鉄道車両用の継目無管からの車軸、および鉄道車両用の継目無鋼管からの車軸を製造するための方法
本発明は、高い疲労強度、改善された耐力、および引張強度を保証するために適する化学組成を伴い、鉄道車両上で用いるための減少した質量を有する継目無管から鍛造される車軸に関する。本発明は、さらに、高い疲労強度、改善された耐力、および引張強度を伴い、鉄道車両上で用いるための減少した質量を有する継目無管から鍛造される該車軸を製造する方法に関し、該車軸は、銑鉄または屑鉄から、鋳造、再熱炉、ビレットの穿孔、穿孔ビレットの延伸、中空素管仕上げ加工、鍛造、および端部の検査穴の内側縁での支持用および心出し用面取り部、およびネジ込み穴入口での滑らかな窪みを包含する仕上げ機械加工から製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量を減じるために継目無管から鍛造されると共に、それらの化学組成および製造方法が高い機械的強度および疲労強度を保証するように特別に設計される鉄道車両用の車軸に関する。本発明は、また、この管状車軸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、燃料の消費および鉄道輸送における汚染物質の排出は、それらの運転コストおよび環境上の意味あいのせいで、鉄道部門の大きな関心事である。鉄道車両自重は、これらのパラメータに影響を及ぼす主要因子の一つである。この態様において、鉄道車両の車軸が該自重の10%を担うことができ、重くて大きくなりがちであることは留意されるべきである。
【0003】
その上、輸送システムとしての鉄道使用増加の結果として、現在の傾向は、該鉄道により輸送される積載量および質量が有意に増大していることであり、このことは、結果として、該鉄道車軸上にかかる歪みの増加を引き起こすので、従って、それらが良好な持続性を有するように、より大きな材料強度およびこれら車軸の設計上の適合を必要とする。
【0004】
該鉄道部門における管状車軸の概念を通して該質量を減じるための技術に対する探索は、既に、1864年のB.L.ラ・モト(La Mothe)の米国特許第44,434号明細書、題名「Improvement in Car Axles」に示されるように、19世紀以来から存在する。この特許は、機械的締めしろによりかみ合わされ、はめ込まれる異なる径の種々の管からなることが好ましいことを提案している。
【0005】
1884年の米国特許第293,201号明細書、表題「Car Axle」の著者、スチュワート、ジョージW.(Stewart,George W.)は、摩擦軸受用のそのジャーナルが、車輪領域の範囲まで該車軸中に、締めしろにより部分的に導入される大質量の軸受筒である、均一部分を有する管状車軸の発明をクレームした。
【0006】
1886年の米国特許第352,657号明細書、題名「Car Axle」の著者、ペッカムE.(Pekham E.)は、改善点として、後に成形して、当時用いられた軸受のタイプであった摩擦軸受の座を形成することが可能である、該車軸スピンドルでの管状内部強化材の適用を指摘する類似の提案に言及している。
【0007】
1931年に付与された英国特許GB第360,521号明細書、題名「Improvements in(…)Hollow Shafts」の著者、エルネスト・クライシグ(Ernest Kreissig)は、特別には該車軸またはその製造に言及していないが、しかし、前もって中空軸内部での引張応力を受け、その状態下に保持されて、次に、それらを通常の運転条件下での車軸曲げからもたらされる該引張応力を比例的に補償する圧縮応力にさらす棒鋼(または管)に言及している。
【0008】
1933年、米国特許第1,902,910号明細書、題名「Anti−friction Wheel and Axle Construction」の著者、オエルカーズ、アルフレッドH.(Oelkers,Alfred H.)は、同心管、大質量スピンドルおよび軸受を組み合わせ、該組合せの一つにおいて、該車軸が静止し、一緒に回転する車軸および車輪の古典的な状況と違って、該車輪のみが回転することを可能とすることによる車軸および車輪の変形を提案した。
【0009】
1950年の米国特許第2,512,186号明細書、題名「Vehicle Axle」の著者、アーシェル、B.H.(Urshel,B.H.)は、管組成物の提案に言及し、その機能が該車軸から環境への熱伝達であるであろう液体により満たされる該車軸および内部管により形成される環状チャンバを有する車軸のような、他の変形について述べている。
【0010】
1956年に付与された米国特許第2,747,918号明細書、題名「Railroad Vehicle Axles」の著者、ブラックウッド、W.(Blackwood,W.)は、その空間がゴムのような弾力性材料の単位体で満たされるであろう管状車軸内の従来型の大質量車軸の組合せを提案した。この場合に、目的は衝撃を和らげ、荷重を均一に分配し、その結果疲労問題を防止することであった。
【0011】
1958年に付与されたスイス特許CH第376,955号明細書、題名「Procecde pour la fabrication d’essieux de materiel roulant」の著者、アドリアンネ、J.L.C(Adrianne,J.L.C)は、管状車軸のより多くの変形を提案し、端部の望ましいプロフィールを有する3段階シリンダのために該端部を熱間圧延する方法を指摘している。
【0012】
鉄道車軸を製造するために用いられる材料に関して、例えば、ブラジルおよび北米のものとしての一部の製造業者は、アメリカ鉄道協会(AAR)の技術規則の基準に従おうと試みている。該AARの規則により、鉄道車軸の組成は下の表1に示す以下の基準に合致することが好ましい。
【表1】
【0013】
該鉄道車軸技術に関する新しい開発はそれ以来続いており、該管状概念は、現在、高速客車、機関車および貨物車両に関して用いられている。
【0014】
現在、鉄道車軸に関する先行技術は、一方では、該AAR技術規則に合致する合金を用いる大質量車軸の使用を含み、これらの車軸は梁に変形される棒鋼から製造されると共に、これらの機械的特性もまた該AAR技術規則に合致する。
【0015】
他方、鉄道車軸に関する先行技術は、また、該管状車軸の使用を含む。これらの車軸は機械加工により穿孔される鍛造棒鋼から製造される。これらの管状車軸は大質量車軸のそれらよりも20%低い質量を有するが、しかし、該製造方法はかなりな原料浪費を伴うと共に、少しの質量減の代わりに高い運転コストを有する。
【0016】
また、鍛造により製造される継目無管からなる先行技術からの管状鉄道車軸が存在する。これらの車軸は大質量のものよりも約40%低い質量を有する。
【0017】
特許文書EP第044783A1号明細書には、管またはなお大質量片から製造されるものであることが可能である鉄道用の鍛造車軸を製造する方法が開示されている。この方法において、該製作品は加熱され、次に、密閉マトリクスによりそのスピンドルを成形する段階と共に中間部を据え込み加工する段階を同時に受ける。この文書には、該管状車軸の疲労、硬さおよび強度特性を改善することを探求する熱処理が開示されていないし、また、それにはこれらの同じ特性を達成するためのこの車軸の特定の組成も開示されていない。
【0018】
特許文書EP第0052308号明細書には、熱間鍛造された後に焼き入れを受ける高負荷鍛鋼製作品が開示されている。この製作品は、0.05〜0.25質量%の炭素、および1.0〜2.0質量%のマンガン含量を有する。この文書はこの方法またはこの製作品の鉄道用管状車軸への適用を予見していないし、それは、この製作品を継目無管に変えるために必要な種々の加工段階を特定しないか、または開示してもいない。また、この文書においては、この製作品が示すことが好ましい耐力、引張強度、伸びおよび疲労強度などの物理的特性値の範囲が予想できていない。
【0019】
特許文書米国特許第4,895,700号明細書には、大質量で、0.40〜0.48質量%の炭素、1.35〜1.61質量%のマンガン、0.16〜0.30質量%のケイ素、0〜0.23質量%のクロム含量を示す鉄道車両用の車軸が予見されている。この組成は、5.33cm〜6.6cm径範囲にある車軸を形成するために適合されると共に、約14.7〜19.6トンを担う。従って、該車軸の適用およびその一段と縮小した寸法は、本発明のそれらとは異なり、その上、それは管状構造を持たない。
【0020】
大質量車軸は、多くの場合、それらが受ける負荷を担うために必要なものよりも大きな強度を示す。これは、これらの車軸が防止することができるであろう該車軸を製造する上での材料の消費を引き起こす、必要以上の質量を有することができることを意味する。
【0021】
他方、該管状概念は、主として有孔棒鋼車軸よりも小さな厚さを有する継目無管の場合において、結果として、同じ負荷条件下で、他の車軸(大質量または有孔棒鋼)の場合におけるよりも、該車軸の一部の部分がより大きな応力を受けたままであり、他の部分がより大きな歪みを受けたままであることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の第1の目的は、それがその上にかけられる高い応力を担うことができる、疲労強度および改善された耐力および引張強度の特性を同時に有する、より低い質量を有する管状車軸を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、この車軸を作製するために用いられる材料の節減をもたらすと共に低製造コストを有する、管状車軸およびそれを作製するための方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、現代のコンピュータ支援、製造方法論および検査技術によって製造される該車軸の改善された品質管理を有する、管状車軸製造のための方法を提供することに存する。
【0025】
該車軸が各種の目的および各種の用途に適することを保証するために、工程および所定の車軸特性に対する統計的な管理を可能とする管状車軸を製造するための方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、0.22〜0.42質量%の炭素、1.10〜1.70質量%のマンガンを含む合金鋼からの材料により構成される鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸によって達成され、該完成車軸は、最小耐力520MPa、最小引張強度750MPaおよび最小伸び率16%の特性を有する。
【0027】
該合金材料は以下の元素含量の少なくとも一つを含むことが可能である:0.020質量%以下の硫黄、0.020質量%以下のリン、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、0.10〜0.35質量%のケイ素、0.10〜0.30質量%のモリブデン、0.010〜0.050質量%のニオブ、および0.05〜0.27質量%のバナジウム。
【0028】
あるいは、該合金材料は、0.22〜0.32質量%の炭素および1.01〜1.40質量%のマンガン、またはなお0.32〜0.42質量%の炭素および1.40〜1.70質量%のマンガンを含む。
【0029】
該合金材料は、あるいは、0.010質量%以下のリンおよび0.010質量%以下の硫黄を含む。
【0030】
曲げ負荷を受けながら回転することにより試験される車軸試料は、120MPa、好ましくは170MPaの疲労限度を示さなければならない。
【0031】
本発明の目的は、また、鉄道車両用の継目無鋼管からの鍛造車軸を製造するための方法によって達成され、これは以下の段階を含む:
−合金材料を融解し、合金鋼を生成し、
−該溶融材料を鋳造し、鋳塊化製品を形成し、
−穿孔のため再熱炉中で該鋳塊化製品を再加熱し、
−該鋳塊化製品を穿孔し、
−該穿孔化製品を延伸し、中空素管を形成し、
−該中空素管を仕上げ加工し、それらを継目無管に変形させ、
−該継目無管を鍛造し、それらを鉄道車両用の継目無管から鍛造される車軸に変形させること。
【0032】
本方法は、さらに、該融解段階後、該合金の化学組成の調整をなす第2精錬段階、およびカルシウム−ケイ素による冶金処理、ならびに該第2精錬段階後の真空脱気段階を含むことが可能である。
【0033】
該鋳造段階は電磁攪拌下で行うことが可能である。該鋳造段階後、該鋳塊化製品は、1〜48時間の間にわたり880℃〜1300℃の温度で補助再加熱段階を受けることが可能である。該補助再加熱段階後、本方法は、さらに、圧延段階を含むことが可能である。
【0034】
穿孔用の該再加熱段階は、好ましくは、1000℃〜1300℃間の温度で再熱炉中において行われる。
【0035】
あるいは、本方法は中空素管仕上げ加工段階前に820℃〜980℃間の中空素管再加熱段階を有し、該中空素管仕上げ加工後、まだ継目無管の形態にある該車軸管片は冷却床にさらされる。
【0036】
好ましくは、該鍛造段階前に、該継目無管は焼きならされ、そこで該継目無管は少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、該継目無管は空気冷却にさらされる。
【0037】
あるいは、該鍛造段階前に、該継目無管は焼き入れされ、そこで該車軸管片の急速冷却は水および油から選択される媒体により行われる。該継目無管は、さらに、再熱炉中で焼き戻され、そこでそれらは少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度に保持され、次に、該車軸管片は空気冷却にさらされる。
【0038】
あるいは、該鍛造段階前に、該継目無管は熱間歪み矯正され、続いて冷却床に送られる。本方法は、また、鍛造段階前に、寸法および表面不連続点、および/または該継目無管の全体内面にわたる機械加工を含む仕上げ段階の非破壊試験により該管を検査する段階を含むことが可能である。機械加工の後、該継目無管の内面の研磨、またはなお該継目無管の内面の艶出しさえ行うことが可能である。
【0039】
好ましくは、該鍛造段階前に、該厚さが増大し、次に、縦の圧縮力が少なくとも一つの据え込み工具の前進を通して該軸方向にかけられ、それによって据え込み加工された継目無管が得られる領域において、該継目無管が800℃〜1300℃間に加熱される据え込み加工操作を行う。
【0040】
該鍛造段階は熱間製であり、コンピュータ化数値制御により統御されるか、または、軸方向および半径方向に管端を圧縮し、それを鍛造車軸に変形する少なくとも一つのマトリクスによる、室温〜800℃の温度範囲での冷間および温間鍛造、または800℃〜1300℃間の温度での熱間鍛造により行われる、半径方向に振動する少なくとも二つの可変コースマトリクス、補助据え込み工具、および該継目無管の並進および回転のためのハンドラーによって、800℃〜1300℃の範囲にある温度で行うことが可能である。該鍛造が熱間のものであれば、本方法は、さらに、該冷却が、以下の媒体:空気、強制空気、水および油から選択される媒体中で行われる該鍛造後の冷却段階を含む。
【0041】
本方法は、さらに、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度で再加熱するための加熱炉、および空気中での冷却を用いて、該車軸の少なくとも一部を焼きならしする段階、および/または、オーステナイト化のため、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで再加熱するための加熱炉、および焼き入れのため水による急速冷却を用いる、該車軸管の少なくとも一部を焼き入れする段階、および/または、少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度まで再加熱するための加熱炉および空気冷却を用いて、該車軸管の少なくとも一部を焼き戻しする段階を含むことが可能である。
【0042】
あるいは、該仕上げ加工段階は、以下の段階の少なくとも一つを含む:該管の内面をショットピーニングすること、該管を歪み矯正すること、該管の両端での検査穴の内側機械加工、該管の検査穴の内径の縁での面取り部を機械加工すること、および各端部での少なくとも二つのネジ込み穴および平らな窪みを機械加工すること。該仕上げ加工段階後、焼き入れおよび焼き戻しの熱処理段階は、該鍛造車軸の少なくとも一部に適用することが可能であり、該車軸管片の表面欠陥を検査する最終段階が行われる。
【0043】
最後に、本発明の目的は、また、本明細書において記載される該組成および特性を有する車軸によって達成されると共に、それは本明細書において記載されるタイプの方法により製造される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
より良い理解のため、本発明の特徴および利点は、本発明の一部の好ましい構造を説明するそれらそれぞれの図面と併せて提供され、記載される。
【0045】
【図1】本発明による該管状鉄道車軸の好ましい実施形態の正面図を示す。
【図2】本発明による該管状鉄道車軸の好ましい実施形態の断面正面図を示す。
【図3】本発明による該管状鉄道車軸端部の詳細の断面正面図を示す。
【図4】該管状鉄道車軸の左側面図である。
【図5】該継目無管、および軸方向に動く据え込み加工用工具の断面正面図である。
【図6】端部の厚さが増大した、据え込み加工操作後の継目無管の断面正面図である。
【図7】据え込み加工操作後、半径方向に振動し、可変コースおよび補助軸方向据え込み加工工具を有する二つの開放マトリクスにより並進および回転を受ける継目無管の断面図を示す。
【図8】据え込み加工操作後、該管端部の一つを軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小するマトリクスを有する該継目無管の断面正面図を示す。
【図9】開放マトリクスを振動させることによるか、または半開軸方向および半径方向圧縮マトリクスによるかのいずれかによる一端部での鍛造操作後の継目無管の断面正面図を示す。
【図10】開放マトリクスを振動させることによるか、または半開軸方向および半径方向圧縮マトリクスによるかのいずれかによる両端部での鍛造操作後の継目無管の断面正面図を示す。
【図11】本発明による管状鉄道車軸の製造工程のフローチャートを示し、好ましい実施形態はグレーで強調表示される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1および2は、本発明による鉄道車両用の継目無管から鍛造される該車軸の好ましい実施形態を示し、図11のフローチャートはこの車軸製造の好ましい工程を示す。該管状車軸の主要部分は、ジャーナルまたは軸受座1、塵除け2、輪座3および本体4である。図2はそれぞれの部分の壁厚は変わることが可能であることを示す。
【0047】
本発明による該管状鉄道車軸の端部は図3に強調して示される。該車軸は、好ましくは、角度8を有する円錐先端間の支持のための軸受カバーおよび面取り部7を固定するために、各端部で3個のネジ込み穴5および窪み6を有する。該端部の内面9は、該ジャーナル1、該塵除け2の、および一部のケースにおいて該輪座3の一部の検査のための超音波検査プローブを連結するために用いることができる。該内面10は、該輪座3および該本体4の検査のための超音波検査プローブを連結するために用いることができる。
【0048】
該管状鉄道車軸の左側面図が表される図4において、円錐先端間の支持のための3個のネジ込み穴5、該窪み6、および面取り部7が示される。
【0049】
本発明による継目無管から鍛造される該車軸は、該車軸がより大きな負荷を受ける箇所でのみより大きな頑健性および疲労強度を提供するように、種々の厚さを有して、すなわち、その長さに沿って材料の種々の区分を有して該図面中に示すように成形される。この形状は既に先行技術から公知である。
【0050】
しかし、本発明による継目無管から鍛造される該車軸は、それが、本発明によるこれらの車軸を作製する本方法によってなお増強される優れた機械的特性を有する材料を含むので、先行技術から公知の同じ形状の車軸のそれに対して優れた性能を有する。本発明による継目無管から鍛造される該車軸の組成ならびにその製造方法は、該材料の特性を適切に特定して該車軸が受ける負荷の変動を補償することを可能とする。
【0051】
該材料の該用途への適応のためのこの開発において考慮される化学的、機械的および冶金学的特性は、化学組成、機械的強度(耐力、引張強度、疲労限度、伸び、硬度)および微構造(相および構成物質、粒度)である。これらの特性の大半は、熱間圧延継目無鋼管を製造する工程、熱間鍛造および熱処理工程の特定の性質と相互に関係し、関連する。
【0052】
前述の事項に基づき、0.22〜0.42質量%の炭素および1.10〜1.70質量%のマンガンを含む継目無管車軸を構成する合金鋼用の化学組成が開発されてきて、該合金材料は最小耐力520MPa、最小引張強度750MPa、および最小伸び率16%を有する。
【0053】
該組成は、さらに、低含量のモリブデン、アルミニウム、ニオブ、バナジウムおよび他の金属を含むことが可能である。例えば、該合金は、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.10〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0054】
本発明の代替実施形態において、該合金は0.020質量%以下の硫黄、および/または0.020質量%以下のリン、またはなお好ましくは0.010質量%以下のリン、および/または0.010質量%以下の硫黄を含む。
【0055】
本発明の別の代替実施形態により、該管状車軸の該合金は、0.22〜0.32質量%の炭素、および1.10〜1.40質量%のマンガンを含むと共に、それは、さらに、0.020質量%以下のリン、および/または0.020質量%以下の硫黄、および/または0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.010〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0056】
本発明の別の実施形態により、該管状車軸の該合金材料は、0.32〜0.42質量%の炭素、および1.40〜1.70質量%のマンガンを含むと共に、それは、さらに、0.020質量%以下のリン、および/または0.020質量%以下の硫黄、および/また は0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.10〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0057】
該合金鋼の原料は、好ましくは銑鉄、屑鉄、またはなお銑鉄および屑鉄のあらゆる比率の混合物である。
【0058】
以下の表2は本発明の一つの実施形態による該製品の化学組成中に含有される化学元素の範囲を記載する。
【表2】
【0059】
この化学組成を設計する上で、各元素を以下に記載される基準に従って慎重に調整した。
【0060】
固溶体中の置換元素であるマンガンは、それが添加されるにつれての強度増を提供する。
【0061】
炭素および窒素のような間質元素は、固溶体中のマンガン含量を最大化する目的のため減ずることが好ましく、この結果として機械的強度を改善する。この意味において、その主要機能が脱酸であるがしかしまた強度に寄与するアルミニウム、ニオブおよびモリブデンのような元素は、該マトリクスから該間質元素を除去することに寄与し、炭化マンガンの生成を最小化する。しかし、該炭素含量は、該他元素と共にその用途に対して必要な強度を保証し、且つ、マンガンが、他方ではアルミニウムにより部分的に補償されるマルテンサイト形成温度をまた低くするので、焼入性を害しないようにするために、極めて低くあることは好ましくない。
【0062】
硫黄およびリンなどの元素は、それらが微小封入体と結び付き、微小分離物、該材料の疲労強度を減じる因子に結び付くので、できるだけ低くあることが好ましい。ケイ素および既述の他の元素(C、Mo、Nb)のような他の元素は、固溶体、炭化物沈殿、および粒径精製のような種々の硬化機構によって機械的強度を増大するように寄与する。
【0063】
以下の表3は、鉄道車軸およびそれらそれぞれの熱処理用のAAR基準(“AAR Manual of Standards and Recommended Practices−Wheels and Axles−Axles,Carbon Steel,Heat−Treated−Specification M−101−Revision 2004”)による機械的特性および粒径の仕様、ならびに本発明の一つの実施形態の機械的特性および粒径の結果を比較して示す。
【0064】
【表3】
【0065】
材料の疲労限度は、該材料用の応力(S)×寿命(N−破断繰り返し数)曲線を確立するために多くの試料が破断に至るまで試験される、室温での回転曲げラボ試験により評価することができる。試料は曲げ荷重を受けながら回転することにより試験される。これは、実際のスケールの車軸上で存在するのと同じやり方で交互曲げ応力を生じる結果となる。該曲げ荷重が一定ならば、結果として、最小対最大応力の比率(R)は常に1である。繰り返し数が増大するにつれても、それ未満ではいかなる破断をも観察できない、該材料の応力−寿命(S−N)曲線上の最小応力が存在することは想定される。この応力が該材料の疲労限度と定義される。本発明の一つの実施形態による、曲げ荷重を受けながら回転することにより試験される車軸試料は、120MPaの疲労限度を示す。本発明の別の実施形態において、170MPaの疲労限度を得ることができた。
【0066】
これら化学元素のそれぞれが該合金鋼材料に付与する各種物理的特性の観点から、それが用いられる特定用途に応じて決まる、該管状車軸が有することが好ましい特性の関数としてこの材料の化学組成を調整することができる。本発明の方法のいくつかの段階が、コンピュータの支援により、数値的におよび電子的に制御されるので、望ましい化学組成を有する車軸を得るようにこの方法を構成することは可能である。
【0067】
図11に示すフローチャートの助けにより、以後、このようにして得られる車軸それ自体と共に、本発明の目的である該車軸を製造する本方法の好ましい選択的な実施形態の主要段階を示す。
【0068】
初めに、該合金の原料が溶解され、合金鋼溶融材料を生成する。この製品中に用いられる該合金の融解は、LD転炉またはアーク炉(EAF)を用い、原料として、銑鉄、屑鉄、またはあらゆる比率での銑鉄と屑鉄の混合物を用いることにより行うことができる。該LD転炉は、該処理全体を通してアルゴンおよび/または窒素の使用を可能とする液中吹き込み装置を備えることが好ましい。なるべくなら、この段階は、全体として、それら自身の展開から誘導される静的および動的モデルを通してコンピュータにより制御される。吹き込み中の温度の自動測定および該合金添加の計算はこのシステムの一部をなす。この機械的な作業は、該製品への必要な低いリンおよび硫黄含量を保証する。
【0069】
次に、該鋼鉄は第2精錬を受けることが可能であり、化学組成の調整、ならびにカルシウム−ケイ素による冶金処理がなされる。この第2精錬は、好ましくはレードル炉中で行われる。合金の添加、カルシウム−ケイ素による処理、アルゴン泡立て、および試料の収集は、この装置内で、なるべくなら全面自動化手法でなされることが好ましい。この処理を通して、該製品品質に合致することを狙いとする狭い組成範囲中にある鋼鉄の製造が保証される。不活性ガス泡立ておよび合成スラグ使用の結果として、該硫黄含量は非常に低いレベルを達成することが可能である。レードル炉中の第2精錬は、また、ミクロな清浄度を改善する、すなわち、より小さな数および寸法の封入体は、該合金元素のより良い分布と該液体鋼鉄温度のより良い調整を可能とする。
【0070】
レードル炉中の第2精錬後、該材料は酸素、窒素、および水素のようなガスの含量を最小化する目的のため真空下で脱気することができる。この装置において、0.2kPa(2mバール)の圧力まで到達することが可能であり、その上、極端な真空下でさえもアルゴン噴射を可能とする。それによって、非常に低い水素および酸素レベルを容易に達成することができる。
【0071】
本方法は、さらに、該溶融材料を鋳造する段階を含み、鋳塊製品を生成する。鋳造は連続型かまたは従来型のいずれかであることが可能である。
【0072】
連続鋳造が行われる場合、該鋼鉄は、好ましくは電磁攪拌下で発効する連続鋳造機に導かれる。本発明の好ましい実施形態において、この機械は、該材料の疲労強度にも寄与する、元素の分離および中央部気孔率に関して該鋳塊材料のより良い品質を提供する二重電磁攪拌コイルを備える。
【0073】
鋳造が従来型のやり方で行われる場合、該材料を穿孔、次の製造段階に投入する前に、該鋳塊を円形プロフィールの鋳塊棒鋼に変形させることは必要であることが可能である。
【0074】
連続型または従来型の鋳造後に生成される棒鋼の形態で鋳塊される製品は、好ましくは、1時間〜48時間の時間帯にわたり880℃〜1300℃間の温度で補助再加熱段階に投入される。
【0075】
連続型または従来型の鋳造により鋳塊された該棒鋼は、また、ビレット穿孔工場で用いられる前に、適切な長さのビレットに切断される。
【0076】
この補助再加熱後、丸めたプロフィールをまだ得ていない該棒鋼またはビレットは、圧延段階を通して丸めたプロフィールの棒鋼を形成することが可能である。
【0077】
該ビレットを穿孔する段階の前に、鋳塊された製品、および場合によっては、また圧延された製品は、該製品が好ましくは適切な再熱炉中で1000〜1300℃間の温度に加熱される穿孔のための再加熱段階に投入される。
【0078】
次に、該穿孔は、穿孔用プレスおよび穿孔機からなる穿孔プレスまたはプロセスまたは装置を通して、傾斜ロールを備えた熱間ビレット穿孔機を用いることにより行うことが可能である。
【0079】
この穿孔段階後、ピルジャー(Pilger)型ミルを通して、またはマンドレルズ(Mandrels)(プラグミル(Plug Mill))ミル、またはMPM型ミル、またはPQF型ミル、またはアッセル(Assel)型ミルにより、または押出成形プレスを通して行うことが可能である該穿孔ビレットの延伸が行われる。あるいは、鍛冶工場、または市販されているあらゆる他の適するタイプの装置を用いて、穿孔ビレットの延伸を行い、それを中空素管に変形することができる。
【0080】
延伸後、該産業設備の設計に応じて、880〜980℃間の温度で該中空素管を再加熱する段階は、それらを継目無管に変形する、中空素管を仕上げ加工する段階の前に必要であることが可能である。
【0081】
この中空素管仕上げ加工段階は、仕上げ加工圧延機タイプの装置、例えば、サイジング・ミル(Sizing Mill)タイプの熱間検定用圧延機、絞り圧延機(Reducing Mill)タイプの熱間絞りローラー、または伸縮絞り圧延機、またはリーラー(Reeler)タイプ圧延機の平滑化ローラー、(後者は穿孔したビレットの延伸を図るためにマンドレル(Mandrel)タイプ圧延機を用いた場合)を用いることにより行うことが可能である。熱間圧延の延伸段階後、該継目無管は、好ましくは室温での中間冷却を受ける。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、該ビレットは自動圧延(プラグミル(Plug Mill))を介して外径168.3および365.1mm(6〜14インチ)を有する管に圧延される。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、自動薄板化で該ビレットは1100〜1300℃間、またはなお1000〜1200℃間の温度で、移動ビーム炉中で再加熱される。次に、該ビレットは、それが傾斜ロール圧延機上で穿孔される熱間圧延の段階に入る。穿孔後、該穿孔ビレットは次いで中空素管と呼ばれ、これは、シリンダ開口部、ガイド開口部、およびマンドレル位置を制御することにより、該最終製品用に指定されたものに非常に近くある壁厚の場合に、熱間圧延を通して、好ましくはマンドレルを有する圧延機(プラグミル)によって延伸段階に移送される。
【0084】
次に、この工程から生じる該中空素管は、好ましくは、外径の膨張により該継目無管の内側および外側の円滑化を遂行する平滑化仕上げ加工圧延機(リーラーミル)により行われる再度の熱間圧延を受ける。
【0085】
該中空素管は中間冷却に導かれ、再加熱され、仕上げ加工圧延機上で最終圧延を受ける。
【0086】
該継目無管を製造する工程の最後で、それらは冷却床に導かれ、鍛造用に必要とされる原料の状態によって、各種やり方、圧延、焼きならしまたは焼き入れおよび焼き戻し、またはなおそれらの組合せに従うことができる。
【0087】
該継目無管は、それらがなお後に鍛造されようとする圧延化状態にある場合に、好ましくは、3対のローラーを有する回転歪み矯正機上での熱間歪み矯正に従い、次に、冷却床に入る。続く鍛造は冷間、暖間、または熱間で行うことが可能である。
【0088】
該焼きならしコースに従う該継目無管は、それらの完全な変形まで冷却のため床中に留まり、その後、好ましくは、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880〜950℃の範囲にある温度まで移動ビーム炉中で再加熱される。次に、該車軸の管片は空気冷却を受ける。
【0089】
該焼き入れコースに従う該継目無管は、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880〜950℃の範囲にある温度まで再加熱される。次に、該車軸の管片は水または油冷却を受ける。
【0090】
該焼き入れコースに従う、既に圧延された継目無管、または焼きならしされたまたは焼き入れされた管は、好ましくは水または油による急速冷却を受ける。
【0091】
該焼き戻しコースに従う該継目無管は、それらが、少なくとも10分間の均熱時間にわたり400〜700℃間の温度で保持される再熱炉中で加熱され、次に、それらは空気冷却を受ける。
【0092】
該熱処理に続き、鍛造の前に、該管は例えば回転歪み矯正機上で熱間歪み矯正にかけられる。
【0093】
冷却および歪み矯正後、中空素管または継目無管は寸法および不連続点に関する非破壊検査試験に送られる。各管片は測定され、結果は壁厚、外径、および長さに関して報告される。外側および内側、縦、横、およびできれば斜めの不連続点も、また分析される。許容値から外れる偏差を示す管片は、自動的に偏差指示を有するセグメントの分離の印を付けられる。非破壊検査試験は、固定角超音波ビームによる超音波によって、またはなお可変角超音波ビームによる超音波によって、または渦電流によって、またはなお磁気粒子によってなされることが可能である。
【0094】
次の段階の目に見える検査および寸法検査において、許容限度を超える不連続点または偏差を示す管片は、それぞれの偏差でのセグメントの分離の印を付けられる。次に、該管片はサブマルチプル(submultiples)を得るため、および既に分離の印を付けられたセグメントの除去のために引き切られる。追跡システムは、該ビレットの再加熱とそのサブマルチプルへの最終切断間のコース全体を通して該製品品質を保証するために必要な種々の運転パラメータを管理し記録する。
【0095】
所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、該継目無管を製造する工程中に発生する可能な幾何学的不完全部を除去し、内部の皺を改善するために、鍛造の前に中空素管上の最終仕上げ加工を行うことも、また、必要であることが可能である。この最終仕上げ加工は、好ましくは、鍛造により該端部の縮小の前に、該管の内面の一部または全体を機械加工するか、および/または該管の内面の研磨か、および/または適切な装置により該管の内面を艶出しするかにより行われる。これらの段階は、分離して、またはこれらの仕上げ加工段階のあらゆる組合せにより、またはなおこれらの段階のすべてを同じ管上で連続して行うことが可能である。
【0096】
熱間圧延で製造され、熱処理されるかまたはされない、内面仕上げ加工されるかまたはされない該継目無管または中空素管は、次に、鍛造に導かれる。本発明の好ましい実施形態において、図7に示すように、該鍛造段階は熱間製であり、コンピュータ支援数値制御により統御することが可能である、半径方向に振動し可変コースを有する2以上の開放マトリクス14、補助軸方向据え込み工具15、および該継目無管の並進および回転用のハンドラー(示していない)によって、800℃〜1300℃範囲の温度で行うことが可能である。このようにして、図10に示すように両端を鍛造した、または図9に示すように一端だけを鍛造した生の鍛造管17が得られる。
【0097】
あるいは、および図8に従って、鍛造は、管端部の少なくとも一つを軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小し、それを図9および10に示すような生の鍛造車軸に変形させる、1以上の半開マトリクス16により行われる。この段階の間、該車軸は、好ましくは、例えば、鉤爪のような支持材により吊るされたままである。この支持材は該管状車軸を成形するようには作用せず、それを保持するためだけに役立つが、一方で、該マトリクスはその端部を圧縮して、該管状車軸に望ましい形状を付与する。この鍛造様式は、より適切と見なされる、冷間、暖間、または熱間で行うことが可能である。該冷間鍛造または暖間鍛造は、室温〜800℃間の温度範囲で行われ、該熱間鍛造は800℃〜1300℃間の温度で行われる。
【0098】
該鍛造法は既述の手段なしでの別のタイプの装置により行うことが可能であるが、しかし、該表面仕上げおよび寸法許容範囲は該製品に適合していないことが可能である。熱間鍛造がなされる場合に、鍛造しようとする管片または中空素管の端部の加熱は、好ましくは、電気誘導加熱を通してなされるが、しかし、それは燃焼炉中でなすことが可能である。望ましい温度が達成された場合に、該中空素管は、それと共に前進および回転操作を行うハンドラー上に位置付けられるが、一方で、ハンマーとも呼ばれる開放鍛造マトリクス14は、図7に示すように、可変コースにより高周波で半径方向に振動する。これらの運動の組合せは、図9に示すように、設計上特定される寸法プロフィールに従っての中空素管端部の形成を可能とする。本方法は各中空素管の反対側の端部にも繰り返され、こうして図10に示すように、継目無管からの生の鍛造車軸を規定する。
【0099】
所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、上述の鍛造操作から生じるものに加えて、局部的な厚さ増は必要であることが可能である。この場合において、鍛造の前に、該厚さを増大させようと望む領域においての、誘導加熱による800℃〜1300℃間範囲の温度での該継目無管11の局部加熱、続いて、図5に示すように、該継目無管11上に該据え込み工具の前進を通して圧縮性の縦方向の力をかけることからなる据え込み操作が行われる。この段階後、図6に示すような据え込みされた管13が得られる。
【0100】
該管状車軸の鍛造が熱間製である場合、次に、鍛造後、該車軸は、なお、空気、強制空気、水、または油により行うことが可能である冷却段階を受ける。
【0101】
該車軸梁は、該仕様に従っての該微構造および該機械的特性の調整のために、例えば、鍛造されるか、または熱処理されるかの選別用に必要とされる引渡し状態により異なるやり方に従うことが可能である。該熱処理は、完全であるか、すなわち、全体梁にわたるか、または部分的に、特定領域のみ、例えば、鍛造された端部のみに位置付けることが可能である。後者のケースにおいて、該車軸本体は、該中空素管の機械的特性および微構造を伴ったままで残る。
【0102】
鍛造された状態で選別される該梁は、直接機械加工操作に入る。熱処理を受ける該梁はそれぞれの炉に導かれる:局部的な領域における処理(誘導加熱または特にこの目的のために設計された炉)および全体片にわたる処理(誘導加熱、連続またはバッチ炉)。
【0103】
両方のケース(部分または全体)における該処理操作は同じものである。
【0104】
全体車軸またはその一部にわたる焼きならし熱処理において、再オーステナイト化は、全体の該管状車軸またはその一部のみのいずれかにわたる880℃〜950℃間の温度で行われる。炉中の時間は壁厚に応じて決まり、全体の横断面がオーステナイト化温度を超えることを保証するように規定される。好ましくは、該特定温度範囲での均熱時間は少なくとも10分である。冷却は加熱区間直後に空気により行われる。
【0105】
焼き戻しは、400℃〜700℃間の温度範囲で、全体の管状車軸にわたりまたはその一部上でのみ行われる。炉滞留時間は壁厚に応じて決まり、全体の横断面が該焼き戻し温度に達したことを保証するように規定される。好ましくは、該特定温度範囲での均熱時間は少なくとも10分である。該冷却は加熱区間直後に空気により行われる。
【0106】
局部的な領域におけるまたはそれらの全体長にわたる焼きならしおよび焼き戻し処理を受ける該梁は、この順番で上述の二つの処理を受けるが、一方で、焼きならしまたは焼き戻しのいずれかを受けるものは、それぞれの処理の一つのみを受ける。
【0107】
該全体の管状車軸にわたるか、またはその一部のみにわたる焼き入れを受ける該梁は、鍛造後、初めに、少なくとも10分の均熱時間にわたり、880℃〜950℃間範囲の温度で再オーステナイト化熱処理にさらされる。再オーステナイト化後、該熱処理(部分的または全体のいずれか)にさらされた該車軸領域は湯垢を落とされ、水または油(急冷用液体)により急冷される。
【0108】
急冷後、該管状車軸は、また、前述のように焼き戻し段階により、均熱時間10分以上で、必要強度レベルに従って焼き戻すことが可能である。焼き戻しは、また、焼きならし後に行うことが可能である。
【0109】
本発明の代替実施形態において、該管状車軸を選別するために、それは、焼きならし、焼き入れ、および焼き戻し段階のあらゆる組合せにさらすことが可能である。
【0110】
開発された化学組成用、および一般的な冷却速度用の該微構造は、焼き入れされた時を除いて、フェライト、パーライトおよびことによるとマルテンサイトの微小部分に加えて主としてベイナイトからなる。
【0111】
焼き入れ、および焼き戻しされた材料に対して、予測される微構造は、主として焼き戻しされたマルテンサイトからなり、該壁厚に応じて、ベイナイト、フェライト、およびパーライトの微小量を含有することが可能である。
【0112】
熱処理後、該梁は仕上げ加工操作を受ける。所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、および代わりに鍛造前に適用可能な各種の内面機械加工仕上げに応じて、鍛造後、図3に示す該車軸の内面9および10上へのショットピーニングを行うことが可能である。可能な熱処理中に形成される酸化物層の除去に加えて、ショットピーニングは、残留圧縮応力にさらされる冷間硬化材料の薄い表面層を形成する。この層は、割れなどの表面欠陥の核生成および伝播を抑制し、該車軸の疲労強度に寄与する。
【0113】
仕上げ加工段階として、また、該管状車軸の歪み矯正、該管状車軸の該端部での検査穴の内面機械加工、該管状車軸の該検査穴の内径の縁での面取り部7の機械加工、および両端部での少なくとも二つのネジ込みのおよび平らな窪み穴6の機械加工を行うことが可能である。本発明により、該車軸の形状、および製造しようと望む該車軸の内面の特徴に応じて、すべてのこれらの仕上げ加工段階、または、これら段階のあらゆるもののなお連続的な組合せを行うことが可能である。
【0114】
歪み矯正は、機械加工における材料不足、該外径と内径間の偏心度、および結果として生じる不釣り合いの問題を防止するために手動または自動装置上で行われる。
【0115】
材料は設計上指定される寸法を得るために全体外面を機械加工することにより除去される。
【0116】
鍛造された端部の内面上で、設計上指定される寸法に従って、機械加工により材料が除去される。この領域はカバーを供給することが可能であり、図1中の、該軸受座のすぐ下の車軸ジャーナル1の検査用の超音波ヘッドの結合、および該塵除け2の部分に対する遷移半径を可能とする。該内面による検査は、直接入射(反射なし)、および、多くの場合、該軸受、その金具に関連する損傷にさらされる、主として該車軸ジャーナル領域中の音波ビームの短い通路を提供する。これは、通常の方法では検出されないであろう初期段階での不連続点の検出を容易にする。
【0117】
これらの領域に加えて、該輪座および車軸本体のような該車軸の他の部分は、簡単に該カバーを除去し、縮小した検査ヘッドおよび適切な結合手段(水、ゲル、レーザーなど)を有するプローブを導入することにより、内面から検査することができる。
【0118】
通常、各先端部で円周上等距離の3個のネジ込み穴5は、該軸受カバーのネジ、該位置、および標準化されるこれらの穴の径の固定のために必要とされる。
【0119】
旋盤上のチップ間の該車軸の固定化および集中化を可能とするために、面取り部7が該端部の内径の縁に作り出され、その全体角度10は該旋盤支持材のそれと同じである。しかし、この径がアメリカ鉄道協会(AAR)基準におけるような等価大質量車軸用の基準で普通に設置されるものよりも大きいので、該対応チップの径が該管状車軸の端部の内径と適合することは必要である。
【0120】
一部のケースにおいて、該車軸端部穴の内径は該面取り部7のネジ込み穴5への妨害を防止するには十分でないので、任意の平らな窪み6が各ネジ込み穴5の初めに導入されている。これは既存の標準化カバーの適用を保証し、これらの車軸の互換性を確実にする。
【0121】
一部の表面において指定される仕上げは、未加工のまたは機械加工された状態で対処されるが、しかし、応力集中を弱め、不連続点の寸法および頻度を減じ、および該疲労強度を改善するために、該車軸ジャーナルおよび塵除けの遷移半径などの研磨されることを必要とする領域が存在する。
【0122】
該車軸のこれらおよび他の領域は、これらの応力が該疲労強度を増大させることに寄与するので、ルーレッティングまたはショットピーニング効果などの圧縮残留応力を導入する技術を受けることが可能である。
【0123】
該車軸を仕上げ加工する段階の後、本発明による方法は、さらに、必要な場合に、該製品の最終検査前に行うことが可能である熱処理段階を含むことが可能である。該熱処理は、好ましくは、該管状車軸の少なくとも一部の焼き入れおよび焼き戻しを含む、すなわち、それは、例えば、該車軸の機械加工された端部だけで、またはなお該全体車軸にわたって行うことが可能である。
【0124】
該車軸ジャーナルおよび/または輪座は、加熱用の誘導加熱炉の助けにより局部的に焼き入れし、急速冷却用の水で噴霧することが可能である。この技術(既に道路用車軸ジャーナルで用いられている)は、主としてマルテンサイト系となる該鋼鉄の微構造を変えることにより表面積の硬度および強度を有意に増大させる。これらの特性は、これらの領域中に存在し、一般に、鉄道車軸の破損に関連する事象、疲労強度およびフレッティング強度を引き上げる。焼き入れに起因して、焼き入れされた領域は焼き戻しをすることが必要である。
【0125】
不連続点に対する非破壊試験による最終検査は、固定角超音波ビームによる超音波によって、またはなお可変角超音波ビームによる超音波によって、または渦電流によって、またはなお磁気粒子によって行うことが可能である。
【0126】
本明細書において記載される本方法は、原料の浪費を最小化し、さらに本発明の該管状車軸の製造コストを下げることができる。
【0127】
本発明による本方法は、中空でない車軸と較べて、約40%少ない質量での鉄道車軸を製造することができる。同時に、さらにこれらの車軸を製造する方法の特殊性によって増強され、この車軸を製造するために用いられる該合金の特定の組成によりもたらされる利点のお陰で、本発明は、軽質量を提供し、結果としてエネルギー効率を最適化した、より強い強度および疲労強度を有する管状車軸を提供する。
【0128】
該車軸の品質検査および該車軸の表面不連続度を検出する器具の使用は、製造される鋼片の品質に対する一段と正確な制御を可能とし、エラーおよび欠陥管製造の変動幅を相当に減らすと共に、この製造工程に沿って一部の車軸上に形成される確定した欠陥を是正し排除することを可能とする。この効果は、また、本方法に一層大きな正確度をまた付与する、本方法の一部の段階に対する統計的なコンピュータ支援制御によって達成され、該管上の欠陥数を下げ、該製品の機械的および微構造的変動の変動性を下げる。
【0129】
例えば、鍛造前、または該車軸を仕上げ加工する段階中での本発明による方法の各種代替段階を考慮して、本発明による本方法によって、鉄道輸送における用途の各種条件に一段と適することができる各種物理的特性を有する車軸を製造することは可能である。該製造方法により提供される利点を有する該管状車軸の形成で用いられる材料により提供される利点を組み合わせて、本発明は、低コストで、しかし、より良い強度および疲労強度を有し、且つ材料の浪費の少ない車軸を製造する、すべての望ましい目的を達成することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量を減じるために継目無管から鍛造されると共に、それらの化学組成および製造方法が高い機械的強度および疲労強度を保証するように特別に設計される鉄道車両用の車軸に関する。本発明は、また、この管状車軸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、燃料の消費および鉄道輸送における汚染物質の排出は、それらの運転コストおよび環境上の意味あいのせいで、鉄道部門の大きな関心事である。鉄道車両自重は、これらのパラメータに影響を及ぼす主要因子の一つである。この態様において、鉄道車両の車軸が該自重の10%を担うことができ、重くて大きくなりがちであることは留意されるべきである。
【0003】
その上、輸送システムとしての鉄道使用増加の結果として、現在の傾向は、該鉄道により輸送される積載量および質量が有意に増大していることであり、このことは、結果として、該鉄道車軸上にかかる歪みの増加を引き起こすので、従って、それらが良好な持続性を有するように、より大きな材料強度およびこれら車軸の設計上の適合を必要とする。
【0004】
該鉄道部門における管状車軸の概念を通して該質量を減じるための技術に対する探索は、既に、1864年のB.L.ラ・モト(La Mothe)の米国特許第44,434号明細書、題名「Improvement in Car Axles」に示されるように、19世紀以来から存在する。この特許は、機械的締めしろによりかみ合わされ、はめ込まれる異なる径の種々の管からなることが好ましいことを提案している。
【0005】
1884年の米国特許第293,201号明細書、表題「Car Axle」の著者、スチュワート、ジョージW.(Stewart,George W.)は、摩擦軸受用のそのジャーナルが、車輪領域の範囲まで該車軸中に、締めしろにより部分的に導入される大質量の軸受筒である、均一部分を有する管状車軸の発明をクレームした。
【0006】
1886年の米国特許第352,657号明細書、題名「Car Axle」の著者、ペッカムE.(Pekham E.)は、改善点として、後に成形して、当時用いられた軸受のタイプであった摩擦軸受の座を形成することが可能である、該車軸スピンドルでの管状内部強化材の適用を指摘する類似の提案に言及している。
【0007】
1931年に付与された英国特許GB第360,521号明細書、題名「Improvements in(…)Hollow Shafts」の著者、エルネスト・クライシグ(Ernest Kreissig)は、特別には該車軸またはその製造に言及していないが、しかし、前もって中空軸内部での引張応力を受け、その状態下に保持されて、次に、それらを通常の運転条件下での車軸曲げからもたらされる該引張応力を比例的に補償する圧縮応力にさらす棒鋼(または管)に言及している。
【0008】
1933年、米国特許第1,902,910号明細書、題名「Anti−friction Wheel and Axle Construction」の著者、オエルカーズ、アルフレッドH.(Oelkers,Alfred H.)は、同心管、大質量スピンドルおよび軸受を組み合わせ、該組合せの一つにおいて、該車軸が静止し、一緒に回転する車軸および車輪の古典的な状況と違って、該車輪のみが回転することを可能とすることによる車軸および車輪の変形を提案した。
【0009】
1950年の米国特許第2,512,186号明細書、題名「Vehicle Axle」の著者、アーシェル、B.H.(Urshel,B.H.)は、管組成物の提案に言及し、その機能が該車軸から環境への熱伝達であるであろう液体により満たされる該車軸および内部管により形成される環状チャンバを有する車軸のような、他の変形について述べている。
【0010】
1956年に付与された米国特許第2,747,918号明細書、題名「Railroad Vehicle Axles」の著者、ブラックウッド、W.(Blackwood,W.)は、その空間がゴムのような弾力性材料の単位体で満たされるであろう管状車軸内の従来型の大質量車軸の組合せを提案した。この場合に、目的は衝撃を和らげ、荷重を均一に分配し、その結果疲労問題を防止することであった。
【0011】
1958年に付与されたスイス特許CH第376,955号明細書、題名「Procecde pour la fabrication d’essieux de materiel roulant」の著者、アドリアンネ、J.L.C(Adrianne,J.L.C)は、管状車軸のより多くの変形を提案し、端部の望ましいプロフィールを有する3段階シリンダのために該端部を熱間圧延する方法を指摘している。
【0012】
鉄道車軸を製造するために用いられる材料に関して、例えば、ブラジルおよび北米のものとしての一部の製造業者は、アメリカ鉄道協会(AAR)の技術規則の基準に従おうと試みている。該AARの規則により、鉄道車軸の組成は下の表1に示す以下の基準に合致することが好ましい。
【表1】
【0013】
該鉄道車軸技術に関する新しい開発はそれ以来続いており、該管状概念は、現在、高速客車、機関車および貨物車両に関して用いられている。
【0014】
現在、鉄道車軸に関する先行技術は、一方では、該AAR技術規則に合致する合金を用いる大質量車軸の使用を含み、これらの車軸は梁に変形される棒鋼から製造されると共に、これらの機械的特性もまた該AAR技術規則に合致する。
【0015】
他方、鉄道車軸に関する先行技術は、また、該管状車軸の使用を含む。これらの車軸は機械加工により穿孔される鍛造棒鋼から製造される。これらの管状車軸は大質量車軸のそれらよりも20%低い質量を有するが、しかし、該製造方法はかなりな原料浪費を伴うと共に、少しの質量減の代わりに高い運転コストを有する。
【0016】
また、鍛造により製造される継目無管からなる先行技術からの管状鉄道車軸が存在する。これらの車軸は大質量のものよりも約40%低い質量を有する。
【0017】
特許文書EP第044783A1号明細書には、管またはなお大質量片から製造されるものであることが可能である鉄道用の鍛造車軸を製造する方法が開示されている。この方法において、該製作品は加熱され、次に、密閉マトリクスによりそのスピンドルを成形する段階と共に中間部を据え込み加工する段階を同時に受ける。この文書には、該管状車軸の疲労、硬さおよび強度特性を改善することを探求する熱処理が開示されていないし、また、それにはこれらの同じ特性を達成するためのこの車軸の特定の組成も開示されていない。
【0018】
特許文書EP第0052308号明細書には、熱間鍛造された後に焼き入れを受ける高負荷鍛鋼製作品が開示されている。この製作品は、0.05〜0.25質量%の炭素、および1.0〜2.0質量%のマンガン含量を有する。この文書はこの方法またはこの製作品の鉄道用管状車軸への適用を予見していないし、それは、この製作品を継目無管に変えるために必要な種々の加工段階を特定しないか、または開示してもいない。また、この文書においては、この製作品が示すことが好ましい耐力、引張強度、伸びおよび疲労強度などの物理的特性値の範囲が予想できていない。
【0019】
特許文書米国特許第4,895,700号明細書には、大質量で、0.40〜0.48質量%の炭素、1.35〜1.61質量%のマンガン、0.16〜0.30質量%のケイ素、0〜0.23質量%のクロム含量を示す鉄道車両用の車軸が予見されている。この組成は、5.33cm〜6.6cm径範囲にある車軸を形成するために適合されると共に、約14.7〜19.6トンを担う。従って、該車軸の適用およびその一段と縮小した寸法は、本発明のそれらとは異なり、その上、それは管状構造を持たない。
【0020】
大質量車軸は、多くの場合、それらが受ける負荷を担うために必要なものよりも大きな強度を示す。これは、これらの車軸が防止することができるであろう該車軸を製造する上での材料の消費を引き起こす、必要以上の質量を有することができることを意味する。
【0021】
他方、該管状概念は、主として有孔棒鋼車軸よりも小さな厚さを有する継目無管の場合において、結果として、同じ負荷条件下で、他の車軸(大質量または有孔棒鋼)の場合におけるよりも、該車軸の一部の部分がより大きな応力を受けたままであり、他の部分がより大きな歪みを受けたままであることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の第1の目的は、それがその上にかけられる高い応力を担うことができる、疲労強度および改善された耐力および引張強度の特性を同時に有する、より低い質量を有する管状車軸を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、この車軸を作製するために用いられる材料の節減をもたらすと共に低製造コストを有する、管状車軸およびそれを作製するための方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、現代のコンピュータ支援、製造方法論および検査技術によって製造される該車軸の改善された品質管理を有する、管状車軸製造のための方法を提供することに存する。
【0025】
該車軸が各種の目的および各種の用途に適することを保証するために、工程および所定の車軸特性に対する統計的な管理を可能とする管状車軸を製造するための方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、0.22〜0.42質量%の炭素、1.10〜1.70質量%のマンガンを含む合金鋼からの材料により構成される鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸によって達成され、該完成車軸は、最小耐力520MPa、最小引張強度750MPaおよび最小伸び率16%の特性を有する。
【0027】
該合金材料は以下の元素含量の少なくとも一つを含むことが可能である:0.020質量%以下の硫黄、0.020質量%以下のリン、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、0.10〜0.35質量%のケイ素、0.10〜0.30質量%のモリブデン、0.010〜0.050質量%のニオブ、および0.05〜0.27質量%のバナジウム。
【0028】
あるいは、該合金材料は、0.22〜0.32質量%の炭素および1.01〜1.40質量%のマンガン、またはなお0.32〜0.42質量%の炭素および1.40〜1.70質量%のマンガンを含む。
【0029】
該合金材料は、あるいは、0.010質量%以下のリンおよび0.010質量%以下の硫黄を含む。
【0030】
曲げ負荷を受けながら回転することにより試験される車軸試料は、120MPa、好ましくは170MPaの疲労限度を示さなければならない。
【0031】
本発明の目的は、また、鉄道車両用の継目無鋼管からの鍛造車軸を製造するための方法によって達成され、これは以下の段階を含む:
−合金材料を融解し、合金鋼を生成し、
−該溶融材料を鋳造し、鋳塊化製品を形成し、
−穿孔のため再熱炉中で該鋳塊化製品を再加熱し、
−該鋳塊化製品を穿孔し、
−該穿孔化製品を延伸し、中空素管を形成し、
−該中空素管を仕上げ加工し、それらを継目無管に変形させ、
−該継目無管を鍛造し、それらを鉄道車両用の継目無管から鍛造される車軸に変形させること。
【0032】
本方法は、さらに、該融解段階後、該合金の化学組成の調整をなす第2精錬段階、およびカルシウム−ケイ素による冶金処理、ならびに該第2精錬段階後の真空脱気段階を含むことが可能である。
【0033】
該鋳造段階は電磁攪拌下で行うことが可能である。該鋳造段階後、該鋳塊化製品は、1〜48時間の間にわたり880℃〜1300℃の温度で補助再加熱段階を受けることが可能である。該補助再加熱段階後、本方法は、さらに、圧延段階を含むことが可能である。
【0034】
穿孔用の該再加熱段階は、好ましくは、1000℃〜1300℃間の温度で再熱炉中において行われる。
【0035】
あるいは、本方法は中空素管仕上げ加工段階前に820℃〜980℃間の中空素管再加熱段階を有し、該中空素管仕上げ加工後、まだ継目無管の形態にある該車軸管片は冷却床にさらされる。
【0036】
好ましくは、該鍛造段階前に、該継目無管は焼きならされ、そこで該継目無管は少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、該継目無管は空気冷却にさらされる。
【0037】
あるいは、該鍛造段階前に、該継目無管は焼き入れされ、そこで該車軸管片の急速冷却は水および油から選択される媒体により行われる。該継目無管は、さらに、再熱炉中で焼き戻され、そこでそれらは少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度に保持され、次に、該車軸管片は空気冷却にさらされる。
【0038】
あるいは、該鍛造段階前に、該継目無管は熱間歪み矯正され、続いて冷却床に送られる。本方法は、また、鍛造段階前に、寸法および表面不連続点、および/または該継目無管の全体内面にわたる機械加工を含む仕上げ段階の非破壊試験により該管を検査する段階を含むことが可能である。機械加工の後、該継目無管の内面の研磨、またはなお該継目無管の内面の艶出しさえ行うことが可能である。
【0039】
好ましくは、該鍛造段階前に、該厚さが増大し、次に、縦の圧縮力が少なくとも一つの据え込み工具の前進を通して該軸方向にかけられ、それによって据え込み加工された継目無管が得られる領域において、該継目無管が800℃〜1300℃間に加熱される据え込み加工操作を行う。
【0040】
該鍛造段階は熱間製であり、コンピュータ化数値制御により統御されるか、または、軸方向および半径方向に管端を圧縮し、それを鍛造車軸に変形する少なくとも一つのマトリクスによる、室温〜800℃の温度範囲での冷間および温間鍛造、または800℃〜1300℃間の温度での熱間鍛造により行われる、半径方向に振動する少なくとも二つの可変コースマトリクス、補助据え込み工具、および該継目無管の並進および回転のためのハンドラーによって、800℃〜1300℃の範囲にある温度で行うことが可能である。該鍛造が熱間のものであれば、本方法は、さらに、該冷却が、以下の媒体:空気、強制空気、水および油から選択される媒体中で行われる該鍛造後の冷却段階を含む。
【0041】
本方法は、さらに、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度で再加熱するための加熱炉、および空気中での冷却を用いて、該車軸の少なくとも一部を焼きならしする段階、および/または、オーステナイト化のため、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで再加熱するための加熱炉、および焼き入れのため水による急速冷却を用いる、該車軸管の少なくとも一部を焼き入れする段階、および/または、少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度まで再加熱するための加熱炉および空気冷却を用いて、該車軸管の少なくとも一部を焼き戻しする段階を含むことが可能である。
【0042】
あるいは、該仕上げ加工段階は、以下の段階の少なくとも一つを含む:該管の内面をショットピーニングすること、該管を歪み矯正すること、該管の両端での検査穴の内側機械加工、該管の検査穴の内径の縁での面取り部を機械加工すること、および各端部での少なくとも二つのネジ込み穴および平らな窪みを機械加工すること。該仕上げ加工段階後、焼き入れおよび焼き戻しの熱処理段階は、該鍛造車軸の少なくとも一部に適用することが可能であり、該車軸管片の表面欠陥を検査する最終段階が行われる。
【0043】
最後に、本発明の目的は、また、本明細書において記載される該組成および特性を有する車軸によって達成されると共に、それは本明細書において記載されるタイプの方法により製造される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
より良い理解のため、本発明の特徴および利点は、本発明の一部の好ましい構造を説明するそれらそれぞれの図面と併せて提供され、記載される。
【0045】
【図1】本発明による該管状鉄道車軸の好ましい実施形態の正面図を示す。
【図2】本発明による該管状鉄道車軸の好ましい実施形態の断面正面図を示す。
【図3】本発明による該管状鉄道車軸端部の詳細の断面正面図を示す。
【図4】該管状鉄道車軸の左側面図である。
【図5】該継目無管、および軸方向に動く据え込み加工用工具の断面正面図である。
【図6】端部の厚さが増大した、据え込み加工操作後の継目無管の断面正面図である。
【図7】据え込み加工操作後、半径方向に振動し、可変コースおよび補助軸方向据え込み加工工具を有する二つの開放マトリクスにより並進および回転を受ける継目無管の断面図を示す。
【図8】据え込み加工操作後、該管端部の一つを軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小するマトリクスを有する該継目無管の断面正面図を示す。
【図9】開放マトリクスを振動させることによるか、または半開軸方向および半径方向圧縮マトリクスによるかのいずれかによる一端部での鍛造操作後の継目無管の断面正面図を示す。
【図10】開放マトリクスを振動させることによるか、または半開軸方向および半径方向圧縮マトリクスによるかのいずれかによる両端部での鍛造操作後の継目無管の断面正面図を示す。
【図11】本発明による管状鉄道車軸の製造工程のフローチャートを示し、好ましい実施形態はグレーで強調表示される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1および2は、本発明による鉄道車両用の継目無管から鍛造される該車軸の好ましい実施形態を示し、図11のフローチャートはこの車軸製造の好ましい工程を示す。該管状車軸の主要部分は、ジャーナルまたは軸受座1、塵除け2、輪座3および本体4である。図2はそれぞれの部分の壁厚は変わることが可能であることを示す。
【0047】
本発明による該管状鉄道車軸の端部は図3に強調して示される。該車軸は、好ましくは、角度8を有する円錐先端間の支持のための軸受カバーおよび面取り部7を固定するために、各端部で3個のネジ込み穴5および窪み6を有する。該端部の内面9は、該ジャーナル1、該塵除け2の、および一部のケースにおいて該輪座3の一部の検査のための超音波検査プローブを連結するために用いることができる。該内面10は、該輪座3および該本体4の検査のための超音波検査プローブを連結するために用いることができる。
【0048】
該管状鉄道車軸の左側面図が表される図4において、円錐先端間の支持のための3個のネジ込み穴5、該窪み6、および面取り部7が示される。
【0049】
本発明による継目無管から鍛造される該車軸は、該車軸がより大きな負荷を受ける箇所でのみより大きな頑健性および疲労強度を提供するように、種々の厚さを有して、すなわち、その長さに沿って材料の種々の区分を有して該図面中に示すように成形される。この形状は既に先行技術から公知である。
【0050】
しかし、本発明による継目無管から鍛造される該車軸は、それが、本発明によるこれらの車軸を作製する本方法によってなお増強される優れた機械的特性を有する材料を含むので、先行技術から公知の同じ形状の車軸のそれに対して優れた性能を有する。本発明による継目無管から鍛造される該車軸の組成ならびにその製造方法は、該材料の特性を適切に特定して該車軸が受ける負荷の変動を補償することを可能とする。
【0051】
該材料の該用途への適応のためのこの開発において考慮される化学的、機械的および冶金学的特性は、化学組成、機械的強度(耐力、引張強度、疲労限度、伸び、硬度)および微構造(相および構成物質、粒度)である。これらの特性の大半は、熱間圧延継目無鋼管を製造する工程、熱間鍛造および熱処理工程の特定の性質と相互に関係し、関連する。
【0052】
前述の事項に基づき、0.22〜0.42質量%の炭素および1.10〜1.70質量%のマンガンを含む継目無管車軸を構成する合金鋼用の化学組成が開発されてきて、該合金材料は最小耐力520MPa、最小引張強度750MPa、および最小伸び率16%を有する。
【0053】
該組成は、さらに、低含量のモリブデン、アルミニウム、ニオブ、バナジウムおよび他の金属を含むことが可能である。例えば、該合金は、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.10〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0054】
本発明の代替実施形態において、該合金は0.020質量%以下の硫黄、および/または0.020質量%以下のリン、またはなお好ましくは0.010質量%以下のリン、および/または0.010質量%以下の硫黄を含む。
【0055】
本発明の別の代替実施形態により、該管状車軸の該合金は、0.22〜0.32質量%の炭素、および1.10〜1.40質量%のマンガンを含むと共に、それは、さらに、0.020質量%以下のリン、および/または0.020質量%以下の硫黄、および/または0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.010〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0056】
本発明の別の実施形態により、該管状車軸の該合金材料は、0.32〜0.42質量%の炭素、および1.40〜1.70質量%のマンガンを含むと共に、それは、さらに、0.020質量%以下のリン、および/または0.020質量%以下の硫黄、および/また は0.10〜0.35質量%のケイ素、および/または0.10〜0.30質量%のモリブデン、および/または0.10〜0.45質量%のアルミニウム、および/または0.010〜0.050質量%のニオブ、および/または0.05〜0.27質量%のバナジウムを含むことが可能である。
【0057】
該合金鋼の原料は、好ましくは銑鉄、屑鉄、またはなお銑鉄および屑鉄のあらゆる比率の混合物である。
【0058】
以下の表2は本発明の一つの実施形態による該製品の化学組成中に含有される化学元素の範囲を記載する。
【表2】
【0059】
この化学組成を設計する上で、各元素を以下に記載される基準に従って慎重に調整した。
【0060】
固溶体中の置換元素であるマンガンは、それが添加されるにつれての強度増を提供する。
【0061】
炭素および窒素のような間質元素は、固溶体中のマンガン含量を最大化する目的のため減ずることが好ましく、この結果として機械的強度を改善する。この意味において、その主要機能が脱酸であるがしかしまた強度に寄与するアルミニウム、ニオブおよびモリブデンのような元素は、該マトリクスから該間質元素を除去することに寄与し、炭化マンガンの生成を最小化する。しかし、該炭素含量は、該他元素と共にその用途に対して必要な強度を保証し、且つ、マンガンが、他方ではアルミニウムにより部分的に補償されるマルテンサイト形成温度をまた低くするので、焼入性を害しないようにするために、極めて低くあることは好ましくない。
【0062】
硫黄およびリンなどの元素は、それらが微小封入体と結び付き、微小分離物、該材料の疲労強度を減じる因子に結び付くので、できるだけ低くあることが好ましい。ケイ素および既述の他の元素(C、Mo、Nb)のような他の元素は、固溶体、炭化物沈殿、および粒径精製のような種々の硬化機構によって機械的強度を増大するように寄与する。
【0063】
以下の表3は、鉄道車軸およびそれらそれぞれの熱処理用のAAR基準(“AAR Manual of Standards and Recommended Practices−Wheels and Axles−Axles,Carbon Steel,Heat−Treated−Specification M−101−Revision 2004”)による機械的特性および粒径の仕様、ならびに本発明の一つの実施形態の機械的特性および粒径の結果を比較して示す。
【0064】
【表3】
【0065】
材料の疲労限度は、該材料用の応力(S)×寿命(N−破断繰り返し数)曲線を確立するために多くの試料が破断に至るまで試験される、室温での回転曲げラボ試験により評価することができる。試料は曲げ荷重を受けながら回転することにより試験される。これは、実際のスケールの車軸上で存在するのと同じやり方で交互曲げ応力を生じる結果となる。該曲げ荷重が一定ならば、結果として、最小対最大応力の比率(R)は常に1である。繰り返し数が増大するにつれても、それ未満ではいかなる破断をも観察できない、該材料の応力−寿命(S−N)曲線上の最小応力が存在することは想定される。この応力が該材料の疲労限度と定義される。本発明の一つの実施形態による、曲げ荷重を受けながら回転することにより試験される車軸試料は、120MPaの疲労限度を示す。本発明の別の実施形態において、170MPaの疲労限度を得ることができた。
【0066】
これら化学元素のそれぞれが該合金鋼材料に付与する各種物理的特性の観点から、それが用いられる特定用途に応じて決まる、該管状車軸が有することが好ましい特性の関数としてこの材料の化学組成を調整することができる。本発明の方法のいくつかの段階が、コンピュータの支援により、数値的におよび電子的に制御されるので、望ましい化学組成を有する車軸を得るようにこの方法を構成することは可能である。
【0067】
図11に示すフローチャートの助けにより、以後、このようにして得られる車軸それ自体と共に、本発明の目的である該車軸を製造する本方法の好ましい選択的な実施形態の主要段階を示す。
【0068】
初めに、該合金の原料が溶解され、合金鋼溶融材料を生成する。この製品中に用いられる該合金の融解は、LD転炉またはアーク炉(EAF)を用い、原料として、銑鉄、屑鉄、またはあらゆる比率での銑鉄と屑鉄の混合物を用いることにより行うことができる。該LD転炉は、該処理全体を通してアルゴンおよび/または窒素の使用を可能とする液中吹き込み装置を備えることが好ましい。なるべくなら、この段階は、全体として、それら自身の展開から誘導される静的および動的モデルを通してコンピュータにより制御される。吹き込み中の温度の自動測定および該合金添加の計算はこのシステムの一部をなす。この機械的な作業は、該製品への必要な低いリンおよび硫黄含量を保証する。
【0069】
次に、該鋼鉄は第2精錬を受けることが可能であり、化学組成の調整、ならびにカルシウム−ケイ素による冶金処理がなされる。この第2精錬は、好ましくはレードル炉中で行われる。合金の添加、カルシウム−ケイ素による処理、アルゴン泡立て、および試料の収集は、この装置内で、なるべくなら全面自動化手法でなされることが好ましい。この処理を通して、該製品品質に合致することを狙いとする狭い組成範囲中にある鋼鉄の製造が保証される。不活性ガス泡立ておよび合成スラグ使用の結果として、該硫黄含量は非常に低いレベルを達成することが可能である。レードル炉中の第2精錬は、また、ミクロな清浄度を改善する、すなわち、より小さな数および寸法の封入体は、該合金元素のより良い分布と該液体鋼鉄温度のより良い調整を可能とする。
【0070】
レードル炉中の第2精錬後、該材料は酸素、窒素、および水素のようなガスの含量を最小化する目的のため真空下で脱気することができる。この装置において、0.2kPa(2mバール)の圧力まで到達することが可能であり、その上、極端な真空下でさえもアルゴン噴射を可能とする。それによって、非常に低い水素および酸素レベルを容易に達成することができる。
【0071】
本方法は、さらに、該溶融材料を鋳造する段階を含み、鋳塊製品を生成する。鋳造は連続型かまたは従来型のいずれかであることが可能である。
【0072】
連続鋳造が行われる場合、該鋼鉄は、好ましくは電磁攪拌下で発効する連続鋳造機に導かれる。本発明の好ましい実施形態において、この機械は、該材料の疲労強度にも寄与する、元素の分離および中央部気孔率に関して該鋳塊材料のより良い品質を提供する二重電磁攪拌コイルを備える。
【0073】
鋳造が従来型のやり方で行われる場合、該材料を穿孔、次の製造段階に投入する前に、該鋳塊を円形プロフィールの鋳塊棒鋼に変形させることは必要であることが可能である。
【0074】
連続型または従来型の鋳造後に生成される棒鋼の形態で鋳塊される製品は、好ましくは、1時間〜48時間の時間帯にわたり880℃〜1300℃間の温度で補助再加熱段階に投入される。
【0075】
連続型または従来型の鋳造により鋳塊された該棒鋼は、また、ビレット穿孔工場で用いられる前に、適切な長さのビレットに切断される。
【0076】
この補助再加熱後、丸めたプロフィールをまだ得ていない該棒鋼またはビレットは、圧延段階を通して丸めたプロフィールの棒鋼を形成することが可能である。
【0077】
該ビレットを穿孔する段階の前に、鋳塊された製品、および場合によっては、また圧延された製品は、該製品が好ましくは適切な再熱炉中で1000〜1300℃間の温度に加熱される穿孔のための再加熱段階に投入される。
【0078】
次に、該穿孔は、穿孔用プレスおよび穿孔機からなる穿孔プレスまたはプロセスまたは装置を通して、傾斜ロールを備えた熱間ビレット穿孔機を用いることにより行うことが可能である。
【0079】
この穿孔段階後、ピルジャー(Pilger)型ミルを通して、またはマンドレルズ(Mandrels)(プラグミル(Plug Mill))ミル、またはMPM型ミル、またはPQF型ミル、またはアッセル(Assel)型ミルにより、または押出成形プレスを通して行うことが可能である該穿孔ビレットの延伸が行われる。あるいは、鍛冶工場、または市販されているあらゆる他の適するタイプの装置を用いて、穿孔ビレットの延伸を行い、それを中空素管に変形することができる。
【0080】
延伸後、該産業設備の設計に応じて、880〜980℃間の温度で該中空素管を再加熱する段階は、それらを継目無管に変形する、中空素管を仕上げ加工する段階の前に必要であることが可能である。
【0081】
この中空素管仕上げ加工段階は、仕上げ加工圧延機タイプの装置、例えば、サイジング・ミル(Sizing Mill)タイプの熱間検定用圧延機、絞り圧延機(Reducing Mill)タイプの熱間絞りローラー、または伸縮絞り圧延機、またはリーラー(Reeler)タイプ圧延機の平滑化ローラー、(後者は穿孔したビレットの延伸を図るためにマンドレル(Mandrel)タイプ圧延機を用いた場合)を用いることにより行うことが可能である。熱間圧延の延伸段階後、該継目無管は、好ましくは室温での中間冷却を受ける。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、該ビレットは自動圧延(プラグミル(Plug Mill))を介して外径168.3および365.1mm(6〜14インチ)を有する管に圧延される。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、自動薄板化で該ビレットは1100〜1300℃間、またはなお1000〜1200℃間の温度で、移動ビーム炉中で再加熱される。次に、該ビレットは、それが傾斜ロール圧延機上で穿孔される熱間圧延の段階に入る。穿孔後、該穿孔ビレットは次いで中空素管と呼ばれ、これは、シリンダ開口部、ガイド開口部、およびマンドレル位置を制御することにより、該最終製品用に指定されたものに非常に近くある壁厚の場合に、熱間圧延を通して、好ましくはマンドレルを有する圧延機(プラグミル)によって延伸段階に移送される。
【0084】
次に、この工程から生じる該中空素管は、好ましくは、外径の膨張により該継目無管の内側および外側の円滑化を遂行する平滑化仕上げ加工圧延機(リーラーミル)により行われる再度の熱間圧延を受ける。
【0085】
該中空素管は中間冷却に導かれ、再加熱され、仕上げ加工圧延機上で最終圧延を受ける。
【0086】
該継目無管を製造する工程の最後で、それらは冷却床に導かれ、鍛造用に必要とされる原料の状態によって、各種やり方、圧延、焼きならしまたは焼き入れおよび焼き戻し、またはなおそれらの組合せに従うことができる。
【0087】
該継目無管は、それらがなお後に鍛造されようとする圧延化状態にある場合に、好ましくは、3対のローラーを有する回転歪み矯正機上での熱間歪み矯正に従い、次に、冷却床に入る。続く鍛造は冷間、暖間、または熱間で行うことが可能である。
【0088】
該焼きならしコースに従う該継目無管は、それらの完全な変形まで冷却のため床中に留まり、その後、好ましくは、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880〜950℃の範囲にある温度まで移動ビーム炉中で再加熱される。次に、該車軸の管片は空気冷却を受ける。
【0089】
該焼き入れコースに従う該継目無管は、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880〜950℃の範囲にある温度まで再加熱される。次に、該車軸の管片は水または油冷却を受ける。
【0090】
該焼き入れコースに従う、既に圧延された継目無管、または焼きならしされたまたは焼き入れされた管は、好ましくは水または油による急速冷却を受ける。
【0091】
該焼き戻しコースに従う該継目無管は、それらが、少なくとも10分間の均熱時間にわたり400〜700℃間の温度で保持される再熱炉中で加熱され、次に、それらは空気冷却を受ける。
【0092】
該熱処理に続き、鍛造の前に、該管は例えば回転歪み矯正機上で熱間歪み矯正にかけられる。
【0093】
冷却および歪み矯正後、中空素管または継目無管は寸法および不連続点に関する非破壊検査試験に送られる。各管片は測定され、結果は壁厚、外径、および長さに関して報告される。外側および内側、縦、横、およびできれば斜めの不連続点も、また分析される。許容値から外れる偏差を示す管片は、自動的に偏差指示を有するセグメントの分離の印を付けられる。非破壊検査試験は、固定角超音波ビームによる超音波によって、またはなお可変角超音波ビームによる超音波によって、または渦電流によって、またはなお磁気粒子によってなされることが可能である。
【0094】
次の段階の目に見える検査および寸法検査において、許容限度を超える不連続点または偏差を示す管片は、それぞれの偏差でのセグメントの分離の印を付けられる。次に、該管片はサブマルチプル(submultiples)を得るため、および既に分離の印を付けられたセグメントの除去のために引き切られる。追跡システムは、該ビレットの再加熱とそのサブマルチプルへの最終切断間のコース全体を通して該製品品質を保証するために必要な種々の運転パラメータを管理し記録する。
【0095】
所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、該継目無管を製造する工程中に発生する可能な幾何学的不完全部を除去し、内部の皺を改善するために、鍛造の前に中空素管上の最終仕上げ加工を行うことも、また、必要であることが可能である。この最終仕上げ加工は、好ましくは、鍛造により該端部の縮小の前に、該管の内面の一部または全体を機械加工するか、および/または該管の内面の研磨か、および/または適切な装置により該管の内面を艶出しするかにより行われる。これらの段階は、分離して、またはこれらの仕上げ加工段階のあらゆる組合せにより、またはなおこれらの段階のすべてを同じ管上で連続して行うことが可能である。
【0096】
熱間圧延で製造され、熱処理されるかまたはされない、内面仕上げ加工されるかまたはされない該継目無管または中空素管は、次に、鍛造に導かれる。本発明の好ましい実施形態において、図7に示すように、該鍛造段階は熱間製であり、コンピュータ支援数値制御により統御することが可能である、半径方向に振動し可変コースを有する2以上の開放マトリクス14、補助軸方向据え込み工具15、および該継目無管の並進および回転用のハンドラー(示していない)によって、800℃〜1300℃範囲の温度で行うことが可能である。このようにして、図10に示すように両端を鍛造した、または図9に示すように一端だけを鍛造した生の鍛造管17が得られる。
【0097】
あるいは、および図8に従って、鍛造は、管端部の少なくとも一つを軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小し、それを図9および10に示すような生の鍛造車軸に変形させる、1以上の半開マトリクス16により行われる。この段階の間、該車軸は、好ましくは、例えば、鉤爪のような支持材により吊るされたままである。この支持材は該管状車軸を成形するようには作用せず、それを保持するためだけに役立つが、一方で、該マトリクスはその端部を圧縮して、該管状車軸に望ましい形状を付与する。この鍛造様式は、より適切と見なされる、冷間、暖間、または熱間で行うことが可能である。該冷間鍛造または暖間鍛造は、室温〜800℃間の温度範囲で行われ、該熱間鍛造は800℃〜1300℃間の温度で行われる。
【0098】
該鍛造法は既述の手段なしでの別のタイプの装置により行うことが可能であるが、しかし、該表面仕上げおよび寸法許容範囲は該製品に適合していないことが可能である。熱間鍛造がなされる場合に、鍛造しようとする管片または中空素管の端部の加熱は、好ましくは、電気誘導加熱を通してなされるが、しかし、それは燃焼炉中でなすことが可能である。望ましい温度が達成された場合に、該中空素管は、それと共に前進および回転操作を行うハンドラー上に位置付けられるが、一方で、ハンマーとも呼ばれる開放鍛造マトリクス14は、図7に示すように、可変コースにより高周波で半径方向に振動する。これらの運動の組合せは、図9に示すように、設計上特定される寸法プロフィールに従っての中空素管端部の形成を可能とする。本方法は各中空素管の反対側の端部にも繰り返され、こうして図10に示すように、継目無管からの生の鍛造車軸を規定する。
【0099】
所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、上述の鍛造操作から生じるものに加えて、局部的な厚さ増は必要であることが可能である。この場合において、鍛造の前に、該厚さを増大させようと望む領域においての、誘導加熱による800℃〜1300℃間範囲の温度での該継目無管11の局部加熱、続いて、図5に示すように、該継目無管11上に該据え込み工具の前進を通して圧縮性の縦方向の力をかけることからなる据え込み操作が行われる。この段階後、図6に示すような据え込みされた管13が得られる。
【0100】
該管状車軸の鍛造が熱間製である場合、次に、鍛造後、該車軸は、なお、空気、強制空気、水、または油により行うことが可能である冷却段階を受ける。
【0101】
該車軸梁は、該仕様に従っての該微構造および該機械的特性の調整のために、例えば、鍛造されるか、または熱処理されるかの選別用に必要とされる引渡し状態により異なるやり方に従うことが可能である。該熱処理は、完全であるか、すなわち、全体梁にわたるか、または部分的に、特定領域のみ、例えば、鍛造された端部のみに位置付けることが可能である。後者のケースにおいて、該車軸本体は、該中空素管の機械的特性および微構造を伴ったままで残る。
【0102】
鍛造された状態で選別される該梁は、直接機械加工操作に入る。熱処理を受ける該梁はそれぞれの炉に導かれる:局部的な領域における処理(誘導加熱または特にこの目的のために設計された炉)および全体片にわたる処理(誘導加熱、連続またはバッチ炉)。
【0103】
両方のケース(部分または全体)における該処理操作は同じものである。
【0104】
全体車軸またはその一部にわたる焼きならし熱処理において、再オーステナイト化は、全体の該管状車軸またはその一部のみのいずれかにわたる880℃〜950℃間の温度で行われる。炉中の時間は壁厚に応じて決まり、全体の横断面がオーステナイト化温度を超えることを保証するように規定される。好ましくは、該特定温度範囲での均熱時間は少なくとも10分である。冷却は加熱区間直後に空気により行われる。
【0105】
焼き戻しは、400℃〜700℃間の温度範囲で、全体の管状車軸にわたりまたはその一部上でのみ行われる。炉滞留時間は壁厚に応じて決まり、全体の横断面が該焼き戻し温度に達したことを保証するように規定される。好ましくは、該特定温度範囲での均熱時間は少なくとも10分である。該冷却は加熱区間直後に空気により行われる。
【0106】
局部的な領域におけるまたはそれらの全体長にわたる焼きならしおよび焼き戻し処理を受ける該梁は、この順番で上述の二つの処理を受けるが、一方で、焼きならしまたは焼き戻しのいずれかを受けるものは、それぞれの処理の一つのみを受ける。
【0107】
該全体の管状車軸にわたるか、またはその一部のみにわたる焼き入れを受ける該梁は、鍛造後、初めに、少なくとも10分の均熱時間にわたり、880℃〜950℃間範囲の温度で再オーステナイト化熱処理にさらされる。再オーステナイト化後、該熱処理(部分的または全体のいずれか)にさらされた該車軸領域は湯垢を落とされ、水または油(急冷用液体)により急冷される。
【0108】
急冷後、該管状車軸は、また、前述のように焼き戻し段階により、均熱時間10分以上で、必要強度レベルに従って焼き戻すことが可能である。焼き戻しは、また、焼きならし後に行うことが可能である。
【0109】
本発明の代替実施形態において、該管状車軸を選別するために、それは、焼きならし、焼き入れ、および焼き戻し段階のあらゆる組合せにさらすことが可能である。
【0110】
開発された化学組成用、および一般的な冷却速度用の該微構造は、焼き入れされた時を除いて、フェライト、パーライトおよびことによるとマルテンサイトの微小部分に加えて主としてベイナイトからなる。
【0111】
焼き入れ、および焼き戻しされた材料に対して、予測される微構造は、主として焼き戻しされたマルテンサイトからなり、該壁厚に応じて、ベイナイト、フェライト、およびパーライトの微小量を含有することが可能である。
【0112】
熱処理後、該梁は仕上げ加工操作を受ける。所定の用途に合致するための該車軸の設計仕様に応じて、および代わりに鍛造前に適用可能な各種の内面機械加工仕上げに応じて、鍛造後、図3に示す該車軸の内面9および10上へのショットピーニングを行うことが可能である。可能な熱処理中に形成される酸化物層の除去に加えて、ショットピーニングは、残留圧縮応力にさらされる冷間硬化材料の薄い表面層を形成する。この層は、割れなどの表面欠陥の核生成および伝播を抑制し、該車軸の疲労強度に寄与する。
【0113】
仕上げ加工段階として、また、該管状車軸の歪み矯正、該管状車軸の該端部での検査穴の内面機械加工、該管状車軸の該検査穴の内径の縁での面取り部7の機械加工、および両端部での少なくとも二つのネジ込みのおよび平らな窪み穴6の機械加工を行うことが可能である。本発明により、該車軸の形状、および製造しようと望む該車軸の内面の特徴に応じて、すべてのこれらの仕上げ加工段階、または、これら段階のあらゆるもののなお連続的な組合せを行うことが可能である。
【0114】
歪み矯正は、機械加工における材料不足、該外径と内径間の偏心度、および結果として生じる不釣り合いの問題を防止するために手動または自動装置上で行われる。
【0115】
材料は設計上指定される寸法を得るために全体外面を機械加工することにより除去される。
【0116】
鍛造された端部の内面上で、設計上指定される寸法に従って、機械加工により材料が除去される。この領域はカバーを供給することが可能であり、図1中の、該軸受座のすぐ下の車軸ジャーナル1の検査用の超音波ヘッドの結合、および該塵除け2の部分に対する遷移半径を可能とする。該内面による検査は、直接入射(反射なし)、および、多くの場合、該軸受、その金具に関連する損傷にさらされる、主として該車軸ジャーナル領域中の音波ビームの短い通路を提供する。これは、通常の方法では検出されないであろう初期段階での不連続点の検出を容易にする。
【0117】
これらの領域に加えて、該輪座および車軸本体のような該車軸の他の部分は、簡単に該カバーを除去し、縮小した検査ヘッドおよび適切な結合手段(水、ゲル、レーザーなど)を有するプローブを導入することにより、内面から検査することができる。
【0118】
通常、各先端部で円周上等距離の3個のネジ込み穴5は、該軸受カバーのネジ、該位置、および標準化されるこれらの穴の径の固定のために必要とされる。
【0119】
旋盤上のチップ間の該車軸の固定化および集中化を可能とするために、面取り部7が該端部の内径の縁に作り出され、その全体角度10は該旋盤支持材のそれと同じである。しかし、この径がアメリカ鉄道協会(AAR)基準におけるような等価大質量車軸用の基準で普通に設置されるものよりも大きいので、該対応チップの径が該管状車軸の端部の内径と適合することは必要である。
【0120】
一部のケースにおいて、該車軸端部穴の内径は該面取り部7のネジ込み穴5への妨害を防止するには十分でないので、任意の平らな窪み6が各ネジ込み穴5の初めに導入されている。これは既存の標準化カバーの適用を保証し、これらの車軸の互換性を確実にする。
【0121】
一部の表面において指定される仕上げは、未加工のまたは機械加工された状態で対処されるが、しかし、応力集中を弱め、不連続点の寸法および頻度を減じ、および該疲労強度を改善するために、該車軸ジャーナルおよび塵除けの遷移半径などの研磨されることを必要とする領域が存在する。
【0122】
該車軸のこれらおよび他の領域は、これらの応力が該疲労強度を増大させることに寄与するので、ルーレッティングまたはショットピーニング効果などの圧縮残留応力を導入する技術を受けることが可能である。
【0123】
該車軸を仕上げ加工する段階の後、本発明による方法は、さらに、必要な場合に、該製品の最終検査前に行うことが可能である熱処理段階を含むことが可能である。該熱処理は、好ましくは、該管状車軸の少なくとも一部の焼き入れおよび焼き戻しを含む、すなわち、それは、例えば、該車軸の機械加工された端部だけで、またはなお該全体車軸にわたって行うことが可能である。
【0124】
該車軸ジャーナルおよび/または輪座は、加熱用の誘導加熱炉の助けにより局部的に焼き入れし、急速冷却用の水で噴霧することが可能である。この技術(既に道路用車軸ジャーナルで用いられている)は、主としてマルテンサイト系となる該鋼鉄の微構造を変えることにより表面積の硬度および強度を有意に増大させる。これらの特性は、これらの領域中に存在し、一般に、鉄道車軸の破損に関連する事象、疲労強度およびフレッティング強度を引き上げる。焼き入れに起因して、焼き入れされた領域は焼き戻しをすることが必要である。
【0125】
不連続点に対する非破壊試験による最終検査は、固定角超音波ビームによる超音波によって、またはなお可変角超音波ビームによる超音波によって、または渦電流によって、またはなお磁気粒子によって行うことが可能である。
【0126】
本明細書において記載される本方法は、原料の浪費を最小化し、さらに本発明の該管状車軸の製造コストを下げることができる。
【0127】
本発明による本方法は、中空でない車軸と較べて、約40%少ない質量での鉄道車軸を製造することができる。同時に、さらにこれらの車軸を製造する方法の特殊性によって増強され、この車軸を製造するために用いられる該合金の特定の組成によりもたらされる利点のお陰で、本発明は、軽質量を提供し、結果としてエネルギー効率を最適化した、より強い強度および疲労強度を有する管状車軸を提供する。
【0128】
該車軸の品質検査および該車軸の表面不連続度を検出する器具の使用は、製造される鋼片の品質に対する一段と正確な制御を可能とし、エラーおよび欠陥管製造の変動幅を相当に減らすと共に、この製造工程に沿って一部の車軸上に形成される確定した欠陥を是正し排除することを可能とする。この効果は、また、本方法に一層大きな正確度をまた付与する、本方法の一部の段階に対する統計的なコンピュータ支援制御によって達成され、該管上の欠陥数を下げ、該製品の機械的および微構造的変動の変動性を下げる。
【0129】
例えば、鍛造前、または該車軸を仕上げ加工する段階中での本発明による方法の各種代替段階を考慮して、本発明による本方法によって、鉄道輸送における用途の各種条件に一段と適することができる各種物理的特性を有する車軸を製造することは可能である。該製造方法により提供される利点を有する該管状車軸の形成で用いられる材料により提供される利点を組み合わせて、本発明は、低コストで、しかし、より良い強度および疲労強度を有し、且つ材料の浪費の少ない車軸を製造する、すべての望ましい目的を達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸であって、0.22〜0.42質量%の炭素、1.10〜1.70質量%のマンガンから構成される合金鋼材料を含み、該完成車軸が、最小耐力520MPa、最小引張強度750MPaおよび最小伸び率16%の特性を有することを特徴とする、車軸。
【請求項2】
前記合金材料が以下の元素:0.020質量%以下の硫黄、0.020質量%以下のリン、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、0.10〜0.35質量%のケイ素、0.10〜0.30質量%のモリブデン、0.010〜0.050質量%のニオブ、および0.05〜0.27質量%のバナジウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の車軸。
【請求項3】
前記合金材料が0.022〜0.32質量%の炭素および1.10〜1.40質量%のマンガンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の車軸。
【請求項4】
前記合金材料が0.32〜0.42質量%の炭素および1.40〜1.70質量%のマンガンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の車軸。
【請求項5】
前記合金材料が0.010質量%以下のリンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車軸。
【請求項6】
前記合金材料が0.010質量%以下の硫黄を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車軸。
【請求項7】
最小の疲労限度120MPaを示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車軸。
【請求項8】
最小の疲労限度170MPaを示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車軸。
【請求項9】
鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸を製造するための方法であって、以下の段階:
−合金材料を融解し、合金鋼材料を生成し、
−該溶融材料を鋳造し、鋳塊化製品を形成し、
−再熱炉中で該鋳塊化製品の穿孔のために再加熱し、
−該鋳塊化製品を穿孔し、
−該穿孔化製品を延伸し、中空素管を形成し、
−該中空素管を仕上げ加工し、それらを継目無管に変形し、
−該継目無管を鍛造し、それらを鉄道車両用の継目無管から鍛造される車軸に変形すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記融解段階後、前記合金の化学組成の調整がなされ、カルシウム−ケイ素による冶金処理が行われるポット炉中での第2精錬段階を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
それが前記第2精錬段階後に真空脱気段階を含む
ことを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記鋳造段階が電磁攪拌下で行われることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記鋳造段階後、前記鋳塊化製品が、1〜48時間の間にわたり880℃〜1300℃の温度で補助再加熱段階を受けることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記補助再加熱段階後、圧延段階を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳塊化製品穿孔用の前記再加熱段階が1000℃〜1300℃間の温度で再熱炉中において行われることを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記中空素管を820℃〜980℃間で再加熱する段階が該中空素管を仕上げ加工する段階の前で行われることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記仕上げ加工段階後、前記継目無管が冷却床にさらされることを特徴とする、請求項9〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が焼きならされ、そこでそれらが少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、それらが空気冷却にさらされることを特徴とする、請求項9〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が焼き入れされ、そこで該継目無管が少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、該車軸管の焼き戻しが水および油から選択される媒体により行われることを特徴とする、請求項9〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記継目無管が再熱炉中で焼き戻され、そこでそれらが少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度に保持され、次に、それらが空気冷却にさらされることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が熱間歪み矯正され、続いて冷却床に送られることを特徴とする、請求項9〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記鍛造段階前に、寸法および表面不連続点に対する非破壊試験により前記管を検査する段階を含むことを特徴とする、請求項9〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記検査段階後に、前記継目無管の内面全体を機械加工することを含む仕上げ加工段階を含むことを特徴とする、請求項9〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記機械加工後に、前記継目無管の前記内面の研磨が行われることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記機械加工後に、前記継目無管の前記内面の艶出しが行われることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記鍛造段階前に、据え込み加工段階が行われ、そこでは、前記継目無管(11)が、該厚さを増大させる領域において800℃〜1300℃間に加熱され、次に、縦の圧縮力が、据え込み工具(12)を前進させることにより該継目無管(11)の軸方向にかけられることを特徴とする、請求項9〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記鍛造段階が、コンピュータ支援数値制御により統御することができる、半径方向に振動し可変コースを有する少なくとも二つの開放マトリクス(14)、補助軸方向据え込み工具(15)、および前記継目無管(13)の並進および回転用のハンドラーによって、800℃〜1300℃の範囲にある温度で行われることを特徴とする、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記鍛造段階が、前記管の少なくとも一つの端部(13)を軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小し、それを鍛造された車軸に変形するマトリクス(16)によって、室温〜1300℃の温度範囲において行われることを特徴とする、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記鍛造が熱間製である場合、本方法が、さらに、該冷却が以下の媒体:空気、強制空気、水および油から選択される媒体中で行われる、該鍛造後の冷却段階を含むことを特徴とする、請求項9〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで加熱するための加熱炉、および空気冷却を用いて、前記車軸管の少なくとも一部を焼きならしする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
オーステナイト化のため、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで加熱するための加熱炉、および焼き入れのため水中での急速冷却を用いることにより、前記車軸管の少なくとも一部を焼き入れする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度まで再加熱するための加熱炉および空気冷却を用いることにより、前記車軸管の少なくとも一部を焼き戻しする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記仕上げ段階が、以下の段階:前記管の内面をショットピーニングすること、該管を歪み矯正すること、該管の両端での検査穴の内側機械加工、該管の検査穴の内径の縁での面取り部(7)を機械加工すること、および各端部での少なくとも二つのネジ込み穴および平らな窪み穴(6)を機械加工することの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項9〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記仕上げ段階後に、前記鍛造車軸の少なくとも一部に適用される焼き入れおよび焼き戻しの熱処理段階を含むことを特徴とする、請求項9〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記仕上げ段階後に、前記鍛造車軸上の表面欠陥を検出するための非破壊検査段階を含むことを特徴とする、請求項9〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
請求項9〜35のいずれかに定義される方法により製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の車軸。
【請求項1】
鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸であって、0.22〜0.42質量%の炭素、1.10〜1.70質量%のマンガンから構成される合金鋼材料を含み、該完成車軸が、最小耐力520MPa、最小引張強度750MPaおよび最小伸び率16%の特性を有することを特徴とする、車軸。
【請求項2】
前記合金材料が以下の元素:0.020質量%以下の硫黄、0.020質量%以下のリン、0.10〜0.45質量%のアルミニウム、0.10〜0.35質量%のケイ素、0.10〜0.30質量%のモリブデン、0.010〜0.050質量%のニオブ、および0.05〜0.27質量%のバナジウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の車軸。
【請求項3】
前記合金材料が0.022〜0.32質量%の炭素および1.10〜1.40質量%のマンガンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の車軸。
【請求項4】
前記合金材料が0.32〜0.42質量%の炭素および1.40〜1.70質量%のマンガンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の車軸。
【請求項5】
前記合金材料が0.010質量%以下のリンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車軸。
【請求項6】
前記合金材料が0.010質量%以下の硫黄を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車軸。
【請求項7】
最小の疲労限度120MPaを示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車軸。
【請求項8】
最小の疲労限度170MPaを示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車軸。
【請求項9】
鉄道車両用の継目無鋼管から鍛造される車軸を製造するための方法であって、以下の段階:
−合金材料を融解し、合金鋼材料を生成し、
−該溶融材料を鋳造し、鋳塊化製品を形成し、
−再熱炉中で該鋳塊化製品の穿孔のために再加熱し、
−該鋳塊化製品を穿孔し、
−該穿孔化製品を延伸し、中空素管を形成し、
−該中空素管を仕上げ加工し、それらを継目無管に変形し、
−該継目無管を鍛造し、それらを鉄道車両用の継目無管から鍛造される車軸に変形すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記融解段階後、前記合金の化学組成の調整がなされ、カルシウム−ケイ素による冶金処理が行われるポット炉中での第2精錬段階を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
それが前記第2精錬段階後に真空脱気段階を含む
ことを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記鋳造段階が電磁攪拌下で行われることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記鋳造段階後、前記鋳塊化製品が、1〜48時間の間にわたり880℃〜1300℃の温度で補助再加熱段階を受けることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記補助再加熱段階後、圧延段階を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳塊化製品穿孔用の前記再加熱段階が1000℃〜1300℃間の温度で再熱炉中において行われることを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記中空素管を820℃〜980℃間で再加熱する段階が該中空素管を仕上げ加工する段階の前で行われることを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記仕上げ加工段階後、前記継目無管が冷却床にさらされることを特徴とする、請求項9〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が焼きならされ、そこでそれらが少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、それらが空気冷却にさらされることを特徴とする、請求項9〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が焼き入れされ、そこで該継目無管が少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度に保持され、次に、該車軸管の焼き戻しが水および油から選択される媒体により行われることを特徴とする、請求項9〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記継目無管が再熱炉中で焼き戻され、そこでそれらが少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度に保持され、次に、それらが空気冷却にさらされることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記鍛造段階前に、前記継目無管が熱間歪み矯正され、続いて冷却床に送られることを特徴とする、請求項9〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記鍛造段階前に、寸法および表面不連続点に対する非破壊試験により前記管を検査する段階を含むことを特徴とする、請求項9〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記検査段階後に、前記継目無管の内面全体を機械加工することを含む仕上げ加工段階を含むことを特徴とする、請求項9〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記機械加工後に、前記継目無管の前記内面の研磨が行われることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記機械加工後に、前記継目無管の前記内面の艶出しが行われることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記鍛造段階前に、据え込み加工段階が行われ、そこでは、前記継目無管(11)が、該厚さを増大させる領域において800℃〜1300℃間に加熱され、次に、縦の圧縮力が、据え込み工具(12)を前進させることにより該継目無管(11)の軸方向にかけられることを特徴とする、請求項9〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記鍛造段階が、コンピュータ支援数値制御により統御することができる、半径方向に振動し可変コースを有する少なくとも二つの開放マトリクス(14)、補助軸方向据え込み工具(15)、および前記継目無管(13)の並進および回転用のハンドラーによって、800℃〜1300℃の範囲にある温度で行われることを特徴とする、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記鍛造段階が、前記管の少なくとも一つの端部(13)を軸方向および半径方向に圧縮し、その径を縮小し、それを鍛造された車軸に変形するマトリクス(16)によって、室温〜1300℃の温度範囲において行われることを特徴とする、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記鍛造が熱間製である場合、本方法が、さらに、該冷却が以下の媒体:空気、強制空気、水および油から選択される媒体中で行われる、該鍛造後の冷却段階を含むことを特徴とする、請求項9〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで加熱するための加熱炉、および空気冷却を用いて、前記車軸管の少なくとも一部を焼きならしする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
オーステナイト化のため、少なくとも10分間の均熱時間にわたり880℃〜950℃間の温度まで加熱するための加熱炉、および焼き入れのため水中での急速冷却を用いることにより、前記車軸管の少なくとも一部を焼き入れする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
少なくとも10分間の均熱時間にわたり400℃〜700℃間の温度まで再加熱するための加熱炉および空気冷却を用いることにより、前記車軸管の少なくとも一部を焼き戻しする段階を含むことを特徴とする、請求項9〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記仕上げ段階が、以下の段階:前記管の内面をショットピーニングすること、該管を歪み矯正すること、該管の両端での検査穴の内側機械加工、該管の検査穴の内径の縁での面取り部(7)を機械加工すること、および各端部での少なくとも二つのネジ込み穴および平らな窪み穴(6)を機械加工することの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項9〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記仕上げ段階後に、前記鍛造車軸の少なくとも一部に適用される焼き入れおよび焼き戻しの熱処理段階を含むことを特徴とする、請求項9〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記仕上げ段階後に、前記鍛造車軸上の表面欠陥を検出するための非破壊検査段階を含むことを特徴とする、請求項9〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
請求項9〜35のいずれかに定義される方法により製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の車軸。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−511214(P2011−511214A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535182(P2010−535182)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000362
【国際公開番号】WO2009/067773
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510151511)ベー アンド エミ ド ブラジル ソシエダッド アノニマ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000362
【国際公開番号】WO2009/067773
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510151511)ベー アンド エミ ド ブラジル ソシエダッド アノニマ (1)
【Fターム(参考)】
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