説明

電動車両の充電制御装置、電動車両、電動車両の充電制御方法およびその充電制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】エネルギーコストとともに蓄電装置の使用コストを考慮し、車両外部の電源から蓄電装置への充電量を利用者が選択可能な電動車両の充電制御装置を提供する。
【解決手段】エネルギーコスト予測部114は、次回走行時のエネルギーコストを予測する。寿命予測部116は、充電量−寿命マップを用いて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命を予測する。使用コスト予測部118は、寿命予測部116によって予測される蓄電装置の寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストを予測する。そして、予測されたコストは蓄電装置への充電量と関連付けて表示装置に表示され、利用者の指示に従って充電ステーションから蓄電装置への充電が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両の充電制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両としてハイブリッド車両が注目されている。ハイブリッド車両は、従来のエンジンに加え、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生するモータを搭載するとともに、エンジンの出力を用いて発電して蓄電装置を充電可能な発電機を搭載する。
【0003】
このような発電機を搭載したハイブリッド車両においても、エンジンを搭載しない電気自動車と同様に、車両外部の電源から蓄電装置を充電可能なハイブリッド車両が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−37703号公報
【特許文献2】特開2004−79316号公報
【特許文献3】特開平5−227669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平8−37703号公報に開示されるような外部充電可能なハイブリッド車両では、車両外部から電気エネルギーを直接補給できるので、エンジンを停止させてモータのみで走行可能な走行距離が拡大する。
【0005】
このようなハイブリッド車両において、車両外部からの充電量を増加させると、エンジンの燃料消費量を削減できるので、環境に優しい走行を実現できる。一方、コスト面からは、エンジンの燃料コストは低減するけれども、充電に要する電力コストが増大するとともに、充電に伴なう負荷が蓄電装置にかかることにより蓄電装置の劣化が進む。したがって、蓄電装置の使用コストは相対的に高くなる。
【0006】
逆に、車両外部からの充電量を抑えると、エンジンの燃料消費量が増加するので、環境保護への寄与率は低下する。一方、コスト面からは、エンジンの燃料コストは増大するけれども、充電に要する電力コストが低減するとともに、蓄電装置の負荷は小さくなるので蓄電装置の劣化は抑制される。したがって、蓄電装置の使用コストは相対的に低くなる。
【0007】
今後、ハイブリッド車両のような電動車両の普及拡大をさらに図るためには、環境面とともにコスト面での評価が重要であり、特に、外部充電可能な電動車両では、エネルギーコストとともに蓄電装置の使用コストを考慮して、車両外部の電源から蓄電装置への充電量を決定可能な仕組みを構築することが重要である。
【0008】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エネルギーコストとともに蓄電装置の使用コストを考慮し、車両外部の電源から蓄電装置への充電量を利用者が選択可能な電動車両の充電制御装置および電動車両を提供することである。
【0009】
また、この発明の別の目的は、エネルギーコストとともに蓄電装置の使用コストを考慮し、車両外部の電源から蓄電装置への充電量を利用者が選択可能な電動車両の充電制御方法およびその充電制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によれば、電動車両の充電制御装置は、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両の充電制御装置であって、エネルギーコスト予測部と、寿命予測部と、使用コスト予測部と、報知部と、充電指令生成部とを備える。エネルギーコスト予測部は、走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測する。寿命予測部は、蓄電装置への充電量と蓄電装置の寿命との関係を用いて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命を予測する。使用コスト予測部は、寿命予測部によって予測される蓄電装置の寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストを予測する。報知部は、エネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知する。充電指令生成部は、利用者の指示に従って、車両外部の電源から蓄電装置への充電の実行を指示する指令を生成する。
【0011】
好ましくは、電動車両は、内燃機関と、発電装置と、蓄電装置と、電動機と、走行履歴収集部と、充電装置とを含む。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。走行履歴収集部は、走行時の走行履歴を収集して記憶する。充電装置は、車両外部の電源から電力を受けて蓄電装置を充電可能に構成される。そして、エネルギーコスト予測部は、走行履歴収集部によって収集された走行履歴に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部は、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命を予測する。
【0012】
また、好ましくは、電動車両は、内燃機関と、発電装置と、蓄電装置と、電動機と、ナビゲーション装置と、充電装置とを含む。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。ナビゲーション装置は、走行経路を設定可能である。充電装置は、車両外部の電源から電力を受けて蓄電装置を充電可能に構成される。そして、エネルギーコスト予測部は、ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部は、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命を予測する。
【0013】
好ましくは、電動車両は、走行モード制御部をさらに含む。走行モード制御部は、蓄電装置の充電状態を示す状態量(SOC)の目標が未設定である第1のモードと状態量(SOC)の目標が設定される第2のモードとを含む走行モードの切替を制御する。
【0014】
さらに好ましくは、走行モード制御部は、充電装置による蓄電装置の充電完了後、走行モードを第1のモードとし、状態量(SOC)の目標を示す規定値近傍に状態量(SOC)が低下すると、走行モードを第2のモードに切替え、その後、状態量(SOC)が規定値近傍になるように発電装置による発電を制御する。
【0015】
また、この発明によれば、電動車両は、充放電可能な蓄電装置と、電動機と、充電装置と、エネルギーコスト予測部と、寿命予測部と、使用コスト予測部と、報知部と、充電制御部とを備える。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。充電装置は、車両外部の電源から電力を受けて蓄電装置を充電可能に構成される。エネルギーコスト予測部は、走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測する。寿命予測部は、蓄電装置への充電量と蓄電装置の寿命との関係を用いて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命を予測する。使用コスト予測部は、寿命予測部によって予測される蓄電装置の寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストを予測する。報知部は、エネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知する。充電制御部は、利用者の指示に従って、充電装置による車両外部の電源から蓄電装置への充電を制御する。
【0016】
好ましくは、電動車両は、内燃機関と、発電装置と、走行履歴収集部とをさらに備える。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。走行履歴収集部は、走行時の走行履歴を収集して記憶する。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。そして、エネルギーコスト予測部は、走行履歴収集部によって収集された走行履歴に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部は、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命を予測する。
【0017】
また、好ましくは、電動車両は、内燃機関と、発電装置と、ナビゲーション装置とをさらに備える。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。ナビゲーション装置は、走行経路を設定可能である。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。そして、エネルギーコスト予測部は、ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部は、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命を予測する。
【0018】
好ましくは、電動車両は、走行モード制御部をさらに備える。走行モード制御部は、蓄電装置の充電状態を示す状態量(SOC)の目標が未設定である第1のモードと状態量(SOC)の目標が設定される第2のモードとを含む走行モードの切替を制御する。
【0019】
さらに好ましくは、走行モード制御部は、充電装置による蓄電装置の充電完了後、走行モードを第1のモードとし、状態量(SOC)の目標を示す規定値近傍に状態量(SOC)が低下すると、走行モードを第2のモードに切替え、その後、状態量(SOC)が規定値近傍になるように発電装置による発電を制御する。
【0020】
また、この発明によれば、電動車両の充電制御方法は、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両の充電制御方法であって、走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測するステップと、蓄電装置への充電量と蓄電装置の寿命との関係を用いて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命を予測するステップと、その予測された蓄電装置の寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストを予測するステップと、エネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知するステップと、利用者の指示に従って、車両外部の電源から蓄電装置への充電の実行を指示する指令を生成するステップとを備える。
【0021】
好ましくは、電動車両の充電制御方法は、電動車両の走行時の走行履歴を収集するステップをさらに備える。電動車両は、内燃機関と、発電装置と、蓄電装置と、電動機と、充電装置とを含む。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。充電装置は、車両外部の電源から電力を受けて蓄電装置を充電可能に構成される。そして、エネルギーコストを予測するステップにおいて、走行履歴を収集するステップにおいて収集された走行履歴に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量が算出され、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストがそれぞれ予測される。また、蓄電装置の寿命を予測するステップにおいて、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命が予測される。
【0022】
また、好ましくは、電動車両は、内燃機関と、発電装置と、蓄電装置と、電動機と、ナビゲーション装置と、充電装置とを含む。発電装置は、内燃機関の出力を用いて発電可能に構成される。蓄電装置は、発電装置によって発電された電力を蓄電可能である。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。ナビゲーション装置は、走行経路を設定可能である。充電装置は、車両外部の電源から電力を受けて蓄電装置を充電可能に構成される。そして、エネルギーコストを予測するステップにおいて、ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて内燃機関の燃料消費量および蓄電装置の電力消費量が算出され、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストがそれぞれ予測される。また、蓄電装置の寿命を予測するステップにおいて、算出された蓄電装置の電力消費量を充電装置による蓄電装置への充電量として蓄電装置の寿命が予測される。
【0023】
また、この発明によれば、記録媒体は、コンピュータ読取可能な記録媒体であって、上述したいずれかの電動車両の充電制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0024】
この発明においては、走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストが予測される。また、蓄電装置への充電量と蓄電装置の寿命との関係を用いて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命が予測され、その予測される蓄電装置の寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストが予測される。そして、エネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストが蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知され、利用者の指示に従って車両外部の電源から蓄電装置への充電の実行が指示される。
【0025】
したがって、この発明によれば、エネルギーコストとともに蓄電装置の使用コストを考慮したうえで、車両外部の電源から蓄電装置への充電量を利用者が選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0027】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による充電制御システムの全体図である。図1を参照して、充電制御システム100は、車両10と、充電ステーション30と、サーバ40とを備える。
【0028】
車両10は、車両に搭載された蓄電装置(図示せず)を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両であり、エンジンに加えて車両走行用の電動機を搭載したハイブリッド車両から成る。車両10は、接続ケーブル20によって充電ステーション30に接続可能であり、充電ステーション30から接続ケーブル20を介して充電電力を受電する。また、車両10は、走行時の走行履歴を収集して記憶し、充電ステーション30から蓄電装置の充電の実行に先立ち、収集された走行履歴を接続ケーブル20を介して充電ステーション30へ出力する。
【0029】
接続ケーブル20は、充電ステーション30から車両10へ充電電力を供給するための電力線である。また、接続ケーブル20は、充電ステーション30と車両10との間で通信を行なうための通信媒体としても用いられる。
【0030】
充電ステーション30は、接続ケーブル20によって接続される車両10の蓄電装置へ充電電力を供給するための設備であり、たとえば、系統電力を受電して接続ケーブル20を介して車両10へ供給する。
【0031】
充電ステーション30は、充電ECU(Electronic Control Unit)32と、表示装置34とを含む。充電ECU32は、車両10の走行履歴から抽出される複数の走行パターンごとに、車両10の次回走行時のエネルギーコスト(燃料コストおよび電力コスト)を予測する。また、充電ECU32は、上記複数の走行パターンごとに、車両10の蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の寿命(たとえば残充電回数)を予測し、その予測される寿命に基づいて、蓄電装置への充電量に応じた蓄電装置の使用コストを予測する。なお、充電ECU32の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0032】
表示装置34は、複数の走行パターンごとに、充電ECU32によって予測された次回走行時のエネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを充電ステーション30から車両10への充電量と関連付けて表示する。また、表示装置34は、その表示内容に基づいて利用者が項目を選択入力可能に構成されており、利用者は、複数の走行パターンごとに表示される走行コストおよび充電ステーション30から車両10への充電量に基づいて、希望の走行パターン(充電量)を表示装置34から選択することができる。
【0033】
そして、表示装置34において利用者により走行パターン(充電量)が選択されると、充電ECU32は、その選択された走行パターンに対応する充電量分だけ充電ステーション30から車両10の蓄電装置へ充電が行なわれるように、接続ケーブル20を介して車両10へ充電指令を出力する。
【0034】
サーバ40は、車両10のエネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを充電ECU32において予測演算するための各種データを有しており、充電ECU32からの要求に応じて、演算に必要なデータを充電ECU32へ出力する。具体的には、サーバ40は、車両10のエネルギーコストを算出するためのエネルギー単価(燃料単価および電力単価)や、蓄電装置の寿命を予測するための充電量−寿命マップ、蓄電装置の交換コスト(蓄電装置の価格およびその交換に要するコスト)等のデータを有する。
【0035】
(車両の構成)
図2は、図1に示した車両10の概略構成図である。図2を参照して、車両10は、動力出力装置150と、車両ECU152と、記憶部154と、モデム156と、電力線ACL1,ACL2と、コネクタ158とを含む。電力線ACL1,ACL2は、図1に示した接続ケーブル20に対応する。
【0036】
動力出力装置150は、車両の駆動力を出力する。また、動力出力装置150は、コネクタ158から入力される電力による蓄電装置(図示せず)の充電を指示する信号CHRGが活性化されると、電力線ACL1,ACL2を介して与えられる電力を蓄電装置の電圧レベルに変換して蓄電装置の充電を行なう。動力出力装置150の構成については、後ほど説明する。
【0037】
車両ECU152は、コネクタ158が充電ステーション30(図1)に接続されておらず、かつ、車両が走行可能なとき、動力出力装置150へ出力される信号CHRGを非活性化する。そして、車両ECU152は、走行時の走行履歴を収集し、その収集された走行履歴を記憶部154へ出力する。車両ECU152は、コネクタ158が充電ステーション30に接続されると、収集された走行履歴を記憶部154から読出し、モデム156を用いて電力線ACL1,ACL2を介して充電ステーション30へ出力する。
【0038】
また、車両ECU152は、充電ステーション30からの充電指令をモデム156を介して受信すると、信号CHRGを活性化する。そして、充電指令により指示される充電量の充電がなされると、車両ECU152は、信号CHRGを非活性化する。
【0039】
記憶部154は、不揮発性のメモリであって、走行時に収集された走行履歴を記憶する。モデム156は、充電ステーション30の充電ECU32(図1)と車両ECU152との間で電力線ACL1,ACL2を介してデータ通信を行なうための通信インターフェースである。コネクタ158は、充電ステーション30から供給される充電電力を受電するための外部充電インターフェースである。
【0040】
図3は、図2に示した動力出力装置150の概略構成図である。図3を参照して、動力出力装置150は、エンジン204と、燃料タンク205と、燃料センサ206と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構203と、車輪202とを含む。また、動力出力装置150は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ210と、インバータ220,230と、MG−ECU240と、コンデンサC1,C2と、正極線PL1,PL2と、負極線NL1,NL2とをさらに含む。さらに、動力出力装置150は、電圧センサ252と、電流センサ254と、温度センサ256とをさらに含む。
【0041】
動力分割機構203は、エンジン204とモータジェネレータMG1,MG2とに結合されてこれらの間で動力を分配する。たとえば、動力分割機構203としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車を用いることができる。
【0042】
エンジン204が発生する運動エネルギーは、動力分割機構203によって車輪202とモータジェネレータMG1とに分配される。そして、エンジン204は、車輪202を駆動するとともにモータジェネレータMG1を駆動する動力源として動力出力装置150に組込まれる。モータジェネレータMG1は、エンジン204によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン204の始動を行ない得る電動機として動作するものとして動力出力装置150に組込まれ、モータジェネレータMG2は、車輪202を駆動する動力源として動力出力装置150に組込まれる。
【0043】
モータジェネレータMG1,MG2の各々は、図示されないY結線された3相コイルをステータコイルとして含む。そして、モータジェネレータMG1の3相コイルの中性点N1に電力線ACL1が接続され、モータジェネレータMG2の3相コイルの中性点N2に電力線ACL2が接続される。
【0044】
蓄電装置Bは、充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。なお、蓄電装置Bとして、大容量のキャパシタも採用可能であり、モータジェネレータMG1,MG2による発電電力や充電ステーション30(図1)から供給される電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をモータジェネレータMG2へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0045】
コンデンサC1は、正極線PL1と負極線NL1との間の電圧変動を平滑化する。昇圧コンバータ210は、MG−ECU240からの信号PWCに基づいて蓄電装置Bから受ける直流電圧を昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を正極線PL2へ出力する。また、昇圧コンバータ210は、正極線PL2を介してインバータ220,230から受ける直流電圧を蓄電装置Bの電圧レベルに降圧して蓄電装置Bを充電する。昇圧コンバータ210は、たとえば、昇降圧型のチョッパ回路などによって構成される。コンデンサC2は、正極線PL2と負極線NL2との間の電圧変動を平滑化する。
【0046】
インバータ220,230の各々は、三相ブリッジ回路から成る。インバータ220は、MG−ECU240からの信号PWM1に基づいて、正極線PL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力する。また、インバータ220は、エンジン204の出力を受けてモータジェネレータMG1が発電した三相交流電圧を信号PWM1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を正極線PL2へ出力する。
【0047】
インバータ230は、MG−ECU240からの信号PWM2に基づいて、正極線PL2から受ける直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧をモータジェネレータMG2へ出力する。これにより、モータジェネレータMG2は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ230は、車両の制動時、車輪202からの回転力を受けてモータジェネレータMG2が発電した三相交流電圧を信号PWM2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を正極線PL2へ出力する。
【0048】
また、インバータ220,230は、充電ステーション30から蓄電装置Bの充電時、電力線ACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる交流電力を信号PWM1,PWM2に基づいて直流電力に変換し、その変換した直流電力を正極線PL2へ出力する。
【0049】
モータジェネレータMG1,MG2は、三相交流電動機であり、たとえば三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータMG1は、エンジン204が発生する運動エネルギーを用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ220へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ220から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジン204の始動を行なう。モータジェネレータMG2は、インバータ230から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の制動時、三相交流電圧を発生してインバータ230へ出力する。
【0050】
エンジン204は、燃料の燃焼による熱エネルギーをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギーに変換し、その変換された運動エネルギーを動力分割機構203へ出力する。燃料タンク205は、車両外部から供給される燃料を貯蔵し、貯蔵された燃料をエンジン204へ供給する。燃料センサ206は、燃料タンク205内の燃料残量FUELを検出し、その検出値を車両ECU152(図2)へ出力する。
【0051】
電圧センサ252は、蓄電装置Bの電圧Vbを検出し、その検出値を車両ECU152へ出力する。電流センサ254は、蓄電装置Bに入出力される電流Ibを検出し、その検出値を車両ECU152へ出力する。温度センサ256は、蓄電装置Bの温度Tbを検出し、その検出値を車両ECU152へ出力する。なお、これらの各検出値は、走行時の走行履歴として記憶部154(図2)に記憶される。
【0052】
MG−ECU240は、昇圧コンバータ210を駆動するための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ210へ出力する。また、MG−ECU240は、車両ECU152からの信号CHRGが非活性化されているとき、モータジェネレータMG1,MG2をそれぞれ駆動するための信号PWM1,PWM2を生成し、その生成した信号PWM1,PWM2をそれぞれインバータ220,230へ出力する。
【0053】
また、MG−ECU240は、この車両10の走行モードを制御する。具体的には、MG−ECU240は、蓄電装置Bの充電状態(以下「SOC(State of Charge)」とも称し、満充電状態に対して0〜100%の値で示される。)の目標が未設定の第1の走行モードで走行するか、それともSOCの目標が設定される第2の走行モードで走行するかの切替を制御する。
【0054】
なお、上記第1の走行モード時は、急加速時や登坂走行時など大きな走行駆動力が要求されることがない限りエンジン204は停止するので、以下では、上記第1の走行モードを「電動機走行モード」または「EV走行モード」とも称する。また、上記第2の走行モード時は、蓄電装置BのSOCを目標に制御するためにエンジン204が間欠的または連続的に動作するので、以下では、上記第2の走行モードを「ハイブリッド走行モード」または「HV走行モード」とも称する。
【0055】
また、MG−ECU240は、車両ECU152からの信号CHRGが活性化されているとき、電力線ACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる充電ステーション30からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置Bの充電が行なわれるように、インバータ220,230をそれぞれ制御するための信号PWM1,PWM2を生成する。
【0056】
図4は、蓄電装置BのSOCと走行モードとの関係を説明するための図である。図4を参照して、充電ステーション30(図1)から蓄電装置B(図3)の充電後、車両10の走行が開始されるものとする。走行開始後、蓄電装置BのSOCが規定値SC(たとえば20%)を下回るまでは、SOCの目標は設定されず、車両10は、EV走行モードで走行する。すなわち、急加速時や登坂走行時など大きな走行駆動力が要求されることがない限り、車両10は、エンジン204を停止して走行する。なお、減速時や降坂走行時は、モータジェネレータMG2が発生する電力によってSOCは一時的に上昇し得るが、トータルでみると、走行距離の増加に伴ないSOCは減少する。
【0057】
蓄電装置BのSOCが規定値SCを下回ると、EV走行モードからHV走行モードに走行モードが切替わり、下限値SLおよび上限値SHによって規定される範囲内にSOCが制御される。そして、SOCが下限値SLを下回ると、エンジン204が起動され、モータジェネレータMG1が発電した電力によって蓄電装置Bが充電される。その後、たとえば規定値SCをSOCが超えると、エンジン204が停止する。
【0058】
図5は、図3に示したMG−ECU240の機能ブロック図である。図5を参照して、MG−ECU240は、コンバータ制御部310と、第1および第2のインバータ制御部312,318と、走行モード制御部314と、充電制御部316とを含む。
【0059】
コンバータ制御部310は、蓄電装置Bの電圧Vbおよび正極線PL2と負極線NL2との間の電圧Vhに基づいて、昇圧コンバータ210を駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとして昇圧コンバータ210へ出力する。
【0060】
第1のインバータ制御部312は、モータジェネレータMG1のモータ電流MCRT1およびモータ回転角θ1、電圧Vh、ならびに走行モード制御部314からのモータジェネレータMG1のトルク指令値TR1に基づいて、モータジェネレータMG1を駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWM1としてインバータ220へ出力する。なお、モータ電流MCRT1およびモータ回転角θ1は、図示されないセンサによって検出される。
【0061】
また、第1のインバータ制御部312は、充電ステーション30(図1)から蓄電装置Bの充電時、充電制御部316からの零相電圧指令値AC1に基づいて信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ220へ出力する。
【0062】
第2のインバータ制御部318は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2、モータ電流MCRT2およびモータ回転角θ2、ならびに電圧Vhに基づいて、モータジェネレータMG2を駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWM2としてインバータ230へ出力する。なお、トルク指令値TR2は、アクセル開度や車両速度に基づいて、たとえば車両ECU152(図2)によって生成され、モータ電流MCRT2およびモータ回転角θ2は、図示されないセンサによって検出される。
【0063】
また、第2のインバータ制御部318は、充電ステーション30から蓄電装置Bの充電時、充電制御部316からの零相電圧指令値AC2に基づいて信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ230へ出力する。
【0064】
走行モード制御部314は、充電ステーション30から蓄電装置Bの充電が完了したことを示す充電完了信号COMPを充電制御部316から受けると、走行モードをEV走行モードに設定し、第1のインバータ制御部312へ出力されるトルク指令値TR1を0とする。
【0065】
そして、走行モード制御部314は、EV走行モード中に蓄電装置BのSOCが規定値SCを下回ると、EV走行モードからHV走行モードへ走行モードを切替える。蓄電装置BのSOCが下限値SLを下回ると、走行モード制御部314は、エンジン204を始動させるためのトルク指令値TR1を生成して第1のインバータ制御部312へ出力する。そして、エンジン204が始動すると、走行モード制御部314は、モータジェネレータMG1が発電するためのトルク指令値TR1を生成して第1のインバータ制御部312へ出力する。
【0066】
充電制御部316は、車両ECU152からの信号CHRGが活性化されているとき、モータジェネレータMG1,MG2およびインバータ20,30を単相PWMコンバータとして動作させるための零相電圧指令値AC1,AC2を生成し、その生成した零相電圧指令値AC1,AC2を第1および第2のインバータ制御部312,318へそれぞれ出力する。また、充電制御部316は、信号CHRGが非活性化されると、充電完了信号COMPを走行モード制御部314へ出力する。なお、零相電圧指令値AC1,AC2については、後ほど説明する。
【0067】
(走行履歴収集処理)
図6は、図1に示した車両10における走行履歴収集処理に関するフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0068】
図6を参照して、車両ECU152は、走行モードを確認する(ステップS10)。走行モードがHV走行モードであると判定されると(ステップS10において「HV」)、車両ECU152は、HV走行履歴として走行履歴を収集する(ステップS20)。具体的には、車両ECU152は、HV走行モードでの走行距離および走行時間、蓄電装置Bの電圧Vb、電流Ib、温度Tb、燃料残量などを収集する。
【0069】
一方、走行モードがEV走行モードであると判定されると(ステップS10において「EV」)、車両ECU152は、EV走行履歴として走行履歴を収集する(ステップS30)。具体的には、車両ECU152は、EV走行モードでの走行距離および走行時間、電圧Vb、電流Ib、温度Tb、燃料残量などを収集する。
【0070】
そして、車両ECU152は、収集された燃料残量の履歴に基づいて、エンジン204の燃料消費量を算出する(ステップS40)。また、車両ECU152は、収集された蓄電装置Bの電圧Vbおよび電流Ibの履歴に基づいて、蓄電装置Bの電力消費量を算出する(ステップS50)。そして、車両ECU152は、収集された走行履歴(算出されたエンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を含む。)を記憶部154に記憶する(ステップS60)。そして、後述のように、記憶部154に記憶された走行履歴は、充電ステーション30(図1)から蓄電装置Bの充電に先立ち、充電ステーション30の充電ECU32(図1)へ送信される。
【0071】
(蓄電装置の充電方法)
図7は、図3に示したインバータ220,230およびモータジェネレータMG1,MG2の零相等価回路を示した図である。図7を参照して、インバータ220,230の各々は、上述のように三相ブリッジ回路から成り、各インバータにおける6個のスイッチング素子のオン/オフの組合わせは8パターン存在する。その8つのスイッチングパターンのうち2つは相間電圧が零となり、そのような電圧状態は零電圧ベクトルと称される。零電圧ベクトルについては、上アームの3つのスイッチング素子は互いに同じスイッチング状態(全てオンまたはオフ)とみなすことができ、また、下アームの3つのスイッチング素子も互いに同じスイッチング状態とみなすことができる。
【0072】
充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電時、インバータ220,230においては、MG−ECU240の充電制御部316(図5)によってそれぞれ生成される零相電圧指令値AC1,AC2に基づいて零電圧ベクトルが制御される。したがって、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電時、各インバータの上アームの3つのスイッチング素子は互いに同じスイッチング状態とみなすことができ、下アームの3つのスイッチング素子も互いに同じスイッチング状態とみなすことができるので、この図7では、インバータ220の上アームの3つのスイッチング素子は上アーム220Aとしてまとめて示され、インバータ220の下アームの3つのスイッチング素子は下アーム220Bとしてまとめて示されている。同様に、インバータ230の上アームの3つのスイッチング素子は上アーム230Aとしてまとめて示され、インバータ230の下アームの3つのスイッチング素子は下アーム230Bとしてまとめて示されている。
【0073】
そして、図7に示されるように、この零相等価回路は、電力線ACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる単相交流電力を入力とする単相PWMコンバータとみることができる。そこで、インバータ220,230の各々において零電圧ベクトルを変化させ、インバータ220,230を単相PWMコンバータのアームとして動作するようにスイッチング制御することによって、充電ステーション30から電力線ACL1,ACL2を介して入力される交流電力を直流電力に変換して正極線PL2および負極線NL2へ出力することができる。
【0074】
(充電ECUの構成)
図8は、図1に示した充電ECU32の機能ブロック図である。図8を参照して、充電ECU32は、走行パターン抽出部112と、エネルギーコスト予測部114と、寿命予測部116と、使用コスト予測部118と、表示制御部120と、充電指令出力部122とを含む。
【0075】
走行パターン抽出部112は、車両10において収集された走行履歴(エンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を含む。)を車両10から取得し、その取得された走行履歴に基づいて車両10の走行パターンを抽出する。
【0076】
図9は、走行パターン抽出部112によって抽出される走行パターンの一例を示した図である。この図9では、一例として、日々の通勤時に収集される走行履歴に基づいて3つの走行パターンが抽出された場合が示されている。
【0077】
図9を参照して、走行パターン1は、他の走行パターンに比べて相対的にEV走行距離が短く、走行パターン3は、他の走行パターンに比べて相対的にEV走行距離が長い。すなわち、走行パターン1は、相対的にHV走行距離が長くエンジン204の燃料消費量が多いので、環境保護への寄与率は相対的に低く、走行パターン3は、相対的にHV走行距離が短くエンジン204の燃料消費量が少ないので、環境に優しい走行パターンといえる。
【0078】
一方、コスト面から比較すると、走行パターン1は、相対的にEV走行距離が短いので、蓄電装置Bの電力消費量は少なく、走行パターン3は、相対的にEV走行距離が長いので、蓄電装置Bの電力消費量は多い。ここで、蓄電装置Bの電力消費量は、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量に相当するので、走行パターン1では、相対的に充電コストが低く燃料コストは高く、走行パターン3では、相対的に充電コストが高く燃料コストは低い。
【0079】
さらに、蓄電装置Bへの充電量が多いときは、蓄電装置Bに大きな充電負荷がかかることにより、蓄電装置Bの劣化が進み、蓄電装置Bの寿命が短くなる。したがって、多くの充電量を必要とする走行パターン3は、走行パターン1に比べて蓄電装置Bの使用コストが相対的に高い。
【0080】
そして、この実施の形態1では、複数の走行パターンにつきエネルギーコストとともに蓄電装置Bの使用コストを予測して、複数の充電量案(走行パターン)を利用者に対して提示し、希望の充電量案(走行パターン)を利用者が選択可能とするものである。
【0081】
なお、この図9では、通勤時を一例に説明を行なったが、その他の目的で車両10が利用された場合(たとえば買物時など)についても同様に、収集された走行履歴に基づいて複数の走行パターンを抽出し、複数の充電量案(走行パターン)を利用者に対して提示可能である。
【0082】
再び図8を参照して、エネルギーコスト予測部114は、走行パターン抽出部112によって抽出された走行パターンごとにエネルギーコストを予測する。具体的には、エネルギーコスト予測部114は、燃料単価COST1および充電電力単価COST2をサーバ40から取得し、走行パターンごとに、エンジン204の燃料消費量に燃料単価COST1を乗算して燃料コストを予測し、蓄電装置Bの電力消費量に充電電力単価COST2を乗算して電力コストを予測する。
【0083】
寿命予測部116は、走行パターン抽出部112によって抽出された走行パターンごとに蓄電装置Bの寿命(たとえば残充電回数)を予測する。具体的には、上述のように、蓄電装置Bの電力消費量は充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量に相当するところ、寿命予測部116は、蓄電装置Bへの充電量とその寿命との関係を示す充電量−寿命マップMAPをサーバ40から取得し、その取得された充電量−寿命マップMAPを用いて、走行パターンごとに蓄電装置Bの電力消費量に基づいて蓄電装置Bの寿命を予測する。
【0084】
図10は、蓄電装置Bへの充電量とその寿命との関係の一例を示した図である。図10を参照して、蓄電装置Bへの充電量が多いほど、蓄電装置Bに大きな充電負荷がかかることにより蓄電装置Bの劣化が進み、蓄電装置Bの寿命は短くなる。なお、蓄電装置BのSOCや温度、充電レートの高低などによって蓄電装置Bの寿命は変化するところ、サーバ40は、蓄電装置Bの種々の条件に対応する複数のマップを記憶している。
【0085】
再び図8を参照して、使用コスト予測部118は、走行パターン抽出部112によって抽出された走行パターンごとに蓄電装置Bの使用コストを予測する。具体的には、使用コスト予測部118は、蓄電装置Bの交換コストCOST3(蓄電装置Bの価格およびその交換に要するコスト)をサーバ40から取得し、その取得された交換コストCOST3を寿命予測部116によって予測された蓄電装置Bの寿命で除算することにより、蓄電装置Bの使用コストを算出する。すなわち、蓄電装置Bの寿命が短いほど、蓄電装置Bの使用コストは高くなり、蓄電装置Bの寿命が長いほど、蓄電装置Bの使用コストは低くなる。
【0086】
表示制御部120は、走行パターンごとにエネルギーコスト予測部114によって予測されたエネルギーコスト(燃料コストおよび電力コスト)および使用コスト予測部118によって予測された蓄電装置Bの使用コストを表示装置34へ出力するとともに、表示装置34の表示状態を制御する。
【0087】
図11は、表示装置34におけるメニュー選択画面の一例を示した図である。図11を参照して、表示装置34は、利用者が選択可能な複数のメニューを表示する。領域138に表示される「電池長寿命走行」は、たとえば、図9に示した走行パターン1に対応する。すなわち、この「電池長寿命走行」が選択されると、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量が低く抑えられる。
【0088】
また、領域140に表示される「ECO走行」は、たとえば、図9に示した走行パターン3に対応する。すなわち、この「ECO走行」が選択されると、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量は多くなる。
【0089】
また、領域142に表示される「経済性走行」は、エネルギーコストすなわち燃料コストと電力コストとの和が最小になる走行パターンに対応する。この「経済性走行」が選択されると、そのときの燃料単価および充電電力単価に基づいて算出されるエネルギーコストを最小とする充電量が選択される。
【0090】
また、領域144に表示される「満充電」は、蓄電装置Bが満充電状態になるまでの充電を要求するものである。この「満充電」が選択されると、蓄電装置Bが満充電状態になるまで充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電が行なわれる。
【0091】
図12は、表示装置34におけるコスト表示画面の一例を示した図である。図12を参照して、図11に示したメニュー選択画面において利用者によりいずれかのメニューが選択されると、表示装置34は、その選択されたメニューに対応するEV走行距離、燃料コスト、電力コスト(充電コスト)、蓄電装置Bの使用コストおよびトータルコストの各予測値、ならびに充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量の予測値を表示する。
【0092】
すなわち、表示装置34は、次回走行時のコスト(エネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コスト)を充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量と関連付けて利用者に対して提示する。そして、利用者により領域146が選択されると、その旨が充電ECU32に通知され、領域148が選択されると、図11に示したメニュー選択画面に表示状態が戻る。なお、蓄電装置Bへの充電量の予測値としては、蓄電装置Bの電力消費量が表示される。
【0093】
再び図8を参照して、充電指令出力部122は、表示装置34において利用者により選択されたメニューに対応する充電量分の充電を指示する充電指令を接続ケーブル20を介して車両10へ送信する。
【0094】
図13は、図1に示した充電ECU32の制御構造を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0095】
図13を参照して、充電ECU32は、充電ステーション30から車両10の蓄電装置Bの充電開示が利用者によって指示されたか否かを判定する(ステップS110)。なお、充電開始の指示は、たとえば、表示装置34から利用者が入力することができる。
【0096】
充電ECU32は、充電開始の指示があったものと判定すると(ステップS110においてYES)、車両10から接続ケーブル20を介して車両10の走行履歴(エンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を含む。)を取得する(ステップS120)。次いで、充電ECU32は、取得された走行履歴に基づいて車両10の走行パターンを抽出する(ステップS130)。さらに、充電ECU32は、燃料単価COST1および充電電力単価COST2をサーバ40から取得する(ステップS140)。
【0097】
そして、充電ECU32は、ステップS130において抽出された走行パターンごとに、エンジン204の燃料消費量に燃料単価COST1を乗算して燃料コストを予測し、蓄電装置Bの電力消費量に充電電力単価COST2を乗算して電力コストを予測する(ステップS150)。
【0098】
次いで、充電ECU32は、充電量−寿命マップMAPをサーバ40から取得し、その取得された充電量−寿命マップMAPを用いて、走行パターンごとに、蓄電装置Bの電力消費量(充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量に相当する。)に基づいて蓄電装置Bの寿命を予測する(ステップS160)。
【0099】
さらに、充電ECU32は、蓄電装置Bの交換コストCOST3(蓄電装置Bの価格およびその交換に要するコスト)をサーバ40から取得し、走行パターンごとに、その取得された交換コストCOST3を蓄電装置Bの寿命予測値で除算することによって蓄電装置Bの使用コストを予測する(ステップS170)。
【0100】
次いで、充電ECU32は、走行パターンごとに予測されたエネルギーコスト(燃料コストおよび電力コスト)および蓄電装置Bの使用コストを表示装置34へ出力する(ステップS180)。そして、充電ECU32は、表示装置34において利用者によりメニューの選択入力があったか否かを判定する(ステップS190)。
【0101】
そして、表示装置34において利用者によりメニューが選択されると(ステップS190においてYES)、充電ECU32は、その選択されたメニューに対応する充電量分の充電を指示する充電指令を接続ケーブル20を介して車両10へ出力する。これにより、車両10において蓄電装置Bの充電が開始される(ステップS200)。
【0102】
なお、上記においては、走行履歴から3つの走行パターンを抽出するものとしたが、抽出される走行パターンは3つに限られるものではない。また、抽出された複数の走行パターンから過去の走行履歴にはない走行パターンを学習するようにしてもよい。たとえば、図9に示した3つの走行パターンから、さらにEV走行距離の長い走行パターンを学習し、その学習された走行パターンについてコストおよび充電量を予測演算することも可能である。
【0103】
以上のように、この実施の形態1においては、充電ステーション30から車両10の蓄電装置Bの充電に先立ち、過去の走行履歴に基づいて次回走行時のエネルギーコスト(燃料コストおよび電力コスト)とともに蓄電装置Bの使用コストが予測され、蓄電装置Bへの充電量とともに表示装置34において利用者に対して提示される。そして、表示装置34からの利用者の指示に従って蓄電装置Bへの充電の実行が指示される。
【0104】
したがって、この実施の形態1によれば、エネルギーコストとともに蓄電装置Bの使用コストを考慮したうえで、充電ステーション30から車両10の蓄電装置Bへの充電量を利用者が選択することが可能となる。
【0105】
[実施の形態2]
実施の形態1では、過去の走行履歴に基づいてエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストを予測するものとしたが、この実施の形態2では、車両のナビゲーション装置によって設定される走行経路に基づいてエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストが予測される。
【0106】
図14は、実施の形態2における車両の概略構成図である。図14を参照して、車両10Aは、図2に示した実施の形態1における車両10の構成において、記憶部154に代えてナビゲーション装置160を含み、車両ECU152に代えて車両ECU152Aを含む。
【0107】
ナビゲーション装置160は、車両の現在地を表示するとともに、利用者が目的地および目的地までの走行経路を設定可能に構成される。そして、ナビゲーション装置160は、利用者により目的地が設定されると、その目的地、目的地までの走行経路および目的地までの走行距離などを含む走路情報を車両ECU152Aへ出力する。
【0108】
車両ECU152Aは、コネクタ158が充電ステーション30に接続されると、ナビゲーション装置160から受ける走路情報をモデム156を用いて電力線ACL1,ACL2を介して充電ステーション30へ出力する。
【0109】
なお、この実施の形態2では、後述のように、充電ステーション30の充電ECUにおけるエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストの予測演算に、走行履歴に代えてナビゲーション装置160にて設定された走路情報が用いられるので、実施の形態1における車両ECU152のように走行履歴を収集して充電ステーション30へ送信する必要はない。車両ECU152Aのその他の構成は、実施の形態1における車両ECU152と同様である。
【0110】
図15は、実施の形態2における充電ECUの機能ブロック図である。図15を参照して、充電ECU32Aは、図8に示した実施の形態1における充電ECU32の構成において、走行パターン抽出部112に代えて走行状態予測部124を含む。
【0111】
走行状態予測部124は、車両10Aのナビゲーション装置160により設定された次回走行に関する走路情報を車両10Aから取得する。また、走行状態予測部124は、その取得された走路情報に含まれる走行経路の道路勾配に関する情報をサーバ40から取得する。そして、走行状態予測部124は、取得された走路情報および道路勾配に関する情報に基づいて、複数の走行パターンについて走行状態を予測する。具体的には、複数の走行パターンについて、エンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を予測する。なお、複数の走行パターンとしては、たとえば、図9に示されるような複数の走行パターンを予め用意しておく。なお、走行経路の道路勾配に関する情報は、車両10Aのナビゲーション装置160が有していてもよい。
【0112】
そして、エネルギーコスト予測部114は、走行パターンごとに、走行状態予測部124によって予測されたエンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を用いて燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部116は、走行パターンごとに、走行状態予測部124によって予測された蓄電装置Bの電力消費量を用いて蓄電装置Bの寿命を予測する。
【0113】
なお、充電ECU32Aのその他の構成は、実施の形態1における充電ECU32と同様である。
【0114】
図16は、実施の形態2における充電ECU32Aの制御構造を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートの処理も、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0115】
図16を参照して、このフローチャートは、図13に示したフローチャートにおいて、ステップS120,S130,S150に代えてそれぞれステップS125,S135,S155を含む。すなわち、ステップS110において充電開始の指示があったものと判定されると、充電ECU32Aは、車両10Aのナビゲーション装置160により設定された走路情報を車両10Aから接続ケーブル20を介して取得する(ステップS125)。
【0116】
次いで、充電ECU32Aは、取得された走路情報に基づいて、複数の走行パターンについて車両10Aの走行状態を予測する(ステップS135)。具体的には、充電ECU32Aは、取得された走路情報に含まれる走行経路の道路勾配に関する情報をサーバ40から取得し、目的地までの走行経路の距離や道路勾配などを考慮して、複数の走行パターンについてエンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を予測する。
【0117】
また、ステップS140において燃料単価COST1および充電電力単価COST2がサーバ40から取得されると、充電ECU32Aは、走行パターンごとに、ステップS135おいて予測されたエンジン204の燃料消費量に燃料単価COST1を乗算して燃料コストを予測し、ステップS135おいて予測された蓄電装置Bの電力消費量に充電電力単価COST2を乗算して電力コストを予測する(ステップS155)。そして、充電ECU32Aは、ステップS160へ処理を移行する。
【0118】
以上のように、この実施の形態2においては、実施の形態1における走行履歴に代えてナビゲーション装置160により設定される走路情報が用いられる。したがって、この実施の形態2によれば、車両側において走行履歴を収集することなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0119】
[実施の形態3]
この実施の形態3では、実施の形態1において充電ステーション30側で行なわれる処理が全て車両において実施される。
【0120】
図17は、実施の形態3における車両の概略構成図である。図17を参照して、車両10Bは、図2に示した実施の形態1における車両10の構成において、モデム156を含まず、表示装置162をさらに含み、車両ECU152に代えて車両ECU152Bを含む。
【0121】
車両ECU152Bは、車両10Bの走行履歴から抽出される複数の走行パターンごとに、車両10Bの次回走行時のエネルギーコストを予測するとともに、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量に応じた蓄電装置Bの寿命を予測し、その予測される寿命に基づいて、蓄電装置Bへの充電量に応じた蓄電装置Bの使用コストを予測する。
【0122】
表示装置162は、実施の形態1における表示装置34と同様の機能を有する。記憶部154は、走行時に収集された走行履歴を記憶するとともに、車両10Bのエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストを車両ECU152Bにおいて予測演算するための各種データを記憶している。なお、車両10Bのその他の構成は、車両10と同様である。
【0123】
図18は、図17に示した車両ECU152Bの機能ブロック図である。図18を参照して、車両ECU152Bは、走行履歴収集部350と、走行パターン抽出部352と、エネルギーコスト予測部354と、寿命予測部356と、使用コスト予測部358と、表示制御部360と、充電指令出力部362とを含む。
【0124】
走行履歴収集部350は、走行時の走行履歴を収集し、その収集された走行履歴を記憶部154へ出力する。走行パターン抽出部352は、走行履歴収集部350によって収集された走行履歴を記憶部154から読出し、その読出された走行履歴に基づいて車両10Bの走行パターンを抽出する。なお、走行パターンの抽出については、実施の形態1における充電ECU32の走行パターン抽出部112と同様に行なわれる。
【0125】
エネルギーコスト予測部354は、記憶部154に記憶された燃料単価COST1および充電電力単価COST2を用いて、走行パターン抽出部352によって抽出された走行パターンごとにエネルギーコストを算出する。
【0126】
寿命予測部356は、記憶部154に記憶された充電量−寿命マップMAPを用いて、走行パターン抽出部352によって抽出された走行パターンごとに蓄電装置Bの寿命を予測する。
【0127】
使用コスト予測部358は、記憶部154に記憶された蓄電装置Bの交換コストCOST3を用いて、走行パターン抽出部352によって抽出された走行パターンごとに蓄電装置Bの使用コストを予測する。
【0128】
表示制御部360は、表示装置162の表示状態を制御する。充電指令出力部362は、表示装置162において利用者により選択されたメニューに対応する充電量分の充電を実行するために、動力出力装置150へ出力される信号CHRGを活性化し、設定された充電量の充電がなされると、信号CHRGを非活性化する。
【0129】
以上のように、この実施の形態3においては、エネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストの予測演算が車両10B側で実施される。したがって、この実施の形態3によれば、車両10Bと充電ステーション30との間で走行履歴や充電指令などを通信する必要がなく、車両10Bと充電ステーション30との間で通信を行なうための通信インターフェースを設ける必要がなくなる。
【0130】
[実施の形態4]
この実施の形態4では、実施の形態2において充電ステーション30側で行なわれる処理が全て車両において実施される。
【0131】
図19は、実施の形態4における車両の概略構成図である。図19を参照して、車両10Cは、図14に示した実施の形態2における車両10Aの構成において、モデム156を含まず、記憶部154をさらに含み、車両ECU152Aおよびナビゲーション装置160に代えてそれぞれ車両ECU152Cおよびナビゲーション装置160Aを含む。
【0132】
ナビゲーション装置160Aは、地図情報として道路勾配に関する情報も有する。そして、ナビゲーション装置160Aは、利用者により目的地が設定されると、その目的地、目的地までの走行経路およびその走行経路の道路勾配に関する情報、ならびに目的地までの走行距離などを含む走路情報を車両ECU152Cへ出力する。
【0133】
また、ナビゲーション装置160Aは、図17に示した表示装置162の機能を併せて有する。すなわち、ナビゲーション装置160Aは、複数の走行パターンごとに、車両ECU152Cによって予測される次回走行時のエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストを充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量と関連付けて表示する。
【0134】
車両ECU152Cは、ナビゲーション装置160Aから受ける走路情報に基づいて、複数の走行パターンについて、車両10Bの次回走行時のエネルギーコストを予測するとともに、充電ステーション30から蓄電装置Bへの充電量に応じた蓄電装置Bの寿命を予測し、その予測される寿命に基づいて、蓄電装置Bへの充電量に応じた蓄電装置Bの使用コストを予測する。
【0135】
記憶部154は、車両10Cのエネルギーコストおよび蓄電装置Bの使用コストを車両ECU152Cにおいて予測演算するための各種データを記憶している。なお、車両10Cのその他の構成は、車両10Aと同様である。
【0136】
図20は、図19に示した車両ECU152Cの機能ブロック図である。図20を参照して、車両ECU152Cは、図18に示した実施の形態3における車両ECU152Bの構成において、走行履歴収集部350を含まず、走行パターン抽出部352に代えて走行状態予測部364を含む。
【0137】
走行状態予測部364は、ナビゲーション装置160Aから受ける走路情報に基づいて、複数の走行パターンについて走行状態を予測する。具体的には、複数の走行パターンについて、エンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を予測する。
【0138】
そして、エネルギーコスト予測部354は、走行パターンごとに、走行状態予測部364によって予測されたエンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量を用いて燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測する。また、寿命予測部356は、走行パターンごとに、走行状態予測部364によって予測された蓄電装置Bの電力消費量を用いて蓄電装置Bの寿命を予測する。なお、車両ECU152のその他の機能については、実施の形態3で説明したとおりである。
【0139】
以上のように、この実施の形態4においては、実施の形態3における走行履歴に代えてナビゲーション装置160Aにより設定される走路情報が用いられる。したがって、この実施の形態4によれば、車両側において走行履歴を収集することなく、さらに、車両10Cと充電ステーション30との間で通信を行なうための通信インターフェースを設ける必要もない。
【0140】
なお、上記の実施の形態2,4においては、ナビゲーション装置160,160Aにより設定された走行経路に基づいて、複数の走行パターンについてコストおよび充電量が予測されるが、その走行経路上にたとえば排ガス規制地域や騒音規制地域などが含まれる場合、その地域ではEV走行を行なうものとして走行状態(エンジン204の燃料消費量および蓄電装置Bの電力消費量)を予測し、その予測された走行状態に基づいてコストおよび充電量を予測演算するようにしてもよい。
【0141】
また、そのような規制地域が走行経路に含まれる場合、図11に示した表示装置34のメニュー選択画面において、たとえば、充電量が少なくEV走行距離が短くなる「電池長寿命走行」を選択できないようにしたり、「満充電」が強制的に選択されるようにしてもよい。
【0142】
また、上記の実施の形態1,2においては、エネルギーコストおよび蓄電装置の使用コストを充電ECU32において予測演算するための各種データをサーバ40が有するものとしたが、充電ステーション30や車両10,10Aにおいて利用者が設定できるようにしてもよい。また、上記の実施の形態3,4においては、上記の各種データは記憶部154に記憶されているものとしたが、同様に利用者が設定できるようにしてもよく、あるいは、車両外部のサーバ等から無線等でダウンロードできるようにしてもよい。
【0143】
また、上記の実施の形態1,2においては、車両10,10Aと充電ステーション30との間の通信は、接続ケーブル20(電力線ACL1,ACL2)を介して行なうPLC(Power Line Communication)通信で行なうものとしたが、別途通信線を設けてもよいし、無線によって通信を行なってもよい。
【0144】
また、上記の各実施の形態においては、充電ステーション30からの充電電力をモータジェネレータMG1,MG2の中性点に与え、インバータ220,230を用いて充電ステーション30から蓄電装置Bの充電を行なうものとしたが、充電ステーション30からの充電電力を受ける充電専用のインバータを別途設けてもよい。
【0145】
また、上記の各実施の形態においては、車両10,10A〜10Cは、動力分割機構203によりエンジン204の動力を車軸とモータジェネレータMG1とに分割して伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車両について説明したが、この発明は、その他の形式のハイブリッド車両にも適用可能である。すなわち、たとえば、モータジェネレータMG1を駆動するためにのみエンジン204を用い、モータジェネレータMG2でのみ車両の駆動力を発生する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド車両や、エンジンを主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車両などにもこの発明は適用可能である。
【0146】
また、この発明は、昇圧コンバータ210を備えない車両にも適用可能である。
なお、上記において、充電ECU32,32Aにおける制御は、実際には、CPU(Central Processing Unit)によって行なわれ、CPUは、図13,16に示したフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図13,16に示したフローチャートに従って処理を実行する。したがって、ROMは、図13,16に示したフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取可能な記録媒体に相当する。
【0147】
なお、上記において、表示装置34,162およびナビゲーション装置160Aは、この発明における「報知部」の一実施例に対応し、充電指令出力部122,362は、この発明における「充電指令生成部」の一実施例に対応する。また、エンジン204は、この発明における「内燃機関」の一実施例に対応し、モータジェネレータMG1およびインバータ220は、この発明における「発電装置」の一実施例を形成する。さらに、モータジェネレータMG2は、この発明における「電動機」の一実施例に対応し、インバータ220,230、モータジェネレータMG1,MG2およびMG−ECU240は、この発明における「充電装置」の一実施例を形成する。
【0148】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】この発明の実施の形態1による充電制御システムの全体図である。
【図2】図1に示す車両の概略構成図である。
【図3】図2に示す動力出力装置の概略構成図である。
【図4】蓄電装置のSOCと走行モードとの関係を説明するための図である。
【図5】図3に示すMG−ECUの機能ブロック図である。
【図6】図1に示す車両における走行履歴収集処理に関するフローチャートである。
【図7】図3に示すインバータおよびモータジェネレータの零相等価回路を示した図である。
【図8】図1に示す充電ECUの機能ブロック図である。
【図9】走行パターン抽出部によって抽出される走行パターンの一例を示した図である。
【図10】蓄電装置への充電量とその寿命との関係の一例を示した図である。
【図11】表示装置におけるメニュー選択画面の一例を示した図である。
【図12】表示装置におけるコスト表示画面の一例を示した図である。
【図13】図1に示す充電ECUの制御構造を説明するためのフローチャートである。
【図14】実施の形態2における車両の概略構成図である。
【図15】実施の形態2における充電ECUの機能ブロック図である。
【図16】実施の形態2における充電ECUの制御構造を説明するためのフローチャートである。
【図17】実施の形態3における車両の概略構成図である。
【図18】図17に示す車両ECUの機能ブロック図である。
【図19】実施の形態4における車両の概略構成図である。
【図20】図19に示す車両ECUの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
10,10A〜10C 車両、20 接続ケーブル、30 充電ステーション、32,32A 充電ECU、34,162 表示装置、40 サーバ、112,352 走行パターン抽出部、114,354 エネルギーコスト予測部、116,356 寿命予測部、118,358 使用コスト予測部、120,360 表示制御部、122,362 充電指令出力部、124,364 走行状態予測部、150 動力出力装置、152,152A〜152C 充電ECU、154 記憶部、156 モデム、158 コネクタ、160,160A ナビゲーション装置、202 車輪、203 動力分割機構、204 エンジン、205 燃料タンク、206 燃料センサ、210 昇圧コンバータ、220,230 インバータ、220A,230A 上アーム、220B,230B 下アーム、240 MG−ECU、252 電圧センサ、254 電流センサ、256 温度センサ、310 コンバータ制御部、312 第1のインバータ制御部、314 走行モード制御部、316 充電制御部、318 第2のインバータ制御部、350 走行履歴収集部、ACL1,ACL2 電力線、B 蓄電装置、C1,C2 コンデンサ、PL1,PL2 正極線、NL1,NL2 負極線、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両の充電制御装置であって、
走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測するエネルギーコスト予測部と、
前記蓄電装置への充電量と前記蓄電装置の寿命との関係を用いて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の寿命を予測する寿命予測部と、
前記寿命予測部によって予測される前記蓄電装置の寿命に基づいて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の使用コストを予測する使用コスト予測部と、
前記エネルギーコストおよび前記蓄電装置の使用コストを前記蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知する報知部と、
前記利用者の指示に従って、前記電源から前記蓄電装置への充電の実行を指示する指令を生成する充電指令生成部とを備える電動車両の充電制御装置。
【請求項2】
前記電動車両は、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能な前記蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
走行時の走行履歴を収集して記憶する走行履歴収集部と、
前記車両外部の電源から電力を受けて前記蓄電装置を充電可能に構成された充電装置とを含み、
前記エネルギーコスト予測部は、前記走行履歴収集部によって収集された走行履歴に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測し、
前記寿命予測部は、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命を予測する、請求項1に記載の電動車両の充電制御装置。
【請求項3】
前記電動車両は、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能な前記蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
走行経路を設定可能なナビゲーション装置と、
前記車両外部の電源から電力を受けて前記蓄電装置を充電可能に構成された充電装置とを含み、
前記エネルギーコスト予測部は、前記ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測し、
前記寿命予測部は、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命を予測する、請求項1に記載の電動車両の充電制御装置。
【請求項4】
前記電動車両は、前記蓄電装置の充電状態を示す状態量の目標が未設定である第1のモードと前記状態量の目標が設定される第2のモードとを含む走行モードの切替を制御する走行モード制御部をさらに含む、請求項2または請求項3に記載の電動車両の充電制御装置。
【請求項5】
前記走行モード制御部は、前記充電装置による前記蓄電装置の充電完了後、前記走行モードを前記第1のモードとし、前記状態量の目標を示す規定値近傍に前記状態量が低下すると、前記走行モードを前記第2のモードに切替え、その後、前記状態量が前記規定値近傍になるように前記発電装置による発電を制御する、請求項4に記載の電動車両の充電制御装置。
【請求項6】
充放電可能な蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
車両外部の電源から電力を受けて前記蓄電装置を充電可能に構成された充電装置と、
走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測するエネルギーコスト予測部と、
前記蓄電装置への充電量と前記蓄電装置の寿命との関係を用いて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の寿命を予測する寿命予測部と、
前記寿命予測部によって予測される前記蓄電装置の寿命に基づいて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の使用コストを予測する使用コスト予測部と、
前記エネルギーコストおよび前記蓄電装置の使用コストを前記蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知する報知部と、
前記利用者の指示に従って、前記充電装置による前記電源から前記蓄電装置への充電を制御する充電制御部とを備える電動車両。
【請求項7】
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
走行時の走行履歴を収集して記憶する走行履歴収集部とをさらに備え、
前記蓄電装置は、前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能であり、
前記エネルギーコスト予測部は、前記走行履歴収集部によって収集された走行履歴に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測し、
前記寿命予測部は、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命を予測する、請求項6に記載の電動車両。
【請求項8】
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
走行経路を設定可能なナビゲーション装置とをさらに備え、
前記蓄電装置は、前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能であり、
前記エネルギーコスト予測部は、前記ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量を算出し、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストをそれぞれ予測し、
前記寿命予測部は、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命を予測する、請求項6に記載の電動車両。
【請求項9】
前記蓄電装置の充電状態を示す状態量の目標が未設定である第1のモードと前記状態量の目標が設定される第2のモードとを含む走行モードの切替を制御する走行モード制御部をさらに備える、請求項7または請求項8に記載の電動車両。
【請求項10】
前記走行モード制御部は、前記充電装置による前記蓄電装置の充電完了後、前記走行モードを前記第1のモードとし、前記状態量の目標を示す規定値近傍に前記状態量が低下すると、前記走行モードを前記第2のモードに切替え、その後、前記状態量が前記規定値近傍になるように前記発電装置による発電を制御する、請求項9に記載の電動車両。
【請求項11】
車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能に構成された電動車両の充電制御方法であって、
走行時のエネルギー消費量に基づいて次回走行時のエネルギーコストを予測するステップと、
前記蓄電装置への充電量と前記蓄電装置の寿命との関係を用いて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の寿命を予測するステップと、
その予測された前記蓄電装置の寿命に基づいて、前記蓄電装置への充電量に応じた前記蓄電装置の使用コストを予測するステップと、
前記エネルギーコストおよび前記蓄電装置の使用コストを前記蓄電装置への充電量と関連付けて利用者に対して報知するステップと、
前記利用者の指示に従って、前記電源から前記蓄電装置への充電の実行を指示する指令を生成するステップとを備える、電動車両の充電制御方法。
【請求項12】
前記電動車両の走行時の走行履歴を収集するステップをさらに備え、
前記電動車両は、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能な前記蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
前記車両外部の電源から電力を受けて前記蓄電装置を充電可能に構成された充電装置とを含み、
前記エネルギーコストを予測するステップにおいて、前記走行履歴を収集するステップにおいて収集された走行履歴に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量が算出され、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストがそれぞれ予測され、
前記蓄電装置の寿命を予測するステップにおいて、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命が予測される、請求項11に記載の電動車両の充電制御方法。
【請求項13】
前記電動車両は、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力を用いて発電可能に構成された発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電可能な前記蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
走行経路を設定可能なナビゲーション装置と、
前記車両外部の電源から電力を受けて前記蓄電装置を充電可能に構成された充電装置とを含み、
前記エネルギーコストを予測するステップにおいて、前記ナビゲーション装置によって設定された走行経路に基づいて前記内燃機関の燃料消費量および前記蓄電装置の電力消費量が算出され、その算出された燃料消費量および電力消費量に基づいて次回走行時の燃料コストおよび電力コストがそれぞれ予測され、
前記蓄電装置の寿命を予測するステップにおいて、前記算出された前記蓄電装置の電力消費量を前記充電装置による前記蓄電装置への充電量として前記蓄電装置の寿命が予測される、請求項11に記載の電動車両の充電制御方法。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の電動車両の充電制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−278559(P2008−278559A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115889(P2007−115889)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】