説明

電子装置および電子装置の製造方法

【課題】接続信頼性の高く、かつ、基板設計における設計自由度の高い電子装置および電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】主面に電極が形成された電子素子11と、一方の面は配線パターン12aが形成され、他方の面はパッド電極16を含んでいるインターポーザ基板12と、一方の面にパッド電極19を含んでいるマザー基板18とを含み、電子素子11の電極と配線パターン12aとが、第1のバンプ13を介して電気的に接続されて接続部が形成されることで、電子素子11がインターポーザ基板12上に対面した状態で実装され、接続部が、封止樹脂14で封止され、パッド電極16およびパッド電極19とが、第2のバンプ17を介して電気的に接続されて接続部が形成されることで、インターポーザ基板12がマザー基板18上に実装され、電子素子11とインターポーザ基板12との接続領域が、パッド電極16のピッチ間に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置および電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の小型化および高機能化のために、半導体素子を実装したパッケージ部品と、マザー基板を接続する方法の一つとして、ボールグリッドアレイ(BGA)接続が用いられている。BGA接続は、パッケージ部品側のインターポーザ基板表面に格子状に電極を形成し、その上に半田ボールを搭載して半田バンプを作製し、半田バンプを介してパッケージ部品とマザー基板とを接続する方法である。BGA接続によれば、インターポーザ基板表面全体を使って電極が形成でき、接続端子高さも半田バンプ高さであるため、入出力端子数を増加させ、配線を短縮することができる。この結果、前述の電子装置を、小型化および高機能化することが可能である。
【0003】
一方、このBGA接続には、パッケージ部品とマザー基板との熱膨張係数の差により、パッケージ部品とマザー基板とを接続している半田バンプに応力が発生し、この応力により半田バンプが破壊し、電気的接続を確保できなくなるという接続信頼性の課題がある。前記半田バンプの応力の抑制には、パッケージ部品のインターポーザ基板の熱膨張係数とマザー基板の熱膨張係数とを合わせることが有効である。しかし、インターポーザ基板には、半導体素子が封止接続して実装されている。半導体素子の封止接続は、パッケージ部品自体の接続信頼性を確保する上で重要であるが、インターポーザ基板上に半導体素子を封止接続して実装することが、BGA接続の半田バンプの接続信頼性を低下させる要因になっていた。すなわち、たとえ、インターポーザ基板とマザー基板との熱膨張係数を合わせていたとしても、インターポーザ基板上の封止接続部分の熱膨張係数は、マザー基板と異なってしまう。そのため、封止接続した直下にあたるBGA接続の半田バンプには応力が発生するからである。
【0004】
前記課題に対して、BGA構造の接続信頼性を確保する目的で、例えば、半導体素子を封止した樹脂層の外周に相当する部分(応力がかかりやすい部分)に半田バンプが配置されない禁止区域を設けることが検討されている(例えば、特許文献1〜4参照)。図8に、特許文献1に記載の電子装置の一例の構成を示す。図示のとおり、この電子装置100は、半導体素子101と、インターポーザ基板102と、マザー基板108とを備える。前記インターポーザ基板102は、裏面に半田バンプ107がアレイ状に配置され、前記インターポーザ基板102の主面には、前記半導体素子101が封止樹脂104で封止されて実装されている。前記半田バンプ107は、配置禁止区域105には設けられていない。前記封止樹脂104の外周が、前記インターポーザ基板102の主面に接触する部分に対応する位置を中心とした幅Lの領域が前記配置禁止区域105である。前記配置禁止区域105の幅Lと、前記封止樹脂104の厚さt1とを、所定の比率とすることで、前記半田バンプ107への応力の集中をより防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−176980号公報
【特許文献2】特開2007−317754号公報
【特許文献3】特開2008−60587号公報
【特許文献4】特開2008−252152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1から4に記載の電子装置では、前記配置禁止区域の内側の半田バンプについては、依然として半導体素子の実装による応力が生じることとなる。したがって、応力が特にかかりやすい箇所の半田バンプの破壊に起因する接続不良は回避できるものの、他に応力が生じている箇所の接続信頼性に対しては、根本的に解決されたとはいえない。例えば、半導体素子直下の全ての半田バンプを除去することで、接続信頼性は向上するとも考えられる。しかし、この場合、半導体素子のサイズが大きくなると、半田バンプ形成指定禁止区域が大きくなり、これに伴い、基板設計上の制約が大きくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、接続信頼性が高く、かつ、基板設計における設計自由度の高い電子装置および電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の電子装置は、
電子素子と、インターポーザ基板と、マザー基板とを含み、
前記電子素子の主面に電極が形成されており、
前記インターポーザ基板の一方の面は、配線パターンが形成された配線面であり、他方の面は、インターポーザ基板側パッド電極を含み、
前記マザー基板は、一方の面にマザー基板側パッド電極を含み、
前記電子素子の電極と前記配線パターンとが、第1のバンプを介して電気的に接続されて第1の接続部が形成されることで、前記電子素子が、前記インターポーザ基板上に、前記主面と前記配線面とが対面した状態で実装され、
前記第1の接続部が、封止樹脂で封止されて接続領域が形成され、
前記インターポーザ基板側パッド電極と前記マザー基板側パッド電極とが、第2のバンプを介して電気的に接続されて第2の接続部が形成されることで、前記インターポーザ基板が前記マザー基板上に実装され、
前記電子素子と前記インターポーザ基板との前記接続領域が、前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電子装置の製造方法は、
電子素子の主面の外周部に第1のバンプ電極を形成する工程と、
一方の面に配線パターンが形成された配線面であり、他方の面はパッド電極を含んでいるインターポーザ基板の前記配線面に、前記パッド電極のピッチ間に対応する位置に選択的に封止樹脂を塗布する工程と、
前記封止樹脂を塗布した前記配線面と、前記主面とを、位置合わせをして対面させ、前記第1のバンプ電極と前記配線パターンとを電気的に接続し、前記電子素子と前記インターポーザ基板上に対面した状態で実装する実装工程と、
前記封止樹脂を硬化する封止工程と、
前記インターポーザ基板のパッド電極上に第2のバンプを形成する工程と、
一方の面にパッド電極を含んでいるマザー基板の前記パッド電極を含む側の面と、前記インターポーザ基板上に形成した前記第2のバンプとを位置合わせをして対面させ、前記第2のバンプを介し、前記インターポーザ基板と前記マザー基板とを電気的に接続する工程と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続信頼性が高く、かつ、基板設計における設計自由度の高い電子装置および電子装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本発明の電子装置の実施形態1における一例の構成を示す平面図である。(b)は、(a)に示す電子装置のI−I方向に見た断面図である。
【図2】前記電子装置の製造方法の一例を説明する断面図である。
【図3】本発明の電子装置の実施形態2における一例の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の電子装置の実施形態3における一例の構成を示す断面図である。
【図5】図4に示した前記電子装置の製造方法の一例を説明する断面図である。
【図6】本発明の電子装置の実施形態4における一例の構成を示す断面図である。
【図7】図6に示した前記電子装置の製造方法の一例を説明する断面図である。
【図8】特許文献1記載の電子装置における一例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、BGA接続の第2のバンプに発生する応力を抑制して接続信頼性を向上させることができ、さらに、基板設計における設計自由度の高い電子装置および電子装置の製造方法を提供することができる。すなわち、本発明の電子装置では、前記電子素子と前記インターポーザ基板との封止接続領域が、前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間に配置されているため、前記インターポーザ基板と前記マザー基板とを電気的に接続するBGA接続における第2のバンプでの応力発生を抑制することができる。したがって、本発明によれば、電子素子とインターポーザ基板とがフリップチップ方式にて封止接続され、前記インターポーザ基板と前記マザー基板とがBGAにて接続された、接続信頼性に優れた電子装置を提供できる。
【0013】
また、本発明の電子装置の製造方法では、前記電子素子と前記インターポーザ基板との封止接続領域が、BGA接続の第2のバンプピッチ間に限定されているため、BGA接続のバンプ配置に禁止区域を設けてバンプを除去する必要がない。したがって、製造効率が高く、基板設計における設計自由度も向上した電子装置の製造方法を提供できる。
【0014】
以下、本発明の電子装置および電子装置を製造する方法について、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0015】
(実施形態1)
図1に、本実施形態の電子装置の一例の構成を示す。図1(a)は、本実施形態の電子装置の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のI−I方向に見た断面図である。前記両図において、同一部分には、同一符号を付している。前記両図に示すとおり、この電子装置10は、半導体素子11と、インターポーザ基板12と、マザー基板18とを備える。前記半導体素子11における主面(図1(b)において下側の面)には、第1のバンプ13(電極)が形成されている。第1のバンプ13は半導体素子11の外周部に限定して配置されている。前記インターポーザ基板12は、一方の面(図1(b)において上側の面)は配線パターン12aが形成された配線面であり、他方の面(図1(b)において下側の面)はインターポーザ基板側パッド電極16を含んでいる。前記マザー基板18は、一方の面にマザー基板側パッド電極19を含んでいる。前記半導体素子11と前記配線パターン12aとが、前記半導体素子11に形成された第1のバンプ13を介して電気的に接続されて第1の接続部が形成されることで、前記半導体素子11が前記インターポーザ基板12上に、前記主面と前記配線面とが対面した状態で実装されている。そして、前記第1の接続部は、封止樹脂14で封止されて接続領域Aが形成されている。前記インターポーザ基板側パッド電極16と前記マザー基板側パッド電極19とは、第2のバンプ17を介して電気的に接続されて第2の接続部が形成されることで、前記インターポーザ基板12が前記マザー基板18上に実装されている。そして、前記半導体素子11と前記インターポーザ基板12との接続領域A(封止領域)が、前記インターポーザ基板側パッド電極16のピッチ間に配置されている。なお、本発明において、半導体素子、基板等の「主面」は、最も広い表面をいい、例えば、いわゆる上面もしくは下面、または表面もしくは裏面をいう。
【0016】
本実施形態の電子装置では、前述のとおり、インターポーザ基板12とマザー基板18とをBGA方式により第2のバンプ17で電気的に接続する。前記半導体素子11とインターポーザ基板12とを封止接続している封止エリアが、インターポーザ基板12とマザー基板18とを接続する第2のバンプ17のピッチ間に配置されている。このような構造とすることで、半導体素子11とマザー基板18との熱膨張係数差に起因する応力が第2のバンプ17に直接伝わることを防止し、第2のバンプ17の接続信頼性を向上させることができる。
【0017】
なお、このような構成として、例えば、半導体素子11とインターポーザ基板12とを接続する第1のバンプ13の径を100μm、インターポーザ基板12とマザー基板18とを接続する第2のバンプ17について、径を400μm、ピッチを800μmとする。その場合、第2のバンプ17のピッチ間の距離は400μmとなり、チップサイズやBGAのバンプ配置を調整することで第2のバンプ17のピッチ間(パッド電極16のピッチ間)に限定して封止エリア(接続領域)を配置することは十分に可能である。ただし、これらの数値は一例であり、本発明を限定しない。また、本発明において、パッド電極、第2のバンプ等の「ピッチ」は、複数のパッド電極、第2のバンプ等がほぼ等間隔で配置されている場合における、前記間隔をいう。前記「ほぼ等間隔」は、前記複数のパッド電極、第2のバンプ等の配置間隔が、厳密に等しくなくても、例えば、±20%以下の誤差を有していても良い。前記誤差は、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、理想的には0である。また、「ピッチ間」は、前記の場合において、特定のパッド電極、第2のバンプ等の端から、隣接するパッド電極、第2のバンプ等の端までの領域をいい、前記パッド電極、第2のバンプ等が配置された面と反対側の面における、前記領域に対応する領域も含む。「ピッチ間距離」は、前記の場合において、特定のパッド電極、第2のバンプ等の端から、隣接するパッド電極、第2のバンプ等の端までの距離をいう。本発明の電子装置は、前述のとおり、前記電子素子と前記インターポーザ基板との前記接続領域が、前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間に配置されていることを特徴とする。この場合における「ピッチ間」は、前記インターポーザ基板において、前記パッド電極が配置された面と反対側の面における、前記パッド電極のピッチ間である。前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間距離は、前記接続領域の配置のしやすさからは、小さすぎないことが好ましく、前記インターポーザ基板と前記マザー基板の接続信頼性の観点からは、大きすぎないことが好ましい。前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間距離は、特に制限されないが、例えば、200〜1000μm、好ましくは400〜600μmである。
【0018】
また、本実施形態の電子装置では、前記半導体素子11と前記インターポーザ基板12との接続部(前記「第1の接続部」)の封止が、前記半導体素子11の外周部領域Aでなされており、前記外周部領域Aの内側の内部領域は、前記封止樹脂14が実質的に存在しない中空部15となっている。本実施形態では、中空部15には、封止樹脂14が存在していないが、本発明は、この例に限定されない。中空部15には、例えば、封止樹脂14が実質的に存在していなければよい。前記「実質的に存在しない」とは、例えば、BGA接続を行なっている第2のバンプ17の接続信頼性に影響を与えない程度に、封止樹脂14が中空部15に存在していてもよいことを意味する。
【0019】
本実施形態の電子装置では、電子素子として、半導体素子を用いている。前記半導体素子の実装時の形態は、特に制限されず、例えば、パッケージされていても、パッケージされていなくてもよい。前記実装時の形態としては、例えば、CSP(Chip Size Package)、ベアチップ等があげられる。なお、本実施形態の電子装置に用いられる電子素子は、前述の半導体素子に限定されず、従来公知の電子素子を使用することができる。
【0020】
前記パッド電極の材料は、特に制限されない。パッド電極16(インターポーザ基板側)およびパッド電極19(マザー基板側)は、どちらも後述する配線パターンの材料と同じ材料でも良いが、例えば、表面にNi層を数μm程度形成したのちに、Auを0.03〜0.05μm程度形成してもよい。
【0021】
前記インターポーザ基板としては、特に制限されず、従来公知の基板を使用できるが、後述するマザー基板と熱膨張係数を合わせておくことが好ましい。前記基板は、例えば、有機基板、無機基板等があげられる。前記有機基板としては、例えば、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板、液晶ポリマー基板、テフロン(登録商標)基板等があげられる。前記無機基板としては、例えば、ガラスセラミック基板等があげられる。これらの基板は、単体で用いてもよいし、例えば、AlやCu等の金属板等と一体化したメタルベース基板として用いてもよい。
【0022】
前記インターポーザ基板には、前述のとおり、前記半導体素子回路面に対応する箇所に、配線パターンが形成されている。前記配線パターンの材料は、特に制限されず、従来公知の材料を使用できる。前記配線パターンの材料としては、例えば、CuまたはCuの表面にNi、Au、半田等の層を形成した材料等があげられる。
【0023】
前記第1のバンプとしては、特に制限されず、従来公知のものを使用できる。前記第1のバンプとしては、例えば、Au、Cu、半田等があげられる。前記半田は、特に制限されず、例えば、Sn/Pb、Sn/Ag、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Bi、Sn/Sb、またはこれらの材料に特定の添加元素をさらに加えた材料等があげられる。
【0024】
前記第1のバンプを形成する方法は、特に制限されず、従来公知の方法が使用できる。前記形成方法としては、例えば、メッキ法、バンプボンダを使用する方法、印刷法、ボール法、スパッタ法、蒸着法、打ち抜き法等があげられる。これらの方法を2種類以上組合せて使用してもよい。前記Auバンプを形成するには、バンプボンダを使用する方法、メッキ法を使用することが好ましい。前記Cuバンプを形成するには、メッキ法を使用することが好ましい。前記半田バンプを形成するには、メッキ法、印刷法、ボール法を使用することが好ましい。前記印刷法を使用して半田バンプを形成するには、例えば、メタルマスク等を使用して電極上に半田を印刷し、リフローした後にフラックスを除去洗浄する。前記ボール法を使用して半田バンプを形成するには、例えば、電極上に塗布したフラックスに半田ボールを転写して、リフローした後にフラックスを除去洗浄する。また、メッキ法を使用してCuの先端に半田が形成されたバンプも、本実施形態の電子装置に使用可能である。
【0025】
半導体素子とインターポーザ基板とを接続している第1のバンプは、周囲を封止樹脂によって保護されている。前記封止樹脂の材料は、特に制限されず、従来公知の材料が使用できる。前記材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フルオレン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。これらの材料は、それぞれ単体で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、室温(約25℃)で液状であるものが好ましい。また、前記材料は、前述の例示のように、熱硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂でもよいが、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。
【0026】
前記第1のバンプとして半田を用いる場合は、前記封止樹脂にフラックス作用を付加することが好ましい。硬化時の加熱によりフラックス作用が発現して、半田の酸化膜を除去することができ、第1のバンプとインターポーザ基板との接続性が向上する。前記封止樹脂にフラックス作用を与えるには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの不飽和酸、蓚酸、マロン酸などの有機二酸、クエン酸などの有機酸をはじめ、炭化水素の側鎖に、ハロゲン基、水酸基、ニトリル基、ベンジル基、カルボキシル基等を少なくとも1つ以上を添加することにより可能である。また、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの不飽和アルコール、トリメリット酸、テトラメリット酸、および、一般的に知られているキレート剤を用いることもできる。このような前記フラックス作用を有する剤は、二種以上組合せて用いることもできる。なお、フラックスには、公知のゲル化剤を含むこともできる。
【0027】
前記内部空間への前記絶縁樹脂の浸入を抑制する観点から、前記封止樹脂の粘度は、高いことが好ましい。一方、前記第1の接続部周囲に前記封止樹脂を充填させて、前記第1の接続部を確実に封止する観点から、前記封止樹脂の粘度は、低いことが好ましい。両観点から、前記封止樹脂の粘度は、例えば、約5Pa・s以上である。ただし、前記封止樹脂の粘度は、前述の例に限定されず、半導体素子の主面、インターポーザ基板の配線面および封止樹脂の濡れ性等に応じて適宜決定すればよい。なお、前記封止樹脂を前記第1のバンプの周囲のみに存在させるためには、例えば、後述する製造方法における実装工程の選定と樹脂供給量の制御により、前記封止樹脂による封止の範囲を制御できる。
【0028】
前記封止樹脂には、例えば、シリカフィラー等の充填剤が充填されていてもよい。前記充填剤により、例えば、封止時の封止樹脂の粘度増大、および硬化後の封止樹脂の弾性率増大による熱膨張係数低減が可能となる。封止時の封止樹脂の粘度増大により、前記内部空間への封止樹脂の浸入抑制をより確実にすることができる。また、硬化後の封止樹脂の弾性率の増大および熱膨張係数の低減により、樹脂封止後の前記第1の接続部(接続領域)の接続信頼性が向上する。本実施形態の電子装置では、前記第1の接続部付近のみが樹脂封止されているため、封止樹脂への充填剤の充填による接続信頼性の向上が顕著である。エポキシ樹脂に、例えば、シリカフィラーを約50重量%の割合で充填した場合、樹脂注入時、約40℃の温度条件で、例えば、樹脂粘度約5Pa・S以上となる。そして、約150℃の硬化条件で硬化させることにより、例えば、弾性率約8GPaおよび熱膨張係数約35ppm/℃の封止樹脂を得ることができる。前記シリカフィラーの充填割合は、特に制限されないが、例えば、約50重量%以上であり、好ましくは約65重量%以上である。
【0029】
前記第2のバンプは、特に制限されず、従来公知のものを使用できる。前記第2のバンプとしては、例えば、半田等があげられる。前記半田は、特に制限されず、例えば、Sn/Pb、Sn/Ag、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Bi、Sn/Sb、またはこれらの材料に特定の添加元素をさらに加えた材料等があげられる。前記第2のバンプを形成する方法は、特に制限されず、従来公知の方法が使用できるが、例えば、前記第1のバンプと同様の方法で形成することができる。また、例えば、高耐熱性樹脂のボールを用意し、その周りに銅、半田層をコーティングした、樹脂コア半田ボールを前記第2のバンプとして使用することもできる。
【0030】
前記マザー基板としては、特に制限されず、従来公知の基板を使用できるが、例えば、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ板の表面にCu配線により回路パターンを形成したプリント配線板を用いることができる。前述したとおり、前記マザー基板と前記インターポーザ基板12との熱膨張係数を合わせて、前記第2のバンプに実装後の応力がかかりにくくしておくことが、前記第2のバンプの接続信頼性を向上させる上で好ましい。
【0031】
つぎに、図2に基づき、本実施形態の電子装置の製造方法を説明する。同図において、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態の電子装置の製造方法では、封止樹脂として、熱硬化性樹脂を用いた場合を例にとり説明する。本実施形態の電子装置の製造方法は、第1のバンプ電極形成工程と、封止樹脂塗布工程と、実装工程と、封止工程と、第2のバンプ形成工程と、接続工程とを有する。図2(a)は、第1のバンプ電極形成工程および封止樹脂塗布工程を示し、図2(b)は、実装工程および封止工程を示し、図2(c)は、第2のバンプ形成工程を示し、図2(d)は、接続工程を示す。
【0032】
〔第1のバンプ電極形成工程および封止樹脂塗布工程〕
まず、第1のバンプ電極形成工程および封止樹脂塗布工程について説明する。図2(a)に示すように、半導体素子11とインターポーザ基板12とを用意する。まず、半導体素子11の主面の外周部に第1のバンプ13(バンプ電極)を形成する。前記第1のバンプ13は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、第1のバンプにAuを使用し、加熱加圧による熱圧着によってインターポーザ基板12と接続する場合は、インターポーザ基板12表面にプラズマ洗浄等を行い、インターポーザ基板12表面の不純物を除去しておくことでバンプ接続性が向上する。続いて、インターポーザ基板12上の第1のバンプ13が接続される箇所(配線パターン12a上)に、あらかじめ、部分的に未硬化の封止樹脂14を塗布する。この際、封止樹脂14の供給量が多すぎると封止樹脂14が第1のバンプ13の周囲にとどまらず、半導体素子11の中央部にまで入り込み、供給量が少なすぎると第1のバンプ13の周囲を十分に保護することができなくなり、第1のバンプ13の接続信頼性が低下する場合があるので、供給量を調整することが好ましい。封止樹脂14の供給量は、目的とする封止エリアから供給すべき体積を算出して目安を決定することができ、算出量をもとに、使用する封止樹脂14の粘度や濡れ広がり性、硬化性等に合わせて、供給量を微調整することで、封止樹脂14を第1のバンプ13の周囲のみに限定することが可能となる。ここで第1のバンプ13に半田を用いる場合は、半田表面に存在する半田酸化膜を除去して接続する必要がある。その一例として、封止樹脂14にフラックス作用を付加し、第1のバンプ13の接続時に封止樹脂14に付加したフラックス作用を発現させて、第1のバンプ13の酸化膜を除去することで良好な接続を得ることが可能となる。封止樹脂14に酸化膜除去作用を付加する方法は、上述したとおりである。
【0033】
〔実装工程および封止工程〕
つぎに、まず、実装工程および封止工程について説明する。第1のバンプ13を形成した半導体素子11を、インターポーザ基板12に位置合わせし、加熱加圧により第1のバンプ13をインターポーザ基板12上の配線パターン12aと接続するとともに、封止樹脂14の硬化を進める。これにより、半導体素子11とインターポーザ基板12との電気的接続が完了する。この状態を図2(b)に示す。前記封止樹脂塗布工程において、封止樹脂14供給量を微調整することで、封止樹脂14を第1のバンプ13の周囲のみに限定し、半導体素子11中央部に中空部15を形成することが可能となる。このとき、封止接続されたエリアは、次工程のBGA接続における第2のバンプ17のピッチ間(パッド電極16のピッチ間)になるように配置されている。
【0034】
本工程において、半導体素子11とインターポーザ基板12とを第1のバンプ13を介して接続する場合には、第1のバンプ13溶融中に、半導体素子11の位置制御を行うことが好ましい。このようにすることで、半導体素子11とインターポーザ基板12との隙間の距離を、より厳密に調整することが可能となる。前記半導体素子11の位置制御を行う方法は、特に制限されず、従来公知の方法が使用できる。前記半導体素子11の位置制御を行うには、例えば、フリップチップマウンタ一を使用する。
【0035】
〔第2のバンプ形成工程〕
つぎに、第2のバンプ形成工程について説明する。図2(c)に示すように、インターポーザ基板12に第2のバンプ17を形成する。第2のバンプ17の形成方法は、例えば、第2のバンプ17が半田バンプである場合、次のとおりである。パッド電極16(インターポーザ基板側)にフラックスを塗布する。そして、パッド電極16位置に合わせて開口したメタルマスクを用いて、半田ボールをパッド電極16上に配置する。この状態で、使用する第2のバンプ17の材質の溶融プロファイルに設定したリフロー炉で、半田ボールを溶融させて、パッド電極16上に半田ボールを溶融接続させることで、第2のバンプの形成が完了する。
【0036】
〔接続工程〕
つぎに、接続工程について説明する。本接続工程は、前記インターポーザ基板12とマザー基板18とを電気的に接続する工程である。マザー基板18のパッド電極19(マザー基板側)上に、前記第2のバンプ17と同じ材質の半田ペースト層を、メタルマスクを用いた印刷により形成する。半導体素子11を封止接続して第2のバンプ17を形成したインターポーザ基板12を、マザー基板18上に位置合わせして搭載し、第2のバンプ17の材質の溶融プロファイルに設定したリフロー炉で、第2のバンプ17とパッド電極19(マザー基板側)上に形成した半田ペースト層とを溶融接続する。
【0037】
このようにして、図2(d)に示すように、本実施形態の電子装置10を製造可能である。ただし、本実施形態の電子装置を製造する方法は、この例に限定されない。例えば、本実施形態においては、第1のバンプ電極形成工程および封止樹脂塗布工程を並行して行ったが、第1のバンプ電極形成工程を行った後に封止樹脂塗布工程を行ってもよい。
【0038】
(実施形態2)
図3に、本実施形態の電子装置の一例の構成を示す。同図において、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態2の電子装置30の実施形態1との違いは、インターポーザ基板12上に形成された壁部31により、半導体素子11の外周部領域と内部領域とが区画され、封止領域Aと中空部15とが仕切られていることである。この場合の封止樹脂14の形成方法は、半導体素子11をインターポーザ基板12に実装した後に、封止樹脂14を半導体素子11とインターポーザ基板12の隙間に毛細管現象により注入する方法でもよいし、実施形態1と同様の方法でもよく、いずれの場合でも壁部31により封止樹脂14が中空部15内へ浸入することがなく、封止樹脂14の制御が不要になるという効果がある。
【0039】
前記壁部31を形成する材料は、特に制限されず、従来公知の材料が使用できる。前記材料は、例えば、絶縁性材料であっても、導電性材料であってもよい。これらの中でも、前記材料は、導電性材料が好ましく、金属であることがより好ましい。前記壁部31が金属であれば、例えば、強度が高いため、壁部31を薄く設計することができ、また微細な加工が容易となる。前記金属としては、例えば、Cu、Al、Ag等があげられる。また、前記絶縁性材料としては、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フルオレン樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。これらの材料は、それぞれ単体で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらの材料には、シリカフィラー等の無機充填剤等が充填されていてもよい。
【0040】
前記壁部31を形成する方法は、特に制限されず、従来公知の方法が使用できる。前記形成方法としては、例えば、材料板を貼り付ける方法、ペーストを硬化する方法、フィルム状樹脂を貼り付ける方法、感光性ソルダーレジストを形成する方法等があげられる。前記ペーストを硬化する方法は、例えば、メタルマスク、スクリーンマスク等を用いた印刷法により所定の箇所に所定の厚みのペーストを供給し、このペーストを硬化させて壁部31を形成する。壁部31を形成する材料が導電性材料の場合には、前記材料板を貼り付ける方法を使用することが好ましい。前記材料板は、特に制限されないが、例えば、導電粒子を充填した樹脂ペーストから形成された板、Cu板、Al板等があげられる。前記導電粒子は、特に制限されないが、例えば、Ag、Cu等の粒子があげられる。なお、予め大きめに形成した前記板を、前記インターポーザ基板12に貼り付けた後、エッチング等により所定のサイズに調整してもよい。前記板を前記インターポーザ基板12に貼り付ける際には、例えば、接着剤等を使用してもよい。
【0041】
前記封止樹脂14の浸入経路を長くするために、壁部31は、半導体素子11の小型化の要請に反しない範囲で、その幅を大きくすることが好ましい。前記幅は、例えば、下限が約20μmであり、上限が約50μmである。
【0042】
上記のように壁部31を形成したインターポーザ基板12を準備することで、実施形態1で示したものと同様の方法で、本実施形態の電子装置30を得ることができる。
【0043】
(実施形態3)
図4に、本実施形態の電子装置の一例の構成を示す。同図において、図1、図3と同一部分には同一符号を付している。本実施形態3の電子装置40の実施形態2との違いは、インターポーザ基板12上に土台部42を形成し、その上に壁部31を形成している。そして、壁部31は、土台部42を介して、インターポーザ基板12に固定されている。このような構成によれば、土台部42が存在しない場合よりも、壁部31とインターポーザ基板12との接合面積が広いために、接合強度が向上し、安定性に優れる効果がある。
【0044】
また、本実施形態の電子装置では、例えば、第1のバンプ13の高さが異なる場合でも、第1のバンプ13の高さに応じて土台部42の厚みを調整することで、微細な壁部31の形状や寸法等を変更することなく、壁部31の高さ位置を適正化することができる。このようにすることで、土台部42が存在せず壁部31の形状や寸法等を変更する場合よりも、壁部31の高さ位置を容易に精度良く適正化できる。この結果、本実施形態の電子装置は、効率よく製造可能であり、かつ製造後の形状安定性にも優れる。また、土台部42の形成の際、例えば、インターポーザ基板12に反りが発生している場合でも、この反りに応じて土台42の厚みを変化させることで、インターポーザ基板12の反りの影響を相殺できる等の効果が得られる。これにより、壁部31に対するインターポーザ基板12の反りの影響を抑えることができるという効果もある。
【0045】
前記土台部42を形成する材料は、特に制限されず、従来公知の材料が使用できる。前記材料は、例えば、絶縁性材料であっても、導電性材料であってもよい。これらの中でも、前記材料は、絶縁性材料であることが好ましく、樹脂であることがより好ましい。前記樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フルオレン樹脂、シリコーン樹脂等があげられる。また、前記導電性材料としては、例えば、Cu、Al、Ag等があげられる。これらの材料は、それぞれ単体で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの材料には、シリカフィラー等の無機充填剤等が充填されていてもよい。
【0046】
前記土台部42を形成する方法は、特に制限されず、従来公知の方法が使用できる。前記形成方法としては、例えば、ペーストを硬化する方法、フィルム状樹脂を貼り付ける方法、感光性ソルダーレジストを形成する方法、材料板を貼り付ける方法等があげられる。前記ペーストを硬化する方法は、例えば、メタルマスク、スクリーンマスク等を用いた印刷法により所定の箇所に所定の厚みのペーストを供給し、このペーストを硬化させて土台部42を形成する。土台部42を形成する材料が導電性材料の場合には、前記材料板を貼り付ける方法を使用することが好ましい。前記材料板は、特に制限されないが、例えば、導電粒子を充填した樹脂ペーストから形成された板、Cu板、Al板等があげられる。前記導電粒子は、特に制限されないが、例えば、Ag、Cu等の粒子があげられる。なお、予め大きめに形成した前記板を、前記インターポーザ基板12の配線面に貼り付けた後、エッチング等により所定のサイズに調整してもよい。前記板を前記インターポーザ基板12の配線面に貼り付ける際には、例えば、接着剤等を使用してもよい。前記土台部42の寸法を調整する方法は、特に制限されないが、例えば、前記土台部42を前述の形成方法で形成した後、切削加工等により寸法を調整してもよい。
【0047】
前記土台部42を形成後、壁部31を形成するが、壁部31の材料及び形成方法は、実施形態2に示したものと同様とすることができる。なお、前記土台部42に樹脂等の柔軟性のある材料を用いれば、前記インターポーザ基板12の反りによる応力を緩和できるとともに、前記壁部31に金属等の硬い材料を用いれば、壁部としての強度も保てる。
【0048】
つぎに、図5に基づき、本実施形態の電子装置40の製造方法を説明する。同図において、図1、図4と同一部分には同一符号を付している。本実施形態の電子装置40の製造方法は、第1のバンプ電極形成工程と、壁部形成工程と、封止樹脂塗布工程と、実装工程と、封止工程と、第2のバンプ形成工程と、接続工程とを有する。図5(a)は、第1のバンプ電極形成工程および壁部形成工程を示し、図5(b)は、実装工程を示し、図5(c)は、封止樹脂塗布工程および封止工程を示し、図5(d)は、第2のバンプ形成工程を示し、図5(e)は、接続工程を示す。
【0049】
インターポーザ基板12上に半導体素子11を位置合わせした状態が図5(a)であり、加熱加圧により第1のバンプ13を介してインターポーザ基板12と半導体素子11の電気的接続を完了した状態が図5(b)である。続いて実装された半導体素子11の側面から、未硬化の封止樹脂14を、例えば、毛細管現象を利用して注入する。この際、使用する樹脂の粘度特性に合わせて、ホットプレートなどを用いてインターポーザ基板12を50〜100℃程度に加熱して封止樹脂14の注入を促進してもよい。封止樹脂14の注入が完了した後、オーブン等を用いて封止樹脂14を硬化した状態が図5(c)である。封止樹脂14にエポキシ樹脂を使用した場合の硬化温度は、80〜150℃程度である。なお、図5では、半導体素子11をインターポーザ基板12上に実装した後に封止樹脂14を毛細管現象により封入する方法を示したが、図2で示したように半導体素子1を搭載する前に、インターポーザ基板12上にあらかじめ封止樹脂14を塗布しておく方法を用いてもよい。いずれの場合でも壁部31により封止樹脂14が中空部15内へ浸入することがなく、封止樹脂14の制御が不要になるという効果がある。続いて、図5(d)に示す第2のバンプ形成工程、および、図5(e)マザー基板18への接続工程は、図2で示した方法と同様に行なうことができる。上記のように土台部42および壁部31を形成したインターポーザ基板12を準備することで、実施形態1で示したものと同様の方法でも、本実施形態の電子装置40を得ることができる。
【0050】
(実施形態4)
図6に、本実施形態の電子装置の一例の構成を示す。同図において、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態4の電子装置60の実施形態1との違いは、中空部15の部分に相当するインターポーザ基板12の表面の少なくとも一部に、凹部63が形成されていることである。半導体素子11とインターポーザ基板12間に毛細管現象により封止樹脂14を注入した場合、凹部63により封止樹脂14の浸入が妨げられるために、封止樹脂14が中空部15内へ浸入することがなく、封止樹脂14の制御が不要になるという効果がある。凹部63は数十μm〜数百μm程度の深さが一般的であるが、深さが深いほど、封止樹脂14の浸入を防ぐ効果が大きい。凹部63の形成方法は、例えば、1層あたりの厚さが数十μmの基材絶縁層を貼り合わせる際に、凹部63を形成したい深さ分の絶縁層に対して、凹部63に相当する位置を打ち抜き等で開口を形成した後、絶縁層を貼り合わせることで形成することができる。
【0051】
つぎに、図7に基づき、本実施形態の電子装置60の製造方法を説明する。同図において、図1、図6と同一部分には同一符号を付している。本実施形態の電子装置60の製造方法は、第1のバンプ電極形成工程と、凹部形成工程と、封止樹脂塗布工程と、実装工程と、封止工程と、第2のバンプ形成工程と、接続工程とを有する。図7(a)は、第1のバンプ電極形成工程および凹部形成工程を示し、図7(b)は、実装工程を示し、図7(c)は、封止樹脂塗布工程および封止工程を示し、図7(d)は、第2のバンプ形成工程を示し、図7(e)は、接続工程を示す。図7に示す製造方法を図5に示す製造方法と比較すると、インターポーザ基板12の状態が異なっているが、それ以外は全く同じプロセスにより、それぞれの電子装置を製造することが可能である。
【0052】
インターポーザ基板12上に半導体素子11を位置合わせした状態が図7(a)であり、加熱加圧により第1のバンプ13を介してインターポーザ基板12と半導体素子11の電気的接続を完了した状態が図7(b)である。続いて実装された半導体素子11の側面から、未硬化の封止樹脂14を、例えば、毛細管現象を利用して注入する。この際、使用する樹脂の粘度特性に合わせて、ホットプレートなどを用いてインターポーザ基板12を50〜100℃程度に加熱して封止樹脂14の注入を促進してもよい。封止樹脂14の注入が完了した後、オーブン等を用いて封止樹脂14を硬化した状態が図7(c)である。封止樹脂14にエポキシ樹脂を使用した場合の硬化温度は、80〜150℃程度である。なお、図7では、半導体素子11をインターポーザ基板12上に実装した後に封止樹脂14を毛細管現象により封入する方法を示したが、図2で示したように半導体素子1を搭載する前に、インターポーザ基板12上にあらかじめ封止樹脂14を塗布しておく方法を用いてもよい。いずれの場合でも凹部63により封止樹脂14が中空部15内へ浸入することがなく、封止樹脂14の制御が不要になるという効果がある。続いて、図7(d)に示す第2のバンプ形成工程、および、図7(e)マザー基板18への接続工程は、図2で示した方法と同様に行なうことができる。上記のように凹部63を形成したインターポーザ基板12を準備することで、実施形態1で示したものと同様の方法でも、本実施形態の電子装置60を得ることができる。
【0053】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0054】
(付記1)電子素子と、インターポーザ基板と、マザー基板とを含み、
前記電子素子の主面に電極が形成されており、
前記インターポーザ基板の一方の面は、配線パターンが形成された配線面であり、他方の面は、インターポーザ基板側パッド電極を含み、
前記マザー基板は、一方の面にマザー基板側パッド電極を含み、
前記電子素子の電極と前記配線パターンとが、第1のバンプを介して電気的に接続されて第1の接続部が形成されることで、前記電子素子が、前記インターポーザ基板上に、前記主面と前記配線面とが対面した状態で実装され、
前記第1の接続部が、封止樹脂で封止されて接続領域が形成され、
前記インターポーザ基板側パッド電極と前記マザー基板側パッド電極とが、第2のバンプを介して電気的に接続されて第2の接続部が形成されることで、前記インターポーザ基板が前記マザー基板上に実装され、
前記電子素子と前記インターポーザ基板との前記接続領域が、前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間に配置されていることを特徴とする電子装置。
【0055】
(付記2)前記電子素子と前記インターポーザ基板との接続部の封止が、前記主面と前記配線面との間の空間における前記電子素子の外周部領域でなされており、前記外周部領域の内側の内部領域が、前記封止樹脂が実質的に存在しない中空部であることを特徴とする、付記1に記載の電子装置。
【0056】
(付記3)前記インターポーザ基板が、前記電子素子の対向面である配線面の表面に壁部を有しており、前記壁部によって、前記主面と前記配線面との間の空間が、前記外周部領域と前記内部領域とに区画されていることを特徴とする、付記2に記載の電子装置。
【0057】
(付記4)前記壁部が、土台部を介して前記インターポーザ基板表面に配置されていることを特徴とする、付記3に記載の電子装置。
【0058】
(付記5)前記壁部と前記土台部とが、異なる材質で形成されていることを特徴とする、付記4に記載の電子装置。
【0059】
(付記6)前記壁部が金属から形成され、前記土台部が樹脂から形成されていることを特徴とする、付記4または5に記載の電子装置。
【0060】
(付記7)前記インターポーザ基板が、前記電子素子の対向面である配線面の表面の少なくとも一部に凹部を有していることを特徴とする、付記1から6のいずれかに記載の電子装置。
【0061】
(付記8)
前記封止樹脂にシリカフィラーが50重量%以上充填されていることを特徴とする、付記1から7のいずれかに記載の電子装置。
【0062】
(付記9)前記電子素子が、半導体素子であることを特徴とする、付記1から8のいずれかに記載の電子装置。
【0063】
(付記10)電子素子の主面の外周部に第1のバンプ電極を形成する工程と、
一方の面に配線パターンが形成され、他方の面にパッド電極を含んでいるインターポーザ基板の、前記配線パターンが形成された配線面に、前記パッド電極のピッチ間に対応する位置に選択的に封止樹脂を塗布する工程と、
前記封止樹脂を塗布した前記配線面と、前記主面とを、位置合わせをして対面させ、前記第1のバンプ電極と前記配線パターンとを電気的に接続し、前記電子素子と前記インターポーザ基板上に対面した状態で実装する実装工程と、
前記封止樹脂を硬化する封止工程と、
前記インターポーザ基板のパッド電極上に第2のバンプを形成する工程と、
一方の面にパッド電極を含んでいるマザー基板の前記パッド電極を含む側の面と、前記インターポーザ基板上に形成した前記第2のバンプとを位置合わせをして対面させ、前記第2のバンプを介し、前記インターポーザ基板と前記マザー基板とを電気的に接続する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0064】
(付記11)さらに、前記実装工程に先立ち、前記配線面の前記電子素子の対向面である表面に壁部を形成する壁部形成工程を含むことを特徴とする、付記10記載の電子装置の製造方法。
【0065】
(付記12)前記壁部形成工程において、前記配線面に土台部を形成し、ついで、前記壁部を前記土台部を介して前記配線面に固定して、前記壁部を形成することを特徴とする、付記11記載の電子装置の製造方法。
【0066】
(付記13)
前記土台部を樹脂から形成し、前記壁部を金属から形成することを特徴とする、付記12記載の電子装置の製造方法。
【0067】
(付記14)
さらに、前記実装工程に先立ち、前記配線面の前記電子素子の対向面である表面の少なくとも一部に凹部を形成する凹部形成工程を含むことを特徴とする、付記10から13のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
10、30、40、60 電子装置
11 半導体素子(電子素子)
12 インターポーザ基板
12a 配線パターン
13 第1のバンプ(バンプ電極)
14 封止樹脂
15 中空部
16 パッド電極(インターポーザ基板側)
17 第2のバンプ
18 マザー基板
19 パッド電極(マザー基板側)
31 壁部
42 土台部
63 凹部
100 電子装置
101 半導体素子
102 インターポーザ基板
104 封止樹脂
105 配置禁止区域
107 半田バンプ
108 マザー基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子と、インターポーザ基板と、マザー基板とを含み、
前記電子素子の主面に電極が形成されており、
前記インターポーザ基板の一方の面は、配線パターンが形成された配線面であり、他方の面は、インターポーザ基板側パッド電極を含み、
前記マザー基板は、一方の面にマザー基板側パッド電極を含み、
前記電子素子の電極と前記配線パターンとが、第1のバンプを介して電気的に接続されて第1の接続部が形成されることで、前記電子素子が、前記インターポーザ基板上に、前記主面と前記配線面とが対面した状態で実装され、
前記第1の接続部が、封止樹脂で封止されて接続領域が形成され、
前記インターポーザ基板側パッド電極と前記マザー基板側パッド電極とが、第2のバンプを介して電気的に接続されて第2の接続部が形成されることで、前記インターポーザ基板が前記マザー基板上に実装され、
前記電子素子と前記インターポーザ基板との前記接続領域が、前記インターポーザ基板側パッド電極のピッチ間に配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記電子素子と前記インターポーザ基板との接続部の封止が、前記主面と前記配線面との間の空間における前記電子素子の外周部領域でなされており、前記外周部領域の内側の内部領域が、前記封止樹脂が実質的に存在しない中空部であることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記インターポーザ基板が、前記電子素子の対向面である配線面の表面に壁部を有しており、前記壁部によって、前記主面と前記配線面との間の空間が、前記外周部領域と前記内部領域とに区画されていることを特徴とする、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記壁部が、土台部を介して前記インターポーザ基板表面に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記壁部と前記土台部とが、異なる材質で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記壁部が金属から形成され、前記土台部が樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記インターポーザ基板が、前記電子素子の対向面である配線面の表面の少なくとも一部に凹部を有していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記封止樹脂にシリカフィラーが50重量%以上充填されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記電子素子が、半導体素子であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項10】
電子素子の主面の外周部に第1のバンプ電極を形成する工程と、
一方の面に配線パターンが形成され、他方の面にはパッド電極を含んでいるインターポーザ基板の、前記配線パターンが形成された配線面に、前記パッド電極のピッチ間に対応する位置に選択的に封止樹脂を塗布する工程と、
前記封止樹脂を塗布した前記配線面と、前記主面とを、位置合わせをして対面させ、前記第1のバンプ電極と前記配線パターンとを電気的に接続し、前記電子素子と前記インターポーザ基板上に対面した状態で実装する実装工程と、
前記封止樹脂を硬化する封止工程と、
前記インターポーザ基板のパッド電極上に第2のバンプを形成する工程と、
一方の面にパッド電極を含んでいるマザー基板の前記パッド電極を含む側の面と、前記インターポーザ基板上に形成した前記第2のバンプとを位置合わせをして対面させ、前記第2のバンプを介し、前記インターポーザ基板と前記マザー基板とを電気的に接続する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−171458(P2011−171458A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33018(P2010−33018)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】