説明

銅配線用洗浄剤

【課題】銅配線の腐食抑制効果(銅腐食抑制効果)が優れ、かつ接触抵抗に影響を及ぼさない銅配線用洗浄剤を提供することを目的とする。
【解決手段】銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)を含有してなり、25℃でのpHが3〜14であり、かつ式(1)を満たしてなることを特徴とする銅配線用洗浄剤を用いる。

【数1】


{式中、Eは25℃での酸化還元電位(V、vsSHE)、pHは25℃でのpHを表す。}

また、上記の銅配線用洗浄剤を半導体基板又は半導体素子に連続的又は断続的に供給して、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を洗浄することを特徴とする半導体基板又は半導体素子の洗浄方法を用いる。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅配線用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造において、研磨工程等で銅配線に付着するパーティクル(研磨剤の無機微粒子等)を除去し、銅配線の腐食を抑制する銅配線用洗浄剤として、銅イオン及びベンゾトリアゾールを含有する水溶液が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平05−315331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の銅配線用洗浄剤は、銅配線の腐食抑制効果が不十分であるばかりか、洗浄後にベンゾトリアゾールを除去する工程が必要である。さらに、ベンゾトリアゾールを完全に除去することが困難であり、ベンゾトリアゾールが銅配線に残留するという問題がある。 銅配線にベンゾトリアゾールが残留すると、銅配線の接触抵抗が増大するため、特に、半導体の製造においては大きな問題となる。本発明は、銅配線の腐食抑制効果(銅腐食抑制効果)が優れ、かつ接触抵抗に影響を及ぼさない銅配線用洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の銅配線用洗浄剤の特徴は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)を含有してなり、25℃でのpHが3〜14であり、かつ式(1)を満たしてなることを要旨とする。

【数1】

{式中、Eは25℃での酸化還元電位(V、vsSHE)、pHは25℃でのpHを表す。}
また、本発明の半導体基板又は半導体素子の洗浄方法の特徴は、上記の銅配線用洗浄剤を、半導体基板又は半導体素子に連続的又は断続的に供給して、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を洗浄することを要旨とする。
また、本発明の半導体基板又は半導体素子の製造方法は、上記の洗浄方法により洗浄する工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の銅配線用洗浄剤は、銅配線の腐食抑制効果(銅腐食抑制効果)に優れ、かつ、接触抵抗に影響を及ぼさない。また、洗浄性に優れている。
また、本発明の半導体基板又は半導体素子の洗浄方法によると、銅配線の腐食がなく、接触抵抗に優れた半導体基板又は半導体素子が容易に得られる。
また、本発明の半導体基板又は半導体素子の製造方法によると、銅配線の腐食がなく、接触抵抗に優れた半導体基板又は半導体素子が容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、「・・・酸(塩)」とは、「・・・酸」及び「・・・酸塩」を意味する。塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、第4級アンモニウム塩及び金属塩が含まれる。
【0007】
アミン塩としては、炭素数1〜4{以下、「C1〜4」等と略する。}のアルキル基を持つアルキルアミン塩等が含まれる。
アルキルアミン塩としては、メチルアミン塩、エチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩及びモノブチルアミン塩等が含まれる。
第4級アンモニウム塩としては、C1〜4のアルキル基を持つテトラアルキルアンモニウム塩が含まれる。
テトラアルキルアンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩及びテトラエチルアンモニウム塩等が含まれる。
金属塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム及びマグネシウム等)塩及び重金属(鉄及び銅等)塩等が含まれる

【0008】
銅腐食抑制剤(RE)としては、水溶性還元剤(A)、錯化剤(B)及び第4級アンモニウムヒドロキシド(C)からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれる。
本発明において水溶性とは、25℃の水への溶解度が、水溶液100gあたり0.01g以上である性質をいう。
水溶性還元剤が水溶性であると、洗浄後に水溶性還元剤(A)が銅配線に残留しにくい。
【0009】
水溶性還元剤(A)の25℃の水への溶解度は、水溶液100gあたり0.01g以上、好ましくは1g以上である。この範囲であると洗浄後に水溶性還元剤(A)がさらに残留しにくい。
【0010】
なお、溶解度は、飽和水溶液に含まれる溶質の重量%であり、「第4版実験化学講座1基本操作I、編者:社団法人日本化学会、発行所:丸善株式会社、平成2年11月5日発行、151−158頁(3.7.5溶解度の測定)」に記載の方法で測定できる。溶解度は、公知文献{例えば、「化学便覧基礎編改訂4版、編者:社会法人日本化学会、発行所:丸善株式会社、平成5年9月30日発行、161−171頁(無機化合物の溶解度)、175−178頁(有機化合物の溶解度)」}に記載されているものを用いてもよい。
【0011】
水溶性還元剤(A)としては、有機還元剤(A1)及び無機還元剤(A2)が含まれる。
有機還元剤(A1)としては、脂肪族有機還元剤(A11)及び芳香族有機還元剤(A12)が含まれ、以下のものが例示できる。なお、以下に例示している水溶性還元剤(A)の溶解度は、0.01g以上である{溶解度が1g以上のものとしては、脂肪族有機還元剤(A11)、無機還元剤(A2)、芳香族アミン及びポリフェノールである。
溶解度が0.01g以上1g未満のものとしては、3−ヒドロキシフラボン、3−ヒドロキシフラバン、3−ヒドロキシフラバノン及びトコフェロールである。}。
【0012】
脂肪族有機還元剤(A11)としては、C6〜9のアスコルビン酸(塩)及びC1〜10の脂肪族アミン等が含まれる。
アスコルビン酸(塩)としては、L−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、5,6−アルキリデン−L−アスコルビン酸{5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸、5,6−(ブタン−2−イリデン)−L−アスコルビン酸及び5,6−(ペンタン−3−イリデン)−L−アスコルビン酸等}、L−アスコルビン酸−6−カルボン酸エステル{L−アスコルビン酸−6−酢酸エステル及びL−アスコルビン酸−6−プロパン酸エステル等}及びこれらの塩等が含まれる。
【0013】
脂肪族アミンとしては、C1〜6のアルキルアミン、C2〜6のアルカノールアミン、C2〜5のアルキレンジアミン及びポリ(n=2〜5)アルキレン(C2〜6)ポリ(n=3〜6)アミン等が含まれる。
【0014】
アルキルアミンとしては、C1〜6のモノアルキルアミン{メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン及びヘキシルアミン等}及びC2〜6のジアルキルアミン{ジメチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、ブチルメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルエチルアミン及びジイソプロピルアミン等}が含まれる。
【0015】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、 ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール及び2−(2−アミノエトキシ)エタノール等が含まれる。
【0016】
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等が含まれる。
【0017】
ポリ(n=2〜5)アルキレンポリ(n=3〜6)アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンヘプタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン及びペンタエチレンヘキサミン等が含まれる。
【0018】
芳香族有機還元剤(A12)としては、C6〜9の芳香族アミン及びC6〜30のフェノール化合物等が含まれる。
芳香族アミンとしては、p−フェニレンジアミン及びp−アミノフェノール等が含まれる。
【0019】
フェノール化合物としては、一価フェノール及びポリフェノールが含まれる。
一価フェノールとしては、3−ヒドロキシフラボン及びトコフェロール(α−、β−、γ−、δ−、ε−又はη−トコフェロール等)等が含まれる。
ポリフェノールとしては、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ナフトレゾルシノール、ピロガロール及びフロログルシノール等が含まれる。
【0020】
無機還元剤(A2)としては、亜硫酸(塩)及びチオ硫酸(塩)等が含まれる。
【0021】
水溶性還元剤(A)は、水溶液の酸化還元電位(E)を下げるという還元剤としての作用以外に、金属イオンに配位して錯体を形成するという錯化剤としての作用(錯化作用:complexing ability)を有するものが好ましい。錯化作用を有すると、銅腐食抑制効果が長時間持続する傾向がある。水溶性還元剤(A)が、アミノ基、ヒドロキシ基又はオキシド基(−O−)を含むと、錯化作用を発現する傾向が強い。なお、本発明では、錯化作用を有していても、水溶液の酸化還元電位(E)を下げるという還元剤としての作用を有していれば、錯化剤(B)とは分類せず、水溶性還元剤(A)として分類する。
【0022】
これらの水溶性還元剤(A)のうち、水溶性及び銅腐食抑制効果等の観点から、有機還元剤(A1)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族有機還元剤(A11)、特に好ましくはアスコルビン酸(塩)及びアルカノールアミンである。さらに、錯化作用の観点等から、L−アスコルビン酸(塩)、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンが好ましく、さらに好ましくはL−アスコルビン酸アミン塩、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン、特に好ましくはモノエタノールアミン及びトリエタノールアミンである。
【0023】
水溶性還元剤(A)を含有する場合、水溶性還元剤(A)の含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて0.001〜1が好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.1である。この範囲であると、後述する式(1)を満足し、銅腐食抑制効果がさらに優れる。
【0024】
本発明の銅配線用洗浄剤は、水溶性還元剤(A)を含有することが好ましく、(A)を含有すると、腐食抑制効果がさらに優れる。
【0025】
錯化剤(B)としては、C1〜6の芳香族又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)(B1)、C9〜23のヒドロキシ基及びカルボキシル基の少なくとも一方を有する複素環式化合物(B2)、C6〜14のポリ(n=2〜3)アミノポリ(n=2〜5)カルボン酸(塩)(B3)、C2〜4のポリ(n=2〜5)カルボン酸(塩)(B4)及び、C6〜9のホスホン酸(塩)(B5)等が含まれる。
芳香族又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)(B1)としては、グルコン酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)、乳酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(塩)等が挙げられる。
【0026】
ヒドロキシ基及びカルボキシル基の少なくとも一方を有する複素環式化合物(B2)としては、8−キノリノール、2−メチル−8−キノリノール、キノリンジオール、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、2−アミノ−4,6,7−プテリジントリオール、、ルテオリン{5,7,3’4’−テトラヒドロキシフラボン}、カルセイン{3,3’−ビス〔N,N−ビス(カルボキシメチル)アミノメチル〕フルオレセイン}、2,3−ヒドロキシピリジン及びエラグ酸等が含まれる。
【0027】
ポリ(n=2〜3)アミノポリ(n=2〜5)カルボン酸(塩)(B3)としては、エチレンジアミン四酢酸(塩)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(塩)、ニトリロトリ酢酸(塩)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(塩)及びN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸(塩)等が含まれる。
【0028】
ポリ(n=2〜5)カルボン酸(塩)(B4)としては、シュウ酸(塩)、マロン酸(塩)、コハク酸(塩)、グルタル酸(塩)、メチルマロン酸(塩)及び2−カルボキシ酪酸(塩)等が含まれる。
【0029】
ホスホン酸(B5)としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(塩)、エチレンジアミンジメチレンホスホン酸(塩)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(塩)及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(塩)等が含まれる。
【0030】
これらの錯化剤(B)のうち、銅腐食抑制効果及び導電性物質の除去性等の観点から、芳香族又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)(B1)、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の少なくとも一方を有する複素環式化合物(B2)及びポリカルボン酸(塩)(B4)が好ましく、さらに好ましくは(B1)及び(B4)、特に好ましくは(B1)である。
【0031】
錯化剤(B)を含有する場合、この含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.8、特に好ましくは0.02〜0.6である。この範囲であると、後述する式(1)を満足し、銅腐食抑制効果及び洗浄性{不純物(金属イオン及び金属酸化物等)を洗浄する特性}がさらに優れる。
【0032】
本発明の銅配線用洗浄剤には、錯化剤(B)を含有することが好ましく、(B)を含有すると、銅の表面に不純物{金属イオン及び金属酸化物等}が存在するような腐食環境であっても、不純物(導電性物質等)の除去性が優れるために腐食抑制効果が長時間持続する。
【0033】
第4級アンモニウムヒドロキシド(C)としては、C5〜17のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(C1)、C5〜17の(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド(C2)、C5〜17のビス(ヒドロキシアルキル)ジアルキルアンモニウムヒドロキシド(C3)及びC5〜17のトリス(ヒドロキシアルキル)アルキルアンモニウムヒドロキシド(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれる。これらのアルキル基又はヒドロキシアルキル基は、洗浄性等の観点から、C1〜4が好ましく、さらに好ましくはC1〜3、特に好ましくはC1〜2である。
【0034】
テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(C1)としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルモノエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルモノプロピルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルモノブチルアンモニウムヒドロキシド、モノエチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルモノプロピルアンモニウムヒドロキシド、モノエチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルモノブチルアンモニウムヒドロキシド、モノプロピルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ジプロピルジブチルアンモニウムヒドロキシド及びトリプロピルモノブチルアンモニウムヒドロキシド等が含まれる。
【0035】
(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド(C2)としては、コリン{(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド}、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)ジメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)メチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリブチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)メチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシプロピル)トリブチルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)ジメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)メチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(4−ヒドロキシブチル)トリブチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシブチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシブチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシブチル)ジメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシブチル)メチルジエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシブチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド及び(2−ヒドロキシブチル)トリブチルアンモニウムヒドロキシド等が含まれる。
【0036】
ビス(ヒドロキシアルキル)ジアルキルアンモニウムヒドロキシド(C3)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(4−ヒドロキシブチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(4−ヒドロキシブチル)ジエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(4−ヒドロキシブチル)メチルエチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシブチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシブチル)ジエチルアンモニウムヒドロキシド及びビス(2−ヒドロキシブチル)メチルエチルアンモニウムヒドロキシド等が含まれる。
【0037】
トリス(ヒドロキシアルキル)アルキルアンモニウムヒドロキシド(C4)としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)プロピルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)ブチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキプロピル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキプロピル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキプロピル)プロピルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキプロピル)ブチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(4−ヒドロキブチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(4−ヒドロキブチル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(4−ヒドロキブチル)プロピルアンモニウムヒドロキシド、トリス(4−ヒドロキブチル)ブチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキブチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキブチル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキブチル)プロピルアンモニウムヒドロキシド及びトリス(2−ヒドロキブチル)ブチルアンモニウムヒドロキシド等が含まれる。
【0038】
これらの第4級アンモニウムヒドロキシドのうち、洗浄性及び銅腐食抑制効果等の観点から、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(C1)及び(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド(C2)が好ましく、さらに好ましくは、(C1)、特に好ましくはTMAH及びTEAHである。
【0039】
第4級アンモニウムヒドロキシドを含有する場合、(C)の含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2.9、特に好ましくは0.5〜2、最も好ましくは0.5〜1である。この範囲であると、後述する式(1)を満足し、洗浄性及び銅腐食抑制効果がさらに優れる。
【0040】
銅腐食抑制剤のうち、銅腐食抑制効果及びこの効果の持続性の観点等から、水溶性還元剤(A)、錯化剤(B)及び第4級アンモニウムヒドロキシド(C)の組合せ;(A)及び(B)の組合せ;(A)及び(C)の組合せ;(B)及び(C)の組合せ;(A)だけ;並びに(C)だけが好ましく、さらに好ましくは(A)、(B)及び(C)の組合せ;(A)及び(C)の組合せ;(B)及び(C)の組合せ;(A)だけ;並びに(C)だけ、特に好ましくは、(A)、(B)及び(C)の組合せ;(A)及び(C)の組合せ;(B)及び(C)の組合せ;並びに(A)だけ、次に好ましくは(B)及び(C)の組合せ;及び(A)だけ、最も好ましくは(B)及び(C)の組合せである。また、(B)は単独で使用するよりも、(A)及び/又は(C)と併用するのが好ましい。
【0041】
銅腐食抑制剤(RE)の含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.001〜11が好ましく、さらに好ましくは0.005〜4、特に好ましくは0.01〜2.7である。この範囲であると、後述する式(1)を満足し、銅腐食抑制効果がさらに優れる。
【0042】
水(W)としては、特に限定されない。水(W)の電気伝導率(μS/cm;25℃)は、0.055〜1が好ましく、さらに好ましくは0.056〜0.1、特に好ましくは0.057〜0.08である。この範囲であると、洗浄性がさらに優れる。このような電気伝導率が小さい水としては、イオン交換水等が使用できる。
電気伝導率は、JIS K0400−13−10:1999に準拠して測定される。
【0043】
水(W)の含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて、89〜99.999が好ましく、さらに好ましくは96.0〜99.995、特に好ましくは97.3〜99.99である。この範囲であると、銅の腐食を抑制する効果(銅腐食抑制効果)がさらに優れる。
【0044】
本発明の銅配線用洗浄剤のpH(25℃)が3〜14であると優れた洗浄性を発揮する。しかし、pHを14程度にすると製造コストが高くなる傾向がある。したがって、本発明の洗浄剤のpHは、洗浄性及び製造コスト等の観点から、3〜13が好ましく、さらに好ましくは7〜12、特に好ましくは8〜11である。
【0045】
pHは、銅配線用洗浄剤を希釈せずに、JIS K0400−12−10:2000に準拠して、測定される。
【0046】
本発明の銅配線用洗浄剤は、式(1)を満たす。銅腐食抑制効果及び製造コスト等の観点から、式(2)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(3)を満たすこと、特に好ましくは式(4)を満たすこと、最も好ましくは式(5)を満たすことである。

【数2】

【0047】
本発明において、銅配線用洗浄剤の酸化還元電位(E)は、下記のような公知の方法で測定できる。なお、酸化還元電位は、銅配線用洗浄剤を希釈せずに測定する。
<酸化還元電位の測定方法>
白金電極及び参照電極(塩化銀電極)で構成される酸化還元電位(ORP)複合電極{例えば、型番:PST−5421C、東亜ディーケーケー株式会社}を用いて、25℃の銅配線用洗浄剤の電位値(V1)を測定する。銅配線用洗浄剤の酸化還元電位(V、vsSHE)は、電位値(V1)に参照電極(塩化銀電極)の単極電位差(0.206V、25℃)を加えることにより求められる。例えば、電位値(V1)が−0.1Vの場合、酸化還元電位(V、vsSHE)は−0.1+0.206=+0.106Vである。
【0048】
銅配線用洗浄剤が式(1)の関係を満たすと、銅の腐食抑制効果(銅腐食抑制効果)が優れる。これは、銅表面に酸化第一銅(Cu2O)の層を形成するためと推定される。この推定は、[M.Pourbaix,「Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions」、1975年、NACE発行、第387頁]に記載の「水中での銅のpH−酸化還元電位図」に示されている酸化第一銅の安定領域等から示唆される。ここで、酸化第一銅の安定領域とは、銅及び酸化第二銅から酸化第一銅が生成する傾向がある領域である。酸化第一銅の安定領域では、銅配線表面が銅又は酸化第二銅の場合は酸化第一銅に変化し、酸化第一銅の場合は酸化第一銅のままで存在する。
【0049】
酸化第一銅の安定領域についてさらに説明する。
酸化第一銅(Cu2O)の水中での酸化還元反応は、例えば、式(6)〜式(7)で表される。以下、E0は標準酸化還元電位である。

【化1】

式(6)〜式(7)は、水中では、酸化還元電位が銅、酸化第一銅及び酸化第二銅の間での平衡反応を制御する一つの要因となり得ることを示唆している。
【0050】
しかし、式(6)〜式(7)は平衡反応であるから、酸化還元電位だけでなく、水素イオン濃度(pH)の影響も受けることが推定される。例えば、[M.Pourbaix,「Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions」、1975年、NACE発行、第387頁]に記載の「水中での銅のpH−酸化還元電位図」によれば、pHが3未満では酸化第一銅の安定領域は存在しないことが示唆されている。
【0051】
したがって、酸化第一銅の安定領域を特定するには、銅、酸化第一銅及び酸化第二銅の酸化還元反応、並びにpHを考慮しなければならない。
そして、本発明者は、上記式のように酸化還元電位及びpHをある範囲に特定することによって銅、酸化第一銅及び酸化第二銅の平衡反応を制御し、銅及び酸化第二銅から酸化第一銅を生成する領域(酸化第一銅の安定領域)を特定できると考え、鋭意検討した。その結果、式(6)〜式(7)に加えて、さらに式(8)で表されるネルンストの式を考慮することで、酸化第一銅の安定領域の境界を、理論的に数式{式(9)及び式(10)}で近似できることを見出した。

【数3】

{式中、Eは酸化還元電位(V)、E0は標準酸化還元電位(V)、Rは気体定数=8.314J/(mol・K)、Tは温度(K)、nは反応に関与する電子数、Fはファラデー定数=96,485C/mol、Aredは還元体の活量、Aoxは酸化体の活量を意味する。}
【0052】
すなわち、理論的には、金属銅安定領域(酸化第一銅及び酸化第二銅から銅が生成する領域)と酸化第一銅安定領域との境界は式(9)で、酸化第一銅安定領域と酸化第二銅安定領域(銅及び酸化第一銅から酸化第二銅が生成する領域)との境界は式(10)で、それぞれ近似できる。

【数4】

【0053】
式(9)及び(10)は、次の計算により導くことができる。
式(6)の反応式を式(8)に適用すると、式(6−1)が得られる。

【数5】

ここで、固体および水の活量を1と近似して数式を整理すると、式(6−2)が得られる。

【数6】

さらに、水のイオン積[H+][OH-]=10-14(mol2/l2)、及びpH=−log[H+]の関係を用いると、log[OH-]=pH−14で表すことができ、式(9)が得られる。
式(7)の反応式を式(8)に適用すると、同様にして、式(10)を得ることができる。
【0054】
したがって、理論的には、酸化第一銅安定領域は、式(9)及び式(10)で表される境界で挟まれた範囲、すなわち、式(11)で表されると推定される。

【数7】

【0055】
そして、本発明者は、この理論的に導かれた近似式である式(11)が、実際の銅腐食抑制効果を有する領域と一致するかを検討した。その結果、金属銅安定領域と酸化第一銅安定領域との境界値は理論値とほぼ一致(理論値:0.46、実験値:0.49)するものの、酸化第一銅安定領域と酸化第二銅安定領域との境界値は大きく異なる(理論値:0.61、実験値:0.93)ことを見出した。
【0056】
すなわち、本発明者は、銅配線用洗浄剤としては、pHが3〜14であり、かつ、式(1)を満たすものが優れた銅腐食抑制効果を有することを見出した。

【数8】

一方、{E+(0.059×pH)}の値を0.49程度まで小さくするためには、銅腐食抑制剤(RE)の含有量が増加する傾向があり、コストが増加する傾向がある。したがって、経済性等の観点からは、{E+(0.059×pH)}の値は0.73〜0.93{式(2)〜式(5)}が好ましい。
【0057】
すなわち、式(1)の関係を満たすと、銅配線表面に安定な酸化第一銅の層が形成され、一般的な半導体基板又は半導体素子の洗浄時間(1分程度)では、実質的に酸化第一銅が洗浄剤中へ溶解しないため、優れた腐食抑制効果(銅腐食抑制効果)を奏する。
【0058】
したがって、本発明の銅配線用洗浄剤と従来の銅配線用洗浄剤とは、銅腐食抑制効果のメカニズムが全く相違する。すなわち、本発明の銅配線用洗浄剤は銅配線表面に形成される酸化第一銅層によって腐食抑制効果を発揮するのに対して、従来の銅配線用洗浄剤は平衡反応{銅と酸化第二銅の平衡反応(特許文献1の0010〜0014段落)}の制御によって金属銅の溶解を抑制し、さらにベンゾトリアゾール層の形成によって銅腐食抑制効果を発揮する点で相違する。
【0059】
本発明において、銅腐食抑制効果とは、(I)銅の腐食により銅が溶解しない、及び(II)溶解した銅イオンが析出して金属銅を形成しない、という効果である。前者の効果(I)は銅配線の断裂を抑制し、後者の効果(II)は銅配線の短絡を抑制する。
前者の効果(I)を得るためには、銅配線表面に溶解速度の速い酸化第二銅を生成しにくい[{E+(0.059×pH)}≦0.93を満たす]ことが好ましく、後者の効果(II)を得るためには、溶解した銅イオンが金属銅として析出しないこと、すなわち金属銅を生成しにくい[0.49≦{E+(0.059×pH)}を満たす]ことが好ましい。したがって、式(1)の関係を満たすと、銅配線の欠陥(銅配線が溶解することによる配線の断裂、及び溶解した銅が析出することで生じる銅配線の短絡等)が生じることがなく、優れた電気特性の半導体基板又は半導体素子を製造できる。
【0060】
なお、酸化第一銅及び酸化第二銅は、配位子(例えば、還元剤及び錯化剤)によって、錯イオンとなることがなければ、水にはほとんど溶解しない。したがって、洗浄工程終了後に酸化第一銅が空気等により酸化されて酸化第二銅になったとしても、後工程(例えば、純水による洗浄工程等)で銅配線が腐食されることはない。
【0061】
本発明により銅配線の表面に形成される酸化第一銅は、(洗浄工程後の工程で酸化第二銅に酸化されたとしても)半導体基板又は半導体素子の製造において、通常行われる還元アニール工程により金属銅に再生することが可能である。
すなわち、本発明の銅配線用洗浄剤を使用すると、洗浄工程において一時的に金属銅が電気特性が劣る酸化第一銅に酸化されたとしても、最終的には酸化第一銅が金属銅に再生されるため、優れた電気特性の半導体基板又は半導体素子を製造できる。
【0062】
{E+(0.059×pH)}の値は、銅腐食抑制剤(RE)の種類及び含有量等により調整することができる。水だけの場合、{E+(0.059×pH)}が0.93を超えるが(イオン交換水の場合、酸素濃度等によっても変わり得るが、約0.95である。)、水だけの場合に対して、銅腐食抑制剤(RE)の含有量(重量%)を増やしていくと、{E+(0.059×pH)}が低下する傾向がある(図1参照)。
【0063】
銅配線用洗浄剤のpHは、銅腐食抑制剤(RE)の種類及び含有量等によっても変化し得るが、pH調整剤(P)等で調整してもよい。
pH調整剤(P)としては、酸及び塩基が含まれる。酸と塩基のどちらを使用するかは、調整するpH等により決めることができる。なお、酸及び塩基が錯化剤(B)又は第4級アンモニウムヒドロキシド(C)にも該当する場合、本発明においては、これらは(B)又は(C)に分類する。
酸としては、無機酸及び有機酸が含まれる。
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、酢酸及びリン酸等が含まれる。
有機酸としては、C2〜10、例えば酢酸、プロパン酸、ブタン酸及び安息香酸等が含まれる。
これらのうち、水溶性及び経済性等の観点から、無機酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸、塩酸及び硝酸、特に好ましくは硫酸である。
【0064】
塩基としては、アンモニア及びC1〜4のアルキルアミン等が含まれる。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びモノブチルアミン等が含まれる。
これらのうち、臭気等の観点から、アルキルアミンが好ましい。
【0065】
pH調整剤(P)は、必要により、水で希釈したものを用いることができる。希釈する場合、pH調整剤の濃度(モル/リットル)は、目的とするpH等により適宜調整すればよいが、pHの調整のし易さ等の観点から、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7、特に好ましくは0.1〜5である。
【0066】
本発明の銅配線用洗浄剤は、銅腐食抑制剤(RE)、水(W)及びpH調整剤(P)以外に、洗浄性の観点から、さらに必要により界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(「界面活性剤 物性・性能要覧、株式会社技術情報協会、2003年5月29日発行」又は「新・界面活性剤入門、三洋化成工業株式会社、1996年10月発行」等に記載のもの等)が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が含まれる。
【0067】
界面活性剤のうち、半導体の電気特性に悪影響を及ぼさないという観点等から、非イオン界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤である。
【0068】
界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量(重量%)は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.02〜5、特に好ましくは0.05〜3、最も好ましくは、0.1〜1である。この範囲であると、洗浄性(パーティクルの除去性)がさらに優れる。
【0069】
本発明の銅配線用洗浄剤は、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)、並びに必要により界面活性剤を均一混合した後、さらに必要によりpH調整剤(P)でpHを調整する方法等により製造できる。
【0070】
銅腐食抑制剤(RE)、pH調整剤(P)及び界面活性剤は、それぞれ、水溶液としてから混合してもよい。銅腐食抑制剤(RE)、pH調整剤(P)及び界面活性剤が水溶液の場合、水溶液中の水は、水(W)の一部となる。
【0071】
銅腐食抑制剤(RE)として、水溶性還元剤(A)と、錯化剤(B)及び/又は第4級アンモニウムヒドロキシド(C)を含む場合、銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)、並びに必要により界面活性剤等を混合する方法としては、特に限定されないが、容易かつ短時間で均一に混合できるという観点等から、水(W)及び水溶性還元剤(A)を混合し、さらに錯化剤(B)及び/又は第4級アンモニウムヒドロキシド(C)並びに必要により界面活性剤を混合した後、必要によりpH調整剤(P)を混合する方法が好ましい。このとき、錯化剤(B)、第4級アンモニウムヒドロキシド(C)又は界面活性剤が水溶液であると、さらに混合性が優れる。
均一混合する際の温度及び時間には制限はなく、製造する規模や設備等に応じて適宜決めることができ、例えば、製造規模が数kg程度の場合、5〜40℃で0.1〜5時間程度が好ましい。
【0072】
混合装置としては、撹拌機又は分散機等が使用できる。
撹拌機としては、メカニカルスターラー及びマグネチックスターラー等が含まれる。
分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル及びビーズミル等が含まれる。
【0073】
本発明の銅配線用洗浄剤は、半導体基板又は半導体素子の洗浄方法において、未実装の半導体基板又は半導体素子に、連続的又は断続的に供給して、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を洗浄する洗浄方法に使用することができる。このような洗浄方法は、例えば、水平に置かれた円形の半導体基板又は半導体素子を、半導体基板又は半導体素子の中心を軸として回転させながら、半導体基板又は半導体素子の上下を、回転するロール状ブラシで水平に挟み込み、さらにブラシと半導体基板又は半導体素子の接触面に本発明の銅配線用洗浄剤を注入しながら、所定の時間(1分間程度)洗浄する洗浄工程が挙げられる。
半導体基板又は半導体素子の洗浄方法としては、レジスト現像後、ドライエッチング後、ウェットエッチング後、ドライアッシング後、レジスト剥離後、CMP処理前後及びCVD処理前後等の洗浄工程が含まれる。
そして、本発明の銅配線用洗浄剤は、半導体基板又は半導体素子の製造方法において、上記の洗浄方法により半導体基板又は半導体素子を洗浄する工程を含む製造方法に適している。
【実施例】
【0074】
以下において、特記しない限り、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を表す。
pHはpHメータ(型番:HM−30V、東亜電波工業株式会社)を用いて、前記の方法により測定した。
酸化還元電位は、酸化還元電位(ORP)複合電極{型番:PST−5421C、東亜ディーケーケー株式会社、白金電極及び参照電極(塩化銀電極)で構成される}を用いて、前記の方法により測定した。
イオン交換水は、電気伝導率0.06μS/cmのものを使用した。
【0075】
<実施例1>
ポリエチレン製容器にイオン交換水100部を入れ、さらにL−アスコルビン酸(商品名:L(+)−アスコルビン酸、純度99.5%、ナカライテスク株式会社)(a111)0.01部を投入した後、25℃でマグネチックスターラーにより5分間撹拌し、L−アスコルビン酸を完全に溶解させ、本発明の銅配線用洗浄剤(1)を得た。この銅配線用洗浄剤(1)のpHは3.3で、酸化還元電位は+0.63Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.82であった。
【0076】
<実施例2>
ポリエチレン製容器にイオン交換水100部を入れ、L−アスコルビン酸(a111)0.005部を投入した後、さらに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液(多摩化学工業株式会社、モル濃度:2.75モル/リットル)0.23部を投入した後、25℃でマグネチックスターラーにより5分間撹拌し、これらを均一溶解させ、本発明の銅配線用洗浄剤(2)を得た。この銅配線用洗浄剤(2)のpHは8で、酸化還元電位は+0.42Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.89であった。
【0077】
<実施例3>
ポリエチレン製容器にイオン交換水100部を入れ、さらにL−アスコルビン酸(a111)0.003部を投入した後、さらに3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(ダイトーケミックス株式会社)(b11)0.1部を投入し、さらに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液0.66部を投入した後、25℃でマグネチックスターラーにより5分間撹拌し、これらを均一溶解させ、本発明の銅配線用洗浄剤(3)を得た。この銅配線用洗浄剤(3)のpHは11で、酸化還元電位は+0.24Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.91であった。
【0078】
<実施例4>
25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.23部から0.47部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(4)を得た。この銅配線用洗浄剤(4)のpHは11で、酸化還元電位は+0.28Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.93であった。
【0079】
<実施例5>
L−アスコルビン酸(a111)の量を0.005部から0.1部に代え、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.25部から4部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(5)を得た。この銅配線用洗浄剤(5)のpHは11で、酸化還元電位は+0.08Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.73であった。
【0080】
<実施例6>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部をモノエタノールアミン(純度98%、和光純薬工業株式会社)(a112)0.033部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(6)を得た。この銅配線用洗浄剤(6)のpHは10.9で、酸化還元電位は+0.25Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.89であった。
【0081】
<実施例7>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部をトリエタノールアミン(純度97%、和光純薬工業株式会社)(a113)0.08部に代えた以外、実施例1と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(7)を得た。この銅配線用洗浄剤(7)のpHは8.5で、酸化還元電位は+0.35Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.85であった。
【0082】
<実施例8>
ポリエチレン製容器にイオン交換水99部を入れ、さらにL−アスコルビン酸(a111)1部を投入した後、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(ダイトーケミックス株式会社)(b11)0.02部、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(c11)2.1部を投入し、さらにポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤(商品名:サンノニックSS−90、三洋化成工業社製)0.1部を投入した後、25℃でマグネチックスターラーにより5分間撹拌し、これらを均一溶解させ、本発明の銅配線用洗浄剤(8)を得た。この銅配線用洗浄剤(8)のpHは7で、酸化還元電位は+0.34Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.75であった。
【0083】
<実施例9>
L−アスコルビン酸(a111)の量を0.01部から0.001部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(9)を得た。この銅配線用洗浄剤(9)のpHは4.0で、酸化還元電位は+0.68Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.92であった。
【0084】
<実施例10>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部をモノエタノールアミン(a112)0.15部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(10)を得た。この銅配線用洗浄剤(10)のpHは12.0で、酸化還元電位は+0.09Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.80であった。
【0085】
<実施例11>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部をモノエタノールアミン(a112)0.3部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(11)を得た。この銅配線用洗浄剤(11)のpHは12.6で、酸化還元電位は+0.08Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.82であった。
【0086】
<実施例12>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部を亜硫酸アンモニウム(a21)0.005部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(12)を得た。この銅配線用洗浄剤(12)のpHは9.1で、酸化還元電位は0.24Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.78であった。
【0087】
<実施例13>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部をヒドロキノン(a121)0.005部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(13)を得た。この銅配線用洗浄剤(13)のpHは9.0で、酸化還元電位は+0.27Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.80であった。
【0088】
<実施例14>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部を25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液3.5部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(14)を得た。この銅配線用洗浄剤(14)のpHは12.7で、酸化還元電位は+0.14Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.89であった。
【0089】
<実施例15>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部を25%(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(c21)水溶液3.5部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(15)を得た。この銅配線用洗浄剤(15)のpHは12.6で、酸化還元電位は+0.16Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.90であった。
【0090】
<実施例16>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部を25%ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド(c31)水溶液3.5部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(16)を得た。この銅配線用洗浄剤(16)のpHは12.6で、酸化還元電位は+0.17Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.91であった。
【0091】
<実施例17>
L−アスコルビン酸(a111)0.01部を25%トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド(c41)水溶液3.5部に代えた以外、実施例1と同様にして、本発明の銅配線用洗浄剤(17)を得た。この銅配線用洗浄剤(17)のpHは12.6で、酸化還元電位は+0.17Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.91であった。
【0092】
<実施例18>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部をクエン酸(b12)0.1部に代え、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.25部から3.2部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(18)を得た。この銅配線用洗浄剤(18)のpHは12.5で、酸化還元電位は+0.11Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.85であった。
【0093】
<実施例19>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部を乳酸(b13)1部に代え、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.25部から3.2部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(19)を得た。この銅配線用洗浄剤(19)のpHは11.0で、酸化還元電位は+0.26Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.91であった。
【0094】
<実施例20>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部をクエン酸(b12)0.8部に代え、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.25部から3.2部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(20)を得た。この銅配線用洗浄剤(20)のpHは11.3で、酸化還元電位は+0.24Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.91であった。
【0095】
<実施例21>
L−アスコルビン酸(a111)0.005部をクエン酸(b12)0.6部に代え、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液の量を0.25部から3.2部に代えた以外、実施例2と同様にして本発明の銅配線用洗浄剤(21)を得た。この銅配線用洗浄剤(21)のpHは11.5で、酸化還元電位は+0.22Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.90であった。
【0096】
<比較例1>
ポリエチレン製容器にイオン交換水100部を入れ、さらにベンゾトリアゾール(商品名:1,2,3−ベンゾトリアゾール、純度99%、ナカライテスク株式会社)0.1部及び酢酸第二銅一水和物(商品名:酢酸銅(II)一水和物、ナカライテスク株式会社)0.1部を投入した後、さらに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(c11)水溶液0.25部を投入した後、25℃でマグネチックスターラーにより5分間撹拌し、これらを均一溶解させ、比較用の銅配線用洗浄剤(H1)を得た。この銅配線用洗浄剤(H1)のpHは4.5で、酸化還元電位は+0.67Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.94であった。
【0097】
<比較例2>
L−アスコルビン酸(a111)の量を0.01部から0.1部に代えた以外、実施例1と同様にして、比較用の銅配線用洗浄剤(H2)を得た。この銅配線用洗浄剤(H2)のpHは2.3で、酸化還元電位は+0.57Vであり、式(1)の{E+(0.059×pH)}は0.71であった。
【0098】
<銅基板の洗浄及び腐食性評価>
本発明の銅配線用洗浄剤(1)〜(21)及び比較用の銅配線用洗浄剤(H1)〜(H2)を用いて、銅基板{ベアCu6インチウェハ(膜厚1.5μm:アドバンストマテリアルズテクノロジー社製)を縦1cm×横2cmにカットしたもの}を以下の条件で洗浄し、洗浄した銅基板の腐食性を評価した。その結果を表1〜2に示す。なお、市販の銅基板は、表面が一部酸化されて、酸化第一銅又は酸化第二銅となっている可能性があるため、洗浄剤で洗浄する前に、銅基板表面を清浄化(酸化銅の除去)している。
【0099】
<銅基板の洗浄>
(1)銅基板表面の清浄化
銅基板を10%酢酸水溶液中に10分間浸漬した後、取り出してメタノール50mlで銅基板に付着した酢酸水溶液を洗い流して、銅基板の表面を清浄にした(銅基板の表面に金属銅を露出させた)。
(2)銅基板の洗浄
銅配線用洗浄剤300gに、清浄化した銅基板の全体を浸漬し、3分間静置した。
(3)銅基板を銅配線用洗浄剤から取り出した後、イオン交換水50mlを用いて銅配線
用洗浄剤を洗い流して、洗浄済み銅基板(S)を得た。
以下の条件で洗浄済み銅基板(S)の腐食性及び表面組成を評価した。
【0100】
<腐食性評価>
(1)洗浄済み銅基板(S)を作成後、直ちにプローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、E−sweep)を用いて、中心線平均粗さ(RA1){Roughness Average;JIS B0601:2001の付属書2に準拠する}を測定した。
(2)(1)で測定したサンプルを、恒温恒湿器(株式会社東洋製作所製 AG−347、相対湿度80%、温度25℃)内で1週間放置した。(腐食処理)。
(3)腐食処理後の銅基板(S)の中心線平均粗さ(RA2)を(1)と同様にして測定した。但し、比較用の銅配線用洗浄剤(H1)で処理した銅基板(S)について、腐食処理後の中心線平均粗さ(RA2)は、腐食処理後、下記条件でベンゾトリアゾール層を除去してから測定した。中心線平均粗さが小さいほど腐食性が小さい(銅配線用洗浄剤の腐食抑制効果が優れる)ことを示している。
<ベンゾトリアゾール層除去条件>
アンモニア雰囲気とした電気炉で、600℃で60分間加熱処理した。なお、アンモニア雰囲気は還元雰囲気であり、この条件で酸化銅は金属銅へ還元される。したがって、ベンゾトリアゾール層除去後の銅表面は金属銅となる。
【0101】
<銅基板の表面組成分析(定性分析)>
洗浄直後の洗浄済み銅基板(S)(腐食処理はしていない)について、ESCA(ESCA−5400、ULBAC−PHI社製)を用いてCuLMMスペクトルを測定し、金属銅(Cu)、酸化第一銅(Cu2O)、酸化第二銅(CuO)の各ピーク{Cu、Cu2O、CuOのKinetic Energy(eV)は、それぞれ、Cu:918.7、Cu2O:916.2、CuO:918.1を用いた}の有無により、表面組成を評価した。
なお、Cu、Cu2O及びCuOのうち、洗浄直後の洗浄済み銅基板(S)表面に検出された物質を表1〜3に示す。表に記載のないものは検出されなかったことを意味し、実施例1〜21では酸化第一銅(Cu2O)のみ検出されたことを意味し、比較例1〜2ではCu及びCu2Oが検出されたことを意味する。
【0102】
【表1】

【0103】
本発明の銅配線用洗浄剤は、ベンゾトリアゾールを使用していないため、洗浄後にベンゾトリアゾールが残留することがなく、ベンゾトリアゾールを除去する工程が不要である。
さらに、本発明の銅配線用洗浄剤は中心線平均粗さ(RA1)及び中心線平均粗さ(RA2)が小さく、優れた銅腐食抑制効果を発揮した。これに対して、比較例用の銅配線用洗浄剤は中心線平均粗さ(RA1)又は中心線平均粗さ(RA2)が大きく、銅の腐食抑制効果が著しく低かった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の銅配線用洗浄剤は、ベンゾトリアゾールを除去する工程が不要であり、銅の腐食抑制効果が優れるため、本発明の銅配線用洗浄剤は、銅配線パターンを有する半導体基板又は半導体素子の製造用の洗浄剤として好適である。
さらに、本発明の銅配線用洗浄剤を使用して製造された半導体基板又は半導体素子は、電気特性が優れるため、コンピュータ、携帯電話、通信機器及び自動車等の半導体を使用する製品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】L−アスコルビン酸(実施例1,9,比較例2)又はモノエタノールアミン(実施例6,10,11)を用いた場合について、銅腐食抑制剤(RE)の量<横軸(対数軸)>と{E+(0.059×pH)}の値<縦軸>との関係を表したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅腐食抑制剤(RE)及び水(W)を含有してなり、25℃でのpHが3〜14であり、かつ式(1)を満たしてなることを特徴とする銅配線用洗浄剤。

【数1】


{式中、Eは25℃での酸化還元電位(V、vsSHE)、pHは25℃でのpHを表す。}
【請求項2】
銅腐食抑制剤(RE)が水溶性還元剤(A)、錯化剤(B)及び第4級アンモニウムヒドロキシド(C)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項3】
水溶性還元剤(A)の含有量(重量%)が、水溶性還元剤(A)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.001〜1である請求項2に記載の銅配線用洗浄剤。
【請求項4】
錯化剤(B)の含有量(重量%)が、錯化剤(B)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.01〜1である請求項2又は3に記載の銅配線用洗浄剤。
【請求項5】
第4級アンモニウムヒドロキシド(C)の含有量(重量%)が、第4級アンモニウムヒドロキシド(C)及び水(W)の合計重量に基づいて、0.1〜9である請求項2〜4のいずれかに記載の銅配線用洗浄剤。
【請求項6】
(B)及び(C)を必須成分とする請求項2〜5のいずれかに記載の銅配線用洗浄剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の銅配線用洗浄剤を、半導体基板又は半導体素子に連続的又は断続的に供給して、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を洗浄することを特徴とする、半導体基板又は半導体素子の洗浄方法。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄方法により洗浄する工程を含むことを特徴とする半導体基板又は半導体素子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−291505(P2007−291505A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72247(P2007−72247)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】