC、VDの切り替え動作によって補給ライン48、58、68の一つを補給ライン8に切り替え接続することができる。
【0067】
次に、上記実施形態における動作について説明する。
この説明では、貯留槽40に電解された過硫酸イオンを高濃度で含む溶液が収容され、貯留槽50に電解前の溶液が収容され、貯留槽60には、溶液が収容されていないか、補給途中の溶液が収容されているものとして説明する。
【0068】
先ず、電磁切替弁VAにおいて、過硫酸供給ライン47と連結ライン77とを連通させ、電磁切替弁VBにおいて連結ライン77と過硫酸供給ライン7とを連通させる。これにより貯留槽40のみが過硫酸供給ライン7に接続された状態になる。また、電磁切替弁VDにおいて補給ライン68と補給ライン8とを連通させることで、貯留槽60のみが補給ライン8に接続された状態になる。さらに、電磁切替弁VEで戻り管2bと連通ライン72bとを連通させ、電磁切替弁VFで、連通ライン72bと戻り管52bとを連通させる。これにより戻り管2bは、貯留槽50の戻り管52bのみと連通する。また、電磁切替弁VGで送り管52aと連通ライン72aとを連通させ、電磁切替弁VHで共通ライン72aと送り管2aとを連通させる。これにより送り管2aは、貯留槽50の送り管52aのみと連通し、電解反応槽5は、循環ラインによって貯留槽50のみに接続された状態になる。
【0069】
上記した切り替え接続状態では、貯留槽40において、過硫酸イオン濃度が十分に高められた溶液が過硫酸供給ライン7を通して過硫酸使用側に安定して供給され、貯留槽50において溶液を循環しつつ電解することで溶液中の過硫酸イオン濃度を次第にかつ十分に高めることができる。一方、貯留槽60では、洗浄工程で回収した溶液や新たな溶液を被電解液として次第に蓄積して電解に備えることができる。
【0070】
上記で貯留槽40で溶液が使用され尽くす前に、貯留槽50での電解および貯留槽60での蓄積が終了され、貯留槽40での供給を停止する状態になると、上記各電磁切替弁を切り替えて(例えば同期切り替え)、連続して過硫酸イオンを含む溶液を過硫酸使用側に供給することができる。
【0071】
すなわち、電磁切替弁VAで、過硫酸供給ライン57と連結ライン77を連通させ、電磁切替弁VBにおいて連結ライン77と過硫酸供給ライン7とを連通させる。これにより貯留槽50のみが過硫酸供給ライン7に接続された状態になる。また、電磁切替弁VCで、補給ライン48と連通ライン78とを連通させ、電磁切替弁VDで連通ライン78と補給ライン8とを連通させることで、貯留槽40のみが補給ライン8に接続された状態になる。さらに、電磁切替弁VEで戻り管2bと連通ライン72bとを連通させ、電磁切替弁VFで、連通ライン72bと戻り管62bとを連通させる。これにより戻り管2bは、貯留槽60の戻り管62bのみと連通する。また、電磁切替弁VHで送り管2aと送り管62aとを連通させる。これにより送り管2aは、貯留槽60の送り管62aのみと連通し、電解反応槽5は、循環ラインによって貯留槽60のみに接続された状態になる。
【0072】
上記した切り替え接続状態では、貯留槽50において、過硫酸イオン濃度が十分に高められた溶液が過硫酸供給ライン7を通して過硫酸使用側に安定して供給され、貯留槽60において溶液を循環しつつ電解することで溶液中の過硫酸イオン濃度を次第にかつ十分に高めることができる。一方、貯留槽40では、洗浄工程で回収した溶液や新たな溶液を被電解液として次第に蓄積して電解に備える。
上記した切り替え接続を貯留槽40、50、60間で順次行うことで、電解反応槽5で連続的に過硫酸イオンを生成しつつ、過硫酸イオン濃度が十分に高く、かつ安定した濃度で連続的に過硫酸使用側に供給することが可能になる。
【0073】
(実施形態6)
上記実施形態5では、3つの貯留槽を備えることで、各貯留槽で、循環電解、電解した溶液の供給、被電解液の補給を分担して行うものとしたが、一つの貯留槽でこれらの動作の二つ(好適には循環電解と被電解液の補給)を分担することで、貯留槽の数を二つにしてシステムを構築することも可能になる。該システムの実施形態を図5に基づいて説明する。なお、前記実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
【0074】
この実施形態では、被電解液を貯留する貯留槽40、50を備え、それぞれ送り管42a、戻り管42b、送り管52a、戻り管52bが接続され、さらに、それぞれ過硫酸供給ライン47、補給ライン48、過硫酸供給ライン57、補給ライン58が接続されている。
【0075】
貯留槽40の送り管42aは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VGの切り替えポートに接続され、貯留槽50の送り管52aは、前記電磁切替弁VGの他の切り替えポートに接続されている。該電磁切替弁VGの共通ポートは送り管2aに接続されており、上記電磁切替弁VGの切り替え動作によって送り管42a、52aのいずれかを送り管2aに切り替え接続することができる。
【0076】
また、貯留槽40の戻り管42bは、循環切り替え手段の一部となる電磁切替弁VEの切り替えポートに接続され、貯留槽50の戻り管52bは、前記電磁切替弁VEの他の切り替えポートに接続されている。該電磁切替弁VEの共通ポートは、戻り管2bに接続されている。上記電磁切替弁VEの切り替え動作によって戻り管42b、52bのいずれかを戻り管2bに切り替え接続することができる。
【0077】
さらに貯留槽40の過硫酸供給ライン47は、過硫酸供給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VAの切り替えポートに接続され、貯留槽50の過硫酸供給ライン57は、前記電磁切替弁VAの他の切り替えポートに接続され、電磁切替弁VAの共通ポートは、過硫酸供給ライン7に接続されている。上記電磁切替弁VAの切り替え動作によって過硫酸供給ライン47、57のいずれかを過硫酸供給ライン7に切り替え接続することができる。
【0078】
さらに貯留槽40の補給ライン48は、補給切り替え手段の一部となる電磁切替弁VCの切り替えポートに接続され、貯留槽50の補給ライン58は、前記電磁切替弁VCの他の切り替えポートに接続され、前記電磁切替弁VCの共通ポートに補給ライン8が接続されている。上記電磁切替弁VCの切り替え動作によって補給ライン48、58のいずれかを補給ライン8に切り替え接続することができる。
【0079】
次に、上記実施形態における動作について説明する。
この説明では、貯留槽40に電解された過硫酸イオンを高濃度で含む溶液が収容され、貯留槽50には、溶液が収容されていないか、補給途中の溶液が収容されているものとして説明する。
先ず、電磁切替弁VAにおいて、過硫酸供給ライン47と過硫酸供給ライン7とを連通させる。これにより貯留槽40のみが過硫酸供給ライン7に接続された状態になる。また、電磁切替弁VCにおいて補給ライン58と補給ライン8とを連通させることで、貯留槽50のみが補給ライン8に接続された状態になる。さらに、電磁切替弁VEで戻り管2bと戻り管52bとを連通させる。これにより戻り管2bは、貯留槽50の戻り管52bのみと連通する。また、電磁切替弁VGで送り管52aと送り管2aとを連通させる。これにより送り管2aは、貯留槽50の送り管52aのみと連通し、電解反応槽5は循環ラインによって貯留槽50のみに接続された状態になる。
【0080】
上記した切り替え接続状態では、貯留槽40において、過硫酸イオン濃度が十分に高められた溶液が過硫酸供給ライン7を通して過硫酸使用側に安定して供給される。一方、貯留槽50では、補給ライン8から被電解液を貯留槽50に収容し終わった後、または収容の途中で、循環ラインを通して溶液を循環させながら電解反応槽5で電解することで溶液中の過硫酸イオン濃度を次第にかつ十分に高めることができる。この実施形態では、例えば過硫酸イオンを含む溶液の使用量が少ない場合に、他方の貯留槽で補給と電解とを行うことができ、コンパクトな装置構成で過硫酸供給を行うことができる。
【0081】
なお、この実施形態でも切り替え接続を貯留槽40、50間で順次行うことで、電解反応槽で過硫酸イオンを生成しつつ、過硫酸イオン濃度が十分に高く、かつ安定した濃度の溶液を過硫酸使用側に供給することが可能になる。
【0082】
(実施形態7)
また、上記各実施形態では、補給する被電解液を過硫酸イオンを含む溶液を循環する貯留槽に供給するものについて説明したが、該貯留槽に供給することなく電解反応装置に直接被電解液を補給することが可能である。該システムの実施形態を図6に基づいて説明する。なお、前記各実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
【0083】
この実施形態では、前記実施形態6と同様に被電解液を貯留する貯留槽40、50を備え、それぞれ送り管42a、戻り管42b、送り管52a、戻り管52bが接続され、さらに、それぞれ過硫酸供給ライン47、57が接続されている。
【0084】
送り管42a、52aは、送り管2aが接続された電磁切替弁VGの切り替えポートに接続され、戻り管42b、52bは、戻り管2bが接続された電磁切替弁VEの切り替えポートに接続されて、貯留槽40、50において電解反応槽5との切り替え接続が可能になっている。また、過硫酸供給ライン47、57は、過硫酸供給ライン7が接続された電磁切替弁VAの切り替えポートに接続されており、貯留槽40、50において過硫酸供給ライン7との切り替え接続が可能になっている。
【0085】
また、この実施形態では、送り管2aの中途において電磁切替弁VIが介設させており、その切り替えポートの一つに補給ライン8が接続されている。補給ライン8には、補給用貯留槽80が介設されており、補給用貯留槽80には、過硫酸使用側の洗浄工程が回収された溶液や新溶液を該貯留槽80に供給する補給ライン81が接続されている。
【0086】
次に、該実施形態の動作について説明する。
この説明でも、貯留槽40に電解された過硫酸イオンを高濃度で含む溶液が収容され、貯留槽50には、溶液が収容されていないか、補給途中の溶液が収容されているものとして説明する。
電磁切替弁VAにおいて、過硫酸供給ライン47と過硫酸供給ライン7とを連通させ、さらに、電磁切替弁VEで戻り管2bと戻り管52bとを連通させ、電磁切替弁VGで送り管52aと送り管2aとを連通させる。
上記した切り替え接続状態では、貯留槽40において過硫酸イオン濃度が十分に高められた溶液が過硫酸供給ライン7を通して過硫酸使用側に安定して供給される。一方、補給ライン81を通して被電解液が蓄積された補給用貯留槽80からは、補給ライン8を通して被電解液が電解反応槽5に補給されつつ電解が行われる。電解された溶液は、戻り管2b、52bを通して貯留槽50に次第に蓄積される。貯留槽50では、収容予定の溶液が蓄積されると、補給ライン8からの補給を停止し、貯留槽50を通して溶液が電解反応槽5との間で循環されるように、電磁切替弁VIを切り替える。これにより、溶液が循環ラインを通して循環しながら電解反応槽5で電解されて溶液中の過硫酸イオン濃度を次第にかつ十分に高めることができる。この実施形態では、補給する溶液が貯留槽40または貯留槽50に蓄積されるのを待つことなく直ちに補給ライン8を通して被電解液を補給して電解を行うことができ、無駄な待機時間を省略して効率を高めることができる。また、過硫酸に耐性を有する貯留槽を3槽用意することなく効率的な過硫酸供給が可能になり、低コスト化を図ることも可能になる。
なお、この実施形態でも切り替え接続を貯留槽40、50間で順次行うことで、電解反応槽で過硫酸イオンを生成しつつ、過硫酸イオン濃度が十分に高く、かつ安定した濃度の溶液を過硫酸使用側に供給することが可能になる。
【0087】
(実施形態8)
次に、前記実施形態2の過硫酸供給システムを用いたバッチ式の洗浄システムについて図7を参照して説明する。
半導体ウェハの洗浄が行われる洗浄槽200は、硫酸溶液が収容され、ここに直径300mmのシリコンウェハ50枚を一バッチ分として受け容れ可能な容積を有しており、通常は、酸化剤(過酸化水素、過硫酸など)を加えて約10分でレジスト剥離を行う。この形態では、酸化剤として過硫酸が用いられる。
洗浄槽200には、洗浄液導入路201と洗浄液返流路202とが接続されており、洗浄液導入路201は、洗浄液供給路116に接続可能とされ、洗浄液返流路202は、ポンプ203を介して硫酸溶液返流路111に接続可能とされている。
【0088】
硫酸溶液返流路111の下流側は、循環分岐路113と減水用分岐路120とに分岐している。循環分岐路113には、ヒータ114、フィルタ115が介設され、後述する過硫酸供給ライン7と合流して洗浄液供給路116に接続されている。
一方、減水用分岐路120は、下流側で溶液水分低減手段である放散塔121(ガスストリッピング装置)の塔頂部に接続されている。放散塔121には、ガラスラシヒリングなどの充填材(図示しない)が充填されており、下方側から放散用空気が導入されて塔頂部から充填材を通って流下する溶液と下方側から充填材を通って上昇する空気とを向流させて溶液の水分の一部を蒸散させて上昇空気に取り込んで放散塔排気路125から出口ガスとともに放出する。水分が低減された溶液は放散塔121の塔底部から排水路122へと取り出される。放散塔121の塔底部に接続された排水路122は、ポンプ123が介設され、その下流側で濃縮硫酸溶液送液路124と電解用分岐路(補給ライン8)とに分岐しており、濃縮硫酸溶液送液路124は、循環分岐路113に合流している。
【0089】
補給ライン8は、希釈水送液路131が合流しており、冷却器132、開閉弁8aを介して貯留槽1に接続されている。補給ライン8を流れる硫酸溶液は、前記希釈水送液路131と合流して溶液が希釈される。したがって、希釈水送液路131は、補給ライン8と合流することで溶液希釈手段として機能する。
貯留槽1は、前記したように、循環ラインの送り管2a、戻り管2bが接続されており、これらは、前記したように電解反応槽15の区画された陽極側に接続されており、送り管2aに送液ポンプ3と冷却器4とが接続されている。電解反応槽15の区画された陰極側には、前記したように送り管12aと戻り管12bとを介して貯留槽11が接続されており、送り管12aに送液ポンプ13と冷却器14とが接続されている。また、貯留槽1には、開閉弁7aを介して過硫酸供給ライン7が接続されており、過硫酸供給ライン7は、送液ポンプ7bを介して、前記したように他端側が循環分岐路113と合流して洗浄液供給路116に接続されている。
また、電解反応槽15で発生する反応ガスは、電解槽排気路134に導かれ、前記放散塔121の排気路125と合流している。排気路125はさらに下流側が系外に伸びて排ガス処理工程などに供される。したがって、排気路125は、電解槽排気路134と合流することでガス希釈手段として機能する。
【0090】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
上記洗浄槽200内に、硫酸濃度が10〜18Mの硫酸溶液を収容する。洗浄においては、該硫酸溶液は100〜170℃に加熱されて、半導体ウェハの洗浄に使用される。洗浄液は、ポンプ203によって、順次、洗浄液返流路202を通して硫酸溶液返流路111に返流される。硫酸溶液返流路111では、一部が減水用分岐路120に分配され、残りが循環分岐路113に分配される。
【0091】
減水用分岐路120に分配された硫酸溶液は、放散塔121の塔頂部に導入され、充填材中を流下する。一方、放散塔121には、下方側からクリーンルームなどから供給される放散用空気が導入されて充填材中を上昇し、硫酸溶液の一部の水分が蒸散により低減され、排水路122へと移動する。この排水路122に移動した硫酸溶液は、水分の低減によって硫酸濃度が高まっており、また、放散用空気との接触および水分の蒸散によって温度が低下している。一方、放散塔121で水分をストリッピングした空気は、出口ガスとして排気路125に排気される。
排水路122に送られた濃縮した硫酸溶液は、ポンプ123で送液されて一部が補給ライン8に分配され、残りは濃縮硫酸送液路124に分配されて、循環分岐路113を流れる濃硫酸と混合される。
循環分岐路113における混合された溶液は、洗浄槽200から返流された後、温度が低下しており、これをヒータ114によって加熱して洗浄に好適な100℃〜170℃に加熱する。また、洗浄槽200での洗浄によって固体浮遊物(SS)などが溶液中に混入しているおそれがあるため、フィルタ115によって固形分を取り除いて洗浄液供給路116に供給する。
【0092】
一方、補給ライン8に分配された濃縮硫酸溶液は、希釈水送液路131を通して送液される超純水で希釈されて電解反応に好適な前記硫酸濃度に調整される。また、硫酸溶液は、低温の希釈水との混合によって温度が低下する。さらに補給ライン8を移動する硫酸は、冷却器132によって電解反応に好適な温度に冷却される。なお、硫酸溶液は、放散塔121においてガスストリッピングの結果、温度が低下しており、冷却負担が小さく、容易に電解に好適な温度にまで冷却することができる。
なお、この形態では、排水路122を濃硫酸溶液送液路124と補給ライン8とに分岐させたが、排水路122の硫酸の全量を濃硫酸溶液送液路124に移動させるものとして、補給ライン8は、前記硫酸溶液返流路111から分岐させて、該硫酸溶液返流路111を流れる硫酸の一部を補給ライン8に分配するようにしてもよい。
【0093】
上記のように温度、硫酸濃度を調整した硫酸溶液は、貯留槽1に貯留され、送り管2a、戻り管2bを通して送液ポンプ3によって電解反応槽15の区画された陽極側との間で循環される。電解反応槽15では、前記形態と同様にして陽極側で過硫酸溶液が得られ、次第に濃度が高まって貯留槽1に蓄積される。電解反応槽15における電解反応ガスは、放散塔121の出口ガスによって安全かつ確実に爆発限度以下の濃度に希釈されて排ガス処理工程に供される。
この実施形態では、ガスストリッピング法による放散塔121によって溶液温度が低下した硫酸溶液を電解反応に供しているので、電解反応に際し硫酸溶液を冷却する負担が軽減されるという利点を有している。なお、電解反応に供給する溶液としては、水分を低減した溶液と水分を低減しない溶液のいずれかの他、両方を用いるものであってもよい。
なお、この形態では、水分を低減して硫酸溶液を濃縮させる方法としてガスストリッピング法を用いたが、本発明としては濃縮方法は特に限定されるものではなく、加熱蒸散によって水分を低減することで濃縮するものであってもよい。
【0094】
貯留槽1に蓄積された過硫酸溶液は、所定時間の電解や、過硫酸濃度の測定などによって供給可能と判定し、電解を中止した後、送液ポンプ7bによって送液する。
過硫酸供給ライン7を通して送液される過硫酸溶液は、循環分岐路113で送液される高温・高濃度の硫酸溶液と混合される。なお、過硫酸溶液の温度は、前記のように電解反応に好適な比較的低温の温度に調整されているので、高温の硫酸溶液と混合される迄は過硫酸イオンの自己分解は少なく抑えられている。この混合によって硫酸溶液の温度、硫酸濃度は低下するものの、過硫酸溶液の量が硫酸溶液の量に比べて少量であるので前記の低下の程度は小さく、混合後の溶液の温度および硫酸濃度は、洗浄に好適な範囲が維持される。なお、混合による温度、硫酸濃度の程度が大きい場合には、その低下を見越して硫酸溶液の加熱温度、水分低減による硫酸濃度の上昇の程度を調整しておけばよい。該混合に際しては、高濃度の硫酸と、低濃度の硫酸の混合により希釈熱が発生し、溶液を昇温させる作用が得られる。
【0095】
混合された溶液は、高温の状態になるため、溶液に含まれる過硫酸イオンの自己分解が進行する。この溶液を洗浄液として、洗浄液供給路116、洗浄液導入路201を通し洗浄槽200に供給する。洗浄槽200内では、被洗浄材である半導体ウェハを洗浄液に浸漬し洗浄を行う。洗浄槽200内の洗浄液では、過硫酸イオンの自己分解および硫酸の作用によって高い酸化作用が得られており、半導体ウエハ上の汚染物などが効果的に剥離除去され、洗浄液中に移行する。洗浄液中に移行した剥離除去物は、過硫酸イオンの作用によって分解される。
【0096】
洗浄槽200内の洗浄液は、過硫酸イオンの自己分解によって次第に過硫酸イオン濃度が低下する。ただし、この洗浄液は、前記のように洗浄液返流路202を通して硫酸溶液返流路111に返流され、上記のように一部が電解反応槽15で効率的に電解されて過硫酸が再生されて再度洗浄液に供給されるため、洗浄槽200内での過硫酸イオン濃度を適度に維持することができる。また、洗浄液は、電解用のものを除いて、洗浄槽200に循環供給されるとともに、一部では水分が低減され硫酸濃度が高められて洗浄液に再度供給されるため、電解に供する硫酸溶液に加えられる希釈水の増加分が相殺されて水分量の増減がバランスされて洗浄槽での洗浄液の硫酸濃度が洗浄に好適な高濃度に維持されている。
【0097】
(実施形態9)
上記実施形態8では、実施形態2の過硫酸供給システムを用いて循環型バッチ洗浄システムを構築した形態について説明をしたが、上記過硫酸供給システムは、非循環型枚葉式洗浄システムに適用することもできる。
以下に、該形態について図8を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0098】
過硫酸供給システム10bにおける過硫酸供給ライン7は、送液ポンプ31、ヒータ32を経由し、その下流側で高温硫酸溶液供給管33と合流して洗浄槽30内に先端側噴出部を位置させたノズル34に接続されている。
次に、上記枚葉式洗浄システムの作用について説明する。
過硫酸供給システム10bの補給ライン8を通じて低濃度硫酸溶液を補給して貯留槽1に貯留する。貯留槽1内の硫酸溶液は、送り管2a、戻り管2bを通して送液ポンプ3によって送液し、電解反応槽15の区画された陽極側との間で循環させる。一方、電解反応槽15の陰極側では、貯留槽11内に貯留した硫酸溶液を送り管12a、戻り管12bを通して送液ポンプ13によって送液し、貯留槽11との間で循環させる。この循環とともに電解反応槽15に直流電源16によって通電することで、電流効率の高い低濃度硫酸溶液によって陽極側で高濃度の過硫酸が生成され、次第にその濃度が高まる。
【0099】
上記過硫酸供給システム10bで生成された過硫酸イオンを高濃度で含む低濃度硫酸溶液は、送液ポンプ31によって過硫酸供給ライン7を通してノズル34側に供給され、この際に、溶液はヒータ32で過硫酸の自己分解速度が非常に高くならない温度、例えば50〜60℃に加熱される。さらに、過硫酸イオンを高濃度で含む低濃度硫酸溶液は、高温硫酸溶液供給管33から供給される高温高濃度硫酸溶液と混合されて、瞬時に170℃程度に加熱される。
【0100】
洗浄槽30では、ノズル34において過硫酸イオンを含む高温の濃硫酸溶液が噴流化されて一定時間噴出され、基板載置台102上の基板100が洗浄される。噴出された洗浄液は、基板100を洗浄した後、飛散・落下して、レジスト溶解物を分解しつつ洗浄槽30から次々と排出される。過硫酸供給システム10bでは、電解された過硫酸イオンを含む低濃度硫酸溶液が不足すると、必要に応じて、補給ライン8から低濃度硫酸溶液が供給される。
【0101】
以上、本発明について、上記各実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の説明内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。特に高濃度硫酸から高濃度過硫酸溶液を生成して使用し、廃液を回収して被電解液として再利用する場合、電流密度を上げるとガスが大量に発生して電解効率を上げられない。よって本発明のようにして硫酸を循環しながら電解して過硫酸を高濃度にすることが必要不可欠な技術となる。
【実施例1】
【0102】
以下に、上記実施形態4の硫酸リサイクル型枚葉式洗浄システムを用いた実施例について説明する。
貯留槽に、98%濃硫酸40リットル、超純水10リットルの割合で調製した高濃度硫酸溶液(16.1M)を収容した。電解反応装置では、直径15cm、厚さ0.5mmのボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ電解反応槽を2槽直列に配列させた。電解のための有効陽極面積は30dmであり、電流密度を30A/dmに設定して電解した。このとき電解反応装置では、過硫酸生成速度が3g/l/hrであることを確認した。貯留槽と電解反応装置との間で溶液を循環しつつ電解を継続することで、溶液中の過硫酸濃度は50g/Lに達した。
貯留槽における過硫酸を含有した溶液は、洗浄液として枚葉式洗浄装置に500ml/min.で送液し、その途中でヒータにより170℃程度まで加熱した。基板載置台に保持されたレジスト付きで5インチのシリコンウエハを2min./枚程度の速度で洗浄した。廃液は貯留槽に回収した。この処理を3時間連続して行い、60枚の清浄なウエハを得ることができた。またこの間に新たな薬品の添加を行わず、貯留槽内の洗浄液のTOC濃度は検出限界以下であった。
【0103】
(比較例1)
実施例1の枚葉式洗浄装置を用い、該洗浄装置には、硫酸:過酸化水素水を4:1で混合し、170℃に加熱した洗浄液を供給するものとした。レジスト付きで5インチのシリコンウエハを2min./枚程度の速度で洗浄液を回収せず一過使用で洗浄した。3時間後、60枚の清浄なウエハを得ることができたが、洗浄廃液が60L程度発生した。
【実施例2】
【0104】
以下に、上記実施形態9の硫酸非循環型枚葉式洗浄システムを用いた実施例について説明する。
電解反応装置では、直径15cm、厚さ0.5mmのボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ電解反応槽を2槽直列に配列させた。各陽極と陰極の間をフッ素樹脂系陽イオン交換膜による隔膜で隔離し、陽極側と陰極側にそれぞれ循環ラインを設けて電解液を独立して循環通液できるようにした。
系外で約4Mに硫酸溶液を調製後、貯留槽1に投入した。貯留槽11には2Mの硫酸溶液を収容した。貯留槽1、11の硫酸温度がいずれも約30℃になるように冷却器4、14で調整した。貯留槽1と電解反応槽5との間で硫酸溶液を循環しつつ電解を継続することにより100Ah/L電流を投入後、硫酸溶液中の過硫酸濃度は155g/Lに達した。
【0105】
貯留槽1に収容された過硫酸溶液を、過硫酸溶液使用側に300ml/min.で送液した。系外で140℃、96wt.%の高温高濃度硫酸溶液を調製し、高温高濃度硫酸溶液と過硫酸溶液を2:1の流量比で混合した。それにより水和熱が生じて175℃、12.8M硫酸、約50g/L過硫酸の硫酸溶液が生成された。この硫酸溶液を混合直後に枚葉型洗浄工程に送液し、Asイオンを1×1016[/cm]ドーズしたレジスト付き5インチシリコンウエハにノズル34から吹きつけて洗浄した。洗浄効果は超純水でリンス洗浄後、レジスト剥離率によって評価した。洗浄後の硫酸溶液は洗浄廃液として系外に排出した。このときレジスト剥離率は90%に達した。同様に系外から電解工程に供給した低濃度硫酸溶液の硫酸濃度、100Ah/l電流を投入後の過硫酸濃度、96wt.%硫酸混合後の硫酸濃度および液温度と、各条件で洗浄したときのレジスト剥離の評価結果を表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
このように洗浄条件3〜5が示す3〜5Mの範囲では過硫酸の生成効率が高いことで、洗浄液中の過硫酸濃度が高く、洗浄液中の硫酸温度も高くできた。したがって、この硫酸範囲の被電解液を使用するとイオンドーズされた剥離の難しいレジストに対しても高い洗浄効果があり、好ましい結果が得られることが認められた。
【実施例3】
【0108】
実施例2と同様の洗浄システム、電解反応装置を用いて、貯留槽1に収容された過硫酸溶液と、96wt.%硫酸の流量比を変えて同ウエハを洗浄した。このとき、流量比を変えても洗浄液温度が130〜140℃になるように96wt.%硫酸の保持温度を調整した。各条件における被電解液の硫酸濃度、電解後の過硫酸液度、96wt.%硫酸との流量比、混合後の硫酸濃度と、そのときのレジスト剥離率を表2に示す。
【0109】
【表2】

【0110】
これより、硫酸濃度が10Mを下回っていると、過硫酸の含有量が高くてもレジストの酸化分解反応が促進されないため、レジスト剥離効果が悪くなる。したがって、洗浄液の硫酸濃度は10M以上が好ましいことが分かった。
【実施例4】
【0111】
実施例2と同様の洗浄システム、電解反応装置を用いて、貯留槽1に収容された過硫酸溶液と、96wt.%硫酸の流量比を3:1とし、同ウエハを洗浄した。このとき、系外で加温する96wt.%硫酸の保持温度を試験条件毎に変えて浄液温度を振った。各条件における被電解液の硫酸濃度、電解後の過硫酸濃度、96wt.%硫酸の保持温度、混合後の硫酸濃度、混合後の洗浄液温度と、そのときのレジスト剥離率を表3に示す。
【0112】
【表3】

【0113】
これより、洗浄液温度が100℃を下回っていると、過硫酸の含有量が同等でもレジストの酸化分解反応が促進されないため、レジスト剥離効果が悪くなる。また、洗浄液温度が200℃を超えている場合は、含有する過硫酸がレジストを酸化分解する前に、瞬時に自己分解を起こしてしまうため、レジスト剥離効果が悪くなる。したがって、洗浄液の硫酸濃度は100〜200℃が好ましいことが分かった。

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態および他の実施形態の過硫酸供給システムを示す概略図である。
【図2】同じく、一使用例の実施形態を示す概略図である。
【図3】同じく、他の使用例の実施形態を示す概略図である。
【図4】同じく、他の実施形態を示す概略図である。
【図5】同じく、さらに他の実施形態を示す概略図である。
【図6】同じく、さらに他の実施形態を示す概略図である。
【図7】同じく、さらに他の実施形態を示す概略図である。
【図8】同じく、さらに他の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
1 貯留槽
2a 送り管
2b 戻り管
4 冷却器
5 電解反応槽
5a 陽極
5b 陰極
5c バイポーラ電極
6 直流電源
7 過硫酸供給ライン
8 補給ライン
9 陽イオン交換膜
10 過硫酸供給システム
10a 過硫酸供給システム
10b 過硫酸供給システム
15 電解反応槽
15a 陽極
15b 陰極
15c バイポーラ電極
20 洗浄槽
22 ヒータ
26 ヒータ
27 冷却器
30 洗浄槽
32 ヒータ
40 貯留槽
42a 送り管
42b 戻り管
47 過硫酸供給ライン
48 補給ライン
50 貯留槽
52a 送り管
52b 戻り管
57 過硫酸供給ライン
58 補給ライン
60 貯留槽
62a 送り管
62b 戻り管
67 過硫酸供給ライン
68 補給ライン
80 補給用貯留槽
100 半導体基板
121 放散塔
131 希釈水送液路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解反応により溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成する電解反応装置と、硫酸イオンを含む溶液を貯留する貯留槽と、該貯留槽から前記溶液を被電解液として前記電解反応装置へ移送し、前記電解反応装置から電解された溶液を前記貯留槽へ移送する循環ラインと、前記電解反応装置で生成された過硫酸イオンを含む溶液を貯留槽又は循環ラインから過硫酸使用側に供給する過硫酸供給ラインと、電解反応装置に移送する前記被電解液を貯留槽又は循環ラインに補給する補給ラインとを備えることを特徴とする過硫酸供給システム。
【請求項2】
前記補給ラインは、前記過硫酸供給ラインにおける前記供給時に、供給される溶液と補給する溶液とが混合しないように、補給が停止されるか、又はラインが互いに隔離されるものであることを特徴とする請求項1記載の過硫酸供給システム。
【請求項3】
前記補給ラインは、前記過硫酸供給ラインにおける前記供給時に、供給される溶液と補給する溶液との混合により低下する過硫酸イオン濃度を電解反応装置による過硫酸イオン生成により補って、所定の過硫酸イオン濃度を有する溶液を前記過硫酸供給ラインにより供給可能な少量の被電解液を供給するものであることを特徴とする請求項1記載の過硫酸供給システム。
【請求項4】
前記補給ラインで供給される前記被電解液は、系外から新たに供給される硫酸イオンを含む溶液または前記過硫酸使用側で使用されて過硫酸イオン濃度が低下した後に回収される回収溶液もしくはこれらの混合溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項5】
前記電解反応装置に移送される前記被電解液又は、前記電解反応装置から移送される前記電解液を冷却する被電解液冷却手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項6】
前記貯留槽を複数備え、前記過硫酸供給ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する過硫酸供給切り替え手段と、前記循環ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する循環切り替え手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項7】
前記補給ラインと前記複数の貯留槽のうちから選択した貯留槽とを切り替え接続する補給切り替え手段を備えることを特徴とする請求項6記載の過硫酸供給システム。
【請求項8】
前記補給切り替え手段は、前記過硫酸供給切り替え手段で選択して切り替え接続されている貯留槽と異なる貯留槽を選択して切り替え接続するものであることを特徴とする請求項7記載の過硫酸供給システム。
【請求項9】
前記過硫酸供給切り替え手段は、前記循環切り替え手段で選択して切り替え接続されている貯留槽と異なる貯留槽を選択して切り替え接続するものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項10】
前記電解反応装置に移送される被電解液の硫酸濃度が2〜9Mであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項11】
前記過硫酸使用側に供給される過硫酸イオンを含む溶液の硫酸濃度が10〜18Mであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項12】
前記補給ラインには、前記回収溶液の一部が分配供給され、該一部の回収溶液が希釈冷却されて被電解液として電解され、前記回収液の残部が加熱されるとともに、該残部の回収液と前記電解液の一方または両方が濃縮され、これらが混合されて前記過硫酸使用側に供給されるものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項13】
前記電解反応装置は、陽極と陰極との間が電解反応可能に区画されており、前記循環ラインは、前記で区画された陽極側に接続されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の過硫酸供給システム。
【請求項14】
前記過硫酸使用側が、過硫酸を用いた洗浄システムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の過硫酸供給システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−111184(P2008−111184A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83663(P2007−83663)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】