説明

配線基板の製造方法

【課題】導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板において、導体層と半田バンプ等との密着性を改善した新規な配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板の最表面のソルダーレジスト層に形成された開口部から露出した導体層上に、Snを含む下地層を形成する。次いで、下地層のうち第1の主面側に位置する第1の下地層及び第1の主面と相対向する第2の主面側に位置する第2の下地層上に、それぞれ第1の半田及び第2の半田を供給する。次いで、第1の半田及び第2の半田を同時に加熱して、それぞれ第1の下地層及び第2の下地層と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コア層の少なくとも一方の主面上において導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層され、最表面にソルダーレジスト層が形成されてなる配線基板、いわゆる樹脂製配線基板を用い、この上に半導体素子を搭載して半導体パッケージを製造することが盛んに行われている。
【0003】
半導体素子は、配線基板の主面上における半導体素子搭載部の、金属パッド上に形成された半田バンプを介して前記配線基板と電気的に接続する。一方、配線基板の裏面側にはベース基板と電気的に接続したり、ソケットに挿入して電気的に接続したりするための外部端子が形成されている。なお、外部端子の形態に依存して、上記配線基板は、ボールグリッドアレイ(BGA)あるいはピングリッドアレイ(PGA)などに分類される。
【0004】
PGAタイプの配線基板は、配線基板アセンブリの主面上に形成された金属パッド上に半田ペーストを印刷し、次いで、加熱装置内でリフローすることによって当該主面上に半田バンプを形成し、さらに、配線基板アセンブリの裏面上のソルダーレジスト層に形成された開口部に対してピンを挿設し、開口部に露出した導体層と電気的に接続させることによって得ることができる。
【0005】
一方、BGAタイプの配線基板は、配線基板アセンブリの主面上に形成された金属パッド上に半田ペーストを印刷し、次いで、加熱装置内でリフローすることによって当該主面上に半田バンプを形成し、さらに、配線基板アセンブリの裏面上のソルダーレジスト層に形成された開口部に露出した導体層に対して半田ボールを搭載し、加熱装置内でリフローし、半田ボールを前記導体層と電気的及び機械的に接続させることによって得ることができる。
【0006】
しかしながら、BGAタイプの配線基板の場合、半田ボールを直接導体層上に形成した場合においては、リフローによっても半田ボールの導体層に対する密着性を向上させることができず、半田ボールが当初の搭載位置からずれてしまって、例えば配線基板とベース基板との電気的及び機械的な接続を十分に保持することができない場合があった。また、BGAタイプ及びPGAタイプのいずれにおいても、配線基板の主面上に形成された金属パッド上に直接半田バンプを形成しようとすると、これらの間の密着性を十分に確保することができず、電気的及び機械的な接続を十分に確保することができないという問題があった。
【0007】
このような問題に対処すべく、配線基板アセンブリのソルダーレジスト層に形成された開口部に露出した金属パッドや導体層に対して、所定の半田ペーストを印刷してリフローし、半田バンプや半田ボールに対する下地層を形成した後、この下地層上に半田バンプや半田ボールを形成し、リフローさせて半田バンプや半田ボールを接続する方法が提案されている(特許文献1)。
【0008】
一方、このようにして下地層を形成した場合においても、上記半田バンプや半田ボールは、配線基板アセンブリの主面側及び裏面側に順次に形成され、例えば、配線基板アセンブリの主面側で上記下地層上に半田ペーストを印刷して加熱装置内でリフローし、当該主面側の下地層上で半田バンプを形成した後、配線基板アセンブリの裏面側で上記下地層上に半田ボールを搭載し、同様に加熱装置内でリフローすることにより、当該裏面上の下地層上に半田ボールを形成するようにしている。
【0009】
しかしながら、上述のように配線基板アセンブリの主面側及び裏面側に別々に半田バンプ及び半田ボールを形成すると、例えば、配線基板アセンブリの裏面側に形成された下地層は、配線基板アセンブリの主面側に半田バンプを形成する場合、及び配線アセンブリの裏面側に半田ボールを形成する場合の2度に亘って加熱装置内で加熱されることになる。すなわち、配線基板アセンブリの裏面側に形成された下地層は、配線基板アセンブリの主面側に形成された下地層と比較して、長時間加熱下に置かれることになる。この結果、この下地層の表面に酸化膜が形成され、リフローして溶解させた場合において、下方に位置する導体層に対する濡れ性が低下してしまい、その後に形成すべき半田ボールとの接続性が劣化してしまうという問題が生じる。
【0010】
また、配線基板アセンブリの主面側に形成された半田バンプは、当該半田バンプを形成する場合、及び配線基板アセンブリの裏面側において半田ボールを形成する場合の2度に亘って加熱装置内で加熱されることになる。このため、下地層と半田バンプとの界面にはこれらの接続強度を低下させるような金属間化合物が形成され、結果として、半田バンプの接続性が劣化してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−173143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板において、導体層と半田バンプ等との密着性を改善した新規な配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明は、
導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板の製造方法であって、
前記開口部から露出した前記導体層上に、Snを含む下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層のうち前記第1の主面側に位置する第1の下地層及び前記第2の主面側に位置する第2の下地層上に、それぞれ第1の半田及び第2の半田を供給する半田供給工程と、
前記第1の半田及び前記第2の半田を同時に加熱して、それぞれ前記第1の下地層及び前記第2の下地層と接続する半田接続工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法に関する。
【0014】
本発明によれば、導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板において、第1の主面側のソルダーレジスト層に形成された開口部から露出した導体層、具体的には、導体層の、開口部から露出した部分、及び第2の主面側のソルダーレジスト層に形成された開口部から露出した導体層、具体的には、導体層の、開口部から露出した部分に対して、Snを含む下地層を形成するようにしている。
【0015】
下地層は、例えばメッキ法によって簡易に形成することができるので、その形状は平坦であり、また、半田の主成分であるSnを含んでいる。したがって、このような下地層を加熱溶融させ、その後に半田バンプや半田ボールなどの第1の半田及び第2の半田を形成した場合において、これらの半田は下地層と強固に接続するようになる。
【0016】
また、本発明では、上述した半田バンプや半田ボールなどの第1の半田及び第2の半田を、上記下地層上に供給した後、これらの半田を同時に加熱してリフローするようにしている。したがって、従来のように、配線基板アセンブリの主面側又は裏面側に形成された一方の下地層のみが長時間加熱下に置かれるようなことがない。したがって、一方の下地層の表面に酸化膜が形成されて、その濡れ性が低下し、その後に形成すべき第1の半田又は第2の半田に対する接続性が劣化するようなことがない。
【0017】
さらに、本発明では、上述した半田バンプや半田ボールなどの第1の半田及び第2の半田の一方のみが長時間加熱下に置かれるようなこともない。したがって、下地層と第1の半田及び第2の半田との界面にこれらの接続強度を低下させるような金属間化合物が形成されるのを抑制することができる。結果として、下地層と第1の半田及び第2の半田との接続性が劣化してしまうようなことがない。
【0018】
以上より、本発明によれば、導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板において、第1の開口部及び第2の開口部に露出した第1の導体層及び第2の導体層と半田バンプ等の第1の半田及び第2の半田との密着性を改善することができる。
【0019】
なお、本発明の一例において、第1の半田及び第2の半田の少なくとも一方は、酸化膜除去用のフラックスを含む半田ペーストであり、すなわち後のリフローを経ることによって得られる半田バンプとすることができる。
【0020】
また、本発明の一例において、第1の半田及び第2の半田の少なくとも一方は、半田ペーストであり、下地層形成工程の後であって半田供給工程の前に、半田ペーストが供給される下地層に酸化膜除去用のフラックスを供給するフラックス供給工程を備えるようにすることができる。この場合、上記半田ペーストが酸化膜除去用のフラックスを含まない場合においても、下地層形成の後であって半田供給より前に、第1の下地層及び第2の下地層の、上記半田ペーストを供給する方に酸化膜除去用のフラックスを供給することで、後に第1の半田及び第2の半田を加熱する際に、下地層の表面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0021】
第1の半田と第2の半田は、両方が半田ペーストであってもよく、さらには、第1の下地層及び第2の下地層の両方に酸化物除去用のフラックスを供給した後、フラックスが供給された第1の下地層及び第2の下地層上に半田ペーストを供給してもよい。
【0022】
なお、上述のような酸化膜除去用のフラックスは、半田ペーストを加熱する際に活性化し、半田ペースト内に含まれる酸化物をも除去することができる。
【0023】
さらに、本発明の一例において、第1の半田及び第2の半田の少なくとも一方は半田ボールであり、下地層形成工程の後であって半田供給工程の前に、半田ボールが供給される下地層に酸化膜除去用のフラックスを供給するフラックス供給工程を備えることができる。この場合、上記半田ボールが酸化膜除去用のフラックスを含まない場合においても、当該半田ボールを形成すべき下地層の表面に形成された酸化膜を除去すべく、下地層形成の後であって半田供給の前に、第1の下地層及び第2の下地層の、上記半田ボールを供給する方に酸化膜除去用のフラックスを供給して、下地層の表面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0024】
第1の半田と第2の半田の両方は、半田ボールであってもよく、下地層に半田ボールを供給する前にフラックスを供給しているので、半田ボールを供給した際、フラックスの表面張力によって半田ボールが保持される。したがって、半田接続工程における搬送などの際に、一方の主面側に供給された半田ボールが自重により落下することなく、接続不良の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板において、導体層と半田バンプ等との密着性を改善した新規な配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態における配線基板の平面図である。
【図2】同じく、実施形態における配線基板の平面図である。
【図3】図1及び2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1及び2に示す配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図5】実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図6】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図7】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図8】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図9】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図10】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図11】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図12】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図13】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図14】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図15】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0028】
(配線基板)
最初に、本発明の方法によって製造すべき配線基板の構成について説明する。但し、以下に示す配線基板はあくまでも例示であって、コア層の第1の主面上において少なくとも第1の導体層及び第1の樹脂絶縁層が積層されるとともに、最表面に第1のソルダーレジスト層が形成され、この第1のソルダーレジスト層に形成された第1の開口部から前記少なくとも第1の導体層が露出し、前記コア層の、前記第1の主面と相対する第2の主面上において少なくとも第2の導体層及び第2の樹脂絶縁層が積層されるとともに、最表面に第2のソルダーレジスト層が形成され、露出した第1の導体層及び第2の導体層上に、本発明の製造方法の特徴に基づいて、Sn含有の下地層及び半田が形成されていれば特に限定されるものではない。
【0029】
図1及び2は、本実施形態における配線基板の平面図であり、図1は、配線基板を上側から見た場合の状態を示し、図2は、図1に示す配線基板を下側から見た場合の状態を示している。また、図3は、図1及び図2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図であり、図4は、図1及び図2に示す配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【0030】
図1〜4に示す配線基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状コア2の両表面に、所定のパターンに形成されてなる金属配線7aをなすコア導体層M1,M11(単に導体層ともいう)がCuメッキによりそれぞれ形成されている。これらコア導体層M1,M11は板状コア2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。
【0031】
他方、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0032】
また、コア導体層M1,M11の上層には、熱硬化性樹脂組成物6にて構成された第1のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面には、所定のパターンに形成されてなる金属配線7bをなす第1の導体層M2,M12がCuメッキによりそれぞれ形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第1の導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第1の導体層M2,M12の上層には、熱硬化性樹脂組成物6を用いた第2のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V2,V12がそれぞれ形成されている。
【0033】
第2のビア層V2及びV12上には、それぞれ金属端子パッド10,17を有する第2の導体層M3,M13が形成されている。これら第1の導体層M2,M12と第2の導体層M3,M13とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。ビア34は、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0034】
以上のように、板状コア2の第1の主面MP1上には、コア導体層M1、第1のビア層V1、第1の導体層M2、第2のビア層V2及び第2の導体層M3が順次に積層され、第1の配線積層部L1を形成している。また、板状コア2の第2の主面MP2上においては、コア導体層M11、第1のビア層V11、第1の導体層M12、第2のビア層V12及び第2の導体層M13が順次に積層され、第2の配線積層部L2を形成している。そして、第1の主表面CP1上には複数の金属端子パッド10が形成されており、第2の主表面CP2上には、複数の金属端子パッド17が形成されている。
【0035】
なお、金属端子パッド10は、後に形成する半田バンプを介して図示しない半導体素子をフリップチップ接続するためのパッド(FCパッド)であり、半導体素子搭載領域を構成する。図1に示すように、金属端子パッド10は、配線基板1の略中央部において形成され、矩形状に配列されている。
【0036】
また、金属端子パッド17は、配線基板1をマザーボード接続するための裏面ランド(LGAパッド)として利用されるものであって、配線基板1の略中心部を除く外周領域に形成され、前記略中央部を囲むようにして矩形状に配列されている。
【0037】
さらに、第1の主表面CP1上には開口部8aを有するソルダーレジスト層8が形成されており、開口部8aに露出した金属端子パッド10上には、無電解Snメッキや電解Snメッキなどのメッキ法によって形成したSn含有下地層10aが形成されている。また、下地層10a上には、第1の半田、すなわち半田ペーストを印刷した後、リフローすることによって得た半田バンプ11が形成されている。
【0038】
なお、上記半田ペーストは、酸化膜除去用のフラックスを含むものであってもよいし、当該フラックスを含まないものであってもよい。後者の場合、以下に説明するように、下地層10aの表面に形成された酸化膜を除去すべく、別途、酸化膜除去用のフラックスを用いて下地層10aを処理し、その表面に形成された酸化膜を除去することが好ましい。
【0039】
また、第2の主表面CP2上にも開口部18aを有するソルダーレジスト層18が形成されており、開口部18aに露出した金属端子パッド17上にはSnを含む下地層17aが形成されており、下地層17a上には第2の半田としての半田ボール19が下地層17aと接続するようにして形成されている。なお、半田ボール19は、一般に酸化膜除去用のフラックスを含まないので、以下に説明するように、下地層17aの表面に形成された酸化膜を除去すべく、別途、酸化膜除去用のフラックスを用いて下地層17aを処理し、その表面に形成された酸化膜を除去することが好ましい。
【0040】
なお、半田バンプ11及び半田ボール19は、例えばSn−Pb,Sn−Ag及びSn−Ag−Cuなどから構成することができる。
【0041】
本実施形態における配線基板1においては、開口部8a及び18aに露出した金属端子パッド10及び17上に、それぞれSn含有の下地層10a及び17aを形成するようにしている。下地層10a及び17aは、例えば電解メッキ法や無電解メッキ法などのメッキ法によって簡易に形成することができるので、その形状は平坦であり、また、半田の主成分であるSnを含んでいる。したがって、本実施形態の配線基板1において、下地層10a及び17aを加熱溶融させ、その後に半田バンプ11及び半田ボール19を形成した場合において、半田ボール19は下地層17aと強固に接続するようになる。
【0042】
なお、本実施形態においては、半田バンプ11及び半田ボール19を形成する際の加熱によるリフローを同時に行う。この場合、配線基板1の第1の主表面CP1上に形成された下地層10a又は配線基板1の第2の主表面CP2上に形成された下地層17aの一方が、他方が加熱下リフローされている間に、同じく同様の加熱下に配置されることがない。例えば、最初に、半田バンプ11をリフローによって形成し、後に半田ボール19をリフローによって形成しようとした場合、半田ボール19に対する下地層17aは、半田バンプ11をリフローする場合と、半田ボール19をリフローする場合の2度に亘って加熱装置内で加熱されることになる。
【0043】
すなわち、半田ボール19に対する下地層17aは、半田バンプ11に対する下地層10aと比較して、長時間加熱下に置かれることになる。この結果、下地層17aの表面に酸化膜が形成され、リフローして溶解させた場合において、下方に位置する金属端子バンプ17に対する濡れ性が低下してしまい、その後に形成すべき半田ボール19との接続性が劣化してしまうという問題が生じる。
【0044】
しかしながら、上述したように、半田バンプ11及び半田ボール19を形成する際の加熱によるリフローを同時に行うことによって、これら半田に対する下地層10a及び17aのいずれかが長時間加熱下に置かれるようなことを防止できる。したがって、いずれかの下地層10a及び17aが長時間加熱下に置かれることによる、上述した不利益を解消することができる。
【0045】
また、上述したように、本実施形態においては、半田バンプ11及び半田ボール19を形成する際の加熱によるリフローを同時に行うので、半田バンプ11及び半田ボール19の一方が、他方が加熱下リフローされている間に、同じく同様の加熱下に配置されることがない。例えば、最初に、半田バンプ11をリフローによって形成し、後に半田ボール19をリフローによって形成しようとした場合、半田バンプ11は、当該半田バンプ11を形成する場合と、半田ボール19を形成する場合の2度に亘って加熱装置内で加熱されることになる。
【0046】
すなわち、半田バンプ11は、半田ボール19と比較して、長時間加熱下に置かれることになる。この場合、下地層10aと半田バンプ11との界面にはこれらの接続強度を低下させるような金属間化合物が形成され、結果として、半田バンプ11の接続性が劣化してしまうという問題が生じる。
【0047】
しかしながら、上述したように、半田バンプ11及び半田ボール19を形成する際の加熱によるリフローを同時に行うことによって、半田バンプ11及び半田ボール19のいずれかが長時間加熱下に置かれるようなことを防止できる。したがって、半田バンプ11及び半田ボール19のいずれかが長時間加熱下に置かれることによる、上述した不利益を解消することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、図4に示すように、配線基板1の第2の主表面CP2上に形成する半田を半田ボール19としているが、必要に応じて、第1の主表面CP1上に形成したような半田バンプとすることもできる。さらに、配線基板1の第1の主表面CP1上に形成する半田を半田バンプとしているが、必要に応じて、第2の主表面CP2に形成したような半田ボールとすることもできる。
【0049】
また、図1〜4から明らかなように、本実施形態における配線基板1は矩形の略板形状を呈しており、その大きさは、例えば約35mm×約35mm×約1mmとすることができる。
【0050】
(配線基板の製造方法)
次に、図1〜4に示す配線基板の製造方法について説明する。図5〜15は、本実施形態における製造方法の工程図である。なお、以下に示す工程図は、図4に相当する、配線基板のII−II線に沿って切った場合の断面で見た場合の順次の工程を中心に示すものである。
【0051】
最初に、図5に示すように、板形状の耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)または繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)を、コア2として用意し、ドリリング等の方法でスルーホール12を穿孔する。次いで、図6に示すように、パターンメッキによりコア導体層M1,M11およびスルーホール導体30を形成し、スルーホール12に樹脂製穴埋め材31を充填する。
【0052】
次に、コア導体層M1,M11に粗化処理を施したのち、図7に示すように、コア導体層M1,M11を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V1,V11を得る。樹脂フィルムは、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0053】
次いで、図8に示すように、絶縁層V1,V11(ビア層)に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34hを形成し、ビアホール34hを含む絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を実施する。なお、絶縁層V1及びV11が、フィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V1及びV11上に残存するようになるので、適宜水洗浄を実施して、遊離したフィラーを除去する。
【0054】
次いで、デスミア処理及びアウトラインエッチングを実施してビアホール34h内を洗浄する。なお、本実施形態では、水洗浄を実施しているので、デスミア工程における水洗浄の際に、上記フィラーの凝集を抑制することができる。
【0055】
また、本例では、上述した高水圧による水洗浄と上記デスミア処理の間に、エアーブローを行うことができる。これによって、上述した水洗浄によって遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブローにおいてフィラーの除去を補完することができる。
【0056】
次いで、図9に示すように、パターンメッキにより第1の導体層M2,M12およびビア導体34sを形成する。第1の導体層M2等は、セミアディティブ法等により、以下のようにして形成する。最初に、絶縁層V2,V12上に、例えば無電解銅めっき膜を形成した後、この無電解銅メッキ膜上にレジストを形成し、このレジストの非形成部分に電解銅めっきを行うことによって形成する。なお、前記レジストはKOH等で剥離除去し、パターニングされた第1の導体層M2等を形成することができる。
【0057】
次いで、第1の導体層M2,M12に粗化処理を施したのち、図10に示すように、第1の導体層M2,M12を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V2,V12を得る。この樹脂フィルムも、上述したように、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0058】
次いで、図11に示すように、絶縁層V2,V12(ビア層)に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34hを形成し、ビアホール34hを含む絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を実施する。絶縁層V2及びV12がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V2及びV12上に残存するようになるので、上記同様に適宜水洗浄、エアーブローを行う。次いで、ビアホール34hに対して、デスミア処理及び外形エッチング(アウトラインエッチング)を実施してビアホール34h内を洗浄する。
【0059】
次いで、図12に示すように、パターンメッキにより第2の導体層M3,M13およびビア導体34sを形成する。
【0060】
その後、図13に示すように、第2の導体層M3,M13上に、ビアホール34h内を埋設するようにしてレジスト層8及び18をそれぞれ形成し、レジスト塗布、及び露光現像処理を施すことによって、図14及び図15に示すように、開口部8a及び18aを形成する。なお、図15は、図3に相当する、配線基板のI−I線に沿って切った場合の断面で見た場合の工程図である。
【0061】
次いで、図14に示すアセンブリにおいては、開口部18aに露出した金属端子パッド17上に、Sn含有下地層17aを例えば無電解メッキ、電解メッキなどのメッキ法によって形成し、半田ボール19を搭載した後、リフローを行い、半田ボールと金属端子パッド17とを接続する。なお、半田ボール19は酸化膜除去用のフラックスを含まないので、半田ボール19を形成する前処理として、酸化膜除去用のフラックスを下地層17aに塗布してから半田ボール19を形成する。なお、酸化物除去用のフラックスは、リフロー時に活性状態となり、下地層17aの表面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0062】
一方、図15に示すアセンブリにおいては、開口部8aに露出した金属端子パッド10上に、Sn含有下地層10aを例えば無電解メッキ、電解メッキなどのメッキ法によって形成し、次いで、半田バンプ11を、下地層10aを介して、金属端子パッド10と電気的に接触するようにして形成する。
【0063】
なお、半田バンプ11を形成する際の半田ペーストが酸化膜除去用のフラックスを含まない場合は、半田バンプ11を形成する前処理として、酸化膜除去用のフラックスを用いて下地層10aを処理し、下地層10aの表面に形成された酸化膜を除去した後、半田バンプ11を形成する。但し、上記半田ペーストが上記酸化膜除去用のフラックスを含む場合は、上述した前処理を行わなくても、上記半田ペーストを印刷及びリフローすることによって、下地層10aの表面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0064】
以上のような工程を経ることにより、図1〜4に示すような配線基板1を得る。
【0065】
なお、レジスト層8及び18に対しては必要に応じてプラズマ処理を実施することができる。このプラズマ処理は、プラズマ照射によって、レジスト層8及び18の特に表面を活性化するために実施するものであって、これによって、例えばパッケージ化する際に、封止樹脂層に対する濡れ性が向上することになり、封止樹脂層の塗布性が向上するようになる。特に、配線基板と例えば半導体素子等との狭い空隙にアンダーフィル樹脂を充填する際には、上述した濡れ性の向上によってアンダーフィル樹脂が配線基板、すなわちレジスト層8上で容易に広がるようになるので、従来困難であったアンダーフィル樹脂の注入も容易に行うことができる。
【0066】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0067】
例えば、上記具体例においては、コア基板2を有する配線基板1に対して説明したが、本発明の製造方法は、当然にコア基板2を有しない配線基板においても適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 配線基板、
M1 コア導体層
V1 第1のビア層
M2 第1の導体層
V2 第2のビア層
M11 コア導体層
V11 第1のビア層
M12 第1の導体層
V12 第2のビア層
34l ビアランド
34p ビアパッド
34s ビア導体
7a,7b 金属配線
8、18 ソルダーレジスト層
8a、18a 開口部
10a,17a Sn含有下地層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層及び樹脂絶縁層が交互に積層されるとともに、第1の主面側とこの第1の主面と相対する第2の主面側の最表面にソルダーレジスト層が形成され、前記ソルダーレジスト層に形成された開口部から前記導体層が露出してなる配線基板の製造方法であって、
前記開口部から露出した前記導体層上に、Snを含む下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層のうち前記第1の主面側に位置する第1の下地層及び前記第2の主面側に位置する第2の下地層上に、それぞれ第1の半田及び第2の半田を供給する半田供給工程と、
前記第1の半田及び前記第2の半田を同時に加熱して、それぞれ前記第1の下地層及び前記第2の下地層と接続する半田接続工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1の半田及び前記第2の半田の少なくとも一方は、酸化膜除去用のフラックスを含む半田ペーストであることを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1の半田及び前記第2の半田の少なくとも一方は、半田ペーストであり、前記下地層形成工程の後であって前記半田供給工程の前に、前記半田ペーストが供給される前記下地層に酸化膜除去用のフラックスを供給するフラックス供給工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の半田及び前記第2の半田の少なくとも一方は半田ボールであり、前記下地層形成工程の後であって前記半田供給工程の前に、前記半田ボールが供給される前記下地層に酸化膜除去用のフラックスを供給するフラックス供給工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−44123(P2012−44123A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186687(P2010−186687)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】