説明

電子部品を接触させるための接触手段および方法

【課題】焼結プリフォームを使用する、少なくとも2つの部品を接続するための方法を提供すること。
【解決手段】本発明のプリフォームは、硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する表面を有する担体を含み、この硬化したペーストは、(a)少なくとも1つの有機化合物を含有するコーティングを有する金属粒子、ならびに(b)(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、(b3)無機酸、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体からなる群から選択される少なくとも1つの焼結助剤を含有し、硬化したペーストを有するこの担体の表面は、当該ペーストの構成成分と反応性ではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結プリフォーム、およびこれらの焼結プリフォームが使用される少なくとも2つの部品を接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー・エレクトロニクスの分野では、圧力および温度への高い感度を有する少なくとも2つの部品、例えばLEDまたは非常に薄いシリコンチップなどの電子部品を有する基板、の接続は、特別の課題を提示する。
【0003】
この理由のため、基板は、接着剤により結合することで、このような圧力および温度に敏感な部品と結合されることが多い。適切な導電接着剤は、通常、銀粒子、熱硬化性ポリマーおよび反応性希釈剤を含有する。しかしながら、接着剤による結合技術は、これが、不十分な熱伝導率および電気伝導率しか有しない、基板と部品との間の接触点を作り出すという短所を有する。
【0004】
この問題を解決するために、基板と電子部品とを焼結によって互いに結合することが提案された。
【0005】
これらの焼結方法は、通常、焼結されることになる金属粉末および溶媒からなるペーストを使用する。
【0006】
この目的のために、特許文献1は、(i)このようなペーストを、接続される対象の電子部品または基板の表面上へと付与すること、(ii)ペーストを部品と基板との間に置いて、部品を基板の上へと付与すること、(iii)このようにして作成された複合材から溶媒を追い出すこと、および(iv)この複合材を焼結すること、を提案する。
【0007】
この焼結方法は、電子部品を基板に信頼性高く接続することを成し遂げる。しかしながら、電子部品および基板の複合材がすでに作成された後まで溶媒が追い出されないということは不都合である、ということが判明してきた。この複合材では、溶媒を含有するペーストは、電子部品の表面および接続対象の基板の表面と接触して存在しているので、単純で迅速な脱気はもはや可能ではなく、そのため、その複合材はより長い間乾燥させる必要がある。
【0008】
この問題を解決するために、特許文献2によれば、ペーストは電子部品または接続対象の基板の表面の上へと付与され、その後ただちに乾燥される。乾燥後に初めて部品が基板の上へと置かれ、この乾燥したペーストは電子部品と基板との間に位置する。この後、このようにして作成された複合材は焼結される。
【0009】
この方法のさらなる発展は特許文献3から公知である。この文献は、ペーストが層として担体箔の上へと付与され、そして乾燥されるということを提案する。その後、1以上の部品が乾燥したペースト層の上へと置かれる。この後、乾燥したペーストと部品との間の接着力を増大させるために、その部品、乾燥したペーストの層、および担体箔から構成される複合材に圧力が加えられ、その結果、この乾燥したペーストはその部品に接着し、従って、担体箔から持ち上げることができる。この乾燥したペーストを具える部品は、その後、基板の上に配置することができ、基板、部品、およびそれらの間に置かれる乾燥したペーストの層から構成される複合材は、焼結することができる。
【0010】
この方法は、合理的で、少なくとも部分的に並行な複数の部品の加工を可能にし、加えて焼結層の構造化された設計も可能にするので、経済性の観点から、この方法は、有利であることは明らかとなった。
【0011】
しかしながら、この方法では、この焼結方法が、他の従来の焼結方法のように、高いプロセス圧力(例えば30MPaを超える)または高いプロセス温度(250℃よりも高い)のいずれかを必要とするということが、短所である。これらの条件は、接続対象の部品への損傷を引き起こすことが多く、そのため、従来の焼結方法は、多くの応用例に対して排除されてしまうしかなかった。
【0012】
特許文献4は、パワー・エレクトロニクスにおける使用のための非常に良好な導電性のおよび熱伝導性の接続層を作ることを可能にする焼結技術を提案する。この焼結プロセスは、アルコール溶媒に加えて、300℃で元素状の銀へと崩壊する銀化合物を含有する金属ペーストを使用する。これらの金属ペーストによって、プロセス圧力を3bar未満まで下げ、かつプロセス温度を250℃未満まで下げることが可能になる。この焼結技術は、基板と圧力および温度に敏感な部品との結合において、非常に大きい品質の向上をもたらす。
【0013】
しかしながら、このプロセス温度をなおさらに下げることは、多くの応用例にとって望ましいであろう。これは、パワー・エレクトロニクスの分野において、結合対象の部品への負荷をより少なくし、これにより構成部品のさらなる品質改善をもたらすであろう。さらには、プロセス温度をなおさらに下げることができれば、エネルギーコストをかなり節約することが可能になろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許第34 14 065(C2)号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 242 626(B1)号明細書
【特許文献3】独国特許第10 2004 019 567(B3)号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2007 046 901(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それゆえ、本発明の目的は、少なくとも2つの部品を接続するための方法であって、プロセスの経済性に関して有利であり、かつ少なくとも部分的には並行的なものであるように、複数の部品の加工が可能になり、同時にまた、焼結された層の構造化された設計、および焼結温度を250℃未満まで下げることも可能になる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、少なくとも2つの部品を接続するための方法であって、
(i)硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する表面を有する担体を含む焼結プリフォームを準備することであって、この硬化したペーストは、(a)少なくとも1つの有機化合物を含有するコーティングを有する金属粒子、ならびに(b)(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、(b3)無機酸、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体からなる群から選択される少なくとも1つの焼結助剤を含有し、この硬化したペーストを有する担体の表面は、当該ペーストの構成成分と反応性ではない、ことと、
(ii)接続対象の表面を有する少なくとも1つの第1の部品および接続対象の表面を有する第2の部品を準備することと、
(iii)この第1の部品と、上記担体と接触して存在する少なくとも1つの構造化要素とから構成される構成物を作成するために、上記焼結プリフォームの担体の表面上の少なくとも1つの構造化要素を、前記接続対象の第1の部品の表面と接触させることと、
(iv)この第1の部品および少なくとも1つの構造化要素から構成される構成物を担体から取り外すことと、
(v)この第1の部品、第2の部品、およびそれらの間に置かれる構造化要素から構成される焼結構成物を作成するために、接続対象の第2の部品の表面を、第1の部品と少なくとも1つの構造化要素とから構成される構成物の少なくとも1つの構造化要素と接触させることと、
(vi)この焼結構成物を焼結することと、
を含む方法によって、成し遂げられる。
【0017】
この方法では、硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する、表面を有する担体を含む焼結プリフォームが使用され、この硬化したペーストは、
(a)少なくとも1つの有機化合物を含有するコーティングを有する金属粒子を含有し、
(b)(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、(b3)無機酸、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体からなる群から選択される少なくとも1つの焼結助剤
を含有し、この硬化したペーストを有する担体の表面は、当該ペーストの構成成分と反応性ではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る方法では、少なくとも2つの部品が互いに接続される。
【0019】
好ましくは、複数の部品が、例えば平面状に、別の部品の上に互いに次々と固定される。
【0020】
用語「部品」は特に限定されない。最も広義に、「部品」は、互いに接続することができる物体を指すと理解されたい。
【0021】
好ましい実施形態によれば、接続対象の部品のうちの1つは電子部品であり、接続対象の他の部品は基板である。
【0022】
特に好ましい実施形態によれば、本発明に係る焼結プリフォームを使用する本発明に係る方法は、基板の上に、複数の電子部品を互いに次々と、例えば平面状に固定する。
【0023】
用語「電子部品」は、一般に、電子機器アセンブリの一部でありうる物体を指すと理解される。好ましい実施形態によれば、これは、さらに分解することはできず、しかも電子回路の部品としての役割を果たすことができる個々の部分であると理解される。この電子部品は、複数の構成部分をユニットとして任意に含むことができる。この電子部品は、例えば、能動素子または受動素子であってもよい。特定の実施形態によれば、この電子部品は高性能電子機器の中で使用される。好ましい実施形態によれば、この電子部品は、ダイオード(例えば、LED、発光ダイオード)、トランジスタ(例えばIGBT、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、絶縁されたゲート電極を具えるバイポーラトランジスタ)、集積回路、半導体チップ、ベアダイ(bare die)、レジスタ、センサ、コンデンサ、コイル、および冷却素子からなる群から選択される。
【0024】
用語「基板」は、一般に、電子部品に接続されうる物体として理解される。好ましい実施形態によれば、基板は、リードフレーム、DCB基板(ダイレクト・カッパー・ボンディッド基板、Direct Copper Bonded substrate)およびセラミック基板からなる群から選択される。
【0025】
好ましい実施形態によれば、以下の電子部品および基板の対が、互いに固定される:LED/リードフレーム、LED/セラミック基板、ダイ/リードフレーム、ダイ/セラミック基板、ダイ/DCB基板、ダイオード/リードフレーム、ダイオード/セラミック基板、ダイオード/DCB基板、IGBT/リードフレーム、IGBT/セラミック基板、IGBT/DCB基板、集積回路/リードフレーム、集積回路/セラミック基板、集積回路/DCB基板、センサ/リードフレーム、センサ/セラミック基板、冷却素子(好ましくは銅またはアルミニウム冷却素子)/DCB、冷却素子(好ましくは銅またはアルミニウム冷却素子)/セラミック基板、冷却素子/リードフレーム、コンデンサ(好ましくはタンタルコンデンサ、より好ましくは収容されていない状態のもの)/リードフレーム。
【0026】
接続対象の部品は、各々、少なくとも1つの金属化層を含むことができる。この金属化層は、例えば純粋な金属または金属合金を有することができる。この金属化層が金属を含む場合、これが、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択されることが好ましい。この金属化層が金属合金を含む場合、これが、銀、金、ニッケル、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含有することが好ましい。この金属化層は多層化構成を有することもできる。さらに好ましい実施形態によれば、この金属化層は、ガラスも含有する。
【0027】
本発明によれば、少なくとも2つの部品の接続は、第1の部品を第2の部品の上に固定することとして理解される。これに関して、「〜の上」は、第1の部品の表面が第2の部品の表面に接続されているということを意味するだけで、その2つの部品の相対的位置またはその少なくとも2つの部品を含む構成は重要ではない。
【0028】
本発明に係る方法のために、本発明に係る焼結プリフォームが最初に準備される。
【0029】
「焼結プリフォーム」は、最も広義に、本発明の焼結方法で使用されるペーストを2つの部品の表面上へと容易に付与することができるように用いられる構成物として理解されたい。
【0030】
この焼結プリフォームは、硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する表面を有する担体を含む。
【0031】
この担体は、ペーストの構成成分またはペースト自体と反応性ではない、特に化学的に不活性な材料から作製されている表面を有する。
【0032】
本発明に関しては、担体表面の材料は、焼結できるものでないならば、反応性ではない。担体表面の材料とペーストに含有される金属粒子との間で拡散プロセスが起こらないようであれば、担体表面の材料は、焼結できない。これに対応して、25℃の温度および1013hPaの圧力で、担体表面の材料とペーストの成分との間で相互作用が起こらないことが好ましく、この相互作用があると、担体はペーストを受け入れるために使用することができなくなり、ペーストを焼結プロセスに使用することができなくなるであろう。加えて、担体表面は、硬化したペーストを担体から容易に引き離すことができる材料から作製されているべきである。
【0033】
好ましい実施形態によれば、この担体表面の材料は、担体表面の材料とペーストに含有される金属粒子との間で拡散相互作用が支配的でなく、むしろ、接着相互作用が、担体表面の材料と硬化したペーストとの間で支配的であるような材料である。
【0034】
担体表面の材料がペーストの構成成分またはペースト自体と反応性ではないということによって、本発明に係る方法が実施されるとき、第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物が容易に担体から引き離すことができるということが確実になる。
【0035】
好ましい実施形態によれば、この担体は、非金属材料、金属セラミック、および表面上に酸化物層を有する金属材料からなる群から選択される。
【0036】
使用することができる非金属材料としては、特にポリマー、ガラス、および非金属セラミックが挙げられる。特に好ましい実施形態によれば、この担体はポリエステル、ポリイミド、またはポリエーテルスルホンから作製される。
【0037】
金属セラミックは、少なくとも1つの金属を含有するセラミックとして理解されたい。例えば、酸化アルミニウムセラミックは、担体用の金属セラミックとして使用することができる。
【0038】
表面上に酸化物層を有する金属材料は、好ましくは、大気圧の酸素の存在下で不動態化する金属である。これらとしては、特にアルミニウム、ニッケル、および鉄が挙げられる。
【0039】
本発明によれば、担体は、硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する表面を有する。
【0040】
本発明によれば、この少なくとも1つの構造化要素は、担体の表面上に位置する。
【0041】
好ましい実施形態によれば、この担体は、硬化したペーストを含有する複数の構造化要素を有する表面を有する。定義から、複数の構造化要素は、構造を決定する。これらの構造化要素は、同じジオメトリーを有することができ、または異なるジオメトリーを有することもできる。加えて、個々の構造化要素は、均一にまたは不均一に配置することができる。好ましくは、この構造化要素は、担体上に、互いに間隔を開けて、すなわち平面状に位置する。
【0042】
構造化要素の数およびジオメトリー、ならびに担体上での構造化要素の構成物は、特に限定されない。しかしながら、好ましくは、構造化要素の数およびジオメトリー、ならびに担体上での構造化要素の構成は、構造化要素によって生成されるパターンが、互いに次々と例えば平面状に置かれる個々の部品が別の部品の上で固定されることになるパターンに対応するように選択される。
【0043】
例えば、複数の電子部品、例えば半導体チップは、基板に、例えばリードフレームに接続することができる。通常、このようなリードフレームは、半導体チップへの接続のために設けられた接触点を有する。このような場合には、焼結プリフォームは、硬化したペーストを含有する構造化要素が、リードフレーム上の接触点のパターンに対応するパターンで、担体の表面上に構成されるように、実現することができる。担体上での構造化要素のこの構成によって、後に半導体チップを搭載する構造化要素を、リードフレームの接触点の上へと移すことができるということが確実になり、そしてその半導体チップは、その半導体チップのためにリードフレーム上に設けられた接触点に位置することになる。
【0044】
この担体の表面上の構造化要素は、硬化したペーストを含有する。
【0045】
このペーストは、それが250℃未満の温度でさえも部品の安定な接続を可能にするように、作製される。
【0046】
本発明に従って使用されるペーストは、金属粒子(a)を含有する。
【0047】
本発明に関しては、用語「金属粒子」は、純粋な金属から構成される粒子に限定されない。むしろ、この用語は、金属部分を有するすべての粒子を包含する。この金属部分は、この金属粒子の重量に対して、好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、最も特に好ましくは少なくとも95重量%である。特に、用語「金属」は、金属合金および金属間化合物の粒子も包含する。加えて、用語「金属粒子」は、異なる金属、金属合金、または金属間化合物を有することができる少なくとも2つの層を含有する粒子をも包含する。加えて、これらの金属粒子は、同じ種類または異なる種類の金属粒子であってもよい。特に、このペーストは異なる金属粒子の混合物を含有することができる。
【0048】
本発明に関しては、用語「金属」は、元素の周期表の中で、ホウ素と同じ周期でホウ素の左に、ケイ素と同じ周期でケイ素の左に、ゲルマニウムと同じ周期でゲルマニウムの左に、およびアンチモンと同じ周期でアンチモンの左に見出すことができる元素、ならびに55よりも大きい原子番号を有するすべての元素を指す。
【0049】
特に好ましい実施形態によれば、当該ペーストは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%、最も特に好ましくは少なくとも99.9重量%の純度の金属を有する金属粒子を含有する。
【0050】
さらに好ましい実施形態によれば、当該金属は、銅、銀、ニッケル、およびアルミニウムからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、この金属は銀または銅である。最も特に好ましい実施形態によれば、この金属は銀である。
【0051】
本発明に従って使用されるペーストが、金属合金を含む金属粒子を含有する場合、この合金は、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含有することが好ましい。特に好ましい実施形態によれば、この金属合金は、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも2つの金属を含有する。この金属合金の中での、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される金属の割合が、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%、最も特に好ましくは100重量%であることさらに好ましい場合がある。この合金は、例えば、銅および銀;銅、銀、および金;銅および金;銀および金;銀およびパラジウム;白金およびパラジウム;またはニッケルおよびパラジウムを含有する合金であってもよい。
【0052】
本発明に従って使用されるペーストが、異なる金属、金属合金、または金属間化合物を有する少なくとも2つの層を含む金属粒子を含有する場合、これらは、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含有する金属、金属合金、または金属間化合物の粒子であることが好ましく、ここで、これらの粒子は、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含有する金属、金属合金、または金属間化合物から構成される、その粒子とは異なるコーティングで取り囲まれている。最も特に好ましいのは、銀でコーティングされた銅粒子である。
【0053】
当該金属粒子は、様々な形態のものであってもよい。この金属粒子は、例えば、薄片の形態または球形の(ボールの形状の)形態のものであってもよい。特に好ましい実施形態によれば、この金属粒子は薄片の形態を有する。しかしながら、これは、使用される金属粒子のうちの微量部分が、異なる形態を有することができるということを排除しない。しかしながら、この粒子の少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%または100重量%が薄片の形態にあることが好ましい。
【0054】
この金属粒子が球形状で存在する場合、この金属粒子は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは1〜15μm、さらにより好ましくは2〜10μmの平均粒径を有する。本発明によれば、「平均粒径」は、その粒子の少なくとも90%が示された範囲の粒径を有するということを意味すると理解される。例えば、0.1〜20μmの平均粒径は、その粒子の少なくとも90%が0.1〜20μmの範囲の粒径を有し、その粒子の10%未満が0.1μm未満または20μm超の粒径を有するということを意味する。
【0055】
本発明によれば、金属粒子は、コーティングされている。
【0056】
本発明によれば、粒子のコーティングは、粒子の表面上の接着層であると理解される。本発明によれば、「接着層」は、その層は金属粒子から単なる重力作用によっては分離しないということを意味する。
【0057】
本発明によれば、金属粒子のコーティングは、少なくとも1つのコーティング化合物を含有する。この少なくとも1つのコーティング化合物は有機化合物である。
【0058】
この少なくとも1つのコーティング化合物は、脂肪酸、脂肪酸塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される化合物を含むことが好ましい。これらのコーティング化合物は、当該ペーストの中に含有される金属粒子のアグロメレーションを防止して、このペーストの安定化に寄与することが意図されている。
【0059】
本発明に従って使用されるコーティング化合物は、飽和化合物、単不飽和化合物、多価不飽和化合物およびこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0060】
さらには、このコーティング化合物は、分枝状の化合物、非分枝状の化合物およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0061】
このコーティング化合物は、8〜28個、さらにより好ましくは12〜24個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有することが好ましい。
【0062】
好ましい実施形態によれば、このコーティング化合物としては、モノ脂肪酸、モノ脂肪酸由来の塩またはモノ脂肪酸エステル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
好ましい脂肪酸塩は、アニオン性成分が脱プロトン化された脂肪酸を構成し、カチオン性成分がアンモニウムイオン、モノアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、銅イオン、およびアルミニウムイオンからなる群から選択される塩である。
【0064】
好ましい脂肪酸エステルは、上記の対応する脂肪酸から誘導され、その酸単位のヒドロキシル基がアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基で置き換えられているものである。
【0065】
好ましい実施形態によれば、当該少なくとも1つのコーティング化合物は、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、これらの混合物、ならびに対応するエステルおよび塩ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0066】
特に好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つのコーティング化合物は、ラウリン酸(ドデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、パルミチン酸ナトリウム、およびパルミチン酸カリウムからなる群から選択される。
【0067】
本発明に従って使用される金属粒子は、市販品から入手することができる。本発明に従って使用されるコーティング化合物は、従来の方法および公知の先行技術の方法によって、金属粒子の表面上に付与される。
【0068】
例えば、当該コーティング化合物、特に上述のステアリン酸塩またはパルミチン酸塩を溶媒に懸濁させ、懸濁されたコーティング化合物を金属粒子とともにボールミルの中で砕くことが可能である。当該金属粒子を砕いた後に、このときには当該コーティング化合物でコーティングされている金属粒子は乾燥され、その後ちりが除かれる。
【0069】
脂肪酸、脂肪酸塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される当該少なくとも1つのコーティング化合物の割合は、当該コーティングの総重量に対して好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、最も特に好ましくは少なくとも99重量%、特に100重量%である。
【0070】
好ましい実施形態によれば、当該コーティング化合物の割合は、コーティングされた金属粒子の重量に対して、0.05〜3重量%、より好ましくは0.07〜2.5重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.2重量%である。
【0071】
コーティングの程度は、金属粒子の表面に対するコーティング化合物の質量の比として規定され、このコーティングの程度は、金属粒子の表面1平方メートル(m)あたり好ましくは0.00005〜0.03g、より好ましくは0.0001〜0.02g、さらにより好ましくは0.0005〜0.02gのコーティング化合物である。
【0072】
本発明によれば、当該ペーストは、少なくとも1つの焼結助剤をも含有する。この焼結助剤は、250℃未満の温度での焼結プロセスの間に、250℃未満でのコーティング化合物の加熱除去を確実にし、従って250℃未満の温度で焼結することができるようにすることができることが好ましい。特に適切な焼結助剤は、中間的に形成される化合物を介していずれか直接的または間接的に、250℃未満の温度での当該コーティング化合物の加熱除去を確実にする。
【0073】
本発明によれば、この焼結助剤は、(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、(b3)無機酸、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体からなる群から選択される。
【0074】
1つの実施形態に従って焼結助剤として使用することができる有機過酸化物(b1)、無機過酸化物(b2)、および無機酸(b3)は酸化剤である。
【0075】
酸化剤は、他の物質を酸化することができこれにより自身は還元される物質であると理解される。酸化剤は電子を奪うことができ、従って電子アクセプターである。またこの実施形態に係る焼結助剤は、酸素キャリアであることが好ましい。これは、酸素を与えることができる物質を意味する。これらの化合物は、焼結助剤としての役割を果たすことができる。なぜなら、これらは少なくとも1つの酸素原子を含有し、当該ペーストの金属粒子上に存在するコーティング化合物の、250℃未満の温度での燃焼を可能にするからである。
【0076】
焼結助剤としての使用のための(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、および(b3)無機酸の適性は、ペーストを使用する部品の焼結のためには、このペーストの中に含有される粒子が好ましくは脂肪酸でコーティングされている場合は有利である、という認識に基づく。金属粒子がコーティングされていない場合は、金属ペーストの中の金属粒子のアグロメレーション、および焼結プロセスの初期での金属粒子の凝集が生じる。これは、しばしば、接続対象の部品間の不均一な接触点を生じさせる。
【0077】
しかしながら、驚くべきことに、このようにしてコーティングされた金属粒子も、焼結温度を250℃よりも低い温度まで下げることはできないという効果を有するということが見出された。このコーティング化合物が金属粒子の表面上に存在するかぎり、その金属粒子のアグロメレーションは、一方で、実際に防止される。しかしながら、他方で、この場合はその金属粒子の表面は、焼結工程のために利用できず、そのため、金属粒子を焼結することができない。
【0078】
従来の焼結方法では、コーティング化合物は、焼結プロセスの間に、焼結のために通常使用される、250℃をはるかに超える温度で加熱除去される。この金属粒子の表面は、当該コーティング化合物が加熱除去された後に初めて焼結プロセスのために利用できる。それゆえ、従来から使用されるようなコーティングされた金属粒子を使用する焼結プロセスは、250℃を十分に超える温度でのみ可能である。
【0079】
驚くべきことに、(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、および(b3)無機酸が、250℃未満の温度でのコーティング化合物の加熱除去を確実にするということが見出された。これらの焼結助剤は、金属粒子上のコーティング化合物が250℃未満の温度で除かれるということを確実にする、酸素含有酸化剤である。つまり、250℃未満の温度でさえも、その金属粒子の表面は焼結プロセスのために利用できる。250℃未満の温度での当該コーティング化合物の加熱除去にもかかわらず、金属粒子のアグロメレーションは起こらず、その代わりに均一で安定な接触点が接続対象の部品間に作成されるという知見も驚くべきことであった。
【0080】
加えて、さらなる驚くべき知見は、コーティング層の下の金属粒子の表面は、ほとんどの場合、少なくとも部分的に酸化されるということであった。このような金属酸化物層は、焼結のために必要とされる拡散プロセスを妨げ、従って拡散速度の遅延を引き起こす。この理由のため、表面上が酸化されているこれらの金属粒子を用いる焼結の間に、250℃を十分に超える高いプロセス温度を使用することが通常必要である。
【0081】
本発明によれば、コーティング化合物の加熱除去の間に、とりわけ、一酸化炭素が生じる。焼結の間に放出される一酸化炭素は、還元剤であり、従って、その金属粒子の表面上に存在する金属酸化物を還元することができる。金属酸化物の除去によって、障害のない拡散が確実になり、これに伴い、拡散速度の上昇が確実になる。さらに、金属酸化物のこの還元の間に、反応性の金属がその場で生成され、これが焼結プロセスをさらに促進する。加えて、この反応性の金属は、プロセス焼結の間に、金属粒子の金属原子間に存在する隙間を充填することができ、従って、接続対象の部品間の接触点の多孔性を著しく低減することができる。このようにして、非常に高い熱伝導率および電気伝導率を有する極めて安定な接触点が生成される。
【0082】
本発明に関しては、(b1)有機過酸化物は、ペルオキシドアニオンO2−またはペルオキシド基−O−O−と、あとはペルオキシド基に直接結合された少なくとも1つの有機基を含有する化合物として理解されたい。それゆえ、本発明に関しては、有機過酸化物は、ペルオキシド基に直接結合されている少なくとも1つの有機基が存在するかぎり、ペルオキシド基に直接結合された無機基も含有することができる。この結合は、好ましくは共有結合性である。
【0083】
好ましくは、有機基は、炭素原子が好ましくは共有結合によってペルオキシド基に直接結合されている、少なくとも1つの炭素原子を含有する基として理解されたい。
【0084】
好ましい実施形態によれば、本発明に従って使用することができる有機過酸化物は、ヒドロペルオキシドならびにペルオキシカルボン酸およびその塩である。ペルオキシカルボン酸は、カルボン酸から誘導され、カルボン酸単位のヒドロキシル基は、好ましくはヒドロキシペルオキシル基によって置換されている。ヒドロペルオキシドは、形式上、エーテルまたはアルコールから誘導され、アルキル、アルケニル、またはアリール基を互いにまたは水素原子に結合する酸素ブリッジは、ペルオキシド基によって置換されている。
【0085】
本発明に従って使用される有機過酸化物は、少なくとも1つのペルオキシド基を有する。従って、これらは、2以上のペルオキシド基を有することもできる。
【0086】
本発明に従って使用される有機過酸化物では、有機基は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0087】
この有機基自体が、ヘテロ原子を有することができる。この場合、このヘテロ原子は、好ましくは酸素原子、窒素原子、またはハロゲン原子である。この有機基がハロゲン原子を含有する場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が好ましい。このヘテロ原子は、官能基の一部分であってもよい。好ましい官能基は、カルボン酸基、エステル基、ケト基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、アゾ基、イミド基、シアノ基、またはニトリル基である。
【0088】
この有機過酸化物の有機基は、1〜20個、より好ましくは2〜15個、さらにより好ましくは2〜10個の炭素原子を有することが好ましい。
【0089】
この有機基は、分枝状であってもよいし、または非分枝状であってもよい。
【0090】
この有機基は、脂肪族基または芳香族基を含むことができる。
【0091】
脂肪族基の場合、この有機基は環状基を含むこともできる。この環状基の環は、好ましくは炭素原子であることができる4〜8個の原子を含むことが好ましい。しかしながら、この環状基の環は、ヘテロ原子、好ましくは1以上の窒素原子または酸素原子を含有することもできる。
【0092】
芳香族基の場合、この有機基は、好ましくは5個または6個の炭素原子を有する芳香族基を含むことができる。
【0093】
この有機基は、飽和であってもよいし、または不飽和であってもよい。従って、この有機基は、多重結合(好ましくは二重結合であるが、三重結合でもよい)を含有することができる。
【0094】
当該有機過酸化物は、ペルオキシド基に直接結合された少なくとも1つの無機基を含有することもできる。
【0095】
無機基は、本発明によれば、当該有機過酸化物のペルオキシド基に結合された基であって、その結合は炭素原子を介しては生じてはいない基として理解される。
【0096】
当該有機過酸化物のペルオキシド基へのその無機基の結合は、原理上は、炭素原子以外のすべての原子を介して生じることができる。この結合は、水素原子またはヘテロ原子を介して生じることが好ましい。金属原子または窒素原子が、ヘテロ原子として好ましい場合がある。
【0097】
ヘテロ原子がペルオキシド基に直接結合されている場合、このヘテロ原子は、そのヘテロ原子に加えて他の原子を含有する基の一部分であってもよい。これらの他の原子としては、好ましくは、炭素原子、水素原子、またはさらなるヘテロ原子を挙げることができる。好ましいさらなるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、リン原子、およびハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子など)であることができる。
【0098】
ペルオキシド基に直接結合されうる金属原子は、元素の周期表の第1族、第2族および第3族の金属であることが好ましい。従って、好ましい実施形態によれば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、ホウ素原子、またはアルミニウム原子が、このペルオキシド基に結合される。
【0099】
ヘテロ原子を介してペルオキシド基に結合される無機基は、好ましくは、アンモニウム基であることができる。このアンモニウム基の1以上の水素原子が、有機基または無機基で置換されていることが好ましい場合もある。好ましくは、このアンモニウム基の1以上の水素原子は、アルキル基で置換されている。これらのアルキル基は分枝状または非分枝状であることができるが、非分枝状であることが好ましい。このアンモニウム基の1以上の水素原子を置き換えるアルキル基は、1〜10個、より好ましくは1〜6個、さらにより好ましくは1〜4個の炭素原子を有することが好ましい。このアンモニウム基の1以上の水素原子を置き換えるアルキル基は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0100】
好ましい無機基は、アンモニウム基、モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、モノプロピルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、モノイソプロピルアンモニウム基、ジイソプロピルアンモニウム基、トリイソプロピルアンモニウム基、モノブチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、およびトリブチルアンモニウム基である。
【0101】
本発明に従って使用される有機過酸化物は、環状有機過酸化物を含むこともできる。特に、この有機過酸化物のペルオキシド基は、それ自体が環系の一部分であってもよい。
【0102】
本発明に従って使用される有機過酸化物は、200℃未満の分解温度を有することが好ましい。しかしながらこれに関して、驚くべきことに、200℃を超える分解温度を有するいくつかの有機過酸化物が、当該金属ペーストの中に含有される金属の存在下で、200℃未満の分解温度を有するということが見出された。これは、当該金属ペーストの中に含有される金属がこれらの有機過酸化物の分解を触媒するという事実に起因すると思われる。
【0103】
本発明に従って使用される有機過酸化物が室温(20℃)および標準圧力(1013hPa)で液体であることも、好ましい場合がある。
【0104】
特に好ましい実施形態では、この有機過酸化物は、ジイソブチリルペルオキシド、ペルオキシネオデカン酸クメン、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ペルオキシネオデカン酸tert−アミル、ジ−(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ペルオキシネオデカン酸tert−ブチル、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ペルオキシピバル酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ペルオキシネオペプタン酸tert−ブチル、ペルオキシピバル酸tert−アミル、ペルオキシピバル酸tert−ブチル、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert−ブチル、1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、ペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸tert−ブチル、2,2−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−ブタン、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ペルオキシ酢酸tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−ヘキサン、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−アミル、ペルオキシジエチル酢酸tert−ブチル、tert−アミル−ペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、tert−ブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ペルオキシ安息香酸tert−ブチル、ジ−tert−アミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、ジ−イソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、および1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドからなる群から選択される化合物を含む。
【0105】
焼結助剤として、(b2)無機過酸化物も使用することができる。
【0106】
本発明に関しては、無機過酸化物は、ペルオキシドアニオンO2−またはペルオキシド基−O−O−と、あとは無機基のみを含有する化合物として理解される。本発明に関しては、無機過酸化物は、好ましくは有機過酸化物ではないすべての過酸化物である。本発明によれば、無機基は、炭素原子以外の原子を介してペルオキシド基に直接結合された基である。
【0107】
当該無機過酸化物のペルオキシド基に結合している2つの無機基は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0108】
ペルオキシド基への結合は、好ましくは1以上の水素原子および/または1以上のヘテロ原子を介して生じることができる。金属原子、ホウ素原子、または窒素原子が、ヘテロ原子として好ましい場合がある。
【0109】
ヘテロ原子がペルオキシド基に直接結合している場合、そのヘテロ原子は、そのヘテロ原子のほかにさらなる原子を含有する基の一部分であってもよい。好ましい実施形態によれば、これらのさらなる原子としては、炭素原子、水素原子、またはさらなるヘテロ原子を挙げることができる。窒素原子、酸素原子、リン原子、およびハロゲン原子、特にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が、さらなるヘテロ原子として好ましい場合がある。
【0110】
ペルオキシド基に直接結合されうる好ましい金属原子は、元素の周期表の第1族、第2族および第3族の金属である。従って、好ましい実施形態によれば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、ホウ素原子、またはアルミニウム原子が、このペルオキシド基に結合される。
【0111】
ヘテロ原子を介して当該無機過酸化物のペルオキシド基に結合される少なくとも1つの無機基は、好ましくは、アンモニウム基を含む。この無機過酸化物において、2つのアンモニウム基がペルオキシド基に結合されている場合、それらのアンモニウム基は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0112】
アンモニウム基の1以上の水素原子が有機基または無機基で置換されていることが、好ましい場合がある。好ましくは、この場合、アンモニウム基の1以上の水素原子は、アルキル基で置換されている。これらのアルキル基は、分枝状であってもよいし、または非分枝状であってもよいが、好ましくは非分枝状である。アンモニウム基の1以上の水素原子を置き換えるアルキル基は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個、さらにより好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。アンモニウム基の1以上の水素原子を置き換えるアルキル基は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0113】
好ましい無機基は、アンモニウム基、モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、モノプロピルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、モノイソプロピルアンモニウム基、ジイソプロピルアンモニウム基、トリイソプロピルアンモニウム基、モノブチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、およびトリブチルアンモニウム基である。
【0114】
無機過酸化物はペルオキソボレート(peroxoborate)であってもよい。本発明によれば、ペルオキソボレートは、少なくとも1つの酸素原子がペルオキシド基によって置換されているボレート(borate)であると理解される。本発明によれば、ボレートは、ホウ酸の塩またはエステルである。ペルオキソボレートは、好ましくは、水和物としても存在することができる。さらに、ペルオキソボレートは、環状のアニオンを有するペルオキソ塩であってもよい。
【0115】
好ましいペルオキソボレートは、過ホウ酸アンモニウム、過ホウ酸アルキルアンモニウム、および過ホウ酸アルカリである。
【0116】
本発明によれば、用語「過ホウ酸アルキルアンモニウム」は、アンモニウム単位の1以上の水素原子が1以上のアルキル基で置換されている過ホウ酸アンモニウムを指す。これらのアルキル基は、分枝状であってもよいし、または非分枝状であってもよい。好ましくは、これらのアルキル基は、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、さらにより好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。
【0117】
好ましい過ホウ酸アルカリは、過ホウ酸リチウム、過ホウ酸カリウム、および過ホウ酸ナトリウムである。
【0118】
本発明に従って使用される無機過酸化物は、好ましくは、200℃以下の分解温度を有する。
【0119】
さらに、本発明に従って使用される無機過酸化物は室温(20℃)および標準圧力(1013hPa)で液体であることが好ましい場合がある。
【0120】
特に好ましい実施形態によれば、以下のものが無機過酸化物として使用される:過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化モノメチルアンモニウム、過酸化ジメチルアンモニウム、過酸化トリメチルアンモニウム、過酸化モノエチルアンモニウム、過酸化ジエチルアンモニウム、過酸化トリエチルアンモニウム、過酸化モノプロピルアンモニウム、過酸化ジプロピルアンモニウム、過酸化トリプロピルアンモニウム、過酸化モノイソプロピルアンモニウム、過酸化ジイソプロピルアンモニウム、過酸化トリイソプロピルアンモニウム、過酸化モノブチルアンモニウム、過酸化ジブチルアンモニウム、過酸化トリブチルアンモニウム、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過ホウ酸アンモニウム、過ホウ酸リチウム、過ホウ酸カリウムまたは過ホウ酸ナトリウム。
【0121】
特に好ましい実施形態によれば、当該無機過酸化物として、過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化ナトリウム、および過ホウ酸アンモニウムが挙げられる。
【0122】
無機酸(b3)は、加えて、本発明に従って使用されるペーストの中に含有される焼結助剤としても作用することができる。
【0123】
好ましくは、当該無機酸は酸素を含有する無機酸である。
【0124】
さらに好ましい実施形態によれば、リン酸が無機酸として使用される。リン酸は、一般に、少なくとも1つのリン原子を有する無機酸として理解されたい。
【0125】
本発明に従って焼結助剤として使用することができる好ましいリン酸は、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、およびポリリン酸である。
【0126】
さらに好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つの焼結助剤は、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、または(b6)カルボニル錯体である。これらの焼結助剤は、当該ペーストの中に含有される金属粒子の表面上に存在することができ、かつ焼結プロセスと干渉する金属酸化物が、還元されるということを確実にすることができることは明らかである。この理由のため、焼結プロセスの過程で還元剤を放出する化合物を、焼結助剤として使用することもできる。この還元剤は、好ましくは一酸化炭素である。1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、およびカルボニル錯体は、これらは明らかに焼結プロセスの間に一酸化炭素を放出し、従って当該ペーストの中の金属粒子の表面上にある金属酸化物を、250℃未満の温度で、対応する金属に還元することを可能にするという点で、焼結助剤としての役割を果たすことができる。
【0127】
焼結助剤として使用するための、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体の適性は、ペーストを使用する部品の焼結のために、一方では、粒子のアグロメレーションを防止するために、ペーストの中に含有される粒子が好ましくは脂肪酸でコーティングされている場合が有利であるが、他方でこのコーティングは、焼結温度を250℃よりも低い温度に下げることができないという効果を有する、という上で説明した知見に起因する。加えて、焼結助剤として使用するための、この実施形態に従って使用される化合物の適性は、コーティング層の下の金属粒子の表面は、ほとんどの場合、少なくとも部分的に酸化され、これは、焼結のために必要とされる拡散プロセスを妨げるという、上で説明した知見にも基づく。
【0128】
1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、およびカルボニル錯体は、本発明に従って焼結助剤として使用することができる。なぜなら、それらは、焼結プロセスの間に一酸化炭素を放出するか、またはそれらの燃焼の間に一酸化炭素が形成されるからである。焼結の間に放出される一酸化炭素は、還元剤であり、従って、金属粒子の表面上にある金属酸化物を還元することができる。金属酸化物の除去によって、障害のない拡散が確実になり、これに伴い、拡散速度の上昇が確実になる。さらに、その場での金属酸化物の還元の間によって反応性の金属が生成され、これが焼結プロセスをさらに促進する。加えて、この反応性の金属は、プロセス焼結の間に、金属粒子の金属原子間に存在する隙間を充填することができ、従って、接続対象の部品間の接触点の多孔性を著しく低減することができる。このようにして、非常に高い熱伝導率および電気伝導率を有する極めて安定な接触点が生成される。
【0129】
まだ理由は不明であるが、1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、およびカルボニル錯体は、250℃未満の温度で、銀粒子上に含有されるコーティング化合物の加熱除去を促進するようでもある。つまり、250℃未満の温度で、当該金属粒子の表面は、すでに焼結プロセスに利用可能である。
【0130】
本発明によれば、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩は、焼結助剤として使用することができる。
【0131】
好ましい実施形態によれば、1〜3個の炭素原子を含有する有機酸の塩が使用される。
【0132】
本発明に関しては、有機酸は、少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機化合物である。それらは、以下の式によって表すことができる:
R−COOH 式(I)
式中、Rは有機基を表す。
【0133】
これに対応して、本発明によれば有機酸の塩は、形式上プロトンが剥がされて、カチオン性成分として、プロトンとは異なる種類のカチオンを有する、カルボン酸基を有する少なくとも1つの単位を有する少なくとも1つのアニオン性成分を含有する化合物である。従って、有機化合物の塩は、以下の式によって表される:
R−COOX 式(II)
式中、Xは、いずれかのカチオン性成分を表す。
【0134】
本発明によれば、Rは、1〜3個の炭素原子を有する有機基を表す。
【0135】
本発明に関しては、当該金属ペースト中の塩は解離した形態では存在しないことが好ましい場合がある。これに対応して、1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩が焼結助剤として使用される本発明の実施形態では、非プロトン性溶媒が、本発明に係るペーストの中に含有される溶媒として使用されることが好ましい。
【0136】
この1〜4個の炭素原子を有する有機酸は、好ましくは一塩基酸または二塩基酸であることができる。この有機酸は、モノプロトン酸またはポリプロトン酸、特にジプロトン酸であることができる。
【0137】
この少なくとも1つのカルボン酸基のほかに、当該有機酸は少なくとも1つのさらなる官能基を有することもできる。この官能基は、例えば、別のカルボン酸基、エステル基、ケト基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトリル基、またはハロゲン原子、特にフッ素原子、塩素原子、または臭素原子であることができる。
【0138】
この少なくとも1つのカルボン酸単位のC=O基の中に形式上含まれる二重結合のほかに、当該有機酸は、さらなる二重結合を含むことができる。
【0139】
好ましくは、焼結助剤として、酢酸、炭酸、ギ酸、乳酸、およびシュウ酸からなる群から選択される酸の塩が使用される。
【0140】
金属カチオンは、好ましくは、本発明に従って使用される塩のカチオン成分として使用することができる。
【0141】
この金属カチオンは、好ましくは、酸素に対して高い親和性を有する金属のカチオンである。これらの金属は、プロセス焼結の間に酸素に結合することができ、従って、焼結助剤によって放出される一酸化炭素と、金属粒子の表面上の金属酸化物との反応の平衡を、生成物側へとシフトさせて、二酸化炭素および金属を形成することができると想定される。
【0142】
好ましい金属カチオンは、マグネシウム、アルミニウム、銅(I)、銅(II)、銀(I)、銀(II)、マンガン(III)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、およびスズ(II)である。
【0143】
特に好ましい実施形態によれば、焼結助剤として使用される1〜4個の炭素原子を有する有機酸の少なくとも1つの塩は、以下の群から選択される:酢酸銅(II)、酢酸鉄(II)、酢酸スズ(II)、炭酸鉄(II)、炭酸銅(II)、ギ酸マグネシウム、ギ酸アルミニウム、ギ酸鉄(II)、ギ酸スズ(II)、ギ酸銅(II)、ギ酸銀(II)、ギ酸マンガン(III)、乳酸銅(II)、乳酸銀(I)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、およびシュウ酸コバルト(II)。
【0144】
しかしながら、金属ペーストが、1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩として銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、または白金の炭酸塩、乳酸塩、またはギ酸塩、特に炭酸銀、乳酸銀、ギ酸銀、または乳酸銅を含有するということが排除されてもよいという実施形態も本発明の範囲内にある。
【0145】
本発明によれば、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステルも、焼結助剤として使用することもできる。
【0146】
本発明に従って使用されるエステルのもととなる1〜4個の炭素原子を有する有機酸は、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩に関連して上記のとおりの、1〜4個の炭素原子を有する有機酸である。
【0147】
結果として、本発明に従って使用されるエステルは、好ましくはモノエステルまたはポリエステル、特にジエステルである。
【0148】
本発明に関しては、エステルは、1〜4個の炭素原子を有する有機酸の少なくとも1つのカルボン酸単位の少なくとも1つの水素が形式上有機基によって置換されている化合物である。
【0149】
従って、エステルは、上記の式(II)によって記載することができるが基Xは有機基を表す、化合物を表す。
【0150】
ジエステルが1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステルとして使用される場合は、形式上、2つのカルボン酸単位の水素原子またはジプロトン酸のカルボン酸単位の水素原子は、有機基によって置換されている。これらの有機基は同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0151】
本発明によれば、当該1〜4個の炭素原子を有する有機酸の少なくとも1つのカルボン酸単位の中の水素原子を形式上置き換えるこの少なくとも1つの有機基は、好ましくは、1〜10個、より好ましくは1〜7個、さらにより好ましくは1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0152】
この有機基は非分枝状のであってもよいし、または分枝状であってもよいが、好ましくは非分枝状である。
【0153】
有機基は1以上のヘテロ原子を保有することができる。本発明で可能なヘテロ原子は、特に酸素、窒素、およびハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素など)である。しかしながら、この有機基がヘテロ原子を保有しないことが好ましい場合がある。
【0154】
ヘテロ原子がこの有機基の中に存在する場合、このヘテロ原子は、官能基の一部分であってもよい。このような官能基の例は、カルボン酸基、エステル基、ケト基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基、アゾ基、イミド基、シアノ基、およびニトリル基である。
【0155】
この有機基は、脂肪族基または芳香族基であることができる。好ましくは、この有機基は脂肪族基である。
【0156】
特に好ましい実施形態によれば、この脂肪族基はアルキル基である。このアルキル基は、1〜10個、より好ましくは1〜7個、さらにより好ましくは1〜4個の炭素原子を有することが好ましい。この実施形態によれば、このアルキル基は非分枝状である。好ましくは、このアルキル基はヘテロ原子を含有しない。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基である。
【0157】
従って、本発明に従って使用される1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、およびブチルエステルからなる群から選択されることが好ましい。
【0158】
この実施形態によれば、1〜4個の炭素原子を有する本発明に係る有機酸のエステルは、式(II)(式中、基Xはアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基を表す)によって表すことができる化合物である。
【0159】
従って、特に好ましい1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステルは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸メチルブチル、炭酸エチルプロピル、炭酸エチルブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル、およびシュウ酸ジブチルである。
【0160】
本発明によれば、(b6)カルボニル錯体も焼結助剤として使用することができる。
【0161】
本発明によれば、用語「カルボニル錯体」は、少なくとも1つのCO分子が少なくとも1つの金属原子に配位結合しているカルボニル基を含有する金属錯体を指す。
【0162】
少なくとも1つのCO分子のほかに、カルボニル錯体は、さらなるリガンドも含有することができる。これらのさらなるリガンドは、元素状リガンドまたは分子リガンドであることができる。
【0163】
このリガンドは、単座または多座であることができる。
【0164】
好ましい元素状リガンドは水素およびハロゲンである。好ましいハロゲンはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素である。
【0165】
好ましい分子リガンドは窒素酸化物、シアン化物、および有機リガンドである。
【0166】
この有機リガンドは、イオン性または不飽和リガンドであることが好ましい。
【0167】
本発明で使用できる有機リガンドは、少なくとも1つの炭素原子を有する有機リガンドである。好ましくは、少なくとも1つの炭素原子を有する有機リガンドは、2〜20個、より好ましくは2〜16、さらにより好ましくは2〜12個の炭素原子を有する有機リガンドである。
【0168】
当該有機リガンドは、分枝状であってもよいし、または非分枝状であってもよい。
【0169】
この有機リガンドは、さらに飽和、または一価不飽和または多価不飽和であってもよい。
【0170】
さらに、この有機リガンドは、環構造を有することができる。この環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有することもできる。この少なくとも1つのヘテロ原子は、好ましくは窒素または酸素でありうる。
【0171】
この有機リガンドは芳香族リガンドであってもよい。
【0172】
アルキルリガンド、好ましくはメチルリガンドなどの非分枝状のアルキルリガンド、またはシクロペンタジエニルは、イオン性リガンドとして好ましい場合がある。
【0173】
不飽和有機リガンドとして、アルケン、共役ジエンまたは非共役ジエン、およびアリルが好ましい場合がある。本発明によれば、π−アリル遷移金属錯体および芳香族遷移金属錯体も、有機基として企図される。
【0174】
本発明に従って使用されるカルボニル錯体は、1以上の金属原子を含有することができる。このカルボニル錯体が複数の金属原子を含有する場合、これらの金属原子は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0175】
酸素に対する高い親和性を有する金属は、好ましくは、カルボニル錯体の金属として使用される。
【0176】
好ましくは、このカルボニル錯体は、遷移金属の元素、つまり元素の周期表の第3〜第11族の元素からの少なくとも1つの元素を有する。
【0177】
本発明によれば、本発明に従って使用される金属カルボニルの少なくとも1つの金属が、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される金属であることがさらに好ましい。
【0178】
好ましい実施形態によれば、このカルボニル錯体は金属カルボニルである。
【0179】
本発明に関しては、用語「金属カルボニル」は、一酸化炭素分子がもっぱら金属原子へと配位結合している、単核または多核の配位化合物である化合物を記載することが意図されている。
【0180】
金属カルボニルは、本発明によれば、1つの金属原子または複数の金属原子を含有することができる。
【0181】
この金属カルボニルの中に含有される金属原子は、同じ種類のものであってもよいし、または異なる種類のものであってもよい。
【0182】
好ましくは、この金属カルボニルの金属原子は、遷移金属の元素、つまり元素の周期表の第3〜第11族の元素である。
【0183】
好ましい実施形態によれば、本発明に従って使用される金属カルボニルの少なくとも1つの金属は、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される金属である。
【0184】
この金属カルボニルは電荷中性であってもよいし、または塩として存在してもよい。この塩は、一価の塩または多価の塩であってもよい。
【0185】
好ましい実施形態によれば、本発明に従って焼結助剤として使用される金属錯体は、以下からなる群から選択される金属錯体である:バナジウムヘキサカルボニル(V(CO))、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO))、タングステンヘキサカルボニル(W(CO))、ジマンガンデカカルボニル(Mn(CO)10)、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル((CH)Mn(CO))、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO))、ノナカルボニル二鉄(Fe(CO))、ドデカルボニル三鉄(Fe(CO)12)、テトラカルボニル鉄(II)酸(H[Fe(CO)])、鉄ジカルボニルジヨージド(Fe(CO))、カルボニルペンタシアノ鉄酸三カリウム(K[Fe(CN)CO]、1,2−ビス−(ヘキサメチルベンゼン)−テトラカルボニル二鉄(0)(C1218Fe(CO)FeC1218)、カルビドペンタデカカルボニル五鉄(FeC(CO)15、ルテニウムペンタカルボニル(Ru(CO)、ジルテニウムノナカルボニル(Ru(CO))、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru(CO)12、ヘキサルテニウムヘキサデカカルボニル(Ru(CO)16)、オスミウムペンタカルボニル(Os(CO))、トリオスミウムドデカカルボニル(Os(CO)12)、ペンタオスミウムヘキサデカカルボニル(Os(CO)16)、ヘキサオスミウムオクタデカカルボニル(Os(CO)18)、ジコバルトオクタカルボニル(Os(CO))、テトラコバルトドデカカルボニル(Os(CO)12)、ヘキサコバルトヘキサデカカルボニル(Co(CO)16)、ニッケルテトラカルボニル(Ni(CO))、カルボニル鉄酸二ナトリウム(Na[Fe(CO)])。
【0186】
上記の焼結助剤の使用を通して、焼結の際のプロセス温度は、著しく低下されうる。ここで、250℃未満の温度でのコーティング化合物の加熱除去にもかかわらず、金属粒子のアグロメレーションは起こらず、その代わりに均一かつ安定な接触点が接続対象の部品間に形成されるということは驚くべきことである。
【0187】
特に好ましい実施形態によれば、当該金属粒子のコーティングの中に含有される有機化合物(コーティング化合物)に対する焼結助剤のモル比は、1:1〜150:1の範囲、より好ましくは3:1〜100:1の範囲、さらにより好ましくは5:1〜80:1の範囲、特に10:1〜80:1の範囲である。本発明によれば、「コーティング化合物に対する焼結助剤のモル比」は、(i)当該ペーストの中に含有される焼結助剤の物質の量の和、および(ii)金属粒子のコーティングの中に含有されるコーティング化合物の物質の量の和、の比を表す。例えば、ペーストが焼結助剤として0.025molのギ酸アルミニウムおよび0.015molのギ酸銅を含有し、単一のコーティング化合物として0.0008molのステアリン酸カリウムを含有する場合は、コーティング化合物に対する焼結助剤のモル比は50:1である。
【0188】
本発明によれば好ましい範囲内のコーティング化合物に対する焼結助剤の比は、さらなる有利な効果を有する。つまり、一方で、これは、焼結プロセスの間に、コーティング化合物の燃焼の結果として、十分な一酸化炭素が金属酸化物の還元に利用できるということを確実にする。他方、焼結助剤の量は、まだ、焼結プロセスを妨げるほどには高くはない。上で説明したように、本発明によれば、金属粒子のコーティングの中に含有される有機化合物が、好ましくは10〜24個、より好ましくは12〜18個、の炭素原子を有する、遊離脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸エステルであることが好ましい場合がある。
【0189】
上記の効果は、これらの焼結助剤の使用によって、焼結プロセスによって接続対象の部品間に安定な熱伝導性かつ導電性の接触点が生成されつつも、焼結温度を250℃未満に下げるということに成功するという結果をもたらすようである。
【0190】
好ましい実施形態によれば、当該ペーストは、少なくとも1つの金属前駆体を含有する。
【0191】
本発明に関しては、金属前駆体は、当該ペーストの中に含有される金属粒子の存在下で、250℃未満の温度で分解してその金属前駆体の金属を生成する化合物であると理解される。従って、焼結プロセスの間に金属前駆体を使用するとき、金属は、イン・サイチュで形成されることが好ましい。当該化合物がこの好ましい実施形態に係る金属前駆体であるかどうかは簡単に判定することができる。つまり、例えば試験対象の化合物を含有するペーストは、例えば銀表面を有する基板上に堆積し、250℃に加熱しこの温度で20分間放置することができる。その後、これらの条件下で試験対象の化合物が金属へと分解したかどうかが検討される。この目的のために、例えば、試験前に金属含有ペースト成分の含有量を秤量することができ、それから金属の理論質量を算出することができる。試験後、基板上に堆積された物質の質量を、重量測定によって決定することができる。通常の測定のばらつきは考慮に入れて、基板上に堆積された物質の質量がその金属の理論質量に対応するならば、試験された化合物は、この好ましい実施形態に係る金属前駆体である。
【0192】
別の好ましい実施形態では、この金属前駆体は当該金属粒子の中にも含有される金属を有する。特に好ましい実施形態によれば、このための金属前駆体は金属として銀または銅を有する。
【0193】
金属前駆体として金属炭酸塩、金属乳酸塩、金属ギ酸塩、金属クエン酸塩、金属酸化物、または金属脂肪酸塩、好ましくは6〜24個の炭素原子を有する脂肪酸の塩を使用することが好ましい場合がある。
【0194】
特定の実施形態では、炭酸銀、乳酸銀(I)、ギ酸銀(II)、クエン酸銀、酸化銀(例えばAgOまたはAgO)、乳酸銅(II)、ステアリン酸銅、酸化銅(例えばCuOまたはCuO)、または酸化金(例えばAuOまたはAuO)が、金属前駆体として使用される。
【0195】
特に好ましい実施形態によれば、この金属前駆体は、炭酸銀および酸化銀からなる群から選択される。
【0196】
存在する場合、この金属前駆体は、当該ペーストの中に、好ましくは微粒子形態で、特に好ましくは薄片の形態で存在する。
【0197】
焼結プロセスの間にイン・サイチュで金属を放出する金属前駆体の使用によって、焼結プロセスの間にイン・サイチュで形成される金属が、このペーストの中に含有される金属粒子間の孔を塞ぐということが生じる。このようにして、結合対象の2つの部品の間の接触点の多孔性を減少させることができる。
【0198】
少なくとも未硬化の状態では、当該ペーストは、溶媒として働くことができる少なくとも1つの化合物を含有することができる。金属ペーストのために通常使用される溶媒が、このために考慮される。例えば、以下のものを溶媒として使用することができる:α−テルピネオール((R)−(+)−α−テルピネオール、(S)−(−)−α−テルピネオールまたはラセミ化合物)、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、上述のテルピネオールの混合物、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、1−トリデカノール、2−トリデカノール、3−トリデカノール、4−トリデカノール、5−トリデカノール、6−トリデカノール、イソトリデカノール、二塩基酸エステル(好ましくはグルタル酸、アジピン酸またはコハク酸もしくはこれらの混合物のジメチルエステル)、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはこれらの混合物。
【0199】
さらには、当該ペーストは、そのペーストに所望の特徴を与えるための少なくとも1つのポリマーを含有することができる。しかしながら他方で、このペーストは、ポリマーを含有しないか、またはその割合が小さいことが有利である場合がある。なぜなら、ポリマー、とりわけ熱硬化物は、通常は250℃を超える温度で除去され尽くし、従って当該ペーストの焼結性に対して不利な効果を及ぼすからである。これは、熱硬化物またはその前駆生成物について特に当てはまる。熱硬化物の前駆生成物は、さらなるペースト成分の存在下で熱硬化物へと硬化することができる化合物を指す。これらの熱硬化物またはその前駆生成物は、通常は700未満の重量平均分子量を有する。好ましい実施形態によれば、700未満の重量平均分子量を有するポリマーの割合は、このペーストの総重量に対して6重量%以下である。
【0200】
加えて、さらなる成分、例えば一般的な分散剤、界面活性剤、消泡剤、結合剤、または粘度調整剤が、この金属ペーストの中に含有されてもよい。
【0201】
本発明に従って使用されるペーストは、好ましくは、少なくとも1つの構造化要素を生成するために、担体の表面上へと付与される。それゆえ、担体の表面上のこれらの構造化要素は、最初は、まだ硬化しておらずのちに硬化されるペーストを有する。
【0202】
担体の表面上への当該ペーストの付与は、ペーストを含有する構造化要素の所望のパターンが担体の表面上に作成されるように、行われる。
【0203】
この担体の表面上への当該ペーストの付与は、従来の方法を使用して成し遂げることができる。好ましくは、このペーストは、印刷方法を使用して、例えばスクリーン印刷またはステンシル印刷によって付与される。
【0204】
のちに焼結プリフォームの上に互いに次々と置かれる部品が、焼結プロセス後に接続されるべき部品の上に配置されるパターンに対応するパターンが生成されるように、個々の構造化要素間の距離が選択されることが好ましい。
【0205】
ペーストの硬化の後に、部品の表面の所望の領域がペーストに接触して存在するように部品を具えることができる構造化要素が得られるように、付与されるペーストのジオメトリーが選択されることが好ましい。ここで、構造化要素が具える部品の表面の一部分のみ、または表面全体が構造化要素と接触して存在することが可能である。
【0206】
付与されたペーストの厚さは、接続対象の部品の寸法に合わされることが好ましい。例えば、第1の半導体チップが凹部に置かれたリードフレームの第1の接触表面に接続されるべきであり、第2の半導体チップが凹部に置かれていないリードフレームの第2の接触表面に接続されるべき場合、第1の半導体チップをリードフレームの第1の接触表面に接続するために用いられる構造化要素を生成するために、第2の半導体チップをリードフレームの第2の接触表面に接続するために用いられる構造化要素の生成のための場合よりも大きい付与厚さを、ペーストのために選択することができる。このようにして、接続対象の部品の間隔に応じて異なる高さを有する構造化要素を有する構造を作成することができる。
【0207】
当該ペーストの付与の厚さは、特に限定されない。通常、厚さは10〜300μmの範囲、好ましくは10〜200μmの範囲、特に好ましくは20〜50μmの範囲にある。
【0208】
本発明に従って使用されるペーストは、担体の表面上に少なくとも1つの構造化要素を生成するために、硬化される。本発明に関しては、ペーストが重力によって形状がまったく変化しない粘稠度を達成したときには、当該ペーストは硬化されている。
【0209】
ペーストの硬化は、室温で液体である当該ペーストの構成成分、特に溶媒を除去することにより、行われることが好ましい。室温で液体である構成成分を除去するために、ペーストは乾燥されることが好ましい。
【0210】
従って、「乾燥」は、当該金属ペーストの中に含有される少なくとも1つの溶媒の除去として理解される。溶媒の除去は、定量的に行うことができる。しかしながら、他方で、残渣量の溶媒が当該ペーストの中に留まることも可能である。
【0211】
好ましい実施形態によれば、乾燥の間に、当該ペーストの中にもともと存在する溶媒の重量に対して少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.7重量%、さらにより好ましくは少なくとも99.9重量%の溶媒が除去される。
【0212】
好ましくは、硬化したペーストは、乾燥したペーストの重量に対して、0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、さらにより好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も特に好ましくは0.1重量%以下の溶媒を含有する。
【0213】
硬化したペーストが、乾燥したペーストの重量に対して、0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、さらにより好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も特に好ましくは0.1重量%以下の、25℃の温度および1013hPaの圧力で液体である化合物を含有することが特に好ましい。
【0214】
好ましい実施形態によれば、硬化したペーストは、硬化したペーストの重量に対して75〜95重量%の金属粒子、0.1〜15重量%の焼結助剤、0〜0.5重量%の溶媒、0〜12重量%の金属前駆体、および0〜10重量%のさらなる構成成分を含有する。
【0215】
特に好ましい実施形態によれば、硬化したペーストは、硬化したペーストの重量に対して80〜95重量%の金属粒子、2〜15重量%の焼結助剤、0〜0.3重量%の溶媒、0〜12重量%の金属前駆体、および0〜10重量%のさらなる構成成分を含有する。
【0216】
最も特に好ましい実施形態によれば、硬化したペーストは、硬化したペーストの重量に対して80〜95重量%の金属粒子、3〜15重量%の焼結助剤、0〜0.1重量%の溶媒、0〜12重量%の金属前駆体、および0〜10重量%のさらなる構成成分を含有する。
【0217】
当該ペーストの硬化、好ましくはペーストの乾燥は、当該ペーストの完全な焼結が起こらないことを確実にする条件下で行われる。従って、硬化したペーストは、後に続く焼結プロセスのための少なくとも残留反応性を有することが要求される。しかしながら、ペーストの部分的焼結がすでに起こる、乾燥のための条件を選択することが有利である場合がある。これは、例えばペーストの安定性および基板へのペーストの接着を増大させるために、望ましい場合がある。ペーストの安定性および基板へのペーストの接着は、コーティングとして金属粒子の上に置かれた少なくとも1つの有機化合物によってさらに増大されることは明らかである。これは、おそらくは、温度が上昇すると、少量のコーティング化合物は剥がれ、当該ペーストの金属粒子間、または当該ペーストの金属粒子と担体との間で接着促進剤として作用するという事実に起因する。
【0218】
従って、当該ペーストの乾燥は、溶媒をペーストからできるだけ完全に除去することに適しているが、しかし乾燥後にペースト内で焼結プロセスがすでに完全に起こっているということがない温度、圧力、および空気湿度レベルで、かつ継続期間の間行われることが好ましい。
【0219】
好ましくは、この乾燥は、200℃未満の温度で、より好ましくは150℃未満で、例えばおよそ120℃で、好ましくは3〜60分間の継続期間の間行われる。標準的な乾燥装置を、この乾燥のために使用することができる。
【0220】
ペーストの硬化の間に、通常はペーストの多孔性の増加が起こる。驚くべきことに、硬化したペーストの多孔性が増大する場合は、硬化したペーストから作製された構造化要素を、装着される部品に結合することは、特に単純なやり方で行うことができるということが明らかになった。ここで、多孔性は、硬化したペーストの体積に対する、孔の体積による割合として理解される。好ましい実施形態によれば、この硬化したペーストの多孔性は、好ましくは少なくとも20体積%、より好ましくは少なくとも40体積%、さらにより好ましくは少なくとも60体積%、特に好ましくは少なくとも80体積%、最も特に好ましくは少なくとも90体積%である。硬化したペーストの多孔性は、ペーストの中に含有される溶媒の割合および種類、乾燥継続期間、および乾燥温度によって容易に設定することができる。
【0221】
さらに、箔を、硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素の上に取り付けることができる。この箔は、特に、例えば機械的ストレスに起因する構造化要素を損傷から保護するために使用することができる。好ましくは、膜は、焼結プリフォームの担体の表面上で個々の構造化要素から形成された構造全体を覆う。この膜は、例えばポリマーから作製された膜であってもよいし、または紙であってもよい。膜が少なくとも1つの構造化要素の上に存在する場合、この膜は、本発明に係る方法を実施する際には取り除かれる。硬化したペーストを含有する焼結プリフォームの表面上の少なくとも1つの構造化要素が接続対象の第1の部品の表面と接触する前に、この膜の取り外しが行われる。
【0222】
本発明によれば、少なくとも2つの部品が互いに接続される。これらは、各々、少なくとも1つの接続対象の表面を有する。本発明では、接続対象の部品の表面は、焼結によってさらなる部品の表面に接続されるべき、部品の表面として理解される。
【0223】
接続対象の少なくとも2つの部品は、本願明細書では、第1の部品または第2の部品と呼ばれる。ここで、用語「第1の」および「第2の」は、接続対象の部品を用語上区別するために使用されるにすぎない。特に、これらの用語の使用は、部品の種類および形状に関しては何も特定しない。
【0224】
接続するために、焼結プリフォームの担体の表面上の少なくとも1つの構造化要素は、接続対象の第1の部品の表面に接触させられる。従って、焼結プリフォームの担体の表面上の少なくとも1つの構造化要素と接続対象の第1の部品の表面との接触の間、構成物は、第1の部品と、担体と接触して存在している少なくとも1つの構造化要素とから作成される。この構成物は、この少なくとも1つの構造化要素を介して担体と接触して存在し、担体上でのこの構成物の接着は、通常、接着力によって確実にされる。
【0225】
好ましくは、複数の構造化要素が、焼結プリフォームの担体の表面上に配置される。この場合、その焼結プリフォームの担体の表面上の複数の構造化要素、特に好ましくは焼結プリフォームの担体の表面上のすべての構造化要素が、第1の部品を含めた部品を具えることが好ましい。好ましくは、異なる部品が各構造化要素上に配置される。従って、好ましくは焼結プリフォームの担体の表面上の複数の構造化要素、特に好ましくは焼結プリフォームの担体の表面上のすべての構造化要素が、互いに独立に部品を具える。これらの部品は、互いに次々と平面状に配置されることが好ましい。
【0226】
好ましい実施形態によれば、この第1の部品は、第1の部品上に存在してもよい金属化層が構造化要素と接触して存在するようにして、焼結プリフォームの担体の表面上に置かれた少なくとも1つの構造化要素と接触している。互いに次々と並ぶ複数の部品が複数の構造化要素に接触している場合、この接触は、個々の部品の上に存在してもよい金属化層がこの構造化要素と接触して存在するように生じることも好ましい。
【0227】
好ましい実施形態によれば、この少なくとも1つの構造化要素と第1の部品の接続対象の表面との接触、好ましくは互いに独立の複数の構造化要素と個々の接続対象の部品の表面との接触は、押圧することによって生じる。ここで、一方で、構造化要素を有する焼結プリフォームは、構造化要素およびその接続対象の第1の部品の表面が互いに接続されるように、接続対象の第1の部品の表面上へと押圧することができる。他方、接続対象の第1の部品の表面は、焼結プリフォームの少なくとも1つの構造化要素の上へと押圧することもできる。
【0228】
この押圧は、何らの特別な手段を必要とはしない。好ましくは、この押圧は、焼結温度より低い温度で、より好ましくは200℃未満の温度で、例えば100〜200℃の範囲の温度で行われる。ここで、少なくとも第1の部品を具える焼結プリフォームを所望の押圧温度まで加熱することが好ましい場合がある。この押圧は、中程度の圧力下で、好ましくは少なくとも0.1N/mmの圧力で、より好ましくは少なくとも0.5N/mmの圧力で、さらにより好ましくは少なくとも1.0N/mmの圧力で、特に好ましくは少なくとも2N/mmの圧力で行うことができる。押圧のために、従来のスタンプ装置またはプレス装置を使用することができる。
【0229】
この押圧は、この少なくとも1つの構造化要素と第1の部品との間で接着が成し遂げられて、第1の部品およびこの少なくとも1つの構造化要素から構成される構成物が焼結プリフォームの担体から容易に取り外されることが可能となるように起こることが好ましい。
【0230】
少なくとも1つの構造化要素を接続対象の第1の部品の表面に接触させた後は、従って、担体と接触して、好ましくは担体に接着して存在し、かつ少なくとも1つの構造化要素および少なくとも第1の部品を含む構成物が存在し、ここで、この第1の部品の表面上に含有されうる金属化層が構造化要素と接触して存在する。
【0231】
この後、この第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物は、担体から取り外される。この目的のために、一方で、このときには少なくとも第1の部品上に位置するこの少なくとも1つの構造化要素を覆う担体は、焼結プリフォームの少なくとも1つの構造化要素から引き離される。好ましくは、その場合、この担体は、焼結プリフォームのすべての構造化要素から取り外される。他方、この第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物は、担体から持ち上げられてもよい。第1の部品と少なくとも1つの構造化要素との間の接着は、その構成物と担体との間の接着よりも大きいため、これは可能である。
【0232】
この第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物を担体から取り外した後に、第1の部品に接続された構造化要素は、第2の部品との接触のために利用できる。複数の構造化要素が焼結プリフォーム上に存在する場合には、その構成物を担体から取り外した後には、部品を具える複数の構造化要素は、その結果として第2の部品と接触させるために利用できる。
【0233】
その後、第1の部品、第2の部品、およびそれらの間に置かれる構造化要素から構成される焼結構成物を作成するために、本発明によれば、第2の部品と接触することになる表面は、第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物の少なくとも1つの構造化要素と接触される。
【0234】
好ましい実施形態によれば、接続対象の第2の部品の表面は、第2の部品の表面上に存在しうる金属化層が少なくとも1つの構造化要素と接触して存在するように、少なくとも1つの構造化要素と接触される。このとき、好ましくは、金属化層を有する第1の部品、金属化層を有する第2の部品、およびそれらの間に置かれる構造化要素を含み、第1の部品の金属化層および第2の部品の金属化層が構造化要素を介して互いに接続されている、焼結構成物が作成される。
【0235】
さらに好ましい実施形態によれば、接続対象の第2の部品の表面が、少なくとも1つの構造化要素をすでに有していることも可能である。この構造化要素は、例えば、本願明細書に記載される焼結プリフォームを準備すること、および焼結プリフォームの担体の表面上の少なくとも1つの構造化要素を接続対象の第2の部品の表面と接触させること、およびこの第2の部品および構造化要素の構成物を焼結プリフォームの担体から取り外すことによって製造することができる。この実施形態によれば、第1の部品および第2の部品はともに、少なくとも1つの構造化要素をすでに有している。第1の部品、第2の部品、およびそれらの間に置かれる構造化要素から構成される焼結構成物を作成するために、この第1の部品および第2の部品のこれらの構造化要素は、最後に接続されてもよい。この場合、構造化要素の一部は、焼結プリフォームを第1の部品と接触させることに由来し、構造化要素の別の一部は、別の焼結プリフォームを第2の部品と接触させることに由来する。以下では、第2の部品の表面に言及されるとき、これは、第2の部品が上記の実施形態に従って構造化要素をすでに有する場合も含む。従って、本発明に係る方法において、接続対象の第2の部品の表面は、さらなる構造化要素(これは、第2の部品およびこの構造化要素から構成される構成物の一部分である)を介して、第1の部品および少なくとも1つの構造化要素から構成される構成物の少なくとも1つの構造化要素と接触されてもよい。
【0236】
接続対象の第2の部品の表面と少なくとも1つの構造化要素との接触は、押圧することによって起こることが好ましい。この場合、一方で、第1の部品および構造化要素を含む構成物は、接続対象の第2の部品の表面上へと押圧され、その結果、第1の部品は、その構造化要素を介して接続対象の第2の部品の表面へと接続される。他方で、接続対象の第2の部品の表面は、第1の部品に接続される構造化要素上へと押圧されてもよい。
【0237】
この押圧は、何らの特別な手段を必要とはしない。好ましくは、この押圧は、焼結温度より低い温度で、より好ましくは200℃未満の温度で、つまり例えば100〜200℃の範囲の温度で行われる。この場合、接触前の第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物を100〜200℃の範囲の温度に加熱することが好ましい場合がある。接触前の第2の部品も100〜200℃の範囲の温度に加熱することが好ましい場合がある。接触前の第1の部品および少なくとも1つの構造化要素の構成物ならびにまた第2の部品も、100〜200℃の範囲の温度に加熱することが特に好ましい場合がある。この押圧は、中程度の圧力下で、好ましくは少なくとも0.1N/mmの圧力で、より好ましくは少なくとも0.5N/mmの圧力で、さらにより好ましくは少なくとも1.0N/mmの圧力で、特に好ましくは少なくとも2N/mmの圧力で行うことができる。押圧のために、従来のスタンプ装置またはプレス装置を使用することができる。
【0238】
最後に、第1の部品、第2の部品、およびそれらの間に置かれる構造化要素から構成される焼結構成物は、焼結される。
【0239】
この焼結プロセスは低温焼結プロセスである。本発明によれば、低温焼結プロセスは、好ましくは250℃未満の温度で、より好ましくは220℃未満の温度で、さらにより好ましくは200℃未満の温度で、特に好ましくは180℃未満の温度で行われる焼結プロセスとして理解されるべきである。
【0240】
焼結プロセスの間の圧力は、好ましくは30MPa未満、より好ましくは5MPa未満、さらにより好ましくは1MPa未満である。本発明に係るペーストの使用に起因して、この焼結は、プロセス圧力をまったく加えなくても、すなわち0MPaのプロセス圧力でさえ、成功裏に行うことができる。
【0241】
焼結時間は、プロセス圧力に応じて変わるが、好ましくは2〜45分間の範囲にある。
【0242】
本発明によれば、焼結プロセスは、特に限定されない雰囲気の中で行うことができる。しかしながら、好ましくは、焼結は、酸素を含有する雰囲気の中で行われる。
【0243】
焼結は、焼結に適した従来の装置の中で行われ、その装置では、上記のプロセスパラメータが設定できることが好ましい。
【0244】
少なくとも2つの部品を接続するための上記の方法によって、プロセスの経済性に関して有利であり、かつ少なくとも部分的には並行的なものである複数の部品の加工が可能になり、そして焼結された層の構造化された設計、および焼結温度を250℃未満まで下げることも可能になる。
【0245】
特に、すでに硬化したペーストを使用して接続がなされるため、プロセスの経済性に関しては,本発明に係る方法は有利である。従って、本発明によれば、焼結直前のペーストの乾燥は必要とはされない。このようにして、プロセス時間の顕著な短縮を成し遂げることができる。さらに、ユーザー側では、ペーストの付与は必要とはされない。この付与は、従来は、特別の付与装置を使用して行われるが、この間には、通常貴金属を含有する廃棄物が常に発生する。本発明によれば、廃棄物投棄または廃棄物処理の問題、およびまた付与装置の費用がかかる洗浄という問題は、ユーザーにとってはもはや生じない。
【0246】
本発明によれば、ペーストの硬化は部品の接触の前にすでに起こっているため、構造化要素を介した部品の接触の間に、空洞のない非常に均一な層が作成される。このようにして、作成された接続の信頼性を著しく改善することができる。
【0247】
個々の構造化要素は焼結プリフォームの担体の上で予め寸法決めされており、様々なジオメトリーおよび厚みで作製することができるため、部品の接触表面が1つの平面状になくとも、部品のこれらの接触表面との接続を生成することが可能である。特に、このようにして、曲線状のリードフレームまたは溝形を有するリードフレームを対応する部品に接続することも可能である。
【0248】
個々の構造化要素またはその構造体の厚さ、ジオメトリー、組成物、および体積に関しての均一な寸法決定の可能性によって、接続対象の部品間の接触層の再現性のある特性を達成することが可能になり、本発明に係る方法を、最高の程度の精度が要求される用途について使用することができるようになる。
【0249】
本発明に係る方法の最も本質的な有利点は、焼結に必要とされる温度は、硬化したペーストの中で焼結助剤を使用することによって、著しく低下させうるということである。
【実施例】
【0250】
実施例1:
以下の組成を有する混合物を撹拌することにより、均一な金属ペーストを製造し、これらをペースト1〜4と名づけた。
【0251】
【表1】

【0252】
別個の作業で、ペースト1〜4を、確定した構造化要素としての50μmの厚さを有するポリエステル膜上へと付与し、その後、100℃の温度で10分間乾燥し、焼結プリフォーム1〜4を得た。焼結プリフォーム1〜4は、各々、硬化したペースト1〜4から構成される構造化要素を有する担体(ポリエステル箔)を含有する。
【0253】
この後、ニッケル−銀金属化および25mmの表面を有するチップを、2MPaの圧力で、個々の焼結プリフォーム1〜4の構造化要素を上へと置いた。ここで、担体と接触して存在するチップおよび構造化要素の構成物を得た。この後、チップおよび構造化要素の構成物をその担体から持ち上げ、DCB(ダイレクト・カッパー・ボンディッド)基板のニッケル−金金属化の上へと置いた。その後、DCB基板、チップ、およびそれらの間に置かれる構造化要素のこのサンドイッチ構成物を、200℃の温度および10MPaの圧力の2つの加熱板の間で2分間焼結した。
【0254】
実施例1の結果:
DCB基板とチップとの間の、実施例1で得た接触層のせん断強度を従来のせん断試験を使用して判定した。
【0255】
このせん断試験の結果を以下の表にまとめる。
【0256】
【表2】

【0257】
ギ酸アルミニウムの添加により、焼結したプリフォームを使用して得たチップと基板との間の接触層のせん断強度の著しい増加が生じることが判明した。ギ酸アルミニウムおよび炭酸銀を合わせて添加することによって、さらにより安定な接続が成し遂げられた。
【0258】
実施例2:
以下の組成を有する混合物を撹拌することにより、均一な金属ペーストを製造し、これらをペースト5および6と名づけた。
【0259】
【表3】

【0260】
ペースト5および6を使用して、焼結プリフォーム(焼結プリフォーム5および6)を製造し、次にこれらを使用して、チップを基板に固定した。ここでの手順は、実施例1における手順と同様であるが、100mmの表面を有するチップを使用した。
【0261】
実施例2の結果:
DCB基板とチップとの間の、実施例2で得た接触層のせん断強度を従来のせん断試験を使用して判定した。
【0262】
焼結プリフォーム6を使用して製造した接触層は、焼結プリフォーム5を使用して得た接触層よりも著しくより高いせん断強度を有するということが判明した。従って、ここでも、本発明に係る焼結助剤の添加は、チップと基板との間の製造した接触層の安定性に対して有利な効果を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素を有する表面を有する担体を含む焼結プリフォームであって、前記硬化したペーストは、
(a)少なくとも1つの有機化合物を含有するコーティングを有する金属粒子を含有し、
(b)(b1)有機過酸化物、(b2)無機過酸化物、(b3)無機酸、(b4)1〜4個の炭素原子を有する有機酸の塩、(b5)1〜4個の炭素原子を有する有機酸のエステル、および(b6)カルボニル錯体からなる群から選択される少なくとも1つの焼結助剤を含有し、
前記硬化したペーストを有する前記担体の前記表面は、前記ペーストの構成成分と反応性ではない、
焼結プリフォーム。
【請求項2】
前記金属粒子は銀粒子である、請求項1に記載の焼結プリフォーム。
【請求項3】
前記コーティングの前記少なくとも1つの有機化合物は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の焼結プリフォーム。
【請求項4】
前記コーティングの中に含有される有機化合物に対する焼結助剤のモル比は1:1〜150:1の範囲にある、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項5】
前記有機過酸化物は、ジイソブチリルペルオキシド、ペルオキシネオデカン酸クメン、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ペルオキシネオデカン酸tert−アミル、ジ−(2−エチルヘキシル)−ペルオキシジカーボネート、ペルオキシネオデカン酸tert−ブチル、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ペルオキシピバル酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ペルオキシネオペプタン酸tert−ブチル、ペルオキシピバル酸tert−アミル、ペルオキシピバル酸tert−ブチル、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert−ブチル、1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、ペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸tert−ブチル、2,2−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−ブタン、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ペルオキシ酢酸tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−ヘキサン、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸1,1,3,3−テトラメチルブチル、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−アミル、ペルオキシジエチル酢酸tert−ブチル、tert−アミル−ペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、tert−ブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ペルオキシ安息香酸tert−ブチル、ジ−tert−アミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、ジ−イソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、および1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項6】
前記無機過酸化物は、過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、およびペルオキソボレートからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項7】
前記無機酸はリン酸である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項8】
前記塩は、酢酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、乳酸塩、およびシュウ酸塩からなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項9】
前記塩は、ギ酸マグネシウム、ギ酸アルミニウム、ギ酸鉄(II)、ギ酸スズ(II)、ギ酸銅(II)、ギ酸銀(II)、およびギ酸マンガン(III)からなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項10】
前記塩は、乳酸銅(II)および乳酸銀(I)からなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項11】
前記エステルは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、およびギ酸ブチルからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項12】
前記カルボニル錯体は金属カルボニルからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項13】
箔が、前記硬化したペーストを含有する少なくとも1つの構造化要素の上に付与されている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の焼結プリフォーム。
【請求項14】
少なくとも2つの部品を接続するための方法であって、
(i)請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の焼結プリフォームを準備することと、
(ii)接続対象の表面を有する少なくとも1つの第1の部品および接続対象の表面を有する第2の部品を準備することと、
(iii)前記第1の部品と、前記担体と接触して存在する少なくとも1つの構造化要素とから構成される構成物を作成するために、前記焼結プリフォームの前記担体の表面上の少なくとも1つの構造化要素を、前記接続対象の第1の部品の表面と接触させることと、
(iv)前記第1の部品および前記少なくとも1つの構造化要素から構成される構成物を前記担体から取り外すことと、
(v)前記第1の部品、第2の部品、および前記第1の部品と前記第2の部品との間に置かれる構造化要素から構成される焼結構成物を作成するために、前記接続対象の第2の部品の表面を、前記第1の部品と前記少なくとも1つの構造化要素とから構成される前記構成物の前記少なくとも1つの構造化要素と接触させることと、
(vi)前記焼結構成物を焼結することと、
を含む方法。
【請求項15】
工程(v)において、前記接続対象の第2の部品の表面は、前記第1の部品および前記少なくとも1つの構造化要素から構成される前記構成物の前記少なくとも1つの構造化要素に、前記第2の部品およびこの構造化要素から構成される構成物の一部分であるさらなる構造化要素を介して、接触させられる、請求項14に記載の方法。

【公開番号】特開2012−60114(P2012−60114A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−190564(P2011−190564)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(511213476)ヘレウス マテリアルズ テクノロジー ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (7)
【Fターム(参考)】