説明

部材分離装置及び部材分離方法

【課題】生産性良く部材を分離して高品位な製品を製造できる部材分離装置及び部材分離方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る部材分離装置は、ステージと、照射部と、を備える。前記ステージには、加工部材が載せられる。前記加工部材は、第1部材と、第1部材と接する第2部材と、を含む。前記第1部材は、第1波長を含む波長領域の光に対して透過性を有する。前記第2部材は、前記第1部材と接する。前記第2部材の前記波長領域の光に対する吸収率は、前記第1部材の前記第1波長の光に対する吸収率よりも高い。前記照射は、前記第1波長の成分と、前記波長領域に含まれ前記第1波長とは異なる第2波長の成分と、を含むレーザ光を生成し、そのレーザ光を加工部材に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部材分離装置及び部材分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、窒化ガリウム(GaN)系の半導体発光素子の製造において、サファイア基板の上にGaN系結晶を成長させ、素子部を形成する。この後、サファイア基板と素子部との界面にレーザ光を照射して、両者を分離することが行われる。このようなレーザ照射による部材の分離において、さらなる生産性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3525061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、生産性良く部材を分離して高品位な製品を製造できる部材分離装置及び部材分離方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る部材分離装置は、ステージと、照射部と、を備える。
前記ステージには、加工部材が載せられる。前記加工部材は、第1部材と、第2部材と、を含む。前記第1部材は、第1波長を含む波長領域の光に対して透過性を有する。前記第2部材は、前記第1部材と接する。前記第2部材の前記波長領域の光に対する吸収率は、前記第1部材の前記第1波長の光に対する吸収率よりも高い。
前記照射部は、前記第1波長の成分と、前記波長領域に含まれ前記第1波長とは異なる第2波長の成分と、を含むレーザ光を出射し、前記レーザ光を加工部材に照射する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、部材分離装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、部材分離方法を示す模式的断面図である。
【図3】図3(a)〜(b)は、レーザ光の干渉を説明する模式図である。
【図4】図4(a)〜(b)は、マルチモードのレーザ光での干渉を示す模式図である。
【図5】図5(a)〜(b)は、強弱比の計算結果を示す図である。
【図6】図6は、規格化した強弱比を示す図である。
【図7】図7は、規格化した強弱比を示す図である。
【図8】図8は、部材分離装置の構成を示す模式図である。
【図9】図9は、部材分離方法を示す模式的斜視図である。
【図10】図10は、部材分離方法を示す模式的斜視図である。
【図11】図11は、凹凸部を例示する模式的断面図である。
【図12】図12は、界面反射率とレーザ光の強弱比との関係を示す図である。
【図13】図13(a)〜(h)は、レーザ光の波長について例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る部材分離装置の構成を例示する模式図である。
図2(a)〜(c)は、部材分離方法の概要を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、実施形態に係る部材分離装置110は、ステージ20と、照射部30と、を備える。
【0009】
ステージ20には、加工部材10が載せられる。ステージ20は、加工部材10を載せた状態で例えば固定する治具である。加工部材10は、第1部材11と、第1部材11と接する第2部材12と、を含む。第1部材11は、第1波長の光を含む波長領域に対して透過性を有する。第2部材12は、第1部材11と接する。第2部材12の前記波長領域の光に対する吸収率は、第1部材11の前記波長領域の光に対する吸収率よりも高い。
【0010】
照射部30は、第1波長の成分と、第2波長の成分と、を含むレーザ光LSR2を生成する。第1波長の成分とは、第1波長にピークを有するレーザ光の成分であり、第2波長の成分とは、第2波長にピークを有するレーザ光の成分である。照射部30は、第1波長のピークと、第1波長とは異なる第2波長のピークと、を含むレーザ光LSR2を生成する。
第2波長にピークを有するレーザ光の強度は、第1波長にピークを有するレーザ光の強度の例えば1/10以上である。これらのピークはレーザ光である誘導放出光での強度のピークであって、自然放出光のピークは含まれない。
照射部30は、生成したレーザ光LSR2をステージ20上の加工部材10に照射する。
【0011】
図2(a)〜(c)に沿って、実施形態に係る部材分離方法を説明する。
実施形態に係る部材分離方法は、レーザ光LSR2を生成し、レーザ光LSR2を加工部材10に照射し、第1部材11を第2部材12から分離する方法である。
実施形態において、分離とは、第1部材11を第2部材12から分離することのほか、第2部材12を第1部材から分離することも含まれる。
図2(a)に表したように、分離を行う加工部材10は、第1部材11と、第2部材12と、を含む。例えば、第1部材11が成長用基板であり、第2部材12は、第1部材11の第1主面11aに結晶成長した積層構造体である。第1部材11は、例えばサファイア基板である。また、第2部材12は、例えばGaNの積層構造体を含む半導体発光素子である。
【0012】
加工部材10には、図示しない支持基板が含まれていてもよい。支持基板は、第2部材12の第1部材11とは反対側に設けられている。支持基板は、第1部材11を第2部材12から分離したのちに、第2部材12を支える部材になる。支持基板は、電極としての機能を有しても良い。
【0013】
図2(b)に表したように、第1部材11は、第1主面11aとは反対側の第2主面11bを有する。レーザ光LSR2は、第2主面11b側から加工部材10に照射される。
第1部材11は、第1波長の光に対して透過性を有する。第2部材12の第1波長の光に対する吸収率は、第1部材11の第1波長の光に対する吸収率よりも高い。
レーザ光LSR2の中心波長は、第1波長に設定される。第2主面11b側から加工部材10に向けて照射されたレーザ光LSR2は、第1部材11を透過して、第2部材12の第1部材11との境界面12aに到達する。
【0014】
第2部材12は、レーザ光LSR2を吸収する。第2部材12の第1部材11との境界面12aは、レーザ光LSR2の吸収によって加熱される。例えばGaNを含む第2部材12では、GaN成分が、例えば、以下の式のごとく反応する。
GaN→Ga+(1/2)N
その結果、境界面12aの近傍のGaNが溶融、改質及び分解の少なくともいずれかを起こす。図2(c)に表したように、第1部材11は、第2部材12から分離される。
【0015】
実施形態では、上記のようなレーザ光の照射による加工部材10の分離を行うにあたり、第1波長のピークと、第1波長とは異なる第2波長のピークと、を含むレーザ光LSR2を用いる。例えば、レーザ光LSR2は、マルチモードのレーザ光を含む。マルチモードのレーザ光LSR2は、複数の縦モードで発振したレーザ光を含む。
【0016】
実施形態に係る部材分離装置110は、このようなレーザ光LSR2を照射して加工部材10の分離を行う装置である。
【0017】
レーザ光LSR2に含まれる、互いに波長の異なるレーザ光は、透過する第1部材11の内部において異なる干渉パターンを形成する。複数の波長について形成されたそれぞれの干渉パターンが重なると、干渉パターンの強弱が弱まる。したがって、レーザ光LSR2の干渉パターンに起因する加熱の斑が抑制され、確実に均一に第1部材11を第2部材12から分離できる。
【0018】
実施形態に係る部材分離装置110において、照射部30は、光源31Aを含む。光源31Aから放出されるレーザ光LSR1の発振波長は、200ナノメートル(nm)以上2000nm以下である。
【0019】
レーザ光LSR1の発振波長が200nm未満では、真空紫外線となり空気による吸収損失を無視できなくなる。また、レーザ光LSR1の発振波長が2000nmを超えると、加熱効率の低下及び加工精度の低下を招く。これは、部材11及び12の接合界面における溶融の厚さは、第2部材12におけるレーザ光の浸透距離程度となるが、波長が長いと浸透距離が伸び、また界面反射率も増大するためである。また、高倍波(例えば、10倍波)を得ようとすると、波長変換効率が大幅に下がるため、敢えて2000nmを超える長波長光を使うメリットは少ないためである。
【0020】
一例として、光源31Aから放出されるレーザ光LSR1のピーク波長は、200nm以上1600nm以下の範囲にあることが望ましい。例えば、246nmの発振波長を持つKrFエキシマレーザ、1064nmの発振波長を持つYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ、及びNd:YVOレーザが挙げられる。レーザ光LSR1は、例えばマルチモードのレーザ光である。光源31Aは、マルチモードで発振し複数の波長を有するレーザ光LSR1を放出する。マルチモードのレーザ光LSR1には、複数の縦モードで発振したレーザ光が含まれる。
【0021】
照射部30は、光源31Aのほか、例えば、第1拡大部32、第1コリメート部33、縮小部34、第2コリメート部36及び第2拡大部37を含んでいる。第1拡大部32は、レーザ光LSR1のビーム径を拡大する。
【0022】
第1コリメート部33は、ビーム径が拡大されたレーザ光LSR1を例えば平行光にする。第1コリメート部33は、例えば、減衰器331及び波長板332を含んでいる。縮小部34は、第1コリメート部33で平行光になったレーザ光LSR1のビーム径を縮小する。
【0023】
第2コリメート部36は、ビーム径が縮小されたレーザ光LSR1を例えば平行光にする。第2コリメート部36には、必要に応じて波長変換素子35が設けられている。波長変換素子35は、光源31Aから放出されたレーザ光LSR1の波長を変換して、第1波長の成分と第2波長の成分とを生成する。波長変換素子35は、レーザ光LSR1の中心波長を、第1波長に変換する。実施形態では、波長変換素子35は、レーザ光LSR1の中心波長を、例えば1/n(nは2以上の整数)にする。
【0024】
第2拡大部37は、波長変換素子35で波長変換されたレーザ光LSR2のビーム径を拡大する。
【0025】
照射部40には、例えば、同軸光学部38と、対物レンズ39と、が設けられている。同軸光学部38は、レーザ光LSR2の光路と同軸で、レーザ光LSR2の照射位置を観察する部分である。
【0026】
対物レンズ39は、レーザ光LSR2の焦点をステージ20上の加工部材10に合わせる。加工部材10には、複数のピーク波長を有するレーザ光LSR2が照射される。レーザ光LSR2の中心波長は第1波長であるため、レーザ光LSR2は、加工部材10の第1部材11を透過し、第2部材12で吸収される。また、複数のピーク波長を有するレーザ光LSR2によって、第1部材11内でのレーザ光LSR2の干渉パターンの強弱が弱まる。したがって、レーザ光LSR2による加工部材10の加熱が均一化され、第1部材11は、第2部材12から確実に均一に分離される。
【0027】
実施形態に係る部材分離装置110においては、ステージ20に載せられた加工部材10と、レーザ光LSR2の照射位置と、の相対的な位置を制御する制御部50が設けられている。例えば、この例では、ステージ20が少なくとも2軸(加工部材10を載せる面に沿った直交する2軸)に移動可能に設けられている。制御部50は、ステージ20の少なくとも2軸に沿った位置を制御する。なお、ステージ20の少なくとも1軸に沿った位置が固定されており、制御部50は、レーザ光LSR2の照射位置を制御しても良い。また、制御部50は、レーザ光LSR2の照射時間を制御する機能を含んでいてもよい。例えば、制御部50は、光源31Aを制御して、レーザ光LSR2を間欠で照射する制御や、連続で照射する制御などを行ってもよい。
【0028】
レーザ光の照射による加工部材10の分離において、分離の不良が発生することがある。本願発明者は、この不良が、レーザ光の干渉による影響によって加工部材10の加熱が不均一になることに起因することを見出した。
【0029】
レーザ光を透過する第1部材11の表面には有意の凹凸構造がある。さらに、第1部材11の厚さが100マイクロメートル(μm)以上であるため、第1部材11内での多重反射による干渉効果は、散乱と厚さの効果によって抑制されると期待できる。
【0030】
しかしながら、加工部材10を分離する際に用いるレーザ光のスポット径は、例えば20μm以上、50μm以下程度であり、第1部材11の表面の凹凸サイズに比べて十分大きい。第1部材11の厚さが薄いと、第1部材11内での干渉を抑制するほどの散乱は発生しにくい。また、レーザ光のスペクトル線幅は十分狭く、第1部材11の厚さが例えば100μm〜500μm程度では、レーザ光の波長の僅かな違いによる干渉の抑制は殆ど期待できない。さらに、第1部材11と第2部材12との境界面12aは、レーザ光の波長帯においては吸収が大きいため反射率も高く、第1部材11内での多重反射の影響が許容できない大きさになる場合がある。
【0031】
その結果、第1部材11の厚さの均一性が不十分である場合は、レーザ光の干渉によって、加熱の程度が面内で不均一になる。そして、その加熱の強弱比が、これらの部材を分離するための条件のウインドウの上限と下限との比よりも大きくなると、レーザの出力をいかに調整しても正常な剥離が困難になる。また、加熱の強弱比が、上記のウインドウの上限と下限の比よりも小さい場合であっても、無視できない程度の大きさである場合は、分離工程の歩留まりに大きな影響を与える。すなわち、確実に分離できる部分とできない部分とが発生する可能性があり、生産性を低下させる。
実施形態は、このような新たに見出された課題に基づき成されたものである。
【0032】
図3は、レーザ光の干渉を説明する模式図である。
図3(a)は、加工部材の模式的断面図、図3(b)は、図3(a)の境界面12aでの光強度を表す模式図である。図3(a)に示す部分Hは、レーザ光によって加熱される部分である。図3(b)に示す部分P1は光の強い部分、部分P2は光の弱い部分である。
以下の説明で使用する記号は、次のように定義される。
【0033】
Lは、第1部材11の厚さである。
xは、媒質xの屈折率である。例えば、n0は外部の屈折率、n1は第1部材11の屈折率、n2は第2部材12の屈折率である。
xyは、媒質xと媒質yへ光が入射するときの電場振幅反射率である。rxyは、(nx−ny)/(nx+ny)で表される。
xは、媒質xと媒質x−1との界面における電力反射率である。Rxは、(rx,x-1または(rx-1,xで表される。
xyは、媒質xから媒質yへ光が入射するときの電場振幅透過率である。txyは、2nx/(nx+ny)=1+rxyで表される。
λは、レーザ光の中心波長である。
Δλは、レーザ光のモード間隔である。
λwは、レーザ光のスペクトル分布がガウシアンであると仮定した場合の利得バンド幅である。
mは、レーザ光の縦モード番号である。中心波長はm=0である。
Mは、レーザ光の縦モード範囲である。−M≧m≧+Mである。
【0034】
ここで、第1部材11におけるレーザ光の吸収は無視できるものとする。図3に表したように、第1部材11の厚さLは、場所により異なる値をとるので、レーザ光が第1部材11での多重反射を経て最終的に反射してくる割合(Rtotla)を計算すれば、照射されるレーザ光の加熱に寄与する割合(加熱強度:Pheat)を、Pheat=1−Rtotlaで表すことができる。Pheatは、次の数式1で表せる。
【0035】
【数1】

【0036】
ここで、レーザ光の干渉による強弱の比の最大値をηとすると、ηは次の数式2で表せる。
【0037】
【数2】

【0038】
加熱強度Pheatは、第1部材11が、ΔL=λ/4nだけ変化するごとに、最大値または最小値をとることになる。
【0039】
一例として、第1部材11にサファイア基板を用い、第2部材12にGaN系半導体の積層構造体(半導体結晶成長層)の場合を挙げる。
レーザ光の中心波長(λ)を266ナノメートル(nm)、第1部材11の屈折率(n1)を1.8、第1部材11の厚さ(L)を200mm、第1部材11と第2部材12との境界面12aでの反射率(以下、単に「界面反射率」という。)(R2)を20%、とすると、ΔL=37nmが得られる。この値は、一般的な基板サイズにおいて、基板の反りや研磨斑などによる厚さの不均一性から、回避するのは困難な誤差である。したがって、同一の第1部材11(サファイア基板)には、レーザ光の最大の強弱比が存在すると考えられる。また、このときの最大の強弱比(η)は、1.67である。
【0040】
図4は、マルチモードのレーザ光での干渉の状態を模式図である。
図4(a)は、加工部材の模式的断面図、図4(b)は、図4(a)の境界面12aでの光強度を表す模式図である。
図4に表したように、マルチモードのレーザ光では、各波長λ及びλについてのそれぞれの干渉は、図3に示す場合と同様である。
一方、各波長λ及びλにおいて、干渉の強弱の現れる位置が相違する。このように、各波長λ及びλについて、干渉の強弱の位置が相違することで、それぞれの干渉の強弱が打ち消し合うことになる。これにより、マルチモードのレーザ光(例えば、レーザ光LSR2)では、干渉による第1部材11と第2部材12との境界面12aでの加熱の不均一性が抑制され、第1部材11と第2部材12とを確実に分離できるようになる。
【0041】
次に、マルチモードでの加熱強度(Pheat)について説明する。
なお、ここでは、第1部材11の表面での反射率(R)を8.16%とする。
マルチモードでの加熱強度(Pheat)は、次の数式3で表される。
【0042】
【数3】

【0043】
図5は、マルチモードでの干渉による強弱比の計算結果を例示した図である。
図5では、界面反射率R2が20%の場合を例示している。なお、図5(b)は、(a)のη=1.00〜1.14を拡大した図である。
図5(a)及び図5(b)において、横軸は第1部材11の厚さL(μm)、縦軸は強弱比ηである。図5(a)及び図5(b)では、レーザ光の縦モード範囲Mをパラメータとした強弱比ηを表している。
【0044】
図6は、図5に示す強弱比ηを規格化したものを示す図である。
図6において、横軸は第1部材11の厚さL(μm)、縦軸は規格化強弱比ηnormである。
図6に表した規格化強弱比ηnormは、第1部材11の厚さLに対する強弱比η(L)を、強弱比ηが最大になるη(0)で規格化したものである。
ここで、η(0)は、η(0)={(1+√(R・R))/(1−√(R/R))}で表される。
また、厚さLに対する規格化強弱比はη(L)normは、η(L)norm=(η(L)−1)/(η(0)−1)で表される。
すなわち、ηnorm=1は、η={(1+√(R・R))/(1−√(R/R))}を意味し、ηnorm=0は、η=1を意味する。
【0045】
図6では、一例として、光源としてNd:YVOを使用し、中心波長1064nmのレーザ光を4倍高調波に変換し、中心波長266nmとして使用する場合を例示している。
図6では、レーザ光のモードスパンとして、利得バンド幅(λw=0.24nm)を利用した場合において、レーザ光の縦モード範囲Mをパラメータとした規格化強弱比η(L)normを表している。
なお、縦モード範囲M=1のモード数は3であり、M=3のモード数は7であり、M=5のモード数は11である。また、m=±1は、M=1の中心波長を除いた2つのモード(モード数2)の場合を示している。
利得バンド幅は、レーザ光のピーク波長の強度に対して半分の強度になる波長域(半値幅)である。
【0046】
図7は、他のモードスパンにおける規格化強弱比ηnormの例を表した図である。
図7では、図6と同様な規格化強弱比ηnormについて、レーザ光のモードスパンを、レーザ光の利得バンド幅の1/5にした場合を例示している。すなわち、図7における利得バンド幅λwは、0.24nm×0.2=0.048nmである。
【0047】
図6及び図7に表したように、モード数が少ない場合、第1部材11の厚さLに応じた強弱比ηは、周期的に最大値に戻る場合がある。この厚さLの周期LTには、次の数式4に示す関係がある。
【0048】
【数4】

【0049】
一方、強弱比ηが最大値の半分以上の値をとる厚さLの範囲、すなわち、半値半幅LHWHMには、次の数式5の関係が認められる。ただし、αMは、縦モード範囲(M)、モードスパン(2MΔλ)及び利得バンド幅(λw)に依存する係数とする。一例として、M=3で、2MΔλ=λwの場合は、αM≒7.4である。M=∞で、2MΔλ=5λwの場合は、αM≒9.1である。
【0050】
【数5】

【0051】
これらの数式による関係では、LTは、第1部材11の厚さLの上限を、LHWHMは、干渉の抑制効果の現れる第1部材11の厚さLの下限を表しているとみなすこともできる。したがって、LTは大きいほど、LHWHMは小さいほど、干渉の抑制効果に優れる。つまり、数式4及び数式5から分かるように、モード間隔(隣り合うモードの中心波長の間隔)は狭いほど、モードスパンは広いほど好ましい。
【0052】
また、図6及び図7に表したように、実用的に用いられる第1部材11の厚さL(例えば、100μm以上、400μm以下)においては、縦モード範囲M=3以上であれば、モードスパンが、利得バンド幅(λw)の20%以上、利得バンド幅(λw)以下において、干渉の抑制効果を十分に得ることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る部材分離装置の構成を例示する模式図である。
図8に表したように、実施形態に係る部材分離装置120は、ステージ20と、照射部30と、を備える。部材分離装置120において、ステージ20は、図1に表した部材分離装置110と同じである。
【0054】
照射部30は、第1波長及び第1波長とは異なる第2波長のレーザ光を含むレーザ光LSR5を出射する。レーザ光LSR5は、光源31Bから放出されたレーザ光LSR3の変調によってスペクトル幅が拡大されたものである。レーザ光LSR5のスペクトル幅の中には、少なくとも第1波長の第1レーザ光LSR5aと、第2波長の第2レーザ光LSR5bと、が含まれる。
変調されたレーザ光LSR5には、1つ以上のスペクトル分布が含まれる。第1レーザ光LSR5aと、第2レーザ光LSR5bと、は、1つのスペクトル分布に含まれることも、複数のスペクトル分布にそれぞれ含まれることもある。
【0055】
照射部30は、光源31Bを含んでいる。光源31Bは、シングルモードのレーザ光LSR3を放出する。光源31Bから放出されるレーザ光LSR3の発振波長は、例えば光源31Aから放出されるレーザ光LSR1と同様、200ナノメートル(nm)以上2000nm以下である。一例として、光源31Bから放出されるレーザ光LSR3のピーク波長は、200nm以上1600nm以下の範囲にあることが望ましい。例えば、246nmの発振波長を持つKrFエキシマレーザ、1064nmの発振波長を持つYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ、及びNd:YVOレーザが挙げられる。
【0056】
照射部30は、光源31Bのほか、例えば、第1拡大部32、第1コリメート部33、縮小部34、第2コリメート部36及び第2拡大部37を含んでいる。第1拡大部32は、レーザ光LSR3のビーム径を拡大する。
【0057】
第1コリメート部33は、ビーム径が拡大されたレーザ光LSR3を例えば平行光にする。第1コリメート部33は、例えば減衰器331及び波長板332を含んでいる。また、第1コリメート部33には、変調部333が設けられている。変調部333は、所定の電気信号に応じてレーザ光LSR3を変調し、レーザ光LSR3のスペクトル幅を拡げたレーザ光LSR4を放出する。レーザ光LSR4のスペクトル分布は、例えばレーザ光LSR3と同じ中心波長であってレーザ光LSR3よりもスペクトル幅が拡がった分布をもつ。なお、レーザ光LSR4のスペクトル分布には、レーザ光LSR3の中心波長を間にした両側にそれぞれ分布をもつ場合もある。
【0058】
縮小部34は、変調部333で変調されたレーザ光LSR4のビーム径を縮小する。第2コリメート部36は、ビーム径が縮小されたレーザ光LSR4を例えば平行光にする。第2コリメート部36には、必要に応じて波長変換素子35が設けられている。波長変換素子35は、変調部333で変調されたレーザ光LSR4の波長を変換して、第1波長の成分と第2波長の成分とを含むレーザ光LSR5を生成する。
【0059】
第2拡大部37は、波長変換素子35で波長変換されたレーザ光LSR5のビーム径を拡大する。
【0060】
実施形態に係る部材分離装置120においては、ステージ20に載せられた加工部材10と、レーザ光LSR5の照射位置と、の相対的な位置を制御する制御部50が設けられていてもよい。
【0061】
部材分離装置120では、レーザ光LSR3を変調部333によって高速変調することにより、モード間隔が無限に小さいマルチモードのレーザ光を発振している状態と同等になる。
【0062】
互いにピーク波長の異なるレーザ光は、同一の第1部材11において異なる干渉パターンを持つ。したがって、複数のピーク波長のレーザ光による、それぞれの干渉パターンを重ね合わせることで、干渉パターンの強弱が弱められる。これにより、干渉パターンに起因する加工部材10の加熱の不均一性が抑制される。
【0063】
ここで、部材分離装置120においては、光源31Bから放出するレーザ光LSR3の中心波長を長波長として、レーザ光LSR3を高次高調波(N次高調波)に変換して用いることが望ましい。N次高調波を用いる場合、N次高調波への変換前に変調を施すことにより、変調を行う際には1/Nの変調速度(変調周波数)で済むためである。
【0064】
なお、部材分離装置120では、シングルモードのレーザ光LSR3を変調する例を説明したが、マルチモードのレーザ光を変調してもよい。すなわち、第1の実施形態と、第2の実施形態と、を組み合わせ、光源31Bの代わりに光源31Aを用い、マルチモードのレーザ光を変調部333で変調するようにしてもよい。
【0065】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る部材分離方法を説明する模式的斜視図である。
図10は、第3の実施形態に係る部材分離方法を説明する模式的斜視図である。
図10では、図9に示すA部におけるレーザ光の透過及び反射の状態を例示している。
すなわち、第3の実施形態に係る部材分離方法は、第1波長にピークを有するレーザ光を生成し、レーザ光を加工部材10に照射し、第1部材11と、第2部材12と、を分離する方法である。
レーザ光を照射する工程では、加工部材10の第1部材11の第2主面11bに光学膜15を設けておき、この光学膜15を介してレーザ光を照射する。
【0066】
光学膜15は、例えば、第1部材11の内部でのレーザ光LSRの反射を抑制する反射抑制膜である。なお、光学膜15は、レーザ光LSRの反射を抑制する層であればどのようなものでもよい。例えば、光学膜15は、複数の凹凸(凸部または凹部)を有するものであってもよい。
【0067】
図11は、凹凸部を例示する模式的断面図である。
図11では、図10に示すB部を拡大した断面図を模式的に示している。
図11に表したように、光学膜15には、連続した凸部151及び凹部152を有する凹凸部150が設けられている。例えば、隣り合う2つの凹凸(凸部151または凹部152)のピッチPTは、レーザ光LSRのピーク波長(第1波長)よりも小さい。例えば、ピッチPTは、レーザ光LSRのピーク波長(第1波長)の1/2よりも小さい。このような凹凸部150を有する光学膜15によって、レーザ光LSRの反射率を抑制することができる。
なお、凹凸部150は、第1部材11の第2主面11bに、第1部材11と一体に設けられていてもよい。
【0068】
図12は、界面反射率と、レーザ光の強弱比と、の関係の計算例を示す図である。
図12において、横軸は界面反射率(R2)、縦軸は強弱比ηである。図12は、光学膜15の反射率(R1)をパラメータとして、数2を用いて界面反射率(R2)に対する強弱比ηを計算した。
界面反射率(R2)の範囲は、0%〜99%である。光学膜15の反射率(R1)の範囲は、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%及び0.1%である。
なお、参考として、サファイアの表面の反射率(8.16%)をパラメータとした計算結果も示されている。
【0069】
図12に表したように、サファイアの表面の反射率(8.16%)における強弱比ηは、界面反射率(R2)の影響を大きく受けている。例えば、界面反射率(R2)が20%のとき、強弱比ηは約1.67である。また、界面反射率(R2)が36%を越えたあたりから、強弱比ηは2以上になる。
【0070】
ここで、仮に、反射率(R1)が0.1%の光学膜15を形成した場合、界面反射率(R2)が20%のとき、強弱比ηは約1.07に抑制される。また、界面反射率(R2)が90%のとき、強弱比ηは約1.13に抑制される。
【0071】
例えば、光学膜15として、第1部材11のレーザ光LSRに対する屈折率(n0)と、第1部材11よりもレーザ光LSRの入射側の媒質(例えば、空気)のレーザ光LSRに対する屈折率(n1)と、の中間の屈折率を有する誘電体(例えば、酸化シリコン)を、例えば45nm程度の厚さでスパッタ成膜等により形成した場合、反射率(R1)が1%程度になる。これにより、界面反射率(R2)が20%のとき、強弱比ηを1.21程度まで抑制することができる。
【0072】
このように、第1部材11に光学膜15を設けることで、第1部材11内でのレーザ光LSRの干渉の強弱を抑制することができ、干渉パターンに起因する加工部材10の加熱斑が抑制される。これにより、レーザ光LSRの照射によって、第1部材11と第2部材12とを確実に分離できるようになる。
【0073】
なお、このようなレーザ光LSRの干渉を抑制する光学膜15は、加工部材10の第1部材11に設けられる。したがって、第1部材11に光学膜15が設けられた加工部材10には、実施形態に係る部材分離方法が適用され得る。
【0074】
図13(a)〜(h)は、上記説明した各実施形態で適用されるレーザ光の波長について例示する模式図である。
図13(a)には、第1部材11及び第2部材12についての波長λに対する光の透過率TRが表されている。
図13(b)〜(h)には、波長λに対するレーザ光の強度PWが表されている。
【0075】
図13(a)に表したように、第1波長λを含む波長領域WRにおいて、第1部材11の光の透過率TR1は、第2部材12の光の透過率TR2よりも高い。すなわち、波長領域WRにおいて、第2部材12の光の吸収率は、第1部材11の光の吸収率よりも高い。
【0076】
図13(b)〜(c)には、参考例に係るレーザ光の波長が表されている。
図13(b)は、加工部材10に照射する光として、第1波長λにピークを有するシングルモードのレーザ光LSRを用いる例である。
図13(c)は、第1波長λとは異なる波長にピークを有するシングルモードのレーザ光LSR’を波長変換して、第1波長λにピークを有するレーザ光LSRを生成し、これを加工部材10に照射する例である。
図13(b)〜(c)に表したレーザ光LSRを用いる例では、図3に表したように、レーザ光LSRの干渉による光強度の強弱が境界面12aで現れることになる。
【0077】
図13(d)〜(e)には、第1実施形態に対応したレーザ光の波長が表されている。
図13(d)は、第1波長λ及び第2波長λにピークを有するマルチモードのレーザ光LSR2を加工部材10に照射する例である。レーザ光LSR2は、波長領域WRに含まれる。この例では、波長変換を用いていないことから、光源31Aから放出されるレーザ光LSR1の波長と、加工部材10に照射されるレーザ光LSR2とは同じである。
【0078】
図13(e)は、光源31Aから放出したレーザ光LSR1を波長変換して、第1波長λ及び第2波長λにピークを有するレーザ光LSR2を生成し、このレーザ光LSR2を加工部材10に照射する例である。レーザ光LSR2は、波長帯域WRに含まれる。
【0079】
図13(d)〜(e)に表したレーザ光LSR2を用いる例では、図4に表したように、レーザ光LSR2に含まれる第1波長λ及び第2波長λのレーザ光による境界面12aでの干渉の強弱の打ち消し合いによって、加熱の不均一性が抑制される。これにより、第1部材11と第2部材12とを確実に分離できるようになる。
【0080】
図13(f)〜(h)には、第2実施形態に対応したレーザ光の波長が表されている。
図13(f)は、光源31Bから放出したシングルモードのレーザ光LSR3を変調して、スペクト幅を拡大したレーザ光LSR4を生成し、波長変換によって第1波長λ及び第2波長λを含むレーザ光LSR5を生成し、このレーザ光LSR5を加工部材10に照射する例である。レーザ光LSR5は、波長帯域WRに含まれる。
【0081】
図13(g)は、光源31Bから放出したシングルモードのレーザ光LSR3を変調してスペクト幅を拡大し、2つの分布のレーザ光LSR4を生成し、波長変換によって第1波長λ及び第2波長λを含むレーザ光LSR5を生成し、このレーザ光LSR5を加工部材10に照射する例である。レーザ光LSR5は、波長帯域WRに含まれる。第1波長λ及び第2波長λは、レーザ光LSR5のそれぞれの分布に含まれる。
【0082】
図13(h)は、光源31Bから放出したマルチモードのレーザ光LSR3を変調して、スペクト幅を拡大したレーザ光LSR4を生成し、波長変換によって第1波長λ及び第2波長λを含むレーザ光LSR5を生成し、このレーザ光LSR5を加工部材10に照射する例である。レーザ光LSR5は、波長帯域WRに含まれる。
【0083】
図13(f)〜(h)に表したレーザ光LSR5を用いる例では、図4に表したレーザ光LSR2と同様に、レーザ光LSR5に含まれる第1波長λ及び第2波長λのレーザ光による境界面12aでの干渉の強弱の打ち消し合いによって、加熱の不均一性が抑制される。これにより、第1部材11と第2部材12とを確実に分離できるようになる。
【0084】
以上説明したように、実施形態によれば、生産性良く部材を分離して高品位な製品を製造できる部材分離装置及び部材分離方法が提供できる。
【0085】
なお、上記に本実施の形態およびその変形例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施の形態またはその変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施の形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【0086】
例えば、第1部材11はサファイア以外であっても適用可能である。また、第2部材12は半導体積層体以外であっても適用可能である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10…加工部材、11…第1部材、11a…第1主面、11b…第2主面、12…第2部材、12a…境界面、15…光学膜、20…ステージ、30…照射部、31A,31B…光源、32…第1拡大部、33…第1コリメート部、34…縮小部、35…波長変換素子、36…第2コリメート部、37…第2拡大部、38…同軸光学部、39…対物レンズ、50…制御部、150…凹凸部、151…凸部、152…凹部、λ,λ…各波長、110、120…部材分離装置、331…減衰器、332…波長板、333…変調部、L…厚さ、LSR,LSR1〜LSR5、LSR5a、LSR5b…レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長を含む波長領域の光に対して透過性を有する第1部材と、前記第1部材と接し前記第1部材よりも前記波長領域の光に対する吸収率が高い第2部材と、を含む加工部材が載せられるステージと、
前記第1波長の成分と、前記波長領域に含まれ前記第1波長とは異なる第2波長の成分と、を含むレーザ光を生成し、前記レーザ光を前記加工部材に照射する照射部と、
を備えた部材分離装置。
【請求項2】
前記照射部は、
複数の縦モードで発振した複数の波長を有するレーザ光を放出する光源と、
前記光源から放出された前記レーザ光の波長を変換して、前記第1波長の成分と前記第2波長の成分とを生成する波長変換部と、
を含む請求項1記載の部材分離装置。
【請求項3】
前記照射部は、
光源と、
前記光源から放出されたレーザ光を変調してスペクトル幅を拡大する変調部と、
前記変調部で変調されスペクトル幅が拡大されたレーザ光の波長を変換して、前記第1波長の成分と前記第2波長の成分とを生成する波長変換部と、
を含む請求項1または2に記載の部材分離装置。
【請求項4】
前記光源は、その発振波長が200ナノメートル以上2000ナノメートル以下である前記レーザ光を放出するレーザ光源である請求項2または3に記載の部材分離装置。
【請求項5】
第1波長の成分と、前記第1波長とは異なる第2波長の成分と、を含むレーザ光を生成し、
前記レーザ光に対して透過性を有する第1部材と、前記第1部材と接し前記第1波長の光に対する吸収率が前記第2波長の光に対する吸収率よりも高い第2部材と、を含む加工部材に前記レーザ光を照射して前記第1部材を前記第2部材から分離する部材分離方法。
【請求項6】
前記レーザ光を生成する工程は、
複数の波長を有するマルチモードのレーザ光を生成し、
前記マルチモードのレーザ光の波長を変換して、前記第1波長の成分と前記第2波長の成分とを生成することを含む請求項5記載の部材分離方法。
【請求項7】
前記レーザ光を生成する工程は、
光源から放出されたレーザ光を変調してスペクトル幅を拡大し、
前記スペクトル幅が拡大されたレーザ光の波長を変換して前記第1波長の成分と前記第2波長の成分とを生成することを含む請求項5記載の部材分離方法。
【請求項8】
前記光源から放出されたレーザ光を変調して前記スペクトル幅を拡大することは、前記レーザ光の波長を時間により変化させることを含む請求項7記載の部材分離方法。
【請求項9】
前記レーザ光の波長帯は、前記レーザ光の利得バンド幅の20%以上、前記利得バンド幅以下である請求項5〜9のいずれか1つに記載の部材分離方法。
【請求項10】
第1波長の成分を有するレーザ光を生成し、
前記第1波長の光に対して透過性を有する第1部材と、前記第1部材と接し前記第1部材よりも前記第1波長の光に対する吸収率が高い第2部材と、を含む加工部材に、前記第1部材の前記第2部材とは反対側の面上に設けられ前記第1部材内での前記レーザ光の反射を抑制する光学膜を介して、前記レーザ光を照射して、前記第1部材を前記第2部材から分離する部材分離方法。
【請求項11】
前記光学膜は、前記レーザ光の波長の1/2よりも小さいピッチの複数の凹凸を有する請求項10記載の部材分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66922(P2013−66922A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208747(P2011−208747)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】