説明

防振装置

【課題】耐荷重性及び耐久性の向上を図るとともに、防振・緩衝性能を長期に亘って維持できる防振装置を提供する。
【解決手段】本体ゴム31における上端面には、フランジ部22の内側でストッパゴム32のストッパ面36よりも上方に突出する先行突部35が設けられるとともに、本体ゴム31の下端縁は、上下方向に沿う縦断面視で上方に向けて窪む凹曲面状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設機械や農業機械等のキャビンマウント等に適用される防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば建設機械や農業機械等においては、キャビンと車体とを防振装置により連結した構成が知られている。
【0003】
この防振装置としては、例えば特許文献1に示されるように、スタットボルトを介してキャビン側に連結される内側部材と、内側部材の外側を囲繞するとともに、車体側に連結されるフランジ部を有する筒状の外側部材と、外側部材と内側部材とを弾性的に連結するとともに、外側部材の一方側の開口を閉塞する弾性体と、外側部材の他方側の開放端を閉塞するダンパケースと、ダンパケースと弾性体との間に液体が封入された液室と、を備えている。また、上述した弾性体は、外側部材と内側部材との間に配設された本体ゴムと、フランジ部上に配設されてキャビン側に向けて突出するストッパゴムと、を有している。
このような防振装置では、外側部材の軸方向に沿う荷重が入力され、内側部材と外側部材とが本体ゴムを介して相対的に変位する際に、ストッパゴムがキャビンに当接することで、内側部材と外側部材との変位が規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3107321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、安全性のさらなる向上を目的として、キャビン重量の増加が図られており、これに伴いキャビンを支持する防振装置の耐荷重性及び耐久性の向上が求められている。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、荷重入力時にストッパゴムがキャビンに当接してストッパゴムが圧縮されると、ストッパゴムが内側及び外側に向けて膨出するように変形するため、ストッパゴムの剛性が低く、耐荷重性及び耐久性が低くなるという問題がある。すなわち、ストッパゴムが内側に向けて変形すると、外側部材の軸方向に沿う本体ゴムの弾性変形を小さく抑えることができない。その結果、ストッパゴムに圧縮方向への荷重が繰り返し入力されることで、本体ゴムのうち液室側の端面に亀裂が発生する虞がある。この場合には、防振・緩衝性能が低下し、乗り心地やキャビン内の騒音を悪化させてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、耐荷重性及び耐久性の向上を図るとともに、防振・緩衝性能を長期に亘って維持できる防振装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、振動発生部及び振動受部のうちの何れか一方に連結される内側部材と、前記振動発生部及び前記振動受部のうちの何れか他方に連結されるとともに、前記内側部材を径方向の外側から囲繞する筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とを連結する本体ゴムと、前記外側部材に、径方向の外側に向けて突設されたフランジ部と、前記フランジ部上に配設され、軸方向の一端側を向いて前記振動発生部及び前記振動受部のうちの何れか一方に当接または近接するストッパ面を有するストッパゴムと、を有する防振装置であって、前記本体ゴムにおける軸方向の一端面には、前記フランジ部の内側で前記ストッパゴムの前記ストッパ面よりも軸方向の一端側に突出する先行突部が設けられるとともに、前記本体ゴムの軸方向における他端は、軸方向に沿う縦断面視で軸方向の一端側に向けて窪む凹曲面状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の構成によれば、荷重入力時において、内側部材と外側部材とが本体ゴムを介して軸方向に沿って相対的に変位すると、まず先行突部が振動発生部及び振動受部のうち何れか一方に当接する。すると、先行突部が軸方向の他端側に向けて弾性変形するとともに、この変形に追従して本体ゴムにおける軸方向の他端面の少なくとも一部が軸方向の他端側に向けて膨出する。そのため、本体ゴムにおける軸方向の他端面の引張変形を抑制できる。その結果、本体ゴムの耐荷重性及び耐久性を向上させ、本体ゴムへの亀裂等の発生を抑制できるため、防振・緩衝性能を長期に亘って維持できる。
【0010】
また、本発明に係る防振装置は、前記ストッパゴムにおける内周面の軸方向全域が、前記本体ゴムにおける外周面に連設されていることを特徴とする。
本発明の構成によれば、ストッパゴムの内周面全域が本体ゴムの外周面に連設されているため、本体ゴムとストッパゴムとの間には、軸方向に窪む凹溝等による隙間は形成されない。そのため、ストッパゴム自体の径方向の内側への変形を規制することができ、ストッパゴムの剛性を高めることができる。その結果、本体ゴムの変形量を抑制して、本体ゴムの耐荷重性及び耐久性を確実に向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係る防振装置は、前記ストッパ面は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次軸方向一端側から他端側に向けて延びていることを特徴とする。
本発明の構成によれば、先行突部が振動発生部及び振動受部のうち何れか一方の被当接面に当接して、先行突部が軸方向の他端側に向けて弾性変形することで、ストッパゴムのストッパ面が径方向の内側に引っ張られるように弾性変形する。これにより、外側部材が振動発生部及び振動受部のうち何れか一方に接近するに従い、ストッパ面の内周部分が外周部分を支点にして軸方向の他端側に向けて弾性変形する。
この場合、本発明の構成のように、ストッパ面を、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次軸方向一端側から他端側に向けて延びる傾斜面に形成することで、ストッパ面を径方向に沿って平坦に形成した場合に比べて、ストッパ面と被当接面との当接時における被当接面に対するストッパ面の傾斜を抑えることができる。その結果、振動発生部及び振動受部のうち何れか一方の被当接面とストッパゴムとの接触面積を向上させ、耐荷重性及び耐久性を確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防振装置によれば、耐荷重性及び耐久性の向上を図るとともに、防振・緩衝性能を長期に亘って維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における防振装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】防振装置の作用を説明するための説明図である。
【図3】防振装置の作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
なお、本実施形態では、図1に示す符号Lは後述する外側部材6の中心軸線を示しており、以下、単に軸線Lと記す。そして、この軸線Lに沿う方向を単に軸方向、軸線Lに垂直な方向を径方向、軸線L回りの方向を周方向とする。また、図1における軸方向下側は、バウンド側、つまり防振装置1を設置した際に静荷重(初期荷重)が入力される方向とである。一方、図1における軸方向上側は、リバウンド側、つまり静荷重の入力方向の反対側である。以下の説明においては、上述したバウンド側を下側、リバウンド側を上側とする。
【0015】
図1に示すように、防振装置1は、例えば建設機械等において振動受部の一例であるキャビン2を、振動発生部の一例である車体3にマウントする、いわゆるキャビンマウントであり、車体3で発生する振動を減衰させる装置である。
具体的に、防振装置1は、キャビン2に連結される内側部材5と、車体3に連結されるとともに、内側部材5を径方向の外側から囲繞する筒状の外側部材6と、内側部材5と外側部材6とを弾性的に連結する弾性体7と、外側部材6を下方から覆うように配設されるとともに、弾性体7との間に液室8を形成するためのエンド部9と、を備えている。
【0016】
内側部材5は、上下方向に沿って延びる柱形状に形成され、その上端面における径方向の中央部には、下方に沿って延びるねじ孔11が穿設されている。そして、このねじ孔11内にはスタッドボルト12の下端部が螺着されている。スタッドボルト12は、その上端部が内側部材5の上端面よりも上方に向けて突出し、オペレータが搭乗するキャビン2のねじ孔13内に螺着されている。これにより、内側部材5の上端面にキャビン2の下面が当接した状態で、両者が連結されている。
【0017】
外側部材6は、上下方向両端がそれぞれ開放された筒部21と、筒部21の上端縁から径方向の外側に向けて張り出すフランジ部22と、を備えている。
まず、フランジ部22は、上面視で矩形状に形成され、その各角部に上下方向に沿って貫通する図示しない貫通孔が形成されている。そして、これら各貫通孔内にボルトが挿通されることで、外側部材6が車体3に連結されるようになっている。
【0018】
筒部21は、内側部材5の下側を囲繞する上側筒部23と、上側筒部23の下端縁から下方に向けて延在する下側筒部24と、を備えている。
下側筒部24は、内側部材5よりも下方に向けて突出している。具体的に、下側筒部24は、上側筒部23に比べて薄肉に形成されており、その上端部の内周面が上側筒部23の外周面にカシメまたは溶接で固定されている。したがって、上側筒部23の下端縁は、下側筒部24における径方向の内側で下方を向いた状態で配置されている。
【0019】
エンド部9は、外側部材6(下側筒部24)の下端開口部を閉塞する金属製の板材であって、その外周縁が下側筒部24の下端部にカシメ固定されている。また、エンド部9は、径方向の外側から内側に向かうに従い上方に向けて凸曲面状に膨出している。
【0020】
弾性体7は、外側部材6の上端開口部を閉塞する柱状の本体ゴム31と、本体ゴム31の上端部から径方向の外側に向けて連設されたストッパゴム32と、を有している。
本体ゴム31は、その内周面全域が内側部材5における外周面全域に加硫接着される一方で、外周面の下部が外側部材6における上側筒部23の内周面に加硫接着されている。本体ゴム31における下端部には、その外周縁から下方に向けて延在する薄肉円筒状の被覆体33が連設されている。被覆体33は、外周面が上側筒部23の下端縁、及び下側筒部24の内周面を径方向の内側から被覆するように加硫接着されている。
【0021】
そして、本体ゴム31と外側部材6とエンド部9とに囲まれた空間は、液体が封入された液室8を構成している。液室8内に封入される液体は、シリコンオイル等の高粘度の液体が好適に用いられている。なお、本実施形態では、液室8には空気も含まれている。
【0022】
本体ゴム31の下端縁は、上下方向に沿う縦断面視で上方に向けて凹曲面状に窪むアーチ部34となっている。アーチ部34は、内側部材5の下端縁よりも上方に向けて窪むとともに、内側部材5の下端部を囲繞するように周方向の全周に亘って形成されている。アーチ部34は、内側部材5の下端面とともに液室8の隔壁(上面)の一部を構成している。
【0023】
一方、本体ゴム31の上端部は、上述したフランジ部22よりも上方に向けて突出している。そして、本体ゴム31の上端縁からは、上下方向に沿う縦断面視で本体ゴム31、及びストッパゴム32の上端縁よりも上方に向けて凸曲面状に突出する先行突部35が形成されている。先行突部35は、内側部材5の上端部を径方向の外側から囲繞するように周方向の全周に亘って形成されている。また、先行突部35は、フランジ部22よりも径方向の内側に位置するとともに、その上端部が内側部材5の上端縁よりも下方に位置している。なお、先行突部35の容積は、アーチ部34の内側の容積よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0024】
ストッパゴム32は、本体ゴム31のうち、フランジ部22よりも上方に向けて突出した上端部から、径方向の外側に向かって一体的に連設された円環状に形成されている。そして、ストッパゴム32は、その下端縁が上述した上側筒部23の上端縁からフランジ部22の上面にかけて加硫接着されている。すなわち、ストッパゴム32は、上下方向においてキャビン2とフランジ部22との間に配置され、そのうち上面がキャビン2の下面(被等接面)に上下方向で対向してキャビン2に当接可能なストッパ面36を構成している。ストッパ面36は、径方向の内側から外側に向けて漸次下方に向けて延在する傾斜面に形成されている。
【0025】
一方、ストッパゴム32は、その内周面全域が本体ゴム31における上端部の外周面に連設されており、ストッパ面36から本体ゴム31の上端縁にかけて滑らかな連続面を形成している。したがって、本体ゴム31とストッパゴム32との間には、上下方向に窪む凹溝等による隙間は形成されていない。
【0026】
また、上述した内側部材5の下端面には、減衰板41が固定されている。減衰板41は、有頂筒状に形成され、その天板部42における径方向の中央部に下方からボルト43が挿通されることで、内側部材5の下端面に固定されている。天板部42は、外径が内側部材5の外径よりも大きく、外側部材6の内径よりも小さく形成されている。
天板部42の外周縁には、下方に向けて延在する周壁部44が形成されている。この周壁部44は、外側部材6(被覆体33)との間に径方向に隙間を空けた状態で配置されており、周壁部44と外側部材6との間の隙間は、液室8内のうち減衰板41に対して上側空間と下側空間とを連通させるオリフィス通路45を構成している。そして、減衰板41は、内側部材5の上下動に応じて液室8内を上下動可能に構成されている。なお、静荷重入力時において、減衰板41の天板部42は、被覆体33を間に挟んだ状態で上側筒部23の下端縁に当接している。
【0027】
次に、上述した防振装置1の作用について説明する。
例えば、走行中や作業中の衝撃によって車体3側から防振装置1に上下方向に沿った荷重が入力されると、本体ゴム31が上下方向に沿って弾性変形するとともに、内側部材5と外側部材6とが上下方向に相対的に変位する。すると、内側部材5の変位に応じて減衰板41が液室8内を上下方向に沿って移動する。これにより、液室8内の液体はオリフィス通路45を通して減衰板41の上側空間と下側空間との間を往来することで、液室8内が攪拌され、その攪拌により車体3からの振動が減衰される。
【0028】
ここで、車体3側から防振装置1に荷重が入力され、内側部材5と外側部材6とが相対的に変位すると、図2に示すように、外側部材6がキャビン2の下面に接近する。すると、弾性体7のうち、まず先行突部35がキャビン2の下面に当接する。その後、図3に示すように、外側部材6がさらにキャビン2に接近することで、先行突部35が下方に向けて弾性変形するとともに、この変形に追従して本体ゴム31の下端縁の少なくとも一部(例えば、アーチ部34のうち、先行突部35と径方向で重なる部分(アーチ部34の内側部材5寄りの部分))が下方に向けて膨出する。
【0029】
また、先行突部35が下方に向けて弾性変形することで、ストッパゴム32のストッパ面36が径方向の内側に引っ張られるように弾性変形する。これにより、外側部材6がキャビン2の下面に接近するに従い、ストッパ面36の内周部分が外周部分を起点にして下方に向けて弾性変形する。
その結果、本体ゴム31の上端縁とストッパゴム32のストッパ面36とが径方向に沿って平坦となり、この平坦となった本体ゴム31の上端縁及びストッパゴム32のストッパ面36全体に、キャビン2の下面が当接することになる。これにより、本体ゴム31とストッパゴム32とが同時に圧縮され、内側部材5に対する外側部材6の相対移動が規制される。
【0030】
このように、本実施形態では、本体ゴム31の上端縁に、フランジ部22の内側でストッパゴム32のストッパ面36よりも上方に向けて突出する先行突部35を設けるとともに、本体ゴム31の下端縁に、上下方向に沿う縦断面視で上方に向けて窪むアーチ部34を形成する構成とした。
この構成によれば、荷重が入力された際に、先行突部35が下方に向けて弾性変形するとともに、この変形に追従して本体ゴム31の下端縁が下方に向けて膨出することで、本体ゴム31の下端縁における引張変形を抑制できる。その結果、耐荷重性及び耐久性を向上させ、本体ゴム31への亀裂等の発生を抑制できるため、防振・緩衝性能を長期に亘って維持できる。
さらに、本体ゴム31の下端縁が下方に向けて膨出することで、液室8内の液体を流動させ易くなり、防振・緩衝性能の向上も図ることができる。
【0031】
また、ストッパゴム32の内周面全域が本体ゴム31の外周面に連設されているため、本体ゴム31とストッパゴム32との間には、上下方向に窪む凹溝等による隙間は形成されない。そのため、ストッパゴム32自体の径方向の内側への変形を規制することができ、ストッパゴム32の剛性を高めることができる。その結果、本体ゴム31の変形量を抑制して、本体ゴム31の耐荷重性及び耐久性を向上させることができる。
さらに、ストッパ面36を、径方向の内側から外側に向けて漸次下方に向けて延在する傾斜面に形成することで、ストッパ面36を径方向に沿って平坦に形成した場合に比べて、ストッパ面36とキャビン2の下面との当接時に、キャビン2の下面に対するストッパ面36の傾斜を抑えることができる。その結果、キャビン2とストッパゴム32との接触面積を向上させ、耐荷重性及び耐久性を向上させることができる。
【0032】
また、本体ゴム31をフランジ部22よりも上方に向けて突出させているため、本体ゴム31の上下方向の長さを比較的長くすることができる。これにより、万が一本体ゴム31の下端縁から上下方向に沿って亀裂が発生した場合であっても、この亀裂が本体ゴム31の上端縁に到達するまでの時間を確保できる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、外側部材6の下端開口部をエンド部9により閉塞するとともに、内側部材5に減衰板41を固定し、内側部材5の移動に応じて減衰板41が液室8内を移動することで、振動を減衰させる構成について説明したが、これに限られない。例えば、液室8内の液圧変化により弾性変形可能なダイヤフラムにより外側部材6の下端開口部を閉塞するとともに、液室8内を本体ゴム31側の主液室とダイヤフラム側の副液室とに区画する仕切部材を設け、これら主液室と副液室とを仕切部材に形成されたオリフィス通路を介して連通させる構成としても構わない。
この場合には、内側部材5と外側部材6とが相対的に変位すると、オリフィス通路を通って液室8内の液体が主液室と副液室との間で往来することで、オリフィス通路を流通する液体に液柱共振が生じる。このため、防振装置に入力された振動は、オリフィス通路における液柱共振によって減衰される。
【0034】
また、上述した実施形態では、本発明の防振装置1をキャビン2と車体3との間を連結するキャビンマウントに採用する構成について説明したが、これに限らず、例えば自動車のエンジン等の振動発生部を車体等の振動受部にマウントする、いわゆるエンジンマウントに適用する等、種々の構成に適用することができる。
【0035】
さらに、上述した実施形態では、先行突部35を環状に形成した場合について説明したが、これに限らず、周方向に沿って間欠に設けても構わない。また、先行突部35の形状は、凸曲面状に限らず、適宜設計変更が可能である。
また、減衰板41の天板部42を湾曲面に形成しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、フランジ部22を外側部材6の上端縁に形成した場合について説明したが、これに限らず、外側部材6の上下方向における任意の位置に形成することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…防振装置
2…キャビン(振動受部)
3…車体(振動発生部)
5…内側部材
6…外側部材
22…フランジ部
31…本体ゴム
32…ストッパゴム
35…先行突部
36…ストッパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部及び振動受部のうちの何れか一方に連結される内側部材と、
前記振動発生部及び前記振動受部のうちの何れか他方に連結されるとともに、前記内側部材を径方向の外側から囲繞する筒状の外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材とを連結する本体ゴムと、
前記外側部材に、径方向の外側に向けて突設されたフランジ部と、
前記フランジ部上に配設され、軸方向の一端側を向いて前記振動発生部及び前記振動受部のうちの何れか一方に当接または近接するストッパ面を有するストッパゴムと、を有する防振装置であって、
前記本体ゴムにおける軸方向の一端面には、前記フランジ部の内側で前記ストッパゴムの前記ストッパ面よりも軸方向の一端側に突出する先行突部が設けられるとともに、前記本体ゴムの軸方向における他端は、軸方向に沿う縦断面視で軸方向の一端側に向けて窪む凹曲面状に形成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記ストッパゴムにおける内周面の軸方向全域が、前記本体ゴムにおける外周面に連設されていることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記ストッパ面は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次軸方向一端側から他端側に向けて延びていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−53662(P2013−53662A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191840(P2011−191840)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】