説明

電子回路装置とこれを用いた電子機器、およびその製造方法

【課題】層間接続を簡易かつ高信頼性化が可能な電子回路装置の提供。
【解決手段】本発明の電子回路装置は、第1配線層101と、前記第1配線層101の上面に実装された電子部品105と、前記第1配線層101の上に配置されて前記第1配線層101にバンプ118を介して電気的に接続された第2配線層104と、前記第1配線層101と前記第2配線層104との間であって前記電子部品105の周囲に配置されて前記バンプ118によって貫通された絶縁性樹脂からなる接着層108とを備え、前記第2配線層104と前記バンプ118は、導電性接着剤125によって接続された構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路装置とこれを用いた電子機器、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の電子回路装置について、図8を用いて説明する。図8は、従来の電子回路装置の断面図である。
【0003】
図8において、従来の電子回路装置は、第1配線層201と、第1配線層の上面に実装された電子部品205と、第1配線層201の上に配置されて第1配線層201にバンプ218を介して電気的に接続された第2配線層204と、第1配線層201と第2配線層204との間であって電子部品205の周囲に配置されてバンプ218によって貫通された絶縁性樹脂からなる接着層208とを有する。
【0004】
なお、この技術の先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−7472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の電子回路装置を例えば電子機器のマザーボード(図示せず)に実装すべくリフロー炉に入れて加熱する際、電子回路装置が膨張する。このとき、第2配線層204とバンプ218とは単に圧接されているだけなので、この電子回路装置の膨張により、第2配線層204とバンプ218との接続信頼性が劣化するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、電子回路装置内部のバンプと配線層との接続信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の電子回路装置は、第2配線層とバンプは、導電性接着剤によって接着された構成である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、電子回路装置を例えば電子機器のマザーボード(図示せず)に実装すべくリフロー炉に入れて加熱する際、電子回路装置が膨張しても、第2配線層とバンプとは導電性接着剤によって接着されているので、接続信頼性が劣化することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下に、本発明の電子回路装置とこれを用いた電子機器、およびその製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態1による電子回路装置の断面図である。
【0011】
実施の形態1の電子回路装置100は、図1(a)に示すように、第1配線層101と、この第1配線層101上に設けられた第2配線層104および電子部品105とを備える。第1配線層101の上面には第1導電性パターン102及び第2導電性パターン106が設けられている。この第1配線層101は、絶縁層が熱硬化性樹脂からなる多層配線基板である。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂またはBTレジン(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)を用いることができる。エポキシ樹脂は耐熱性が高いために特に好ましい。第1導電性パターン102や第2導電性パターン106は電気導電性を有する物質から成り、例えば、Cu箔や導電性樹脂組成物から成る。本発明においては、第1導電性パターン102や第2導電性パターン106として、Cu箔を用いている。また、第1配線層101に含まれるインナービア113は、例えば、Cuめっきによる金属材料や、金属粒子と熱硬化性樹脂とを混合した導電性樹脂組成物などの熱硬化性の導電性物質から成る。導電性物質中の金属粒子としては、Au、AgまたはCuなどを用いることができる。Au、AgまたはCuは導電性が高いために好ましく、Cuは導電性が高くマイグレーションも少なく、また、低コストであるため特に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は耐熱性が高いために特に好ましい。
【0012】
第1配線層101の上面にある第1導電性パターン102上にはAuめっき膜を形成している。このAuめっき膜の形成方法は、例えば、下地金属に無電解めっき法によってNiめっきを行い、Niめっき上に同じく無電解めっき法によってAuめっき膜を形成する方法である。なお、Auめっき膜形成方法については、上述した方法に限らず種々の方法によって実現することが可能であるが、後に電子部品105を実装した際の電気的導通を安定化するためには、第1導電性パターン102の最表層にはAuめっき膜が形成されていることが重要である。
【0013】
このAuめっき膜が形成された第1導電性パターン102上に、電子部品105が実装されている。電子部品105としては、LCR等のチップ部品からなる受動部品や半導体部品を用いることができる。半導体部品としては、例えばバンプ110が形成された半導体ベアチップICがフリップ・チップ実装されたものである。バンプ110の材料としては、Au線によるAuスタッドバンプ、めっきによるAuまたははんだバンプ、導電性ペーストによるAgバンプ等簡易な方法で形成可能なバンプを用いることができる。なお上述した方法に限らず種々の方法でバンプ110を形成しても良い。半導体ベアチップICのフリップ・チップ実装方法については、実装時に補助材料を用いないAu−Au直接接続方式やはんだバンプによるはんだ接続方式を用いることができるが、上記した方法に限らず半導体ベアチップICをフェイスダウンで実装するフリップ・チップ実装方式であるならいずれの方法も使用可能である。また、実装補助材111として、ACF(Anisotropic Conductive Film;異方性導電フィルム)やNCF(Non Conductive Film;絶縁性フィルム)を用いるAuバンプによる圧接接続方式や、フリップ・チップ実装後に半導体ベアチップICと第1配線層101の間にアンダーフィルを充填する方式を用いることができる。なお、上記した方法に限らず、実装補助材111を用いて半導体ベアチップICをフェイスダウンで実装するフリップ・チップ実装方式であるならいずれの方法も使用可能である。
【0014】
なお、電子部品105としてチップ部品を使用した場合には、実装材料としては、はんだや導電性接着剤を用いることができる。はんだとしては、Sn−Ag系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Zn系、Au−Zn系などの材料が使用可能であるが、これらの材料に限らず電子部品105を実装できる材料であるならいずれの材料も使用可能である。ただし、はんだは、環境汚染物質であるPbを含有しない材料であることが重要である。また、導電性接着剤としては、Au、AgまたはCuなどの金属粒子とエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂とを混合した材料を使用することができる。その中でもAgとエポキシ樹脂の組み合わせは、導電性が高いと共に耐熱性が高いため特に好ましい。
【0015】
第1配線層101上には、接着層108を介して第2配線層104が積層されている。接着層108としては、ガラス織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシプリプレグ、ガラス織布に熱硬化性のビスマレイミド・トリアジン樹脂を含浸させたBTレジンプリプレグ、アラミド不織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたアラミドプリプレグ等を使用することが可能であるが、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させた構造であれば、様々な材料を使用することが可能である。また、接着層108として、織布または不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ以外にも、二酸化珪素やアルミナ等の無機フィラーと熱硬化性樹脂との混合物を用いる事も可能である。
【0016】
第2配線層104は、表裏面に第3導電性パターン115、第4導電性パターン116を有し、絶縁層が熱硬化性樹脂からなる配線基板である。第1配線層101と同様に、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂またはBTレジンを用いることができる。エポキシ樹脂は耐熱性が高いために熱硬化性樹脂として特に好ましい。第3導電性パターン115や第4導電性パターン116は電気導電性を有する物質から成り、例えば、Cu箔や導電性樹脂組成物から成る。本発明においてはCu箔を用いている。なお、本発明において第2配線層104は2層構成としているが、2層構成に限らず多層配線基板を用いてもよい。また、第2配線層内の層間接続を行う方法としては、インナービア構造、スルーホール構造等一般的なプリント配線板の接続方法を用いることができる。なお、第1配線層101、接着層108、第2配線層104の材料選択は任意に行うことが可能であるが、同種の材料で構成する方が熱膨張係数の差が大きくならず、また、反り防止に対しても効果的に働き、高信頼性の保つ上で特に好ましい。
【0017】
第1配線層101と第2配線層104間の電気的接続は、第2導電性パターン106と第3導電性パターン115間に形成したバンプ118および導電性接着剤125によって行われる。第2導電性パターン106および第3導電性パターン115は、バンプ118および導電性接着剤125との接続を良好に行うため表面にAuめっき膜を形成している。なお、Auめっき膜の代わりにパターン表面を粗化する手法を用いてもよい。バンプ118としては、Au線によるAuスタッドバンプ、Cu線によるCuスタッドバンプ、Al線によるAlスタッドバンプなどの金属バンプまたは金属めっき膜で構成されている。Auスタッドバンプは材質が軟らかく、接続安定性が高いため特に好ましい。導電性接着剤125としては、Au、AgまたはCuなどの金属粒子とエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂とを混合した材料を使用することができる。その中でもAgとエポキシ樹脂の組み合わせは、導電性が高いと共に耐熱性が高いため特に好ましい。
【0018】
バンプ118と導電性接着剤125の位置関係に関しては、例えば、図1(a)に示すように、第1配線層101側にバンプ118が形成され、第2配線層104側に導電性接着剤125が形成されている構成が挙げられる。本発明において重要なことは、第1配線層101と第2配線層104の間にバンプ118と導電性接着剤125の両方が同時に存在し、バンプ118および導電性接着剤125を介して第1配線層101と第2配線層104を電気的に接続を取ることである。
【0019】
尚、図1においては、第2配線層104は第1配線層101上の電子部品105に位置する部分を開口した構造としている。更に、第2配線層104の開口部は電子部品105の形状より大きく設定し、第2配線層104と電子部品105は互いに接しないように配置していると共に、第1配線層101上に積層した第2配線層104の上面の第1配線層101からの高さは、第1配線層101上に実装した電子部品105の上面の第1配線層101からの高さより高く設定している。
【0020】
図1(a)の構造完成後、図1(b)に示すように、第1配線層101の電子部品105実装面の反対面に、LCR等のチップ部品からなる受動部品や半導体部品からなる表層部品120および金属ケース121を実装して電子回路装置100とすることができる。この電子回路装置100は第4導電性パターン116によりマザーボード(図示せず)へ実装することが可能である。
【0021】
以上の構成により、第2配線層104を第1配線層101に接続することで、第1配線層101の両面を電子部品105および表層部品120の実装面として使用することが可能となり、片面実装構造と比べて、電子回路装置100の小型化を実現することができる。このとき、第1配線層101と第2配線層104を電気的に接続する手段として、バンプ118のみではなく、バンプ118の他に導電性接着剤125も使用することで、接続信頼性の高い電子回路装置100とすることが可能となるものである。
【0022】
次に本発明の電子回路装置の製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態1による電子回路装置の製造工程断面図である。
【0024】
図2(a)に示すように、多層配線基板からなる第1配線層101の上面に配置した第1導電性パターン102にはAuめっき膜が形成されている。その後、図2(b)に示すように、電極上にバンプ110を形成した半導体ベアチップICからなる電子部品105を第1導電性パターン102上へフリップ・チップ実装する。本発明においては、バンプ110の高さは20μm、電子部品105の厚さは150μmとしている。ただし、あくまでこれらのサイズは一例を示すものであって、このサイズに限定するものではない。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、第1配線層101上の第2導電性パターン106上にバンプ118を形成する。バンプ118としては、Au線によるAuスタッドバンプ、Cu線によるCuスタッドバンプ、Al線によるAlスタッドバンプを用いることができる。Auスタッドバンプは材質が軟らかく、接続安定性が高いため特に好ましい。なお、第2導電性パターン106の表面は、バンプ118の形成を容易に行うためにAuめっき膜を形成しておくことや、Auめっき膜を形成する代わりにパターン表面をエッチング等により粗化する手法を用いてもよい。また、バンプ118としては、金属スタッドバンプ以外にも金属めっき膜からなるめっきバンプを使用することも可能である。なお、バンプ118にめっきバンプを用いる場合には、図2(b)に示す第1配線層101上に電子部品105を実装する前に、予め第1配線層101上の第2導電性パターン106にバンプ118を形成しておき、その後電子部品105を第1配線層101上に実装する手順とする方が、電子部品105を実装した後にバンプ118を形成する手順とするより合理的となる。また、金属スタッドバンプを用いる場合であっても、バンプ118として金属スタッドバンプ形成後、電子部品105を実装する手順とすることも当然可能である。なお、本発明においては、第2導電性パターン106上に形成したバンプ118の高さを100μmとしている。ただし、あくまでサイズは一例を示すものであって、このサイズに限定するものではない。
【0026】
次に、図2(d)に示すように、2層基板からなり、表裏面に第3導電性パターン115および第4導電性パターン116を有すると共に開口部131を有する第2配線層104の第3導電性パターン115上に導電性接着剤125を塗布する。導電性接着剤125は、例えば、スクリーン印刷法、ディスペンス法、転写法等により所望の形状を形成する。ただし、例示した手法に限らず、様々な手法を用いることが可能である。なお、本発明においては、第2配線層104の厚みは、第3導電性パターン115および第4導電性パターン116の厚みを含んで総厚200μmとしているが、第2配線層104は2層基板に限定するものではなく、当然多層基板であっても構わない。ただし、あくまでこれらのサイズは一例を示すものであって、このサイズに限定するものではない。
【0027】
また別の工程で、図2(e)に示すように、未硬化状態の熱硬化性樹脂からなる絶縁性樹脂を含む接着層108を準備し、この接着層108について、後に第1配線層101と重ね合わせた際に電子部品105とバンプ118に対応する位置に、第1空隙134、第2空隙135を形成しておく。本発明においては、60μm厚のガラス織布にエポキシ樹脂を含浸させた初期厚80μmのプリプレグを使用している。ただし、あくまでこれらの材料やサイズは一例を示すものであって、この材料やサイズに限定するものではない。なお、電子部品105に対応する第1空隙134は電子部品105のサイズより大きな空間としておくことが重要である。電子部品105のサイズより大きな空間とすることで、後の積層時に接着層108と電子部品105が直接接触して電子部品105を破壊するという問題を回避することができる。また、第2空隙135についてもバンプ118より大きな空間としておくことが重要であるが、更に、第2配線層104上に形成している導電性接着剤125のサイズより大きな空間としておくことが最も重要となる。何故なら、第2空隙135が導電性接着剤125のサイズより小さい場合、後の積層時に、導電性接着剤125のすべてが第2空隙135内に入りきらず、接着層108と第2配線層104間に挟まれることになり、その結果、隣接する電極間に導電性接着剤125が広がり、積層後にショート不良を引き起こす場合があるからである。従って、第2空隙135は積層時に導電性接着剤125が触れないように大きく設定しておかなければならない。ただし、第1空隙134、第2空隙135はそれぞれ個別に形成するだけでなく、複数個の第2空隙135を一つの空間にまとめたり、またはすべての第1空隙134、第2空隙135を一体化して電子部品105およびバンプ118のすべてを囲む大きな空間としても良い。複数個の第1空隙134を一つにまとめたり、第1空隙134および第2空隙135のすべてを囲む大きな空間とする利点は、空間を作製する工程を簡素化することができることである。
【0028】
次に、図2(f)に示すように、電子部品105およびバンプ118を形成した第1配線層101上に、第1空隙134、第2空隙135を形成した接着層108と、導電性接着剤125を形成した第2配線層104を、バンプ118と導電性接着剤125が対向するように順に重ね合わせる。なお、第1配線層101、接着層108、第2配線層104は積層後の基板の反りや変形を防止するために、同一組成の材料であることが望ましいが、異種材料を使用する場合には、熱膨張係数差の小さい材料を選択することが重要である。
【0029】
次に、図2(g)に示すように、重ね合わせたそれぞれの構成材料をプレス機(図示せず)により、例えば200℃で加熱しながら4MPaの圧力で加圧を行うことで、バンプ118を第2配線層104上の導電性接着剤125に押し当てて接触させる。この時、加熱・加圧することで接着層108に含まれる熱硬化性樹脂が押し流されながら硬化して第1配線層101と第2配線層104を固定するため、加熱・加圧工程完了後の接着層108の厚みは80μmからガラス織布の厚みの60μmまで薄くなる。従って、バンプ118は接着層108の厚みと略同等の60μmまで押し潰されながら第1配線層101と第2配線層104間に存在することとなる。この様に、バンプ118が押し潰されながら第2配線層104上の導電性接着剤125に接触し、導電性接着剤125が硬化されるため、安定した電気的導通を行うことができるのである。また、加熱・加圧工程によって接着層108を薄くしながら硬化させ、第2配線層104を第1配線層101上に固定するのであるが、加熱・加圧工程終了後に電子部品105の実装高さより第2配線層104の高さの方が高くなるようにそれぞれの材料の厚みを考慮して設計することが重要である。このことにより、電子部品105実装後の第1配線層101上へ、接着層108を用いて第2配線層104を積層する工程をプレス機による加熱・加圧工程により実現することができるものである。
【0030】
その後、図2(h)に示すように、第1配線層101の電子部品105実装面の反対面に、LCR等のチップ部品からなる受動部品や半導体部品からなる表層部品120および金属ケース121を実装して電子回路装置100とすることができる。この電子回路装置100は第4導電性パターン116によりマザーボード(図示せず)へ実装することが可能である。
【0031】
以下、実施の形態1に示す電子回路装置およびその製造方法の特徴について説明する。
【0032】
本発明の電子回路装置およびその製造方法においては、独立した第1配線層101と第2配線層104間の接続をバンプ118を用いて行う際に、第1配線層101上の第2導電性パターン106とバンプ118の界面は、金属スタッドバンプであっても、めっきバンプであってもどちらも合金が形成されているため、非常に信頼性の高い電気的接続がなされているものである。しかし、一方のバンプ118の頂点と第2配線層104との接続は、加熱・加圧工程のみではその接続界面に合金を形成することは困難であるため、単なる圧接のみでは電気的接続が不安定になるという問題点に対し、バンプ118と第2配線層104間に導電性接着剤125を介在させることで、接続信頼性の高い電気的接続へと改善することが可能となるものである。更に、通常凹部を形成した配線基板を準備し、この凹部内に電子部品を実装して電子回路装置を作製する手法を用いることに対して、平坦な第1配線層101上に電子部品105を実装してから第2配線層104を積層することで、凹部内への電子部品の実装と比較して、電子部品105の実装を非常に容易に行うことが可能となると共に、第1配線層101の両面を有効に使って電子部品105や表層部品120を実装することが可能となるので、片面実装構造と比べて、電子回路装置100の小型化を実現することができるものである。
【0033】
以上に示すように、本実施の形態1によれば、電子回路装置100を例えば電子機器のマザーボード(図示せず)に実装すべくリフロー炉に入れて加熱する際、電子回路装置100が膨張しても、第2配線層104とバンプ118とは導電性接着剤125によって接着されているので、接続信頼性が劣化することを抑制することができる。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2について図を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態2による電子回路装置の製造工程断面図である。なお、特に説明しない限りは実施の形態1と同一の構造については、同一番号を付与して説明を省略する。
【0035】
実施の形態2における実施の形態1との主な相違点は、図3(c)に示すように、電子部品105を実装した第1配線層101上の第2導電性パターン106上に導電性接着剤125を形成し、図3(d)に示すように、第2配線層104上の第3導電性パターン115側にバンプ118を形成しており、バンプ118と導電性接着剤125を形成する位置を逆転させている点である。この様にバンプ118と導電性接着剤125は第1配線層101と第2配線層104間に存在して第1配線層101と第2配線層104間の電気的接続を取るものであるが、両材料が共存して配置されていることが重要であって、配置の仕方は任意に設定することが可能である。なお、その他の構造については実施の形態1と同一の特性を有するものである。
【0036】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3について図を用いて説明する。図4は本発明の実施の形態3による電子回路装置の製造工程断面図である。なお、特に説明しない限りは実施の形態1および実施の形態2と同一の構造については、同一番号を付与して説明を省略する。
【0037】
実施の形態3における実施の形態1および実施の形態2との主な相違点は、図4(d)に示すように、第1配線層101上に形成したバンプ118の登頂部分に導電性接着剤125を塗布する工程とすることである。バンプ118の登頂部分への導電性接着剤125の塗布方法は、例えばスクリーン印刷法、ディスペンス法、転写法等を用いることができるが、上述した方法に限らず、様々な方法により導電性接着剤125を塗布することが可能である。本実施の形態に示すように、導電性接着剤125を予めバンプ118上に塗布しておくことで、導電性接着剤125のバンプ118に対する濡れ状態が増し、更に良好な電気的導通を実現することが可能となる。
【0038】
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4について図を用いて説明する。図5は本発明の実施の形態4による電子回路装置の製造工程断面図である。なお、特に説明しない限りは実施の形態1〜3と同一の構造については、同一番号を付与して説明を省略する。
【0039】
実施の形態4における実施の形態1〜3との主な相違点は、図5(d)に示すように、第2配線層104上に形成したバンプ118の登頂部分に導電性接着剤125を塗布する工程とすることである。バンプ118の登頂部分への導電性接着剤125の塗布方法は、実施の形態1〜3と同様に、例えばスクリーン印刷法、ディスペンス法、転写法等を用いることができるが、上述した方法に限らず、様々な方法により導電性接着剤125を塗布することが可能である。本実施の形態に示すように、導電性接着剤125を予めバンプ118上に塗布しておくことで、導電性接着剤125のバンプ118に対する濡れ状態が増し、更に良好な電気的導通を実現することが可能となる。
【0040】
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5について図を用いて説明する。図6は本発明の実施の形態5による電子回路装置200の製造工程断面図である。なお、特に説明しない限りは実施の形態1〜4と同一の構造については、同一番号を付与して説明を省略する。
【0041】
実施の形態5における実施の形態1〜4との主な相違点は、図6(d)に示すように、開口部を有さない第2配線層104を使用し、この第2配線層104と第1配線層101との間に接着層108を介在させて、電子部品105を内蔵する構造としているところである。この時、図6(g)に示すように、加熱・加圧工程により第1配線層101と接着層108と第2配線層104を一体化させる際に、接着層108から絶縁性樹脂103を流出させて電子部品105の周囲を絶縁性樹脂103で覆うと共に、接着層108に形成した空間134内に絶縁性樹脂103を充満している。従って、本実施の形態5によれば、電子部品内蔵基板を製造することも可能である。なお、本実施の形態5による電子部品内蔵基板構造において、図6(h)に示す表層部品120や金属ケース121を第1配線層101側に形成するだけでなく、第2配線層104側に形成することも可能である。また、第1配線層101と第2配線層104間にあって両者の電気的接続を実現するバンプ118および導電性接着剤125の形成方法は、実施の形態1〜4に記載する電子回路装置の製造方法と同種の手法を用いることが可能である。即ち、図6に示すバンプ118と導電性接着剤125の位置関係はあくまで一例として図示しているものである。
【0042】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、図7に示すように、本発明の電子回路装置100または200を用い、アンテナ301と表示装置302をそれぞれ接続することによって、電子機器300とすることができることを示している。なお、本発明の電子回路装置100または200は上述した構成に留まらず、様々な部品、装置と接続することによって各種電子機器とすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明における電子回路装置とこれを用いた電子機器、およびその製造方法は、電子部品実装後の第1配線層上に、別の第2配線層を電気的導通を取りながら貼り付けることで3次元実装構造を容易に作製することが可能となるため、例えば、超小型の3次元実装モジュールの製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)(b)は、本発明の実施の形態1における電子回路装置の断面図
【図2】(a)〜(h)は、本発明の実施の形態1における電子回路装置の製造工程断面図
【図3】(a)〜(h)は、本発明の実施の形態2における電子回路装置の製造工程断面図
【図4】(a)〜(i)は、本発明の実施の形態3における電子回路装置の製造工程断面図
【図5】(a)〜(h)は、本発明の実施の形態4における電子回路装置の製造工程断面図
【図6】(a)〜(h)は、本発明の実施の形態5における電子回路装置の製造工程断面図
【図7】本発明の電子回路装置を用いた電子機器の一例を示す図
【図8】従来の電子回路装置の断面図
【符号の説明】
【0045】
100 電子回路装置
101 第1配線層
102 第1導電性パターン
104 第2配線層
105 電子部品
106 第2導電性パターン
108 接着層
110 バンプ
111 実装補助材
113 インナービア
115 第3導電性パターン
116 第4導電性パターン
118 バンプ
120 表層部品
121 金属ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層と、
前記第1配線層の上面に実装された電子部品と、
前記第1配線層の上に配置されて前記第1配線層にバンプを介して電気的に接続された第2配線層と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間であって前記電子部品の周囲に配置されて前記バンプによって貫通された絶縁性樹脂からなる接着層とを備え、
前記第2配線層と前記バンプは、導電性接着剤によって接続された電子回路装置。
【請求項2】
第1配線層と、
前記第1配線層の上面に実装された電子部品と、
前記第1配線層の上に配置されて前記第1配線層にバンプを介して電気的に接続された第2配線層と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間であって前記電子部品の周囲に配置されて前記バンプによって貫通された絶縁性樹脂からなる接着層とを備え、
前記第1配線層と前記バンプは、導電性接着剤によって接続された電子回路装置。
【請求項3】
前記第2配線層は、前記電子部品の上面を露出させる開口部を有する請求項1または請求項2に記載の電子回路装置。
【請求項4】
前記第2配線層は、前記電子部品の上面を覆うように配置された請求項1または請求項2に記載の電子回路装置。
【請求項5】
前記バンプは金属線を用いた金属バンプまたは金属めっきによるめっきバンプからなる請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電子回路装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の電子回路装置と、
この電子回路装置に接続された表示装置とが搭載された電子機器。
【請求項7】
第1配線層上に電子部品を実装する工程と、
前記第1配線層上にバンプを形成する工程と、
前記電子部品の実装エリアより大きな第1空隙と前記バンプの形状より大きな第2空隙を設けた未硬化状態の絶縁性樹脂を含む接着層を準備する工程と、
第2配線層上に導電性接着剤を塗布する工程と、
前記第1配線層上の所望の位置に前記接着層と前記第2配線層を前記バンプおよび前記導電性接着剤が前記第1配線層と前記第2配線層の内側になるように順に重ね合わせる工程と、
前記第1配線層と前記接着層と前記第2配線層とを加熱しながら加圧して前記接着層内の前記絶縁性樹脂を硬化して一体化すると共に前記第1配線層上の前記バンプと前記第2配線層上の前記導電性接着剤を直接接触させながら前記導電性接着剤を硬化して電気的に接続する工程とを備えた電子回路装置の製造方法。
【請求項8】
第1配線層上に電子部品を実装する工程と、
前記第1配線層上に導電性接着剤を塗布する工程と、
第2配線層上にバンプを形成する工程と、
前記電子部品の実装エリアより大きな第1空隙と前記バンプの形状より大きな第2空隙を設けた未硬化状態の絶縁性樹脂を含む接着層を準備する工程と、
前記第1配線層上の所望の位置に前記接着層と前記第2配線層を前記導電性接着剤および前記バンプが前記第1配線層と前記第2配線層の内側になるように順に重ね合わせる工程と、
前記第1配線層と前記接着層と前記第2配線層とを加熱しながら加圧して前記接着層内の前記絶縁性樹脂を硬化して一体化すると共に前記第1配線層上の前記導電性接着剤と前記第2配線層上の前記バンプを直接接触させながら前記導電性接着剤を硬化して電気的に接続する工程とを備えた電子回路装置の製造方法。
【請求項9】
第1配線層上に電子部品を実装する工程と、
前記第1配線層上にバンプを形成する工程と、
前記バンプ上に導電性接着剤を塗布する工程と、
前記電子部品の実装エリアより大きな第1空隙と前記バンプおよび前記導電性接着剤の形状より大きな第2空隙を設けた未硬化状態の絶縁性樹脂を含む接着層を準備する工程と、
前記第1配線層上の所望の位置に前記接着層と前記第2配線層を前記バンプおよび前記導電性接着剤が前記第1配線層と前記第2配線層の内側になるように順に重ね合わせる工程と、
前記第1配線層と前記接着層と前記第2配線層とを加熱しながら加圧して前記接着層内の前記絶縁性樹脂を硬化して一体化すると共に前記バンプ上の前記導電性接着剤を前記第2配線層に直接接触させながら前記導電性接着剤を硬化して前記バンプおよび前記導電性接着剤を介して前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続する工程とを備えた電子回路装置の製造方法。
【請求項10】
第1配線層上に電子部品を実装する工程と、
第2配線層上にバンプを形成する工程と、
前記バンプ上に導電性接着剤を塗布する工程と、
前記電子部品の実装エリアより大きな第1空隙と前記バンプおよび前記導電性接着剤の形状より大きな第2空隙を設けた未硬化状態の絶縁性樹脂を含む接着層を準備する工程と、
前記第1配線層上の所望の位置に前記接着層と前記第2配線層を前記バンプおよび前記導電性接着剤が前記第1配線層と前記第2配線層の内側になるように順に重ね合わせる工程と、
前記第1配線層と前記接着層と前記第2配線層とを加熱しながら加圧して前記接着層内の前記絶縁性樹脂を硬化して一体化すると共に前記バンプ上の前記導電性接着剤を前記第1配線層に直接接触させながら前記導電性接着剤を硬化して前記バンプおよび前記導電性接着剤を介して前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続する工程とを備えた電子回路装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2空隙は、前記導電性接着剤の塗布領域より大きな形状である請求項7または請求項8に記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2配線層は、前記電子部品の上面を露出させる開口部を有する請求項7から請求項11のいずれか1つに記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2配線層は、前記電子部品の上面を覆うように配置された請求項7から請求項11のいずれか1つに記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項14】
前記電子部品の周囲には前記接着層から流出して硬化形成された前記絶縁性樹脂が存在する請求項7から請求項13のいずれか1つに記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項15】
前記バンプは金属線を用いた金属バンプまたは金属めっきによるめっきバンプからなる請求項7から請求項14のいずれか1つに記載の電子回路装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−16414(P2009−16414A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173675(P2007−173675)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】